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{{otheruses|民族集団ツンドラ地帯の先住民族|その他}}
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'''エスキモー'''({{Lang-en|Eskimo}}
|民族 =エスキモー
 
|民族語名称 = Eskimo
 
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|居住地 = {{CAN}} 北部一帯<br/>([[ヌナブト準州]]<br />[[ヌナビク]]<br />[[ヌナツィアブト]]など)<br />{{USA}} [[アラスカ州]]<br/>{{GRL}}<br/>{{RUS}} [[シベリア]]北東部
 
|言語 = [[エスキモー・アレウト語族]]
 
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|註 = 単一の民族の名ではない。<br/>[[ポリティカル・コレクトネス|侮蔑語]]とみなされる場合がある。
 
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[[Image:Eskimo Family NGM-v31-p564.jpg|thumb|300px|right|イヌイットの家族<br>(1917年の雑誌"National Geographic Magazine"より)]]
 
[[Image:Igloo inner.jpg|thumb|300px|right|イグルー内部]]
 
'''エスキモー'''({{Lang-en|Eskimo}})は、[[北極|北極圏]]の[[シベリア]]極東部・[[アラスカ]]・[[カナダ]]北部・[[グリーンランド]]に至るまでの[[ツンドラ|ツンドラ地帯]]に住む[[先住民族]]グループである。
 
  
エスキモーは本来自分たちの力のみで自活して暮らしていたが、白人との接触により[[貨幣経済]]に巻き込まれ、また飲酒などの習慣により堕落した生活を余儀なくされた。現在においては下記のアルコール類の購入や捕鯨などにみられるようにカナダ、米国政府により「保護するべき集団」と見なされ、[[パターナリズム|パターナリスティック]]な扱いを受けている<ref>Kathleen S. Fine-Dare, Kathleen Sue Fine-Dare 2002 ''Grave injustice: the American Indian Repatriation Movement and NAGPRA''</ref>。
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アメリカ大陸の北辺一帯の海岸や島々を中心に,東はグリーンランドの東岸から,西はベーリング海峡の両岸にいたる極北地帯に住む先住民。総人口約 12万(1990)と推定される。カナダとグリーンランドではイヌイット,アラスカと極東ロシアではイヌピアトやユピイトもしくはスクと自称し,これらの呼称は「人間」を意味する。言語的には[[エスキモー=アレウト語族]]に分類される。形質的には[[モンゴロイド]]に属し,がっしりした体格と比較的小さな手足,幅の狭い鼻などが特徴。核家族が基本的な社会単位であり,[[双系]]的親族組織をもち,最大規模では 20~30家族の小集落を形成し,集落相互の交際や通婚は行なわれるが,統合した組織をもたない。かつて夏は季節移動の生活を送り,冬になると数家族よりなる[[バンド]]を形成し,獲物を追った[[狩猟採集民]]。住居は,夏季には流木を利用したり,海獣の皮や土,石を用いた[[ツピク]]を設け,冬季には雪塊を積み上げて[[イグルー]]をつくっていた。1950年頃からは各領有国の定住化政策によって,多くの人々が町に移住し,生活が一変したが,それまでは魚類,カリブー,ジャコウウシ,鳥類,アザラシ,セイウチなどの海生哺乳動物を捕獲したり,海草や草の実や根茎類の植物採集も副次的に行なった。雪原の交通は犬ぞりに頼り,海上の獲物は[[カヤック]]と大勢が乗ることのできる革舟のウミアックを使ってきたが,しだいにスノーモービルやモーターボートに取って代わった。宗教は[[シャーマニズム]]であったが,17世紀以来の布教活動の結果,キリスト教が広まった。カナダ政府との長年の交渉の結果,1991年に同国北東部に[[ヌナブト准州]]を設けることで合意が成立し,1999年4月にはイヌイットによる自治州が誕生した。
 
 
== 民族 ==
 
エスキモーとは単一の民族ではなく、大きくはアラスカ北部以東に住む[[イヌイット]] (Inuit) 系民族(東部集団)とアラスカ中部以西の[[ユピク]] (Yupik) 系民族(西部集団)に分けられる。なおグリーンランドに住むのは学術的にはイヌイットであるが、現地では[[カラーリット]]と呼ばれている。
 
