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[[File:Nakasone_and_Reagan_reviewing_troops_at_arrival_ceremony_at_Palace_in_Tokyo,_Japan_May_4,_1986.jpg|right|thumb|200px|1986年、[[中曽根康弘]]首相と、[[ロナルド・レーガン|レーガン]]米国大統領に対して儀仗する[[陸上自衛隊]][[保安警務中隊|保安中隊]]]]
 
'''自衛官'''(じえいかん、{{lang-en-short|Self-Defense Official}})は、[[防衛省]]の[[特別の機関]]である[[自衛隊]]の任務を行う[[特別職|特別職国家公務員]]。[[自衛隊員]]の中で階級と制服が指定され、武装して戦闘に従事する要員([[武官]])を指す<ref>[http://www.mod.go.jp/pco/saitama/main/1jieikan/1-1.html 防衛省・自衛隊:自衛隊埼玉地方協力本部/自衛官になりたい/自衛官とは?]</ref>。[[自衛隊法]]により'''命'''を受けて、自衛隊の任務を行うと規定されており、個別の機関である[[陸上自衛隊]]、[[海上自衛隊]]、[[航空自衛隊]]のいずれかに所属する。[[最高指揮官]]は、[[内閣総理大臣]]である。
 
  
== 概要 ==
+
'''自衛官'''(じえいかん、{{lang-en-short|Self-Defense Official}})
[[画像:JGSDF 22nd Inf. official.jpg|thumb|戦闘訓練を行う陸上自衛官]]
 
[[画像:Japanese sailors jmsdf.jpg|thumb|整列する海上自衛官]]
 
[[File:A JASDF Technical Sergeant performs a preflight inspection on a F-15J prior to RED FLAG-Alaska 12-2, -5 Jun. 2012 a.jpg|thumb|[[F-15J (航空機)|F-15J]]の整備を行う航空自衛官]]
 
諸外国の軍隊における[[軍人]]([[兵]]・[[下士官]]・[[士官]])に相当する。自衛隊は[[志願制]]であるため全員が[[武官]]である。
 
  
陸上自衛隊の自衛官を「'''陸上自衛官'''」と、海上自衛隊の自衛官を「'''海上自衛官'''」と、航空自衛隊の自衛官を「'''航空自衛官'''」と表記され、防衛省や各自衛隊内部でもそのように呼称されている。陸海空の自衛官は個別の[[教育隊]][[幹部候補生 (自衛隊)|幹部候補生学校]]などに入隊し、各自衛隊に[[任用]]された自衛官は任用期間や技術教育の違いなどもあり、通常入隊した各自衛隊の中で任期を終了するか定年(階級により異なる)まで、その自衛隊で過ごすことになる<ref>航空自衛隊は[[大日本帝国]]軍において空軍を有していなかった関係もあり、創設当初の高級幹部を旧陸軍・海軍経験者及び陸上・海上自衛官からの転官で構成していた。また、現職自衛官が防衛大学校・防衛医科大学校学生の採用試験に合格して入学する場合等は一旦退職となるため、必ずしも現職時と同じ自衛隊に配属されるとは限らない。</ref>。自衛官という言葉は、狭義には常勤の自衛官のみ指すが、広義では非常勤の自衛官([[予備自衛官]][[即応予備自衛官]][[予備自衛官補]])を含める場合がある。
+
[[防衛省]][[特別の機関]]である[[自衛隊]]の任務を行う[[特別職|特別職国家公務員]][[自衛隊員]]の中で階級と制服が指定され、武装して戦闘に従事する要員([[武官]])を指す<ref>[http://www.mod.go.jp/pco/saitama/main/1jieikan/1-1.html 防衛省・自衛隊:自衛隊埼玉地方協力本部/自衛官になりたい/自衛官とは?]</ref>。
  
2017年時点で、自衛官の総計は約24万人(内女性約12,300人)である。これは特別職の国家公務員(約30万人)の大半を占めており、日本で最大の人員を擁する職種でもある。ただし人員に占める任期制の自衛官の割合も高く、「[[士 (自衛隊)|士]]」の付く階級では、そのほとんどが任期制の自衛官である。
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[[自衛隊法]]により''''''を受けて、自衛隊の任務を行うと規定されており、個別の機関である[[陸上自衛隊]]、[[海上自衛隊]]、[[航空自衛隊]]のいずれかに所属する。[[最高指揮官]]は、[[内閣総理大臣]]である。
 
 
自衛官は、自衛官を[[官職|官名]]とし、[[階級 (公務員)|階級]]の呼称の別に従い、陸海空又は統合幕僚監部等に「定員上所属」するものとされている(事務次官[[通達]])<ref>[http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/2005/az20060331_03291_000.pdf 「任命権に関する訓令の運用について(通達)」]別紙第10条。</ref>。
 
 
 
政府は、[[1990年]](平成2年)[[10月18日]][[衆議院]]本会議における[[外務大臣 (日本)|外務大臣]]答弁において、「自衛隊は、[[日本国憲法|憲法]]上必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の厳しい制約を課せられております。通常の観念で考えられます[[軍隊]]ではありませんが、[[国際法]]上は軍隊として取り扱われておりまして、自衛官は軍隊の構成員に該当いたします。」としている(時の内閣は[[第2次海部内閣]]、大臣は[[中山太郎]])。
 
 
 
このため通常の政府見解によると、現に自衛官たる者は[[文民]]ではなく[[武官]]とされ、[[日本国憲法第66条]]第2項の[[文民統制]]の規定に従って、[[内閣総理大臣]]及び[[防衛大臣]]を含む[[国務大臣]]となる資格がない。元自衛官の[[永野茂門]]が法務大臣になったり、元自衛官の[[中谷元]]や[[森本敏]]が防衛閣僚(防衛庁長官・防衛大臣)となった例があるが、自衛官の地位を失った後で閣僚に就任したため、問題ないとされた。また[[公職選挙法]]第89条により常勤の自衛官の身分のまま選挙に立候補する事は出来ず、公職選挙法第90条により立候補した場合は自動失職となる。例として[[佐藤正久]]は退官後に参議院議員選挙に出馬し当選した。なお、公職選挙法第89条と公職選挙法施行令第90条により、予備自衛官、即応予備自衛官、予備自衛官補は在職したまま選挙に立候補することは可能である。ただし、自衛隊法第75条・第75条の8・第75条の13で訓練招集命令により招集されている期間は政治的活動をしてはならないと規定されており、訓練招集命令により招集されている期間は政治活動は制限される。また[[国会法]]等の法規定では[[国会議員]]は原則として公務員との兼任を禁止しており、同時に[[特別職]]以外の全ての公務員も[[職務専念義務]]が課されているため、予備自衛官補等が国政選挙に立候補をして当選したとしても、国会議員と予備自衛官等を兼任し続けると[[日本国憲法第55条|憲法第55条]]の資格訴訟の対象となり国会議員失職となる可能性もある。一方で、[[地方自治法]]等の規定には予備自衛官等が地方公職(地方首長や地方議会議員)と兼任を禁止する規定がないため<ref>地方自治法第141条では地方首長は国会議員・地方議会議員・地方自治体常勤職員・地方自治体短時間勤務職員と兼ねることができない規定が存在し、地方自治法第92条では地方議会議員は国会議員・地方首長・地方自治体常勤職員・地方自治体短時間勤務職員と兼ねることができないという規定は存在するが、地方公職と予備自衛官等の兼任を禁止する明文規定はない。</ref>、予備自衛官等が地方選挙に当選して予備自衛官等と地方首長と兼任することは法律上は問題ない。旧軍の現役軍人は選挙権と被選挙権を共に持たなかったが、自衛官は選挙権に関しては民間人等と同様で、住所(駐屯地の隊舎(寮)を含む)の属する一般の選挙区で投票することができる。
 
 
 
勤務中は規定された制服を着用していることから、俗に『'''制服組'''』と呼ばれる。対して[[文官]]である[[事務官]]は基本的に[[背広]]を着用して勤務するため、特に[[キャリア (国家公務員)|キャリア組]]が『'''背広組'''』と呼ばれる。この用語は自衛隊関係者の間でも使われている<ref>[http://president.jp/articles/-/23930 なぜ自衛隊は「休むこと」を命令するのか | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online] - [[折木良一]]</ref>他、海外の武官に対しても使われている<ref>[https://www.jiji.com/jc/article?k=2017121100799 日米韓訓練に懸念表明=ロシア制服組トップが小野寺防衛相に:時事ドットコム]</ref>。
 
 
 
== 採用試験 ==
 
[[人事院]]が試験機関となる[[公務員試験#一般職国家公務員|一般職国家公務員の採用試験]]とは別に防衛省が試験機関となり試験を行う。
 
 
 
