「アルゴナウタイ」の版間の差分

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[[ファイル:Argo_Navis_Hevelius.jpg|thumb|right|300px|『[[ヨハネス・ヘヴェリウス|ヘヴェリウス]]星図』 (1690年)よりアルゴ座の星座図—「物言う木」が船首ではなく船尾に描かれている(この図は天球儀の展開図として描かれているため、実際の星空と左右が逆転している)]]
 
[[ファイル:Argo_Navis_Hevelius.jpg|thumb|right|300px|『[[ヨハネス・ヘヴェリウス|ヘヴェリウス]]星図』 (1690年)よりアルゴ座の星座図—「物言う木」が船首ではなく船尾に描かれている(この図は天球儀の展開図として描かれているため、実際の星空と左右が逆転している)]]
'''アルゴナウタイ'''([[古典ギリシア語]]:{{lang|grc|Ἀργοναύται}}, Argonautai)は、[[ギリシア神話]]の長編[[叙事詩]]に登場する[[ヒーロー|英雄]]たちの総称。[[イアーソーン]]に率いられて巨大な[[アルゴー船]]で数々の[[航海]]をする。
+
'''アルゴナウタイ'''([[古典ギリシア語]]:{{lang|grc|Ἀργοναύται}}, Argonautai)
  
アルゴナウタイは複数形で、「アルゴーの船員」を意味する'''アルゴナウテース'''({{lang|grc|Ἀργοναύτης}}, Argonautēs)が単数形である。[[ラテン語]]では、アルゴナウタエ(Argonautae)、英語ではアルゴノーツ(Argonauts)。
+
ギリシア神話で、人類が、最初につくったといわれる巨船アルゴ号に乗り組んだ五〇余人の英雄たち。イアソンとともに、金毛の羊の皮を求めに、コルキスの地におもむく。
  
== 概要 ==
 
時代設定は[[トロイア戦争]]の前。[[テッサリアー]]の[[イオールコス]]の王子イアーソーンは、父から王位を奪った[[ペリアース]]に王位の返還を求めるが、[[コルキス]]([[黒海]]東端の王国。現在の[[グルジア]]西部)にあるという黄金の羊の毛皮([[金羊毛]])を要求される。イアーソーンは女神[[アテーナー]]の助言を受けて、[[プリクソス]]の子で[[船大工]]の[[アルゴス (船大工)|アルゴス]]に50の櫂を持つ巨船を建造させ、船名をアルゴスの名から「アルゴー」(「快速」の意)とした。アテーナーは、[[ドードーナ]]の[[オーク]](日本語訳[[カシ|樫]])からものを言う材木をアルゴーの船首につけた。イアーソーンが船員を募ると、[[古代ギリシア|ギリシア]]中から勇者たちが集まった。こうしてアルゴー船に乗り組んだ勇者をアルゴナウテース、総称としてアルゴナウタイという。
 
  
イオールコスを出航した一行は、[[レームノス島]]をはじめとした数々の冒険を経てコルキスに達した<ref>目的の金羊毛があった場所は現在の[[ポティ]]であるとされる。</ref>。コルキスではイアーソーンと恋に落ちたコルキスの王女[[メーデイア]]が加わり、目的の金羊毛の獲得に成功する。アルゴナウタイは、その後も冒険を重ね、部分的に脱落者も出しながらもイオールコスに帰還した。4ヶ月間の航海だったという。
 
 
== 神話の成立過程と解釈 ==
 
[[ファイル:Sochi edited.jpg|thumb|right|240px|コルキス(現[[グルジア]])近辺の[[黒海]]]]
 
=== 歴史的事実との関連 ===
 
アルゴナウタイの航海について、[[イギリス]]の[[詩人]]・神話研究家[[ロバート・グレーヴス]]は、その著書『ギリシア神話』で以下の3つの物語や歴史的事実が集成、混合されたものだとする。
 
 
* 他国の王子が王女との結婚によって王位継承者となるため、王から課せられた試練を乗り越える神話。イオールコスおよび[[コリントス]]で広まった。
 
* イオールコスから出発した[[オルコメノス]]人たちによる海上遠征。その遠征先は、東方ではなく[[アドリア海]]の奥であり、[[ポー川]]の下流[[マントヴァ]]からほど近いコリカリアの地名が後にコルキスと混同された。コリカリアは当時[[コハク|琥珀]]交易の中継地だった。おそらくは[[プリクソス]]の息子[[キュティッソーロス]]が遠征隊を率いたものと思われる。彼は、プリクソスの脱出が引き起こした旱魃と疫病を食い止め、イアーソーン(癒す者)の名で呼ばれた。[[ホメーロス]]の『[[オデュッセイア]]』(紀元前8世紀ごろ成立)第12書で[[キルケー]]がアルゴナウタイについて物語る部分では、「浮き岩」(後のシュムプレーガデスの岩につながる)が[[セイレーン]]の島や[[スキュラ]]、[[カリュブディス]]と同じく[[シシリア島]]近辺にあり、東方経路については触れていない。また、[[ヘーロドトス]]や[[ピンダロス]](紀元前6世紀 - 紀元前5世紀)のころでもアルゴナウタイの航海経路はさまざまで定説はなかった。
 
