ゲルマン語派
ゲルマン語派 | |
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話される地域: | ヨーロッパ |
言語系統: | インド・ヨーロッパ語族 ゲルマン語派 |
下位言語: | |
ISO 639-2・639-5: | gem |
ゲルマン語派(ゲルマンごは、英: Germanic languages, 独: Germanische Sprachen, 瑞: Germanska språk)はインド・ヨーロッパ語族のうちの一語派。ドイツ語、オランダ語、英語などが含まれる。共通のゲルマン祖語から分化したとされる。
Contents
分類
東、北、西の三つに分類されるが、東ゲルマン語は死語となっている。
以下に概略を示す。
情報源:Ethnologue report for Germanic
東ゲルマン語群
- ゴート語(ウクライナ) - 死語
- ヴァンダル語 - 死語(ヴァンダル人がプロト・スラヴ人主体の部族であったとすれば、リングア・フランカないしピジン言語であった可能性)
- ブルグント語 - 死語(ブルグント人がケルト人主体の部族であったとすれば、リングア・フランカないしピジン言語であった可能性)
- ロンゴバルト語 - 死語(ランゴバルト人がケルト人主体の部族であったとすれば、リングア・フランカないしピジン言語であった可能性)
北ゲルマン語群
西ゲルマン語群
細分化された分類についてはまだ確定されたものではない。
- アングロ・フリジア語群
- 低地ドイツ語(ドイツ北部)
- 高地ドイツ語(標準ドイツ語)
特徴
- グリムの法則という法則にそって語音が変化した。
- かつては語幹(多くは第1音節)に強勢が来た。しかし一部の言語ではこの特徴は失われ、ほかの言語でも借用語にはこの法則は適用されないことが多い。現在もつねに第1音節に強勢があるのはアイスランド語のみである。
近縁の語派
一般的にはイタリック語派やケルト語派と近縁であるとされている。(インド・ヨーロッパ語族#系統樹と年代を参照)
いっぽうスラヴ語派とバルト語派は文法的にはゲルマン語派(ケントゥム語派に属する)との間で明確な共通性があり、スラヴ語派、バルト語派、ゲルマン語派の3つの言語の共通祖語(インド・ヨーロッパ祖語の北西語群)を想定する学説もある[1][2]。
歴史
ゲルマン人は血統的には非印欧語系スカンジナビア原住民、球状アンフォラ文化の担い手など様々な混血である。ゲルマン語をもたらした集団はヤムナ文化より分化し、バルカン半島、中央ヨーロッパを経由してスカンジナビア半島南部にやってきた集団(ケルト語やイタリック語の担い手と近縁)という説、戦斧文化の担い手でありバルト・スラブ語派に近縁という説、あるいはその混合であるとの説がある[3]。ゲルマン人は紀元前750年ごろから移動を始め、紀元前5世紀にゲルマン祖語が成立、その語西ゲルマン語群、東ゲルマン語群、北ゲルマン語群に分化した。
後にゲルマン語派がその内から発生したインド・ヨーロッパ語族の北西語群はその存在と起源を非常に古い時代にまで求めることができるが、ゲルマン祖語自体はそれほど古いものであり得ない。ゲルマン祖語は、北部ドイツのヤストルフ文化(前7世紀-前1世紀)にて、 ゲルマン語派のみに特徴的な音声変化(訛り)とされるものが前5世紀から発生したことにより成立したと推定される[4]。その後このヤストルフ文化が周囲に伝播していく過程でこの音声変化の流行も共に伝播していくことで、ゲルマン語派の各地の言語が成立したものと考えられる。北西語群のうちこの音声変化の伝播から外れたも諸言語もあり、たとえばスラヴ語派やバルト語派の諸言語がそれと考えられている。スラヴ語派やバルト語派はイラン語群の音声的特徴の影響を強く受け、サテム化している。
ラテン文字以前はルーン文字を使って書き記された。フランス語に多大な影響を与え、他のロマンス語にもゲルマン起源の語彙が見られる。
参照
- ↑ Renfrew, Colin Archaeology and language (1990), pg 107
- ↑ Baldi, Philip The Foundations of Latin (1999), pg 39
- ↑ Eupedia The Germanic branch
- ↑ J. P. Mallory and D. Q. Adams, Encyclopedia of Indo-European Culture, Fitzroy Dearborn Publishers, London and Chicago, 1997, "Jastorf culture"