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<hr />
<div>{{政治家<br />
|人名 = ピエール・マンデス＝フランス<br />
|各国語表記 = {{lang|fr|Pierre Mendès-France}}<br />
|画像 = Pierre Mendès France 1968.jpg<br />
|画像説明 = <br />
|国略称 = {{FRA}}<br />
|生年月日 = [[1907年]][[1月11日]]<br />
|出生地 = {{FRA1870}}、[[パリ]]<br />
|没年月日 = {{死亡年月日と没年齢|1907|1|11|1982|10|18}}<br />
|死没地 = {{FRA}}、パリ<br />
|所属政党 = [[急進党]](PR)<br />
|国旗 = FRA<br />
|職名 = フランス共和国<br />第126代閣僚評議会議長<br />(第142代政府主席)<br />
|就任日 = [[1954年]][[6月18日]]<br />
|退任日 = [[1955年]][[2月23日]]<br />
|元首職 = [[共和国大統領 (フランス)|共和国大統領]]<br />
|元首 = [[ルネ・コティ]]<br />
}}<br />
'''ピエール・マンデス＝フランス'''（Pierre Mendès-France, [[1907年]][[1月11日]] - [[1982年]][[10月18日]]）は、[[フランス]]の[[政治家]]。{{誰範囲2|date=2017年12月4日 (月) 11:29 (UTC)|[[フランス第四共和政]]における最も卓越した政治家と評せられる}}。[[1954年]]から[[1955年]]に掛けてフランスの[[閣僚評議会議長]]([[フランスの首相|首相]])を務め、[[第一次インドシナ戦争]]を終結させた。<br />
<br />
== 生い立ちと初期の経歴 ==<br />
1907年1月11日[[パリ]]の[[セファルディム]]（[[スペイン]]、[[ポルトガル]]に定住した[[ユダヤ人]]）中産家庭に生まれた。長じて[[パリ大学]]に学び[[法学博士]]号を取得、弁護士となり、[[1928年]]パリ[[弁護士会]]の最年少会員となった。これに先立ち、学生時代にはフランスの伝統的[[中道左派]]政党である[[フランス民主連合#急進党|急進社会党]]（急進党）の領袖[[エドゥアール・エリオ]]に感化され、党の学生組織である共和国社会主義大学行動連盟で活動し、[[1924年]]同党に入党する。ユダヤ系ということもあり、第二次世界大戦前のフランス政界においてはハンディキャップを持っていたが、それをその輝かしい学歴によって克服し、[[1932年]][[ウール県]]から[[下院]][[フランス国民議会|国民議会]]議員に当選する。時に25歳で最年少議員であった。当選後、すぐにその能力を認められ、[[1936年]][[レオン・ブルム]][[人民戦線]]内閣が誕生すると、大蔵担当閣外相に任命された。<br />
<br />
== 第二次世界大戦 ==<br />
[[第二次世界大戦]]が始まると、[[フランス空軍|空軍]]に志願した。[[1940年]]フランスは[[ナチス・ドイツ]]に降伏し、[[ヴィシー政権]]が成立すると、[[1941年]]5月にマンデス＝フランスは逮捕され、裁判で禁固6年、軍籍剥奪、10年間の市民権剥奪の判決を受ける。しかし、6月には脱出に成功したマンデス＝フランスは[[1942年]]始め[[イギリス]]に亡命し、[[シャルル・ド・ゴール]]率いる[[自由フランス]]に参加、[[フランス空軍|空軍]]に志願し「ロレーヌ爆撃隊」隊長を務める。その後、[[アルジェ]]に国民解放委員会（CFLN）が置かれると財政担当委員に任命され、[[1944年]][[ブレトンウッズ]]会議では、フランス代表となり、戦後の国際金融制度について列国と協議に当たった。<br />
<br />
1944年9月パリが解放され、ド・ゴールを首班とする臨時政府が樹立されると、マンデス＝フランスは国民経済相に就任する。しかし、臨時政府内で物価統制をめぐり、[[ルネ・プレヴァン]]蔵相と対立し、ド・ゴールがプレヴァンを支持したため[[1945年]]辞職した。もっとも、ド・ゴールはマンデス＝フランスの国際経済・金融面での能力を惜しみ、[[国際復興開発銀行]]総裁や[[国際連合経済社会理事会]]フランス代表に推している。<br />
<br />
== 第四共和政 ==<br />
=== インドシナ問題 ===<br />
第四共和政が成立すると、[[1947年]]マンデス＝フランスは国民議会議員となる。第四共和政下でマンデス＝フランスに最初に組閣の機会が訪れたのは[[1953年]][[ルネ・マイエール (政治家)|ルネ・マイエール]]内閣崩壊のときであったが、このときは多数派を形成することが出来ず[[ジョゼフ・ラニエル]]内閣が成立した。この時期のフランス政治における最大の課題は外交・対外政策をめぐる諸問題であった。なかんずくフランスにとって最大の課題は[[インドシナ]]問題と[[アルジェリア]]を中心とする北[[アフリカ]]問題であった。<br />