[[ファイル:Krater Niobid Painter A Louvre G341.jpg|thumb|right|240px|ヘーラクレースとアルゴナウタイの集結を描いた壺絵(紀元前460年 - 450年ごろ) [[ルーヴル美術館]]]]
 
* 上記とは別のミニュアース人による[[黒海]]南岸での初期の[[海賊]]行為。コルキスを流れるパーシス河(現在の[[リオニ川]])では、河床に羊の皮を置いて[[砂金]]を採集していた。この遠征は、当時ヘレースポントスを押さえ黒海の交易を独占していたトロイア(第6市)への挑戦の意味があり、[[ヘーラクレース]]が指揮を執ったとも考えられる([[イリオス#ヘラクレスによるイリオス攻め|ヘラクレスによるイリオス攻め]]を参照)。ギリシアのどの都市も、黒海における自国の交易権を主張するために、代表者としてのアルゴナウテースを必要としたのであり、[[吟遊詩人]]たちは、集成された[[バラッド]]に一、二名の新しい名前を喜んで付け加えた。こうして幾通りものアルゴナウタイの名簿が残ることになった。以上の航海は、[[トロイア戦争]]以前の紀元前13世紀ごろに起こったものであるとしている。
 
 
=== 彼岸世界との往来 ===
 
一方、[[ハンガリー]]の神話学者[[カール・ケレーニイ]]は、その著書『ギリシアの神話』(英雄の時代)で以下のように指摘している。アイエーテースは太陽神[[ヘーリオス]]の子だが、元来ヘーリオスの対立者でもあって、[[冥界]]の[[ハーデース]]的存在であった。さらに、アイエーテースの町はアイアと呼ばれ、王の名はここから得られている。アイアはコルキスと同一視されるが、本来は「[[エーオース]](暁の女神)の国」という意味であり、不滅の神のための地であった。[[ピーネウス]]の宮殿もまた、元来は暗黒の国、冥界が始まる場所であった。このように、イアーソーンとアルゴナウタイの探索は、人間界の彼岸から金羊毛を持ち帰る仕事であったとしている。
 
 
=== 黄道星座の構成要素 ===
 
グレーヴスによれば、アルゴナウタイの航海と[[黄道十二星座]]の関連を指摘したのは[[アイザック・ニュートン]]である。物語が[[エジプト]]、とりわけ[[アレクサンドリア]]の十二星座の影響を受けた可能性があるとする。
 
 
[[星座]]と物語が対応する要素として挙げられるのは、[[おひつじ座]]→[[プリクソス]]の金毛の牡羊、[[おうし座]]→青銅の足を持つ[[アイエーテース]]の牡牛、[[ふたご座]]→[[ディオスクーロイ]]([[カストール]]と[[ポリュデウケース]])、[[しし座]]→ドリオニアの王キュージコスが殺したという[[レアー]]のライオン、[[おとめ座]]→[[メーデイア]]、[[てんびん座]]→[[ケルキューラ]]島でのアルキノオスの裁定、[[いて座]]→[[ヘーラクレース]]、[[やぎ座]]→[[レームノス島]]での求愛の象徴、[[みずがめ座]]→[[アイギーナ島]]での水汲み競争、である。さらに、隠れた要素として、[[さそり座]]→蛇、[[かに座]]→再生の象徴としての[[スカラベ|黄金虫]]があるとする。隠れた要素とは、航海には直接現れないが、アルゴナウタイの帰還後、[[メーデイア]]が[[アテーナイ]]を追放され、[[イタリア]]でマルビウム人たちに「蛇遣いの術」を教えたという伝承、もうひとつはメーデイアが[[ペリアース]]を謀殺したときのように、大釜を用いて再生(若返り)の魔法を使ったことを指すものと考えられる<ref>十二星座のうち唯一[[うお座]]については言及がない。<!--あるいは、[[セイレーン]]の島での[[アプロディーテー]]とブーテースを指すものか。--></ref>。
 
 
== アルゴー船の乗組員 ==
 
アルゴナウタイの数は約50名であったといわれる([[シケリアのディオドロス]]『歴史叢書』は54名を挙げ、ロドスのアポローニオス『アルゴナウティカ』は55名を挙げ、[[ガイウス・ユリウス・ヒュギーヌス]]『ギリシャ神話集』は64名を挙げ、ガイウス・ウァレリウス・フラックス『アルゴナウティカ』は52名を挙げる。)が、[[ツェツェース]]{{enlink|John Tzetzes}}(およそ1110年 - 1180年)のように100名の名を挙げる例もある。このような英雄の集結は、[[トロイア戦争]]以前では最大のもの。[[カール・ケレーニイ]]によると、この神話の古い形では、乗組員は[[ミニュアース族]]であり、[[テッサリア]]で[[アタマース]]が支配していた領地の住民から成っていた。
 
