日本国旅券
旅券 | |
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{{#invoke:InfoboxImage|InfoboxImage|image=JapanpassportNew10y.PNG|size =|sizedefault=frameless|upright=0.85|alt= }} 10年用の日本の一般旅券 | |
{{#invoke:InfoboxImage|InfoboxImage|image=Ja ic passport.jpg|size =|sizedefault=frameless|upright=0.85|alt2=}} 名義人の身分事項ページ | |
交付者 | 日本 外務省 |
種類 | パスポート |
目的 | 身分証明 |
受給資格要件 | 日本国籍 |
有効期間 |
成年は10年間か5年間 未成年(19歳以下)は5年間 |
日本国旅券(にほんこくりょけん)とは、日本のパスポート。日本の法令上では、パスポートに該当する渡航文書を旅券(りょけん)と呼ぶ。詳細は、旅券法(昭和26年法律第267号)、旅券法施行令(平成元年政令第122号)、旅券法施行規則(平成元年外務省令第11号)により定められている。
Contents
種類・様態
日本には、(一般)旅券・公用旅券・外交旅券・緊急旅券の4種類(旅券法上は、一般旅券と公用旅券となっており、外交旅券は公用旅券、緊急旅券は一般旅券に含まれる。)のパスポートがある。
いずれの旅券にも、皇室(天皇家)の紋章でもあり、日本の在外公館において国章に代わり慣例的に使用されている十六八重表菊と同じ菊花紋章の一つである十六一重表菊が表紙中央に印刷されている。
また、身分事項ページの顔写真上部には、首相、政府(内閣)、皇室の慣例的な紋章である五七桐花紋が印刷されている。
また「日本国旅券」の文字は篆書体で印刷されている。
なお旅券の寸法は、国際民間航空機関の勧告を受け、平成4年(1992年)にB7サイズ(ISO規格の物であって、JIS規格ではない)に改められた。
- (一般)旅券 - 一般的なパスポートに該当
- 有効期間は、5年用(紺色)と10年用(赤色)の2種類がある。申請・取得の際、成人者(20歳以上)は5年用か10年用を選択できるが、未成年者(19歳以下)は5年に限られる。これは「未成年者は成長に伴う容貌の変動が著しい」とみなされているため。
- 現在は、期限内なら何度でも出帰国できる「数次旅券」が原則となっているが、1989年の旅券法改正までは1回の渡航のみに使用できる「一次旅券」も自由に申請・取得できた。ちなみに、一次旅券制度自体は旅券法上残っているが、例外的運用となっている。
- 通常は、渡航先が全ての国家と地域となっている[1]が、犯罪を犯したり検察庁から公訴を提起されている者・仮出所中・執行猶予中など事情がある者については、行き先や有効期限が制限されたパスポート(限定旅券)が交付されたり、申請を却下される事もある。
- 公用旅券 (OFFICIAL PASSPORT) - 国会議員や特別職国家公務員、公的機関の職員(例として国際協力機構のエージェントや青年海外協力隊・シニア海外ボランティアの隊員、学術研究機関の学者など)、文化庁の認める在外研修員が公務で外国へ渡航する場合に交付される。
- 外交旅券 (DIPLOMATIC PASSPORT) - 皇族、三権の長(内閣総理大臣、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官)、国務大臣等政府高官、特命全権大使、外交官等が公務で渡航する場合に交付される。つまり、皇族以外の国民は個人で持つ一般旅券と必要に応じて外交旅券や公用旅券、両方を取得する事になる。
- 「DIPLOMATIC PASSPORT」表記、濃茶色の表紙
- 任地までの往復の一次旅券が原則だが、渡航が頻繁な者(職業外交官など)に限って数次外交旅券が発給される。公用旅券同様、政情不安な国への赴任の場合は退避勧告が出た場合に備えて周辺国へも移動出来るように定められている他、身分証欄には名義人の官職名があり、「注意」の欄には旅券法違反時の罰則についての説明書きが無い。
