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− | {{生物分類表
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− | |色 = 動物界
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− | |fossil_range = 後期[[三畳紀]] – 現世、{{fossil range|220|0}}
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− | |名称 = 哺乳綱<br />{{sname|Mammalia}}
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− | |画像 = [[File:Mammal Diversity 2011.png|300px]]
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− | |画像キャプション =
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− | |界 = [[動物|動物界]] {{sname||Animalia}}
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− | |門 = [[脊索動物|脊索動物門]] {{sname||Chordata}}
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− | |亜門 = [[脊椎動物|脊椎動物亜門]] {{sname||Vertebrata}}
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− | |上綱 = [[四肢動物|四肢動物上綱]] {{sname||Tetrapoda}}
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− | |綱 = '''哺乳綱''' {{sname||Mammalia}}
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− | |学名 = Mammalia {{AUY|[[カール・フォン・リンネ|Linnaeus]]|1758}}
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− | |下位分類名 = [[亜綱]]・[[下綱]]相当
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− | |下位分類 =
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− | *[[原獣亜綱]] {{sname||Prototheria}}
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− | *[[獣形類]] {{sname|es|Theriiformes}}
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− | **[[異獣亜綱]] {{sname||Allotheria}} †
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− | **[[三錐歯目]] {{sname||Triconodonta}} †
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− | **[[全獣類]] {{sname||Holotheria}}
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− | ***[[獣亜綱]] {{sname||Theria}}
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− | ****[[後獣下綱]] {{sname||Metatheria}}
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− | ****[[真獣下綱]] {{sname||Eutheria}}
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− | }}
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− | '''哺乳類'''(ほにゅうるい、英語:Mammals, /ˈmam(ə)l/、 学名:{{sname|Mammalia}})は、[[脊椎動物]]に[[分類]]される生物群である。分類階級は'''哺乳綱'''(ほにゅうこう)とされる。
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− | 基本的に[[有性生殖]]を行い、現存する多くの[[種 (分類学)|種]]が[[胎生]]で、[[乳]]で子を育てるのが特徴である。[[ヒト]]は哺乳綱の中の[[サル目|霊長目]][[ヒト科]][[ヒト属]]に分類される。
| + | '''哺乳類'''(ほにゅうるい、英語:Mammals, /ˈmam(ə)l/、 学名:{{sname|Mammalia}}) |
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− | 哺乳類に属する動物の[[種 (分類学)|種]]の数は、研究者によって変動するが、おおむね4,300から4,600ほどであり、脊索動物門の約10%、広義の動物界の約0.4%にあたる。
| + | 脊索動物門脊椎動物亜門哺乳綱の動物の総称。体は毛,ときに鱗でおおわれ,汗腺,脂肪腺などが発達している。四肢も通常よく発達している。ほとんどの種は上下顎に歯をもち,門歯,臼歯,犬歯などに分化しており,グループに特有の歯式をもつ。心臓は2心房2心室で,体温は恒温性。神経系はよく発達し,特に中枢である脳の発達が著しい。[[単孔類]]を除き胎生で,雌は発達した乳腺をもち,それで哺乳して育児する。多くは陸上生活をするが,水中生活に適応したグループもある。現生のものは世界で約 4200種が知られている。 |
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− | [[日本]]およびその近海には、[[外来種]]も含め、約170種が生息する([[日本の哺乳類一覧]]、Ohdachi, S. D., Y. Ishibashi, M. A. Iwasa, and T. Saitoh eds. The Wild Mammals of Japan. Shoukadoh, Kyoto. 2009を参照)。
| + | {{テンプレート:20180815sk}} |
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− | == 語源 ==
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− | {{sname|Mammalia}}(哺乳類)という言葉は、[[1758年]]、「分類学の父」[[カール・フォン・リンネ|リンネ]]による『自然の体系』第10版においてはじめて用いられた。[[ラテン語]]の字義は「[[乳房]]の」を意味する。 | |
− | | |
− | 「哺乳類」は、ドイツ語の Säugetiere の訳である。''saugen''(母乳を飲む)と ''Tier''(動物)に由来している。「哺」は、[[口]]でとる(捕)、あるいは口でささえる(輔)という字の成り立ちから、口にふくむ、食らうことを表すが、口にふくませる、食物を与える意味ともなり、「哺乳」とは(「哺乳瓶」「哺乳期」などと言うように)乳を飲ませて育てることである。
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− | == 哺乳類の進化 ==
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− | [[File:Platypus.jpg|thumb|right|250px|[[カモノハシ]]の属する[[単孔目]]は三畳紀に他の哺乳類から分離したとされ、もっとも原始的な哺乳類の形をとどめている]]