 
以下は乗員の一覧である。[[アポロドーロス]]による文献に登場する人物には登場順に番号を振ってある。「-」になっている人物は、他説においてアルゴナウタイに数えられる場合がある人物である(ただしそのすべては網羅していない)。なお、一般的に[[イアーソーン]]および後に乗船するコルキス王女[[メーデイア]]は、アルゴナウタイとして数えない。
 
{| class="sortable wikitable" style="font-size:95%; margin-right:0px;"
 
|-style="line-height:1.4em"
 
!{{Nowrap|登場順}}<br />!!名前<br />!!綴り<br />!!続柄<br />!!兄弟<br />!!{{Nowrap|備考/来歴/他}}<br />
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-0}}1||[[ティーピュス]]||Tiphys||ハグニアースの子||||舵取り。
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-0}}2||[[オルペウス]]||Orpheus||オイアグロスの子||||竪琴の名手。
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-0}}3||[[カライスとゼーテース|カライス]]||Kalais||[[ボレアース]]の子||{{Display none|父[[ボレアース]]/}}ゼーテースとは兄弟||翼を持ち飛行することができる。
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-0}}4||[[カライスとゼーテース|ゼーテース]]||Zetes||ボレアースの子||{{Display none|父ボレアース/}}カライスとは兄弟||翼を持ち飛行することができる。
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-0}}5||[[カストール]]||Kastor||[[ゼウス]]の子||{{Display none|双子/父[[ゼウス]]/}}ポリュデウケースとは双子の兄弟||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-0}}6||[[ポリュデウケース]]||Polydeukes||ゼウスの子||{{Display none|双子/父ゼウス/}}カストールとは双子の兄弟||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-0}}7||[[テラモーン]]||Telamon||[[アイアコス]]の子||{{Display none|父[[アイアコス]]/}}ペーレウスとは兄弟||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-0}}8||[[ペーレウス]]||Peleus||アイアコスの子||{{Display none|父アイアコス/}}テラモーンとは兄弟||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-0}}9||[[ヘーラクレース]]||Herakles||ゼウスの子||||古今無双の英雄。
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}10||[[テーセウス]]||Theseus||[[アイゲウス]]の子||||[[アテーナイ]]の王子で[[ミーノータウロス|ミノタウロス]]を倒した英雄<ref>神話では、若きテーセウスが父に会うためにアテーナイに到着し、このとき父アイゲウス王の後妻メーデイアに毒殺されそうになるが、罠から逃れてメーデイアを追放する。メーデイアはアルゴナウタイの冒険時にコルキスの王女であり、アイゲウス王に嫁いだのはその後であるから、さらにその後にアテナイ王となったテーセウスがアルゴナウタイに参加したとする話とは矛盾する。</ref>。
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}11||[[イーダース]]||Idas||[[アパレウス]]の子||{{Display none|双子/父[[アパレウス]]/}}リュンケウスとは双子の兄弟||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}12||[[リュンケウス]]||Lynkeus||アパレウスの子||{{Display none|双子/父アパレウス/}}イーダースとは双子の兄弟||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}13|| style="white-space:nowrap;" |[[アムピアラーオス]]||Amphiaraos||オイクレースの子||||[[テーバイ攻めの七将]]の一人。
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}14||[[カイネウス]]||Kaineus||コローノスの子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}15||[[パライモーン]]||Palaimon|| style="line-height:1.4em; white-space:nowrap;" |[[ヘーパイストス]]または<br />アイトーロスの子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}16||[[ケーペウス]]||Kepheus||[[アレオス]]の子||||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}17||[[ラーエルテース]]||Laertes||アルケイシオスの子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}18||[[アウトリュコス]]||Autolykos||[[ヘルメース]]の子||||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}19||[[アタランテー]]||Atalante||スコイネウスの娘||||俊足の狩人。
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}20||[[メノイティオス]]||Menoitios||アクトールの子||||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}21||[[アクトール]]||Aktor||ヒッパソスの子||||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}22||[[アドメートス]]||Admetos||ペレースの子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}23||[[アカストス]]||Akastos||[[ペリアース]]の子||||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}24||[[エウリュトス]]||Eurytos||ヘルメースの子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}25||[[メレアグロス]]||Meleagros||[[オイネウス]]の子||||[[カリュドーン]]の王子。
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}26||[[アンカイオス]]||Ankaios||[[リュクールゴス]]の子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}27||[[エウペーモス]]||Euphemos||[[ポセイドーン]]の子||||泳ぎの名手。
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}28||[[ポイアース]]||Poias||タウマコスの子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}29||[[ブーテース]]||Boutes||テレオーンの子||||[[アテーナイ]]の[[養蜂]]家。
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}30||[[パーノス]]||Phanos||[[ディオニューソス]]の子||{{Display none|父[[ディオニューソス]]/}}スタピュロスとは兄弟||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}31||[[スタピュロス]]||Staphylos||ディオニューソスの子||{{Display none|父ディオニューソス/}}パーノスとは兄弟||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}32||[[エルギーノス]]||Erginos||[[ポセイドーン]]の子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}33||[[ペリクリュメノス]]||Periklymenos||[[ネーレウス]]の子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}34||[[アウゲイアース]]||Augeias||[[ヘーリオス]]の子||||[[エーリス]]王。
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}35||[[イーピクロス]]||Iphiklos||テスティオスの子||メレアグロスの叔父||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}36||[[アルゴス (曖昧さ回避)#アルゴス (船大工)|アルゴス]]||Argos||[[プリクソス]]の子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}37||[[エウリュアロス]]||Euryalos||メーキステウスの子||||[[エピゴノイ]]の一人。
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}38||[[ペーネレオース]]||Peneleos||ヒッパルモスの子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}39||[[レーイトス]]||Leitos||アレクトールの子||||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}40||[[イーピトス]]||Iphitos||ナウボロスの子||||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}41||[[アスカラポス]]||Askalaphos||[[アレース]]の子||{{Display none|父[[アレース]]/}}イアルメノスとは兄弟||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}42||[[イアルメノス]]||Ialmenos||アレースの子||{{Display none|父アレース/}}アスカラポスとは兄弟||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}43||[[アステリオス]]||Asterios||[[コメーテース]]の子||||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}44||[[ポリュペーモス]]||Polyphemos||[[エラトス]]の子||||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}45||[[ヒュラース]]||Hylas||テイオダマースの子||||[[ヘーラクレース]]の随行者。
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-}}46||[[イドモーン]]||Idmon|| style="width:10.5em; line-height:1.4em;" |アバースと[[キューレーネー]]の子 {{Nowrap|([[アポローン]]の子とも)}}||||予言者。<!--
 
