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{{参照方法|date=2014年6月27日 (金) 14:54 (UTC)}}
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[[Image:Sago (Metroxylon sagu) in New Guinea.jpg|thumb|ニューギニアのサゴヤシ(''Metroxylon sagu'')。]]
 
[[Image:Sago (Metroxylon sagu) in New Guinea.jpg|thumb|ニューギニアのサゴヤシ(''Metroxylon sagu'')。]]
  
'''サゴヤシ'''({{small|[[マレー語]]・[[インドネシア語]]}} {{lang|ms|sagu}}・{{small|[[英語]]}} {{lang|en|sago}} + 椰子)とは、[[樹幹]]から'''サゴ'''という食用[[デンプン]]が採れる[[ヤシ科]]や[[ソテツ目]]の植物の総称である。
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'''サゴヤシ'''({{small|[[マレー語]]・[[インドネシア語]]}} {{lang|ms|sagu}}・{{small|[[英語]]}} {{lang|en|sago}} + 椰子)
 
 
==サゴが採れる植物==
 
サゴはヤシ科の[[サゴヤシ属]]({{genus||Metroxylon}})など11属から採れるほか、[[ソテツ目]]の[[ソテツ属]]({{genus||Cycas}})など3属からも採れる<!--近年はザミア属はザミア科とされるので、ソテツ科→ソテツ目に変更-->。英語ではサゴが採れるソテツ属の植物も {{lang|en|sago palm}} と言うことがある。
 
 
 
主な種は次のとおり。
 
*ヤシ科
 
**[[ホンサゴ|サゴヤシ(ホンサゴ)]]({{snamei||Metroxylon sagu}})
 
**トゲサゴ({{snamei|Metroxylon rumphii}})- ホンサゴと同種とされることが多い
 
**[[クジャクヤシ]]({{snamei||Caryota urens}})
 
**[[チャボナツメヤシ]]({{snamei||Phoenix acaulis}})
 
*ソテツ目
 
**[[ソテツ]]({{snamei||Cycas revoluta}})
 
**[[フロリダソテツ]]({{sname|{{snamei||Zamia integrifolia}} syn. {{snamei|Z. floridana}}}})- 別名クーンティー、フロリダアロールート
 
 
 
サゴヤシの中で最も広く利用されているのはサゴヤシ属の植物で、特にホンサゴが最も多く、狭義のサゴヤシとされる。
 
 
 
==分布・地域誌==
 
[[Image:Sago Palm being harvested for Sago production PNG.jpg|thumb|サゴヤシの収穫。樹幹の芯を砕く。パプアニューギニア、[[東セピック州]]にて]]
 
[[Image:Sago starch filter PNG.jpg|thumb|サゴヤシの収穫。デンプン質を濾しとる。パプアニューギニア、東セピック州にて]]
 
[[Image:Sago pancake PNG.JPG|thumb|サゴを焼いて作ったパプアニューギニアの[[パンケーキ]]。]]
 
[[Image:YosriBijiSagu.jpg|thumb|サゴを球状に加工したサゴパール(沙穀米)]]
 
サゴヤシは[[東南アジア]]島嶼部や[[オセアニア]]島嶼部の低湿地に自生する。サゴヤシの植物学的な研究は発展途上であり、原産地は未だ解明されていない。
 
 
 
東南アジアでは[[イネ]]の導入以前に[[主食]]の一端を占めていたと考えられている。[[南インド]]でも食べられている。[[パプアニューギニア]]では現在でもサゴヤシのデンプンを主食とする人々がおよそ30万人いる。一方、[[ミクロネシア]]や[[ポリネシア]]ではほとんど食べない。
 
 
 
ソテツ属の[[ソテツ]]から取るデンプンは[[琉球列島]]や南日本でも食用とされていた。
 
 
 
== 歴史 ==
 
文献記録上最も古い言及は、[[マルコ・ポーロ]]の旅について書かれた[[13世紀]]の『[[東方見聞録]]』ではないかと言われている。文中に「[[スマトラ]]には、幹に[[小麦粉]]が詰まった[[喬木]]がある。木の髄を桶に入れて大量の水を注ぎしばらく置くと、底に粉が沈殿する。この粉で作った[[パン]]は、[[オオムギ|大麦]]のパンに味が似ている」との記述がある。
 
 
 
== 特徴 ==
 
サゴヤシは成熟して[[収穫]]可能となるまでに15年程度を要する。サゴヤシは生涯に1度だけ[[開花]]するが、それまでは継続的に幹の中にデンプンを蓄積し続けるので、必要に応じて十分に大きく育ったサゴヤシを切り倒し、デンプンを収穫するという形での利用が行われている。
 
 
 
サゴヤシ属の場合、1本のサゴヤシからおよそ100キログラム程度のデンプン質を採取することが出来る。
 
 
 
サゴヤシの利点は、[[多年生]]で年間を通して収穫出来ることで、これによって食料供給が安定する。また病害虫による被害もほとんど問題にならない。
 
 
 
作物としてのサゴヤシの欠点は、デンプン質以外の栄養分が殆ど含まれていないことである。その為、[[タンパク質]]や[[ビタミン]]、[[ミネラル]]などを他の食物から十分に摂取する必要がある。
 
 
 
== 利用法 ==
 
サゴヤシの収穫は2名でも不可能ではないが、普通は5人から10人程度のグループで行われる。まず男性がサゴヤシを[[斧]]などで切り倒し、樹皮を剥ぎ取る。次に女性がサゴヤシの樹幹の木髓部を[[鶴嘴]]状の器具で叩いて砕く。細かくなった髓は、樹皮などで作った沈殿水路や容器に移し、[[水]]をかけながらこれを揉んで、デンプン質を含む液を分離する。この液を大きな容器に貯め、デンプン質が沈殿したところで上澄みを捨ててデンプン質のみを回収する。樹皮を剥がれた状態のサゴヤシ1本からデンプン質を全て回収するにはおよそ20時間の労力を要する。
 