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− | 哺乳類の起源は古く、既に[[三畳紀]]後期の2億2500万年前には、最初の哺乳類といわれる[[アデロバシレウス]]が生息していた。そのルーツは、[[古生代]]に繁栄した[[単弓類]] (Synapsida) のうち、[[キノドン類]] (Cynodontia) である。単弓類は、[[爬虫類]]の[[双弓類]] (Diapsida) とは[[石炭紀]]中期に分岐し、独自の進化をしていた。単弓類は[[ペルム紀]]末の[[大量絶滅#ペルム紀末|大量絶滅]]において壊滅的なダメージを受け、キノドン類などごくわずかな系統のみが三畳紀まで生き延びている。一時期再び勢力を挽回するものの、既に主竜類などの勢力も伸長し単弓類は既に地上の覇者ではなくなっていた。そして、三畳紀後期初頭の大絶滅を哺乳類とともに生き延びたのは、[[トリティロドン科]]のみであった。しかし彼らも[[白亜紀]]前期には姿を消している。また、同じく三畳紀には、すでに哺乳類の他のグループから分岐する形で[[単孔目]]が出現している。単孔目は現存するが、これは[[卵生]]であることや[[総排出腔]]をもつなどほかの哺乳類とは大きく異なる構造を持ち、もっとも原始的な哺乳類の形をとどめているとされる。
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− | | |
− | 酸素濃度35%の[[ペルム紀]]以降は、[[リグニン]]の分解能を獲得した菌類による木材の分解により酸素濃度が徐々に低下し[[ジュラ紀]]後期の2億年前には酸素濃度は12%まで低下した。[[気嚢]]は、[[横隔膜]]方式よりも効率的に酸素を摂取できる機能がある。低酸素下でもその機能を維持できる気嚢を有した一部の[[双弓類]]は繁栄することができた。哺乳類の祖先である[[単弓類]]は低酸素環境下でその種の大部分が絶滅することとなった<ref name=ha>長谷川政美、「系統樹をさかのぼって見えてくる進化の歴史」p102ほか、2014年10月25日、ベレ出版、ISBN 978-4-86064-410-9</ref>。なお、哺乳類の肺機能は、酸素分圧0.1気圧(酸素濃度10%)以下で呼吸困難になり、酸素分圧0.8気圧(酸素濃度80%)以上で肺の組織が酸化される<ref>松尾 禎士 「[http://doi.org/10.5575/geosoc.78.455 地球進化の考え方:大気の進化を例として]」 『地質学雑誌』 Vol. 78 (1972) No. 8 P 455-462</ref>。
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− | [[恐竜]]の全盛時代である[[ジュラ紀]]、白亜紀の哺乳類は[[ネズミ]]ほどの大きさのものが多かった。しかし進化が停滞していたわけではない。白亜紀前期には、それまでの[[有袋類]]から分岐してすでに[[有胎盤類]]が登場している。また、中国から発見された大型の哺乳類の化石(胃の辺り)から未消化の恐竜の子供が見つかっている。これは、哺乳類が恐竜を捕食していた例もあったことを意味している。
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− | 恐竜を含む[[主竜類]]が繁栄を極めた時代には、哺乳類は、夜の世界など主竜類の活動が及ばない時間・場所などの[[ニッチ]]に生活していた。[[魚類]]、[[両生類]]、[[爬虫類]]、[[鳥類]]には4タイプの錐体細胞を持つものが多い([[4色型色覚]])。現在、[[鳥類]]などに比して哺乳類の視覚(とりわけ色覚)が全般的に劣っているのも、この長い夜行生活を経て大部分の哺乳類の[[視覚]]が2色型色覚に[[退化]]したためと考えられている(二次的に3色型色覚を獲得した[[霊長目]][[狭鼻下目]]などを除く)。約6400万年前、鳥類と[[ワニ]]類を除く主竜類が絶滅し、次の[[新生代]]では、その空白を埋めるように哺乳類は爆発的に放散進化し、多種多様な種が現れて地上でもっとも繁栄した種となった。
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− | 現在では地中や水中などを含め、地球上のほとんどの環境に、哺乳類が生息している。
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− | === 分類体系 ===
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− | * [[有羊膜類]] {{sname|Amniota}}
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− | ** [[竜弓類]] {{sname|Sauropsida}}
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− | *** [[爬虫類]] {{sname|Reptilia}}
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− | **** [[双弓類]] {{sname|Diapsida}} → 恐竜・翼竜等、及び現生の爬虫類・鳥類へ
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− | ** [[単弓類]] {{sname|Synapsida}}
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− | *** [[盤竜類]] {{sname|Pelycosauria}}
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− | **** [[真盤竜亜目]] {{sname|Eupelycosauria}}
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− | **** [[カセア亜目]] {{sname|Caseasauria}}
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− | *** [[獣弓類]] {{sname|Therapsida}}
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− | **** [[異歯亜目|異歯類]] {{sname|Anomodontia}}
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− | **** [[獣歯類]] {{sname|Theriodontia}}
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− | ***** [[キノドン類]] {{sname|Cynodontia}}
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− | ****** [[哺乳形類]] {{sname|Mammaliaformes}}
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− | ******* [[モルガヌコドン目]] {{sname|Morganucodonta}}
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− | ******* [[梁歯目]] {{sname|Docodonta}}
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− | ******* 哺乳類 {{sname|Mammalia}}
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− | ※単弓類の系統は哺乳類以外は全て絶滅した。
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− | ※哺乳類は、従来は後述する顎関節の特徴で定義されてきた。しかし近年、中間的な化石が出現するなどこの定義が適用できない場合が増えたため、現生種を含む最も小さい単系統となるよう、系統学的に厳密に再定義することが多くなった。これにより、[[梁歯目]]、[[モルガヌコドン目]]などの原始的なグループ(ここでは代表的なもののみ記した)が哺乳類から外れることになる。それらを含めた従来の広い意味での哺乳類を、[[哺乳形類]]という。
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− | == 形態的・生態的な特徴 ==
