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|英名 = [[w:Sea Urchin|Sea Urchin]]
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|和名 = '''ウニ'''('''海胆'''、'''海栗''')
 
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'''ウニ'''('''海胆'''、'''海栗'''、{{lang-en-short|Sea urchin}})は、ウニ綱に属する[[棘皮動物]]の総称。別名にガゼなど。なお、「雲丹」の字をあてるときはウニを加工した食品について指す<ref name="atejinoomoshirozatsugaku_p49">フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.49 1988年 永岡書店</ref>。春の季語<ref>『俳句歳時記 第4版』角川学芸出版、2008年、ISBN 978-4-04-621167-5</ref>。
+
'''ウニ'''('''海胆'''、'''海栗'''、{{lang-en-short|Sea urchin}}
  
== 概要 ==
+
棘皮(きょくひ)動物門ウニ綱の海産動物の総称。半球形の硬い殻の上に針のような棘(とげ)がたくさん生え、全体が「いがぐり」のような外観をした動物。世界の海から約870種、日本近海からは180余種が知られている。
深海の海底から磯に至る世界中の海に生息し、約870種が確認されている<ref name="Oba">[[大場秀章]](編)『東大講座 すしネタの自然史』 日本放送出版協会 2003年 ISBN 4140808276 pp.233-234.</ref>。
 
多くの種が全身に[[トゲ]]を持つ。中には[[ガンガゼ]]のように毒を持つものもある。
 
ウニの体の構造は5つの部分から成り、背面から見た殻の輪郭が円形で、中心から5つの部分が放射相称に配置されたものを正形ウニ類と呼び、[[タコノマクラ]]など、放射状ではなく左右相称になっているものを不正形ウニ類と呼ぶ<ref name="Oba"/>。
 
  
== 特徴 ==
+
==形態==
=== 形態 ===
+
体に前後の方向性はなく、上下の区別があり、器官の配列などは5方向に相称で、口と肛門(こうもん)はおのおの体の下側と上側の中心に位置し、内臓は殻の中に包み込まれている。殻は貝の殻とは違って、小さな殻板が多数集まってできたもので、その上を薄い表皮が覆っている。殻の表面には多数の丸いいぼがあり、その一つ一つは棘の基部と凹凸の関節構造をとってつながっている。棘は基部についた筋肉の働きで自由に動くようになっている。殻の表面には棘のほかに長さ1ミリメートルにも満たない叉棘(さきょく)という三つ叉(また)ピンセット状のものが多数ある。殻の表面からは、糸のように細長く、伸縮自在で先端に吸盤のついた管足がたくさん伸び出ている。
ウニ綱の動物は、一般的には[[球形]]から半球形や平板型など、ボールを様々な程度に平らにした姿をしている。他の棘皮動物の多くに見られる腕は全く存在しない。そのため、五放射相称は認めにくくなっているが、棘や管足の配置をよく見れば、やはり5列になっているのがわかる。多くの骨片は互いに繋がって殻を形成している。殻の下面には丸い穴があり、ここに口が開き、口の内部には「[[アリストテレス]]の[[提灯]]([[ランタン]])」と呼ばれるウニの咀嚼器がある。白い石灰質で、5個の歯からなる。
 
  
[[ファイル:Strongylocentrotus purpuratus 020313.JPG|250px|サムネイル|右|「アリストテレスの提灯」とも呼ばれるウニの口。]]
+
 殻の内側には、骨と筋肉が複雑に組み合ってできた「アリストテレスの提灯(ちょうちん)」とよばれる大きなそしゃく器がある。その下部先端の5本の歯の部分だけは口から外に露出している。内臓器官系としては、消化、水管、血洞、神経、生殖系があるが、心臓や肝臓はない。もっともよく発達しているのは水管系で、薄膜からなる袋と管が殻の内側に沿って5対走り、さらに食道の周りを環状に取り囲んでいる。生殖巣は5対あり、繁殖期が近づくと殻を埋めるほどに大きくなる。生殖孔(こう)は殻の頂上部に5個ある。雌雄は異体であるが、外形からはほとんど区別できない。
  
ウニ綱の動物は一般的には体表が多数の棘で覆われていることで知られるが、一部を除いては見かけほど危険なものではない。むしろ有毒種には棘の目立たないものが多い。棘は防御と共に運動器官や視覚器官<ref>{{
+
 ウニ類は分類学的に九つのグループに分けられるが、いがぐり形のものはそのうちの3~4グループで、そのほかのものは、一見ウニとは思えないような変わった形をしている。フクロウニ類は平たくてぶよぶよした革袋のような体をしていて、全体をいくらか膨らませたり縮めたりする。カシパン類、タコノマクラ類などとよばれるグループは殻が円盤状となり、表面は長さ1ミリメートルぐらいの短い棘で一面に覆われている。また、殻の上には5弁の花びら模様が刻まれている。ブンブクチャガマ類は殻がいびつに膨らんでいて、表面は体毛のように密に生えた湾曲した棘で覆われている。また、体にはっきりとした前後の方向性があり、口は下面前方に、肛門は後端にある。これらのほかにタマゴウニ類、マンジュウウニ類という変わった形のグループもある。
cite news | author=Matt Kaplan | date=2010-02-08 | title=ウニはトゲで“見る” | url=http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/2291/ | publisher=ナショナルジオグラフィック ニュース | accessdate=2016-06-13
 