<br />
第二次世界大戦後、フランスは[[フランス領インドシナ]]をめぐり、[[第一次インドシナ戦争]]を開始する。フランスがアメリカの支援を受けたのに対し、[[ベトミン]]（ヴェトミン、ベトナム独立同盟会）は中国から支援を受けて両者の闘争は深まった。マンデス＝フランスは[[1950年]]から一貫して[[フランス植民地帝国|フランス植民地主義]]の批判者であった。[[1954年]]5月[[ディエンビエンフーの戦い]]でフランス軍は決定的な敗北を喫する。ラニエル内閣が戦争継続路線を採ったことに対して、マンデス=フランスはこれを激しく攻撃し、ラニエル内閣を崩壊に追い込んだ。1954年[[6月19日]][[ルネ・コティ]]大統領は、マンデス＝フランスに組閣を要請した。こうして成立したマンデス＝フランス内閣には、後に[[フランス社会党|社会党]]から大統領となる若き日の[[フランソワ・ミッテラン]]が[[フランス内務省|内務大臣]]として入閣している。<br />
<br />
=== ジュネーヴ協定 ===<br />
首相となったマンデス＝フランスは、就任演説でインドシナ戦争を30日以内に終結することを宣言し、戦争終結ができなかった場合、辞任することを公約した。マンデス＝フランスは、[[ホー・チ・ミン]]と休戦を協議するとともに、ベトミンの背後にいる[[中国]]を重視し、6月23日[[周恩来]]中国首相と会談した。[[7月10日]]ジュネーブ会議が開催された。マンデス＝フランスは、[[ヴャチェスラフ・モロトフ]]ソ連外相との間に厳しい交渉を繰り広げた。交渉の様子は逐次、フランス国内に報道された。また、マンデス＝フランス自身、ラジオで交渉に不退転の決意を表明した。こうして[[7月21日]]インドシナ諸国の独立、北緯17度線による南北ベトナム分断などを決定した[[ジュネーヴ協定]]が締結された。フランス議会は、ジュネーブ協定を471票対14票の圧倒的多数で可決した。反対に回ったのは、[[社会共和派]]（MRP）と穏健派の一部であった。さらに[[カトリック教会|ローマ・カトリック教会]]を背景とする[[極右]]、[[国家主義者]]は植民地放棄に衝撃を受け、共産主義者の下にカトリック教徒をむざむざ捨て去ることに反対を表明した。後の国民戦線党首、[[ジャン＝マリー・ル・ペン]]は、当時、極右[[プジャード派]]に属しており、マンデス＝フランスに対して愛国心から反発したと回想している。<br />
<br />
=== 失墜 ===<br />
[[画像:Bundesarchiv Bild 183-27106-0001, Paris, Verhandlungen über NATO-Beitritt.jpg|right|thumb|200px|[[西ドイツ]]の[[北大西洋条約機構|NATO]]加盟承認を発表するNATO加盟国首脳。左からマンデス＝フランス、[[コンラート・アデナウアー|アデナウアー]]西独首相、[[アンソニー・イーデン|イーデン]]英外相、[[ジョン・フォスター・ダレス|ダレス]]米国務長官。1954年10月24日。]]<br />
インドシナ問題を解決したマンデス＝フランスは文字通り、息つく間もなく、北アフリカ問題に取り組んだ。1954年7月末、[[新デストゥール党]]の[[ハビーブ・ブルギーバ]]（後の[[チュニジア]]初代大統領）と、さらに[[モロッコ]]の[[ムハンマド5世 (モロッコ王)|ムハンマド5世]]とそれぞれ交渉し、マンデス＝フランスの後を襲った[[エドガー・フォール]]内閣の時に独立を達成することとなった。しかし、このことは北アフリカに住むヨーロッパ系住民（いわゆる[[ピエ・ノワール]]）の反発を買うことに繋がった。<br />
<br />
1954年8月[[欧州防衛共同体]]（EDC）構想をめぐり、[[西ドイツ]]の再軍備を懸念するフランス政府は条約の修正を提案したが、未承認に終わった。[[8月30日]]国民議会は欧州防衛共同体（EDC）条約の批准を拒否した。この結果、マンデス＝フランス内閣は、MRPを中心とするEDCを支持していた勢力の離反を招くこととなった。<br />
<br />
1954年11月から[[アルジェリア]]では、[[テロ]]が相次いで起こり、マンデス＝フランスのアルジェリアへの譲歩政策に対する反発が右翼を中心に広がる中、次第に窮地に追い詰められていった。[[1955年]]2月議会による信任投票が行われ、激論の中、マンデス＝フランス内閣は総辞職を余儀なくされた。マンデス＝フランスの後任には、急進社会党右派の領袖でライバルであった[[エドガー・フォール]]が就任した。<br />
<br />
[[1956年]]社会党（SFIO）の[[ギー・モレ]]内閣が成立すると[[国務大臣]]として入閣するが、アルジェリア問題をめぐり、短期間で辞任を余儀なくされた。<br />
<br />
== 第五共和政 ==<br />
