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{{生物分類表
 
|名称 = エゴマ
 
|色 = lightgreen
 
|画像= [[画像:W egoma5081.jpg|250px]]
 
|画像キャプション = エゴマ
 
|界 = [[植物界]] [[:w:Plantae|Plantae]]
 
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|綱 = [[双子葉植物綱]] [[:w:Magnoliopsida|Magnoliopsida]]
 
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|科 = [[シソ科]] [[:w:Lamiaceae|Lamiaceae]]
 
|属 = [[シソ属]] ''[[:w:Perilla|Perilla]]''
 
|種 = エゴマ '''''P. frutescens'''''
 
|学名 = ''Perilla frutescens''
 
|和名 = エゴマ(荏胡麻)
 
|英名 =
 
}}
 
'''エゴマ'''(荏胡麻、学名:''Perilla frutescens'')は[[シソ科]]の[[一年草]]。[[シソ]](青紫蘇)とは同種の変種。[[東南アジア]]原産とされる。地方名にジュウネンがあり、食べると十年長生きできるという謂れから。古名、漢名は、'''荏'''(え)。
 
  
食用または油を採るために[[栽培]]される。[[シソ]](青紫蘇)とよく似ており、アジア全域ではシソ系統の品種が好まれる地域、エゴマ系統の品種が好まれる地域、両方が栽培される地域などが見られるが、原産地の東南アジアではシソともエゴマともつかない未分化の品種群が多く見られる。
+
'''エゴマ'''(荏胡麻、学名:''Perilla frutescens'')
  
葉などには香り成分として[[ペリラケトン]]([[:w:Perilla ketone|Perilla ketone]])やエゴマケトン(Egoma ketone、3-(4-Methyl-1-oxa-3-pentenyl)furan)などの3位置換[[フラン (化学)|フラン]]化合物が含まれ、大量に摂取した[[反芻動物]]に対して[[毒|毒性]]を示す。
+
シソ科の一年草で,東南アジア原産。シソ <i>P. frutescens </i>var. <i>crispa</i>とは同一種内の変種関係とされる。外形もアオジソに似ているが,やや大型で高さ 1mに達し,茎も太く,また茎に白い毛が目立つ。植物体全体に特有の臭気があるが,シソの香りとはかなり違い,人によっては不快臭とされる。花穂はシソに比べて短く,花が密集し,萼はやや大きい。花冠は白くわずかに紫色を帯びる。種子に油を含み,しぼって「荏の油」をとる。この油は食用にはならないが乾性油で桐油と同様油紙やから傘などに用い,また照明用の灯油に使われたこともある。この用途のため古く中国を経て日本に伝えられ,現在でもときに栽培されるが,山の中の湿地などに野生化していることもある。同じく本種と同一種内の別変種とされるものにレモンエゴマ <i>P. frutescens </i>var. <i>citriodora</i>があり,これは本州,四国,九州などの山地に自生している。やはりシソに似て角張った茎と対生する葉をもち,全草がレモンに似た香りをもつ。葉質は薄く両面,特に脈上に毛があり,裏面には腺点がある。
  
== 生態 ==
+
{{テンプレート:20180815sk}}
高さは60-100cm程度。[[茎]]は四角く、直立し、長い毛が生える。葉は対生につき、広卵形で、先がとがり、[[鋸]]状にぎざぎざしている。付け根に近い部分は丸い。葉は長さ7-12cm。表面は緑色で、裏面には赤紫色が交る。[[花序]]は総状花序で、白色の花を多数つける。[[花冠]]は長さ4-5mm。花弁は4枚で下側の2枚が若干長い。
 
 
 
== 利用 ==
 
日本ではインド原産の[[ゴマ]]よりも古くから利用されている。エゴマをはじめとするシソ属種実の検出が[[縄文時代]]早期から確認されており、[[1974年]]には[[長野県]][[諏訪市]]の[[荒神山遺跡]]から「エゴマ種実」が検出されている<ref>縄文時代のシソ属種実については、松谷暁子「エゴマ・シソ」『縄文文化の研究2生業』(1983年、雄山閣)</ref>。長野県では大石遺跡からもエゴマ種実が出土しており、当初は「アワ類似炭化物」とされていたが、1981年にシソ科のエゴマであると鑑定された。
 
 
 
縄文時代には[[クッキー状炭化物]]からも検出されていることから食用加工されていたと考えられており、栽培植物としての観点から[[縄文農耕]]論においても注目されている。中世から[[鎌倉時代]]ごろまで、搾油用に広く栽培され、[[荏原]]など、地名に「荏」が付く場所の多くは栽培地であったことに由来する。
 
 
 
=== 種子 ===
 
[[種子]]は、日本ではゴマと同様に、炒ってからすりつぶし、薬味としたり、「エゴマ味噌」などとして食用にされる。
 
 
 