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− | [[ファイル:Cow and calf.jpg|thumb|right|250px|子供に乳を与える[[ウシ]]。授乳は哺乳類の特徴の一つであり、名前の由来である。]]
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− | === 軟組織の特徴 ===
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− | これらは化石では確認しにくい。
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− | ;乳房:保育行動([[授乳]])に用いる器官。[[汗腺]]が分化した[[乳腺]]が集合し発達したもの。[[乳房]]と[[乳頭]]内部にある[[乳腺]]と[[乳管]]で成り立つ。イノシシやネズミなど多産種では多対を、ヒトやゾウのような少産種では1対のみ発達させる。[[単孔類]]は持たない。通常[[出産]]すると[[乳]]の分泌が開始されるが、他の個体が産んだ子を相手に[[母性本能]]が刺激されて乳を分泌する場合もある<ref name=Ohaishi2-30>[[#大泰司②(1998)|大泰司②(1998)、p.30-32、第2章.体の表面 2.1皮膚・毛・皮膚腺 (4)乳房]]</ref>。[[単孔類]]では乳房・[[乳頭]]はなく[[乳腺]]からにじみ出た乳を子が舐め取る。
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− | ;[[口唇]]:上記の乳頭に吸い付くため口の周りにある柔らかい器官。[[単孔類]]は持たない。[[鯨]]類は二次的に退化したと思われている。
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− | ;体毛:体表を覆う[[体毛]]を持つ動物のうち、[[皮膚]]の[[角質]]層に由来するものを持つのは哺乳類のみである<ref name=Ohaishi2-22>[[#大泰司②(1998)|大泰司②(1998)、p.22-27、第2章.体の表面 2.1皮膚・毛・皮膚腺 (2)毛とトゲ]]</ref>。さらにこれが発達して厚くなると、[[角]]や[[爪]]、または[[ヤマアラシ]]・[[センザンコウ]]のトゲやウロコとなる<ref name=Ohaishi2-22 />。体毛は体温の発散を防ぐ他に、保護色や触覚の役割を持ったり、ディスプレイにも使われたりする<ref name=Ohaishi2-22 />。[[クジラ]]類では、ハクジラ類が、胎児期にのみ、頭部の一部にわずかな毛をもつ。参考までに、[[爬虫類]]は体毛をもたず、[[鳥類]]では[[羽毛]]が体表を覆う。
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− | | |
− | ;横隔膜:[[肋骨]]と共同して[[肺呼吸]]を可能にする[[横隔膜]]をもち、これが[[胸腔]]と[[腹腔]]とを分けている。(他の動物群にない特徴)
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− | ;心臓:[[心臓]]に2心房2心室をもつ。また、血液の[[体循環]]は[[左大動脈弓]]のみによる。
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− | ;血液:[[赤血球]]は循環系では'''無核'''で、その形は円盤状である([[ラクダ]]類では楕円状)。
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− | 以上である。
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− | | |
− | ;共通の特徴であるかのように誤解されていること。
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− | 次の特徴は「哺乳類の特徴」と言われることがあるが、正しくは、あくまで一部の系統の特徴である。
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− | <!-- 哺乳類の3つの系統のひとつである後獣目(≒有袋目)で現にオーストラリアで大繁殖しているグループを「例外」として扱うのはあまりに乱暴な話だな。せめて「真獣下綱の特徴だ」としている出典は無いのか?
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− | -->
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− | ;「胎生」: 獣亜綱は、[[胎生]]であるが、[[原獣亜綱]]など(現生種は[[カモノハシ目]]の3属5種のみ)は[[卵生]]である。
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− | ;「胎盤」: [[有胎盤類]]は体内の[[胎盤]]で子を育てて出産するが、(哺乳類の3つの系統のひとつの後獣目は)[[有袋類]]で体外部の[[育児嚢]]で子を育てる。
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− | {| class="wikitable" style="float:right"
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− | |+ 哺乳類の平均体温<ref>[http://www.maff.go.jp/hokuriku/kids/question/stock01.html 畜産の不思議 動物の体温は人と比べて高いのですか] (ほくりくのうせいきょくキッズページ)</ref>
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− | | 動物名
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− | | 平均体温
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− | |-
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− | |[[ブタ]]
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− | | 39.0℃
| |
− | |-
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− | |[[ヤギ]]
| |
− | | 39.0℃
| |
− | |-
| |
− | |[[ヒツジ]]
| |
− | | 39.0℃
| |
− | |-
| |
− | |[[ウサギ]]
| |
− | | 39.5℃
| |
− | |-
| |
− | |[[ウシ]]
| |
− | | 38.5℃
| |
− | |-
| |
− | |[[イヌ]]
| |
− | | 38.5℃
| |
− | |-
| |
− | |[[ネコ]]
| |
− | | 38.5℃
| |
− | |-
| |
− | |[[ウマ]]
| |
− | | 37.5℃
| |
− | |-
| |
− | |[[ヒト]]
| |
− | | 36.0℃
| |
− | |-
| |
− | |(参考)[[ニワトリ]]
| |
− | | 42.0℃
| |
− | |-
| |
− | |}
| |
− | ;体温:鳥類と同じく、体温をほぼ一定に保つ[[恒温動物]]であるものがほとんどを占める。ただし、[[ナマケモノ]]、[[ハダカデバネズミ]]のように変温動物とされる[[種]]もある。
| |
− | ;「[[肛門]]と[[泌尿生殖門]](尿と胎児が出てくる孔)の分離」: [[カモノハシ目|カモノハシ類]]は共通の[[総排出口]]をもつ。(爬虫類や鳥類も1穴)
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− | | |
− | === 歯の特徴 ===
| |
− | 哺乳類の歯は一般的に、それぞれ別の機能を持つ形状を取っており、[[切歯]](門歯)・[[犬歯]]・前臼歯([[小臼歯]])・臼歯([[大臼歯]])の4種類に分化している<ref name=Ohaishi2-89>[[#大泰司②(1998)|大泰司②(1998)、p.89-92、第4章.歯 4.1歯学概論 (3)歯の種類と構造]]</ref>。真獣類の基本数は[[イノシシ]]に見られる片顎あたり切歯3・犬歯1・前臼歯4・臼歯3だが、これが揃っている種は少なく<ref name=Ohaishi2-89 />[[食性]]により歯の退化したものや、[[ハクジラ類]]のように同型歯をもつものもある。[[両生類]]や爬虫類は同型歯であり、[[鳥類]]は歯をもたない。