 
 
総人口約9万人のうちグリーンランド住民が最も多く、4万1000人。アラスカ3万2000人。カナダ1万2000人。シベリア1200人を数える。
 
 
 
== 生活と文化 ==
 
[[File:Eskimo snowgoggles.jpg|thumb|雪原の照り返しから眼を保護するための[[ゴーグル|遮光器]]。]]
 
[[]][[]]で造った[[イグルー]]等に居住し、魚や[[海獣]]を捕って生計をたて、[[カヤック]]や[[イヌぞり]]による移動生活を送る、というのが一般的なエスキモーの生活とされており、現在でも定住せずに移動生活をする者もいる。イグルーは移動するときに使うもので、定住のための住居ではない。
 
 
 
しかし近年では、定住して都市部に住む者が増えてきており、エスキモーの移動生活は過去の物となりつつある。
 
 
 
=== 食生活 ===
 
伝統的なエスキモーでは、食生活は狩猟によって得た生肉が中心であった。獲物は漁を中心とするエスキモーは[[アザラシ]]・[[クジラ]]等、また陸での猟をするエスキモーは[[カリブー]]([[トナカイ]])などである。生肉の他は、ツンドラの原野に自生する[[コケモモ]]の実などを食することもある。ただし、気候上[[農業]]は不適なので穀類を食べることはなかった。[[旧石器時代食]]を古くからの食文化としている。
 
 
 
アメリカのエスキモーについては、現在アメリカの食文化が流入しており、伝統的な食文化が失われつつある。この結果、伝統的な食事(生肉)や料理法(加熱をあまりしない)からは得られていた[[ビタミン]]類などの栄養成分が不足してしまうなどの問題が起きている([[太陽光線]]の弱い北極圏では、北欧に住む[[コーカソイド]]のように肌のメラニン色素が薄い人種は太陽光線を多く皮下に取り込み[[ビタミンD]]などを体内で作り出していた。しかしながら、[[モンゴロイド]]であるエスキモーは色素が濃く太陽光線の皮下取り込み量が不足してしまう。そのためにも狩猟した動物の生肉や内臓を食べる必要性があった)。
 
現在は[[医師]]や[[栄養士]]のアドバイスにより不足するビタミン類を[[サプリメント]]から得ている。
 
 
 
グリーンランドのエスキモーには海鳥の発酵物[[キビヤック]]を食する習慣がある。[[乳酸菌]]による[[発酵]]で微量の[[ビタミンC]]が生成される。極寒の土地であり酒を含む[[発酵食品]]はエスキモーには存在しないというかつて存在した定説は間違っていることが明らかになっている。
 
 
 
[[シロクマ]]や[[ハスキー犬]]など[[極地]]に住む動物の[[肝臓]]には、温暖な地域の動物に比べて非常に多くの[[ビタミンA]]が含まれており、一般的な人間が食べると[[ビタミン過剰症#ビタミンA過剰症|ビタミンA過剰症]]を引き起こし、最悪の場合死亡する場合がある。一方、極地での食生活に順応しているイヌイットの身体には高濃度のビタミンAを代謝する能力がある<ref>{{Cite book |和書 |author = ニーナ・エドワーズ |translator = 露久保由美子 |title = モツの歴史 |series = 「食」の図書館 |date = 2015 |publisher = 原書房 |isbn = 9784562051748 |ref = harv }}p.150.</ref>。
 
 
 
伝統的な生活を営む者もいるが、[[地球温暖化]]が進んだ現在では、氷上を移動すると氷が割れる恐れがあるため、猟師たちは[[アザラシ]]や[[シロイルカ]]などから、内陸部の[[トナカイ|カリブー]]に狙いを変えるようになった。こうして、現在のエスキモー社会は、海岸から離れて暮らすようになっている<ref>{{cite news |title=南下するホッキョクグマ急増、温暖化で北極圏に異変 カナダ |newspaper=[[フランス通信社|AFPBB News]] |date=2014-12-22 |url=http://www.afpbb.com/articles/-/3034903 |accessdate=2014-12-22 | author=Clément SABOURIN }}</ref>。
 