採用区分に応じた能力をみるために、[[作文]]、選択式[[一般教養]]や記述式の[[筆記試験]]、[[面接試験]]、[[身体検査]]<ref>かつて男子の身体検査は、肛門・陰部の検査を含む身体検査([[M検]])も行われていた時期があったが、現在は男子も女子同様に問診で代用されている。[http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1954/ax19540913_00014_000.pdf 自衛官等の採用のための身体検査に関する訓令](附表第3「11 消化器系の疾患(腹壁の異常を含む)」、「14 尿路、男性生殖器系の疾患」、「15 女性生殖器(乳房を含む)の疾患等」)を参照。</ref><ref>(株)[[光人社]]発行 大宮ひろ志著「そこが変だよ自衛隊!」</ref>があり、採用後<ref>[[航空学生]]など一部の採用枠では採用試験で適性検査が行われる。</ref>に本人の希望の職種選択の能力をみるために[[適性検査]]がある。採用試験の会場は駐屯地や基地の会議室などを利用し、各都道府県に最低1ヶ所が確保されている。
 
 
 
なお[[警察官]]・[[消防士]]・[[海上保安官]]の採用試験では体力試験があるが、自衛官の採用試験は身体検査のみで体力試験は無く、体格基準も『男子155cm以上、女子150cm以上』となっており、警察官(男子160cm以上、女子150cm以上)、消防士(男子160cm以上、女子155cm以上)、海上保安官(男子157cm以上、女子150cm以上)より男子の基準が緩いため、平均的な体格で健康ならば合格する基準となっている。また職種の多くは身長による制約が少ないため、2~3cm程度の誤差は見逃されている。
 
 
 
自衛隊は志願制であるため希望者を試験で選抜するが、[[自衛隊体育学校]]ではスポーツの強豪選手に対しスカウトを行っている。他にも[[自衛隊貸費学生]]に選ばれた場合は無試験で入隊となる<ref>貸費学生採用試験を受験し、合格しているため</ref>。[[防衛省]]や[[防衛省職員]]も参照。
 
 
 
自衛官は19歳以上で[[大型自動車]](自衛官以外は21歳以上)を扱うことから、自衛隊の[[運転免許]]の適性検査では中型自動車免許以上の取得時と同様、視力の遠近感を見る。2007年6月の[[道路交通法]]改正により[[中型自動車]](自衛官以外は20歳以上)の運転免許区分が出来たことに伴い、自衛隊内の指定自動車教習所で使用される大型教習車が中型自動車に該当することから、法改正後に免許取得した自衛官は自衛隊内で大型自動車免許を取得しても操縦できる大型自動車は[[限定免許 (運転免許)|自衛隊車両に限定]](「大型車は自衛隊車両に限る」という条件の付された運転免許が発給される)され、公安委員会による運転免許の限定条件解除審査に合格しない限り民間の大型車を運転することはできない。
 
 
 
== 地位・待遇等 ==
 
{| class="wikitable" style="text-align:center; width:216px; font-size:65%; float:right"
 
|+style ="font-size:135%"|海上自衛隊の(甲)階級章
 
![[幕僚長たる将|幕僚長]]!![[将 (自衛隊)|将]]!![[将補]]!![[1佐]]!![[2佐]]!![[3佐]]
 
|-
 
|[[File:JMSDF Admiral insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Vice Admiral insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Rear Admiral insignia (a).svg|28px]]
 
|[[File:JMSDF Captain insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Commander insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Lieutenant Commander insignia (a).svg|28px]]
 
|-
 
![[1尉]]!![[2尉]]!![[3尉]]!![[准尉]]!![[曹長]]!!1曹
 
|-
 
|[[File:JMSDF Lieutenant insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Lieutenant Junior Grade insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Ensign insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Warrant Officer insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Chief Petty Officer insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Petty Officer 1st Class insignia (a).svg|28px]]
 
|-
 
!2曹!!3曹!!士長!!1士!!2士!![[自衛官候補生|候補生]]
 
|-
 
|[[File:JMSDF Petty Officer 2nd Class insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Petty Officer 3rd Class insignia (a).svg|28px]]
 
|[[File:JMSDF Leading Seaman insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Seaman insignia (a).svg|28px]]||[[File:JMSDF Seaman Apprentice insignia (a).svg|28px]]
 
|[[File:JMSDF self defence official cadet insignia (a)1.svg|28px]]
 
|}
 
 
 
=== 自衛官の階級 ===
 
{{main|自衛隊の階級}}
 
陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の自衛官の階級は[[自衛隊法]]第32条により、それぞれ陸将、海将、空将を最高位とし、16階級が定められている。所属及び階級と制服に合わせ、それぞれ[[階級章 (自衛隊)|階級章]]も定められている。
 
 
 
昇任については、昇任に要するまでの在職期間の原則が定められており、2士では六ヶ月であるが、1佐では6年となっている。これらの期間は、勤務評定や職務上の功労、[[殉職]]等の状況に応じ短縮されることがある<ref name="sikoukisoku">自衛隊法施行規則</ref>。また、普通退職や定年退職で勤務成績が優良な場合や、公務負傷による退職等の場合も特別昇任が行なわれる<ref>[http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1959/ax19591118_00062_000.pdf 自衛官の昇任に関する訓令]</ref><ref>[http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1959/az19591118_00131_000.pdf 自衛官の特別昇任の選考基準]</ref><ref>[http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1962/az19620524_00089_000.pdf 3曹への特別昇任の選考基準]</ref>。
 
 
 
{| class="wikitable" style="margin: 0em; background:#ffffff"
 
|+自衛官の階級等
 
|-
 
!colspan="2"|区分!![[陸上自衛隊|陸上自衛官]]!![[海上自衛隊|海上自衛官]]!![[航空自衛隊|航空自衛官]]!!略称!!定年<ref>定年は自衛隊法施行令五十九条及び別表第九に規定されている。</ref>
 
|-
 
!rowspan="10"|[[幹部自衛官|幹部]]
 
!rowspan="4"|[[将官]]
 
|[[統合幕僚長]]たる陸将||統合幕僚長たる海将||統合幕僚長たる空将||[[幕僚長たる将|統幕長]]
 
|rowspan="2"|62歳
 
|-
 
|[[陸上幕僚長]]たる陸将||[[海上幕僚長]]たる海将||[[航空幕僚長]]たる空将||[[幕僚長たる将|陸幕長・海幕長・空幕長]]
 
|-
 
|陸将||海将||空将||[[将 (自衛隊)|将]]
 
|rowspan="2"|60歳
 
|-
 
|陸将補||海将補||空将補||[[将補]]
 
|-
 
!rowspan="3"|[[佐官]]
 
|一等陸佐||一等海佐||一等空佐||[[1佐]]||56歳
 
|-
 
|二等陸佐||二等海佐||二等空佐||[[2佐]]
 
|rowspan="2"|55歳
 
|-
 
|三等陸佐||三等海佐||三等空佐||[[3佐]]
 
|-
 
!rowspan="3"|[[尉官]]
 
|一等陸尉||一等海尉||一等空尉||[[1尉]]
 
|rowspan="6"|54歳
 
|-
 
|二等陸尉||二等海尉||二等空尉||[[2尉]]
 
|-
 
|三等陸尉||三等海尉||三等空尉||[[3尉]]
 
|-
 
! colspan="2"|[[准尉]]
 
|准陸尉||准海尉||准空尉||[[准尉]]
 
|-
 
!rowspan="4" colspan="2"|[[曹 (自衛隊)|曹]]
 
|陸曹長||海曹長||空曹長||[[曹長]]
 
|-
 
|一等陸曹||一等海曹||一等空曹||[[1曹]]
 
|-
 
|二等陸曹||二等海曹||二等空曹||[[2曹]]
 
|rowspan="2"|53歳
 
|-
 
|三等陸曹||三等海曹||三等空曹||[[3曹]]
 
|-
 
!rowspan="3" colspan="2"|[[士_(自衛隊)|士]]
 
|陸士長||海士長||空士長||[[士長]]
 
|rowspan="3"|任期制
 
|-
 
|一等陸士||一等海士||一等空士||[[1士]]
 
|-
 
|二等陸士||二等海士||二等空士||[[2士]]
 
|}
 
[[File:Japan Ground Self Defense Force soldiers patrol through the Central Training Area's combat town March 17. The JGSDF recently started using the CTA for training in accordance with the U.S. - Japan Alliance.jpg|thumb|220px|市街戦訓練を行う陸上自衛官]]
 
* 自衛隊法第32条では、一等、二等(正式)といった階級の字に[[漢数字]]が用いられている。[[公用文作成の要領]](昭和27年内閣閣甲第16号〈[[依命通知]]〉)第3 書き方について 3. に従い、数字を横書きにする場合は[[アラビア数字]]を用いて「1等」などと書くため、それに従って表記している。
 
* 統合幕僚長たる陸将、海将又は空将は、自衛隊法(第32条)上の階級ではないが、防衛省設置法第21条第2項後段により、自衛官の最上位にあるものとされている。階級章も通常の章と異なり、階級の英訳も大将に相当するものが用いられている。
 