}}</ref>の役割も果たしている。棘は[[管足]]の並ぶ歩帯の間(間歩帯)に主に配置する。普通の単純な棘の他に、先端がピンセット状などになった[[叉棘]]があり、体表の掃除や敵に対する防御などに使われる。[[ラッパウニ]]では叉棘に毒腺がある。
 
  
=== 棘の運動 ===
+
==生態==
棘はその根元から大きく動かすことができる。殻の棘のつく部分は丸く盛り上がっており、棘の基部もまた半円形に突き出している。この両者は[[結合組織]]と[[筋肉]]で結びつけられており、この筋肉によって棘は振り回すような運動が可能である。
+
いがぐり形のウニの多くは岩礁地に生息し、種類によって岩の上、転石の下、岩のくぼみの中や岩棚の下など、少しずつ好む場所が違っている。岩に自ら穴を掘ってすむものもいる。砂泥地に生息するのはカシパン類とブンブクチャガマ類で、前者は砂泥をかぶる程度に浅く潜り、後者は砂泥中に深く、種類によっては20センチメートル以上も潜っている。
  
また、これらを結びつける組織はその硬さが変化することが知られている。これは、ウニが身を守るための適応と関係していると考えられている。ウニは棘を動かして岩の孔に入り込むと、今度は棘をつっかえ棒にして引っ張り出されないようにするのであるが、その際、棘を筋肉でもって支えたのではエネルギー消費の点でも筋肉の疲労の点でもよくない。しかし、組織そのものの硬さが変化すれば、その間のエネルギー消費も抑えられる。
+
 岩礁地にすむ種類は体の移動に管足と棘を用いる。まず最初に数本の管足を伸ばし出してその先の吸盤を岩に張り付け、次々と多数の管足を同じ方向に伸ばして張り付けたのち、それらを収縮させて体全体を引っ張り、棘の助けを借りながらゆっくりとはうように進む。吸盤の吸着力と管足の力は強いので、どんなに急な斜面でもはい上ることができる。餌(えさ)をとるときには、管足で吸い付け、棘で押さえ、叉棘で挟んで運搬や保持を行う。餌は海藻、または生物体の破片や腐食物で、体の下側に運び、歯でゆっくりとかじりながら食べる。外敵を退けたり、体表の異物を除去するときには棘と叉棘を使う。
  
== 内部構造 ==
+
 繁殖期になると雌雄はおのおの放卵、放精を行い、海中で受精がおこる。受精卵から生じる幼生は独特な形をしていてエキノプルテウスとよばれる。エキノプルテウス幼生は数週間海中を漂ったのち、変態して底生生活に入る。寿命は5~6年のものが多い。
消化系は比較的単純で、腹面中央に口があり、体内を一巻きのらせんを描きつつ上に抜け、殻の真上か、それをはずれた上面に肛門が開く。生殖巣も殻の上面に開く。それらのそばに多孔板があり、ここから[[水管系]]へと海水が取り入れられる。多孔板から石管が体内を貫いて腹面側に抜け、顎の後ろの消化管を取り巻く環状水管へと続く。ここから歩帯にそって放射水管が伸びて管足に繋がる。
 
  
== 発生 ==
+
==危害==
胞胚で孵化し、[[プランクトン]]生活をしながら成長する。やがて三角形のようになり、それぞれの角から突起を突き出した[[プルテウス]]幼生となる。その後海底に一時的に固着し、[[変態]]してウニの姿となる。
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触れると危険な種類もいくつかある。ガンガゼの棘は長くて細く、活発に動き、表面には微小な逆棘がいっぱい生えているので、皮膚に深く刺さって折れやすく抜けにくい。ガンガゼモドキは逆棘の生えた棘のほかに、細くて長い髪の毛のような毒棘をたくさんもっている。イイジマフクロウニの棘は先がとがって刺さりやすく、毒袋に包まれている。ラッパウニは体表一面に毒袋のついたラッパ形の叉棘をもっている。シラヒゲウニも毒袋のついた叉棘をいっぱいもっている。これらの棘や叉棘に刺されると発赤したり、周囲が紫色にはれあがって疼痛(とうつう)を感じる。ラッパウニとシラヒゲウニの場合、掌(てのひら)など皮膚の厚い部分は刺されない。被害者の体質や刺された本数しだいでは悪寒、心悸亢進(しんきこうしん)、顔面のしびれなどの全身的症状がおこることもまれにある。
[[ファイル:Pluteus001.jpg|thumb|right|プルテウス幼生]]
 
卵と精子が受精すると受精膜ができ、他の精子の侵入を防ぐ。その後[[卵割]]し、
 
  
2細胞期→4細胞期→8細胞期→16細胞期→桑実胚→胞胚→プリズム幼生→プルテウス幼生
 
  
と発生が進む。プルテウス幼生まで約64時間かかる。
+
==利用==
 +
生殖巣は生のまま、すし種(だね)や生(なま)うにとして、あるいは塩とアルコールを加えて加工した雲丹(うに)として食用に供される。食用として採捕される種類は地方によって決まっていて、北海道と東北地方北東部ではエゾバフンウニとキタムラサキウニ、奄美(あまみ)、沖縄地方ではシラヒゲウニ、そのほかの本州、四国、九州の大部分の地域ではバフンウニ、ムラサキウニ、アカウニである。
  
