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[[Image:Raffael 058.jpg|thumb|400px|『[[アテナイの学堂]]』[[ラファエロ・サンティ|ラファエロ・サンティオ]]<br>1509-1510、[[フレスコ]]、500 × 770 cm、バチカン市国<br>古代ギリシアの叡智の人の群像が描き出されている。]]
 
[[Image:Raffael 058.jpg|thumb|400px|『[[アテナイの学堂]]』[[ラファエロ・サンティ|ラファエロ・サンティオ]]<br>1509-1510、[[フレスコ]]、500 × 770 cm、バチカン市国<br>古代ギリシアの叡智の人の群像が描き出されている。]]
'''ギリシア哲学'''('''ギリシャ哲学''')とは、かつて[[古代ギリシア]]で興った[[哲学]]の総称。現在でいう哲学のみならず、[[自然学]]([[物理学]])や[[数学]]を含む学問や学究的営為の総称である。
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'''ギリシア哲学'''('''ギリシャ哲学'''
  
「哲学([[ギリシャ語]]:{{lang|el|Φιλοσοφία}}, ''philosophía'', ピロソピア)」および「哲学者(ピロソポス)」という言葉を最初に用いたのは[[ピタゴラス]]であると言われる<ref>[[#ラエルティオス1984|ラエルティオス(1984)]], I.12([[ヘラクレイデス|ヘラクレイデス・ポンティカス]]の言葉として)</ref><ref>[[#キケロー2002|キケロー(2002)]], V.8-9</ref>。「哲学者」を含めた「知者(ソポス)」は「[[ソフィスト]](ギリシャ語:{{lang|el|σοφιστής}}, ''sophistés'', ソピステス)」とも呼ばれ、[[詩人]]もこれに含まれた<ref>[[#ラエルティオス1984|ラエルティオス(1984)]], I.12</ref>。
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前6世紀イオニアのミレトスに起ったといわれるギリシア哲学はギリシア古典期とヘレニズム時代に大別され,さらに前者はソクラテス以前とアテネの哲学に区分される。第1期の人々に共通な傾向は自然万有を説明する原理の追究であり,[[アリストテレス]]は彼らを自然学者と呼んでいる。[[タレス]][[アナクシマンドロス]][[アナクシメネス]]などミレトス派は自然の根本元素 (アルケー) を求め,ピタゴラス派は数を存在説明の根拠とした。[[クセノファネス]][[パルメニデス]],エレアの[[ゼノン]]など[[エレア派]]はすべての存在の多様性を,唯一の究極原理としての純粋有に還元し,[[ヘラクレイトス]]は万物流転の説によって有と非有,一と多の矛盾の融和を試みた。[[エンペドクレス]][[アナクサゴラス]],あるいはレウキッポスや[[デモクリトス]]など原子論者もまた有の原理と生成の原理の融和の問題に取組んだ。前5世紀中頃アテネを中心に[[ソフィスト]]の活動が始り,やがて[[ソクラテス]][[プラトン]],アリストテレスの時代に移行する。ソクラテスが準備しプラトンにより頂点に達したギリシア哲学はアリストテレスが総合し,より普遍的な学的体系として開花した。アリストテレスの死を境に前4世紀後半ギリシア哲学はヘレニズムの時期に入り,キュプロスのゼノンによる[[ストア派]][[エピクロス]]派,懐疑派,折衷派などの諸傾向が現れ,特に[[プロチノス]][[プロクロス]]らによって展開された新プラトン哲学は,プラトン的基礎のうえに東洋思想が加わったものでギリシア哲学の完結した姿であった。
 
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[[ディオゲネス・ラエルティオス]]はギリシア哲学の起源を、[[アナクシマンドロス]]から始まる[[イオニア学派]](厳密には[[ミレトス学派]])と、[[ピタゴラス]]から始まるイタリア学派([[ピタゴラス教団]]のこと)に大別し、[[ソクラテス]](ソクラテス学派)や[[プラトン]](古[[アカデメイア|アカデメイア学派]])は前者の系譜で、[[パルメニデス]][[ゼノン (エレア派)|ゼノン]](ともに[[エレア派]])、[[エピクロス]]([[エピクロス主義|エピクロス学派]])らは後者の系譜であると主張している<ref>[[#ラエルティオス1984|ラエルティオス(1984)]], I.13-15</ref>。さらにディオゲネス・ラエルティオスは、哲学には[[自然学]]・ [[倫理学]]・[[論理学]]の三つの部門があり、まず[[自然学]]が発達し、次いでソクラテスが倫理学を加え、ゼノンが論理学を確立し、倫理学にはアカデメイア学派、[[キュレネ派|キュレネ学派]]、エリス学派、メガラ学派、[[キュニコス派|キュニコス学派]]、エレトリア学派、詭弁学派(ソフィストなど)、[[逍遙学派]](ペリパトス学派)、[[ストア派|ストア学派]]、エピクロス学派という10の学派があったとも主張している<ref>[[#ラエルティオス1984|ラエルティオス(1984)]], I.18</ref>。
 
