人種

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人種(じんしゅ)

ヒトの分類の概念。今日では科学的妥当性は認められず,文化的概念とみなされている。raceは当初,属性や価値観など,なんらかの共通点をもつ人々の集団を意味した。ヨーロッパ人が世界で植民地化を進め,まったく異なる文化をもつ人々と接触するようになると,征服者の優越性を正当化する,階層化されたヒトの類型という概念が広まった。次いで科学の進歩により,身体部位の測定や知能の「客観的」定量化を通じて,かたちだけの正当性が与えられた(モートン)。やがてこれらの要素がまとまり,人類は永続的に区別でき対等ではない集団に分割可能で,それらの集団は階層化しうるとみなす,体系的な考え方ができあがった。個々の人種は,肌の色や頭の形,髪質などの親から子へと伝わる特徴をもち,コーカソイド,モンゴロイド,ニグロイドなどの異なる類型に分けられると考えられた。18世紀,北アメリカではアフリカ系アメリカ人アメリカインディアンは社会的地位が劣るとみなされ,実生活でも法的にも制度化された。日本と中国には,西洋人が黄色人種という概念を伝えた。

人種の概念を強化する役目を果たした主要な著作に,フランスのジョゼフ=アルチュール・ド・ゴビノーの『人種不平等論』(4巻,1853~55)がある。同書は,ヒトの差異についてのヨーロッパの社会理論や考え方に甚大な影響を与えた。ゴビノーはヒトを白色,黒色,黄色の 3人種に分け,最も優れた人種は白色人種で,なかでもゲルマン人(ゴビノーは「アーリア人」と呼ぶ)が文明の頂点に位置し,最も純血な人種だと主張した。20世紀にナチスがこの考えに依拠し,ホロコーストを実行した。また 19世紀後半,イギリスのフランシス・ゴルトンは,選択的な生殖によって優秀な人種を改良するという考え方に基づく優生学を提唱した。人種の概念は 19世紀末には浸透し,人種は普遍的なものと考える学者も少なくなかった。

20世紀後半,遺伝学研究によって,いかなる生物学的意味においても「人種」は存在しないことが立証された。髪質や体格といった従来の区別方法は,デオキシリボ核酸 DNAなどの比較分析に取って代わられた。全人類は一つの種,ホモ・サピエンスに属し,今日,その種内のすべての人間は遺伝学的にきわめて類似している。ヒトを人種に分類できる遺伝的指標は存在しない。今日では大多数の研究者は人種の代わりにクラインという概念を用いる。クラインは,環境や地理的な推移に伴って生じる段階的変化をさす概念で,人類が絶えず変化してきたという認識を反映するものである。遺伝子は物理的あるいは生態学的境界によって妨げられないかぎり,遺伝子プール間を絶えず流動している。相対的な孤立は遺伝的差異を保持し,長い年月にわたって気候や疾病因子に対する最大限の適応を可能にする。今日,人種は主として社会学的呼称であり,身体的諸特性を共有し,文化的,歴史的な共通点をもつ集団を特定するものである。(人種主義




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