 
以下の人物はアポロドーロス以外の説話に登場する人物。アルゴナウタイに数えられる場合がある。-->
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-99/Aithalides}}-||[[アイタリデース]]||Aithalides||ヘルメースの子||||アルゴナウタイで使者を務めたという。
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-99/Amphion}}-||[[アンピーオーン]]||Amphion||ヒュペラシオスの子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-99/Asklepios}}-||[[アスクレーピオス]]||Asklepios||[[アポローン]]の子||||医術の天才。
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-99/Ekhion}}-||[[エキーオーン]]||Ekhion||ヘルメースの子||(エウリュトスの兄弟)||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-99/Iolaos}}-||[[イオラーオス]]||Iolaos||[[イーピクレース]]の子||||
 
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| style="text-align:center;" |{{Display none|順-99/Mopsos}}-||[[モプソス]]||Mopsos||アポローンの子||||予言者。
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-99/Nauplios}}-||[[ナウプリオス]]||Nauplios||[[アミューモーネー]]の子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-99/Oileus}}-||[[オイーレウス]]||Oileus||ホドイドコスの子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-99/Peiritho'os}}-||[[ペイリトオス]]||Peiritho'os||[[イクシーオーン]]の子||||[[ラピテース族]]の王でテーセウスの盟友。
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-99/Philammon}}-||[[ピランモーン]]||Philammon||アポローンの子||||
 
|-
 
| style="text-align:center;" |{{Display none|順-99/Philoktetes}}-||[[ピロクテーテース]]||Philoktetes||ポイアースの子||||[[ヘーラクレース]]の親友で弓の名手。
 
|}
 
 
== 神話 ==
 
アルゴナウタイの神話は、原典資料やこれを扱った研究資料によっても異説が多い。以下は、古典期の[[アポロドーロス]]を基本とし、現代のケレーニイおよびグレーヴスの記述を補足的に付加したものである。他の異説や解釈、細かな補足については脚注で述べる。
 
 
=== コルキスの金羊毛 ===
 
[[テッサリアー]]の王[[アタマース]]は妻[[ネペレー]]との間に息子[[プリクソス]]と娘[[ヘレー]]があった<ref>プリクソスとヘレーは、[[イアーソーン]]の父アイソーンとは従兄弟の関係である。</ref>。アタマースはのちに[[イーノー]]を後妻にめとり、イーノーはネペレーの子供たちに悪意を抱いていた。テッサリアで起こった不作のため、アタマースが神託を受けようとしたとき、イーノーは[[デルポイ]]への使者に工作して、プリクソスを生け贄にするよう神託があったといわせた。土地の住民から強いられ、やむなくアタマースはプリクソスを祭壇に連れて行ったが、ネペレーがプリクソスを奪い<ref>プリクソスを救出したのはヘーラクレースだともいう。</ref>、[[ヘルメース]]から授かった金毛の雄羊の背にヘレーとともに乗せた。羊は空を飛んで海を渡った。
 
 
その途中でヘレーは海に落ちてしまい、その地は「ヘレースポントス(ヘレーの海)」と呼ばれるようになった。現在の[[ダーダネルス海峡]]である。しかし、プリクソスはコルキスに到達して王[[アイエーテース]]に迎えられた。プリクソスは金毛の羊を[[ゼウス]]に捧げ、その皮をアイエーテースに与えた。アイエーテースは金毛の羊の皮を[[アレース]]の杜にある樫の木に打ち付けた。これがコルキスの金羊毛である。
 
