大山悠輔
大山 悠輔(おおやま ゆうすけ、1994年12月19日 - )は、茨城県下妻市出身のプロ野球選手(内野手、外野手)。右投右打。阪神タイガース所属。
Contents
経歴
プロ入り前
下妻市立宗道小学校1年生時に軟式野球チーム「宗道ニューモンキーズ」に入団、投手兼内野手として野球を始め、下妻市立千代川中学校では軟式野球部に所属[1]。つくば秀英高等学校への進学後は、1年時から投手兼遊撃手をつとめ、通算27本塁打を放った[1]。2学年上に塚原頌平、同学年に中塚駿太がいたが、在学中には春夏とも甲子園球場での全国大会に出場できなかった。
高校からの卒業後は、中塚と共に白鴎大学へ進学。大学では、1年時の春から三塁手として公式戦に出場しリーグのベストナインを獲得。2年秋にも三塁手としてベストナインに輝き、4年春には打率.417、リーグ新記録の8本塁打、同タイ記録の20打点を達成。本塁打王と打点王を獲得し3度目のベストナインに選出された[2]。同年夏には第40回日米大学野球選手権大会の日本代表に選出、全5試合に「4番・三塁手」としてスタメン出場するも、15打数2安打1打点に終わった。後述のドラフト指名時点で、リーグ戦で通算98試合に出場。119安打、16本塁打、93打点[3]を記録している。
2016年のNPBドラフト会議で、阪神タイガースから1位指名を受ける。年俸1,500万円、契約金1億円に出来高分5,000万円(金額は推定)を加えた最高条件で入団した[4]。背番号は、関本賢太郎の現役引退(2015年)から空番として扱われていた3。このドラフト会議では、同級生の中塚も、埼玉西武ライオンズからの2巡目指名を経て入団している[5]。
なお、ドラフト会議での指名直後には、白鴎大学の4番打者として関東地区大学野球選手権へ出場。1回戦では、初回に逆転2ラン本塁打を放った[6]。2回戦では、延長10回のタイブレークから一死満塁で迎えた打席で三振に倒れたため、チームは明治神宮野球大会への出場を逃した[7]。
阪神時代
2017年6月23日の対広島東洋カープ戦(マツダスタジアム)5回表に代打で一軍公式戦にデビュー[8]。「5番・一塁手」でスタメン出場した7月1日の対東京ヤクルトスワローズ戦(甲子園球場)では、原樹理からの決勝本塁打で公式戦初安打・初打点を記録。阪神の新人選手が一軍公式戦初安打を本塁打で記録したのは1987年の八木裕以来30年振り7人目であった[9]。7月25日の対横浜DeNAベイスターズ戦では、一軍公式戦初のクリーンアップ(3番打者)に起用[10]。9月1日の対中日ドラゴンズ戦(甲子園)では、一軍公式戦で球団史上101人目の4番打者に抜擢された[11][12]、さらに、翌2日の同カードでも4番打者に起用されると、シーズン6号本塁打を放った。阪神の新人選手が一軍公式戦で4番打者としてスタメン起用されたのは1964年の富恵一以来53年振り[13]で、本塁打を放った事例は、球団創設2年目の1937年以降では初めてあった[11]。以降の試合でも、4番打者としてスタメンに定着。レギュラーシーズンの最終戦だった10月10日の対中日戦(甲子園)では、プロ入り後初めて二塁手として出場すると、シーズン7号ソロ本塁打を放つなどの活躍で4打点を挙げた[14]。チームのシーズン2位で迎えた3位DeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージでは、「5番・一塁手」として全3試合にスタメンで出場。10月15日の第2戦では、本塁打を含む4打席連続安打を記録した。CSに出場した新人選手としては初めての記録で、阪神の新人選手によるCSでの本塁打も初めてであったが、三塁打を放てなかったためCS史上初のサイクルヒット達成までには至らなかった[15]。なお、チームはファーストステージで敗退したものの、大山は全試合で安打を記録。ステージ通算で13打数7安打4打点という好成績を残した[16]。このような活躍を背景に、シーズン終了後の契約交渉では、推定年俸2,500万円(前年から1,000万円増)という条件で契約を更改した[17]。
2018年には、日本代表のトップチームへ初めて選ばれる[18]とともに、オーストラリア代表との強化試合(全2試合)に出場した(詳細後述)。
選手としての特徴
打撃
長打力に優れ、直球への強さや打席での対応力への評価が高い[19][20][21][22]。阪神への入団当初は、スイングが波打ったり、フォロースルーで伸び上がったりするなどの悪癖が見られたが、一軍監督・金本知憲の方針でオープン戦の途中から二軍へ回ると、当時の二軍監督・掛布雅之の指導で悪癖を改善[23]。シーズン後半からの一軍定着につなげた[24][25][26]。
守備
遠投で110mを記録する強肩を有し、質の高いスローイングを持ち味とする[27][28]。