プルテウス幼生の突起は増えて3週間ほどで8本になった8腕プルテウス幼生となる。
+
 それ以外の種類もほとんど食用となるが、生息量が少ないので漁業対象とされない。ナガウニは奄美、沖縄地方ではもっとも普通にみられる種類であるが、臭気があり食用とならない。ウニを食べる習慣は地中海沿岸諸国をはじめ世界各地にあるが、日本の消費量は桁(けた)はずれに多く、近年は生殖巣重量にして1年に2000トン以上を世界十数か国から輸入している。
この突起がそのまま成体のトゲになるわけでなく、胃の左側の一部で、原腸由来の水腔を、表皮の陥入してきた羊膜陥が包みウニ原基がつくられ、原基は幼生の中で寄生するように成長し突き破って稚ウニとなる<ref>[http://marine.bio.ocha.ac.jp/kaiyou/okurimono_uni15wf/pocket_uni_2015manu.pdf#page=5 ウニの幼生飼育マニュアル 2015 年度版] - お茶の水女子大学湾岸生物教育研究センター編</ref><ref>[http://www.mls.sci.hiroshima-u.ac.jp/smg/seaurchin/seaurchin3.html バフンウニの後期発生] - 広島大学大学院理学研究科分子遺伝学研究室</ref>。
 
  
== 生態 ==
+
 食用以外の利用としては、実験的取扱いが容易なため、発生学の研究材料として世界各地の大学や研究機関で広く用いられている。そのほか、さらした殻やパイプウニの棘は装飾品とされる。
すべて海産で、動きの遅い底性動物である。棘を動かし、また管足を使ってゆっくりと移動するが、普段は岩に張り付いている場合が多い。岩のくぼみなどに入り込んでいるものも多い。砂底に適応したものでは、カシパン類のように砂に浅く潜って暮らすものやブンブクチャガマのように砂に穴を掘って暮らす例もある。ガンガゼは、[[熱帯]]地方では砂底の海底で群れをなして生活する。
 
  
[[海藻]]を食うものや[[デトリタス]]を食べるものが多い。ウニの過剰な増加は海藻群落([[藻場]])の食害による消失を引き起こすことから藻場の回復やウニの実入りの改善のためにウニ類の除去が行われる場合もある<ref name="www.the-miyanichi.co.jp">{{Cite news|url=http://www.the-miyanichi.co.jp/kennai/_7028.html|title=水産資源確保へ藻場再生 宮崎県内、食害起こすウニ除去|newspaper =[[宮崎日日新聞]]|date=2014-07-21|accessdate=2014-07-22}}</ref>。北洋では、ウニが多産する海岸では[[コンブ]]が生育出来なくなるという。岩に附着するコンブの苗を喰ってしまうからである。なかには[[雌雄同体]]のものもいる。
 
  
近年の調査研究結果により、寿命は(種と環境によるが)200歳に至ることもあることが判り、生殖能力も100歳を超えても、10歳のウニと変わらないことが判ってきた<ref>イギリス[[BBC]]テレビ 2003年11月25日報道</ref>。
+
==料理==
 
+
ウニの生殖巣をきれいに引き出したものを生うにといい、独特の芳香がある。生うにを塩湯で煮てから加熱し、乾燥したものを焼うにといい、高級品として扱われている。うにの産地は東海、東北、北陸、西南海など広い地区にわたっているが、旧国名に「前」のついた地方、越前(えちぜん)(福井県)、羽前(山形県)、陸前(宮城県、岩手県)、豊前(ぶぜん)(福岡県、大分県)などのうにの味は格別に優れている。また東北地方でうにの多くとれる地方では、トコブシ、アワビなどの殻に生うにを詰めて蒸し焼きにしたものがある。福島県小名浜(おなはま)地方では、ハマグリやホッキガイの殻に詰めて焼いたものをつくっている。うにの塩蔵加工には、泥(どろ)うに、水うに、練りうにの3種類がある。泥うには、生うにを海水でよく洗い、水分を少し除き、2~3割の塩を加えたもの、水うには、水分の一部を除き、塩を多く加えたもの、練りうには、泥うにの水分を少なくして調味料などを加え精製したものである。越前の練りうには味がいい。これは、江戸時代に徳川将軍家に献上用にする優秀な練りうにをつくりだすために、加工法を多年にわたり研究した成果である。うにをほかの食品に加えてつくりあげるうに加工品は、うにかまぼこ、うに煎餅(せんべい)などいろいろある。
== 系統 ==
 
棘皮動物各群の関係についてはよくわからない点が多い。その中でウニ綱は[[ナマコ綱]]に近いものと考えられている。腕が完全に欠けていること、歩帯が口から肛門にわたって伸びることなどが共通点としてあげられる。
 
 
 
== 分類 ==
 
=== Euechinoidea亜綱 ===
 
{{Sname||Euechinoidea}}亜綱
 
* 無ランタン上目 {{Sname||Atelostomata}}
 
** [[マンジュウウニ目]] {{Sname||Cassiduloida}}
 
*** マンジュウウニ亜目 Cassidulina - [[マンジュウウニ]]
 
*** ネオマンジュウウニ亜目 Neolampadina - [[ネオマンジュウウニ]]
 
** [[ブンブク目]] {{Sname||Spatangoida}}
 
*** ブンブク亜目 Spatangina - [[ブンブクチャガマ]]、[[ヒラタブンブク]]、[[ホンブンブク]]、[[オオブンブク]]、[[オカメブンブク]]
 
*** ブンブクモドキ亜目 Urechinina - [[ブンブクモドキ]]、[[トックリブンブク]]
 
 
 