 
 
=== 連邦政府によるパターナリスティックな保護・管理政策 ===
 
元々エスキモーは近代的で規模の大きな醸造の技術を持っていなかったため、彼らには飲酒に耽る習慣がなかった。しかし[[白人]]が酒と引き換えに高価な[[毛皮]]を安価に交換するという目的のためにエスキモーに醸造した強い酒の味を覚えさせると、[[白人]]たちが持ち込んだ酒類を飲み過ぎてトラブルを起こす者や[[アルコール依存症]]になる者が大勢出た。その対策としてカナダでは、イヌイット(エスキモー)の住むいくつかの町ではアルコール類を購入するのにポイント制度を導入している。成人は1ヶ月間につき30ポイント分のアルコール購入券を受け取る。酒を買いたい時は店へ行き現金を払うと共にそのアルコール購入券も一緒に店に渡してアルコール類を購入する。アルコール購入券がなくなるといくら現金があっても店は客にアルコール類を売らない。この制度の導入により過度の飲酒によりトラブルを起こす者がかなり減ったと言われる。なお、このポイントは、ビール1缶1ポイント、ワイン1本5ポイント、ウィスキー1本10ポイント、などアルコール度数に合わせて増える仕組みとなっている。
 
 
 
=== 宗教 ===
 
現在のエスキモーは、ほぼ全員が[[キリスト教徒|クリスチャン]]である。伝統的エスキモーは、[[シャーマニズム]]を信仰していたが、[[1920年代]]から[[1930年代]]に[[改宗]]が進んだ。改宗が進んだ原因として、キリスト教[[宣教師]]がシャーマンによる医術のでたらめを暴露し、[[西洋医学]]で病人を治療することにより、民衆の信望を集めたとする説と、当時としては特段の理由があったわけではなく、キリスト教が単なる[[ファッション]]として受け入れられたとする説とが有力である。ただし、現在でもシャーマニズムを信仰している者も存在している。また、エスキモー・クリスチャンは一枚岩ではなく、[[宗派]]により対立することが知られている。
 
 
 
=== 姥捨ての習慣 ===
 
また、かつては入手が不安定で極めて限られた食料による極限的生活を送っていたことから、[[生産|生産労働]]に従事できない[[老人]]や[[病人]]は遺棄することが一般に行われていた、エスキモーは厳しい気候の寒冷地に居住しており、過去においては常に食糧不足の状態にあった。そのため少ない食料を生産再生人口にのみ振り分け、高齢者を棄てる習慣があった。ただしこれは強制されるものではなく高齢者はある年齢になると自らの意思で家族を離れて死への旅路に就いた<ref>[http://www.theinitialjourney.com/features/eskimos_01.html inuit  granny dumping]</ref>。[[親孝行]]を最大の道徳とみなす東洋的な[[儒教]]文化から見れば最大限の悪行のように受け止められる習慣も、その厳しい生活環境ではギリギリの選択であった。現在は人権上及び道義上の問題から姥捨ての習慣は禁じられており、行われていない。
 
 
 
=== 客へのもてなしとしての妻の提供 ===
 
エスキモーは客人へのもてなしとして自分の妻を提供する習慣があった。提供された男が次に客をもてなす側になったときには、互酬性の原則によって、自分の妻を相手方に提供することを求められた。この習慣は外国人には非常に奇異なものに映り、しばしば小説の題材に取り上げられた<ref>[[ハンス・リューシュ]]「世界の頂点」</ref><ref>[[新田次郎]]『[[アラスカ物語]]』</ref>。現在、彼らの多くは[[キリスト教徒]]であり、[[福音]]の教えに反するので、このような習慣はなくなった。
 
 
 