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− | | |
− | 頬歯(前臼歯と臼歯)は、[[歯冠]]に[[咬頭]]と呼ばれるふくらみを複数もち、複雑な形をしている。また、[[頬歯]]の[[歯根]]は2本以上に分岐している。
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− | <!-- *歯の生え変わりは、[[乳歯]]から[[永久歯]]への1回のみか、または一度も生え変わらない。#何度か生え変わる種もある。(ゾウは4 - 6回など)この場合の交換は[[水平交換]]と呼ばれ、[[乳歯]]から[[永久歯]]への交換([[垂直交換]]とは意味が異なる)[http://www.8020zaidan.or.jp/chishiki/dobutsu.html ]#-->
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− | | |
− | === 骨格の特徴 ===
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− | ;[[成長点]]:長骨は中心部分ではなく両端の[[骨端軟骨]]部分で成長し、成長中の若い個体では、それらが[[軟骨]]でつながっている(爬虫類では、骨は中心部分からしか成長しない)。
| |
− | ;[[下顎]]:1つの[[歯骨]]だけでできている(爬虫類は下顎が複数の骨からなる)。
| |
− | ;[[鱗状骨]]:[[頭骨]]と下顎は、[[側頭鱗]]([[鱗状骨]])と[[歯骨]]によって関節している(爬虫類の[[顎関節]]は、[[方形骨]]と[[関節骨]]からなる)。
| |
− | ;[[耳小骨]]:[[鐙骨]]・[[砧骨]]・[[槌骨]]という3個の連続した耳小骨が、[[鼓膜]]の振動を[[内耳]]に伝える(爬虫類や鳥類の耳小骨は、鐙骨のみ。哺乳類のみがもつ砧骨と槌骨は、爬虫類の[[方形骨]]・[[関節骨]]がそれぞれ変化したものである)。
| |
− | ;[[二次口蓋]]:[[口蓋]]と鼻道の間に二次口蓋と呼ばれる板状の骨があり、口と[[鼻道]]の間が完全に仕切られている(爬虫類ではこの分離が不完全)。
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− | ;頭骨の鼻穴:1つ(爬虫類では1対)。
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− | ;[[後頭顆]]:[[頭蓋]]の[[後頭部]]にある[[大後頭孔]]の左右に、[[頭骨]]と第一[[頸椎]]を関節させる後頭顆を1対もつ(爬虫類や鳥類は、大後頭孔の下に1個の後頭顆をもつ)。
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− | ;[[頸椎|頚椎]]:7個。ただし、[[クジラ目]]では癒合・分離によって数が変異し、[[ジュゴン目]]では6個、[[アリクイ目]]では6・9・10個となる。
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− | ;[[肋骨]]:首の部分の肋骨は、すべて頚椎に癒合している。[[胸椎]]にはゆるく関節し、体を前後左右に曲げるだけでなく、ねじることもできる。また、[[腹部|腹]]の部分には肋骨がない(体をねじれることと、腹部の肋骨を欠くことにより、メスは寝そべって子どもに[[授乳]]することができる)。
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− | ;[[肩甲骨]]:[[脊柱]]とは関節しておらず(このために[[前肢]]の自由な動作が可能となる)、外側の面に[[肩甲棘]]とよばれるはっきりした隆起線が前後に走る(爬虫類の肩甲骨には肩甲棘がない)。
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− | ;指:骨の数は[[親指]]が2個、その他の指は3個が基本(爬虫類はこれより多い)。
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− | ;[[骨盤|寛骨]]:[[腸骨]]・[[坐骨]]・[[恥骨]]の3つが癒合し、1つの寛骨になっている。ただし[[クジラ類]]は寛骨が消失(爬虫類は3つの骨が分離している)。
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− | | |
− | === 色覚の特徴 ===
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− | [[脊椎動物]]の[[色覚]]は、[[網膜]]の中にどのタイプの[[錐体細胞]]を持つかによって決まる。[[魚類]]、[[両生類]]、[[爬虫類]]、[[鳥類]]には4タイプの錐体細胞([[4色型色覚]])を持つものが多い。よってこれらの生物は長波長域から短波長域である近紫外線までを認識できるものと考えられている。一方ほとんどの哺乳類は錐体細胞を2タイプ([[2色型色覚]])しか持たない。哺乳類の祖先である爬虫類は4タイプ全ての錐体細胞を持っていたが、2億2500万年前には、最初の哺乳類と言われる[[アデロバシレウス]]が生息し始め、初期の哺乳類は主に[[夜行性]]であったため、[[色覚]]は生存に必須ではなかった。結果、4タイプのうち2タイプの錐体細胞を失い、青を中心に感知するS錐体と赤を中心に感知するL錐体の2錐体のみを保有するに至った。これは赤と緑を十分に区別できないいわゆる「赤緑色盲」の状態である。この色覚が哺乳類の子孫に遺伝的に受け継がれることとなった。
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− | | |
− | 霊長類[[直鼻猿亜目]]は、[[メガネザル下目]]と[[真猿下目]]に分岐する。この分岐の際に真猿下目のX染色体に位置する錐体視物質に関連した[[色覚]]の[[多型]]が顕著になり、ヘテロ接合体の2本のX染色体を持つメスに限定した3色型色覚の再獲得につながり、さらに[[狭鼻下目]]のオスを含めた種全体の3色型色覚の再獲得へとつながることとなる<ref name=tokyo/>。[[真猿下目]]の[[狭鼻下目]]([[旧世界]]ザル)と[[広鼻下目]]([[新世界]]ザル)とが分岐したのは3000-4000万年前と言われている<ref name=kyoto>三上章允、[http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/official/tokyo2004/mikami.pdf 霊長類の色覚と進化]2004年9月18日。 [http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/official/tokyo2004/ 京都大学霊長類研究所 東京公開講座「遺伝子から社会まで」]のレジュメ</ref><ref>Surridge et al. Trends Ecol. Evol. 18, 198-205, 2003</ref>{{信頼性要検証|date=2012年11月}}。[[ヒト]]を含む[[旧世界]]の[[霊長類]][[狭鼻下目]]の祖先は、約3000万年前、[[性染色体]]である[[X染色体]]に位置している赤を中心に感知するL錐体から変異した緑を中心に感知する新たなタイプの錐体(M錐体)視物質の遺伝子が出現し、[[ヘテロ接合体]]の2本のX染色体を持つメスのみが3色型色覚を有するようになり、さらにヘテロ接合体のメスにおいて[[相同組換え]]による[[遺伝子重複]]の変異を起こして同一のX染色体上に2タイプの錐体視物質の遺伝子が保持されることとなりX染色体を1本しか持たないオスも3色型色覚を有するようになった。これによって、第3の錐体細胞が「再生」された。3色型色覚は[[ビタミンC]]を多く含む色鮮やかな[[果実]]等の発見と生存の維持に有利だったと考えられる<ref name=nig>岡部正隆、伊藤啓 「[http://www.nig.ac.jp/color/barrierfree/barrierfree1-4.html 1.4 なぜ赤オプシン遺伝子と緑オプシン遺伝子が並んで配置しているのか]「第1回色覚の原理と色盲のメカニズム」 『細胞工学』7月号をWEBに掲載。</ref><ref name=kyoto/>。