[[ファイル:Uni3.jpg|thumb|ガンガゼ]]
 
* ガンガゼ上目 {{Sname||Diadematacea}}
 
** [[ガンガゼ目]] Diadematoida
 
*** クモガゼ亜目 Aspidodiademina - [[クモガゼ]]
 
*** ガンガゼ亜目 Diademina - [[ガンガゼ]]、[[トックリガンガゼモドキ]]
 
*** オトメガゼ亜目 Pedinina - [[オトメガゼ]]
 
** [[フクロウニ目]] {{Sname||Echinothurioida}} - [[イイジマフクロウニ]]
 
** Pedinoida
 
[[ファイル:Uni2.jpg|thumb|イイジマフクロウニ]]
 
 
 
* ホンウニ上目 {{Sname||Echinacea}}
 
** アスナロウニ目 {{Sname||Arbacioida}}
 
*** アスナロウニ亜目 Arbaciina - [[ベンテンウニ]]、[[アスナロウニ]]
 
*** オトヒメウニ亜目 Saleniina - [[オトヒメウニ]]、[[ウラシマウニ]]
 
*** ホンウニモドキ亜目 Phymosomina - [[ツガルウニ]]、[[クロウニ]]
 
** [[ホンウニ目]] {{Sname||Echinoida}}
 
*** サンショウウニ亜目 Temnopleurina - [[サンショウウニ]]、[[コシダカウニ]]、[[ラッパウニ]]、[[シラヒゲウニ]]
 
*** ホンウニ亜目 Echinina - [[ヨーロッパホンウニ]]、[[エゾバフンウニ]]、[[バフンウニ]]、[[アカウニ]]、[[キタムラサキウニ]]、[[ムラサキウニ]]、[[ナガウニ]]、[[パイプウニ]]
 
** Phymosomatoida
 
** Salenioida
 
** サンショウウニ目 {{Sname||Temnopleuroida}}
 
 
 
[[ファイル:タコノマクラ目の遺骸.JPG|thumb|180px|タコノマクラ目の遺骸]]
 
* 有ランタン上目 {{Sname||Gnathostomata}}
 
** [[タコノマクラ目]] {{Sname||Clypeasteroida}}
 
*** タコノマクラ亜目 Clypeasterina - [[タコノマクラ]]
 
*** カシパン亜目 Laganina - [[ニホンマメウニ]]、[[フジヤマカシパン]]、[[スカシカシパン]]
 
** [[タマゴウニ目]] {{Sname||Holectypoida}}
 
*** タマゴウニ亜目 Echinoneina - [[タマゴウニ]]
 
 
 
=== Perischoechinoidea亜綱 ===
 
{{Sname||Perischoechinoidea}}亜綱
 
* [[オウサマウニ目]] {{Sname||Cidaroida}} - [[オウサマウニ]]、[[トゲザオウニ]]、[[マツカサウニ]]、[[ドングリウニ]]、[[ダイオウウニ]]
 
 
 
== 利用 ==
 
{{栄養価 | name=うに(生うに)<ref name=mext7>[[文部科学省]] 「[http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm 日本食品標準成分表2015年版(七訂)]」</ref>| kJ =502| water=73.8 g| protein=16.0 g| fat=4.8 g| satfat=0.63 g| monofat = 0.77 g| polyfat =1.02 g| opt1n=[[コレステロール]] | opt1v=290 mg| carbs=3.3 g| sodium_mg=220| potassium_mg=340| calcium_mg=12| magnesium_mg=27| phosphorus_mg=390| iron_mg=0.9| zinc_mg=2.0| copper_mg=0.05| Manganese_mg=0.05| betacarotene_ug=650| vitA_ug =58| vitE_mg =3.6| vitK_ug=27| thiamin_mg=0.10| riboflavin_mg=0.44| niacin_mg=1.1| vitB6_mg=0.15| vitB12_ug=1.3| folate_ug=360| pantothenic_mg=0.72| vitC_mg=3| note =ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した<ref>[[厚生労働省]] 「[http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114399.pdf 日本人の食事摂取基準(2015年版)]」</ref>。試料: むらさきうに、ばふんうに
 
生殖巣のみ(うに全体の場合、廃棄率: 95%、廃棄部位: 殻等) | right=1 }}
 
 
 
生殖腺([[精巣]]・[[卵巣]])を食用にする。主に食用とされるのはホンウニ亜目の[[バフンウニ]]、[[エゾバフンウニ]]、[[キタムラサキウニ]]、[[アカウニ]]、[[ムラサキウニ]]などで、[[沖縄県|沖縄]]ではサンショウウニ亜目の[[シラヒゲウニ]]が標準的である。生殖腺を取り出したものや、塩蔵などの加工品は漢字で'''雲丹'''と表記される。
 
 
 
=== 食用 ===
 
{{出典の明記|date=2016年8月27日 (土) 04:13 (UTC)|section=1}}
 
[[ファイル:Uniryori.jpg|thumb|200px|ウニの刺身]]
 
古来から日本では、ウニを保存用として塩を用いて加工されたものが、[[日本の珍味一覧|日本の三大珍味]]に数えられている。これは生食のウニではなく、あくまで「'''塩雲丹'''」と呼ばれる加工されたウニである。とくに知られていたのは「越前の雲丹」であり、「[[越前国]](現在の[[福井県]])で生産加工された塩雲丹」のことである<ref>[http://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1601/01.html 農林水産省/消費者相談/日本三大珍味について]</ref>。
 