 
 
== ソクラテス以前の哲学者 ==
 
{{Main|ソクラテス以前の哲学者}}
 
 
 
== 古代ギリシア哲学(ソクラテス哲学) ==
 
*[[ソクラテス]]
 
*[[プラトン]](古[[アカデメイア|アカデメイア派]])
 
*[[アリストテレス]]([[逍遙学派]]またはペリパトス派)
 
*[[キュニコス派]](犬儒学派) - [[アンティステネス]](ソクラテスの弟子)、[[ディオゲネス (犬儒学派)|ディオゲネス]]、[[テーバイのクラテス]]
 
*[[キュレネ派]] - [[アリスティッポス]](ソクラテスの弟子)
 
*[[メガラ学派]] - ソクラテスの弟子の[[メガラのエウクレイデス]]が設立。
 
*[[エレトリア学派|エリス/エレトリア学派]] - [[エリスのパイドン]]が設立。
 
 
 
== ヘレニズム哲学 ==
 
{{main|ヘレニズム哲学}}
 
*[[ネオプラトニズム]] - [[プロティノス]]([[エジプト]]人)、[[アンモニオス・サッカス]]([[:en:Ammonius Saccas|Ammonius Saccas]])、[[ポリュピリオス]]([[:en:Porphyry (philosopher)|Porphyry]], [[シリア]]人)、ゼトス([[:en:Disciples of Plotinus#Zethos|Zethos]]、[[アラブ]]人)、[[イアンブリコス]](イアムブリコス、[[:en:Iamblichus|Iamblichus]]、シリア人)、[[プロクロス]]([[:en:Proclus|Proclus]])
 
*[[アカデメイア|アカデメイア派]][[懐疑主義]](中期アカデメイア派) - [[アルケシラオス]]、[[カルネアデス]]
 
*[[懐疑主義#ピュロン主義|ピュロン主義]] - [[ピュロン]]、[[セクストス・エンペイリコス]]
 
*[[ストア派]] - [[ゼノン (ストア派)|ゼノン]]、[[クレアンテス]]([[:en:Cleanthes|Cleanthes]])、[[クリュシッポス]]、[[マロスのクラテス]]([[:en:Crates of Mallus|Crates of Mallus]])、[[パナイティオス]]([[:en:Panaetius|Panaetius]])、[[ポセイドニオス]]、[[セネカ]]([[ローマ]]人)、[[エピクテトス]]、[[マルクス・アウレリウス・アントニヌス]](ローマ人)
 
*[[エピクロス主義]] - [[エピクロス]]、[[ルクレティウス]](ローマ人)
 
*[[新ピタゴラス主義]]([[:en:Neopythagoreanism|Neopythagoreanism]])
 
*折衷主義([[:en:Eclecticism|Eclecticism]])? - [[マルクス・トゥッリウス・キケロ|キケロ]]
 
 
 
== 中世 ==
 
[[中世]]には、ギリシア哲学は西洋では忘れられた。ローマの没落とともに、西洋で[[ギリシャ語]]の読み方がわかる人も少なくなった。[[イスラーム教]][[アッバース朝]]の[[カリフ]]たちはギリシア哲学の写本を収集して、翻訳家を雇った。[[キンディー]]、[[ファーラービー]]、[[イブン・スィーナー]]、[[イブン・ルシュド]]といった[[イスラーム哲学]]者たちがイスラム教の文脈の中でギリシア哲学を解釈し直した。それが中世盛期([[:en:High Middle Ages|High Middle Ages]])にヨーロッパに伝播し、[[アラビア語]]から[[ラテン語]]への翻訳を通して、ギリシア哲学が西洋で復活した。ギリシア哲学はアラビアの新しい注釈とともに、[[トマス・アクィナス]]などの[[中世哲学]]に多大な影響を与えた。
 
