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キリストきょうしんがく
'''キリスト教神学'''(キリストきょうしんがく)とは、[[キリスト教]][[信仰#キリスト教における信仰|信仰]]に関する[[神学]]である。[[イエス・キリスト]]への信仰を絶対前提としているので、[[宗教学]]とは異なる。常に時代や文化の中で営まれていくものであり、時代や文化に画一的に規範となる神学は存在しない<ref>増田祐志編「はじめに」『カトリック神学への招き』上智大学出版、2009年4月10日。3頁。</ref>。
 
  
キリスト教[[神学者]]は、[[聖書釈義|聖書を釈義]]し、分析し、また、理解を助け、講解し、キリスト教を弁護し弁証する。
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theologia Christiana; Christian theology
神学は神学者にキリスト教の真理をより理解させ<ref>See, e.g., Daniel L. Migliore, Faith Seeking Understanding: An Introduction to Christian Theology (Grand Rapids: Eerdmans, 2004) </ref>、キリスト教と他の伝統を比較し<ref>See, e.g., David Burrell, ''Freedom and Creation in Three Traditions'' (Notre Dame: University of Notre Dame Press, 1994)</ref>、批判者からキリスト教を守り、教会の改革を助け<ref>See, e.g., John Shelby Spong, Why Christianity Must Change or Die (New York: Harper Collins, 2001) </ref>、伝道を進め<ref>See, e.g., Duncan Dormor et al. (eds), Anglicanism, the Answer to Modernity (London: Continuum, 2003) </ref>、現代の必要に役立てるためにある<ref>For example, see Timothy Gorringe, Crime, Changing Society and the Churches Series (London:SPCK, 2004) </ref>。
 
  
== 構成 ==
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教会を背景としつつ,その教えの内容や信仰生活の規制にかかわる諸問題を,体系的に扱おうとする知的努力の総体。キリスト教も独立の歩みを始めた瞬間から,周囲の地中海文化圏の,競合する宗教や思想と一線を画しつつ布教するために,適切な用語が求められた。一方で,前身であるユダヤ教から受継いだ伝統に基づきながら,他方,それを当時のギリシア的な思想を媒体として表現することが必要であった。このように,キリスト教神学はすでに最初期に萌芽をもつが,体系的な学問の形をとるようになったのは中世からで,大学の成立とも関連していた。神学の原語とされる theologiaは,アリストテレスの例外もあるが,ギリシアではむしろ神々についての物語,神話を意味し,今日のキリスト教神学にあたるものは,聖なる教説 sacra doctrina,信仰の教説 doctrina fideiと呼ばれており,theologiaの用法は,トマス・アクィナスの『神学大全』などによってようやく一般化したのである。その内容も,初めは信仰の対象である神ならびに人間の運命,それらを述べる聖典の解釈などが主であったが,やがて教義や教会の歴史なども含まれるようになった。現在では,信仰の対象や規範を論じる組織神学 (教義学,倫理学を含む) ,聖典や教義や教会の成立および展開を扱う歴史神学,そして牧会や礼拝や伝道などの具体的な問題を扱う実践神学に大別されるのが普通になっており,それぞれの分野で,時代の流れに従い,また教派ごとの立場の違いを含みつつ展開されている。
現代神学には、以下のような分類が存在する。
 
* [[哲学的神学]] ([[トマス・アクィナス]]の[[神の存在証明]]など。)
 
**[[形而哲学]]
 
**[[認識論]]
 
**[[人間論]]
 
**[[自然神学]]
 
* [[歴史神学]]:([[キリスト教史]]・[[教会史]])キリスト教の歴史を考察。
 
* [[聖書学]]:[[旧約聖書|旧約]]・[[新約聖書]]・[[正典論]] ({{仮リンク|Canonics|en|Canonics}})を研究する学問。
 
**[[聖書釈義]]:解釈や釈義の基礎となる原理の研究。 
 
* [[組織神学]] ([[教義学]])
 
**[[神論]]・[[キリスト論]]・[[堕落論 (神学)|堕落論]]・[[三位一体論]]
 
**[[教会論]] (教職論・会衆論)
 
**[[サクラメント論]](洗礼論・[[聖餐論]]など)
 
**[[新生 (キリスト教)|新生]]
 
**[[終末論]]
 
**[[マリア論]]
 
** [[信条学]] (symbolics):[[使徒信条]]/[[ニカイア・コンスタンティノポリス信条]]など信仰箇条の研究。
 
** [[弁証学]]:異教世界からの批判に対して、キリスト教信仰と教義の真理性を擁護するための研究。
 
* [[実践神学]] ([[牧会神学]])
 