 
 
現在の[[日本]]では、[[刺身]]や[[寿司]]ネタ、[[ウニ丼]]など、生食することが多い。このため、鮮度が重要視され、生きているものの殻を割ってその場で食べると特に美味であるが、この場合、消化器官やその中にあることの多い海藻類はあまり食べない。専用のウニ割り器を使うと容易に開くことができるが、包丁でも簡単に割ることができる。市販されるものは、死んでから時間が経っているため、生臭さがあったり、保存や型くずれ防止のために[[ミョウバン]]や[[アルコール]]が添加された結果、食味、風味が劣ることも多い。一方で殻ウニは割ってみるまで品質の善し悪しがわからないため、寿司屋を始めとする飲食店では品質の一定しているミョウバン処理された箱ウニを使う場合がほとんどである。近年は食味の劣化を防ぐために塩水でパックされたウニも出まわっている。旬は春から秋にかけて、特に初夏は最も品質がよく、それ以外のシーズンは冷凍品が出回る。
 
 
 
一般に生うにとして板に載せ販売されているものは、精巣・卵巣が混ざったものである。卵巣は切るとトロッと流れるようになる特徴がある。精巣は白く半透明の精子が絡み付いていることがある。精巣の方が味が濃く美味とされており、精巣のみを集めたものは高価で、高級寿司店などに卸されている。
 
 
 
生物学者によれば、生殖巣(雲丹)のツブツブとした構造は卵ではなく生殖小のうとよばれ、精細胞か卵細胞と栄養細胞を保持している。毎年生殖小のうでは栄養細胞が先に成長し繁殖期に生殖細胞(精細胞・卵細胞)が作られ放出して縮小しまた栄養細胞の成長に戻るサイクルを、数年繰り返している。このうち食味に関しては栄養細胞が重要で、成長し(実入りが良く)生殖細胞がまだ現れていない時期、オスメスの違いがまだない時期が最も美味である。これが食品としてオスメスの区別をしない理由である。またこの時期は取り出しても形を保っているが、このあと生殖細胞がつくられるにつれて生殖巣が溶け出すようになる。またアカウニ、バフンウニのメスの卵巣は苦味が出て味が落ちてくる。一方オスは味が変わらないのだが、外見では選別できないためメスにあわせて漁期が決まることになる<ref>「ウニ学」 ISBN 4486018109</ref>。
 
 
 
日本全国の沿岸や[[渤海湾]]などで漁の対象となっており、浅い海の砂地や岩場に生息しているものが身が充実し美味とされる。水深数百メートルの深海からも[[タコ]]などの漁に際して一緒に捕れることも時折見られるが、深海はウニにとっては栄養豊富な餌が少ない環境であるため、食用となる部分も少なく、商品価値が低い。また、主な産地としては[[北海道]]の[[積丹半島|積丹]]、[[利尻島]]、[[礼文島]]が特に有名である。
 
 
 
生うにとして食べるほかには、殻に載せて炭火などで焼いた(あるいはガスバーナーで表面に焦げ目を付けた)焼きうに、[[いちご煮]]、[[パスタ]]ソースなどに利用される。[[広島市]]周辺には[[バター]]で炒めた[[ホウレンソウ]]に生うにを載せ、熱でとろける食感を味わう[[ウニホーレン]]という料理があるとテレビで紹介されたが、実際に広島で提供している店は少数である。また、[[北海道]]や[[東北地方]]では、生ウニを1-2合くらいの瓶に詰めたものが[[スーパーマーケット]]などで売られており、牛乳瓶に詰められたものも多い。
 
 
 
[[大韓民国|韓国]]や[[中華人民共和国|中国]]でも渤海湾周辺を中心に食用とされる。特に[[海人|海女]]漁が盛んな韓国の[[済州島]]では、ウニと[[ワカメ]]の[[スープ]]「ソンゲミヨククッ({{lang|ko|성게미역국}})」が[[郷土料理]]となっており、中国[[遼寧省]]の[[大連市]]や[[広東省]]の[[汕頭市]]、[[汕尾市]]では生食のほか、鶏卵を加えた蒸し物などの料理も高級料理として出される。[[台湾]]でも炒め物にされることがある。[[ニュージーランド]]では {{snamei||Evechinus chloroticus}}(New Zealand sea urchin)がキナ(kina)と呼ばれ、生食や[[パイ]]などの形で食用にされている。欧米では[[ローマ帝国]]以来の伝統の食材であり、それを受け継ぐ[[フランス]]の食通にもウニは珍重され、[[オムレツ]]などに入れられて食卓に並ぶ<ref>21世紀研究会編『食の世界地図』文藝春秋・P272</ref>。[[ギリシャ]]ほか[[地中海]]沿岸国の一部地域や[[チリ]]でも食用とされている。
 
 
 
=== アルコールウニの瓶詰 ===
 
アルコール漬けウニの瓶詰は[[下関市|下関]]の[[六連島]]が発祥とされている。[[山口県]]は、塩ウニを含めた瓶詰めウニの生産量が日本全国の約4割を占める<ref>[http://www.buchiuma-y.net/nousuitiku/suisan/08_uni.html ウニ(8月の旬)- まるごと!やまぐち.net~やまぐちの農水産物~]</ref>。
 
 
 