* 政府の見解によれば、自衛隊は軍隊又は軍隊に準じるものであることが想定されている。そこで、自衛官の階級分類は一般的な軍隊のそれとの整合性が考慮されている。
 
* 自衛官の階級呼称は戦前の旧日本陸海軍のものとは異なっているものの、それに類似したものとなっている。また、「大中少」ではなく「一等・二等・三等」と等級制が用いられている点は、歴史上も旧陸軍の将校相当官や旧海軍の下士官などにも見られた用例であり、日本の軍隊の階級呼称として前例が無いものではない。
 
* 自衛隊の前身たる[[保安隊]]や[[警備隊 (保安庁)|警備隊]]では、「監・正・士」といった[[文官]]、初期の陸軍将校相当官又は[[1919年]]([[大正]]8年)以前の海軍将校相当官に類似した階級呼称を用いていた。後の自衛隊発足に際しては、「将・佐・尉・曹」といった旧軍の[[兵科]]軍人の階級呼称として用いられていたものが使用されることとなった。
 
* 医師、歯科医師および薬剤師である自衛官ならびに音楽などの職務にたずさわる自衛官の定年年齢は、上記にかかわらず60歳と定められている。<ref>[[自衛隊法施行令]]第60条および別表第9備考第2項</ref>
 
* 士の階級群にはこのほか[[3士]]があったが、国連の[[少年兵]]条約及び政府における総人件費削減などの理由から抜本的見直しを迫られ、[[2009年]](平成21年)6月3日に公布された防衛省設置法及び自衛隊法により、廃止された。
 
 
 
=== 俸給・諸手当 ===
 
[[ファイル:JMSDF Seaplane Exercise 130108-M-YH418-002.jpg|thumb|280px|航空機に搭乗する海上自衛官(左端)]]
 
[[画像:Kansya.kawazoe.jpg|250px|right|thumb|北海道札幌市南区にある自衛隊川沿宿舎]]
 
一般職国家公務員の俸給表ではなく、自衛官俸給表により定められる。階級と号俸で構成され、階級と勤続年数(勤務成績)の二つの要素により決まるようになっている。初任給を決める場合、民間でも公務員でも、その職業に就く年齢・学歴・職歴の加算があるが、自衛官の場合は、自衛官の採用区分が同じなら年齢差・学歴差・前職の有無により採用時の号俸による計算となる。高卒等を1号俸として専門学校卒を2号俸、大学卒業または社会人を経て入隊した場合を3号俸等として規定しており、採用時の年齢・職務経験等も踏まえた処理が成される。(事務官等にある俸給の調整額、指定職等の管理・監督の者に支給される俸給の特別調整額、医師・歯科医師の自衛官に支給される初任給調整手当は、その他の自衛官には無い。)一般2士の初任給はおよそ15万円前後であり、行政職よりやや高めの設定がなされている。これは自衛官俸給表が2士〜2佐までは勤務体系が類似している[[公安職]]俸給表に準じて制定されているからであり、また勤務の特性上21時間30分の超過勤務(残業)手当を含んでいる(自衛官調整率)。したがって、[[超過勤務手当]]は自衛官に対しては支給されない<ref>但し、実質24時間以上の勤務となる[[駐屯地警衛隊]]上番時やその他当直勤務等の一部においては、夜間特殊業務手当は、深夜帯に残業でなく正規時間として一定の業務に従事する場合に勤務1回につき3ランク(1,100円、730円及び490円)のどれかが支給され、これは階級の上下や俸給のランクによって多寡が決まるのではなく、1か月当たり何回その勤務をするかで変わってくる。</ref>。また、俸給以外にも医療や食事の支給なども現物給付を受けることができる<ref>駐屯地医務室や[[自衛隊病院]]での受診が『現物支給』に該当し、給与から予め控除されている。また食事に関しても当直・警衛等特別勤務や演習・災害派遣時に関しては無償で現物支給される</ref>。
 
 
 
曹長以下の自衛官は営舎内居住([[内務班]](営内班))が原則であるため(2曹の階級に昇任して30歳以上の年齢に達すると営舎外居住が許可される。最近では介護で家族の世話をする場合も認められる。<ref>(株)[[宝島社]]発行ふくろうBOOKS「自衛隊」52ページ</ref>)、隊舎、艦艇で生活するための光熱費や水道代、食事代等は、給与の算定段階で予め控除されている。自衛官俸給表に定められた金額というのは、それらの費用が差し引かれたものである。既婚者や許可を得た幹部自衛官などは営舎外居住が許可され、自衛官向けの[[官舎]]やアパートなどで生活することもできるが、光熱費や水道代等は自腹となるため、この分の金額が陸曹長、海曹長又は空曹長以下の自衛官(以下「陸曹等」という。)には「営外手当」として月額6,350円([[防衛省の職員の給与等に関する法律第18条]])として給与に加算されて支給される。反面、食事等の支給は行われなくなるので、昼食は喫食の申請をして食堂で食べるか、[[弁当]]を用意したり基地や駐屯地の[[酒保|PX]]などを利用する事になる。なお食堂を利用する場合はその場での支払では無く給与から天引きとなる<ref>一食あたり400円程度であるが将官等の幹部や給食の管理を担う駐屯地業務隊長、または駐屯地司令等は「検食」という扱いで昼食や夕食を食堂喫食・執務室で摂る等の例があり、これは業務の一環として隊員の食事内容の確認である為に原則無償扱いである</ref>。
 
 
 
給与の支給は毎月18日が支給日である<ref>土日祝日に支給日が重なる場合、支給は休日前に前倒しで支給される</ref>が、給与算定は毎月1日から月末までを基準となるため、万が一給与支給日から月末までの間に自己都合退職をせざるを得ない場合、支給された給与の一部は返還しなければならない<ref>基本的に支給日から末尾までの給与は'''前払い扱い'''である為、給与支給日である18日に満たすこと無く退職した場合は勤務日数に応じて給与は日割支給される</ref>。
 
 
 
また隊員は土日祝祭日に勤務を行った場合に代日休養が付与されるが<ref name="kunrei">[[自衛官の勤務時間及び休暇に関する訓令]]で4時間以上7時間45分未満は4時間の代日休養、7時間45分以上は1日の代日休養なので、[[駐屯地警衛隊]]・当直のように24時間勤務(仮眠・食事休憩を含む)でも駐屯地の一般公開のように8時間勤務でも代休付与は1日で事務処理される。</ref>、指揮官職にある者は当該階級・役職に応じて代休未消化分を給与の加算分として受け取る事が出来る<ref>但しこれに関してはあらかじめ定められた公的行事等(演習・年間予定に組み込まれた行事等)に参加した場合に限られ、要件を満たしていない場合は支給されないとするも指揮官在任間における代休未消化を避ける観点から演習等以外での中隊行事等で発生した代休においても手当として還付されている</ref>。
 
 
 
これらの他役職・各種資格等によって給与は加算対象となる他、一定の距離を超える通勤は通勤手当の支給もされている。
 
 
 
災害派遣や海外派遣などの特殊勤務を行った隊員に関しては別途定められた[[特殊勤務手当]]が加算支給される。また航空機や艦船での勤務でも加算がある。例として護衛艦に乗船し勤務すると、基本給の33%(潜水艦は45.5%)の乗組手当が支給される。また、出港するたびに航海手当が支給される。国際平和協力手当として海外派遣されている隊員には2016年現在1日1万6000円が支給されているが、[[自衛隊南スーダン派遣]]の駆け付け警護を実施した隊員には1日8000円の手当を追加支給する方針を固め、駆け付け警護業務に従事した場合支給額は計2万4000円となり、[[自衛隊イラク派遣]]と同額になる。自衛隊員の手当では、[[東日本大震災]]時に[[東京電力]][[福島第一原子力発電所事故]]で放水作業に当たった隊員に対し、1日4万2000円支給されたのが最高。[[国際連合平和維持活動]](PKO)では[[自衛隊カンボジア派遣]]や[[自衛隊ルワンダ難民救援派遣]]で[[ザイール]](現[[コンゴ]])に派遣された隊員に2万円が支給された<ref>2016年12月3日[[中日新聞]]朝刊3面</ref>。
 
 
 
賞与の支給は国家公務員の賞与に準じた形態が取られており、支給日は国家公務員の賞与支給日と同一である。期末手当と勤務成績に応じて支給率が上下する勤勉手当が合わさったものが賞与として支給されており、かつては年3回支給されていたが公務員の給与見直しに伴い年2回に変更されている。
 
 
 
任期隊員として採用された隊員は退職時に任期満了手当が支給されるが、これは定年退官時に支給される退職金に直結しており、任期満了手当を受けてしまうと定年退職時に支給される退職手当はその分減額されるうえ、任期制隊員から非任期制隊員に身分が移行した際に受給された任満手当は一部を返還しなければならない規定が存在する<ref>一部返還する場合、現金による納入若しくは給与からの控除を選択する</ref>。
 