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− | | |
− | なお、時代を下ってヒトの[[色覚]]に鑑みるに、ヒトが属する狭鼻下目の[[マカクザル]]に[[色盲]]がヒトよりも非常に少ないことを考慮すると、[[ヒト]]の祖先が狩猟生活をするようになり3色型色覚の優位性が低くなり、2色型色覚の淘汰圧が下がったと考えられる<ref name=nig/>。広鼻下目の[[ヨザル]]は1色型色覚であり[[ホエザル]]は狭鼻下目と同様に3色型色覚を再獲得している<ref name=tokyo>{{cite web|url=http://www.jinrui.ib.k.u-tokyo.ac.jp/kawamura/study.html|title=感覚系遺伝子の進化生態遺伝学|accessdate=2013-06-14}}</ref>{{信頼性要検証|date=2012年11月}}が、これらを除き残りの新世界ザル(広鼻下目)はヘテロ接合体のX染色体を2本持つメスのみが3色型色覚を有し、オスは全て色盲である。これは狭鼻下目のようなX染色体上での相同組換えによる遺伝子重複の変異を起こさなかったためである<ref name=kyoto/>。ヒトは上記のような[[霊長目]][[狭鼻下目]]の祖先のX染色体の遺伝子変異を受け継いでいるため、M錐体を欠損したX染色体に関連する赤緑色盲が伴性[[劣性遺伝]]をする。男性ではX染色体の赤緑色盲の遺伝子を受け継いでいると[[色盲]]が発現し、女性では2本のX染色体とも赤緑色盲の遺伝子を受け継いでいる場合に色盲が発現する<ref>岡部正隆、伊藤啓 「[http://www.nig.ac.jp/color/barrierfree/barrierfree1-6.html 1.6 女性で赤緑色盲が少ない理由]「第1回色覚の原理と色盲のメカニズム」 『細胞工学』7月号をWEBに掲載。</ref>。なお、日本人では男性の4.50%、女性の0.165%が先天赤緑色覚異常で、白人男性では約8%が先天赤緑色覚異常であるとされる。
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− | | |
− | その他の哺乳類の2色型色覚の例外として、最近の研究では、[[有袋類]]には3色型色覚が広がっている可能性がある<ref>Arrese, C. A., Oddy, A. Y., Runham, P. B., Hart, N. S., Shand, J., Hunt, D. M., * Beazley, L. D. (2005). Cone topography and spectral sensitivity in two potentially trichromatic marsupials, the quokka (''Setonix brachyurus'') and quenda (''Isoodon obesulus''). Proceedings of the Royal Society of London Series B, 272, 791-796</ref>。有袋類のうち[[フクロネコ]]、[[ポッサム]]で3色覚が認められている<ref>平松千尋「霊長類における色覚の適応的意義を探る」『霊長類研究』Vol. 26 (2010) No. 2. {{doi|10.2354/psj.26.004}}</ref>。
| |
− | [[鰭脚類]]と[[クジラ類]]は1色型色覚である<ref>Sternberg, Robert J. (2006): Cognitive Psychology. 4th Ed. Thomson Wadsworth.</ref>。
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− | == 分類 ==
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− | [[Image:Mammal species pie chart.png|thumb|300px|哺乳類の各目ごとに現存種数(近年の絶滅種を含む)を示した円グラフ。もっとも種が多いものは[[ネズミ目]](水色)であり、一つの目で哺乳類全体の約40%を占める。2番目に多いものは[[コウモリ目]] (赤) 、次いで[[トガリネズミ目]] (黄色)であり、この上位3目で哺乳類全体の種の70%を占める。なお、以下は[[サル目]](緑)、[[ネコ目]](青)の順となっている]]
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− | === 大分類 ===
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− | * [[原獣亜綱]] {{sname|Prototheria}} (Australosphenida)
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− | * [[獣形類]] {{sname|Theriiformes}}
| |
− | ** [[異獣亜綱]] {{sname|Allotheria}} †(†は絶滅)
| |
− | *** [[多丘歯目]] {{sname|Multituberculata}} †
| |
− | ** [[三錐歯目]](三丘歯目) {{sname|Triconodonta}} (Eutriconodonta) †
| |
− | ** [[全獣類]] {{sname|Holotheria}}
| |
− | *** [[上団|Superlegion]] {{sname|Trechnotheria}}
| |
− | **** [[相称歯目]] {{sname|Symmetrodonta}} †
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− | **** [[団 (分類学)|Legion]] {{sname|Cladotheria}}
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− | ***** [[亜団|Sublegion]] {{sname|Zatheria}}
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− | ****** [[獣亜綱]](真獣亜綱) {{sname|Theria}}
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− | ******* [[後獣下綱]] {{sname|Metatheria}}
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− | ******* [[真獣下綱]] {{sname|Eutheria}}
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− | かつて哺乳類は原獣亜綱、異獣亜綱、獣亜綱の3つに分類され、原獣亜綱と異獣亜綱は雑多な原始的哺乳類を含んだ。しかしその後、別系統だと判明した多くのグループが外された。原獣亜綱はかつての分類群と共通点が少ないため、原獣亜綱という分類群は解体されたとして、新しい名称の ''Australosphenida'' で呼ぶことも多い。
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− | 獣亜綱に近いグループは、獣亜綱と合わせて新たなグループに分類された。しかし、名称や分類には異説もある。階層も絶滅群を詳細に考慮すればここに記したより多くなるが、研究者により一定しないため簡略化した。
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− | 現生種を含むグループは、原獣亜綱、後獣下綱、真獣下綱の3つである。
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− | === 目レベルの分類 ===
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− | [[ファイル:MammaliaTreeJa.svg|600px]]
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− | ==== 原獣亜綱 ====
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− | [[三畳紀]]に出現。卵生。
