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'''[[共生]]マーケティング'''(きょうせいマーケティング、{{lang-en-short|Commensal Marketing, Symbiotic Marketing}})あるいは'''[[コ・マーケティング]]'''({{en|[[w:Co-marketing]]}})
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'''共生マーケティング'''(きょうせいマーケティング、{{lang-en-short|Commensal Marketing, Symbiotic Marketing}})あるいは'''[[コ・マーケティング]]'''({{en|[[Co-marketing]]}})
<ref> 来住元朗(2006)「マーケティングの4C」,『マーケティング・コミュニケーション大辞典』宣伝会議 p.638.</ref><ref>日経広告研究所編(1993)「広告を知るための百冊の本」日本経済新聞社,p.28-29.ISBN 4-532-64014-8</ref><ref> Brian Solis(2011) Engage!: The Complete Guide for Brands and Businesses to Build, Cultivate, and Measure Success in the New Web, John Wiley & Sons, Inc.pp.201-202.</ref><ref>Jeff French, Ross Gordon (2015)"Strategic Social Marketing,"SAGE Publications Inc.,p.90.</ref>とは、[[企業]]と[[企業]]、[[企業]]と[[消費者]]、[[国]]と[[国]]、[[人間]]と[[自然]]が共に生きることを大[[前提]]とし、[[利益]]よりも[[信頼]]を最優先する[[自由市場経済]]における[[マーケティング]]をいう。
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<ref> 来住元朗(2006)「マーケティングの4C」,『マーケティング・コミュニケーション大辞典』宣伝会議 p.638.</ref><ref>日経広告研究所編(1993)「広告を知るための百冊の本」日本経済新聞社,p.28-29.ISBN 4-532-64014-8</ref><ref> Brian Solis(2011) Engage!: The Complete Guide for Brands and Businesses to Build, Cultivate, and Measure Success in the New Web, John Wiley & Sons, Inc.pp.201-202.</ref><ref>Jeff French, Ross Gordon (2015)"Strategic Social Marketing,"SAGE Publications Inc.,p.90.</ref>
  
企業同士の[[コラボレーション]]はもちろん、企業と消費者が[[ソーシャルメディア]]等を通じて相互に[[グローバル]]に作用し合いながら、[[コモディティ]]、[[コスト]]、[[コミュニケーション]]、[[チャネル]][[戦略]]を遂行するというもの。特に消費者の[[信頼]]を第一とする[[食品]]業界等では関心を持ちはじめ、導入を検討しているところも出ている。<ref>[[カルビー]][[取締役]]副社長明田征洋(2006)「第21講、[[企業]][[経営]]と[[広告]]」、平成18年版『広告に携わる人の総合講座』日経広告研究所 pp.307-321。</ref>企業はかつて[[公害]]問題を[[解決]]できたのであるから、[[子育て]]も[[介護]]も、[[地球環境問題]]と同様に[[企業]][[経営]]の中で社会的[[コスト]]を考慮して考えていくことができるというもの。
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地球環境問題を考慮して,循環型の商品開発・チャネルの構築などを行おうとする概念
 
 
== マーケティング1.0(売りのしくみ)の4Pを考える ==
 
1960年代の経済の[[高度経済成長]]を支えてきたマーケティングは4P〔(Product(製品), Price(価格), Place(場所), Promotion(販売促進)〕の[[マーケティングミックス]]要因を中心に遂行すると[[利益]]が得られるというものであった。
 
*Productは前に導くという[[ラテン語]]の原義のとおり、オートメーション工場のベルトコンベアから吐き出される量産品でヒューマンタッチではないイメージがあり、造って売り込むという[[プロダクトアウト]]のニュアンスがある。[[自動車]][[部]]品の[[欠陥]]が増えたり[[食品偽装]]が[[存在]]したりするのは[[利益]]を第一に考えるからである。プロダクトだから[[コモディティ化]]の心配をしなければならない。
 
*Priceでは製品価格の概念のみであり、[[地球環境]]を踏まえたトータル[[コスト]]のような概念が含まれていない。
 
*Placeでは場所を示すだけで、[[ソーシャルメディア]]時代の[[商品]]のダイナミックな流れを感じることがない。
 
*Promotionは販売促進ということであるから、造って売り込むというプロダクト・アウトそのものであり、人々の繋がり、エンゲージメントといったソーシャルな面が足りない。
 