 
 
[[殉職]]したり傷害を負ったりした場合で特に功労が認められた際、本人または遺族に支給される[[賞恤金]]は、[[防衛大臣]]の[[訓令]](賞じゆつ金に関する訓令)により定められている<ref>[http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1963/ax19630408_00015_000.pdf 賞じゆつ金に関する訓令]</ref>。[[公務災害]][[補償]]費も給与等級に応じて払われるが、現物給与(糧食費・被服費等)は含まれない。
 
 
 
爆発物処理手当は、1日250円~1万400円。航空手当は、その階級の初号俸の60%。特殊作戦群隊員手当は初号俸の33%、または16.5%。特別警備員手当、初号俸の49.6%、または39.6%。南極手当は、階級により日額1800円~4100円。落下傘降下手当は1回あたり3400円~6300円。小笠原手当(小笠原諸島における業務)は、階級により300円~5510円。死体処理手当は日額1000円、1600円、3200円。除雪手当は、日額300円~450円。ジェット機搭乗員は初号俸の80%。(それぞれの手当の初号俸とは、その階級の最も下の給与の事を指す。)<ref>(株)[[宝島社]]発行ふくろうBOOKS「自衛隊」50ページ=出典:平成26年版「防衛ハンドブック」防衛省の職員の給与等に関する法律施行令</ref>
 
 
 
[[自衛隊地方協力本部]]の[[広報官]]も自衛官であるので、自衛官採用募集も目標数[[ノルマ]]はあるが民間企業の営業手当に相当するものは無い。残業手当に相当する[[時間外労働|超過勤務]]手当も自衛官なので無い。出張[[旅費]]が支給されるのみである。
 
 
 
=== 服務 ===
 
[[画像:Japanese Type 90 Tank - 2.jpg|thumb|[[90式戦車]]に乗車の陸上自衛官]]
 
[[画像:JASDF Type 91 Team.jpg|thumb|right|[[91式携帯地対空誘導弾|91式携帯]][[地対空ミサイル|SAM]]を担う航空自衛官]]
 
[[画像:F-2A (514) of 3 Sqn prepares for take-off at Andersen Air Force Base during Cope North, -20 Jun. 2007 b.jpg|thumb|[[F-2 (航空機)|F-2]]に乗り込むパイロット]]
 
[[画像:JGSDF 11th Band.JPG|thumb|right|[[音楽隊 (陸上自衛隊)|音楽隊の陸上自衛官]]]]
 
勤務時間は原則午前8時15分から午後5時まで<ref>役場より15分早く始業する</ref>の週休2日制であるが、部署により大きく異なる。24時間態勢を維持するため、[[交代勤務]]を取る部署もある。どの部署も慢性的な欠員に悩まされており、さらに入校や訓練なども多いことが拍車をかけている。これには残業で対応するが、制度上、超過勤務という概念が無いため、残業時間の算定自体は不可能とされている。部署を問わず、訓練や演習などの際は丸1日以上継続する長時間の勤務もある。幹部自衛官以外は営舎内居住が原則(2曹の階級に昇任して30歳以上の年齢に達すると営舎外居住を申請することができる。最近では介護で家族の世話をする場合も認められる<ref>(株)[[宝島社]]発行ふくろうBOOKS「自衛隊」52ページ</ref>。)、であり、外出も許可制となっている。こうした勤務実態から、超過勤務という概念自体が存在せず、前述の超過勤務手当の設定がされていない。生活そのものに対しても厳しい制約が課され、特に外出や外泊にあたっては[[内務班]]で重点的な指導を受ける。
 
以前は、[[陸上自衛隊服務規則]]第33条2で外出が、平日(土曜日を除く)にあっては営内居住者の1/2、土曜日、休養日及び休日にあっては2/3の範囲内において許可され外出許可が厳しかったが、門限や外出回数を緩和された[[輝号計画]]を経て、現在は、[[陸上自衛隊服務細則]]第64条、「許可権者は、隊務に支障のない限り、緊急連絡時の操縦手及び営内監視要員等を除き、営内に居住する陸曹及び陸士の外出を許可することができる。2、緊急連絡時の操縦手及び営内監視要員等の残留基準は、部隊規模(営内者)51名以上、緊急連絡時の操縦手1名、営内監視要員等6名、部隊規模(営内者)31〜50名、緊急連絡時の操縦手1名、営内監視要員等4名、部隊規模(営内者)30名以下、緊急連絡時の操縦手1名、営内監視要員等2名とする。3、前項の残留基準によることが著しく困難な場合は、当該基準の趣旨を踏まえ、必要最小限の要員等を残留させるものとする。」と[[週休二日制]]も絡んで外出許可される人数が増えている。
 
ミスや不祥事を起こした隊員に対しては、懲罰的な意味合いを込めて「外出禁止」といった外出を許可しない措置がとられる場合がある。外出禁止はあくまでも許可権者レベルでの措置であり法的根拠は無い。その為この措置に対して異議があっても申し出る機関が無い。
 
[[潜水艦]]勤務の場合、出港~入港の間は、勤務の性格上、家族との連絡も出来ない<ref>2013年8月24日19時フジテレビ放送「超潜入!リアルスコープハイパー」</ref>。
 
 
 
また、自衛隊法上、次のような義務も定められている。
 
* 指定場所に居住する義務 (自衛隊法第55条)
 
* 職務遂行の義務 (第56条)
 
* 上官の職務上の命令に服従する義務 (第57条)
 
* 品位を保つ義務 (第58条)
 
* 秘密を守る義務 (第59条)
 
* 職務に専念する義務 (第60条)
 
 
 
なお、一般の自衛官は、自衛隊法第五十三条及び自衛隊法施行規則第三十九条に則り、入隊時に以下のような文章の記された宣誓文を朗読、[[署名]][[捺印]]をする事が義務付けられている。
 
<blockquote>“私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、[[日本国憲法]]及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。”</blockquote>
 
 
 
また、「自衛官の心がまえ」という[[1961年]](昭和36年)[[6月28日]]に制定された自衛隊における精神教育の準拠がある<ref>[http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/072/0410/07204240410009c.html 第72回国会衆議院決算委員会第9号(昭和49年4月24日)]大西政府委員答弁</ref>。以下の5つの徳目が列挙されている。
 
* 使命の自覚
 
* 個人の充実
 
* 責任の遂行
 
* 規律の厳守
 
* 団結の強化
 
 
 
=== 体力・健康 ===
 
宣誓文に「心'''身'''を鍛え」と書かれている様に自衛官は年齢に応じた身体能力の維持が求められている。このため'''自衛隊体力検定'''と呼ばれる身体能力検査を入隊直後に受け<ref>[http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/13b/yonago/jikou-4gatu.html 自衛官候補生4月]</ref>、自衛官である間は毎年1回以上受ける必要がある<ref name=tairyoku>[http://www.mod.go.jp/pco/sapporo/pdf/recruit/tairyoku.pdf 新体力テスト・体力検定対比表] - 体力検定と[[スポーツテスト]]との比較</ref>。内容は全年齢で[[腕立て伏せ]]、[[腹筋運動|腹筋]]、[[3000m走]]の3種<ref name=tairyoku />、40歳未満にはさらに[[懸垂]]、[[走幅跳]]、[[ソフトボール投げ]]も行う<ref name=tairyoku />。海上自衛隊では水泳の検定も行われる。
 
 
 
体力検定で一定以上の成績を収めた者は体力徽章を着用する<ref>[http://www.mod.go.jp/msdf/hatinohe/fashion/classchapter/medal.html 徽章|階級章等アクセサリー|海自のファッション|海上自衛隊八戸航空基地]</ref>。
 
 
 
飲酒に関しては施設内では基本的に禁止されているが<ref>[http://www.mod.go.jp/pco/aichi/j_recruit_oshiete_discipline.html 自衛官になるには - 教えて自衛隊 - 規律編] - 自衛隊愛知地方協力本部</ref>、所定の場所において夜間のみ許可されることもある<ref>[http://www.mod.go.jp/msdf/mocs/mocs/question/live2/ 幹部候補生学校:よくある質問] - [[海上自衛隊幹部候補生学校]]</ref>。大日本帝国海軍ではイギリス海軍の影響で艦内での飲酒が許可されていたが、海上自衛隊では艦艇内での飲酒を禁止している。
 
 
 
[[喫煙]]については成人であれば問題ないとされ、駐屯地・基地などには喫煙所が設けられている。一方で官公庁の施設であるため[[健康増進法]]の対象となり、分煙が進められている<ref>[http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/charenji/kinen/kinen.html 西部方面隊における分煙化の推進について]</ref>。また[[自衛隊病院]]は基本的に全館禁煙で自衛官向けに[[禁煙外来]]を設置する病院もある<ref>[http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/kasuga/department/tobacco_cessation.html 内科(禁煙外来)] -  自衛隊福岡病院</ref>。
 