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− | 現生のものは1目のみ。オーストラリア大陸にのみ生息する。
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− | * [[単孔目]](カモノハシ目) {{sname|Monotremata}}: [[カモノハシ]]、[[ハリモグラ]](オーストラリア)
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− | ==== 後獣下綱 ====
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− | [[白亜紀]]後期に出現。現生種は全て[[有袋類]] (''Marsupialia'') に含まれる。胎盤が不完全で、育児嚢で子を育てる。アメリカ有袋大目は南北アメリカ大陸、オーストラリア有袋大目はオーストラリアのみに生息する。
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− | 現生のものは6目前後に分けることが多い。詳細は→[[後獣下綱]]
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− | * アメリカ有袋大目 {{sname|Ameridelphia}}
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− | ** [[オポッサム目]] {{sname|Didelphimorphia}}: [[オポッサム]]
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− | * オーストラリア有袋大目 {{sname|Australidelphia}}
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− | ** [[ミクロビオテリウム目]] {{sname|Microbiotheria}}
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− | ** [[フクロネコ目]] {{sname|Dasyuromorphia}}
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− | ** [[バンディクート目]] {{sname|Peramelemorphia}}
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− | ** [[フクロモグラ|フクロモグラ目]] {{sname|Notoryctemorphia}}
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− | ** [[双前歯目]] {{sname|Diprotodontia}}: [[カンガルー]]、[[コアラ]]
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− | ==== 有胎盤下綱 ====
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− | [[白亜紀]]後期に出現した。現在も繁栄。現生種はすべて有胎盤類に含まれる。現存哺乳類のほとんどがこのグループにはいる。
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− | 現生のものは大きく4上目に分けられる。20目前後に分けることが多い。
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− | * [[アフリカ獣上目]] {{sname|Afrotheria}}
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− | ** [[アフリカ食虫類]] {{sname|Afroinsectiphilia}}
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− | *** [[長脚目]](ハネジネズミ目) {{sname|Macroscelidea}}: [[ハネジネズミ]] (アフリカ).
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− | *** [[アフリカトガリネズミ目]](テンレック目) {{sname|Afrosoricida}}: [[テンレック]], {{仮リンク|キンモグラ|en|Golden mole}} (アフリカ)
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− | *** [[管歯目]](ツチブタ目) {{sname|Tubulidentata}}: [[ツチブタ]] (アフリカ [[サハラ]]南部).
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− | ** [[近蹄類]] {{sname|Paenungulata}}
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− | *** [[岩狸目]](イワダヌキ目) {{sname|Hyracoidea}}: [[ハイラックス]] (アフリカ、[[アラビア半島]]).
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− | *** [[長鼻目]](ゾウ目) {{sname|Proboscidea}}: [[ゾウ]] (アフリカ、東南アジア).
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− | *** [[海牛目]](ジュゴン目) {{sname|Sirenia}}: [[ジュゴン]]
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− | * [[異節上目]] {{sname|Xenarthra}}
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− | ** [[被甲目]] {{sname|Cingulata}}: [[アルマジロ]] ([[新熱帯区]]と[[新北区]])
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− | ** [[有毛目]] {{sname|Pilosa}}: [[ナマケモノ]]、[[アリクイ]] (新熱帯区)
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− | * [[北方真獣類]]([[ボレオユーテリア]]) {{sname|Boreoeutheria}}
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− | ** [[真主齧上目]](正主齧歯類上目) {{sname|Euarchontoglires}}
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− | *** [[真主獣大目]] {{sname|Euarchonta}}
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− | **** [[登木目]](登攀目、ツパイ目) {{sname|Scandentia}}: [[ツパイ]] (東南アジア)
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− | **** [[皮翼目]](ヒヨケザル目) {{sname|Dermoptera}}: [[ヒヨケザル]] (東南アジア).
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− | **** [[霊長目]](サル目) {{sname|Primates}}: [[キツネザル]]、[[ガラゴ]]、[[サル]]、[[類人猿]]、[[ヒト]] (全世界).
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− | *** [[グリレス大目]] {{sname|Glires}}
| |
− | **** [[ウサギ目]](兎形目) {{sname|Lagomorpha}}: [[ナキウサギ]]、[[ウサギ]] (ユーラシア, アフリカ, アメリカ).
