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← アンリ・ド・トゥールーズ＝ロートレック

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{{Infobox 芸術家 | bgcolour = #FF2A00 | name = アンリ・ド・トゥールーズ＝ロートレック<br />Henri de Toulouse-Lautrec | image = Photolautrec.jpg | imagesize = 220px | caption = | birthdate = [[1864年]][[11月24日]] | location = {{FRA1852}} [[タルヌ県]] [[アルビ]] | deathdate = {{死亡年月日と没年齢|1864|11|24|1901|9|9}} | deathplace = {{FRA1870}} [[ジロンド県]] [[:en:Saint-André-du-Bois|サンタンドレ＝ドゥ＝ボワ]] | nationality = {{FRA}} | field = [[絵画]]、[[版画]] | training = | movement = [[ポスト印象派]]、[[アール・ヌーヴォー]] | works = | patrons = | influenced by = | influenced = | awards = }} '''アンリ・マリー・レイモン・ド・トゥールーズ＝ロートレック＝モンファ'''（Henri Marie Raymond de Toulouse-Lautrec-Monfa<ref>[http://ja.forvo.com/word/henri_de_toulouse-lautrec#fr"FORVO"での発音例]</ref>、[[1864年]][[11月24日]] - [[1901年]][[9月9日]]）は、[[フランス]]の[[画家]]。一般的に姓は「'''トゥールーズ＝ロートレック'''」、または単に「'''ロートレック'''」と呼ばれることが多い。 == 生涯 == [[画像:Henri de Toulouse-Lautrec 050.jpg|170px|left|thumb|[[リトグラフ]]『ナポレオン』]] 南仏の[[アルビ]]で生まれる。トゥールーズ＝ロートレック家は[[伯爵]]家であり、祖先は9世紀の[[カール大帝|シャルルマーニュ]]時代までさかのぼることができる名家であった。両親は[[いとこ]]同士<ref>『アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック』（マティアス・アルノルト（著）真野宏子（訳）、PARCO出版 、1996年）10ページ ISBN 978-4-891-94471-1</ref><ref>『もっと知りたいロートレック―生涯と作品』、杉山菜穂子、[[高橋明也]]、[[東京美術]]、2011年）6ページ ISBN 978-4-808-70933-4</ref>で、父のアルフォンス伯は、奇妙な服装をするなど、変わり者で有名であった。 トゥールーズ＝ロートレックは、幼少期には「小さな宝石（{{lang-fr-short|Petit Bijou}}）」と呼ばれて家中から可愛がられて育った。しかし弟が夭折すると両親が不仲となり、8歳のときには母親と共にパリに住まうようになった。そこで絵を描き始めた。すぐに母親は彼の才能を見出し、父親の友人の画家からレッスンを受けるようになった。しかし13歳の時に左の[[大腿骨]]を、14歳の時に右の[[大腿骨]]をそれぞれ骨折して以降脚の発育が停止し、成人した時の身長は152cmに過ぎなかった。胴体の発育は正常だったが、脚の大きさだけは子供のままの状態であった。現代の医学的見解では彼の症状は、[[近親婚]]に起因する[[骨粗鬆症]]や[[骨形成不全症]]などの[[遺伝子疾患]]であったと考えられている。病気により、アルビに戻ったトゥールーズ＝ロートレックは活動を制限され、父親からは疎まれるようになり、孤独な青春時代を送った。 [[1882年]]に[[パリ]]に出て、当初は[[レオン・ボナ]]の画塾で学んだが、まもなくして画塾が閉鎖されたため、[[モンマルトル]]にあった[[フェルナン・コルモン]]の画塾に移り、以後は晩年まで同地で活動するようになった。なお、コルモンの画塾では[[フィンセント・ファン・ゴッホ|ファン・ゴッホ]]、[[エミール・ベルナール (画家)|エミール・ベルナール]]らと出会っている。 [[画像:In Cormons atelier.jpg|200px|left|thumb|[[1885年]]頃のコルモン画塾。手前左端の帽子を被った人物がトゥールーズ＝ロートレック。その右上のカンヴァスに向かう人物がコルモン。]] 絵画モデルであった、マリー＝クレマンチーヌ・ヴァラドン（後の[[シュザンヌ・ヴァラドン]]）のデッサンの才能を高く評価し、彼女が画家となるきっかけを作った。彼女を'''シュザンヌ'''と呼び始めたのもトゥールーズ＝ロートレックである。 [[画像:Henri de Toulouse-Lautrec 019.jpg|thumb|180px|ポスター『ディヴァン・ジャポネ』、1892年]] 自身が身体障害者として差別を受けていたこともあってか、娼婦、踊り子のような夜の世界の女たちに共感。パリの[[ムーラン・ルージュ]]をはじめとしたダンスホール、酒場などに入り浸り、旺盛な性欲をもとに娼婦たちと頻繁に関係を持つデカダンな生活を送った。そして、彼女らを愛情のこもった筆致で描いた。作品には「ムーラン・ルージュ」などのポスターの名作も多く、ポスターを芸術の域にまで高めた功績でも美術史上に特筆されるべき画家であり、「'''小さき男'''（{{lang-fr-short|Petit Homme}}）」、「'''偉大なる芸術家'''（{{lang-fr-short|Grand Artiste}}）」と形容される。また、脚の不自由だった彼は、しばしば疾走する馬の絵を描いている。彼のポスターや[[リトグラフ]]は[[日本美術]]から強い影響を受けており、自身のイニシャルを漢字のようにアレンジしたサインも用いた。 