 
 
=== 特別勤務 ===
 
自衛官には、職種に関係なく勤務する特別勤務が勤務指定され、当直勤務、警衛勤務、営外巡察、不寝番、伝令が特別勤務で定められている。当直勤務は1週間、またはそれ以下の期間(半週間)に勤務に就き、外部からの不法侵入防御と駐屯地内に居住義務の有る自衛官(営舎内居住者)の外出・門限管理・火災防止・生活指導をする。警衛勤務は、[[駐屯地警衛隊]]を参照。営外巡察は駐屯地外の巡察で自衛官の犯罪防止をする。不寝番は、駐屯地内に居住義務の有る自衛官(営舎内居住者)が、消灯時間~起床時間までを1時間毎(または2時間毎)順番・交代(消灯後1番を1直、2番を2直と呼ぶ)で勤務指定され火災防止・外部からの不法侵入の防御をする。伝令は命令伝達する<ref name="kunrei"/>。
 
 
 
駐屯地の警衛所や門で警備する自衛官は、職種で警衛勤務しているガードマン専門でない。(防衛本省の市ヶ谷駐屯地を除く)[[演習]]等の訓練で、普通科などの戦闘職種が当直を除いて駐屯地を出払うと、業務隊や会計隊なども警衛勤務する。
 
 
 
女性自衛官も、駐屯地の実状に応じて特別勤務するので、警衛勤務させると特別勤務の目的に適さない場合の警衛所に課業時間のみ外部から駐屯地訪問する者の受付業務に就かせるなどの例外を除いて、当直勤務などの特別勤務に勤務指定される。
 
 
 
== 分限、懲戒及び身分保障 ==
 
=== 若年定年制 ===
 
警察官等の公安職を含む公務員は個人単位で勤務するので定年は60歳だが、自衛官は部隊単位(集団)で勤務するので、20代も50代も同じ歩調で訓練しなければならないので若年定年制をとっている。若年定年制は、体力的に頑健で、防衛組織として精強さを保つ目的で制定されている<ref>[http://www.mod.go.jp/gsdf/retire/mokuteki/index.html 防衛省における就職援護制度の目的]</ref>。自衛官は3曹以上の階級にあっては、自衛隊法施行令に定める年齢(53歳〜62歳)で定年となる。50歳代での早期退職による年金支給の不利を補うため、[[若年定年退職者給付金]]制度が制定されている。年金支給年齢までの再就職に向けての援護組織も整備されており、自衛隊内の援護課の協力のもと、自衛隊援護協会などが支援を行なう<ref>[http://www.mod.go.jp/gsdf/retire/soshiki/index.html 就職援護の組織](原則として定年退官及び1佐(一)以上の[[退職勧奨]]・任期満了に伴う除隊者に対して行われ、一身上の都合等による依願退職者に対する就職援護はない)</ref>。
 
 
 
自衛官候補生での入隊では、陸自が2年、海自・空自が3年(初任期のみ)を1任期として扱う。次の任期に入る場合でも満期金の名称で退職金の支給を受けることができ、これにより、若年層の隊員を大量に確保することで戦力の維持向上を図るとされる。少子高齢化の時代においては問題も指摘される。景気が悪化した状態では、退職後の再就職先確保が難しくなる場合もある。
 
 
 
[[士 (自衛隊)|士]]は士長(陸士長、海士長、空士長)までは懲戒処分等を受けない限り一定の年数で自動的に昇任するが、3曹(3等陸曹、3等海曹、3等空曹)へ昇任するためには陸上自衛隊では[[陸曹候補生]]選抜試験、海上自衛隊・航空自衛隊では昇任試験を受験(一般曹候補生も同等の試験を受験)・合格し教育隊にて一定の教育を履修する必要がある<ref>詳細については[[陸曹候補生]]を参照。</ref>。任期制隊員・一般曹候補生等の非任期制隊員に関わらず曹へ昇任する見込みが無い場合は除隊することとなる<ref>[[士 (自衛隊)]][[士 (自衛隊)|任期制陸・海・空士の身分保障・待遇]]を参照。</ref>。昨今の不景気により再就職が困難なことから、曹へ昇任を望む隊員が増え、曹昇任試験の倍率が増している<ref>2015年4月9日中日新聞朝刊15面</ref>。
 
 
 
定年前であっても40歳前後で最前線から退いた航空機パイロットには、民間の航空会社へ斡旋する『自衛隊操縦士の民間における活用(割愛)』制度が存在する<ref name=pilot>[http://www.sankei.com/economy/news/140118/ecn1401180008-n1.html 自衛隊パイロット、民間に 今春にも 人材活用、若返りへ(1/2ページ) - 産経ニュース]</ref>。
 
 
 
自衛官の平均年齢は36歳(2014年)と欧米に比べやや高い傾向にあり、防衛費の約42%(2013年)を占める人件費の抑制と合わせ様々な制度を導入し若返りを図っている<ref name=pilot />。各国の[[将校]]の定年は、[[イギリス]]は[[大将]]から[[少尉]]が55歳、[[フランス]]は大将から[[准将]]が63歳、[[大佐]]から少尉が59歳、[[アメリカ]]は大将から[[少将]]が64歳、准将から少尉までが62歳であるが、各国の年金支給条件・退職金の制度に違いが有り、日本の一般社会が[[終身雇用]]を前提としているので単純な比較は出来ない<ref>(株)[[宝島社]]発行ふくろうBOOKS「自衛隊」51ページ</ref>。
 
 
 
=== 自衛官の再任用 ===
 
現行の定年年齢を維持した上で、退職後も自衛官として働く意欲と能力のある者を、大臣の定める業務を行うポストに引き続き再任用。任用形態はフルタイムに限定。任期は1年以内、更新可能。[[防衛出動]]などの際は、一定の期間(1年~6ヶ月)延長可能。任用上限年齢は、65歳以上(平成13年度から15年度においては61歳、以後、3年ごとに1年ずつ段階的に引き上げ)。給与水準は、定年退職時の年収の5~6割の水準(同一の職務の級で任用された場合)。 <ref>[http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2006/2006/html/i6222000.html 平成18年版防衛白書 第6章 国民と防衛庁・自衛隊 2自衛隊の隊員]</ref><ref>主に職種学校の駐屯地管理業務、駐屯地業務隊補給科や管理科勤務、幹部のうち特定の指揮官経験者は科長職等の管理ポストが指定される場合もある。基本的に定年退官時の階級で執務を行う。2曹以上准尉以下で定年を迎えた場合は、駐屯地の福利厚生を目的に草刈りやゴミ処理などの雑務で採用される場合もある。、{{要出典範囲|date=2017年10月|再任用者は全て期末勤勉手当は支給されない。}}</ref>
 
 
 
=== 懲戒処分 ===
 
自衛隊法及び訓令、規則により、隊員が次の各号のいずれかに該当する場合には免職(=[[不名誉除隊]])、降任、停職、減給又は戒告の懲戒処分をすることができる。
 
* 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
 
* 隊員たるにふさわしくない行為のあつた場合
 
* 服装違反、階級章の濫用
 
* 指揮監督義務違反、部下の汚職、金銭不正、武器損壊、秘密漏えい、火災事故 その他の重大な事故が発生 した場合
 
* 心身の故障、精神疾患、認知症、日常介助を必要とする身体障害の場合
 
* 自衛隊車両で法令違反をした場合、私有車両運転の場合は問われないことがある。
 
* 火器、火薬類、刀剣類その他直接人を殺傷し、又は武力闘争の手段として使用した場合
 
* 身分証明書又は 警務手帳を不正または紛失した場合
 
* 時限遅延、指定時間までに正当の理由がなく、遅滞した場合
 
* 指定場所に居住する義務を有する隊員が許可なく駐屯地等から不正外出した場合
 
* 職務の遂行中過失により人を傷害し、又は死亡させた場合
 
* 部下に義務のないことを行わせること、人の権利を侵害すること、その他職務上の権限の範囲を著しく逸脱すること
 
* 上官に対して、傷害 、暴行又は脅迫、命令に対する反抗又は不服従 、暴言又は侮辱があった場合
 
* 20日以上無断欠勤すると懲戒免職となる。
 
* その他この法律若しくは自衛隊員倫理法 (平成十一年法律第百三十号)又はこれらの法律に基づく命令に違反した場合
 
 
 
他には鬱病などの精神疾患により病気療養していたが、改善が見込めず勤務復帰が望めない場合に退職(俗に言う肩たたき)となる場合もある。
 
 
 
これは人事記録上の措置であり、これに至らない軽微なものは所属長の判断により、指導の延長として外出を禁じる等の処置がとられるが、あくまで現場の判断(いわゆるアドミラルズ・マスト)による。
 
 
 