 
=== アルゴナウタイの航海 ===
 
==== レームノス島 ====
 
[[レームノス島]]の女は[[アプロディーテー]]を崇拝しなかったため、女神は女たちが悪臭を発するようにした<ref>グレーヴスは、女たちの悪臭はレームノス島で[[入れ墨|刺青]]のための大青([[インディゴ]])作りの仕事に携わっていたからだと解釈している。腐った[[尿]]を使用するその作業は嘔吐を催させるほど臭いが強い。</ref>。このため男たちは妻と寝ずに、[[トラーキア]]付近から捕虜の女を連れ帰って相手とした。侮辱された女たちは、夫や父親を皆殺しにした。このなかで[[トアース]]王の娘[[ヒュプシピュレー]]だけは父親を舟に隠して逃がし、命を救った。ヒュプシピュレーは女だけになった島を女王として治めた。アルゴナウタイは島の女たちに迎えられ、寝所をともにした。[[イアーソーン]]はヒュプシピュレーと交わり、息子の[[エウネーオス]]とネプロポノスが生まれた。
 
 
==== ドリオニア ====
 
アルゴナウタイはキュージコス王の歓待を受けた。しかし、夜に出航したところ、逆風に遭って知らずにドリオニアに吹き戻された。ドリオニア人たちは、かねて戦闘状態にあった[[ペラスゴイ人]]の軍勢だと思い込み、互いに相手を知らずに戦いとなった。この戦いで、アルゴナウタイはキュージコスを殺してしまったことを夜明けとともに知った。彼らはこれを嘆いて頭髪を切り、王を手厚く葬った。
 
 
その後、何日もの間風雨に妨げられて出航できなかった。キュージコスがかつて[[レアー]]の聖獣であるライオンを殺したことと、アルゴナウタイがこの地で手が6本ある巨人を倒したことにレアーが腹を立てていることが判明し<ref>[[カワセミ]]がさえずる声をモプソスが理解したという。</ref>、アルゴスが女神の像を建ててディンデュモン山頂で踊ると順風が吹き始めた。
 
 
==== ヘーラクレースの脱落 ====
 
ミューシアーにおいて、[[ヘーラクレース]]が愛していたヒュラースが水汲みにいったところ、あまりの美貌のために水の[[ニュンペー]]たちにさらわれてしまった。ヒュラースの叫び声を聞きつけたポリュペーモスは、盗賊だと思って刀を抜いて後を追った。ヘーラクレースに出会ったので、このことを話し、二人でヒュラースを探しているうちに、アルゴー船は出航してしまった。ポリュペーモスは、この地に[[キオス]]市を建設して王となった。ヘーラクレースはアルゴスに戻った<ref>ヘーラクレースの参加および脱落に関しては諸説がある。[[ヘロドトス|ヘーロドーロス]]によれば、ヘーラクレースはこのとき[[オムパレー]]の奴隷となっていて、船には全然乗らなかったとする。ペレキューデースは、アルゴー船の物言う木が、ヘーラクレースの重量を運ぶことができないと声に出したので、テッサリアーのアペタイに置き去りにしたという。一方、ディオニューシオスは、ヘーラクレースがアルゴナウタイの指揮官だったとし、デーマラートスは彼がコルキスまで航海したとする。</ref>。一説には、このとき一部の乗組員はヘーラクレースを乗船させるためにティーピスに船を戻させようとしたが、[[カライス]]と[[ゼーテース]]がこれを妨害した。このことを恨んだヘーラクレースは、後に二人をテーノス島で殺したという。
 
 
==== ベブリュクス人との拳闘試合 ====
 
この島の王アミュコスは[[ポセイドーン]]の子で、外国人が来ると[[古代ギリシアのボクシング|拳闘試合]]で殺していた。アミュコスに挑戦されたアルゴナウタイは、[[ポリュデウケース]]が試合に応じ、逆にアミュコスを撃って殺した。ベブリュクス人たちがポリュデウケースに殺到したので、アルゴナウタイは武器を取って多くの者を殺した。
 
 
==== ピーネウスの救済、シュムプレーガデスの岩 ====
 
[[ファイル:MS-Argonautai-route.jpg|thumb|right|300px|[[アルゴー号]]の航路 (紫が往路、赤が帰路)]]
 
アルゴナウタイは、サリュミュデーソスの地に住む盲目の予言者[[ピーネウス]]に航海の助言を求めた。ピーネウスは、人間の未来を予言したために罰せられ<ref>継母の言葉を信じてわが子たちを盲目にしたため、別の説ではプリクソスの子供たちにコルキスからギリシアへの航海の方法を教えたためともいう。</ref>、盲目にされたうえ、神々はこの地に[[ハルピュイア]]を遣わした。ピーネウスの食事が用意されると、ハルピュイアたちが空から飛び降りてきてこれをさらってしまう。残った食べ物も臭気に満ちて食べることができなかった。ピーネウスがハルピュイアたちから自分を救ってくれれば助言すると応じたので、彼らはピーネウスの食卓を用意した。ハルピュイアたちが食べ物を奪うと、翼を持つカライスとゼーテースが刀を抜き、これを追って飛び立った。
 