外交旅券を持っている事と外交特権がある事は全く別である。外交特権を得るには、加えて外交官アグレマンも派遣先政府から受けなければならない。また、公用と外交の旅券は、本人の所属機関から外務省に直接発給申請が行なわれ、個人で申請する事は出来ない(旅券事務所にも申請書はない)。取得理由の任務が終わったら、日本帰国後に、速やかに返納する(申し出て消印―「VOID」と表示される穴が専用パンチで開けられる―を受けて記念に保管することも出来る)。
- 緊急旅券 (EMERGENCY PASSPORT)[2] - 在外公館に設置された旅券作成機が、故障等で交付が不可能で、なおかつ、本国外務省での旅券交付を待つ時間的余裕がない場合や、帰国のための渡航書の交付基準に当たらない者に交付される。
- 「EMERGENCY PASSPORT」表記、茶色の表紙
- 有効期限は1年。
- 一般旅券と同様に利用できるが、スタンプによる記載のため、機械式読み取り、ICチップによる読み取りは不可能。そのため、一部の国では、査証免除取極の適用外となる。
なお、天皇と皇后は国際慣習における元首待遇により、旅券は必要無い。
この他に、渡航先で旅券を紛失して、旅客機が航行するなど再発給を待機する時間が無い理由がある者に対し、在外公館で日本へ帰国する渡航中に使用するため、1回(片道)限り使用可能な渡航文書として「帰国のための渡航書」が交付される。この場合は、当該渡航書の発給と同時、日本の外務省の記録上で、それまで所持していた旅券番号が失効するため、元の旅券が後日発見されても使用することはできず、新たに旅券取得の手続をする必要がある。
また、旅券を所持していない(又は自分の旅券が失効してしまっている)が「親族が外国で急な事故に巻き込まれ救援等に出向く必要がある」「外国で開催される発表展示会や研究・開発の発表や署名式に出席しないと、日本の国益を損ねる」などという事態が発生した際には、即日または翌日発行の「緊急発行」という処理方法がある(通常は申請から交付通知が届くまで1週間ほどかかる)。
日本に到着後の入国審査官による帰国手続の際、船員手帳しか持っていない、旅券(パスポート)の期限が失効していた等々の理由で帰国確認の証印を押せない場合は、「帰国証明書」が交付される。こちらは「帰国のための渡航書」のように外務省が発行する文書でなく、法務省の地方入国管理局に属する入国審査官の判断・都合により交付されるもの(渡航文書の代替でなく証印の代替)に過ぎないため、法令上直ちに元の旅券が失効とはならない。
また、現在の日本で唯一の「住所が本人手書きで、住民票と異なる住所の記載が許容される、証明写真付きの公的な本人確認書類」である。
なお、アメリカ合衆国による沖縄統治時、沖縄県以外の46都道府県のいずれかに戸籍を置く日本国籍者が、アメリカ施政権下の沖縄県に渡航する際には、旅券ではなく、日本国政府が発行する「身分証明書」という特殊な書類を要し、逆に沖縄県に戸籍を置く日本国民(「琉球住民」)が46都道府県の日本本土へ渡航する際には、琉球列島米国民政府が発行する「日本渡航証明書」が必要であった。(出入管理庁#渡航手続・アメリカ合衆国による沖縄統治#交通)
また、北方四島交流事業において、日本政府が自国領有を主張しているもののロシア連邦により実効支配されている歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島(いわゆる北方地域)への訪問団の各個人に向けて、外務省において身分証明書が交付されるが、これも旅券ではない。
これらは、いずれも沖縄県(米国施政下からの復帰前)、小笠原諸島(東京都の一部、米国施政下からの復帰前)、北方領土(北海道の一部、ロシアによる実効支配下)、竹島(島根県の一部、韓国による実効支配下)は『日本固有の領土である』という日本国政府の国是から、これらの地域への渡航のために、旅券を発給できないからである[3]。
記載事項
一般旅券の身分事項のページ(非ICパスポートは表紙裏、ICパスポートは後述の外務大臣要請文ページの次々ページに記載)には以下の事項が記載されている。
- 型/Type - パスポート(Passport)の頭文字『P』
