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<hr />
<div>{{for|五禅支における喜(pīti)|ピーティ}}<br />
{{ Infobox Buddhist term<br />
| title = ムディター<br />
| en = Sympathetic joy<br />
| pi = मुदिता, Mudita <br />
| sa = मुदिता<br />
| bn = <br />
| my = <br />
| my-Latn = <br />
| zh = <br />
| zh-Latn = <br />
| ja = <br />
| ja-Latn = <br />
| km = មុទិតា<br>(Mutita)<br />
| ko = <br />
| ko-Latn = <br />
| lo =<br />
| mnw = <br />
| mnw-Latn = <br />
| shn = <br />
| shn-Latn = <br />
| si = <br />
| si-Latn = <br />
| ta = <br />
| th = <br />
| bo = <br />
| bo-Latn = <br />
| vi = hỳ<br />
| id = <br />
}}<br />
'''喜'''（き、[[パーリ語|巴]]: {{lang-pi|muditā}} '''ムディター''', {{lang-en|empathetic joy}}）とは、[[仏教]]の概念で人々（生きとし生けるもの）の喜びにみずからも喜ぶ心を持つこと<ref>四無量心とは - [[ブリタニカ国際大百科事典]]{{Full citation needed|date=2018-08-18|title=出版社、出版年、ページ番号不明です。}}</ref>。<br />
<br />
[[四無量心]]（[[四梵住]]）としてまとめられる4つ徳目「[[慈 (仏教)|慈]]・[[悲 (仏教)|悲]]・喜・[[捨 (仏教)|捨]]」（じ・ひ・き・しゃ）の3つ目。<br />
<br />
== 慈愛の瞑想 ==<br />
[[上座部仏教]]（[[テーラワーダ仏教]]）圏では、[[ヴィパッサナー瞑想|ウィパッサナー]]の基礎として、'''[[慈悲の瞑想|慈愛の瞑想]]'''（mettā bhāvanā, 慈悲の瞑想とも）と呼ばれる[[瞑想]]が行われる<ref>[[ウ・ジョーティカ・セヤドー|ウ・ジョーティカ]] 『自由への旅』 [[魚川祐司]]訳、[[新潮社]]、2016年12月、pp.121-124。</ref>。これは名称としては「慈（慈愛）」（メッター）のみが前面に出て来るが、内容的には四無量心の「慈・悲・喜・捨」全ての要素が含まれており<ref>[http://www.j-theravada.net/kogi/kogi5.html 慈悲喜捨の冥想] - [[日本テーラワーダ仏教協会]]</ref>、「喜」の要素も含まれている。<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
{{Reflist}}<br />
<br />
{{Buddhism-stub}}<br />
{{DEFAULTSORT:き}}<br />
[[Category:仏教哲学の概念]]</div>2402:6B00:5609:EF00:85D3:174C:1E46:8B1F毛沢東思想2018-08-26T15:57:13Z<p>2402:6B00:5609:EF00:85D3:174C:1E46:8B1F: </p>
<hr />
<div>{{観点|date=2009年4月}}<br />
{{毛沢東思想のサイドバー}}{{共産主義のサイドバー}}<br />
{{中華人民共和国}}<br />
'''毛沢東思想'''（もうたくとうしそう、{{lang-zh|毛泽东思想}}、{{ピン音|Máo Zédōng Sīxiǎng}}）または'''毛沢東主義'''（もうたくとうしゅぎ、{{lang-en|Maoism}}）は、[[毛沢東]]を中心とする[[中華人民共和国]]の共産主義者が創立した[[政治思想]]<ref name="kiyaku">[http://jpn_cpc.people.com.cn/69716/4726318.html 中国共産党規約 総綱]</ref>。[[中華人民共和国憲法]]に記載。その信奉者は'''毛沢東主義者'''と呼ばれる。<br />
<br />
毛沢東思想の内容は、時期によってかなり大きな変化がみられる。毛沢東思想が一般的な[[マルクス主義]]、[[マルクス・レーニン主義]]と区別して扱われる場合は、[[文化大革命]]期の毛沢東思想を指すことが多い。この時期の毛沢東思想の主要概念には、[[人民戦争理論]]、[[暴力革命]]・武装闘争肯定と[[平和革命]]否定、[[階級闘争]]絶対化、[[3つの世界論]]などがある。[[1945年]]以降の[[中国共産党]]規約では「[[マルクス・レーニン主義]]の中国における運用と発展」とされ、「[[マルクス・レーニン主義]]」などと並ぶ「行動指針」と位置づけられた<ref name="kiyaku"/><ref>[http://www.peoplechina.com.cn/zhuanti/2011-04/21/content_352362.htm 毛沢東思想 - 人民中国インターネット版]</ref>。特に[[1950年代]]から[[1960年代]]の[[中ソ対立]]や[[文化大革命]]の時期に強調された。<br />