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− | **** [[齧歯目]](ネズミ目) {{sname|Rodentia}}: [[リス]]、[[ネズミ]]、[[ヤマアラシ]]、[[ヌートリア]] (全世界)
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− | ** [[ローラシア獣上目]] {{sname|Laurasiatheria}}
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− | *** 真無盲腸類 {{sname|Eulipotyphra}}
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− | **** [[ハリネズミ目]] {{sname|Erinaceomorpha}}: [[ハリネズミ]]
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− | **** [[トガリネズミ目]] {{sname|Soricomorpha}}: [[モグラ]]
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− | *** [[鯨偶蹄目]] {{sname|Cetartiodactyla}}: [[ラクダ]]、[[イノシシ]]、[[キリン]]、[[シカ]]、[[ウシ]]、[[ヤギ]]、[[カバ]]、[[クジラ]]、[[イルカ]] (全世界)
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− | *** [[ペガサス野獣類]] {{sname|Pegasoferae}}
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− | **** [[有鱗目 (哺乳類)|有鱗目]](鱗甲目、センザンコウ目) {{sname||Pholidota}}: [[センザンコウ]] (アフリカ, 南アジア)
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− | **** [[食肉目]](ネコ目) {{sname|Carnivora}}: [[トラ]]、[[オオカミ]]、[[イタチ]]、[[クマ]]、[[アザラシ]] (全世界)
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− | **** [[奇蹄目]](ウマ目) {{sname|Perissodactyla}}: [[ウマ]]、[[サイ]]、[[バク]]
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− | **** [[翼手目]](コウモリ目) {{sname|Chiroptera}}: [[コウモリ]] (全世界)
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− | === 伝統的な分類 ===
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− | 伝統的な分類は、現在の分類に比べ以下のような相違点がある。
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− | * 下綱と目の間に分類群を置くことは少なかった。提案されたものはあったが、現在のものと共通点は少ない。
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− | * トガリネズミ目・ハリネズミ目・アフリカトガリネズミ目は無盲腸目 (''Lipotyphla'') にまとめられていた。さらに古くは、無盲腸目・ハネジネズミ目・登木目(ツパイ目)・皮翼目(ヒヨケザル目)が[[食虫目]](モグラ目)(''Insectivora'') にまとめられていた。(無盲腸目と食虫目の関係については食虫目を参照)
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− | * 鯨偶蹄目は[[クジラ目]] (''Cetacea'') と[[偶蹄目]](ウシ目) (''Artiodactyla'') に分けられていた。
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− | * 現生有袋類は[[有袋目]](フクロネズミ目) (''Marsupialia'') の1目のみとされていた。
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− | * 異節類は異節目(アリクイ目) (''Xenarthra'') の1目のみとされていた。さらに古くは、有鱗目(センザンコウ目)・管歯目(ツチブタ目)と共に貧歯目 (''Edentata'') にまとめられていた。
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− | == 日本における目名の表記法に関する議論 ==
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− | [[日本]]では[[明治維新]]以来、[[目 (分類学)|目]]名には「齧歯目」「霊長目」等、原名のラテン語をおおむね忠実に漢訳した漢名が用いられてきた(一般にはしばしば、「齧歯類」「霊長類」のように「類」が慣用されてきた)。だが、1988年、[[文部省]]の『'''学術用語集 動物学編'''』において、目以下の名称をすべてカナ書きにし、目名は「ネズミ目」「サル目」のように、それぞれの動物群を代表する動物名(カナ書き)に変えるという改定がなされた。
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− | しかし、たとえば「ネコ目」(食肉目)のネコ亜目とアシカ亜目、イヌ上科とネコ上科のように、亜目、上科のような比較的高い階層の分類階級による動物群は、それぞれ他のグループとは明らかに異なる特有の性質をもつものであり、1つの下位分類群の名前(「ネコ」)によって、目という大きなグループの全体(ネコ・イヌ・イタチ・クマ・アライグマ・パンダ・アシカ・アザラシ・セイウチなどからなる食肉目)を代表させることは、必ずしも直観的なわかりやすさにはつながらない。それゆえに、ラテン名においても、動物の名で代表させた分類単位の名前は、上科よりも下位の分類階級でしか用いられない。
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− | さらに、近年の研究により、[[偶蹄目]]とクジラ目の詳細な系統が明らかにされ、「[[鯨偶蹄目]]」が創設された。これをカナ書きの原則に当てはめると「クジラウシ目」となる。また、「[[サル目]][[ヒト科]]」は教科書にも全く採用されていない。
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− | また、以前からの慣用として、どの分類階級であるかにかかわらず、「○○の仲間」を「○○類」と書くことがあるが、かつての漢名ならば、たとえば「齧歯類」と言えば、それが「目」の階層の「齧歯目」を指すことは明らかであり、他の階層との混同のおそれはなかった。それが、「齧歯目」が「ネズミ目」となることによって、「ネズミ類」という言葉が示す可能性のある階層の範囲が目のレベルにまで広がり、混乱が拡大されたという側面もある。つまり、旧来の用例ならば、たとえば「齧歯類」にネズミの類とリスの類、ヤマアラシの類が含まれることは容易に認識できるが、新しい用例で「ネズミ類」とした場合、これが狭義のネズミ類なのか、リスやヤマアラシの類をも含んだ概念なのかが把握しにくくなってしまっている。
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− | この分類名の改定は、分類学の根本理念に対して充分に配慮した上でのものではなく、また平易化にむしろ逆行する部分もあることから、学界内でも現在なお議論が多い。現状では、旧来の漢名をそのまま用いたり、新しいカナ名と併記したりする例も多い。
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− | 日本哺乳類学会・目名問題検討作業部会では、基本的に従来の漢字名で統一すべきという論文を発表し、事実上、用語集の再改定を求めている{{要出典|date=2017年9月26日 (火) 07:46 (UTC)}}。
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− | == 真獣類分類・系統研究の動向 ==