- 発行国/Issuing country - 『JPN』
- 旅券番号/Passport No. - パスポートの発行毎に一意に決定される識別番号。同一人物でもパスポートの再発行を受けた場合は異なる旅券番号になる。英字2桁で始まり、その後に数字7桁が続く。英字部分は、5年パスポートは『M』で始まり、10年パスポートは『T』で始まる。二文字目は発行順で変化する。
- 姓/Surname - 旧姓の併記が(括弧付き)で可能である。
- 名/Given name
- 姓名は原則としてヘボン式ローマ字(大文字)で記載。別表記が認められた場合はそれを括弧で付記 [例:SATO (SATOH/SATOU)]。2000年(平成12年)4月から長音表記 に[H]の使用が認められた[例:SATO (SATOH)][4]。また2008年(平成20年)2月からは、明確な理由・主義・理念・信条等があってその旨を申請し、申請書裏面にある誓約欄に、その後生涯氏名の表記を変更しないことを誓う署名をすれば、非ヘボン式ローマ字でも受理されるようになった[5]。
- 国籍/Nationality - 『JAPAN』
- 生年月日/Date of birth - 『DD MMM YYYY』の形式で記載(MMMは英語月名の頭3文字で、YYYYは元号ではなく西暦で表記。例えば『1954年(昭和29年)9月21日』なら『21 SEP 1954』、以下同じ。)
- 性別/Sex - 男性(Male)は『M』、女性(Female)は『F』
- 本籍/Registered Domicile - 本籍地の都道府県名のみヘボン式ローマ字(大文字)で記載(例えば「滋賀県」なら『SHIGA』と表記)
- 発行年月日/Date of issue - 『DD MMM YYYY』の形式で記載
- 有効期間満了日/Date of expiry - 『DD MMM YYYY』の形式で記載
- 所持人自署/Signature of bearer - 申請書に書いた署名が転写される
- 発行官庁/Authority - 日本国内で発行された場合は『MINISTRY OF FOREIGN AFFAIRS』(つまり外務省)、在外公館で発行された場合は、当該在外公館の英語名称)
- 機械読み取りに対応するMRPが、上記の内容で文字化されている。空港免税店で買物する時などに必要である。
- 偽造防止のため、英語の『JAPAN PASSPORT』が、マイクロ文字で全ページに記載されており、また紫外線発光インクが塗られている。
また、次のような外務大臣要請文(日本語及び英語)が、表紙裏面(非IC旅券は身分事項ページの次葉)に記載されている。
- 日本語
- 『日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助を与えられるよう、関係の諸官に要請する。 日本国外務大臣(公印)』
- 英語
- 『The Minister for Foreign Affairs of Japan requests all those whom it may concern to allow the bearer, a Japanese national, to pass freely and without hindrance and, in case of need, to afford him or her every possible aid and protection. 』
- IC旅券化されてから、身分事項の一部文字に白抜きマイクロ文字が追加されている。
- 発行国「JPN」のそれぞれ縦棒(Nは左側)に、生年月日が挿入されており、Jには西暦の下二桁、Pには月、Nには日が挿入されている。
- ICパスポートの所持人自署の上にある細かな穴は、16行16列のドットの水平、垂直のずれで情報を符号化しているようである。
- 水平方向にずれているドットをプロットすると、「JP」の2文字が現れる。
IC旅券
外務省(領事局旅券課)は2006年(平成18年)3月以降、アメリカ合衆国連邦政府の要請により、一般・公用・外交全種の旅券において、IC旅券(バイオメトリック・パスポート)を導入し、交付を開始した[6]。旅券の表紙には、IC旅券を示す世界共通のピクトグラムが表示されており、中間の厚めのページに集積回路が埋め込まれている。
