自衛官候補生
自衛官候補生(じえいかんこうほせい、略称「自候生」)とは、陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊において平成22年度から採用される任期制隊員(2等陸・海・空士)のうち、教育期間中の身分を自衛官の定数外としたもの。2009年10月3日に公布された防衛省設置法等の一部を改正する法律に基づき平成22年7月1日より施行され、平成23年3・4月入隊の隊員から開始された。受験年齢は入隊時点で18歳以上27歳未満の日本国籍を有する男女。2018年10月から関連規則を改正し上限年齢32歳を施行[1]。
概要
自衛隊法第41条の規定により、「隊員の採用はすべて条件附のものとし、その隊員がその職において6月を下らない期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに正式のものとなる。」と定められていることから陸自の新隊員前期教育、空自の新隊員教育、海自の練習員期間中の隊員に階級を設けず、教育終了時をもって自衛官としての身分・階級を付与したものである。任用時は2士の階級となる。
自衛官候補生の期間は、3か月を基準[2]として教育訓練に要する期間を勘案して防衛省令で定めることとされており、防衛省職員の定数外となる。候補生教育終了時に本人の希望と適性に基づき職種が決定され、その後、各部隊に臨時設置される教育隊(陸)、職種学校(陸)または術科学校(海・空)において専門教育を受けた後、それぞれの部隊に配属される。なお、航空自衛隊の場合、術科学校の定員等の関係で、先に部隊に配属されてから術科学校での教育を受ける場合もあり、直配と呼ばれる。なお音楽隊員を希望する者は採用前に、各音楽隊で実施される部隊説明会に参加し、実技試験を受ける必要がある。海空の操縦士は航空学生・防衛大学校・一般大学卒に限定しているが、陸自では陸曹航空操縦学生により自衛官候補生出身でも操縦士へコース変更が可能。
任期制自衛官として任官された隊員の初任期は自衛官候補生の期間を含め陸は2年、海・空自衛隊は3年(2任期目以降は現行任期制隊員と同じく陸海空いずれも2年)となる。
このほか、候補生教育の終了時に「任用一時金」(1任期目の任期満了手当の一部に相当)が支給されるが、自衛官に任官後1年3か月未満で退職した場合にはこれを償還しなければならない(旧来の任期制隊員にあっては退職手当の一部を「前払い」することや任期途中で依願退職した際の償還義務は設けられていなかった)。また、この任用一時金は「雑収入」に該当するため、個人で確定申告を行わなければならない。
自衛官候補生の間は階級章の代わりに「2士」と同サイズの台地に円で囲まれた桜章(このデザインは曹候補者き章(乙)に例あり)が縫い込まれたき章(自衛官候補生章)を、服務細則に基づく階級章と同様の位置に縫い付ける。
自衛官候補生の宣誓
自衛官候補生は、自衛隊法第53条及び自衛隊法施行規則第39条の2に則り、入隊時に以下のような宣誓書に署名捺印をすることが義務付けられている。
私は、自衛官候補生たるの名誉と責任を自覚し、日本国憲法 及び法令を遵守し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、知識をかん養し、政治的活動に関与せず、専心自衛官として必要な知識及び技能の修得に励むことを誓います。
教育担任部隊
- 陸上
- 海上
- 航空
処遇等
- 自衛官候補生手当(125,500円/月)
- 任用一時金(176,000円): 自衛官候補生課程を修了し2士に任官する際に支給される(任官拒否者=除隊には支給されない)。
また、任官から1年3か月未満で中途退職する場合は勤務期間に応じ以下の割合で償還しなければならない。税制上は雑所得となるため、確定申告を行う場合、個人で行う必要がある。- 任官から3か月未満: 全額
- 3か月以上7か月未満: 支給額の75%
- 7か月以11か月未満: 支給額の50%
- 11か月以上1年3か月未満: 支給額の25%
脚注
- ↑ 2018年8月28日読売新聞朝刊1面
- ↑ 海自の任期制隊員は約4か月の練習員課程の当初3か月が自衛官候補生、任用から概ね3か月後に2等海士に任命される。
- ↑ “自衛隊ニュース2017年5月1日”. 防衛ホーム新聞社. . 2018閲覧.
- ↑ 国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律について - 総務省ホームページ
- ↑ 国家公務員給与削減、特例法成立 - 朝雲新聞web