「玄武岩」の版間の差分

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{{Infobox rock
+
[[ファイル:玄武岩.jpg|サムネイル]]
|name= 玄武岩
 
|type= 火成岩
 
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[[ファイル:QAPFandesita.gif|thumb|火山岩のQAPF図; <br />Q:[[石英]]、A:[[アルカリ長石]]、P:[[斜長石]]、F:[[準長石]]]]
 
 
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}}</ref>)は、[[苦鉄質]][[火山岩]]の一種。[[深成岩]]の[[斑れい岩]]に対応する。
+
}}</ref>
  
[[火成岩]]は全岩[[化学組成]](特に[[二酸化ケイ素|SiO<sub>2</sub>]]の重量%)で分類され、そのうち玄武岩はSiO<sub>2</sub>が45 - 52%で[[斑状組織]]を有するもの。[[斑晶]]は肉眼で見えないほど小さい場合もある。肉眼での色は[[黒]]っぽいことが多いが、ものによっては[[灰色]]に見えることもあり、また含まれる[[鉄分]]の[[酸化]]によって[[赤]] - [[紫色]]のこともある。
+
暗灰色 (色指数 40~70) の苦鉄質[[火山岩]]。溶岩や浅所貫入岩として産し,地球上で最も量の多い火山岩。特に,ほとんどすべての海洋底は玄武岩によってできている。陸上でも,インドのデカン高原など,広大な[[溶岩台地]]を形成することがある。火星や金星 (地球型惑星) にも多量に存在する。玄武岩の名は兵庫県豊岡市の[[玄武洞]]に由来し,六角柱状の節理の集まった状態がカメの甲羅のような観を呈することによる。一般に緻密で斑状組織を示す。斑晶はカルシウムに富む斜長石,輝石,橄欖石で,石基は細粒の斜長石,輝石,磁鉄鉱の微晶からなるものが多い。化学組成によって,二酸化ケイ素成分が多く(飽和または過飽和) ,アルカリ成分 (酸化カリウム+酸化ナトリウム) の乏しいソレアイト質玄武岩と,二酸化ケイ素が少なく (不飽和) アルカリ成分 (酸化カリウム+酸化ナトリウム) に富むアルカリ玄武岩に分けられる。さらにアルミナ Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> に富み,その他の点で前2者の中間的性質をもつ高アルミナ玄武岩を区別することもある。マントルの[[橄欖岩]]の部分融解によって玄武岩質[[本源マグマ]]が発生するが,その深さの違い,部分融解の程度の違いなどを反映して,いろいろな玄武岩が生じるものと考えられる。
 
 
== 成分・種類 ==
 
斑晶および[[石基]]として、[[有色鉱物]]である[[輝石]]・[[かんらん石]]、[[無色鉱物]]である[[斜長石]]等を含む。アルカリ玄武岩は{{仮リンク|ケルスート閃石|en|Kaersutite}}や[[金雲母]]を含むこともある。
 
 
 
玄武岩マグマを生じる[[上部マントル]]の{{仮リンク|部分溶融|en|Partial melting}}度が大きければ'''ソレアイト玄武岩'''({{Lang|en|[[:en:tholeiitic basalt|tholeiitic basalt]]}})、部分溶融度が小さければ'''アルカリ玄武岩'''({{Lang|en|[[:en:alkali basalt|alkali basalt]]}})となる。
 
 
 
{| class="wikitable" style="float:right"; margin-left:0.5em"
 
|+ 化学組成<ref>{{Cite book|和書|author = [[国立天文台]]編|title = [[理科年表]] 平成20年|year = 2007|publisher = [[丸善]]|isbn = 978-4-621-07902-7|page = 631|chapter = おもな火成岩の化学組成}}</ref>
 