2017年(平成29年)現在は、証明写真のみが電磁的記録されているが、将来的には、生体認証(虹彩認識、指紋認識、顔認識など)を利用した出入国管理を行う計画があり、現在関係省庁において実験(e-Passport 連携実証実験)及び検討が行なわれている[7]。
単にIC旅券と言った場合は、氏名・生年月日・性別・国籍・有効期限・旅券番号など、いわゆる文字情報が旅券内部に電子的に記録されているだけだが、バイオメトリック・パスポートとして知られているものは、証明写真画像をICチップに記録して、入国審査時に所持人の実画像と電子的に比較したり、さらには指紋データまで含まれているものあり、世界においてはeパスポート (e-Passport/e-passport) と呼ばれることもある。既に世界で50カ国を超える国家がバイオメトリック・パスポート(eパスポート)を導入している[8]。またIC旅券やICを搭載したIDカードを導入した地域では、自動出入国システムの設置も順次進んでいる。
日本では、2007年(平成19年)11月より、成田国際空港に訪日外国人用のJ-BIS、日本国籍や在留カード用に自動化ゲートが設置された。アジアにおいても、シンガポールのチャンギ国際空港や、シンガポールとマレーシアとの国境における自動出入国システム、香港と中国・深圳の出入境に置かれた、香港居民のための「e-channel/e-道」などがすでに運用されている。
なお、一部にある誤解とは異なり、IC旅券に電子的に査証が書き込まれる事はない。IC旅券に記録されている情報は、改竄を防ぐためからも機構的に読み出し専用である。目に見えるスタンプやシールのない査証は、査証を発行した国の入国管理当局のコンピュータネットワークに、査証情報がサーバに保存されているだけである。
一般旅券の申請
旅券は、原則として住民票のある都道府県の旅券窓口(パスポートセンター)で申請する。2006年(平成18年)以降は、旅券発給業務の市町村への移譲に伴い、地域の市役所・町村役場等が窓口になっている自治体もある(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・新潟県・岐阜県・静岡県・岡山県・広島県・愛媛県・佐賀県・熊本県など)[9]。在外日本人が海外から一時帰国者など、日本国内に住所のない者については、一時滞在地での申請が認められるなどの例外がある。申請手続の正確な情報については、当該窓口に問い合わせるか、外務省の公式サイトや各自治体のパスポート関係の情報を確認のこと。
一般に国内窓口での初申請において必要とされるものとしては、以下のものがある。
- 申請用紙 - 窓口、支庁、市・区役所・町村役場等に用意してある。2009年(平成21年)6月に申請書が改正され新様式となり、非ヘボン式・別名併記や外国式の名前を希望する場合の「非ヘボン式ローマ字氏名表記等申出書」の提出が不要になった[10][11]。旅券窓口によっては、在庫がある場合は旧様式の申請書も使用している。
- 身分を証明する文書(運転免許証等。種類は「旅券法施行規則別表第二」により、厳格に定められている。)
- 戸籍謄本・戸籍抄本(戸籍が電子データ化されている市町村では、戸籍全部事項証明書または戸籍個人事項証明書)
- 住民票の写しについては、基本的に不要である[12]。住民票が必要な場合、宮城県など、本籍地の記載を求められる場合もある。住民基本台帳ネットワークシステムに接続されていても利用を希望しない(拒否する)場合や、住基ネットへの接続拒否している個人、日本国外生まれで住基ネットに一度も載っていない人物は必要。
- 旅券用の証明写真 - 縦4.5cm 横3.5cm であるが、写っている顔の大きさや余白や背景に制限があるので、自前で撮影やプリントする際には注意すること(2006年(平成18年)3月20日以降の申請から、バイオメトリック・パスポート発給開始に伴い、申請用写真の規格が変更された)。眼鏡を使用している場合、かけたままでも構わないが、光がレンズに反射する場合等は不可である。
