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[[File:Demophon Aithra Staatliche Antikensammlungen 2687.jpg|thumb|240px|曾祖母アイトラーを逃そうとしている[[デーモポーン]](?)、前470–460年]]
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'''アイトラー'''({{lang-grc-short|'''Αἴθρα''', ''Aithrā''}})は、[[ギリシア神話]]の女性である。[[トロイゼーン]]王[[ピッテウス]]の娘で、[[テーセウス]]の母である。その名は「晴れた空」の意。[[長母音]]を省略して'''アイトラ'''とも表記される。
 
 
 
[[アテーナイ]]の王母としてあったが、晩年に至り、[[ヘレネー]]と共に[[トロイア]]に亡命した<ref name=grd-6>『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.6。</ref>。
 
 
 
== 概説 ==
 
=== テーセウスの誕生の経緯 ===
 
[[ペロプス]]の息子ピッテウスはトロイゼーンの王であった。[[ピッテウス]]の王女アイトラーは、最初[[ベレロポーン]]から妻へと求愛された<ref name=grd-6 /> <ref name=grimal-23>Grimal、p.23。</ref>。その頃、[[アテーナイ]]王[[アイゲウス]]は、最初の妻[[メーター (ギリシア神話)|メーター]](Meta)とのあいだでも、第二の妻[[カルキオペー]](Khalkiope)とのあいだにおいても子に恵まれず、その理由を尋ねて[[デルポイ]]に神託を求めた<ref name=grimal-98>Grimal、p.98。</ref> <ref name=grimal-446>Grimal、p.446。</ref> <ref name=apol-3-15-6>アポロドーロス、三巻XV-6。</ref>。彼は神から神託を得たが、それは意味が定かに分からない曖昧なものであった為、アイゲウスは神託が理解できなかった。デルポイからの帰途、彼は[[トロイゼーン]]を訪ね、ピッテウスに神託の件を話すと、ピッテウスは即座にその意味を理解した<ref name=grimal-446 /> <ref name=apol-3-15-7>アポロドーロス、三巻XV-7。</ref> <ref name=kure-297>呉茂一『ギリシア神話』、p.297。</ref>。
 
 
 
ピッテウスはアイゲウスを酔いつぶし、夜半にアイゲウスの寝所に彼の娘アイトラーを送った。こうしてアイトラーは[[テーセウス]]を身籠もったとされるが、別の話が同時に語られている。彼女がアイゲウスと寝を共にしていた夜、アイトラーは[[アテーナー]]が送った夢に導かれ、さる島で犠牲を献げるため寝所を抜け出し、そこで[[ポセイドーン]]に犯された<ref name=grd-6-1>『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.6。高津が記すところでは、アイトラーが犠牲を献げに出かけてポセイドーンに犯されたのは、その夜ではなく、前日の夕刻のことである。島の名は、ヒエラ(Hiera)あるいはスパイリア(Sphairia)であった。また、ポセイドーンとの話は、娘の評判を守るためピッテウスが造ったともされる。</ref> <ref name=kure-298-p>呉茂一『ギリシア神話』、p.298。ピッテウスが話を作ったとしているのは、プルタークが述べていることである。</ref> <ref name=grimal-23-1>アイトラーは、祖父[[ペロプス]]の[[戦車競技|戦車]]の御者であった英雄スパイロスに犠牲を献げに行き、そこでポセイドーンと出逢ったともされる。</ref>。こうして生まれたのがテーセウスで、しかしアイゲウス王は生まれた子が自分の子と信じて疑わなかったとされる<ref name=grimal-446 /> <ref name=apol-3-15-7 /> <ref name=kure-297-ex>呉茂一『ギリシア神話』、p.297。呉は、アイゲウスはこの出来事では「影の人物」で、主役は、アイガイア海の主神ポセイドーンであり、ポセイドーン・アイゲウスという神が実体だとも述べている。</ref>。
 
 
 
=== テーセウスの成長 ===
 
[[File:Laurent de la La Hyre 002.jpg|thumb|right|190px|岩を持ち上げる[[テーセウス]]]]
 
[[アイゲウス]]がアテーナイに帰って後、アイトラーはトロイゼーンに留まり、テーセウスを育てた。アイゲウスは彼の甥に当たる、[[パラース]]の息子たちを恐れて、テーセウスをアテーナイに呼ぼうとしなかったので、テーセウスは[[トロイゼーン]]に居住していた。
 
 
 
しかし、アイゲウスはトロイゼーンを去る前に、巨岩の下に剣とサンダルを隠し、これをアイトラーに教え、秘密を守るよう伝えた。すなわち、テーセウスには自分の名を教えてはならない。この巨岩を動かせるほどにテーセウスが強くなったとき、初めて父の名を教えよと。そして彼が剣とサンダルを取り出し、これらで武装して、密かにアテーナイに来るよう言い残した<ref name=apol-3-15-7 /> <ref name=kure-297 />。パラースの息子たちの陰謀はこれによって阻止される<ref name=grimal-447>Grimal、p.447。</ref>。
 
 
 
テーセウスは成長し、父アイゲウスの言葉の通り、冒険の旅に出る。彼は数々の危難を乗り越えてアテーナイに辿り着き、更にそこから[[クレータ島]]の[[迷宮]]へと冒険に出かける。
 
 
 
