フモール

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フモール

基本的美的範疇の一つ。ラテン語の humorに由来し,本来は湿気,体液の意。邦訳としては有情滑稽などと訳され,知的な機知 (ウイット,エスプリ) に対して感情的なものとされる。ユーモアを滑稽の一様態とみる立場が大半を占めるが,逆にユーモアを上位,滑稽を下位概念とみる立場もある。この概念が美的範疇の一つとして哲学的に深められたのは,ドイツ・ロマン主義,ドイツ観念論の美学,心理主義美学,感情移入美学などによってである。ジャン・パウルは,カント,シラーの主張した崇高概念に対して,その対立概念として提出した。リップス,コーン,フィッシャー,フォルケルトは,ユーモアは滑稽の下位概念もしくは特殊態とし,悲壮概念と対応するものとした。コーヘンは崇高の対立概念として,しかも美の根本的概念の一つとして重要視した。なおユーモア的文芸としてはアリストファネス,セルバンテス,シェークスピア,モリエール,スターン,フィールディング,ジャン・パウルらの作品があげられる。イギリス文学には「気質喜劇」 comedy of humoursという演劇ジャンルがあるが,これは体液によって性格が決定されるという理論から発したもので,特定の性格の過剰を風刺の対象とする喜劇をいう。 (体液病理学 )  



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