- 印章 - 書類への押捺を済ませていても、記載事項訂正(訂正印押捺)を要する場合に備えて認印(身分証明を印鑑証明で行なう場合は登録印章)を持参する。
なお、2009年(平成21年)3月1日以降の申請から、それまで必要だったはがきは不要となった。以前は、未使用のはがきに、宛先として住民票記載の住所及び氏名を記載したものが必要だった(家族が同時申請する場合ははがきは1枚で良かった)。発給準備が整うとこのはがきが通知として使われ、申請者はそのはがきを持参・提出して受け取る事になっていた。
申請については、本人以外でも、同居親族等本人が指定する者が代行できる(前もって申請書を入手し、指定箇所にパスポートに転写する本人の署名が必要。文字の記載が出来ない乳児の場合は、代筆者の署名も必要)が、受け取りは本人が必ず出向かなければならない。なお、申請時において未成年者(19歳以下)の申請については、親権者の同意が必要となる。
以下のようなケースでは、必要書類が異なるので確認すること。
- 国外(在外公館)で申請する場合。
- ページの残りが足りなくなった場合(増補 - 1回しか認められず、追加料金が必要。2回目からは新規発給となる)。
- 上記の場合は、住民票のある都道府県の旅券事務所に「一般旅券査証欄増補申請書」を提出する。40ページからなる増補(すべて査証用ページ)が末尾に挿入・編綴される。外国渡航の機会が多いビジネスマンなどに需要がある。
- この増補は、旅券の使用途中に行い得るだけでなく、新規発給の際に同時に手数料を上乗せし申請する(つまり最初から40ページ多い状態で発給を受ける)ことも可能である。
- 有効期限が1年前の旅券が手元にあり、新規発行する場合は、本人確認書類は不要だが、それまで発行されていた旅券の有効期限を算入することは出来無い。
なお、旅券の申請についても、インターネットにおける電子申請制度が導入されたことがあった。しかし、2005年(平成17年)度の利用が103件に留まり、財務省の予算執行調査で1件あたりの経費が1,600万円程度かかっていることなどが指摘され[13]、2006年(平成18年)に廃止された。
旅券法改正により、2006年(平成18年)以降、旅券発給業務が市町村でも可能になり、関係条例および準備が整った自治体では、住民票のある市町村役場で申請・受領を行う[14]。指定された市町村の住民については、都道府県による窓口が廃止され、市町村役場の窓口での手続きとなる[15][16]。
土曜日・日曜日も開放している窓口があるが、ほとんどは受領のみで、申請はできない。ただし、和歌山県では2010年(平成22年)より都道府県レベルでは初めて日曜日の申請を受け付けている[17]。なお、前記した旅券発給業務の市町村委譲によって、一部の市町村の住民は、土曜日・日曜日の旅券受領が出来無くなり、サービス低下につながっている側面もある。
受領
旅券の受取りに必要な書類は次の通り。申請は親族・旅行業者などによる代行申請が広く認められているが、受領に関しては(なりすましによる不正受領防止などの観点から)例え乳児や幼児など、0歳児であっても、申請者本人が直接窓口に出向き、対面で手交・受領することが必要である。
- 一般旅券受領書(申請受理時に都道府県庁の窓口において申請者(代行者含む)に交付)
- 所定の手数料(5年用が9,000円、10年用が14,000円)分の収入印紙(旅券申請窓口か郵便切手類販売所または郵便局において購入)及び2,000円分の都道府県収入証紙(運転免許試験場・警察署内交通安全協会窓口・市町村役場・旅券申請窓口などで事前購入も可能。東京都など、居住地の都道府県が収入証紙を廃止している場合は、証紙分の金額を現金にて納付する形となる。)
- 本人確認書類(運転免許証等身分証明書)
10年有効の旅券に対する申請手数料費用である『16,000円』について、収入印紙4,000円・都道府県収入証紙2,000円の『6,000円』を含めた、1年間1,000円・10年で1万円(5年有効で5,000円)掛かる、世界での在外日本人保護に掛かる費用の算定方法や妥当性について、2016年(平成28年)秋の行政事業レビューにて[18]、11月12日に外務省へ「どんな費用が掛かっているのか、国民に情報公開する様」説明を求める有識者の意見が相次いだ[19]。