=== 晩年 ===
 
テーセウスはクレータ島の迷宮より無事に帰還し、アイゲウスを継いで[[アテーナイ]]王となる。アイトラーはアテーナイの王母としてアテーナイに居を移していた。テーセウスは[[アルゴナウタイ]]の一員となったり、[[アマゾーン]]と戦ったりした。テーセウスは、[[テッサリアー]]の[[ラピテース族|ラピタイ族]]の王[[ペイリトオス]]と親友となった<ref name=grd-160-162>『ギリシア・ローマ神話辞典』、pp.160-162。</ref>。
 
 
 
二人は、ゼウスの娘を自分たちの妻にしようと企てた。テーセウスは自分の妻として、当時10歳だった[[ヘレネー]]を[[スパルタ]]より誘拐した。一方、ペイリトオスの妻としては、[[冥府]]の王[[ハーデース]]の妃である[[ペルセポネー]]がよいとして、これを奪わんと二人で冥府へと降りた<ref name=apol-e-1-23-ex>アポロドーロス、摘要I-23。アポロドーロスは、ペイリストスを、ペイリトゥースと呼んでいる。また攫った[[ヘレネー]]はこのとき、12歳であった。</ref>。テーセウスは奪ったヘレネーを母アイトラーに預けて冥府へと降って行った<ref name=grd-162>『ギリシア・ローマ神話辞典』、p.162。</ref> <ref name=kure-308-ex>呉茂一『ギリシア神話』、p.308。ヘラーニコスによると、ヘレネーを誘拐したとき、テーセウスは50歳になって年甲斐もなく、ヘレネー誘拐などをした。</ref>。
 
 
 
しかし、テーセウスがアテーナイを不在にしているあいだに、ヘレネーを奪還しようと、彼女の兄の[[ディオスクーロイ]]([[ポリュデウケース]]と[[カストール]])の兄弟が、ラケダイモーン人やアルカディア人と共にアテーナイに侵攻し、ヘレネーを奪回し、アイトラーを捕虜にして連れ去った<ref name=grd-162 /> <ref name=3-10-7-8>アポロドーロス、三巻X-7, 8</ref>。
 
 
 
==== トロイアへの逃亡と死 ====
 
その後、アイトラーはみずから望んで奴隷として、ヘレネーに従って[[トロイア]]に行ったとされる<ref name=paus-10-472-n>Pausanias, p.472, note 153。</ref>。複数の著者が伝えるところでは、アイトラーはヘレネーに助言して、[[メネラーオス]]の元から遁れ、[[パリス]]に従うことを勧めたとされる<ref name=grimal-23 />。トロイアにあって、彼女は曾孫[[ムーニトス]]の乳母となり、彼を育てたとされる<ref name=grd-6 />。
 
 
 
トロイアがギリシア軍の攻撃の前、陥落した後、アイトラーは孫の[[デーモポーン]]と[[アカマース]]に救われ脱出した<ref name=grd-6 /> <ref name=grimal-23 /> <ref name=apol-e-5-22>アポロドーロス、摘要V-23。</ref>。アテーナイを追われたテーセウスが亡命先の[[リュコメーデース]]の許で死んだとき、アイトラーは悲しみのあまりに自殺した<ref name=grimal-23 /> <ref name=grd-6 />。
 
 
 
== パラントスの妻 ==
 
[[テーセウス]]の母アイトラーとは別に、[[スパルタ]]の植民都市[[タレントゥム]]を創建した人物である[[パラントス]](Phalantos)の妻の名もアイトラー(Aithra)である。パラントスを指導者とするスパルタ人一行は、[[デルポイ]]の神託に従ってタレントゥムを築いた。神託は、パラントスの試みは、退却にあって、晴れた空が雨に降り込まれたとき成功するであろうというものであった。
 
 
 
彼らの試みは最初失敗し退却を余儀なくされた。しかし、パラントスの妻でアイトラー(「晴れた空」の意)が、夫とその仲間たちの失敗を知ったとき、涙を流したことで実現した。こうしてタレントゥムの創建は成功した<ref name=grimal-363>Grimal, p.363。</ref> <ref name=paus-10-431-2>Pausanias、Vol.1, BOOK X, pp.431-432。グリマルの辞典の説明は、パウサニアースのこの部分を引用している。</ref>。
 
 
 
==系図==
 
{{アガメムノーンの系図}}
 
 
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* [[アポロドーロス]] 『[[ビブリオテーケー|ギリシア神話]]』 高津春繁訳、岩波文庫 1953年、1982年改版36刷
 
* [[呉茂一]] 『ギリシア神話』 新潮社 1969年、1986年33刷
 
* [[高津春繁]]編著 『ギリシア・ローマ神話辞典』 岩波書店、1960年、2007年27刷
 
* Pierre Grimal ''The Dictionary of Classical Mythology'', Blackwell Publishing, 1986, ISBN 978-0-631-20102-1
 
* Pausanias ''Guide to Greece 1: Central Greece'', Penguin Classics, 1971, 1979 rev. ISBN 0-14-044225-1
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Aethra (Troezen)}}
 
* [[テーセウス]]
 
* [[ピッテウス]] - [[トロイゼーン]]
 
* [[アイゲウス]] - [[アテーナイ]]
 
* [[ポセイドーン]]
 
 
 
{{DEFAULTSORT:あいとら}}
 
[[Category:ギリシア神話の人物]]
 
[[Category:イーリアスの登場人物]]
 

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