差別を受けたストレスなどから[[アブサン]]などの強い酒に溺れ、[[アルコール依存症|アルコール依存]]に陥っていた他、奔放な性生活もあって[[梅毒]]も患っており、心身共に衰弱していった。家族によって[[サナトリウム]]に短期間強制入院させられた後、友人らと旅行に出た後の[[1901年]][[8月20日]]、パリを引き払って母親のもとへ行き、同年[[9月9日]]、ジロンド県の{{仮リンク|サンタンドレ＝ドゥ＝ボワ|en|Saint-André-du-Bois}}近郊にある母親の邸宅、{{仮リンク|マルロメ城|en|Château Malromé}}で両親に看取られ[[脳出血]]で死去した。最期の言葉は、障害を持つようになってから自身を蔑み、金品は与えたが描く絵を決して認めなかった父親に対して発した「馬鹿な年寄りめ！（Le vieux con!）」であったとされる<ref>[http://www.channel4.com/programmes/toulouse-lautrec-the-full-story Toulouse-Lautrec the full story]英[[チャンネル4]]</ref>。36歳没。城の近くの[[:en:Verdelais|ヴェルドレ]]に埋葬された[http://www.findagrave.com/cgi-bin/fg.cgi?page=gr&GSln=Toulouse-Lautrec&GSbyrel=in&GSdyrel=in&GSob=n&GRid=6699918&df=all&]。 死後、彼の作品は父親の意向により、母親とパリでの少年時代からの親友で画商のモーリス・ジョワイヤンによって管理されることとなった。彼らによって[[1922年]]、アルビに[[トゥールーズ＝ロートレック美術館]]が設立された。 ジョワイヤンはトゥールーズ＝ロートレックの伝記及び、美食家であり料理人やパーティーの有能なホストだった彼の一面を紹介した『独身モモ氏の料理法』といった本を著した。現在、『独身モモ氏～』のレシピはアルビの多くのレストランで供されている<ref>[http://pro.gnavi.co.jp/magazine/article/column_2/c2695/ フランス発 芸術家のレシピを再現するレストラン]ぐるナビプロ</ref>。 生家のボスク城は親しい間柄だった母方の従兄弟ガブリエル・タピエ・ド・セレイランが相続し、後にその末裔の女性によって博物館として管理されるようになった<ref>[http://www.mmm-ginza.org/special/201112/special01.html ロートレックが愛したボスク城]メゾン・ミュゼ・デュ・モンド</ref>。没したマルロメ城はワインの醸造で知られている。 なお、トゥールーズ＝ロートレックを扱った映画としては1952年のアメリカ映画『[[赤い風車]]』、1999年のフランス映画『[[葡萄酒色の人生]]』などがある。 {{-}} == 代表作 == [[Image:Toulouse-Lautrec monogram.svg|thumb|150px|トゥールーズ＝ロートレックのサイン]] * 『ムーラン・ルージュにて』''"Au Moulin Rouge"''（1892-95）（[[シカゴ美術館]]） * 『写真家セスコー』''"Sescau Photographe"''（1894） == 関連作品 == * 映画『[[赤い風車]]』 (1952年、アメリカ映画）ロートレックを演じた[[ホセ・フェラー]]はアカデミー主演男優賞にノミネートされた。身長180cm近い健常者のフェラーは、膝立ちになって膝に靴を着けることで、ロートレックの短い足の姿を再現した。 * 映画『[[葡萄酒色の人生]]』（1999年、フランス映画） * 映画『[[ムーラン・ルージュ (映画)|ムーラン・ルージュ]]』（2001年、アメリカ・オーストラリア映画） == ギャラリー == === 絵画 === <center><gallery widths="180px" heights="180px"> Image:Henri de Toulouse-Lautrec 056.jpg|『[[フィンセント・ファン・ゴッホ]]』<br />''"Vincent van Gogh"''<br />1887年 Image:Lautrec equestrienne (at the cirque fernando) 1887-8.jpg|『フェルナンド・サーカスにて』<br />{{lang|fr|''"Au cirque Fernando, l'écuyère"''}}<br />1888年 Image:Henri de Toulouse-Lautrec 005.jpg|『[[ムーラン・ルージュ]]の舞踏会』<br />''"Bal au Moulin Rouge"''<br />1890年 Image:Lautrec gabrielle 1891.jpg|『ガブリエルの肖像』<br />''"Gabrielle"''<br />1891年 Image:Toulouse-Lautrec - La Goulue arrivant au Moulin Rouge.jpg|『ムーラン・ルージュに入るラ・グリュ』<br />''"La Goulue arrivant au Moulin Rouge"''<br />1892年 Image:Lautrec at the moulin rouge 1892.jpg|『ムーラン・ルージュにて』<br />''"Au Moulin Rouge"''<br />1892年 Image:Lautrec at the moulin rouge two women waltzing 1892.jpg|『ムーラン・ルージュにて、二人の女性』<br />''"La danse au Moulin Rouge"''<br />1892年 Image:Toulouse-Lautrec - Quadrille NGA.jpg|『ムーラン・ルージュのカドリール』<br />''"Quadrille Moulin Rouge"''<br />1892年 Image:Lautrec jane avril dancing 1892.jpg|『踊るジャンヌ・アヴリル』<br />''"Jane Avril dansant"''<br />1892年 