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[[File:Prevailing world religions map.png|thumb|450px|[[w:List of religious populations|世界の主な宗教及び宗派]]の地図]]
 
'''宗教'''(しゅうきょう、{{lang-en-short|religion}})とは、一般に、人間の力や[[自然]]の力を超えた存在を中心とする[[観念]]であり<ref name="jiten">『世界大百科事典』 231頁。</ref>、また、その観念体系にもとづく[[教義]]、[[儀礼]]、[[施設]]、[[組織 (社会科学)|組織]]などをそなえた[[社会集団]]のことである。
 
<ref>村上重良『世界宗教事典』p.4</ref><ref>『世界大百科事典』 234-235頁。</ref>。
 
  
==宗教の広がり==
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'''宗教'''(しゅうきょう、{{lang-en-short|religion}}
世界の宗教の信者数は、[[キリスト教]]約20億人(33.0%)、[[イスラム教]]([[イスラーム]])約11億9,000万人(19.6%)、[[ヒンドゥー教]]約8億1,000万人(13.4%)、[[仏教]]約3億6,000万人(5.9%)、[[シク教]]約3,000万人、[[ユダヤ教]]約1,400万人(0.2%)、その他の宗教約9億1,000万人(15.0%)、[[無宗教]]約7億7,000万人(12.7%)である<ref>計60億5,505万人(2000年)。出典は『朝日新聞データ年鑑 ジャパン・アルマナック2006』朝日新聞社、2005年、p247。ただし同書の当該部分はオックスフォード大学出版局発行 ''World Christian Encyclopedia'' を再引用したもの。</ref>。
 
 
 
一般に、キリスト教、イスラム教、仏教は'''[[世界宗教]]'''とよばれ、人種や民族、文化圏の枠を超え広範な人々に広まっている<ref>『世界大百科事典』 233頁。</ref>。また、特定の地域や民族にのみ信仰される宗教は'''[[民族宗教]]'''と呼ばれ、ユダヤ教や[[神道]]、ヒンドゥー教<ref>ヒンドゥー教はヒンドゥー(文化圏としての[[インド]])の人々にのみ信仰されているが、さまざまな語族にまたがる数多くの人々に信仰されている([[南アジア]]および[[東南アジア]]の[[バリ島]]が含まれる。なお、これらの地域にはイスラム教や仏教も伝わっている)。</ref>などがこれに分類される。
 
 
 
==語源==
 
[[日本語]]の「宗教」という語は、仏教学者の[[中村元 (哲学者)|中村元]]によると、仏教に由来する。仏教において、「宗の教え」、つまり、究極の原理や真理を意味する「宗」に関する「教え」を意味しており、仏教の下位概念として宗教が存在していた<ref name="岩井">岩井洋 「日本宗教の理解に関する覚書」関西国際大学研究紀要第5号、2004年</ref>。[[幕末]]期に'''Religion'''の訳語が必要となって、今でいう「宗教」一般をさす語として採用され、[[明治]]初期に広まったとされている。宗教は、キリスト教をイメージする用語として受容され、日本人の宗教のイメージに大きな影響を及ぼした<ref name="岩井"/>。
 
 
 
原語のほうの英語 Religion は[[ラテン語]]の'''religio'''から派生したものである。religioは「ふたたび」という意味の接頭辞reと「結びつける」という意味のligareの組み合わせであり、「再び結びつける」という意味で、そこから、神と人を再び結びつけること、と理解されていた<ref>「神と人を再び結びつけること」という理解は神学者[[ラクタティウス]]の述べた説明による。ただし、このラクタティウスの説明は言語学的には正しいとは認められていないともする書もある(石井研士『手に取るように宗教がわかる本』かんき出版、 2002、ISBN 4761259884 p.24)。</ref>。
 
 
 
[[磯前順一]]によれば<ref>磯前順一 『近代日本の宗教言説とその系譜』</ref>、Religionの語が最初に翻訳されたのは[[日米修好通商条約]](1858年)においてであり、訳語には「宗旨」や「宗法」の語があてられた。他にもそれに続く幕末から明治初頭にかけての間にもちいられた訳語として、「宗教」、「宗門」、「宗旨法教」、「法教」、「教門」、「神道」、「聖道」などが確認できるとする。このうち、「宗旨」、「宗門」など宗教的な実践を含んだ語は「教法」、「聖道」など思想や教義の意味合いが強い語よりも一般に広くもちいられており、それは多くの日本人にとって宗教が実践と深く結びついたものであったことに対応する。「宗教」の語は実践よりも教義の意味合いが強い語だが、磯前の説ではそのような訳語が最終的に定着することになった背景には、日本の[[西洋化]]の過程で行われた外交折衝や、エリート層や知識人の価値観の西欧化などがあるとされる。
 