大学時代に三塁手のレギュラーに定着して以降はメインポジションを三塁としているが、ユーティリティ性も持ち併せており、学生時代の対外試合では捕手以外の全てのポジションを経験した他[29][30]、プロ入り1年目の2017年には、大山の打力を生かそうとするチーム方針の下に、一軍の公式戦で一塁手・二塁手・左翼手・遊撃手として出場。ウエスタン・リーグ公式戦でも、1試合で遊撃の守備に就いた[31]。
このことから、2017年シーズン終了後には、この年遊撃手から三塁手へコンバートされた鳥谷敬がゴールデングラブ賞を獲得するなど三塁のレギュラーの座を確保したこと、メインポジションが一塁であるウィリン・ロサリオが4番打者候補として新たに入団したことなどを背景に、首脳陣は鳥谷、ロサリオらとの同時起用を見越して大山を二塁手、遊撃手として起用することを検討。大山も、2017年シーズン終了後の秋季キャンプでは遊撃[32]、2年目の春季キャンプ中盤までは二塁の守備を本格的に練習していた[33]。しかし、不慣れなポジションでの守備が打力に悪影響を及ぼす可能性を首脳陣が憂慮したことから[34]、結局、鳥谷を二塁手へ再コンバートし、大山を本職の三塁手として起用する方針へ変更した[35]。
評価
阪神1年目の2017年には、一軍公式戦の出場が75試合にとどまったにもかかわらず、セントラル・リーグ新人王選考の記者投票で京田陽太(中日内野手)の208票に次ぐ49票を獲得。新人特別賞を受賞した濵口遥大(DeNA投手)の27票を上回った[36]。
2017年から野球日本代表トップチームの監督を務める稲葉篤紀からも、守備力の高さ、複数のポジションを守れる器用さ、打席で初球から振りに行くほどの積極性、打席で不利なカウントへ追い込まれても簡単に三振しないほどの粘り強さなどを高く評価され、2018年のレギュラーシーズン開幕前には、オーストラリア代表との強化試合に向けて、チームメイトの石崎剛と共に日本代表のトップチームへ選ばれた。大山のトップチーム選出は初めてで、阪神の野手が日本代表のトップチームへ選出された事例は、2013年の第3回WBCの代表チームに鳥谷が選出されて以来5年振りである[37]。
詳細情報
年度別打撃成績
年 度 |
球 団 |
試 合 |
打 席 |
打 数 |
得 点 |
安 打 |
二 塁 打 |
三 塁 打 |
本 塁 打 |
塁 打 |
打 点 |
盗 塁 |
盗 塁 死 |
犠 打 |
犠 飛 |
四 球 |
敬 遠 |
死 球 |
三 振 |
併 殺 打 |
打 率 |
出 塁 率 |
長 打 率 |
O P S |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017 | 阪神 | 75 | 221 | 198 | 25 | 47 | 10 | 2 | 7 | 82 | 38 | 2 | 2 | 1 | 1 | 18 | 0 | 3 | 41 | 4 | .237 | .309 | .414 | .723 |
NPB:1年 | 75 | 221 | 198 | 25 | 47 | 10 | 2 | 7 | 82 | 38 | 2 | 2 | 1 | 1 | 18 | 0 | 3 | 41 | 4 | .237 | .309 | .414 | .723 |
- 2017年度シーズン終了時
年度別守備成績
年 度 |
球 団 |
一塁 | 二塁 | 三塁 | 外野 | ||||||||||||||||||||
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試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 | ||
2017 | 阪神 | 47 | 301 | 22 | 0 | 33 | 1.000 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1.000 | 10 | 4 | 14 | 4 | 1 | .818 | 16 | 17 | 0 | 0 | 0 | 1.000 |
通算 | 47 | 301 | 22 | 0 | 33 | 1.000 | 1 | 0 | 1 | 0 | 1 | 1.000 | 10 | 4 | 14 | 4 | 1 | .818 | 16 | 17 | 0 | 0 | 0 | 1.000 |
- 2017年度シーズン終了時
記録
- 初記録
- 初出場・初打席:2017年6月23日、対広島東洋カープ10回戦(MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島)、5回表にランディ・メッセンジャーの代打で出場、クリス・ジョンソンから空振り三振
- 初先発出場:2017年6月29日、対中日ドラゴンズ12回戦(ナゴヤドーム)、6番・一塁手で先発出場
- 初安打・初打点・初本塁打:2017年7月1日、対東京ヤクルトスワローズ11回戦(阪神甲子園球場)、3回裏に原樹理から左越3ラン
- 初盗塁:2017年7月19日、対広島東洋カープ14回戦(阪神甲子園球場)、6回裏に二盗(投手:中田廉、捕手:會澤翼)
背番号
- 3 (2017年 - )