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− | 真獣類の分類は、[[リンネ]]以来数百年にわたって、特に「目」以上の単位では、めったに変動することがなかった。しかし近年、哺乳類の分類学はかつてない勢いで刷新されつつあり、ほんの10年か20年前の知見が、ひどく時代遅れのものとなる状況が生まれている。
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− | この状況を生み出した要因の一つは、南半球を含むさまざまな現場での、化石発掘調査の著しい進展である。たとえば、最古の真獣類(有胎盤類には含めないことが多い)、[[エオマイア|エオマイア・スカンソリア]]の化石は、2002年[[中華人民共和国|中国]]は[[遼寧省]]で発見されたが、これにより、この化石の推定年代である1億2500万年前(白亜紀前期)には、すでに原始的な真獣類が発生していたことが明らかとなり、真獣類の歴史は一気に4000万年さかのぼった。
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− | もう一つの、さらに大きな影響を及ぼした要因は、[[分子生物学]]、とりわけ、[[遺伝子]]配列解析という新しい手法の出現と流行である。これは、動物の[[細胞]]内にある[[ミトコンドリア]]や[[細胞核|核]]の[[デオキシリボ核酸|DNA]]における[[塩基]]配列を調べ、グループごとの類縁関係を、統計学的に明らかにしていく手法である。このアプローチにより、真獣類の系統樹は、かつての形態学的な研究によるものとは幾分異なった形で再編成されることになった。
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− | 遺伝子研究による分類では、現生の真獣類を、系統的に近いと思われるものごとに、[[クレード]]にまとめた。クレードとは分類階級(綱、目など)を特定しない表現で、階級を割り当てるときは上目とされることが多い。
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− | 現生のものは、
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− | # [[アフリカ獣上目]]には、ゾウ目(長鼻目)、ジュゴン目(海牛目)、ツチブタ目(管歯目)、イワダヌキ目(岩狸目)、ハネジネズミ目(長脚目)、テンレック目(アフリカ食虫目)の目が含まれる。
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− | # [[異節上目]]は、アリクイ目(有毛目)とアルマジロ目(被甲目)によって構成される。
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− | # [[ローラシア獣上目]]には、ネコ目(食肉目)、クジラ目・ウシ目(鯨偶蹄目)、ウマ目(奇蹄目)、コウモリ目(翼手目)、トガリネズミ目(尖鼠目)、ハリネズミ目(蝟目)が含まれる。
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− | # [[真主齧上目]]は、ネズミ目(齧歯目)、ウサギ目(兎形目)、サル目(霊長目)、ヒヨケザル目(皮翼目)、ツパイ目(登木目)からなっている。
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− | この新しい分類は、従来のものとはいくつかの点で大きく異なっている。たとえば、コウモリの仲間は、解剖学的な特徴から、従来はサル目などと同じ大グループ(上目)に分類されていたが、遺伝子研究から得られた知見によれば、食肉類やクジラと同じ大グループということになる。
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− | | |
− | また、従来のモグラ目(食虫類)は、トガリネズミやモグラからなるメインのグループから、アフリカに分布するテンレック類とキンモグラ類の小グループが分離されて、前者はローラシア獣類、後者はアフリカ獣類と、2つの異なった上目グループに所属することになった。
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− | {{要検証|=
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− | 今後、[[分子生物学]]と[[古生物学]]の両陣営が、懸隔を乗り越えて歩み寄り、互いに補い合って一つの統一的な体系を作り上げるには、なお多くの議論と譲歩が積み重ねが必要となる。
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− | だが、新しいアプローチである遺伝子研究が、哺乳類の歴史の研究に大きな進展をもたらしつつあることは確かである。|date=2013年1月}}
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− | | |
− | たとえば、哺乳類がさまざまな「目」に分化し始めたのは、従来の化石研究では恐竜絶滅後(約6000万年前)のことと考えられていたが、遺伝子研究によれば、分化そのものは約1億年前にすでに始まっていたとされる。
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− | | |
− | また、前述の、最古の真獣類エオマイアの発見は、原始的な真獣類は従来の説よりもずっと早い時期に出現していたはずだとする分子生物学者の主張を、新たに発見された動物化石が裏付ける形となった、幸運な例である。
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− | {{要検証|=
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− | また、分子生物学による新たな分類に対応する[[形態学]]的形質が、実は古典的な研究でかなり見落とされていたり、重要でない形質として棄却されていたという事実が、[[解剖学]]的手段で確認されるといった研究展開も見られるようになった。そのため、古典的な過去の学問とみなされがちであった解剖学が、新たに今日的な意味を持って再活性化してきているという現象も見られる。|date=2013年1月}}
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− | {{要検証|=真獣類の系統研究は、今まさに、大きな転換期のただ中にあるといえる。|date=2013年1月}}
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− | == 脚注 ==
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− | {{脚注ヘルプ}}
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− | {{Reflist|2}}
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− | == 参考文献 ==
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− | * {{Cite book|和書|author =[[大泰司紀之]]|others =|title = 哺乳類の生物学②形態|origyear = |edition = |year = 1998|publisher = 東京大学出版会|isbn = 4-13-064232-4|page = |ref = 大泰司②(1998)}}
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− | == 外部リンク ==
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− | * {{Wiktionary-inline|哺乳類}}
| |
− | * {{Wikispecies-inline|Mammalia}}
| |
− | * {{Commons&cat-inline|Mammalia|Mammalia}}
| |
− | * [http://tolweb.org/tree?group=Mammalia Tree of Life Web PJ]
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− | {{哺乳類}}
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− | {{Normdaten}}
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| [[Category:哺乳類|*]] | | [[Category:哺乳類|*]] |