=== 選抜試験等の受験 ===
 
自衛官が地位を保持したまま[[宇宙航空研究開発機構]](JAXA)の[[宇宙飛行士]]選抜試験を受けることは可能であるが<ref>{{Cite news|url=http://www.asagumo-news.com/news/200903/090305/09030502.html|title=宇宙飛行士候補に油井 2空佐 全日空の大西氏と パイロットで初めて|publisher=[[朝雲新聞]]|date=2009-03-05|archiveurl=https://web.archive.org/web/20110707175807/http://www.asagumo-news.com/news/200903/090305/09030502.html|archivedate=2009-03-12}}</ref>、合格した場合にはJAXAの職員となるため自衛隊を退職する必要がある。2015年までに[[油井亀美也]]と[[金井宣茂]]が宇宙飛行士に選ばれ退職している<ref>[http://www.kure-news.com/news/000474.html 呉インターネット写真ニュース / 金井医官きょう退職]{{リンク切れ|date=2017年9月}}</ref>。[[アメリカ軍]]をはじめ多くの国の軍隊では軍籍を保持したまま宇宙飛行士になれる。
 
 
 
== 自衛官と防衛省内局及び他省庁の官僚との比較 ==
 
{{see also|指定職}}
 
{| class="wikitable" style="margin: 0em; background:#ffffff"
 
|+指定職(2018年3月現在)
 
|-
 
!colspan="1"|号数!!自衛官(武官・制服組)!!防衛省内局等<ref>平成29年4月1日現在</ref>!!他省庁(文官)
 
|-
 
|8号||[[統合幕僚長]]||[[防衛事務次官]]||各府省[[事務次官]]<br/>[[金融庁]]・[[消費者庁]]・[[警察庁長官]]<br/>[[内閣官房副長官補]]・[[内閣情報官]]・[[内閣広報官]]<br/>[[内閣法制局]]・[[宮内庁]]次長
 
|-
 
|7号||[[陸上幕僚長]]・[[海上幕僚長]]・[[航空幕僚長]]||[[防衛大学校]]長||[[警視総監]]・[[海上保安庁長官]]
 
|-
 
|6号||||[[防衛審議官]]<br />[[防衛装備庁]]長官||[[財務省 (日本)|財務省]][[主計局]]長・[[警察庁次長]]<br/>各省審議官<ref>俗に言う「次官級審議官」</ref><br/>[[外局]]の長官<br/>[[内閣情報調査室#内閣衛星情報センター|内閣衛星情報センター所長]]
 
|-
 
|5号||[[陸上総隊]]司令官<ref name="a">[http://www.mod.go.jp/j/presiding/seirei/2018/033/sinkyu.pdf 平成30年2月9日 政令第三十三号 自衛隊法施行令等の一部を改正する政令 新旧表]</ref>、陸自[[方面総監]]、[[自衛艦隊司令官]]、[[横須賀地方総監]]、[[佐世保地方総監]]<ref>[http://www.mod.go.jp/j/presiding/seirei/2017/104/seirei.pdf 防衛省の職員の給与等に関する法律施行令の一部を改正する政令](平成二十九年三月三十一日公布政令第百四号)</ref><br/>[[航空総隊司令官]]、[[航空教育集団]]司令官||[[防衛医科大学校]]長<br/>[[防衛監察本部|防衛監察監]]<br/>大臣官房長<br/>防衛政策局長<br/>地方協力局長<br/>防衛装備庁防衛技監||本省主要[[局長]]
 
|-
 
|4号||[[呉地方総監]]、[[航空支援集団]]司令官、[[航空自衛隊補給本部]]長、[[情報本部]]長||[[防衛研究所]]長<br/>[[自衛隊中央病院]]長<br/>人事教育局長<br/>整備計画局長||[[局長#国の機関における局長|本省局長]]<br/>[[警察大学校|警察大学校長]]・警視庁副総監・[[大阪府警察|大阪府警察本部長]]・[[関東管区警察局]]長
 
|-
 
|3号||統合・陸上・海上・航空幕僚副長、[[舞鶴地方総監|舞鶴]]・[[大湊地方総監]]、<br/>[[陸上自衛隊教育訓練研究本部]]長<ref name="a"/>、[[陸上自衛隊補給統制本部]]長<br/>[[航空総隊]]副司令官||統幕総括官||官房総括[[審議官]]<br/>[[埼玉県警察|埼玉県]]、[[神奈川県警察|神奈川県]]、[[千葉県警察|千葉県]]、[[愛知県警察|愛知県]]、[[京都府警察|京都府]]、[[兵庫県警察|兵庫県]]、<br/>[[福岡県警察|福岡県]]の各警察本部長・[[皇宮警察本部|皇宮警察本部長]]<br/>[[海上保安庁]]次長・[[海上保安監]]
 
|-
 
|2号||[[第1師団|第1]]、[[第2師団|第2]]、[[第3師団|第3]]、[[第4師団|第4]]、[[第6師団|第6]]の各[[師団長]]、[[防衛大学校の人物一覧#幹事|防大幹事]]、[[陸上自衛隊富士学校]]長、<br/>[[護衛艦隊]]・[[潜水艦隊]]・[[航空集団]]・[[教育航空集団]]司令官、[[海上自衛隊補給本部]]長、<br/>[[航空方面隊]]司令官、[[航空開発実験集団]]司令官、[[統合幕僚学校]]長、[[海上自衛隊幹部学校]]長<br>[[航空自衛隊幹部学校]]長||防衛政策局次長<br/>地方協力局次長<br/>[[大臣官房]][[審議官]]<br/>大臣官房[[報道官]]<br/>大臣官房衛生監<br/>沖縄防衛局長||本省[[次長]]<br />官房[[審議官]]<br />[[管区警察局]]長(関東管区は除く。)
 
|-
 
|1号||[[第7師団|第7]]、[[第8師団|第8]]、[[第9師団|第9]]、[[第10師団|第10]]の各[[師団]]、[[旅団長]]、[[陸上総隊|陸上総隊司令部幕僚長]]、[[関東補給処|関東補給処長]]、[[防衛研究所|防衛研究所副所長]]、<br/>[[自衛艦隊|自衛艦隊司令部幕僚長]]、[[航空総隊|航空総隊司令部幕僚長]]、<br/>[[統合幕僚監部の人物一覧|統幕運用部長]]、[[統合幕僚監部|統幕防衛計画部長]]・[[防衛医科大学校|防衛医科大学校幹事]]、各幕主要部長||大臣官房施設監<br/>[[地方防衛局]]長<br />防衛装備庁各部長||本省[[部長]]<br/>[[地方支分部局]]長
 
|-
 
|}
 
 
 
* 指定職俸給表の適用を受ける防衛参事官、書記官及びその他の官職並びにこれらに準ずる自衛官の官職を定める省令
 
* 防衛省の職員の給与等に関する法律施行令第六条の二十
 
* 人事院規則九―四二(指定職俸給表の適用を受ける職員の俸給月額)
 
 
 
== 自衛官に対する特技資格の付与 ==
 
自衛官が職務に必要な特技の一部([[医師]]、[[パイロット (航空)|航空機の操縦士]]など)は資格が必要であるため、隊内で養成を行っている。一部の資格試験は管轄省庁から試験官が派遣される。
 
 
 
取得した資格は基本的に退職後も有効であるが、航空機の操縦士資格については定年・依願退職した場合、退職から2年間は操縦士としての勤務を禁止される<ref name=pilot />など、一部に制限がある。
 
 
 
* 衛生関係
 
** [[医師]][[国家試験]]([[防衛医科大学校]]、医師養成課程を修了すること)(無償・有給)
 
** [[歯科医師]]国家試験(防衛省から月54000円貸与されるが一定年数以上勤務する場合は、免除)(自費)
 
** [[看護師]]国家試験(防衛医科大学校、看護師養成課程を修了すること)(無償・有給)
 
** [[薬剤師]]国家試験([[防衛省]]から月54000円貸与されるが一定年数以上勤務する場合は、免除)(自費)
 
** [[准看護師]]・[[救急救命士]](陸・空の衛生科の選抜に合格した者 海上自衛隊は、無試験選考)
 
** [[理学療法士]](外部委託の養成所に[[出向]]扱い)(無償・有給)
 
** [[歯科技工士]]([[陸上自衛隊衛生学校]]、歯科技工士養成課程を修了すること、自衛官共通)
 
** [[診療放射線技師]]([[自衛隊中央病院]]、診療放射線技師養成課程を修了すること、自衛官共通)
 
** [[臨床検査技師]]([[陸上自衛隊衛生学校]]、臨床検査技師養成課程を修了すること、自衛官共通)
 
** [[衛生管理者]](衛生科に従事していた者)
 
* 車両関係
 
: [[自衛隊自動車訓練所]]が[[指定自動車教習所]]と同じ扱いを受けている。
 
: * [[大型自動車]]・大型[[特殊]]・[[けん引]]・[[自動二輪]](自動車操縦教習所課程において必要な科目を修了すること)(無償<ref>但し、テキスト代及び課程教育以外での取得は一部有償</ref>・有給)
 