==== 誕生 ====
 
明治4年、[[六連島灯台]]が建てられ、多くの外航船が寄港するようになった。特に六連島は捕鯨船の停泊地であったことから多くの外国人がいたそうである。島の寺院、西教寺の住職蓬山和尚が宴会の席で、同席していた外国人水先案内人にお酒(ジン)を注ごうとしたところ、誤って酒肴として出されていた塩ウニ(生ウニとも言われている)にこぼしてしまった。あわてて取り替えようとしたが、外国人水先案内人はそのまま口にし、とても喜んで食べた。それを見た蓬山和尚もひと口食べたところ、お酒が加わった事でウニの香りと口当たりがとても良く、美味しくなっている事に驚き、これを改良して今の瓶詰の原型となるものが誕生した。
 
 
 
当初は木樽や陶器に入れられていたが、衛生面の問題や外見を考慮し、のちにガラス瓶に詰められるようになった。また、加工方法も「焼酎漬け」であったため、当初焼酎を用いて作られていたが、中には時間が経つにつれて焼酎に含まれる酵母の発酵が進み、瓶が割れるなどの問題も発生していた。和尚より製造方法を受け継いだとされる城戸久七はこれをさらに改良し、高純度のエチルアルコールを用いることで今のような安定した瓶詰めが生産できるに至った。
 
 
 
==== 伝承 ====
 
城戸久七は独自の製造方法からウニの瓶詰の元祖となり、「雲丹久」という商号で有名になった。当時16歳であった上田甚五郎は城戸久七に弟子入りし、アルコールウニの瓶詰め製造方法を学ぶこととなる。甚五郎31歳の時、高齢となった城戸久七は永年の研究で培ってきた製造方法を後世に残すべく、甚五郎にその全てを伝授した。甚五郎はこの後も研究を重ね、今の「うに甚」となった。<ref>http://unijin.com/concept</ref>
 
 
 
==== ウニ料理 ====
 
<gallery>
 
File:Grilled Sea Urchin Japanese YakiUni.jp.jpg|キタムラサキウニの網焼き
 
ファイル:Sushi uni.jpg|ウニのにぎり寿司
 
ファイル:Uni gunkan-maki.jpg|ウニの軍艦巻き
 
ファイル:Uni-ikura-don7030188ウニイクラ丼.jpg|[[ムラサキウニ]]のウニイクラ丼
 
ファイル:Uni don in shakotan.jpg|北海道積丹のウニ丼
 
ファイル:アルコールうにの瓶詰(六連島).jpg|サムネイル|アルコールうにの瓶詰め(六連島産)
 
</gallery>
 
{{Commonscat|Sea urchin dishes|ウニ料理}}
 
 
 
=== ウニ漁と養殖 ===
 
日本では、漁師が小舟に乗り、[[覗き眼鏡]]で海底を視認すると同時に[[櫂]]を操り(現在は操船のしやすい小型の船外機もある)、ウニを探す。ウニを見付けると玉網(タモ)と呼ばれる柄付きの網、あるいはウニ漁用の鈎で捕獲するが、水深に合わせ柄を接ぎ足さねばならない。単純にして非常に熟練を要する漁法である。国内生産量のうち約半分を占める北海道では、こうした漁が日本海側では5月〜8月、オホーツク海方面では[[羅臼]]が2月〜5月、[[雄武町|雄武]]では4月〜6月、[[枝幸町|枝幸]]では5月〜7月、[[襟裳]]では1月〜3月に行われる。[[礼文島]]のウニ類の水揚げ量は北海道全体の約20%近くを占めており、礼文島の水揚げが市場価格を大きく左右する。北海道では、漁は生殖巣の身の発育状況に合わせて行うとともに、[[産卵]]の保護のために「[[北海道海面漁業調整規則]]」により禁漁期間を定め資源管理を行われる。また、近年では[[水産試験場]]や水産指導所の地道な調査によりウニの年齢をはじめ稚ウニ、[[海藻]]などの実態が把握されている他、漁師の記した操業日誌などにより漁業実態も掌握されるようになった。こうしたデータより資源管理手法ができ上がりつつある。一方、[[納沙布岬]]近海では放流していたウニが大量に[[ラッコ]]に食べられ、深刻かつ壊滅的な被害を受ける例も報告されている<ref>[http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20100311hog00m040003000c.html 納沙布岬:ラッコに食べられウニ壊滅] - 毎日jp(毎日新聞)</ref>。
 
 
 
ウニは漁獲しやすいため、資源の減少率が大きく、1漁期に70〜90%にも達することがある。このため、上記の禁漁期間の設定のほか、漁獲サイズの規制、漁場や漁獲量の規制・管理、また[[密漁]]対策の他、人工的な種苗生産と放流、移殖、ならびに漁場造成、汚染防止、害敵駆除といった総合的な対策がとられている。ウニの養殖は、親ウニから[[精子]]と[[卵子]]を[[ピンセット]]で取り出し、二つを[[受精]]させる。精子が多すぎても少なすぎても成功しない難しい作業である。精子が多すぎると異常卵が増え、少なすぎると受精率が低下する。受精した卵子は約20時間をかけ[[浮遊幼生]]となり、48時間後(2日後)に飼育槽に移される。最終的に海に放流されるまで極めて厳重に、近代的な環境のもとで24時間管理される。また[[野菜]]を与えるウニの養殖方法なども考案されている。日本のほか、最近では[[中華人民共和国|中国]]でも[[渤海湾]]周辺の[[遼寧省]]、[[山東省]]と南シナ海の[[広東省]]でウニの養殖に力を入れており、2010年の養殖出荷量は6,169トンであった<ref name="nianjian">農業部漁業局編、『2011 中国漁業年鑒』p186、2011年、北京・中国農業出版社、ISBN 978-7-109-16084-2</ref>。[[大韓民国|韓国]]東部では、えさとなる海草の資源量を考慮せずに、大量に放流した結果、[[環境破壊]]をもたらした例がある。
 