** [[典礼学]] ({{仮リンク|Liturgics|en|Liturgics}}):[[典礼]]の意味内容・典礼史の研究。 なお、これはカトリックでの呼称で、礼拝学がプロテスタントでの呼称。
 
** [[倫理神学]] ({{仮リンク|道徳神学|en|Moral Theology}})
 
***[[キリスト教倫理]]({{仮リンク|Christian Ethics|en|Christian Ethics}})・[[決疑論]]:倫理・規範体系の研究。
 
** [[説教学]] ({{仮リンク|Homiletics|en|Homiletics}}):説教がキリスト教信仰において果たす役割について研究をして、説教の方法について教授をする。
 
** [[教会法]]:教会の基本法である教会法の研究。カトリック教会の教会法は[[カノン法]]。
 
** 司牧学:キリスト教生活の実践的な方法の研究。 なお、これはカトリックでの呼称で、[[牧会学]]がプロテスタントでの呼称。
 
** [[宣教学]]:(伝道論)伝道・[[宣教]]の仕方について研究する。
 
<!--** [[キリスト教教育学]] ([[:en:Christian Education|Christian Education]])-->
 
** [[霊性神学]]({{仮リンク|神秘神学|en|Mystical theology}})
 
*現代[[神学]]の課題
 
**[[諸宗教の神学]]:[[キリスト教]]以外の諸宗教の救いの可能性について考察する神学。[[第2バチカン公会議]]は『[[教会憲章]]』において諸宗教を信奉している人々の救いの可能性について言及し、諸宗教対話の重要性を指摘している<ref>増田祐志編『カトリック神学への招き』上智大学出版、2009年4月10日。300-301頁。</ref>。(「[[無名のキリスト者]]」論など)
 
**[[解放の神学]]:20世紀半ば、[[南米]]における社会・政治・経済環境によって生まれた神学。「救い=解放」と解釈し、支配層から抑圧されている民衆の解放を志向する<ref>増田祐志編『カトリック神学への招き』上智大学出版、2009年4月10日。301-302頁。</ref>。類似のものとして、日本では苦難を表す「荊冠(ケイカン)の神学」、インドの「[[ダリット]]神学」などがある。
 
**[[フェミニスト神学|フェミニズムの神学]]:北米において「解放の神学」の方法論を用いて展開された神学。[[男尊女卑]]思想が、聖書の記述にも影響を与えていることから、女性の視点から聖書を見直し、時代的・文化的制約からの解放を志向する<ref>増田祐志編『カトリック神学への招き』上智大学出版、2009年4月10日。302-303頁。</ref>。
 
 
 
*その他(未分類)
 
**[[弁証法神学]] ({{仮リンク|Neo-orthodoxy|en|Neo-orthodoxy}})([[危機神学]])
 
**[[聖師父学]]
 
**[[神義論]]
 
**[[再臨]]
 
 
 
==脚注==
 
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== 参考文献 ==
 
*『[[中世思想原典集成]]』シリーズ [[平凡社]]
 
* 増田祐志編『カトリック神学への招き』上智大学出版、第1版第1刷、2009年4月10日。304頁。ISBN 978-4-324-08637-7。
 
 
 
== 関連項目 ==
 
*[[聖書]]
 
*[[キリスト教終末論]]
 
*[[キリスト論]]
 
*[[天地創造]]
 
*[[教会論]]
 
*[[マリア神学]]
 
*[[宣教学]]
 
*[[聖霊論]]
 
*[[救済論]]
 
*[[自由主義神学]]
 
 
 
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2018/7/31/ (火) 20:36時点における版

キリストきょうしんがく

theologia Christiana; Christian theology

教会を背景としつつ,その教えの内容や信仰生活の規制にかかわる諸問題を,体系的に扱おうとする知的努力の総体。キリスト教も独立の歩みを始めた瞬間から,周囲の地中海文化圏の,競合する宗教や思想と一線を画しつつ布教するために,適切な用語が求められた。一方で,前身であるユダヤ教から受継いだ伝統に基づきながら,他方,それを当時のギリシア的な思想を媒体として表現することが必要であった。このように,キリスト教神学はすでに最初期に萌芽をもつが,体系的な学問の形をとるようになったのは中世からで,大学の成立とも関連していた。神学の原語とされる theologiaは,アリストテレスの例外もあるが,ギリシアではむしろ神々についての物語,神話を意味し,今日のキリスト教神学にあたるものは,聖なる教説 sacra doctrina,信仰の教説 doctrina fideiと呼ばれており,theologiaの用法は,トマス・アクィナスの『神学大全』などによってようやく一般化したのである。その内容も,初めは信仰の対象である神ならびに人間の運命,それらを述べる聖典の解釈などが主であったが,やがて教義や教会の歴史なども含まれるようになった。現在では,信仰の対象や規範を論じる組織神学 (教義学,倫理学を含む) ,聖典や教義や教会の成立および展開を扱う歴史神学,そして牧会や礼拝や伝道などの具体的な問題を扱う実践神学に大別されるのが普通になっており,それぞれの分野で,時代の流れに従い,また教派ごとの立場の違いを含みつつ展開されている。