* 航空関係
 
: 自衛隊は国交省から航空従事者養成施設の指定を受けている
 
: * [[パイロット (航空)|航空機の操縦士]] (操縦士の養成課程を修了すること。)(国土交通省の[[事業用操縦士]])
 
: * [[航空整備士]] (航空整備士の養成課程を修了すること。)
 
: * [[航空管制官]] (養成教育は自衛隊で行うが、試験は[[国土交通省]]が実施)
 
* 船舶関係
 
** [[小型船舶操縦士]]([[海上自衛隊第1術科学校]]が養成施設に指定されている)
 
** [[海技士]](海上自衛隊の艦艇に従事した者、試験は[[国土交通省]]が実施)
 
* 他
 
** [[社会保険労務士]]受験資格(全階級の自衛官に付与)
 
** [[気象予報士]](気象業務に従事していた者に免除)
 
 
 
== 職種 ==
 
[[画像:US Navy 120208-N-KB563-104 Members of the Japan Ground Self-Defense Force conduct small arms weapons training aboard the amphibious assault ship US.jpg|thumb|[[89式5.56mm小銃]]を使用する[[西部方面普通科連隊]]の陸上自衛官]]
 
[[画像:JMSDF crew.jpg|thumb|right|[[こんごう型護衛艦]]1番艦[[こんごう (護衛艦)|こんごう]]に乗り込む海上自衛官]]
 
[[画像:JASDF soldiers with Type 91.jpg|thumb|[[91式携帯地対空誘導弾]]を構える基地防空隊の航空自衛官]]
 
 
 
諸外国の軍隊における[[兵科]]は陸上自衛隊では「'''職種'''」、海上および航空自衛隊では「'''職域'''」と呼んでいる。
 
 
 
2017年現在49種に別れている<ref name=shoku>[http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/streaming/movie/section_03/index.html 動画でわかる!自衛隊:自衛隊での仕事] - 防衛省</ref>。
 
 
 
下記の職種の他、[[航空学生]]や[[陸曹航空操縦学生]]、[[術科学校]]での訓練中は職種にかかわらず学生扱いとなり教育訓練に専念する。
 
 
 
* '''陸上自衛官'''は16職<ref name=shoku />
 
 
 
{{main|職種 (陸上自衛隊)}}
 
 
 
* '''海上自衛官'''は16職<ref name=shoku />
 
** 航海
 
** 通信
 
** 気象・海洋
 
*** [[気象予報士]]
 
** 射撃・水雷
 
** 地上救難
 
** 給養
 
** 飛行
 
*** [[操縦士]]
 
*** [[戦術航空士]]
 
*** [[航空士 (自衛隊)|航空士]]
 
** 機関
 
*** [[ボイラー技士]]
 
** 経理
 
** 航空管制
 
*** [[航空管制官]]
 
** 航空機整備
 
*** [[航空整備士]]・[[航空運航整備士]]・[[航空工場整備士]]・[[航空工場検査員]]・[[航空機体整備員]]
 
*** [[航空発動機整備員]]・[[航空電機計器整備員]]・[[航空電子整備員]]・[[航空武器整備員]]
 
** 潜水
 
** 施設
 
*** [[一級建築士]]・[[土木施工管理技士]]・[[管工事施工管理技士]]・[[消防設備士]]
 
** 音楽
 
** 衛生
 
*** [[薬剤師]]・[[臨床検査技師]]・[[看護師]]・[[准看護師]]・[[診療放射線技師]]・[[医師]]・[[歯科医師]]・[[救急救命士]]
 
** 機雷掃海
 
 
 
上記の区分とは別に、艦内では1~5の分隊に分けられる。また乗艦せず陸上のみで勤務する[[地方隊]]という区分もある。
 
* 艦内
 
** '''攻撃要員(第一分隊)'''
 
*** 運用員
 
*** 射撃員
 
*** 射撃管制員
 
*** [[魚雷]]員
 
*** 水測員
 
*** 掃海員
 
** '''航海・船務要員(第二分隊)'''
 
*** 航海員
 
*** 気象員
 
*** [[電測員]]・[[戦闘指揮所|CIC]]
 
*** 通信員
 
*** 電子整備員
 
** '''機関要員(第三分隊)'''
 
*** 機械員
 
*** 電機員
 
**** [[電気主任技術者]]・[[電気工事士]]
 
*** 応急工作員
 
** '''経理・補給・衛生要員(第四分隊)'''
 
*** 補給員
 
*** 経理員
 
*** 衛生員
 
*** 給養員
 
** '''航空要員(第五分隊)'''
 
*** 航空機搭乗員
 
*** 航空管制官
 
*** 航空整備員
 
** [[地方隊]]
 
*** 施設員
 
*** 法務員
 
*** 音楽員
 
*** 車両員
 
 
 
* '''航空自衛官'''は17職<ref name=shoku />
 
** 飛行
 
***操縦士
 
** 航空管制
 
** 警戒管制
 
*** [[レーダーサイト]]
 
** 高射
 
*** [[高射部隊 (航空自衛隊)|高射部隊]]
 
** 電算機処理
 
** 気象
 
** 通信
 
** 武器弾薬
 
*** 航空機に搭載する武器弾薬の担当。
 
** 航空機整備
 
** 施設
 
** 衛生
 
** 補給
 
** 警備
 
** 音楽
 
** 輸送
 
** 会計
 
** 法務
 
 
 
== 女性自衛官の職種 ==
 
[[画像:Japan Ground Self-Defense Force (JGSDF) soldiers watch a mock press conference at Camp Itami, Osaka, Japan 120202-A-JI701-006.jpg|サムネイル|男性自衛官に混じって活動する女性の陸上自衛官]]
 
[[ファイル:F-2A (529) of 6 Sqn undergoes an inspection at Andersen Air Force Base, -30 Jan. 2009 b.jpg|サムネイル|[[F-2 (航空機)|F-2]]を整備する女性の航空自衛官]]
 
[[File:JMSDF band plays the Japanese National Anthem during a ceremony in Honolulu, -9 Jun. 2010 a.jpg|サムネイル|楽器を演奏する女性の海上自衛官]]
 
女性自衛官(2003年3月以前は婦人自衛官)の職種は、1952年の[[保安隊]]時代に看護師(当時は看護婦)、1967年に大卒の幹部自衛官、1968年に曹士自衛官として陸上自衛隊に、会計科、通信科、文書科([[和文タイプライター]]のタイピスト。1980年代に廃止された後、任期満了退職者等以外は戦闘職種以外に転科)で始まった。1974年からは海空にも女性自衛官の採用が始まった。
 
 
 
制服は男性とは異なりスカートが採用された。なお自衛隊初の女性将官である[[佐伯光]]の発案により、[[妊娠]]中の女性自衛官には[[マタニティウェア|マタニティドレス]]型の制服が支給される<ref>自衛隊の謎検証委員会編『知られざる自衛隊の謎』、彩図社、2011年10月、133p</ref>。
 
 
 
[[中央観閲式]]では陸海空から臨時招集された士クラスの女性自衛官(100名程度)が、女性自衛官徒歩部隊を構成する<ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/20161026-OYT1T50024.html 「観閲式の立役者」…女性自衛官徒歩部隊が解散 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)]</ref>。
 
 
 
[[防衛省]]は[[1993年]]に「[[自衛隊]]の全ての[[職種 (陸上自衛隊)|職域]]を女性自衛官に開放」を宣言している。ただし[[2012年]][[7月11日]]の「防衛省男女共同参画推進本部決定」によれば、「母性の保護」、「近接戦闘の可能性」、「男女間のプライバシー確保」、「経済的効率性」の理由で女性自衛官の配置制限が存在する。具体的には、[[陸上自衛隊]]については[[普通科 (陸上自衛隊)|普通科]][[中隊]]、[[戦車]][[中隊]]、[[偵察]]隊、[[施設科|施設]]中隊、[[対戦車ヘリコプター隊|対戦車ヘリコプター飛行班]]、[[化学科 (陸上自衛隊)|化学防護]](小)隊、[[坑道戦|坑道]]中隊など、[[海上自衛隊]]では[[潜水艦]]、[[ミサイル艇]]、[[掃海艇|掃海艦]](艇)、[[特別警備隊 (海上自衛隊)|特別警備隊]]、[[航空自衛隊]]では[[戦闘機]][[偵察機]]への女性自衛官の配置が制限されている<ref>[http://www.mod.go.jp/j/approach/others/jinji/gender/ 防衛省・自衛隊:防衛省における男女共同参画に係る基本計画]</ref><ref>{{cite news |title=日本でも「女性の戦闘機乗り」は生まれるのか |author=安積明子|newspaper= [[東洋経済オンライン]]|date=2015-2-27 |url=http://toyokeizai.net/articles/-/61714 |accessdate=2015-2-28 }}</ref>。
 