! 成分 !! アルカリ玄武岩 !! 洪水玄武岩 !! 海洋島玄武岩 !! 深海底玄武岩 !! 島弧玄武岩
 
|-
 
! SiO<sub>2</sub>
 
| 45.4 || 50.01 || 50.51 || 50.68 || 51.9
 
|-
 
! TiO<sub>2</sub>
 
| 3.00 || 1.00 || 2.63 || 1.49 || 0.80
 
|-
 
! Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub>
 
| 14.7 || 17.08 || 13.45 || 15.60 || 16.0
 
|-
 
! Cr<sub>2</sub>O<sub>3</sub>
 
| - || - || - || - || -
 
|-
 
! Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub>
 
| 4.10 || - || 1.78 || - || -
 
|-
 
! FeO
 
| 9.20 || 10.01 || 9.59 || 9.85 || 9.56
 
|-
 
! MnO
 
| - || 0.14 || 0.17 || - || 0.17
 
|-
 
! MgO
 
| 7.80 || 7.84 || 7.41 || 7.69 || 6.77
 
|-
 
! CaO
 
| 10.5 || 11.01 || 11.18 || 11.44 || 11.8
 
|-
 
! Na<sub>2</sub>O
 
| 3.00 || 2.44 || 2.28 || 2.66 || 2.42
 
|-
 
! K<sub>2</sub>O
 
| 1.00 || 0.27 || 0.49 || 0.17 || 0.44
 
|-
 
! P<sub>2</sub>O<sub>5</sub>
 
| - || 0.19 || 0.28 || 0.12 || 0.11
 
|-
 
! 合計
 
| 98.7 || 99.99 || 99.77 || 99.70 || 100.0
 
|}
 
 
 
== 生成される場所 ==
 
玄武岩は地球表面で最も一般的に見られる[[岩石]]であるが、その生成する場所を列記する。玄武岩質[[溶岩]]は流動性が高く、高い[[火山]]で[[噴火]]した場合遠くまで流れて[[溶岩流]]となり、平坦な場所で噴出すると平らな[[台地]]を形成する。
 
* [[海嶺]] - [[プレートテクトニクス]]では、海嶺は新しい[[プレート]]([[リソスフェア]])が生成されるところと説明されている。地下深部から上昇してきた[[マントル]]が減圧融解をおこし、それによって生じた玄武岩質マグマが[[海洋底]]を形成する。海嶺で噴出する玄武岩マグマは[[枕状溶岩]]となる。すなわち、[[大洋]]の底は全て玄武岩(枕状溶岩)である。例えば、海嶺が地上に出ている[[アイスランド]]の[[火山]]はほとんど全部玄武岩質である。海嶺で生じる玄武岩は'''{{仮リンク|中央海嶺玄武岩|en|MORB}}''' ({{Lang|en|MORB}}) と呼ばれる。
 
* [[ハワイ]]などの[[ホットスポット (地学)|ホットスポット火山]]。
 
* [[伊豆大島]]、[[富士山]]などの[[島弧]]上の火山。沈み込む[[海洋プレート]]からウェッジマントルに水が供給され、[[融点]]が下がることによって玄武岩質マグマが形成されると説明されている。
 
* [[デカン高原]]のように非常に大量の玄武岩が地表に供給されることがある。[[プルームテクトニクス]]では、地下深部の高温マントルの塊が上昇してきて([[マントルプルーム]])、比較的短期間に大量の玄武岩質溶岩を噴出させたと説明されている。このタイプの噴火を'''[[洪水玄武岩]]'''と呼び、形成された地形を[[溶岩台地]]という。
 
 
 
玄武岩には[[磁鉄鉱]]が含まれており、弱い磁気を帯びている。この磁気の方向は溶岩が冷えて固まる時の[[地磁気]]の影響を受けている。地磁気は平均すると数万年単位でNとSが入れ替わるので、玄武岩の磁気を測定すれば噴火時期特定の有力なデータとなる([[古地磁気学]]参照)。
 
 
 
== 名前の由来 ==
 
[[ファイル:Genbu-do01.jpg|thumb|[[玄武洞]](玄武洞公園内)]]
 
英語名 {{Lang|en|basalt}} の語源は、[[ギリシャ語]]の {{Lang|el|basanos}}([[試金石]]の意味)に関係あるからとも、この岩石が豊富に産出された[[ヨルダン]]東部の地名 {{Lang|en|Bashan}}([[聖書]]ではオグ王国とされているところ)に由来し「{{Lang|en|Bashan}} の石」の意ともいわれている。
 
 
 
玄武岩の[[日本語]]訳は、[[兵庫県]][[城崎温泉]]の近くにある[[玄武洞]]にちなんで[[小藤文次郎]]が[[1884年]]([[明治]]17年)に命名したものである。玄武洞は約165万年前に噴火した溶岩流で、[[六角形]]の[[節理#柱状節理|柱状節理]]が見事な玄武岩の岩山にある[[洞窟]]。ちなみに[[玄武]]とは、[[中国神話]]で[[方位]]を司る神([[四神]])のうち、北方に相当する[[ヘビ|蛇]]と[[カメ|亀]]が合体した[[神体]]で、黒色の意味もある。
 