旅券は、発行の日から6か月以内(民法140条の規定により発行当日不算入)に受領しないと失効する。その後、改めて発行を希望する場合は、再び新規発給申請の手続きをとる。前回受け取った申請受領書の提出を要求されることがあるが、必ずしも必要ではない。
旅券名義人が死亡した場合
旅券名義人が何らかの理由で死亡した場合は、死亡した事実が分かる書類と共に速やかにパスポートセンターへ提出及び日本国へ旅券を速やかに返納しなければならない。なお、日本国外の場合は、在外公館または日本総領事館へ持参すれば良い[20]。
旧姓併記
渡航(滞在)の便宜のため、戸籍で確認ができ、日常的に使用している外国人配偶者の姓や旧姓等をパスポートに表記することが特に必要であると認定される場合には、戸籍上の姓のヘボン式表記の後に、それを括弧書きで併記(別名併記)することを例外的に容認することがある。
ただし、この場合、別名併記はあくまでも例外的かつ便宜的な措置であることから、ICチップには記録されない[21]。なお、旧姓のみの記載ができないことから、選択的夫婦別姓制度などを求める声などがある[22]。
日本の旅券の歴史
- 1866年5月21日(慶応2年4月7日)日本初の旅券といえる「海外渡航文書」が江戸幕府より発給される[23]。
目的は修学と商業に限定され、条約締結済みの国への渡航が許可された[23]。留学経験者やフランスの役人の話を元に、1枚の和紙に墨で書かれた。写真の代わりに、容姿の特徴(身長、眼鼻口などの人相についての項目[23])が書かれていた。当時は呼称が一定しておらず、「印章」「御免の印章」「旅切手」などの名称が使われていた[23]。第1号は、旧暦慶応2年10月17日付で、パリ万国博覧会でフランスへの渡航目的で申請した、手品師・曲芸師の隅田川浪五郎に発行されている[23]。 - 1878年(明治11年)2月20日 「海外旅券規則」において初めて法的に「旅券」という用語が使われた[23]。その120年後にあたる1998年(平成10年)に、これを記念して2月20日を「旅券の日」と制定した。
- 日本において、旅券という用語が法律用語として最初に使用されたのは、明治11年(1878年)2月20日に外務卿寺島宗則が公布した、外務省布達第一号「海外旅券規則」においてである。海外旅券希望者は、姓名、年齢(何年何ヶ月)、渡航目的、渡航先、本籍又は寄留地、族称(華族・士族・平民)、職業を記載して外務省又は開港場官庁(開港場のある府県庁)に出願することを要した。 旅券は基本的に一次旅券で、一度海外に出ると帰国後は30日以内に最初に受取った官庁へ返納することが義務付けられていた(『法令全書 明治11年』193-194頁)。1878年海外旅券規則で数次旅券的扱いを例外的に認めたのは、郵船等の海員で常に旅券を要する者のみであったが、同年3月22日付けの開港場のある府県に対する外務省達送第二号によって、「清国諸港香港朝鮮国幷露領ウラシホストック、コルサコフ[樺太の大泊]港」との間を往復する者は、3年間の数次旅券が認められた(内閣記録局編『法規分類大全 第二十四巻』外交門(3)、原書房、覆刻版1977年刊、486-487頁)。その後数次旅券が認められる地域は、後述するように、より縮小された。 1897年11月15日に施行された外務省令第5号、6号によって、海外旅券を希望する者は、「開港場管庁」(開港場のある府県庁)だけではなく全国全ての「地方行政庁」(府県庁)に出願できるように変更された(加えて長崎県対馬国より韓国へ渡航する者に限り対馬島庁へ出願も可能に)(『法令全書 明治30年第10号』353-354頁、同第11号、391頁)。 1900年(明治33年)7月1日に、新たに明治33年外務省令第2号「外国旅券規則」(『法令全書 明治33年第6号』335-338頁)が施行されたことによって、1878年海外旅券規則は廃止された。1900年外国旅券規則は、「海外旅券」を「外国旅券」と改称した。その後、外国旅券規則は、同じく外務省令により1907年、1929年、1935年の3回変更された。最後の1935年の外国旅券規則は、戦後の1951年1月1日現在も依然有効な法令とされている(国立国会図書館調査立法考査局『現行(昭和26年)法令索引』大蔵財務協会、339頁)。