 
 
[[海上警備隊]]の発足当初から歌われていた行進歌「'''海をゆく'''」があったものの、本来隊歌として制定された曲ではなかったことや歌詞が時代に合わなくなったことから<ref>歌い出しが「'''男'''と生まれ~ 」であったが女性自衛官もそのまま歌っていた。</ref>、海上自衛隊の発足50周年となる2002年に歌詞を変更<ref>公募された新しい歌詞は性別に関する語は含まれていない。</ref>し正式な隊歌として制定した。
 
 
 
2002年には長期[[育児休業]]中にある自衛官の代替として元自衛官を臨時採用する[[任期付自衛官]]を創設した。[[東ティモール]]における[[PKO]]において女性自衛官が初参加。[[イラク]]の人道復興支援にも女性に対しての身体検査などに従事した<ref>[[TOKYO FM出版]]([[株式会社エフエム東京]])「亡国のイージス」防衛のジョーシキ早分かりQ&A</ref>。
 
 
 
[[2008年]]には[[護衛艦]]においての勤務が開放された<ref name=":0">2017年4月19日の中日新聞朝刊2面</ref>。
 
 
 
[[2015年]][[11月13日]]、防衛省男女共同参画推進本部及び防衛省女性職員活躍・ワークライフバランス推進本部は、航空自衛隊の戦闘機および偵察機への女性自衛官の配置制限を解除することを決定した<ref>[http://www.mod.go.jp/j/press/news/2015/11/13b.html 防衛省・自衛隊:女性自衛官の配置制限の見直しについて]</ref><ref>[http://www.yomiuri.co.jp/national/20151111-OYT1T50136.html 女性、戦闘機パイロットに…空自が登用方針 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)]</ref>。早ければ2018年度に女性自衛官の戦闘機パイロットが部隊に配置されるという。[[アメリカ軍]]では4軍でパイロットの性別制限を撤廃しているため戦闘機や攻撃ヘリだけでなく、操縦教官、[[サンダーバーズ]]([[曲技飛行隊]])にも女性パイロットが存在する。
 
 
 
[[2015年]]11月16日に横須賀港を出港した[[しらせ (砕氷艦・2代)|しらせ]]に女性自衛官が乗艦した<ref>[http://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/bosyusien/images/shokusyu.pdf]</ref>。
 
 
 
[[2016年]]に陸上自衛隊の[[攻撃ヘリコプター]]が開放された<ref name=":0" />。海上自衛隊は潜水艦を除き開放された<ref>[http://www.mod.go.jp/j/approach/others/jinji/gender/2-2.pdf 女性自衛官の配置制限]防衛省</ref>。
 
 
 
2016年末時点で、女性自衛官が自衛官全体に占める割合は、6.1%だった<ref name=2017tp>[https://mainichi.jp/articles/20170418/k00/00e/010/204000c 女性自衛官:配置制限「撤廃」 戦車中隊など起用可能に] - 毎日新聞</ref>。自衛隊創設当初は144人(0.1%)だったが年々増加している<ref>[http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201704/CK2017041802000238.html 東京新聞:女性自衛官が戦車中隊に 配置制限、全職域で実質撤廃] - [[東京新聞]]</ref>。なお、事務官に限ると23.4%が女性となっている<ref>{{Cite web|title=防衛省における女性職員に関する統計資料 |url=http://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/tokei/women.html |date=2014-7-1 |accessdate=2014-12-7 | publisher=[[防衛省]] }}</ref>。
 
 
 
2017年4月18日防衛省は、早ければ2019年度にも陸上自衛隊普通科中隊、戦車中隊、偵察隊に実際に配置を始める方向で検討。これにより性別制限のある職種は、陸上自衛隊では[[中央特殊武器防護隊|特殊武器防護隊]]で放射線を扱う人員と[[坑道戦|坑道中隊]]、海上自衛隊では[[潜水艦]]乗員のみとなり、事実上撤廃された<ref name=2017tp />。航空自衛隊では制限は無い。
 
女性自衛官の増員策は「女性自衛官活躍推進イニシアチブ」と呼び、共働きなどに対応できるよう[[育児休業]]・[[介護休業]]の取得強化を掲げる<ref name=":0" />。
 
 
 
2017年現在、女性自衛官で将官の階級まで昇ったのは[[佐伯光]]、[[梶田ミチ子]]、[[柏原敬子]]、[[近藤奈津枝]]の4名の将補のみである。
 
 
 
2017年現在、採用・任用区分で女性に開放されていないのは陸上自衛隊の[[高等工科学校生徒]]だけである。
 
 
 
== リスク ==
 
[[現代用語の基礎知識]]2016年編集後記で、海外で活動中の自衛官が誤って現地住民を死傷させた場合、現在の段階では、[[刑法]]の域外適用以外に日本の側の国内法整備は行われていないため、今後の課題<ref>[[現代用語の基礎知識]]2016年1317ページ</ref>。
 
 
 
2017年8月8日公表された2017年版[[防衛白書]]のコラム「自衛隊員のリスクについて」は、[[駆け付け警護]]、[[宿営地の共同防衛]]の新任務に伴う新たなリスク発生の可能性を認めた上で「現に戦闘が行われている現場」では活動を休止することや事前の情報収集などによりリスクを「極小化、局限化」していると強調している<ref>[http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201708/CK2017080902000137.html 防衛白書 「日報」触れず PKO新任務は詳述]2017年8月9日東京新聞朝刊</ref>。
 
 
 
[[伊勢崎賢治]]は、自衛隊が[[防衛出動]]で誤って民間人を殺傷した場合に、それを裁く法律が無いし、裁く法廷も無い。[[刑法]]35条の正当防衛に該当するから罪にならない主張もあるが根拠が無い。[[尖閣諸島]]で中国の漁船や民間人に弾が当たれば中国は[[戦争犯罪]]と主張して外交問題化するし、陸上自衛隊の海外拠点の[[ジブチ]]でイスラム国([[ISIL]])が攻撃した場合もジブチ国民に防戦の弾が当たれば問題化する。国際社会で名誉ある地位を占めるためにも事故が起きる前に国内法の整備を急ぐべき<ref>[[自由国民社]]発行の[[現代用語の基礎知識]]2018年112ページ</ref>と述べている。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[内務班]]
 
* [[文民統制]]
 
* [[警察官職務執行法]]([[正当防衛]],[[緊急避難]])
 
* [[軍法]]
 
* [[共済組合|防衛省共済組合]]
 
* [[防衛省設置法]]
 
* [[自衛隊法]]
 
* [[服務の宣誓#自衛隊]]
 
* [[国家公務員]]
 
* [[防衛省職員]]
 
* [[自衛隊員]]
 
* [[防衛駐在官]]
 
* [[法務官 (自衛隊)]]
 
* [[監察官]]
 
* [[警務官]]
 
* [[医官]](防衛医官)
 
* [[歯科医官]]
 
* [[広報官 (自衛隊地方協力本部)]]
 
* [[防衛大学校本科学生の制服]]
 
* [[レンジャー (陸上自衛隊)]]
 
* [[制服 (自衛隊)]]
 
* [[戦闘雨具]]
 
* [[専守防衛]]
 
* [[銃剣道]]
 
* [[自衛隊格闘術]]
 
* [[匍匐]]
 
* [[総短艇]]
 
* [[非常呼集]]
 
* [[日本の自殺]]([[日本の自殺#自衛官の自殺|自衛官の自殺]]の節)
 
* [[MAMOR]]
 
* [[認識票]]
 
* [[賞恤金]]
 
* [[捕虜]]
 
* [[国際人道法]]
 
* [[国際刑事裁判所]]
 
* [[国際刑事裁判所ローマ規程]]
 
  
 
== 外部リンク ==
 
== 外部リンク ==
* [http://www.mod.go.jp/pco/sizuoka/chihon2/syokusyu.html 自衛官の職種] - 自衛隊静岡地方協力本部
 
* [http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2008/2008/html/ks348000.html 自衛官の心がまえ](『平成16年版防衛白書』)
 
 
* [http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/ 自衛官募集ホームページ] - 防衛省・自衛隊
 
* [http://www.mod.go.jp/gsdf/jieikanbosyu/ 自衛官募集ホームページ] - 防衛省・自衛隊
  
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+
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[[Category:自衛官|*]]
 
[[Category:自衛官|*]]

2018/9/22/ (土) 00:20時点における版

自衛官(じえいかん、: Self-Defense Official

防衛省特別の機関である自衛隊の任務を行う特別職国家公務員自衛隊員の中で階級と制服が指定され、武装して戦闘に従事する要員(武官)を指す[1]

自衛隊法によりを受けて、自衛隊の任務を行うと規定されており、個別の機関である陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊のいずれかに所属する。最高指揮官は、内閣総理大臣である。

外部リンク



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