 
 
=== 観察・実験 ===
 
[[発生学]]の勃興期に於いて、ウニは[[新口動物]]であることが重宝され、頻繁に実験材料として用いられた。現在でも、入手が簡単で、[[人工授精]]が容易であることと、受精卵が透明で観察しやすいなど実験・観察する上での利点が多いため、[[胚発生|発生]]過程の観察材料によく使われている。
 
 
 
==== 実験方法 ====
 
# 囲口部にハサミをいれ、[[咀嚼器]]を取り去る。
 
# [[三角フラスコ]]に海水をいっぱいに張り、空けた部分を上にしてウニを置く。
 
# 空けた部分に1/2M [[塩化カリウム|KCl]]を入れる。雄ならば5個の生殖孔から、海水に白色の[[精子]]が流れ、雌ならば黄色の[[卵子]]が流れる。(雌雄をウニの外観から判断するのは難しいがバフンウニは判断しやすい。口器の廻りの管足が橙色なら雌、白色なら雄)
 
# 精子液を卵子液に加えてやれば受精するが、[[受精]]の様子を見たければ、卵子を[[スポイト]]で[[スライドガラス]]にのせ、そこに希釈した精子液をたらしてやればよい。
 
 
 
<!--== 寿命 ==
 
種によってかなり開きがあり、バフンウニは約7〜8年、キタムラサキウニは約14〜15年。北米太平洋岸に生息しているアメリカオオムラサキウニは環境次第で200年以上とかなり長命な種も存在する。【出典の明記】-->
 
 
 
== 文化 ==
 
=== 語源 ===
 
「海胆」は海の腸という意味であり、これを訓読した「うみい」が「うに」の語源であるとされる<ref name="atejinoomoshirozatsugaku_p49-50">フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.49-50 1988年 永岡書店</ref>。また、「海栗」は[[クリ属|栗]]のいがによく似ていることに由来する<ref name="atejinoomoshirozatsugaku_p50">フリーランス雑学ライダーズ編『あて字のおもしろ雑学』 p.50 1988年 永岡書店</ref>。
 
  
 
== 参考文献 ==
 
== 参考文献 ==
 
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== 外部リンク ==
 
== 外部リンク ==
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* [http://www.fishexp.hro.or.jp/shikenima/351to400/383/383.htm エゾバフンウニの漁期と採補禁止期間 函館水試・主任水産業専門技術員・資源増殖部 ウニの繁殖を保護するために]
 
* [http://www.fishexp.hro.or.jp/shidousyo/fishery/gyogyou/uni/uni.htm 北海道の漁業図鑑/うに漁業(北海道水産業改良普及職員協議会)]
 
* [http://www.nhk.or.jp/rika/micro/?das_id=D0005100069_00000 大変身ウニの秘密] -  NHK for School デジタル教材サイトの動画資料。
 
  
 
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2018/8/13/ (月) 20:08時点における版


ウニ海胆海栗: Sea urchin

棘皮(きょくひ)動物門ウニ綱の海産動物の総称。半球形の硬い殻の上に針のような棘(とげ)がたくさん生え、全体が「いがぐり」のような外観をした動物。世界の海から約870種、日本近海からは180余種が知られている。

形態

体に前後の方向性はなく、上下の区別があり、器官の配列などは5方向に相称で、口と肛門(こうもん)はおのおの体の下側と上側の中心に位置し、内臓は殻の中に包み込まれている。殻は貝の殻とは違って、小さな殻板が多数集まってできたもので、その上を薄い表皮が覆っている。殻の表面には多数の丸いいぼがあり、その一つ一つは棘の基部と凹凸の関節構造をとってつながっている。棘は基部についた筋肉の働きで自由に動くようになっている。殻の表面には棘のほかに長さ1ミリメートルにも満たない叉棘(さきょく)という三つ叉(また)ピンセット状のものが多数ある。殻の表面からは、糸のように細長く、伸縮自在で先端に吸盤のついた管足がたくさん伸び出ている。

 殻の内側には、骨と筋肉が複雑に組み合ってできた「アリストテレスの提灯(ちょうちん)」とよばれる大きなそしゃく器がある。その下部先端の5本の歯の部分だけは口から外に露出している。内臓器官系としては、消化、水管、血洞、神経、生殖系があるが、心臓や肝臓はない。もっともよく発達しているのは水管系で、薄膜からなる袋と管が殻の内側に沿って5対走り、さらに食道の周りを環状に取り囲んでいる。生殖巣は5対あり、繁殖期が近づくと殻を埋めるほどに大きくなる。生殖孔(こう)は殻の頂上部に5個ある。雌雄は異体であるが、外形からはほとんど区別できない。

