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'''にがり'''(苦汁、滷汁)とは、[[海水]]からとれる[[塩化マグネシウム]]を主成分とする[[食品添加物]]。海水から[[塩]]を作る際にできる余剰な[[ミネラル]]分を多く含む粉末または液体であり、主に伝統的製法において、[[豆乳]]を[[豆腐]]に変える凝固剤として使用される。
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'''にがり'''(苦汁、滷汁)
  
== 概要 ==
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海水から[[食塩]]を製造する際,濃縮して食塩を晶出したあとに残る液体。独特の苦みをもつため苦汁と書く。塩化マグネシウムを主成分として,硫酸マグネシウム,塩化カリウム,塩化ナトリウムなど各種ミネラルを含む。豆腐の凝固材として用いられるが,これは豆乳中の蛋白質がマグネシウムやカリウムなどの金属イオンと反応し凝固するためである。かつて塩田法により海水から食塩を製造していた時代には,副製品のにがりも大量に得られたが,[[イオン交換膜法製塩]]に転換してからは減少してきた。そのため,豆腐用の凝固材としては硫酸カルシウム,塩化マグネシウム,塩化カルシウム,グルコンが使われている。なお,にがりからはマグネシウム塩類や臭素なども採取されている。
海水に含まれている塩類は、[[塩化ナトリウム]]が大部分を占める。海水から食塩を生成する場合、塩化ナトリウムが先に結晶化するので、これをかき集めるなどして物理的に取り除いたのちに残る液体が苦汁である。苦汁の成分は、[[塩化マグネシウム]]が中心である。ほかに[[ナトリウム]]、[[カリウム]]を含む。味は、主にマグネシウムイオンにより、文字通り苦い。代表的な製法である海水[[加熱]]法では、後述するように、にがりに[[カルシウム]]はほとんど含まれない。
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== 用途 ==
 
[[食品衛生法]]では、にがりは「粗製海水塩化マグネシウム」という名称で[[既存添加物]]名簿に収載されている。[[法律]]では[[食品]]に添加物を使用した際は基本的に名簿にある物質名で表記をすることになっているが、粗製海水マグネシウムは豆腐の凝固剤として使用した場合のみ「にがり」と表記してもよいことになっている。豆腐を凝固させる場合、他にも[[石膏|焼石膏]]や[[グルコノデルタラクトン]]なども凝固剤として使用されているが、にがりを用いる方がしっかりとした豆腐ができやすい。
 
 
 
にがりは、他にも[[煮物]]料理の[[灰汁|アク]]取りにも使われる。
 
 
 
また、[[2004年]][[5月30日]]に放映された[[発掘!あるある大事典]]で「にがりダイエット」が放映されてから、日本ではにがりは[[ダイエット]]効果のあるものとして話題になっていたが、科学的根拠は明確でなく、飲み過ぎると下痢やミネラルの吸収阻害、[[高マグネシウム血症]]などの悪影響が出る場合があり<ref>構築グループ「[http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail170.html 「にがり」と「痩身効果」について]」。独立行政法人 国立健康・栄養研究所。2004年10月13日。</ref>、過剰摂取は大変危険である。実際に、2004年に神奈川県の知的障害者更生施設で、職員が誤ってにがりの原液400mlを飲ませたところ血管が詰まり、女性入所者が死亡する事件が起きた。<ref>朝日新聞 2004.03.30 朝刊 社会 39頁 「 にがり原液、飲まされ危篤 神奈川県立障害者施設 」</ref><ref>朝日新聞 2004.04.19 朝刊 社会 34頁 「 にがり原液飲み、危篤の女性死亡 神奈川・障害者施設 」</ref>
 
 
 
海水を濃縮した本にがりの液は大変苦く、そのまま一滴なめるだけでも苦痛で吐き気を生じることもあるので注意すること。
 
にがりを飲用したい場合、水やジュース、味噌汁などに100ミリリットル当たり一滴程度であればほとんどにがりの味は感じない。
 
 
 