Image:Ces dames - Henri de Toulouse-Lautrec.jpg|『食堂の女性達』<br />''"Ces dames au réfectoire"''<br />1893-94年頃 Image:Toulouse-lautrec yvette guilbert.jpg|『[[イヴェット・ギルベール]]』<br />''"Yvette Guilbert"''<br />1894年 Image:Au Salon de la rue des Moulins - Henri de Toulouse-Lautrec.jpg|『ムーラン通りのサロン』<br />''"Salon [[:fr:Rue des Moulins (Paris)|Rue des Moulins]]"''<br />1894年 Image:Lautrec rue des moulins, the medical inspection 1894.jpg|『ムーラン通りの医療検査』<br />{{lang|fr|"''Inspection médicale rue des Moulins"''}}<br />1894年 </gallery></center> === ポスター === <center><gallery widths="180px" heights="180px"> Image:Lautrec moulin rouge, la goulue (poster) 1891.jpg|ポスター『ムーラン・ルージュのラ・グーリュ』<br />''"Moulin Rouge - La Goulue"''<br />1891年 Image:Henri de Toulouse-Lautrec 002.jpg|ポスター『アンバサドールのアリスティード・ブリュアン』<br />''"Aristide Bruant dans son cabaret"''<br />1892年 Image:Lautrec reine de joie (poster) 1892.jpg|ポスター『喜びの女王』<br />''"Reine de joie"''<br />1892年 Image:Jane Avril by Toulouse-Lautrec.jpeg|『ジャヌ・アヴリル』<br />''"Jane Avril"''<br />1893年 Image:Lautrec the photographer sescau (poster) 1894.jpg|『写真家セスコー』<br />''"Sescau Photographe"''<br />1894年 </gallery></center> === 写真 === <center><gallery widths="180px" heights="180px"> Image:Lautrec foto cca1889.jpg|聾唖（ろうあ）のベルタの肖像（1889年頃、ペール森公園、モンマルトル） Image:Toulouse-Lautrec in his workshop with a nude model (photo by Maurice Guibert).jpg|アトリエのトゥールーズ＝ロートレック（1895年） Image:Guibert 2.jpg|トゥールーズ氏がロートレック氏を描く Image:Guibert 3.jpg|モーリス・ギベール撮影（1892年写真） Image:Guibert 4.jpg|モーリス・ギベール撮影 Image:Guibert 5.jpg|モーリス・ギベール撮影（1887年頃） </gallery></center> 他に海岸で排泄をしている写真などが現存する。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 関連項目 == [[File:Moulin Rouge-Paris287.jpg|thumb|200px|ムーラン・ルージュ（赤い風車）]] *[[ムーラン・ルージュ]] *[[キャバレー]] *[[フレンチカンカン]] *[[フィンセント・ファン・ゴッホ]] *[[エドマンド・デュラック]] *[[ジャポニスム]] *[[世紀末芸術]] *[[マルセル盗難事件]] *[[トゥールーズ＝ロートレック美術館]] == 参考文献 == * 髙津道昭『ロートレックの謎を解く』[[新潮社]]＜新潮選書＞、1994.4、ISBN 4-10-600457-7 == 外部リンク == {{Commons&cat|Henri de Toulouse-Lautrec|Henri de Toulouse-Lautrec}} * [http://jp.rendezvousenfrance.com/discover/39851 フランス観光開発機構　トゥールーズ=ロートレック美術館（アルビ）] * [http://wedge.ismedia.jp/articles/-/663 ロートレックが浮世絵から受けた影響] * [http://www.britishpathe.com/video/toulouse-lautrec-centenary/　ロートレックの育ったアルビの家や生涯を紹介するニュース映像] * [http://www.museetoulouselautrec.net/ アルビのアンリ・ド・トゥルーズ＝ロートレック美術館] * [http://mimt.jp/collection/?c=1&n=6 三菱一号館美術館 モーリス・ジョワイヤン・コレクション] * [http://jp.rendezvousenfrance.com/ja/discover/40275 生家ボスク城] {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:とうるすろとれつく あんり}} [[Category:フランスの画家]] [[Category:19世紀の美術家]] [[Category:アルビ出身の人物]] [[Category:1864年生]] [[Category:1901年没]] [[category:障害を持つ人物]] [[Category:トゥールーズ家|あんり]] [[Category:梅毒に罹患した人物]]

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