 
ハルピュイアは、[[ボレアース]]の子供たちの手にかかって死ぬこと、一方ボレアースの子供たちもハルピュイアを追いかけて捕まえることができなかったときには死ぬことが運命づけられていた。ハルピュイアの一人は[[ペロポネソス半島]]のディグレース河に落ち、その名をとってハルピュースと呼ばれるようになった。もう一人はプロポンティスを経てエキーナデス群島まできた。ここでハルピュイアは方向を変え(estraphe)、海岸で疲労のあまり追跡者とともに墜落したため、この島は「ストロパデス」と呼ばれるようになった<ref>[[ロドスのアポローニオス]]は、ストロパデス島で女神[[イーリス]]が追跡する兄弟を引き止め、ハルピュイアたちはこれ以上ピーネウスに害をしないことを誓い、許されたとする。(『アルゴナウティカ』I.288-290)</ref>。
 
 
救われたピーネウスは、アルゴナウタイに航海の路を示し、シュムプレーガデスの岩について忠告した。シュムプレーガデスは巨大な岩と岩が激突して海路を塞ぐ難所で、岩の上方には深い霧がかかり、岩が動いて衝突する音が絶えず轟々と鳴り響いていた<ref>現在の[[ボスポラス海峡]]である。</ref>。ピーネウスは一羽の[[鳩]]を岩の間に放ち、無事に通過できたら通っても良いといった。いわれたとおりに鳩を放つと、飛ぶ鳩の尾の端を岩が合して切り取った<ref>ケレーニイは、この鳩は彼岸の世界から[[オリュンポス十二神|オリュムポスの神々]]に[[アムブロシアー]]を運ぶ[[ゼウス]]の鳩の模倣であるとしている。</ref>。岩が再び引いたときにアルゴナウタイは力一杯漕ぎ、[[ヘーラー]]の助けもあって船は通り抜けることに成功したが、艫の端の部分が岩に切り取られてしまった。このとき以来、シュムプレーガデスの岩は動かなくなった。もし船が一隻でも通り抜けたときは、岩は全く動かなくなることが定められていたのである。
 
 
==== アポローンとの遭遇 ====
 
マリアンデューノイ人の国でアルゴナウタイは[[リュコス]]王の歓待を受けたが、この地で予言者イドモーンが猪に突かれて死に、ティーピュスも病を得て死んだ。そこでアンカイオスが船の舵を取った。
 
 
テューニアス島では、[[リュキア]]から[[ヒュペルボレイオス]]人のもとへ向かって海の上を急ぐ[[アポローン]]に出会った。アルゴナウタイはアポローンに祈りを捧げ、アポローンが狩の幸運を授けたので、この地で得られた豊富な収穫を神に捧げた。
 
 
==== コルキス ====
 
パーシス河に至ると、[[イアーソーン]]はコルキス王[[アイエーテース]]のもとを訪れ、金羊毛を渡してくれるように頼んだ。アイエーテースはイアーソーンに難題を課したが、アイエーテースの娘[[メーデイア]]がイアーソーンに恋して彼を助け、イアーソーンは金羊毛を手に入れることに成功した。イアーソーンとアルゴナウタイはメーデイアを連れてコルキスを脱出し、その際メーデイアは弟のアプシュルトスを殺害する。
 
{{main|イアーソーン|メーデイア}}
 
 
==== 帰路の冒険 ====
 
[[ゼウス]]はメーデイアのアプシュルトス殺害を怒り、嵐を送って航路を妨げた。アルゴー船の物言う木がアルゴナウタイに助言し、彼らは[[リグリア海]]、[[ケルト人]]の国を通り、[[サルディニア]]海を経てアイアイエー島に渡り、この島に住む[[キルケー]]に罪の浄めを受けた<ref>往路(東方航海)と復路(西方航海)のつじつまを合わせるために、ここではさまざまな説が唱えられた。例えば、[[カスピ海]]から[[インド洋]]に出たとするもの、[[ドン川]]を遡って[[フィンランド湾]]まで船を引っ張った、あるいは[[ドナウ川]]から[[エルベ川]]に移動し、[[北海]]に出たとするものなどである。そのどれも現実的でないことから、イアーソーンとメーデイアの二人だけが下船してキルケーの島に赴いたとする説もある。</ref>。
 
 
[[セイレーン]]のそばを通ったときは、[[オルペウス]]がセイレーンに対抗して歌い、乗組員を船に引き止めた。ただし、[[ブーテース]]ひとりはセイレーンに魅せられて泳ぎ去った。[[アプロディーテー]]が彼を救い、リリュバイオンに住まわせたという。
 
 
セイレーンから逃れると、[[カリュブディス]]、[[スキュラ]]、その上に大きな火と煙が立ち上っている浮き岩が行く手に現れた。しかし、[[ヘーラー]]が[[テティス]]に命じ、海の[[ニュンペー]]たちがアルゴナウタイを守って通過させた。
 