 
 
消費者重視の、よりきめ細かい活動を必要とする低成長時代にあっては4Pではなく[[4C (マーケティング理論)|4C]]で見ていったほうが適切というのが共生マーケティングである。
 
 
 
== 概要: マーケティング 3.0 (共生マーケティング・ミックス)の4Cの意義 ==
 
共生マーケティングのミックス要因の[[4C (マーケティング理論)|4C]](商品、コスト、チャネル、コミュニケーション)は、1972年度[[早稲田大学]][[商学研究科]]の[[修士論文]]<ref>[[清水公一]]『[[広告媒体]][[モデル]]における[[露出]][[処理]]の[[開発]]』[[昭和42年]]度[[早稲田大学]][[大学院]][[商学研究科]][[修士論文]]</ref>に最初に現れた。「[[マーケティング]]の4C」<ref>[[清水公一]](2016)『共生マーケティング戦略論』第5版(創成社)pp.25-62. ISBN 978-4-7944-2482-2 C3034</ref>とは次のようなもの。
 
 
 
*Commodity([[共生]][[商品]])は[[ラテン語]]で「共に便利な」、「共に幸せにする」という意味で、[[消費者]]から出発する「アウトサイド・イン」もしくは「マーケテット・イン」の考え方に添った商品である。これは[[統合マーケティングコミュニケーション]]([[IMC]])の考え方と近い。造ったから売ってしまえというプロダクト・アウトの考え方では、産地を偽ったり、[[賞味期限]]を延長したりするといった[[商品]][[偽装]]など無くなるはずもなく、こんなことは以ての外であり、[[消費]]者との[[相互作用]]([[w:Co-creation]])によって[[信頼]]できる商品やサービスを開発しようという哲学がコモディティに反映していく。はじめからコ・クリエーションを考慮してコモディティを創れば、最近言われている[[コモディティ化]](Commoditization)にも対処しやすい。
 
*Costは、Constare(共に立ち上がって犠牲を払う)という原義から費用となったもので、[[プライス]]だけでなく[[生産]][[コスト]]、[[販売]]コスト、買い物コスト、社会的コストと広く捉えることができる。[[ノースカロライナ大学]]のローターボーンも同様のことを言っている。<ref>ローターボーン著、有賀勝訳(1994)『広告革命米国に吹き荒れるIMC旋風:統合型マーケティングコミュニケーションの理論』電通。</ref>地球環境コスト(原発等の安全対策コストも含まれる)だけでなく、子育てコスト、介護コストも企業が加味して行けば、例えばある化粧品会社のように社内に託児施設をつくることで待機児童の問題にも貢献でき、介護をしている従業員への支援システムをつくることを社会的コストとして加味したり、優良企業と[[福祉]][[ビジネス]]との社会的コストに関する[[共生]]によって介護関係の雇用の問題も解決の糸口が見えてくる。
 
*Channel([[流通]]経路)の原義はキャナル(運河)であり、このほうがプレイスよりも商品のダイナミックな流れをそのまま表すことができる。納入業者、製造業者、流通業者、消費者が共生できるビジネスモデルを創成する。生産者・製造者・流通業者が共生している食品会社や製造と流通が共生しているアパレル産業などがある。チャネルとしてインターネット販売も考えられ、リアルとネットの融合の問題も包含できる。
 
*Communication(原義:意味を共有する)のほうが[[宣伝|プロモーション]]よりも双方向型の共生の考え方に相応しい。前述したローターボーンの見解も同様である。節約を呼びかける電力会社の広告や社会に呼びかける[[ACジャパン]]の公共広告は「[[宣伝|プロモーション]]」ではなく「[[コミュニケーション]]」であろう。1990年代に良いといって騒がれた[[統合マーケティングコミュニケーション]]([[IMC]])戦略は4P理論では[[マーケティング]]の中に位置づけられない。これからの経営は[[価値]]共創([[w:Co-creation]])型で、消費者の心を掴み([[w:consumer insight]])、広告等で提案をし、絆(engagement)を創っていかなければならない。つまり、プロポジション([[w:Proposition]])として、コミュニケーション・ツールをコーディネートし、[[オーディエンス]]に順次コンタクトしていくという[[クロスメディア]]を考慮することが[[コミュニケーション]]であればできる。勿論、市場の調査・分析・報告を行う[[w:Marketing Information System]]([[w:MIS]])もコミュニケーションに含まれる。「プロモーション」のカテゴリーではこれらの課題を包含することはできない。コミュニケーション・ツールには広告、販売促進、[[PR]]、[[パブリシティ]]、[[CI]]、インターナル・コミュニケーション、[[クチコミ]]、[[w:MIS]]などがある。
 