 
 
「宗教」の語は[[1869年]]に[[北ドイツ連邦|ドイツ北部連邦]]との間に交わされた修好通商条約第4条に記されていたReligionsübungの訳語に選ばれたことから定着したとされる<ref>その修好通商条約の第4条の訳文は右のとおり 「日本在住の独乙臣民は自国の宗教を自由に行うの理あるべし」</ref><ref>[[石井研士]] 同著 p.24</ref>。また、多くの日本人によって「宗教」という語が 現在のように"宗教一般" の意味でもちいられるようになったのは、[[1884年]](明治17年)に出版された辞書『改定増補[[哲学字彙]]』([[井上哲次郎]])に掲載されてからだともされている。
 
 
 
==定義==
 
「宗教とは何か」という問いに対して、宗教者、哲学者、宗教学者などによって非常に多数の宗教の定義が試みられてきた<ref>村上重良 『世界宗教事典』 pp.3-4。</ref>とされ、「宗教の定義は宗教学者の数ほどもある」といわれる<ref>小口偉一・堀一郎 『宗教学辞典』 東京大学出版会、pp.255-263「宗教」。</ref><ref name="jiten"/>とされる。代表的なものだけを取り上げただけでもかなりの数になる<ref>『宗教学辞典』</ref>とされ、例えば、{{仮リンク|ジェームズ・リューバ|en|James H. Leuba}}の著書<ref>Leuba, J. H. (1912). ''The psychological study of religion:Its origin, function, and future.'' New York:Macmillan. (かつて日本語訳が刊行されたことあり。リューバ 『宗教の心理学的研究』 同文館、昭和2年)。</ref>の付録には48の定義およびそれに関するコメントが書かれており、日本の文部省宗務課がかつて作成した「宗教定義集」<ref>文部省宗務課編1961「宗教定義集」pp.154-173</ref>でも104の定義が挙げられている<ref>『宗教学辞典』</ref>といい、その気になればさらに集めることも難しくはない<ref>『宗教学辞典』</ref>という。
 
 
 
===リューバによる定義の分類===
 
アメリカの心理学者であるリューバは宗教についての多数の定義を三つのグループに分類している。すなわち、主知的(intellectualistic)な観点からの定義、主情的(affectivistic)な観点からの定義、主意的あるいは実践的(voluntaristic or practical)な観点からの定義の3つである<ref>『宗教学辞典』</ref>。<!--心理学者の定義をメインに据えることはあまり望ましくないかもしれません-->
 
 
 
;主知的な観点からの定義
 
:代表例で古典的な定義の例としては[[フリードリヒ・マックス・ミュラー|マックス・ミューラー]]による「無限なるものを認知する心の能力」が挙げられる。比較的近年のそれでは、[[クリフォード・ギアツ]]による「存在の一般的秩序に関する概念の体系化」がある。
 
;主情的な観点からの定義
 
:[[フリードリヒ・シュライアマハー|シュライエルマッハー(F.E.D.)]]による「ひたすらなる依存感情」。マレット(Marett, R.R.)なども他の学者などにみられる合理主義な観点を批判しつつ、宗教の原型を情緒主義(emotionalism)から論じた<ref>『宗教学辞典』</ref>という。
 
;主意的あるいは実践的な観点からの定義
 
:[[コルネーリス・ティーレ|C.P.ティーレ]]による「人間の原初的、無意識的、生得的な無限感覚」というものがある。
 
 
 
『世界宗教事典』では上記のリューバの分類・分析を踏まえ、また、宗教を成立させている基本要素が超絶的ないし超越的存在(神、[[仏]]、[[法 (仏教)|法]]、[[原理]]、[[道 (哲学)|道]]、[[霊]]など)をみとめる特定の観念であることを踏まえつつ、宗教とは人間の力や自然の力を超えた存在を中心とする観念であり、その観念体系に基づく教義、儀礼、施設、組織などをそなえた社会集団である<ref>村上重良 『世界宗教事典』 p.4。</ref>とまとめている。
 
 
 
