クライスラー・ビルディング

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クライスラー・ビルディングChrysler Building)は、アメリカ合衆国ニューヨーク市マンハッタンタートル・ベイにある超高層ビル。その優美な姿はニューヨーク摩天楼のなかでも特徴的なものであり、アメリカ合衆国のシンボルの一つである。

概要

クライスラー・ビルディングはレキシントン・アベニュー東42丁目の角(グランド・セントラル駅のすぐ東)に建つ。ウィリアム・ヴァン・アレン (en) がウォルター・クライスラーによる自動車メーカー・クライスラー本社ビル建設プロジェクトのために設計した[1]。頂部や壁面、内装にアール・デコの装飾がほどこされている。もともとは自動車メーカーのために建てられたことから、各所に自動車をモチーフとした装飾が施されている。完成した1930年から1950年代半ばまでクライスラー社の本社が所在していたが、建設費はすべてウォルター・クライスラー個人の資産で支払われた[2]。現在はクライスラーの手を離れており、ドイツの投資会社とアメリカの不動産会社、保険会社が所有している。2008年7月には、アラブ首長国連邦ファンドに所有権の75%を買収されている。2007年度にアメリカ建築家協会より発表されたAmerica's Favorite Architecture(アメリカの人気建築物)では、第9位に選ばれている。このビルはアール・デコ建築の古典的代表作とみなされている。

歴史

クライスラー・ビルディングは高さ世界一の超高層ビルを目指して1928年9月19日に着工した。当時、ニューヨーク市内では高さ世界一を狙う超高層ビルの建設競争ブームの真っただ中であった[3][4]。この建設は、特にウォール街ウォールタワー世界一の高さを競って、当時としては猛烈なピッチで進められた。平均して一週間で4階分の高さを増していくというペースにも関わらず、この建設工事中に死亡した作業員はいなかった[5]。当初の計画では246meters (807 ft)であったが[5][6]、ライバルのウォールタワーは高さ260メートル (850 ft)の計画で建設を進めていた。そこで、世界一を目指すウォルター・クライスラーの意向を受けて282メートル (925 ft)へと設計変更された[5]。しかし、ウォールタワーはさらに急遽計画を変更し、1930年4月に高さ283メートル (928 ft)で完成した。この時点ではいまだ竣工前の282mのクライスラー・ビルディングをわずかに上回り世界一のビルとなった。ところが、ウォールタワーの直前の設計変更を聞いていたクライスラー・ビルディングの設計者ウィリアム・ヴァン・アレンは、ウォルター・クライスラーの許可を得て、ビルの上に追加する38メートル (125 ft)の尖塔の製造を秘密裏に開始していた。この尖塔は4つのパーツに分けてビル内部で製造され、1929年10月23日に尖塔の底辺部分が一度ビルの上のドームに取り付けられ、すぐさまビルの66階の内部に戻された[7]1930年5月20日、38 mの尖塔を追加し319mとなり、クライスラー・ビルディングは完成した。5月27日にこのビルは一般に開業した。こうしてウォールタワーを上回り、世界一高いビルの座につくことができた。しかし、翌年の1931年エンパイアステートビルの完成により、世界一の座を明け渡すことになる。それでもアメリカの1920年代の繁栄の歴史を物語るニューヨークの摩天楼の中の傑作である(なお、クライスラー・ビルディングは世界一の座こそ僅か一年で明け渡したが、世界二位の座はシカゴジョン・ハンコック・センターが出来るまで実に38年にもわたって維持している)。また、尖塔の追加によりエッフェル塔の312.3m(旗部を含む)も抜き、ビル以外の建築物も含めて世界で一番の高さとなった(エッフェル塔は1957年のアンテナの追加により、現在はクライスラー・ビルディングよりも高い)。

ギャラリー

関連項目

登場作品

脚注

  1. 新建築社 『NHK 夢の美術館 世界の名建築100選』 新建築社、2008年。ISBN 978-4-7869-0219-2。
  2. Pierpont, Claudia Roth (2002年11月18日). “The Silver Spire: How two men's dreams changed the skyline of New York”. The New Yorker. http://www.jayebee.com/discoveries/criticism/silver_spire.htm . October 23, 2011閲覧. 
  3. Emporis GmbH. “Emporis Data "...a celebrated three-way race to become the tallest building in the world."”. Emporis.com. . September 27, 2010閲覧.
  4. The Manhattan Company – Skyscraper.org; "...'race' to erect the tallest tower in the world."”. Skyscraper.org. . September 27, 2010閲覧.
  5. 5.0 5.1 5.2 University of Wisconsin–Madison; School of Engineering – The Chrysler Building
  6. Emporis GmbH. “– Chrysler Building”. Emporis.com. . September 27, 2010閲覧.
  7. Stravitz 2002, Pages xiii (Paragraph 10) and 161. Image caption no.39

外部リンク

記録
先代:
エッフェル塔
世界一高い建築物
1930 – 1931年
次代:
エンパイアステートビル
先代:
40 ウォール・ストリート
世界一高いビル
1930 – 1931年
アメリカ一高いビル
1930 – 1931年


テンプレート:ニューヨーク市で最も高い建築物の変遷


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