- 8 (2018年 侍ジャパン強化試合)
登場曲
代表歴
- 2016年 第40回日米大学野球選手権大会日本代表
- 2018年 ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018
脚注
- ↑ 1.0 1.1 阪神ドラ1大山が宣戦布告 内野戦争「割って入る」 日刊スポーツ 2016年11月8日
- ↑ 阪神ドラ1大山 三塁奪う!キャンベルに宣戦布告 体力測定で大器片りん スポニチアネックス 2017年3月19日閲覧
- ↑ 阪神びっくり1位 白鴎大・大山、鉄人魂の持ち主だ 日刊スポーツ 2017年3月19日閲覧
- ↑ 阪神ドラ1大山が宣戦布告 内野戦争「割って入る」 日刊スポーツ 2017年3月19日閲覧
- ↑ 白鴎大・中塚「こんなに早いとは」西武から2位指名 日刊スポーツ 2016年12月5日閲覧
- ↑ 阪神ドラ1の白鴎大・大山が逆転2ラン!ドラフト後初アーチ デイリースポーツ 2016年12月5日閲覧
- ↑ 阪神ドラ1の白鴎大・大山、神宮大会出場ならず 2回戦タイブレークで敗れる デイリースポーツ 2016年12月5日閲覧
- ↑ 阪神ドラフト1位大山、プロ初打席は空振り三振日刊スポーツ 2017年6月23日閲覧
- ↑ 阪神ドラフト1位大山 連敗脱出弾!新人プロ初安打弾は“神様”八木以来30年ぶり スポーツニッポン 2017年7月1日閲覧
- ↑ 阪神ドラフト1位大山、初3番スタメン 今永撃ちで存在感日刊スポーツ 2017年7月27日閲覧
- ↑ 11.0 11.1 阪神新4番大山の打撃に金本監督絶賛「大したもん」日刊スポーツ 2017年9月11日閲覧
- ↑ 大山、4番抜てき ドラフト制度後の新人では初日刊スポーツ 2017年9月1日閲覧
- ↑ 阪神 大山が先制タイムリー、新人のスタメン4番は53年ぶりデイリースポーツ 2017年9月1日閲覧
- ↑ 阪神・大山、二塁で初先発&4打点大活躍「チームのためにやるだけサンケイスポーツ 2017年10月16日閲覧
- ↑ 【阪神】大山、CSで新人初の4安打スポーツ報知 2017年10月16日閲覧
- ↑ 阪神大山またマルチ、強烈のCS打率5割3分8厘日刊スポーツ 2017年10月18日閲覧
- ↑ 大山は1000万増の2500万円でサイン「1年間、一軍で出られるように」デイリースポーツ 2017年11月28日
- ↑ ENEOS侍ジャパンシリーズ2018「日本対オーストラリア」日本代表出場選手野球日本代表公式サイト 2018年2月20日閲覧
- ↑ 阪神ドラ1大山の打撃に高評価 掛布2軍監督が絶賛するポイントは Full-Count 2017年1月13日
- ↑ 田尾氏、阪神・大山の打撃に「ちょっと引っ張りすぎ」 Baseball King 2017年9月26日
- ↑ 大山、長打力アピール=プロ野球・阪神 時事ドットコム 2018年2月3日
- ↑ 阪神大山3の3で10割発進「対応力高い」金本監督 日刊スポーツ 2018年2月8日
- ↑ 【野球】阪神期待の和製大砲・大山、新打撃フォーム完成間近 デイリースポーツ 2017年5月19日
- ↑ 阪神・大山、フリー打撃で7発!打たれた秋山は白旗「打ちすぎや」 SANSPO.COM 2018年2月5日
- ↑ 阪神・大山を立浪和義氏が分析 若き4番に語る「リセット」の重要性 (週刊ベースボールONLINE) SportsNavi 2017年11月10日
- ↑ 阪神新4番大山の打撃に金本監督絶賛「大したもん」 日刊スポーツ 2017年9月3日
- ↑ 阪神ドラフト1位大山 阪神大山強肩に絶賛 金本監督「捕ったら心配ない」日刊スポーツ 2017年2月3日閲覧
- ↑ 阪神ドラフト1位大山 “大山田”化計画 二遊間から打って守れる4番へスポニチアネックス 2017年3月19日閲覧
- ↑ 2016年プロ野球ドラフト スポニチアネックス 2017年3月19日閲覧
- ↑ 大山ショート構想浮上 肩強く、送球も安定 足の動き身につけばいけるデイリースポーツ 2017年4月11日閲覧
- ↑ 阪神大山、初の外野守備は無難も打撃には課題 日刊スポーツ 2017年6月19日閲覧
- ↑ 阪神・大山 今度は遊撃挑戦「やるからにはモノにしたい」スポーツニッポン 2017年11月17日閲覧
- ↑ “阪神鳥谷が二塁で早出特守 今春からコンバート”. 日刊スポーツ. (2018年2月15日) . 2018-2-16閲覧.
- ↑ “鳥谷 二塁守った 大山が慣れない二塁で悩んだら…三塁と入れ替え布陣”. スポーツニッポン. (2018年2月7日) . 2018-3-7閲覧.
- ↑ “【阪神】鳥谷・二塁&大山・三塁で決定 金本監督が新布陣明言”. スポーツ報知. (2018年2月11日) . 2018-3-閲覧.
- ↑ 2017年度 表彰選手 投票結果(最優秀新人)NPB日本野球機構 2017年11月21日閲覧
- ↑ 阪神大山が侍J選出 稲葉監督も高評価「初球からドンドン振っていける」 FullCount 2018年2月21日