『世界宗教事典』での上記の定義のまとめに沿って、もう少し具体的な例も含めて示せば<ref>包括的用語からより具体的な用語へとwikipedia内のリンクをたどりつつ読み進めたい読者を配慮して、具体例の中でも代表的なものを示したものである。</ref>、宗教とは、超越的存在(神、仏、法、原理、道、霊など)についての信念、超越的なものと個人の関係、超越的なものに対する個人の態度([[信仰]]など)、信仰に基づいた活動([[礼拝]]、[[巡礼]]など)、組織・制度([[教会]]、[[寺社]]制度など)、[[信者]]の形成する社会、施設([[教会堂]]、[[モスク]]、[[寺院]]など)等々である。
 
 
 
=== そのほかの定義 ===
 
*[[広辞苑]]では、神または何らかの超越的絶対者あるいは神聖なものに関する信仰・[[行事]]、との定義を掲載した<ref>広辞苑 第五版 pp.1254-1255</ref>。
 
*[[宗教法人]]格を取得している物を宗教とする定義もあり、一般社団法人である「[[実践倫理宏正会]]」や「[[倫理研究所]]」、公益財団法人である「[[モラロジー研究所]]」、公益社団法人である「調和道協会」などは「宗教ではない」という立ち位置である。逆に、法律上は宗教法人でありながら「宗教ではない」という立場をとる団体には「[[崇教真光]]」、「[[世界真光文明教団]]」、「道ひらき」などがある。
 
 
 
==宗教の歴史==
 
{{main|宗教史}}
 
 
 
==宗教の表現形式==
 
宗教はさまざまな表現形式を通して時間や空間を超えて伝えられている。神話や伝説、教典の内容や教義は口伝や詠唱、詩、書物を通して伝えられる。また、通過儀礼や年中行事などの儀礼を通して伝えられる場合や、生活習慣や文化の中に織り込まれる場合もある。食事の際に生産者や自然に感謝をする場合などがこれにふくまれる。
 
 
 
また、絵画や彫刻などの芸術、音楽、舞踏、建築などを通して伝えられる場合もある。
 
 
 
==宗教の大分類==
 
*[[一神教]]と[[多神教]]、[[汎神論]]
 
*[[民族宗教]]と[[世界宗教]]
 
*[[伝統宗教]](既成宗教)と[[新宗教]](新興宗教)
 
*[[自然宗教]]と[[創唱宗教]]
 
*[[アニミズム]]・[[アニマティズム]]・[[シャーマニズム]]・[[トーテミズム]]
 
 
 
==各国の宗教概況==
 
{{Seealso|Category:各国の宗教}}
 
 
 
==一覧==
 
*[[宗教一覧|世界の宗教の一覧]]
 
*[[神の一覧]]
 
*[http://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/hakusho_nenjihokokusho/shukyo_nenkan/index.html 文化庁による日本の宗教団体データ]
 
 
 
==世界での主な宗教問題==
 
*[[聖地]]をめぐる争い([[エルサレム]]など)
 
*[[宗教戦争]](異教徒間、異宗派間で、時として[[戦争]]や[[紛争]]を引き起こすことがあり、このような問題が狭い区域の宗教的多数派の住民と宗教的少数派の住民の間に発生した場合、[[ヘイトクライム]]の形をとることが多い)
 
*[[社会主義]]や[[共産主義]]を標榜する国家による宗教に対する弾圧([[中国]]、[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]など)
 
*[[セクト]]問題
 
*[[カルトの集団自殺]]
 
 
 
==日本の主な宗教問題==
 
*[[政教分離]]の原則とその解釈、適用範囲
 
**[[靖国神社問題]]
 
**キリスト教徒の自衛隊員の護国神社合祀、およびその遺族による取り下げ要求の拒否
 
**[[自由民主党 (日本)|自民党]]・[[国民民主党 (日本 2018-)|国民民主党]]の支持団体に宗教団体が含まれる問題
 
**[[世界基督教統一神霊協会|統一教会]]と一部の[[保守]]政治家(自民党・国民民主党など)の関係
 
**[[公明党]]と[[創価学会]]が政教一致であるとされる問題
 
**[[宮津市清め塩啓発問題]]
 
*宗教と学校教育([[教育基本法]]九条の改正をめぐる議論など)
 
*信教の自由と[[人権]](人権尊重と人権侵害をめぐる議論、あるいは新宗教をいかに処遇するかについての議論、[[エホバの証人]]の[[輸血]]・武道教育拒否問題に見られる子どもの人権と教義の衝突など)
 
*一部の宗教団体、およびその構成員による触法・犯罪行為([[オウム真理教]]、[[キリスト教福音宣教会|摂理]]など)
 
 
 
==参考文献==
 
{{参照方法|date=2008年4月|section=1}}
 
*磯前順一『近代日本の宗教言説とその系譜:宗教・国家・神道』岩波書店, 2003年 ISBN 4000225251
 
*King, Winston L. (1987). Religion. in Mircea Eliade (ed.) ''The Encyclopedia of Religion'' Macmillan Publishing Company, New York.
 