1951年11月28日に「旅券法」が公布(同年12月1日施行)され、「外国旅券」は、単に「旅券」という名称に変更され、今日まで続いている。 さて、1900年外国旅券規則が、それ以前の1878年海外旅券規則と異なる点は次のような点である。 第一に、1878年規則では本人の本籍地や所在地を問わずどの府県にも、あるいは外務省にも申請できたが、1900年規則では、国内の出願先は、申請者の本籍地もしくは所在地(現住所)の地方上級行政庁(基本的に府県庁)に限られるようになった。外務省に出願できる制度も廃止された。 第二に、1900年規則では、申請書の記入事項として、①本籍地の記載が必須となり、本籍地と所在地とが異なるときは所在地の併記も必要となった、および②身分(戸主或は家族員の別、家族員の場合は戸主の氏名及び戸主との続柄を記載すること)の項目が追加された。 第三に、帰国後返納までの期間が6ヶ月以内と改まり、更に「領収の後六箇月以内に出発せざるときは旅券を返納すべし」と6ヶ月以内に旅券を使用しなかった場合も返納義務が生じたことである。使用可能期間の限定は、1878年海外旅券規則には存在しなかった。 第四に、数次旅券に関する広汎な規定が設けられたことである。即ち、同規則第10条は、「商業漁業其の他職業の為数次往復する者は帰国若[もしく]は帰著毎に其の旅券を返納することを要せず但し旅券領収の日より三年を過ぎて帰国若は帰著したるときは之を返納すべし」と定めた。同条は地域を特定することなく3年間の数次旅券を認めたものであったが、1905年外務省令第5号により廃止された((『法令全書 明治38年第8号』487頁)。その後、1907年外務省令第1号で、外務省告示で指定される特定地域に関してのみ3ヶ年の数次旅券を認めることとなり、具体的には、外務省告示第7号(1907年4月1日)によりロシア領サハリンと沿海州のみが認められた(『法令全書 明治40年第4号』419頁)。 なお、出願時の年齢の表記は、何年(歳)何ヶ月とするか、あるいは生年月日とするか、どちらも容認されている[24][25]。
- 1917年(大正6年)1月20日 「外国旅券規則」の改正により、パスポートへの証明写真貼付が始まった[26]。
- 1926年(大正15年)1月1日 国際的な基準に従い、パスポートが手帳型になった[27]。
- 1951年(昭和26年)11月28日 旅券法が公布され、旅券が法律によって定義されることになった。この旅券法に基づき同年12月1日に交付された「一般旅券発給申請書等の様式に関する省令」によって、従来の「外国旅券規則」は廃止された。旅券法が法律として定められたのは、渡航の制限、手数料、罰則などが新憲法下で法律事項とみなされるようになったからであった[28]。
- 1963年(昭和38年)業務渡航が自由化。翌1964年(昭和39年)に観光渡航の自由化が始まる[23]。
- 1992年(平成4年)11月1日 ICAOの基準に従い、現在の旅券サイズになり、機械読取式旅券(MRP旅券)の発給が開始される[23]。
- 1995年(平成7年)11月1日 それまでの有効期間5年間のものに加えて10年間有効の旅券も発行されるようになった。ただし、未成年者(19歳以下の日本国籍者)の場合は5年間のものしか取得できない。
- 2004年(平成16年)3月29日 岡山県で、全国初の電子申請開始。以後各県で開始される。
- 2006年(平成18年)3月20日 ICチップ内蔵型旅券「バイオメトリック・パスポート」の発給受付開始[23]。同時に、特に必要とされる場合、パスポートへの旧姓併記の基準が緩和された。2016年(平成28年)3月20日で、MRP旅券の有効期限到達により、日本国旅券は緊急旅券を除き、全てICパスポート発行になった。
- 2006年(平成18年)9月30日 電子申請終了
なお、都道府県発行の報告書に歴史が詳しく記載されている場合もある[29]。
脚注
- ↑ 1991年(平成3年)3月31日以前に発行された一般旅券では「朝鮮民主主義人民共和国を除くすべての国と地域」となっていた。
- ↑ http://www.sk.emb-japan.go.jp/jp/passport.html