<br />
== 概要 ==<br />
半民半兵のゲリラ戦争と、核武装、有事を想定して政策を行うなど、長期戦略に基づく軍事力の増強を最優先課題とする。政治思想というより、軍事理論とされる場合も多い。<br />
<br />
中国共産党は[[1945年]][[4月23日]]から[[6月11日]]にかけて開催された第7回党大会において、党規約に「中国共産党はマルクス・レーニン主義の理念と中国革命の実践を統一した思想、毛沢東思想を自らの全ての指針とする」との記述を加えた。ここでいう毛沢東思想とは、理念としては[[カール・マルクス]]と[[ウラジーミル・レーニン]]が確立した[[共産主義]]を指針としながら、それを中国の実情に適応させた、[[農民]]中心の革命方式を指しているとされている。<br />
<br />
毛沢東の思想は、毛沢東が若い頃から親しんだ農村社会の観察や経験から導き出された中国発展のためのアイディアを含んでおり、その大綱として大公無私（個人の利益より[[公共の福祉]]を優先する）、大衆路線（[[農村]][[大衆]]の意見に政治的指針を求めそれを理解させて共に行動する）、'''実事求是'''（現実から学んで理論を立てる）などがある。この他、社会と協調できる[[個人主義]]、大人数の協力、農村から蜂起して[[都市]]を囲いこんでいく[[ゲリラ戦術]]理論（[[人民戦争理論]]）、世界各国が各自の特性に応じた革命を行うことによって[[第三次世界大戦]]を防ぐことができるとする「中間地帯論」なども毛沢東思想に含められる場合がある。<br />
<br />
毛沢東の農村重視の姿勢には、本来の[[マルクス主義]]の[[唯物史観]]による「社会主義革命は発達した[[資本主義]]社会で発生する」との理論に対して、[[ロシア革命]]時の[[ロシア]]以上に資本主義が未発達で農業中心社会であった中国の実情に対して、マルクス・レーニン主義を適用する必要性があった。また農村社会にも特有の[[平等主義]]や、暴力の肯定、[[知識人|知識階級]]に対する反[[エリート主義]]（[[反知性主義]]）などが挙げられる。また[[ソビエト連邦]]型との相違には、[[新民主主義論]]による[[人民民主主義]]や、[[3つの世界論]]による世界認識と外交政策などがある。<br />
<br />
毛沢東思想は毛沢東の著作、発言、実践などの総称であり、必ずしも体系的に理論化され矛盾なく整理されたものではない。簡易な参照には[[毛主席語録]]も使用された。<br />
<br />
毛沢東思想は、1950年代以降の社会主義政策推進、1957年からの[[反右派闘争]]、[[1960年代]]以降に激化した[[中ソ対立]]、更に1966年に発動された[[文化大革命]]などで特に強調され、毛沢東の個人崇拝や、政敵の打倒、国外の各国共産主義勢力への干渉にも広く使用された。<br />
<br />
== 毛沢東死後の中国での評価 ==<br />
毛沢東の死後、その思想をめぐる評価は微妙に揺れ動いた。毛沢東のもとで中国はソ連から自立して核武装に成功して軍事的に[[五大国]]の地位を手にし、[[国際連合]]から[[台湾]]を追放し、[[イギリス]]・[[フランス]]・[[日本]]・[[アメリカ合衆国]]など[[西側諸国]]との外交関係も築いた一方で経済では停滞を招いた。地政学的にも[[香港]]と[[マカオ]]を除く中国大陸を武力で制覇したが、[[覇王|覇道]]的な[[覇権主義]]は後に西側から批判された。<br />
<br />
毛沢東の死後、その後継者を自称した[[華国鋒]]の唱えた「[[二つのすべて]]（两个凡是）」は、毛沢東自身が唱えた「実事求是」を持ち出して対抗した[[鄧小平]]により批判され、華国鋒が失権すると、鄧小平は彼自身の解釈に基づく「実事求是」を中国共産党の指導方針として実権を掌握した。鄧小平は[[改革開放]]で経済発展を進め、台湾と対話を試み、毛沢東が[[チベット侵攻]]で編入した[[チベット]]などと対照的に香港とマカオを[[一国二制度]]に基づく高度な自治を認めた上で平和裏に編入することで当事国と合意した。<br />
<br />
[[1981年]]6月の第11期6中全会で採択された『[[建国以来の党の若干の歴史問題についての決議]]』では、毛沢東思想を「毛沢東同志を主要な代表とする中国の共産主義者が、マルクス・レーニン主義の基本的原理に基づき、中国革命の実践経験を理論的に総括してつくりあげた、中国の実情に適した科学的な指導思想」と定義している。その一方で、この決議は、毛沢東が文化大革命で提起した論点は「毛沢東思想の軌道から明らかに逸脱したもので、毛沢東思想と完全に区別しなければならない」とし、毛沢東思想を毛沢東個人の思想とは区別している。この決議では、「実事求是」「大衆路線」「独立自主」が毛沢東思想の真髄とされている。また、この決議と前後して、周恩来、劉少奇、朱徳ら、毛沢東と同時期の他の指導者たちの思想も、毛沢東思想の一部と解釈されるようになってきている。鄧小平は「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想の堅持」を含む「[[四つの基本原則]]」を繰り返し強調した。彼が堅持されるべきと考えた毛沢東思想は、こうした新たな解釈に基づくものである。<br />
<br />
