中心市街地活性化
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中心市街地活性化(ちゅうしんしがいちかっせいか)とは、都市の中心市街地を活性化しにぎわいを取り戻そうとする政策、事業。
背景
地方都市の中心市街地において、居住人口の減少に加え、空き店舗の増加等の商業機能の劣化が著しく、そのにぎわいを取り戻そうという気運が1990年代初めから見られる。
従来は、中心商店街の衰退への対策という側面が強調され、商業活性化政策として中心市街地活性化が論じられる傾向があった。しかしながら、単に商店街の物的な環境整備やイベントを行う等の既存の対策では不十分で、都市交通や土地利用の誘導も含めた都市のあり方そのものから見直していくべきとの議論が主流になりつつある。また、景観という観点も重要性を増している。
こうした状況のもと、1998年にまちづくり3法(改正都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法の3つの法律)が制定され、中心市街活性化への政策支援が強化された。
状況
全国で117市が120地域において中心市街地活性化法に定める「基本計画」を提出している。(2013年11月29日現在)
2004年9月15日の総務省の「中心市街地の活性化に関する行政評価・監視」(評価・監視結果に基づく勧告)によると、全国121市町の中心市街地活性化の状況を把握・分析した結果、
- 人口・商店数・年間商品販売額・事業所数・事業所従業者数のいずれの統計指標をみても数値が減少している市町が大半
- 統計指標の市町全体に占める中心市街地の占有率が低下している市町が大半
- 人口・商店数・年間商品販売額の3つを合わせてみると、占有率が低下している市町が多数
であり、中心市街の活性化が図られていると認められる市町は少ない状況にあるとしている。
特徴
中心市街地活性化に当たっての特徴は以下のとおり。
- 総合的な取り組み
- 中心市街地活性化の対象は、都市計画、商業、道路・交通、環境など行政の幅広い分野にわたることから、地方自治体内の関係部局が連携した総合的な取り組みが必要である。
- 「改正都市計画法」は建設省(当時)、「大店立地法」は通商産業省(同)と所管が分かれている。地方自治体においても、都市計画と商業振興(又は産業振興)と、この縦割を受け継いでおり、中心市街地活性化に有効に対応しにくいのではないかと指摘された。
- 首長のリーダーシップ
- 都市計画を実施するには一定の範囲で私権の制限という問題に至る。商業者だけでなく、居住者、地権者、交通関係事業者、金融機関など関係者の合意を形成し、一定の方向に導いていくことが期待されるが、地方自治体の首長が強いリーダーシップを発揮しない限り、問題は解決し得ない。
- 自治体間の協議の仕組み
- 商業の影響力は市町村の行政界とほとんど関係なく及ぶ。一方、都市政策は市町村単位、都道府県単位で推進されており、地方自治体間の調整の不十分さが指摘されてきた。このため、大規模な集客施設の立地について、周辺市町村が土地利用計画等に重大な影響があると判断したときには、当該市町村と周辺市町村との間で立地の可否に関する広域協議ができる仕組みが必要と指摘されてきた。現実に、中心市街地活性化を推進している都市の近郊の町村において、独自に大型店の誘致を図ろうとする動きも東北地域には見られる。
- 都市のマスタープラン
- 本来、都市のマスタープランがあって、その土地利用計画をベースに、中心市街地活性化やまちづくりへの影響などを考慮して開発許可を運用するのが本来の姿と言える。都市計画マスタープラン(都市マス)もつくられてはいるが、どちらかというと現状追認になっている。
参考文献
- 『シャッター通り再生計画――明日からはじめる活性化の極意』 ミネルヴァ書房、2010年。ISBN 978-4623057177。