 
 
共生マーケティングはこれら[[4C (マーケティング理論)|4C]]を遂行することで、人に優しく、地球に優しくでき、生活者の[[信頼]]を得て、はじめて商品が売れ、利益が後からついてくるという考え方に基づくマーケティングである。自由競争社会にあって、信頼を損なわないマーケティング、それが共生マーケティングである。この共生マーケティングのフレームワークの一つに[[7Cs COMPASS MODEL]]がある。<ref>[[清水公一]](1981)「[[コ・マーケティング]]における広告、CI等の位置づけ」『日経広告研究所報』VOL80、第15巻5号、16-23ページ。</ref>
 
 
 
== 共生マーケティングにおける7Cs COMPASS MODEL ==
 
7Cs compass modelは共生マーケティングを行うための枠組みで、7つのCと、消費者への考慮要件及び外部環境のチェックリストとしてコンパスの4方位(NWSE)で示すというもの。同心円のモデルの中心にあるのが第1C:Corporation(企業、団体)、2番目の円が4等分され第2C〜第5C(上記の4C)が配置されている。その外側に第6C:[[w:Consumer]]([[消費者]]、生活者)、さらにその外側に第7C:[[w:Circumstances]](外部[[環境]])がある。そして、消費者と外部環境には[[コンパス]]の針で4方位(NWSE)で始まるキイワードが示されている。<ref> (1979)「マーケティング論の新構造--高度成長時代の4Pから低成長時代の7Cへ--」『日本商業学会年報』1979年度。</ref>
 
 
 
*第1C:Corporation(企業、非営利組織)あるいは[[w:Company]](原義:共にパンを食べる仲間)は共生マーケティングの当事者なので、同心円の中心にある。MIS(Marketing Information System)による[[情報管理]]によってトップは正しい意思決定を行い、[[w:Internal Communication]](企業内コミュニケーション)を有効にし、[[w:CI]]([[w:Corporate Identity]])のコンセプトを忘れず、[[信頼]]を損なうことなく[[利益]]を追求する。2012年に(C-O-S)を加えた。これは、マーケティングやマネジメントを遂行する[[組織]]([[w:organization]])、競合会社([[w:competitor]])、利害関係者([[w:stakeholder]])つまり投資家や愛顧顧客も十分考慮しなければならないということである。
 
*第2C〜第5C:上記の[[4C (マーケティング理論)|4C]]
 
*第6C:[[w:Consumer]]([[消費者]]、生活者)への[[コンパス]]の針が示す4方位(NWSE)は、
 
**N=Needs(無くてはならない必要なもの、例えば水、衣類、靴)
 
**W=Wants(欲しいもの、例えば、スポーツ飲料、スニーカー)
 
**S=Security(安全でなければならない、例えば原発、車、食品等の安全)
 
**E=Education([[消費者教育]]、企業と消費者との間にある商品に関する知識の差を縮小すべく[[消費者]]に[[情報]][[提供]]をしなければならない。消費者に不安を抱かせたり風評をなくすために重要)
 
*第7C:Circumstances(外部[[環境]])に関する[[コンパス]]の4方位(NWSE)は:
 
**N=National and International(国の政治的・法律的・倫理的環境および国際環境:国際関係)
 
**W=Weather([[気象]]、[[自然環境]]:大災害で状況が変わってしまう。自然を取り込む経営が必要。コンビニエンスストアやテーマパークの一部で実施している)
 
**S=Social and Cultural([[ソーシャルメディア]]時代の[[社会]]、[[福祉]]および[[文化]]的環境は当然踏まえなければならない)
 
**E=Economic([[経済]]環境は経営に一番影響するので当然踏まえるべき。アベノミクスなど。)
 
 
 