 
 
== ギリシャ正教の関係 ==
 
 
 
== ギリシア神話の関係 ==
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{reflist}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
*{{Cite book|和書|editor=[[内山勝利]]ほか編|year=2008|month=2|title=哲学の歴史|volume=第1巻(古代 1)(哲学誕生)|publisher=[[中央公論新社]]|isbn=978-4-12-403518-6|url=http://www.chuko.co.jp/zenshu/2008/02/403518.html|ref=内山ほか2008}}
 
*{{Cite book|和書|author=加藤信朗|authorlink=加藤信朗|year=1996|month=2|title=ギリシア哲学史|publisher=[[東京大学出版会]]|isbn=978-4-13-012054-8|url=http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-012054-8.html|ref=加藤1996}}
 
*{{Cite book|和書|author=キケロー|authorlink=マルクス・トゥッリウス・キケロ|others=[[木村健治]]・[[岩谷智]]訳|year=2002|month=3|title=トゥスクルム荘対談集|series=キケロー選集 12(哲学 5)|publisher=[[岩波書店]]|isbn=4-00-092262-9|url=http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/09/9/0922620.html|ref=キケロー2002}}
 
*{{Cite book|和書|others=[[日下部吉信]]編訳|year=2000|month=11|title=初期ギリシア自然哲学者断片集|volume=1|series=[[ちくま学芸文庫]]|publisher=筑摩書房|isbn=4-480-08596-3|url=http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480085962/|ref=日下部2000}} - [[タレス]]・[[アナクシマンドロス]]・[[アナクシメネス]]・[[ピタゴラス]]・[[クセノパネス]]・[[ヘラクレイトス]]・[[パルメニデス]]・[[ゼノン]]・[[メリッソス]]の略伝・学説・断片を収録。
 
*{{Cite book|和書|others=[[日下部吉信]]編訳|year=2001|month=1|title=初期ギリシア自然哲学者断片集|volume=2|series=[[ちくま学芸文庫]]|publisher=筑摩書房|isbn=4-480-08597-1|url=http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480085979/|ref=日下部2001a}} - [[エンペドクレス]]・[[ピロラオス]]・[[アルキュタス]]・[[アナクサゴラス]]の略伝・学説・断片を収録。
 
*{{Cite book|和書|others=[[日下部吉信]]編訳|year=2001|month=7|title=初期ギリシア自然哲学者断片集|volume=3|series=[[ちくま学芸文庫]]|publisher=筑摩書房|isbn=4-480-08598-X|url=http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480085986/|ref=日下部2001b}} - [[レウキッポス]]・[[デモクリトス]]の略伝・学説・断片を収録。
 
*{{Cite book|和書|author=古東哲明|authorlink=古東哲明|year=2005|month=4|title=現代思想としてのギリシア哲学|series=ちくま学芸文庫|publisher=筑摩書房|isbn=4-480-08906-3|url=http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480089069/|ref=古東2005}} - [[タレス]]・[[ヘラクレイトス]]・[[パルメニデス]]・[[ソクラテス]][[プラトン]][[マルクス・アウレリウス・アントニヌス|M・アウレリウス]]を論じる。
 
*{{Cite book|和書|author=斎藤忍随|authorlink=斎藤忍随|year=1987|month=11|title=プラトン以前の哲学者たち ギリシア哲学史講義|publisher=[[岩波書店]]|isbn=4-00-002003-X|ref=斎藤1987}}
 
*{{Cite book|和書|author=[[デイビッド・セドレー]]編著|others=[[内山勝利]]監訳|year=2009|month=6|title=古代ギリシア・ローマ哲学 ケンブリッジ・コンパニオン|publisher=[[京都大学学術出版会]]|isbn=978-4-87698786-3|url=http://www.kyoto-up.or.jp/book.php?id=1614&lang=jp|ref=セドレー2009}}
 