アルジェリア問題の先鋭化とこの危機に第四共和政の政治体制が機能不全に陥る中で、[[1958年]]ド・ゴールによって、[[フランス第五共和政|第五共和政]]が成立する。大部分の左翼同様、ド・ゴールの強権的ともいえる大統領政治に対してマンデス＝フランスも批判的であった。マンデス＝フランスは反ド・ゴール派を糾合するが、[[1958年]]11月の選挙で議席を失い、さらに[[1959年]]には、親ド・ゴール派が多数派となった急進党から除名された。<br />
<br />
急進党を離れたマンデス＝フランスは、社会党離党者を中心に結成された小左翼政党・[[統一社会党 (フランス)|統一社会党]]に加わる。[[1967年]]にようやく議席を回復したのもつかの間、[[1968年]][[五月革命 (フランス)|五月革命]]を受けて行われた議会選挙でド・ゴール派が大勝し、再び落選の憂き目を味わった。統一社会党の公式見解によると五月革命に関して、彼の年代の人では珍しく学生側に共感的であったとされる。在野勢力の中にあって、反ド・ゴールの社会主義者のひとり、[[ガストン・ドフェール]]は、マンデス＝フランスを首相候補として野党勢力の結集に動いたが、成功しなかった。1971年の[[社会党 (フランス)|社会党]]（PS）改組に当たっては、ミッテランを助け積極的に動いた。[[1981年]]ミッテラン社会党大統領の誕生を迎えた、翌1982年10月18日、パリで死去した。75歳。<br />
<br />
== 人物と評価 ==<br />
<br />
マンデス＝フランスは、公正、厳格、真実の人であり、政治家としては終生、フランスの伝統的な議会尊重の共和制支持を貫いた。教条的な社会主義者ではなく、穏健な中道左派としての政治姿勢は「マンデス主義」とも称された。後に政敵となったド・ゴールとは第二次世界大戦からの知己であり、政治的な立場を違えたが、互いに敬意を払い続けた。ド・ゴールとの関係に代表されるように、政治的意見を異にする人々からもマンデス＝フランスの政治的見解、理想主義、正義感に対しては賞賛を惜しまれなかった。<br />
<br />
マンデス＝フランスの政治家としての最大の業績は、ジュネーブ協定締結によるインドシナ戦争の終結である。インドシナ問題の現実的な解決を実現するとともに、国民に30日以内の停戦を公約し、それを実現したことで国民からの信頼を勝ち得た。<br />
<br />
一方でマンデス＝フランス政権は、議会における安定的な政治的基盤を形成することができなかった。このため、欧州防衛共同体（EDC）構想の失敗、[[アルジェリア戦争]]によって世論が分裂すると、これに有効な対応ができず、急速に政権は崩壊した。さらにマンデス＝フランス自身がユダヤ人であったことから、右翼を中心に[[反ユダヤ主義]]がフランス社会の中で異常な昂揚を見せた。<br />
<br />
政権を失った後も、北アフリカ、[[中東]]問題では活発に動き、イスラエル側のみならず、[[パレスチナ]]国家独立を支持する立場から[[イスラム教徒]]からも信頼されていた。<br />
<br />
現在もパリ市内には彼を記念した「ピエール・マンデス＝フランス通り」が存在している。<br />
<br />
== 著作 ==<br />
マンデス＝フランスは、以下の著作を出版した。<br />
* ''Œuvres complètes'', tome I, ''S'engager 1922-43'', (1984), 837 p.<br />
* ''Œuvres complètes'', tome II, ''Une politique de l'économie 1943-54'', (1985), 630 p.<br />
* ''Œuvres complètes'', tome III, ''Gouverner, c'est choisir 1954-55'', (1986), 831 p.<br />
* ''Œuvres complètes'', tome IV, ''Pour une république moderne 1955-62'', (1988), 969 p.<br />
* ''Œuvres complètes'', tome V, ''Préparer l'avenir 1963-73'', (1989), 874 p.<br />
* ''Œuvres complètes'', tome VI, ''Une vision du monde 1974-82'', (1990), 684 p.<br />
<br />
* ''Le Redressement financier français en 1926 et 1927'', Thèse pour le doctorat soutenue le 3 mars 1928, Université de Paris, Faculté de droit, LGDJ, 1928<br />
* ''L'Œuvre financière du gouvernement Poincaré''. Préface de Georges Bonnet, LGDJ, 1928<br />