<br />図を視る
 
[http://www.josai.ac.jp/~shimizu/essence/img328.jpg EXHIBIT: Shimizu's 7Cs Compass Model (Courtesy: © Koichi Shimizu, Japan)]
 
<br />
 
 
 
7Cs COMPASS MODELは、"con,com,co(共に)"で始まるキーワードで組み立てられており、'''共生マーケティング'''のフレームワークに相応しい。したがって、7つのCとコンパスの4方位を考慮すると、「[[信頼]]」が得られるというもので、<ref>小林太三郎監修、嶋村和恵・石崎徹共著(1997)「日本の広告研究の歴史」[[電通]]刊,p56,p.266.ISBN 4-88553-097-0</ref>このモデルは、社会主義ではなく自由競争社会にあって、[[企業の社会的責任]](CSR)や[[顧客満足]](CS)、[[社会貢献]]を重視する「共生マーケティング」のチェックリストして今日利用されつつある。
 
 
 
つまり、'''共生マーケティング'''([[w:Co-marketing]])は、これらの外部環境を十分踏まえて、なおかつ[[消費者]]への考慮要件を満たし、[[マーケティングミックス]]([[w:Marketing mix]])の[[4C (マーケティング理論)|4C]]を誠実に遂行し、信頼を勝ち取る[[マーケティング]]である。これらの要素を一つでも怠ると信頼度は急降下するので、このモデルのすべての要素を高いところに保つという持続可能性が重要である。
 
 
 
== コ・マーケティングの一般的な使われ方==
 
コ・マーケティング([[w:Co-marketing]])とは、一般に複数の企業がパートナーシップを組んで、共生するマーケティングであるといわれている。こうすることによってお互いのリソースを活用することができ、マーケティングにレバレッジを効かせることができる。コラボレイティブ・マーケティング([[w:Collaborative marketing]])ともいう。
 
 
 
== 価値共創マーケティング==
 
 価値共創マーケティング([[w:Co-creation]], [[w:Co-creative marketing]])も、企業と消費者が共に創っていくもので、ここに含まれる。
 
  
 
== 脚注・出典 ==
 
== 脚注・出典 ==
 
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==参考文献==
 
*Brian Solis(2011) Engage!: The Complete Guide for Brands and Businesses to Build, Cultivate, and Measure Success in the New Web, John Wiley & Sons, Inc.pp.201-202.
 
*日経広告研究所編(1993)「[[広告]]を知るための百冊の本」[[日本経済新聞社]],p.28-29.ISBN 4-532-64014-8
 
*胡暁云他訳(2005)「広告理論戦略」中国語版、[[北京大学]]出版社,[[清水公一]]著1,p.62-79.ISBN 7-301-08666-0
 
*胡暁云、張健康(2007)「現代広告学」中国版、[[浙江大学]]出版社,p.353.ISBN 978-7-308-05219-1
 
*[[清水公一]](2014)『広告の理論と戦略』第18版、創成社,p.63-99.ISBN 978-4-7944-2435-8 C3034
 
  
 
==関連項目==
 
==関連項目==
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*[[コモディティ化]]
 
*[[コモディティ化]]
 
*[[顧客満足]]
 
*[[顧客満足]]
 
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[[Category:マーケティング]]
 
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2018/10/5/ (金) 00:15時点における最新版

共生マーケティング(きょうせいマーケティング、: Commensal Marketing, Symbiotic Marketing)あるいはコ・マーケティングCo-marketing[1][2][3][4]

地球環境問題を考慮して,循環型の商品開発・チャネルの構築などを行おうとする概念

脚注・出典

  1. 来住元朗(2006)「マーケティングの4C」,『マーケティング・コミュニケーション大辞典』宣伝会議 p.638.
  2. 日経広告研究所編(1993)「広告を知るための百冊の本」日本経済新聞社,p.28-29.ISBN 4-532-64014-8
  3. Brian Solis(2011) Engage!: The Complete Guide for Brands and Businesses to Build, Cultivate, and Measure Success in the New Web, John Wiley & Sons, Inc.pp.201-202.
  4. Jeff French, Ross Gordon (2015)"Strategic Social Marketing,"SAGE Publications Inc.,p.90.

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