- ↑ “ロシア旅行の際に査証(通称:ビザ)を得て北方四島へ訪問することは、ロシア連邦領であることを日本国民が容認することに繫がり、日本国政府の国是に反するので、出来るだけ控えて欲しい”と外務省は呼びかけている。島根県の竹島についても同様であるが、実効性が担保されていない。
- ↑ 「ONO」ではオノさんなのかオオノさんなのか判別出来ず、事故の際の身元確認に支障を来たす為。
- ↑ http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/02/2315/hihepburn.html
- ↑ http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/passport/ic.html
- ↑ http://www.cas.go.jp/jp/siryou/050114e-Passport.html
- ↑ NXP Semiconductor 「世界中で導入されるeパスポート」(2009年2月17日時点のアーカイブ)
- ↑ 2006年(平成18年)3月の改正旅券法施行に伴う、各地域法令による。
- ↑ 「一般旅券発給申請書の記入例」、2009年(平成21年)6月改正後の申請書様式 東京都パスポートセンター
その他過去の変更様式:2005年(平成17年)12月10日から罰則関係欄の事項が追加、2006年(平成18年)3月20日写真サイズ変更に伴い該当部分の説明が変更された。 - ↑ 「氏名表記例外(非ヘボン式・別名併記)や外国式のお名前を希望する場合」(2007年5月27日時点のアーカイブ), 神奈川県 一般旅券発給申請書(裏)の記入例 2009年(平成21年)8月3日
- ↑ 住民基本台帳ネットワークシステムに接続されている自治体住民は不要である。かつて、長野県では長野県知事田中康夫の方針により、住基ネットに接続していなかったため、住民票を必要としていたが、2008年(平成20年)5月以降は、住基ネットに接続し住民票は不要となり、最後まで住基ネットに接続しなかった福島県東白川郡矢祭町も、2015年(平成27年)3月30日に接続した。
- ↑ 安延申 (2006年7月13日). “利用者視点に欠けていた行政サービスの実例--パスポートの電子申請 財務省が公表、「旅券の電子申請は一件当たり費用が1600万円」”. IT PRO (日経BP)
- ↑ 静岡県のように、住所地以外の市町村役場でも申請可能な自治体もある。
- ↑ 「県内16市町村で旅券発行可能に 県行革で業務移譲」 琉球新報 2010年1月26日
- ↑ 岐阜県のように、県の窓口と市町村の窓口が選択できるところもある。
- ↑ “パスポートの日曜申請受け付け好調”. わかやま新報. (2011年8月26日)
- ↑ “秋のレビュー 11月12日(3日目)” (プレスリリース), 内閣官房, (2016年10月28日) . 2016閲覧.
- ↑ “パスポート代高い!効率化して!“行政点検”で批判”. テレ朝news (テレビ朝日). (2016年11月12日) . 2016閲覧.
- ↑ “こんな時、パスポート Q & A”. 外務省. . 2013閲覧.
- ↑ こんな時、パスポートQ&A
- ↑ 「選択的夫婦別姓・婚外子の相続分差別 Q&A」日本弁護士連合会
- ↑ 23.0 23.1 23.2 23.3 23.4 23.5 23.6 23.7 23.8 “旅券の変遷と最近の動向(海外渡航文書150周年に際して) (PDF)”. 外務省 (2016年6月). . 2016閲覧.
- ↑ 村嶋英治 (2016年). 「1890年代に於ける岩本千綱の冒険的タイ事業:渡タイ(シャム)前の経歴と移民事業を中心に(上)」、『アジア太平洋討究』26号、160-161頁. 早稲田大学アジア太平洋研究センター.
- ↑ “早稲田大学リポジトリ”. . 2018年4月25日閲覧.
- ↑ 外交史料 Q&A
- ↑ 外交史料 Q&A
- ↑ 昭和26年11月13日衆議院外務委員会
- ↑ 例・福島県の平成21年の報告書 (PDF) (2011年10月20日時点のアーカイブ)