 
パイアーキアー人の島[[ケルキューラ]]に来たとき、コルキスからの追っ手が島の王アルキノオスにメーデイアの引き渡しを要求した。アルキノオスは、メーデイアがまだ処女であればその父親に送り返し、もしイアーソーンと夫婦の契りを交わしたのであれば、イアーソーンに与えようと答えた。アルキノオスの妃アレーテーが機先を制してメーデイアとイアーソーンを契らせたため、アルゴナウタイはメーデイアを連れて出発した。
 
 
==== アフリカへ流される ====
 
嵐に見舞われ、9日間流されたアルゴー船は[[リビア]]に漂着し、[[砂漠]]の奥地まで押し上げられてしまった。ここでアルゴナウタイは陸路をとった。というのは、[[リビュエー]]の3人の娘が現れ、母親が胎内に重荷を負ってくれたのと同じ恩を報いよと助言したので、英雄たちはアルゴー船を担ぎ、渇きに苦しめられながら12日間、[[トリートーニス湖]]まで運んだ<ref>トリートーニス湖は[[アトランティス]]伝説とも関連があり、かつては巨大な内海だったが、次第に小さくなり、現在では一筋の塩沢となってしまっている。古典期の地理学者[[スキュラクス]]([[:en:Scylax of Caryanda]], 紀元前6世紀)のころには、面積はおよそ900平方マイルとされていた。</ref>。ここで海神[[トリートーン]]が船を[[地中海]]まで押し出してくれた。
 
 
==== クレータ島 - 帰還 ====
 
[[クレータ島]]に着こうとしたところ、島の番をしていた[[タロース (ギリシア神話)|タロース]]が石を投げつけて攻撃してきた。タロースは[[ヘーパイストス]]が[[ミーノース]]に与えた青銅人で、首からかかとまでただひとつの血脈を持ち、かかとに青銅の釘がはめ込まれていた。メーデイアはタロースを欺いて薬で狂わせた。あるいは、不死にするといってメーデイアがタロースのかかとの釘を抜いたところ、神血が全部流れ出してタロースは死んだ。別の説では、ポイアースがタロースのかかとを射て倒したともいう。
 
 
クレータ島を出て真夜中に嵐に襲われ、海路を見失ったとき、再びアポローンが現れた。アポローンはメランティオス山の背に立ち、海中に矢を射て稲妻を放った。この地で見いだした孤島にアルゴナウタイは「アナペー」(ギリシア語で「アナプトー」とは輝く火を付ける意)と名付け、アポローン・アイグレーテス(輝けるアポローン)の祭壇を建てた。
 
 
[[アイギーナ島]]に寄航すると、アルゴナウタイはこの地で水汲み競争に興じ、ヒュドロポソアの祝祭を創設した。その後[[エウボイア]]とロクリスの間を通って、イオールコスのパガサイ湾(現在のウォロー湾)に帰り着いた。
 
 
== アルゴナウタイを描いた作品 ==
 
=== 文学 ===
 
==== 古典文学 ====
 
; 『[[オデュッセイア]]』
 
: [[ホメーロス]]の[[叙事詩]]。紀元前8世紀ごろ成立。アルゴナウタイについて言及した作品としては、現存する最古のもの。第12書で[[キルケー]]がアルゴナウタイについて物語る。
 
; 『[[ピューティア第四祝勝歌]]』
 
: 紀元前6世紀 - 紀元前5世紀の詩人[[ピンダロス]]による、[[キュレネ]]の王アルケシラースを称える歌。『ピューティア捷利歌』とも。アルケシラースは紀元前7世紀にテーラ島(現[[サントリーニ島]])から[[リビア]]に移ってキュレネを創建したバットスの子孫であり、バットスはまたアルゴナウタイのひとりエウペーモスの子孫だとされる。
 
; 散逸した古代の作品
 
: [[古代ギリシア]]において、[[ギリシア悲劇|悲劇]]詩人たちはアルゴナウタイの冒険を題材にした作品を書いていることが記録に残されたタイトルから判断できるが、完全な形で現存する作品はない。また『ナウパクティアー』(''Naupaktia'')、エウメロスの『コリンティアカ』(''Korinthiaka'')などといった叙事詩もあったらしいが、同様に散逸してしまっている。
 
; 『[[アルゴナウティカ]]』
 
: 紀元前3世紀ごろの詩人[[ロドスのアポローニオス]]による叙事詩。アルゴナウタイを主題とした作品としては、現存するもっとも古いもの。1世紀ローマ白銀期の詩人[[ガイウス・ウァレリウス・フラックス]]の同名の叙事詩は、それを基にしたもの(一部創作、一部翻訳)。同じ1世紀のローマの詩人[[ウァロ・アタキヌス]]によるラテン語翻訳版もある。
 
; 『[[ビブリオテーケー]]』(邦題『ギリシア神話』)
 