=== 障害者が存在しない社会(特異な人口構成) ===
 
イヌイットは自分たちが暮らす生態系の天然資源に過度の負担を掛けることの回避策として自ら人口構成を管理してきた。彼らの社会では人口構成において[[障害者]]、[[双子]]、[[女性]]の割合が他の社会に比べて極端に低くなっていた。これは出生時に選択的な[[間引き]]が行われていたためである<ref>[[:en:Clive Ponting|Clive Ponting]] 1991 ''A Green History of the World''</ref><ref>イヌイットは生まれてくる女児の4割を間引きしていた。Pointing掲書</ref>。
 
 
 
== 言語 ==
 
{{Wikipedia|ik}}
 
{{Wikipedia|iu}}
 
{{Wikipedia|kl}}
 
[[エスキモー・アレウト語族]]に属する以下の言語を話す。
 
* [[ユピック語]](アラスカ西部、シベリアのチュコト半島)
 
* [[イヌイット語]]
 
**[[イヌピアック語]](アラスカ北部)
 
**[[イヌクティトゥット語]](カナダ)
 
**[[グリーンランド語]](グリーンランド)
 
<!-- エスキモーのウィキペディアとありますがリンク先はイヌクティトゥット語版です、他の言語のリンク先はイヌクティトゥット語の「イヌイット」です
 
-->
 
 
 
==人種・遺伝子==
 
エスキモーは寒冷適応した[[新モンゴロイド]]に属す。これは他の多くの[[アメリカ先住民]]とは異なる。
 
エスキモーに高頻度にみられる遺伝子は[[ハプログループQ (Y染色体)]]であり<ref>Zegura, Stephen L. et al 2004, High-Resolution SNPs and Microsatellite Haplotypes Point to a Single, Recent Entry of Native American Y Chromosomes into the Americas</ref>、これはアメリカ先住民で広く高頻度な系統である。
 
 
 
== 捕鯨への圧力 ==
 
エスキモーには[[国際捕鯨委員会]] (IWC) から先住民生存捕鯨の枠が認められている。シベリアのエスキモーの住む地域では食料事情が悪く捕鯨は必要不可欠である。しかし先進国からは伝統的な方法での捕獲を求められており、環境保護団体から捕鯨そのものへの批判がある。
 
 
 
== 呼称 ==
 
一般に「エスキモー」または「イヌイット」という呼称がよく用いられる。だが、これらの呼称は、現地語の本来の意味とは全く異なった解釈から[[差別用語]]若しくは[[置換え語]]として使われることも少なくないため、[[民間語源|語源俗解]]の例に挙げられている。各呼称の問題点は、後述の通りである。
 
 
 
=== 「エスキモー」呼称の問題 ===
 
「エスキモー」という言葉は、アラスカエスキモーと居住域が隣接していた亜極北の[[アルゴンキン語族|アルゴンキン系インディアン]]の言葉で「[[かんじき]]の網を編む」という意味である。これが、東カナダに住む[[クリー語|クリー族の言葉]]で「生肉を食べる者」を意味する語と誤って解釈されたことから、「エスキモー」という呼称はある時期においてしばしば侮蔑的に使用された。これには、生肉を食べる行為<ref>植物の育たない極地において、生肉食は[[ビタミン]]類などの必須栄養素を摂る唯一の手段である。ただし生肉でも微量のビタミンCしか含まれていない。</ref>を野蛮であるとみなす人々の偏見などが背景にある。
 
 
 
しかし、[[シベリア]]と[[アラスカ州|アラスカ]]においては「エスキモー」は公的な用語として使われており、使用を避けるべき差別用語とはされていない。また、本人達が「エスキモー」と自称している場合は置き換えないマスコミも多い<ref>[http://www.khb-tv.co.jp/alaska/esukimo.html 番組内でのエスキモーの呼称について]</ref>。
 
 
 
=== 「イヌイット」呼称の問題 ===
 
カナダでは[[1970年代]]ごろから「エスキモー」を差別用語と位置付け<ref>この主張自体は[[1920年代]]から既に存在していた。</ref>、彼ら自身の言葉で「人々」を意味する「'''イヌイット'''」<ref>彼らの言語に[[促音]]は存在しないので「イヌイト」のほうがより正確である。</ref>が代わりに使用されている。現在では「イヌイット」という呼称は、本来「人々」を意味する言葉ではなかったとされている。先住民運動の高まりの中で、これまで他者から「エスキモー」と呼ばれてきた集団が自らを指す呼称が必要となり、「イヌイット」という言葉を採用したためである<ref>スチュアート・ヘンリ「民族呼称とイメージ―「イヌイト」の創成とイメージ操作」『民族学研究』第63巻2号、[[1998年]][[9月]]</ref>。
 