* ''La Banque des règlements internationaux, contribution à l'étude du problème des États-Unis d'Europe'', Librairie Valois, 1930<br />
* ''Le Département de l'Eure au point de vue économique'', 1933, Préface de M. C. Briquet<br />
* ''Liberté, liberté chérie.. Choses vécues'', New York, Les éditions Didier, 1943<br />
* ''Roissy-en-France'', Julliard 1947<br />
* ''Gouverner c'est choisir'',(1)Julliard 1953.<br />
* ''Gouvernerc'est choisir'',(2) Sept mois et dix-sept jours juin 1954-février 1955, Julliard, 1955<br />
* ''Gouverner c'est choisir'',(3)La Politique et la Vérité-Julliard 1958<br />
* ''Dire la vérité, causeries du Samedi'', Julliard 1955<br />
* ''Pour une république moderne'', Gallimard, 1962, réed. 1966<br />
* ''Pour préparer l'avenir, propositions pour une action'', Paris : Denoël, 1968<br />
* ''Dialogues avec l'Asie d'aujourd'hui -Gallimard 1972<br />
* ''Choisir, conversations avec Jean Bothorel Stock 1974''<br />
* ''La vérité guidait leurs pas'', Gallimard, 1976<br />
* ''Regards sur la V{{e}} République (1958-1978), Entretiens avec François Lanzenberg'', Paris, Fayard, 1983.<br />
<br />
{{先代次代|[[自由フランス|自由フランス財政担当委員]]|[[1943年]] - [[1944年]]|[[モーリス・クーヴ・ド・ミュルヴィル]]|–}}<br />
{{先代次代|国民経済相|[[1944年]] - [[1945年]]|[[ピエール・カタラ]]|[[ルネ・プレヴァン]]}}<br />
{{先代次代|[[フランスの首相]]|[[1954年]] - [[1955年]]|[[ジョゼフ・ラニエル]]|[[エドガール・フォール]]}}<br />
{{先代次代|[[フランス外務省|外相]]|[[1954年]] - [[1955年]]|[[ジョルジュ・ビドー]]|[[エドガール・フォール]]}}<br />
{{先代次代|[[国務大臣]]|[[1956年]]|-|-}}<br />
<br />
{{France-stub}}<br />
{{Politician-stub}}<br />
{{Normdaten}}<br />
{{DEFAULTSORT:まんてすふらんす ひええる}}<br />
[[Category:フランスの首相]]<br />
[[Category:フランスの外相]]<br />
[[Category:財政家]]<br />
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[[Category:インドシナ戦争の人物]]<br />
[[Category:自由フランス]]<br />
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[[Category:フランスの亡命者]]<br />
[[Category:パリ出身の人物]]<br />
[[Category:1907年生]]<br />
[[Category:1982年没]]</div>61.25.129.250 Warning: Cannot modify header information - headers already sent by (output started at /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/extensions/HeadScript/HeadScript.php:3) in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/WebResponse.php on line 46