*#「古代哲学における議論の方法」、[[ジョナサン・バーンズ]]著、[[木下昌巳]]訳
 
*#「ソクラテス以前の哲学者たち」、[[マルコム・スコフィールド]]著、[[山田道夫]]訳
 
*#「ソフィストとソクラテス」、[[サラ・ブローディ]]著、[[鎌田雅年]]訳
 
*#「プラトン」、[[クリストファー・ロウ]]著、[[金山弥平]]訳
 
*#「アリストテレス」、[[ジョン・M・クーパー]]著、[[坂下浩司]]訳
 
*#「ヘレニズム哲学」、[[ジャック・ブランシュヴィック]]・[[デイヴィッド・セドレー]]著、[[大草輝政]]訳
 
*#「ローマ哲学」、[[A・A・ロング]]著、[[村上正治]]訳
 
*#「哲学と文芸」、[[マーサ・C・ヌスバウム]]著、[[内山勝利]]訳
 
*#「後期古代哲学」、[[フランス・A・J・ド・ハース]]著、[[國方栄二]]訳
 
*#「哲学と科学」、[[R・J・ハンキンソン]]著、[[木原志乃]]訳
 
*#「哲学と宗教」、[[グレン・W・モウスト]]著、[[和田利博]]
 
*#「古代哲学の遺産」、[[ジル・クレイ]]著、[[西尾浩二]]訳
 
*{{Cite book|和書|author=ディオゲネス・ラエルティオス|authorlink=ディオゲネス・ラエルティオス|others=[[加来彰俊]]訳|year=1984|month=10|title=ギリシア哲学者列伝|volume=(上)|publisher=岩波書店|series=[[岩波文庫]]|isbn=4-00-336631-X|url=http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/33/X/3366310.html|ref=ラエルティオス1984}}
 
*{{Cite book|和書|author=ディオゲネス・ラエルティオス|authorlink=ディオゲネス・ラエルティオス|others=[[加来彰俊]]訳|year=1989|month=9|title=ギリシア哲学者列伝|volume=(中)|publisher=岩波書店|series=[[岩波文庫]]|isbn=4-00-336632-8|url=http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/33/8/3366320.html|ref=ラエルティオス1989}}
 
*{{Cite book|和書|author=ディオゲネス・ラエルティオス|authorlink=ディオゲネス・ラエルティオス|others=[[加来彰俊]]訳|year=1994|month=7|title=ギリシア哲学者列伝|volume=(下)|publisher=岩波書店|series=[[岩波文庫]]|isbn=4-00-336633-6|url=http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/33/6/3366330.html|ref=ラエルティオス1994}}
 
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
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*[[ギリシャ正教]]
 
*[[ギリシャ正教]]
  
== 外部リンク ==
 
* {{IEP|greekphi|Greek Philosophy}}
 
  
 
{{ソクラテス以前の哲学者}}
 
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2018/10/6/ (土) 12:02時点における最新版

アテナイの学堂ラファエロ・サンティオ
1509-1510、フレスコ、500 × 770 cm、バチカン市国
古代ギリシアの叡智の人の群像が描き出されている。

ギリシア哲学ギリシャ哲学

前6世紀イオニアのミレトスに起ったといわれるギリシア哲学はギリシア古典期とヘレニズム時代に大別され,さらに前者はソクラテス以前とアテネの哲学に区分される。第1期の人々に共通な傾向は自然万有を説明する原理の追究であり,アリストテレスは彼らを自然学者と呼んでいる。タレスアナクシマンドロスアナクシメネスなどミレトス派は自然の根本元素 (アルケー) を求め,ピタゴラス派は数を存在説明の根拠とした。クセノファネスパルメニデス,エレアのゼノンなどエレア派はすべての存在の多様性を,唯一の究極原理としての純粋有に還元し,ヘラクレイトスは万物流転の説によって有と非有,一と多の矛盾の融和を試みた。エンペドクレスアナクサゴラス,あるいはレウキッポスやデモクリトスなど原子論者もまた有の原理と生成の原理の融和の問題に取組んだ。前5世紀中頃アテネを中心にソフィストの活動が始り,やがてソクラテスプラトン,アリストテレスの時代に移行する。ソクラテスが準備しプラトンにより頂点に達したギリシア哲学はアリストテレスが総合し,より普遍的な学的体系として開花した。アリストテレスの死を境に前4世紀後半ギリシア哲学はヘレニズムの時期に入り,キュプロスのゼノンによるストア派エピクロス派,懐疑派,折衷派などの諸傾向が現れ,特にプロチノスプロクロスらによって展開された新プラトン哲学は,プラトン的基礎のうえに東洋思想が加わったものでギリシア哲学の完結した姿であった。


関連項目





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