 
 
「イヌイット」は、本来[[北方民族]]のうち最大数を占めているカナダの[[バフィン島]]や[[グリーンランド]]方面に住む集団(東部集団)についての呼称である。イヌイット以外の集団への呼称について、正確を期す場合には、アラスカエスキモーは「[[イヌピアト]]」(Inupiat)、[[シベリア]]や[[セントローレンス島]]に住む集団は「[[ユピク]]」(Yupik) と呼ぶ。このため、[[北方民族]]の総称としての「エスキモー」を単純に「イヌイット」に置き換えると、置き換えの結果としての「イヌイット」なのか、原意の「イヌイット」なのか区別できなくなる。
 
 
 
またそれ以前に、シベリアやアラスカのイヌピアト(アラスカエスキモー)やユピクを、別の語族集団の呼称である「イヌイット」の名で呼ぶことは明らかな間違いである<ref>『The American Heritage, Dictionary of the English Language, Fourth Edition』(by Houghton Mifflin Company, Published by Houghton Mifflin Company. 2000)</ref>。合衆国の団体「Expansionist Party of the United States」は、その公式サイトで、「エスキモー」の呼称について、「アラスカとシベリアで唯一の正しい用語である」としており、「エスキモーはその名をまったく恥じていない。エスキモーでない者たちは、犯罪を意図するわけでもないのなら、いたずらに非英語の婉曲表現で彼らを威嚇すべきではない」としている<ref>『expansionistparty.org』("Eskimo" vs. "Inuit")</ref>。
 
 
 
== 補注 ==
 
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== 外部リンク ==
 
* [http://www.campus.ouj.ac.jp/~stew_hon/HTML/index2.html 放送大学・スチュアート ヘンリ研究室] 「業績一覧」におけるレポートが詳しい。
 
  
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[[Category:エスキモー|*]]
 
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エスキモーの一家(カーティス撮影,1929頃).jpg

エスキモー英語: Eskimo

アメリカ大陸の北辺一帯の海岸や島々を中心に,東はグリーンランドの東岸から,西はベーリング海峡の両岸にいたる極北地帯に住む先住民。総人口約 12万(1990)と推定される。カナダとグリーンランドではイヌイット,アラスカと極東ロシアではイヌピアトやユピイトもしくはスクと自称し,これらの呼称は「人間」を意味する。言語的にはエスキモー=アレウト語族に分類される。形質的にはモンゴロイドに属し,がっしりした体格と比較的小さな手足,幅の狭い鼻などが特徴。核家族が基本的な社会単位であり,双系的親族組織をもち,最大規模では 20~30家族の小集落を形成し,集落相互の交際や通婚は行なわれるが,統合した組織をもたない。かつて夏は季節移動の生活を送り,冬になると数家族よりなるバンドを形成し,獲物を追った狩猟採集民。住居は,夏季には流木を利用したり,海獣の皮や土,石を用いたツピクを設け,冬季には雪塊を積み上げてイグルーをつくっていた。1950年頃からは各領有国の定住化政策によって,多くの人々が町に移住し,生活が一変したが,それまでは魚類,カリブー,ジャコウウシ,鳥類,アザラシ,セイウチなどの海生哺乳動物を捕獲したり,海草や草の実や根茎類の植物採集も副次的に行なった。雪原の交通は犬ぞりに頼り,海上の獲物はカヤックと大勢が乗ることのできる革舟のウミアックを使ってきたが,しだいにスノーモービルやモーターボートに取って代わった。宗教はシャーマニズムであったが,17世紀以来の布教活動の結果,キリスト教が広まった。カナダ政府との長年の交渉の結果,1991年に同国北東部にヌナブト准州を設けることで合意が成立し,1999年4月にはイヌイットによる自治州が誕生した。



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