アクチニウム

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ファイル:Actinium.svg
アクチニウム
ファイル:Electron shell 089 actinium.png
アクチニウムの原子電子配置図。

アクチニウム (: actinium) は原子番号89の元素元素記号Acアクチノイド元素の一つ。

性質

アクチノイド系列の最初の元素。したがって、5f軌道には電子がなく、6d軌道に1個、7s軌道に2個の電子が詰まっている。銀白色の金属で、安定な構造は立方晶系。アクチニウムのアルファ線はとても強力で(ラジウムの150倍の放射能を持つ)、暗所では青白く光る。比重は10.07、融点は1050 °C沸点は3200 °C。湿った空気中では酸化被膜を形成する。化合物中の原子価は唯一+3価が安定で、化学的性質はランタンに似る。Ac3+イオン半径が大きいため、酸化物および水酸化物はランタンより塩基性が強い。ランタンより錯塩を作りやすい傾向がある。また、アクチニウム225の出すアルファ線はガン細胞を破壊する。海外では、この性質を利用したガン治療の研究が進められている。

同位体

天然に存在するのは、アクチニウム227(半減期は21.7年)とアクチニウム228(半減期は6.13時間)。アクチニウム227はアクチニウム系列の過程で生成される。アクチニウム227はアクチニウムの同位体の中で最も長い半減期を持つ。またアクチニウム228はトリウム系列の過程で生成されるため、主にトリウム鉱石中に極微量含まれる。

アクチニウム系列:ウラン235(α崩壊)→ トリウム231(β崩壊)→ プロトアクチニウム231(α崩壊)→ アクチニウム227(α崩壊)→ フランシウム223 →(続く)アクチニウム227は、β崩壊してトリウム227にもなる。

歴史

1899年アンドレ=ルイ・ドビエルヌ (A.Debierne) が、ピッチブレンドからウランを分離した際の残留物中から発見した[1](ピッチブレンド1トン中にアクチニウム227が0.15 mg含まれる)。ギリシア語の放射線を意味する aktis が語源[1]1902年にギーゼル (F.Geesel) がドビエルヌとは独立に発見した新元素もアクチニウムであることが判明した[1]

出典

  1. 1.0 1.1 1.2 桜井弘 『元素111の新知識』 講談社1998年、360頁。ISBN 4-06-257192-7