「タコライス」の版間の差分
ja>Toraking t 細 |
細 (1版 をインポートしました) |
(相違点なし)
|
2018/10/27/ (土) 14:38時点における最新版
タコライス(英語:Taco Rice)は、メキシコ風アメリカ料理のタコスの具材を米飯の上に乗せた沖縄県の料理である。トマトベースのサルサ(スペイン語で「ソース」の意)をかけて食べる。1984年に沖縄県金武町で誕生した[1]。
同県内では1990年代から学校給食に採用されるなどポピュラーな料理となっている。
概要
皿に盛った白飯の上に牛挽き肉に調味料・スパイス等を加えて調理したタコミート、千切りのチーズ、レタス、トマトなどを順に載せたスタイルが一般的だが、オリジナルのタコライスは白飯とタコミートのみであった。発祥の店では現在もチーズや野菜などはトッピングとして別料金で、ベースとなる米飯をチキンやシーフードを炊き込んだピラフとしたものなども提供されている。
食べ方の感覚としてはそぼろご飯やドライカレーに近い。通常はトマトベースの赤いサルサをかけて供されるが、大衆食堂や弁当屋ではトマトケチャップで代用されることもある。
全国展開している外食産業も、沖縄県内の店舗ではタコライスをメニューに加えている場合がある。1996年(平成8年)にケンタッキーフライドチキンで「ライスタコス」として同様のものがメニューに登場したほか[2]、2004年(平成16年)からは吉野家(2017年7月6日以降に夏季限定で本土でも一部店舗以外で販売されている)[3][4]、2006年(平成18年)からはほっかほっか亭、2007年(平成19年)からはすき家でも販売されている(すき家は2009年(平成21年)春に販売終了)。また、変わった所ではモスバーガーも店舗限定ではあるが、「モスのごはん」メニューの一つとしてタコライスを販売していた[5]。
発祥・由来
タコライスは沖縄県金武町、キャンプハンセンのゲート前に広がる飲食店街にあった「パーラー千里(せんり)」の創業者、儀保松三の考案により1984年(昭和59年)に誕生した[1]。もともとはバーを経営していた儀保松三であったが、変動相場制の導入により緊縮傾向の見られた海兵隊員達を見て、より安価でボリュームのある食事を提供する事業への鞍替えを検討[1]。居抜きの物件[注釈 1]を見つけた事を機に、バーで人気のあったタコスをご飯に載せたメニューを提供し始めた[1]。もともとは店員の賄い食だったという説もある。「パーラー千里」で好評を博したタコライスは、後にチェーン展開することになる系列店の「キングタコス」を通して沖縄本島各地に広まっていった。
タコスは英語では“taco”(「タコス」は複数形“tacos”から)であり、タコライス (taco-rice) は「タコスの具を乗せた飯」という意味である。沖縄県内においては「ターコ」「ターコー」とより原音に近いカナ表記を採用している店も少なくない。
なお漫画「大使閣下の料理人」に、タコライスは1964年に沖縄の女性と米軍兵士が協力して生み出した料理だというエピソードが描かれているが、これは作中におけるフィクションであり、単行本収録時にはその旨の断り書きが欄外に付与されている[7]。
備考
- 蛸入りの焼きめしや炊き込みご飯などをタコライスと呼称する例は、沖縄でタコライスが誕生する以前から全国各地に存在していた。
- ジョークとして、蛸を具に入れた「タコ入りタコライス」を提供する店もある。
- 宮古島には「タコ丼」を名物とする店があるが、これは丼に入ったタコライスではなく、蛸と野菜を卵とじにした和風の丼めしである。
- バリエーションとして、韓国料理の石焼ビビンバに似た「石焼タコライス」や、タコミートと沖縄そばを組み合わせた「タコそば」、ハワイのロコモコに倣って目玉焼きを載せた「タコモコ」などといった創作派生料理も作られている[8]。
脚注
注釈
- ↑ 千里という名称はそこにあった店舗の看板を再利用したためにつけられた。
出典
- ↑ 『産経新聞』1996年8月18日付東京本社朝刊19面。
- ↑ 「全国初の地域限定メニュー 沖縄吉野家 タコライスで入客増狙う」『沖縄タイムス』2004年(平成16年)8月14日付朝刊15面。
- ↑ 【朗報】吉野家の「沖縄限定タコライス」がついに上陸! 本場の味が450円で楽しめるのは今だけ!! - Rokket News24 2017年7月13日閲覧。
- ↑ 『中日新聞』2006年8月3日付朝刊9面。
- ↑ 創業31年「千里」惜しまれ幕 タコライス考案、金武の老舗 - 琉球新報、2015年7月16日
- ↑ なんだこりゃ~沖縄! PP.49-50
- ↑ レストランぎやまん館 - 琉球ガラス村
参考文献
- 菊地武顕 『あのメニューが生まれた店』 平凡社、2013-11。ISBN 978-4582634860。
- わうけいさお 『なんだこりゃ~沖縄!-マンガ・映画・雑誌の中の〈味わい深く描かれた沖縄〉を求めて』 ボーダーインク、2005-11。ISBN 978-4899821007。