 ウニ類は分類学的に九つのグループに分けられるが、いがぐり形のものはそのうちの3~4グループで、そのほかのものは、一見ウニとは思えないような変わった形をしている。フクロウニ類は平たくてぶよぶよした革袋のような体をしていて、全体をいくらか膨らませたり縮めたりする。カシパン類、タコノマクラ類などとよばれるグループは殻が円盤状となり、表面は長さ1ミリメートルぐらいの短い棘で一面に覆われている。また、殻の上には5弁の花びら模様が刻まれている。ブンブクチャガマ類は殻がいびつに膨らんでいて、表面は体毛のように密に生えた湾曲した棘で覆われている。また、体にはっきりとした前後の方向性があり、口は下面前方に、肛門は後端にある。これらのほかにタマゴウニ類、マンジュウウニ類という変わった形のグループもある。

生態

いがぐり形のウニの多くは岩礁地に生息し、種類によって岩の上、転石の下、岩のくぼみの中や岩棚の下など、少しずつ好む場所が違っている。岩に自ら穴を掘ってすむものもいる。砂泥地に生息するのはカシパン類とブンブクチャガマ類で、前者は砂泥をかぶる程度に浅く潜り、後者は砂泥中に深く、種類によっては20センチメートル以上も潜っている。

 岩礁地にすむ種類は体の移動に管足と棘を用いる。まず最初に数本の管足を伸ばし出してその先の吸盤を岩に張り付け、次々と多数の管足を同じ方向に伸ばして張り付けたのち、それらを収縮させて体全体を引っ張り、棘の助けを借りながらゆっくりとはうように進む。吸盤の吸着力と管足の力は強いので、どんなに急な斜面でもはい上ることができる。餌(えさ)をとるときには、管足で吸い付け、棘で押さえ、叉棘で挟んで運搬や保持を行う。餌は海藻、または生物体の破片や腐食物で、体の下側に運び、歯でゆっくりとかじりながら食べる。外敵を退けたり、体表の異物を除去するときには棘と叉棘を使う。

 繁殖期になると雌雄はおのおの放卵、放精を行い、海中で受精がおこる。受精卵から生じる幼生は独特な形をしていてエキノプルテウスとよばれる。エキノプルテウス幼生は数週間海中を漂ったのち、変態して底生生活に入る。寿命は5~6年のものが多い。

危害

触れると危険な種類もいくつかある。ガンガゼの棘は長くて細く、活発に動き、表面には微小な逆棘がいっぱい生えているので、皮膚に深く刺さって折れやすく抜けにくい。ガンガゼモドキは逆棘の生えた棘のほかに、細くて長い髪の毛のような毒棘をたくさんもっている。イイジマフクロウニの棘は先がとがって刺さりやすく、毒袋に包まれている。ラッパウニは体表一面に毒袋のついたラッパ形の叉棘をもっている。シラヒゲウニも毒袋のついた叉棘をいっぱいもっている。これらの棘や叉棘に刺されると発赤したり、周囲が紫色にはれあがって疼痛(とうつう)を感じる。ラッパウニとシラヒゲウニの場合、掌(てのひら)など皮膚の厚い部分は刺されない。被害者の体質や刺された本数しだいでは悪寒、心悸亢進(しんきこうしん)、顔面のしびれなどの全身的症状がおこることもまれにある。


利用

生殖巣は生のまま、すし種(だね)や生(なま)うにとして、あるいは塩とアルコールを加えて加工した雲丹(うに)として食用に供される。食用として採捕される種類は地方によって決まっていて、北海道と東北地方北東部ではエゾバフンウニとキタムラサキウニ、奄美(あまみ)、沖縄地方ではシラヒゲウニ、そのほかの本州、四国、九州の大部分の地域ではバフンウニ、ムラサキウニ、アカウニである。

 それ以外の種類もほとんど食用となるが、生息量が少ないので漁業対象とされない。ナガウニは奄美、沖縄地方ではもっとも普通にみられる種類であるが、臭気があり食用とならない。ウニを食べる習慣は地中海沿岸諸国をはじめ世界各地にあるが、日本の消費量は桁(けた)はずれに多く、近年は生殖巣重量にして1年に2000トン以上を世界十数か国から輸入している。

 食用以外の利用としては、実験的取扱いが容易なため、発生学の研究材料として世界各地の大学や研究機関で広く用いられている。そのほか、さらした殻やパイプウニの棘は装飾品とされる。


料理

ウニの生殖巣をきれいに引き出したものを生うにといい、独特の芳香がある。生うにを塩湯で煮てから加熱し、乾燥したものを焼うにといい、高級品として扱われている。うにの産地は東海、東北、北陸、西南海など広い地区にわたっているが、旧国名に「前」のついた地方、越前(えちぜん)(福井県)、羽前(山形県)、陸前(宮城県、岩手県)、豊前(ぶぜん)(福岡県、大分県)などのうにの味は格別に優れている。また東北地方でうにの多くとれる地方では、トコブシ、アワビなどの殻に生うにを詰めて蒸し焼きにしたものがある。福島県小名浜(おなはま)地方では、ハマグリやホッキガイの殻に詰めて焼いたものをつくっている。うにの塩蔵加工には、泥(どろ)うに、水うに、練りうにの3種類がある。泥うには、生うにを海水でよく洗い、水分を少し除き、2~3割の塩を加えたもの、水うには、水分の一部を除き、塩を多く加えたもの、練りうには、泥うにの水分を少なくして調味料などを加え精製したものである。越前の練りうには味がいい。これは、江戸時代に徳川将軍家に献上用にする優秀な練りうにをつくりだすために、加工法を多年にわたり研究した成果である。うにをほかの食品に加えてつくりあげるうに加工品は、うにかまぼこ、うに煎餅(せんべい)などいろいろある。

参考文献

外部リンク