なお、「第6次改定日本人の栄養所要量について」によると、[[マグネシウム]]の所要量は約320mg/日、マグネシウムの許容上限摂取量は約700mg/日、である<ref>[http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s9906/s0628-1_11.html 第6次改定日本人の栄養所要量について]</ref>。
 
 
 
== 製法 ==
 
[[江戸時代]]以降、次の方法でにがりを得た。海水から得られた塩を[[叺|カマス]]に詰め、縁の下で[[すのこ]]に載せて夏の間寝かしておくと、湿気の多い季節のため、塩の中に含まれる[[塩化マグネシウム]]などが空気中の水分を吸って[[潮解]]する。さらに吸湿がすすむと、液体としてしたたり出てくるものがにがりである。このにがり成分をしたたり出させる工程を「枯らし」という。よく枯らした食塩は、味がまろやかになり、「甘塩」として高価で取引されたという。
 
 
 
今日では伝統的製法を謳う食塩でも「枯らし」を行うものはほとんど無い。多くの製品は海水を加熱して煮詰めることで結晶化させ、[[遠心分離]]でにがり分を除去している。現在のにがりは、煮詰めて塩の結晶を除いた残りの液体と、遠心分離機で分離される液体を混ぜ、濃度を調整して製造するものが多い。
 
 
 
海水加熱法では硫酸イオンが残り、[[カルシウム]]は[[硫酸カルシウム]]として凝固してしまう。この場合のにがりの成分は、マグネシウム、ナトリウム、カリウムの順の陽イオン含有量となる。[[イオン交換膜]]法では、硫酸イオンが除去され、カルシウムイオンが残留する。にがりの成分は、製法やメーカーで大きく異なる実態がある<ref>[http://kanshokyo.jp/hp/test/20040726_nigari.pdf “にがり”の成分や表示等についてテストしました(大阪府消費生活センター)]</ref>。
 
 
 
== 参考文献 ==
 
<div class="references-small"><references/></div>
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[塩田]]
 
* [[高マグネシウム血症]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.yoshikawa-shoji.co.jp/knowledge.html にがりの知識・にがりの歴史・法律で区別されている豆腐用ニガリなど - 吉川商事]
 
* [http://allabout.co.jp/fashion/diet/closeup/CU20040105A/index.htm 2004年ブームになるか?にがり! - [ダイエット]All About]
 
* [https://web.archive.org/web/20050326034530/http://www.ktv.co.jp/ARUARU/search2/aru9/9_1.html 第9回『にがりで本当にヤセるのか!?』Top page] 注)文字化けしている時は文字エンコードを(日本語 シフトJIS)に。
 
* [http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail170.html 「健康食品」の安全性・有効性情報 「にがり」と「痩身効果」について]([[国立健康・栄養研究所]])
 
* [http://allabout.co.jp/fashion/diet/closeup/CU20040715A/index2.htm あなたは誤解していませんか? にがりダイエットに根拠ナシ! - [話題のダイエット情報]All About]
 
*[http://ci.nii.ac.jp/naid/110005001066/ 茶およびにがりが膵リパーゼ活性に及ぼす影響 - CiNii論文詳細情報]
 
  
 
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にがり(苦汁、滷汁)

海水から食塩を製造する際,濃縮して食塩を晶出したあとに残る液体。独特の苦みをもつため苦汁と書く。塩化マグネシウムを主成分として,硫酸マグネシウム,塩化カリウム,塩化ナトリウムなど各種ミネラルを含む。豆腐の凝固材として用いられるが,これは豆乳中の蛋白質がマグネシウムやカリウムなどの金属イオンと反応し凝固するためである。かつて塩田法により海水から食塩を製造していた時代には,副製品のにがりも大量に得られたが,イオン交換膜法製塩に転換してからは減少してきた。そのため,豆腐用の凝固材としては硫酸カルシウム,塩化マグネシウム,塩化カルシウム,グルコンが使われている。なお,にがりからはマグネシウム塩類や臭素なども採取されている。



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