: [[アポロドーロス]](1世紀から2世紀の人と推定されている)による。古代ギリシアの伝承を網羅的に集めたもの。
 
 
==== 現代文学 ====
 
現代において、アルゴナウタイを題材とした書籍は、[[ギリシア神話]]の紹介を目的としたものや児童向けあるいは[[絵本]]を含めて多岐に渡る。
 
物語の設定を利用した作品としては次のものがある。
 
; 『ゴールデン・フリース』
 
: [[ロバート・J・ソウヤー]]の[[SF小説]](1990年、[[ハヤカワ文庫]]SF)。惑星コルキスをめざす宇宙船アルゴを制御するのはコンピュータ「イアソン」という設定。
 
 
=== 映像 ===
 
; 『[[アルゴ探検隊の大冒険]]』
 
: アルゴナウタイの冒険を描く、[[レイ・ハリーハウゼン]]による[[特撮映画]](1963年、イギリス・アメリカ)
 
; 『{{仮リンク|アルゴノーツ 伝説の冒険者たち|en|Jason and the Argonauts (2000 film)}}』
 
: 同じくアルゴナウタイの冒険を描いたテレビドラマ(2000年、アメリカ)
 
 
== 神話に由来する事物 ==
 
* [[金羊毛騎士団]] - 1430年に[[ブルゴーニュ公]][[フィリップ3世 (ブルゴーニュ公)|フィリップ善良公]]によって作られた世俗[[騎士団]]。[[スペイン]]王家が授与する「金羊毛勲章」としてもその名を残している。
 
*『金羊毛』({{lang|ru|''Золотое руно''}}) - [[ロシア象徴主義]]の担い手となった文芸誌(1906年 - 1909年)。
 
* [[フェーベ (衛星)]] - [[土星]]の[[衛星]]。[[クレーター]]のうち24個には「イアソン」ほかアルゴナウタイに因んだ名前がつけられている。
 
* [[ARGO計画]] - [[海洋物理学]]、[[水産学]]や「海の[[天気予報]]」の確立をめざした国際的な研究計画。海面高度計を搭載した[[人工衛星]][[ジェイソン1]]もイアーソーンにちなんだ名称であり、ARGO計画と関係が深い。
 
* [[アオイガイ]]の[[学名]] - アオイガイは、学名を ''Argonauta argo'' といい、アオイガイ上科{{enlink|Argonautoida}}、アオイガイ科{{enlink|Argonautidae}}、アオイガイ属{{enlink|Argonauta}}に属する(上科から属までの[[タクソン]]の学名に Argonaut- を含む)。
 
* [[ダイドー級軽巡洋艦]] - [[イギリス海軍]]が建造した[[軽巡洋艦]]の艦級。アルゴナウタイの英雄に因んだ艦名がある。
 
* [[ブルックス・ブラザーズ]] - [[アメリカ合衆国]]の服飾店。商標やタグに「ゴールデン・フリース」が使われている。
 
*「ゴールデン・フリース」 - アメリカのミリタリー・グッズのブランド名。
 
* [[MZ (コンピュータ)]] - [[シャープ|SHARP]]が販売していた[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]のシリーズ名。シンボルマークとして[[アルゴー船]]が描かれていた。
 
 
== 脚注 ==
 
{{reflist|2}}
 
 
== 参考文献 ==
 
* [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波書店]]〈[[岩波文庫]]〉
 
* [[ロバート・グレーヴス]]『ギリシア神話』上・下、[[高杉一郎]]訳、[[紀伊國屋書店]]
 
* [[カール・ケレーニイ]]「神々の時代」「英雄の時代」『ギリシアの神話』[[高橋英夫 (評論家)|高橋英夫]]訳、[[中央公論社]]
 
* [[ホメーロス]]『[[オデュッセイア]]』上、[[呉茂一]]訳、岩波書店〈岩波文庫〉
 
* B・エヴスリン『ギリシア神話小事典』小林稔訳、教養文庫、ISBN 4-390-11000-4
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Argonauts}}
 
* [[アルゴ座]] - [[トレミーの48星座]](2世紀)のひとつ。<!--あまりに大きすぎることを理由に、1752年にフランスの天文学者[[ニコラ・ルイ・ド・ラカーユ|ラカーユ]]により[[ほ座]]・[[とも座]]・[[らしんばん座]]・[[りゅうこつ座]]の4つに分割された。-->
 
* [[ヘカテー]] - コルキスの守護女神。[[メーデイア]]が厚く信奉していたとされる。
 
* [[メディア (ギリシア悲劇)]] - [[古代ギリシア]]の詩人[[エウリピデス]]による[[ギリシア悲劇]]。アルゴナウタイの冒険の後日譚に当たる。
 
* [[東雅夫]] - 幻想文学同人誌『金羊毛』創刊者。
 
  
 
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2018/10/27/ (土) 17:47時点における最新版

ヘヴェリウス星図』 (1690年)よりアルゴ座の星座図—「物言う木」が船首ではなく船尾に描かれている(この図は天球儀の展開図として描かれているため、実際の星空と左右が逆転している)

アルゴナウタイ古典ギリシア語Ἀργοναύται, Argonautai)

ギリシア神話で、人類が、最初につくったといわれる巨船アルゴ号に乗り組んだ五〇余人の英雄たち。イアソンとともに、金毛の羊の皮を求めに、コルキスの地におもむく。





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