*{{Cite book|和書
 
|author=古野清人
 
|authorlink=古野清人
 
|title=[[世界大百科事典]]
 
|date=1978年印刷(原著1972年4月25日)
 
|publisher=[[平凡社]]
 
|volume=14巻
 
}}
 
 
 
==脚注==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{reflist|3}}
 
 
 
==関連項目==
 
{{Sisterlinks|commons=Category:Religion}}
 
{{Main|en:Outline of religion|en:Index of religion-related articles}}
 
{{div col|2}}
 
* [[信念]]
 
* [[w:Cult (religious practice)|Cult (religious practice)]]
 
* [[人生観]]
 
* [[w:List of foods with religious symbolism|List of foods with religious symbolism]]
 
* [[w:List of religious populations|List of religious populations]]
 
* [[w:List of religious texts|List of religious texts]]
 
* [[w:Morality and religion|Morality and religion]]
 
* [[w:Nontheistic religions|Nontheistic religions]]
 
* [[宗教哲学]]
 
* [[司祭]]
 
* [[w:Religion and happiness|Religion and happiness]]
 
* [[w:Religion and peacebuilding|Religion and peacebuilding]]
 
* [[w:Religions by country|Religions by country]]
 
* [[改宗]]
 
* [[w:Secularization|Secularization]]
 
* [[宗教社会学]]
 
* [[寺院]]
 
* [[神権政治]]
 
* [[宗教の年表]]
 
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ラテン語の relegere (再読する) ,または religare (つなぐ) に由来するとされている。日本語の「宗教」は古くから漢訳仏典にあったものを,明治に religionの公式訳語として採用して以来広まったもの。一般的にいえば,宗教とは,人と自分の神聖とみなすものとの関係をさし,神 godはその人格的または超人間的な象徴にすぎない。この「神聖」という概念を提出したのは [[R.オットー]]である (1917) 。しかし何を聖とするか,またその象徴の範囲をどこにおくかで定義の仕方は種々あり,信念を重視する[[シュライエルマッハー]]の「[[絶対的依存感情]]」,[[E.B.タイラー]]の「霊的存在への信念」,また R.R.[[マレット]]のマナの研究による超自然的・神秘的能力に対する畏敬,または P.ラディンや [[É.[[デュルケム]]の社会的団結力のシンボルとしての価値を重視する見方などがある。しかし,宗教は,単に個人の宗教感情でも社会的・文化的産物でもなく,その双方を基に形成される人間の行為として成立しているもので,全人間的な把握を必要とする。伝統的社会では,単に神話やマナとして存在していることもあるが,文化の展開につれ,教義や儀式が体系化されている。
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2018/10/27/ (土) 16:56時点における版

宗教(しゅうきょう、: religion

ラテン語の relegere (再読する) ,または religare (つなぐ) に由来するとされている。日本語の「宗教」は古くから漢訳仏典にあったものを,明治に religionの公式訳語として採用して以来広まったもの。一般的にいえば,宗教とは,人と自分の神聖とみなすものとの関係をさし,神 godはその人格的または超人間的な象徴にすぎない。この「神聖」という概念を提出したのは R.オットーである (1917) 。しかし何を聖とするか,またその象徴の範囲をどこにおくかで定義の仕方は種々あり,信念を重視するシュライエルマッハーの「絶対的依存感情」,E.B.タイラーの「霊的存在への信念」,また R.R.マレットのマナの研究による超自然的・神秘的能力に対する畏敬,または P.ラディンや [[É.デュルケムの社会的団結力のシンボルとしての価値を重視する見方などがある。しかし,宗教は,単に個人の宗教感情でも社会的・文化的産物でもなく,その双方を基に形成される人間の行為として成立しているもので,全人間的な把握を必要とする。伝統的社会では,単に神話やマナとして存在していることもあるが,文化の展開につれ,教義や儀式が体系化されている。




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