製造小売業

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製造小売業(せいぞうこうりぎょう)とは

  1. 日本標準産業分類において、大分類の卸売・小売業に含まれる一業態。おおざっぱに言えば、その場で商品を作って個人へ販売する事業所の形態。
  2. SPA(speciality store retailer of private label apparel、以下SPA)の訳語の一つ。
  3. これらの他、単行本『製造小売業革命』のように、メーカーが直接小売する業態を「あえてSPAと分けて」製造小売業と呼ぶ場合もある。

日本標準産業分類上における取り扱い

同一事業所で商品製造及び、個人への商品販売を行う形態のこと[1]。例示としては菓子屋、パン屋[2]、弁当屋、豆腐屋、調剤薬局等[3]が挙げられる。分類は取扱商品により行われる[4]ため、中分類、あるいは小分類で“製造小売業”という分類は起きておらず、細分類において製造小売とそうでないものが区分されている(以下を参照)。

  • 5861 菓子小売業(製造小売)
  • 5862 菓子小売業(製造小売でないもの)

ただし、その場で製造する形態であっても、例えば寿司屋など、飲食店で注文を受けてから商品を製造する場合、大分類Mの『持ち帰り飲食サービス業』に該当する場合がある。また、消費税の簡易課税制度における事業区分のように、基本的には産業分類に準じていながらも製造小売の区分が違う場合(この場合、製造業に区分)もある[5]

ちなみに、ここでの分類適用単位は“事業所”であり、“企業”ではない[6]。そのため、後述のSPAのように、ある企業が別々の場所に製造工場と小売店舗を持ち、商品の製造から販売まで一貫して行っている場合、製造工場が「製造業」、小売店舗が「小売業」に分類される。ちなみに、産業分類を企業に対し同じ考え方で準用することはできる[7]

なお、産業分類が統計のためのものであるため、事業当事者のもっている業態への意識とは必ずしも一致しない。

SPA

1986年GAPが自らを定義した[8]「speciality store retailer of private label apparel」という用語は、訳してみると「独自のブランドをもちそれに特化した専門店を営む衣料品販売業」、衣料品業界で販売から商品企画までを手がける、従来の日本の衣料品業界の商習慣から見て目新しい業態を指すものであったが、GAPの成功を見て、「SPA」、あるいはその訳語である「製造小売業」という用語、業態が普及するようになった。

従来、衣料品メーカーで製造された商品は百貨店などで委託販売されるのが主流であり、その場合多めに仕入れて売れ残りは返品するという商習慣が一般的であった。これに対し、衣料品等の販売から製造(開発)までを単一の業者が行う業態のことをSPAと言う。日本では小売業が企画・製造に進出する場合のほか、衣料品メーカー(製造卸)が自らブランドを確立し小売に進出する場合もSPAと呼ばれている。なお、商品企画・製造と小売とを結びつける物流その他の機能は「製造小売」業者が自ら手がけなくても「SPA」であり、製造について外注としているSPAは少なくない。

SPAの訳語としては他に、「総合製造小売業」「企画製造小売業」「製造型小売業」など、「製造」の意味を弱めたものもある。

ちなみに、SPAを営む企業へ日本標準産業分類を準用するのであれば、企業の持つ各部門における付加価値額あるいは産出額が一番大きい部門の業態へ、当該企業は分類されることになる[9]

その他

「タイヤ直販はSPAとは異なる製造小売業である」とする単行本も出版されている。

脚注

  1. 「製造した商品をその場所で個人又は家庭用消費者に販売する」日本標準産業分類 大分類I-卸売業,小売業 総説 小売業 2.(2)より
  2. 日本標準産業分類(平成19年改定)
  3. 商業統計(経済産業省)
  4. 日本標準産業分類 大分類I-卸売業,小売業 総説 小売業 1を参照
  5. 消費税法基本通達 第13章2節
  6. 産業分類上における事業所の定義は、日本標準産業分類一般原則 第2項を参照されたい
  7. 日本標準産業分類一般原則 第5項
  8. speciality store retailer of private label apparel という言い回しの初出については、会長が自ら口にしたなど諸説ある。
  9. 日本標準産業分類一般原則 第6項を準用

関連項目

参考資料