 
 
デンプン質のサゴは、乾燥して保存する。食べる際には水を加えて生地を作り、火の上や、熱い灰の中で加熱して[[パン]]状の食品とする。[[魚]]などを同時に焼いておかずにして食べる場合もある。また、[[ブルネイ]]や東[[マレーシア]]では水を加え、煮て作る、[[粥]]状の[[アンブヤット]]を主食のひとつとしている。パプアニューギニアでは[[サクサク (食品)|サクサク]]と呼ばれる湿ったデンプンの塊として流通している。
 
 
 
[[キャッサバ]]の芋から取るデンプンの[[タピオカ]]を加工して作られる球状のタピオカパールと同様に、サゴからもサゴパールが作られる。サゴから作ったパールの方がタピオカパールよりもずっと歴史が長く、東南アジアから[[ヨーロッパ]]、[[中国]]、[[台湾]]、[[琉球王国]]などにも輸出され、中華圏では「沙穀米」や「西穀米」、琉球では「セーカクビー」などと称された。山人高濂が[[1591年]]に著した『[[遵生八牋]]』巻十一<ref>[http://zh.wikisource.org/wiki/%E9%81%B5%E7%94%9F%E5%85%AB%E7%89%8B/%E5%8D%B711 維基文庫 遵生八牋/卷11]</ref>にも沙穀米粥の調理法について記載がある<ref>篠田統、『中国食物史』、p259、東京、柴田書店</ref>。
 
 
 
また、サゴヤシの倒木を放置したのち、幹の中に棲みついた[[ヤシオオオサゾウムシ]](''Rhynchophorus ferrugineus'')の[[幼虫]]を採集し、生または加熱して食用とすることも行われる。ヤシオオオサゾウムシの幼虫はサゴでん粉に含まれない動物性タンパク質を摂取するための貴重な食料となっている。
 
 
 
== 画像 ==
 
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File:Drying sago.jpg|インドのサゴパール工場
 
File:Sabudana Wada.jpg|インドのサブダナ・ヴァダ(サゴパールから作られる揚げ物)
 
File:True sago palm starch product,papeda,gata-gata(Hatusua,W.Seram,Maluku,ID thu01oct2009-1324h).jpg|サゴでん粉から作る食品、パペダ。[[マルク州]]や[[パプア州]]で食べられる
 
File:Sago starch product sagu lempeng from Maluku,ID feb2002.jpg|マルク州の食品サグ・ルンプン。よく乾燥させるため長期間保存できる
 
</gallery>
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
<references/>
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite book|和書|author=[[大塚柳太郎]]|chapter=サゴヤシ文化圏|title=海のアジア4: ウォーレシアという世界|year=2001|publisher=[[岩波書店]]|ISBN= 9784000265744}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[サゴヤシ学会]]
 
{{Commonscat|Metroxylon sagu|{{snamei|Metroxylon sagu}}}}
 
{{Commonscat|Sago|Sago}}
 
  
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ヤシ科の高木。マレーシア各地の淡水の湿地帯に分布する。高さ 10mぐらい,基部から多数分枝する。葉は長い羽状複葉で,葉柄には長いとげがある。花は幹の頂部に大型の円錐花序をなして多数咲き,果実は 1cmぐらいの大きさで鱗片におおわれる。 15年目ぐらいで初めて花をつけ,結果後その幹は枯れる。開花直前には茎の中に多量のデンプンを含む。この時期に切り倒して縦断し,髄をかき出して砕き,水洗いして良質のデンプンをとる。これをサゴまたはサゴデンプンと呼び,食用,ブドウ糖製造用,または綿糸の糊料などに用いられる。種子は発芽しにくく,また収穫までに 10年以上もかかるので大規模な栽培はなく,もっぱら自生品が利用される。なお,同じサゴヤシ sago palmの名で呼ばれる別種のヤシ <i>M. rumphii</i>があり,ほぼ同様にサゴデンプンがとれる。ニューギニアの原産で南太平洋地域で広くつくられている。
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[[Category:ヤシ科]]
 
[[Category:ヤシ科]]

2018/10/22/ (月) 23:04時点における最新版

ニューギニアのサゴヤシ(Metroxylon sagu)。

サゴヤシマレー語インドネシア語 sagu英語 sago + 椰子)

ヤシ科の高木。マレーシア各地の淡水の湿地帯に分布する。高さ 10mぐらい,基部から多数分枝する。葉は長い羽状複葉で,葉柄には長いとげがある。花は幹の頂部に大型の円錐花序をなして多数咲き,果実は 1cmぐらいの大きさで鱗片におおわれる。 15年目ぐらいで初めて花をつけ,結果後その幹は枯れる。開花直前には茎の中に多量のデンプンを含む。この時期に切り倒して縦断し,髄をかき出して砕き,水洗いして良質のデンプンをとる。これをサゴまたはサゴデンプンと呼び,食用,ブドウ糖製造用,または綿糸の糊料などに用いられる。種子は発芽しにくく,また収穫までに 10年以上もかかるので大規模な栽培はなく,もっぱら自生品が利用される。なお,同じサゴヤシ sago palmの名で呼ばれる別種のヤシ M. rumphiiがあり,ほぼ同様にサゴデンプンがとれる。ニューギニアの原産で南太平洋地域で広くつくられている。



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