エプシロン・ノート
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ε0(えぷしろん・のーと (Epsilon nought)、または、えぷしろん・ぜろ (Epsilon zero))は、数学における超限順序数の一つ。ω(最小の超限順序数)から有限回の加算・乗算・冪乗では到達できない最小の超限順序数として定義される。従って極限順序数でもある。
- [math]\epsilon_0 = \omega^{\omega^{\omega^{\cdots}}}.[/math]
カントールの標準形で表すと次の通り。
- [math]\epsilon_0 = \omega^{\epsilon_0}.[/math]
ただしこれは十分な定義ではない。α = ωα であるような γ 番目(0から数え始める)の順序数 α を εγ と書き、これらをエプシロン数と呼ぶ。この中で最小のものが ε0 である。
ε0 はまだ可算である(順序数は非可算個ある)。この順序数は帰納法を用いた様々な証明で非常に重要な役割を果たす。何故なら多くの場合、超限帰納法は ε0まで実行すれば十分だからである(例としてペアノ算術の無矛盾性に関するゲンツェンの証明やグッドスタインの定理の証明などがある)。これがゲンツェンの証明において用いられたこととゲーデルの第二不完全性定理から、ペアノ算術ではこの順序の整礎性を証明できないことが判る(事実、ε0はこのような性質を持つ最小の順序数である。このことから、証明論におけるordinal analysisではペアノ算術の体系の強さを測る尺度として利用されている)。
ドイツの数学者カントールによって考案された。
関連項目
外部リンク
- "A Century of Controversy over the Foundations of Mathematics" —1999年4月30日、Lowell のマサチューセッツ大学におけるグレゴリー・チャイティンによる講演