岐阜県の[[飛騨]]地方では、エゴマのことを「あぶらえ」と呼び、味噌に混ぜて[[五平餅]]や焼いた餅に付けたり、茹でた青菜や煮たジャガイモにあえて食べるなど、生活に密着して食用されている。
 
 
 
エゴマが比較的多く栽培されている[[福島県]]には、じゅうねん味噌や[[しんごろう]]や[[かりんとう饅頭]]など種子を用いた料理・菓子が多く存在するほか、エゴマを餌に混ぜて育てた[[エゴマ豚]]の飼育も行われている。
 
 
 
他に、[[七味唐辛子|十味唐辛子]]の成分として加えられる例もある。
 
 
 
種子を噛みつぶし、しもやけの患部に塗ると治るという伝統的な[[民間療法]]が長野県開田地方に残る<ref>『信州の民間薬』全212頁中47頁医療タイムス社昭和46年12月10日発行信濃生薬研究会林兼道編集</ref>。
 
 
 
{| class="wikitable" style="float:right"
 
|+ エゴマ(100g中)の主な[[脂肪酸]]の種類<ref> http://fooddb.jp/result/result_top.pl?USER_ID=18345</ref>
 
|-
 
! 項目 !! 分量(g)
 
|-
 
| [[脂肪]] || 38.79
 
|-
 
| [[飽和脂肪酸]] || 3.34
 
|-
 
| 16:0([[パルミチン酸]])|| 2.3
 
|-
 
| 18:0([[ステアリン酸]]) || 0.94
 
|-
 
| [[不飽和脂肪酸|一価不飽和脂肪酸]] || 6.61
 
|-
 
| 18:1([[オレイン酸]]) || 6.5
 
|-
 
| [[多価不飽和脂肪酸]]  || 28.83
 
|-
 
| 18:2([[リノール酸]]) || 5.1
 
|-
 
| 18:3([[α-リノレン酸]]) || 24
 
|}
 
{{Infobox oil
 
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|caption=荏胡麻油
 
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}}
 
 
 
=== 油脂 ===
 
'''エゴマ油'''は種子から絞った油で'''荏の油'''(えのあぶら、えのゆ、荏油〈じんゆ〉)ともいわれ、食用に、また[[乾性油]]なので防水性を持たせる[[塗料]]として油紙、番傘などに用いられてきた。
 
 
 
[[中世]]末期に不乾性油の[[菜種油]]が普及するまでは日本で植物油と言えばエゴマ油であり、灯火にもこれが主に用いられ、安定的に確保、供給するために[[油座]]という組織が作られた。しかし、菜種油の普及と共に次第にエゴマ油の利用は衰退し、乾性油としての特質が不可欠な用途に限られていき、知名度は低くなっていった。しかし、[[朝鮮]]などでは、トゥルギルム({{lang|ko|[[:ko:들기름|들기름]]}})と称して日本よりも一般的に使用されつづけている。
 
 
 
[[1990年代]]後半以降、エゴマ油が人体に不可欠な[[必須脂肪酸]]である[[α-リノレン酸]]を、他の[[食用油]]に比べ類を見ないほど豊富に含んでいることから、健康によい成分を持つことが注目され、再び日本の食品市場に現れるようになった。しかし、エゴマ油の知名度が低かった日本では商品展開上不利と見たのか、「シソ油」の商品名で市販されていることが多かった。{{要検証範囲|このため朝鮮のエゴマ油と日本のシソ油を別の物とする誤解も生まれている|date=2017/4/11}}。これは朝鮮においても同様で、日本のシソ油をチャソオイル({{lang|ko|자소 오일}})などと称して別の物のように扱う例がある。
 
 
 
工業用では塗料[[樹脂]]の原料、[[リノリウム]]、印刷[[インキ]]、[[ポマード]]、石鹸などの原料として利用される。伝統的には[[紙]]に塗って防水紙とする用途も重要で、韓国ではそれを屋内の[[オンドル]]の上に敷くなどの使い方もされた。
 
 
 
なお、[[2004年]]には[[国民生活センター]]が、また[[2008年]]に[[日本即席食品工業協会]]が[[発泡スチロール|スチロール]]製容器を使用する[[カップ麺]]に入れた場合、容器が溶ける事があるとして注意を呼びかけている<ref>[http://www.famic.go.jp/public_relations_magazine/kouhoushi/question_and_answer_of_food/qa75.html 農林水産消費安全技術センター] (2004年5月)</ref><ref>[http://www.instantramen.or.jp/news/081028/_01.html ニュース|インスタントラーメン ナビ_一般社団法人 日本即席食品工業協会] (2008年10月)</ref>。
 
 
 
=== 葉 ===
 
[[ファイル:Korean cuisine-Myeolchi bossam-02.jpg|thumb|200px|韓国のミョルチボッサム([[カタクチイワシ]]包み)に使った例]]
 
