Y染色体アダム
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Y染色体アダム(Yせんしょくたいアダム)とは、Y染色体の系譜を遡った場合に、人類共通の男系祖先とみなせる概念上の人物である[1]。
ヒトのY染色体は男性から男性へと遺伝する。通常、Y染色体は男性の細胞核中に1本単独で存在し、相同染色体対を作らず、擬似常染色体領域と呼ばれる一部の領域を除いて、染色体の乗換えは起きない。このことから、Y染色体の特異的な領域(MSY, male specific region of Y chromosome)に生じている突然変異を特定することで、「人類共通の男系祖先」が一人に収斂する年代が推定されている。
「人類共通の男系祖先」であるY染色体アダムは、20-30万年前の一人だと推定される[2]。これはミトコンドリア・イブの年代とおおむね一致している。これは、それ以前にY染色体がなかったということを意味するのではなく、Y染色体は何十万年も前から存在していたが、そのほとんどは、途中で絶えてしまい、今もなお存在しているもののなかで一番古いものは20-30万年前のものだ(このアダムと同世代の他の男性は、いずれも男系子孫を残していない)、というだけのことである。現時点のY染色体は、数万年もたてば、すべて滅びてしまう。そして未来における何らかのY染色体をもつ誰かが、数万年後の世界にとってY染色体アダムとなる。
現生人類で確認されている最も古い系統であるハプログループA00が27万年前に遡る[3][4]とされていることは、Y染色体アダムの年代と合致する結果である。 テンプレート:Y-DNA
脚注
- ↑ Underhill et al. 2000.
- ↑ Karmin, Monika, et al. (2015). “A recent bottleneck of Y chromosome diversity coincides with a global change in culture” (PDF). Genome research. doi:10.1101/gr.186684.114 . 2015閲覧..
- ↑ Karmin, M.; Saag; Vicente; Wilson Sayres (2015). “A recent bottleneck of Y chromosome diversity coincides with a global change in culture”. Genome Research 25 (4): 459–66. doi:10.1101/gr.186684.114. PMC 4381518. PMID 25770088 .
- ↑ Trombetta, B.; D'Atanasio; Massaia; Myres; Scozzari; Cruciani; Novelletto (2015). “Regional Differences in the Accumulation of SNPs on the Male-Specific Portion of the Human Y Chromosome Replicate Autosomal Patterns: Implications for Genetic Dating”. PLOS ONE 10 (7): e0134646. doi:10.1371/journal.pone.0134646. PMC 4520482. PMID 26226630 .
参考文献
- Peter A. Underhill et al. (2000). “Y chromosome sequence variation and the history of human populations” (PDF). Nature Genetics 26: 358 - 361. doi:10.1038/81685. ISSN 1061-4036 . 2015閲覧..