 
 
== 用途・加工法 ==
 
[[イタリア]]を拠点とするカメラ関連機器メーカーの[[ジッツオ]]が過去に、玄武岩を素材に用いた三脚を生産・販売していた。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite book|和書
 
|author =
 
|editor = [[久城育夫]]ほか編
 
|title = 日本の火成岩
 
|year = 1989
 
|publisher = [[岩波書店]]
 
|isbn = 4-00-005766-9
 
|page =
 
}}
 
* {{Cite book|和書
 
|author = [[都城秋穂]]
 
|coauthors = 久城育夫
 
|title = 岩石学II - 岩石の性質と分類
 
|year = 1975
 
|publisher = [[共立出版]]
 
|series = 共立全書
 
|isbn = 4-320-00205-9
 
|pages = 63-66
 
|chapter = 18・4 マフィックな火成岩類
 
}}
 
* {{Cite book|和書
 
|author = [[黒田吉益]]
 
|coauthors = [[諏訪兼位]]
 
|title = 偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版
 
|year = 1983
 
|publisher = 共立出版
 
|isbn = 4-320-04578-5
 
|pages = 255-257
 
|chapter = 6.5 塩基性岩類
 
}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Wiktionary}}
 
{{Commonscat|Basalt}}
 
* [[岩石]] - [[火成岩]] - [[火山岩]]
 
* [[塩基性岩]]、[[苦鉄質岩]]
 
* [[岩石の一覧]]
 
* [[玄武洞]]
 
* [[黄長石霞石玄武岩]]
 
* [[巨大火成岩岩石区]]
 
* {{仮リンク|バサルト・ファイバー|en|Basalt fiber}}
 
* [[ジャイアンツ・コーズウェー]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [[地質標本館]]「[http://www.gsj.jp/Muse/hyohon/Rock/ind-wamei/ind-nameKe.htm 玄武岩]」 - [[産業技術総合研究所]] [[地質調査総合センター]]
 
{{火成岩}}
 
  
 +
{{テンプレート:20180815sk}}
 
{{デフォルトソート:けんふかん}}
 
{{デフォルトソート:けんふかん}}
 
[[Category:岩石]]
 
[[Category:岩石]]
 
[[Category:火山学]]
 
[[Category:火山学]]
 
[[Category:火山岩]]
 
[[Category:火山岩]]

2018/12/30/ (日) 19:05時点における最新版

玄武岩.jpg

玄武岩(げんぶがん、: basalt[1]

暗灰色 (色指数 40~70) の苦鉄質火山岩。溶岩や浅所貫入岩として産し,地球上で最も量の多い火山岩。特に,ほとんどすべての海洋底は玄武岩によってできている。陸上でも,インドのデカン高原など,広大な溶岩台地を形成することがある。火星や金星 (地球型惑星) にも多量に存在する。玄武岩の名は兵庫県豊岡市の玄武洞に由来し,六角柱状の節理の集まった状態がカメの甲羅のような観を呈することによる。一般に緻密で斑状組織を示す。斑晶はカルシウムに富む斜長石,輝石,橄欖石で,石基は細粒の斜長石,輝石,磁鉄鉱の微晶からなるものが多い。化学組成によって,二酸化ケイ素成分が多く(飽和または過飽和) ,アルカリ成分 (酸化カリウム+酸化ナトリウム) の乏しいソレアイト質玄武岩と,二酸化ケイ素が少なく (不飽和) アルカリ成分 (酸化カリウム+酸化ナトリウム) に富むアルカリ玄武岩に分けられる。さらにアルミナ Al2O3 に富み,その他の点で前2者の中間的性質をもつ高アルミナ玄武岩を区別することもある。マントルの橄欖岩の部分融解によって玄武岩質本源マグマが発生するが,その深さの違い,部分融解の程度の違いなどを反映して,いろいろな玄武岩が生じるものと考えられる。



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  1. 文部省編 『学術用語集 地学編』 日本学術振興会、1984年。ISBN 4-8181-8401-2。