シソ系統の品種群の香りが好まれてきた日本においては、エゴマ特有の[[ペリラケトン]]の臭いを不快と感じる人が多く、一部の漬物用を除いて、葉を野菜として利用することはほとんどなかった。
 
 
 
しかし、朝鮮・韓国料理ではむしろ好まれ、エゴマを野のゴマを意味する「トゥルケ({{lang|ko|들깨}}。野のゴマの意)」と称し、特に香りのよい種類は「ケンニプ({{lang|ko|깻잎}}。ゴマの葉の意)」と称し、[[サンチュ]]などと同様に[[サムギョプサル]]などの肉料理と一緒に食べることが多い。[[肉]]や漬けた食品を葉で包むこうした食べ方は、サム({{lang|ko|쌈}})と呼ばれる。エゴマのサムは、特に[[咸鏡北道]]、[[咸鏡南道]]、[[済州道]]で盛んである<ref>鄭大聲、『朝鮮食物誌―日本とのかかわりを探る―』、pp43-44、1979年、東京、柴田書店</ref>。
 
 
 
その他、[[チャンアチ]]({{lang|ko|장아찌}})と称して、葉を酸っぱい醤油漬けにして食すこともあり、済州道などではこれもサムの食材とする。
 
<!-- 最近は日本でも本場の朝鮮・韓国料理が普及し、エゴマの葉の香りを食欲をそそる香りとして受け止める変化も生まれつつある。-->
 
 
 
近年、福島県などで、若葉を乾燥させ、他の薬草などと[[茶外茶]]として利用する例もみられる。
 
 
 
== 変種 ==
 
野生の変種にはレモンのような香りのあるレモンエゴマ(''P. frutescens'' var. ''citriodora'')があるが人間による利用はされていない。[[ニホンザル]]はこの種子をよく食べていることが知られている。
 
 
 
広島県の[[厳島|宮島]]に分布するレモンエゴマは、ここの系統にのみ含まれるエゴマケトンの強い臭気により、[[ニホンジカ]]の食害を免れている<ref>[http://www.gene.affrc.go.jp/plant/pdf/report/parts/2004_1-11.pdf 広島県宮島および対岸の廿日市における シソ近縁野生種レモンエゴマの探索]農業生物資源ジーンバンク</ref>。近縁種の[[トラノオジソ]](''P. hirtella''、画像は[http://hanamist.sakura.ne.jp/flower/gouben/siso/toranoo.html]を参照)も同様の臭気を持つ。
 
 
 
== ギャラリー ==
 
<gallery>
 
Image:Perilla frutescens var. frutescens.jpg|<center>地上部</center>
 
Image:Perilla frutescens var. frutescens' flower.jpg|<center>花</center>
 
Image:Perilla frutescens' raceme.jpg|<center>総状花序</center>
 
Image:Perilla frutescens var. frutescens' foliage.jpg|<center>葉</center>
 
Image:Korean_perilla_leaves.jpg|<center>食用の葉</center>
 
</gallery>
 
 
 
 
 
== 脚注 ==
 
<references />
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{commons|Perilla frutescens}}
 
*[[シソ]]
 
*[[離宮八幡宮]]
 
*[[大山崎油座]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
*[http://www.niah.affrc.go.jp/disease/poisoning/plants/perilla.html エゴマと芳香成分について]
 
*[http://www5b.biglobe.ne.jp/~hiyo811/28syokuyarawa/remonegoma709.html レモンエゴマ]
 
 
 
{{Normdaten}}
 
 
{{DEFAULTSORT:えこま}}
 
{{DEFAULTSORT:えこま}}
 
[[Category:シソ科]]
 
[[Category:シソ科]]

2018/12/31/ (月) 13:25時点における最新版

エゴマ(荏胡麻、学名:Perilla frutescens)

シソ科の一年草で,東南アジア原産。シソ P. frutescens var. crispaとは同一種内の変種関係とされる。外形もアオジソに似ているが,やや大型で高さ 1mに達し,茎も太く,また茎に白い毛が目立つ。植物体全体に特有の臭気があるが,シソの香りとはかなり違い,人によっては不快臭とされる。花穂はシソに比べて短く,花が密集し,萼はやや大きい。花冠は白くわずかに紫色を帯びる。種子に油を含み,しぼって「荏の油」をとる。この油は食用にはならないが乾性油で桐油と同様油紙やから傘などに用い,また照明用の灯油に使われたこともある。この用途のため古く中国を経て日本に伝えられ,現在でもときに栽培されるが,山の中の湿地などに野生化していることもある。同じく本種と同一種内の別変種とされるものにレモンエゴマ P. frutescens var. citriodoraがあり,これは本州,四国,九州などの山地に自生している。やはりシソに似て角張った茎と対生する葉をもち,全草がレモンに似た香りをもつ。葉質は薄く両面,特に脈上に毛があり,裏面には腺点がある。



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