なお、毛沢東以降の指導者たちの考えは、「[[鄧小平理論]]」、[[江沢民]]の「[[3つの代表]]」論、[[胡錦涛]]の「[[科学発展観]]」と、世代ごとに別のものとしてまとめられている。<br />
<br />
== 影響 ==<br />
[[ファイル:Mao bibel.jpg|thumb|left|[[毛主席語録]]（ドイツ語版）]]<br />
=== 欧米 ===<br />
[[1960年代]]の世界的な[[学生運動]]では、しばしば[[原理主義]]的で[[教条主義]]的な共産主義信奉（[[原始共産制]]）が毛沢東思想に移行する例がみられた。影響を受けたのは大学生を中心とする都市部の[[中産階級]]の若者であり、彼らが構成した[[ヒッピー]]が始めた[[コミューン#社会運動における「コミューン」|コミューン運動]]などで、[[人民公社]]型の集団生活の実践や、[[上山下郷運動|下放]]のスタイルが模倣された。1967年の[[ジャン＝リュック・ゴダール]]の映画『[[中国女 (映画)|中国女]]』では毛沢東思想を研究するために共同生活を始めるフランスの若者たちを描いている。<br />
<br />
==== フランス ====<br />
フランスの哲学者[[ジャン＝ポール・サルトル]]は、ソ連による[[1956年]]の[[ハンガリー]]侵攻（[[ハンガリー動乱]]）、[[1968年]]の[[チェコスロヴァキア]]侵攻（[[プラハの春]]）以降、[[反スターリン主義]]に共感するようになり。当時ソ連と対立していた中国（[[中ソ対立]]）の毛沢東主義者主導の学生運動を支持しはじめ、晩年にいたるまでフランスの毛沢東主義者と交遊していた。<br />
<br />
1968年の[[五月革命 (フランス)|5月革命]]にもマオイストの影響があるとされ、クリストフ・ブルセリエは、フランスのマオイスムの流行について、スターリン批判とそれによるソ連型共産主義の失墜、およびそれに代わる[[ユートピア]]を求める運動の中で中国モデルが誇大視されたとしている<ref>Christophe Bourseiller,Les Maoistes. La folie hisitoire des gardes rouges francais,Points,2008(1996)[http://chikyuza.net/modules/news1/article.php?storyid=385 サルコジと5月革命（下）―マオイストの変質 的場昭弘]</ref>。マオイスト運動は[[フランス共産党]]のソ連擁護に対する反動として起こり、反西欧主義、東洋趣味が混在していた。また、[[エコール・ノルマル・シュペリウール]]のロベール・リナールらエリート学生、中国専門家のシャルル・ベトレームや[[ルイ・アルチュセール]]が中心にいたといわれる<ref>Christophe Bourseiller,Les Maoistes. La folie hisitoire des gardes rouges francais,Points,2008(1996)[http://chikyuza.net/modules/news1/article.php?storyid=385 サルコジと5月革命（下）―マオイストの変質 的場昭弘]</ref>。1963年にジャック・ヴェルジエが創刊した雑誌『革命』が中国ブームに火をつけた。1964年フランス共産党から除名追放されたフランソワ・マルティが同年7月に[[東京]]で中国人運動家と知り合い、[[毛沢東]]の招待を受ける。マルティらは『新しい人間主義』という雑誌を出している。<br />
<br />
[[五月革命 (フランス)|五月革命]]以後、当時の内務大臣マルスランによってマオイストの組織は解体命令を受けるが、[[ベニ・レヴィ]]によってGP（[[:fr:Gauche Proletaire]] プロレタリア左派）が結成され、アンドレ・グリュックスマン、[[ベルナール・アンリ・レヴィ]]らが参加する。GPによる移民労働者の支援活動は、サルトルやゴダール、[[ミシェル・フーコー]]らによって支持された。同団体は、マドレーヌ広場の高級店フォーションから「フォーションが貧民窟に食糧支援をする」「盗人から盗んでも罪にはならない」「わが労働の果実をパトロンから奪おう」として商品を奪うフォーション事件を起こしている<ref>Christophe Bourseiller,Les Maoistes. La folie hisitoire des gardes rouges francais,Points,2008(1996)[http://chikyuza.net/modules/news1/article.php?storyid=385 サルコジと5月革命（下）―マオイストの変質 的場昭弘]</ref>。代表のベニ・レヴィはのちにサルトルの助手となり、ユダヤ思想に没入し、[[イスラエル]]に渡った。<br />
<br />
またフランスの作家の[[フィリップ・ソレルス]]や哲学者の[[アラン・バディウ]]らが毛沢東思想に魅了された<ref>[http://chikyuza.net/modules/news1/article.php?storyid=501 的場昭弘「資本主義の危機／新自由主義と国家--民主君主制としてのサルコジ政権」]</ref>。[[的場昭弘]]によれば、[[高等師範学校 (フランス)|エコール・ノルマル]]はマオイスムの母体となっていたと指摘している<ref>[http://chikyuza.net/modules/news1/article.php?storyid=501 的場昭弘「資本主義の危機／新自由主義と国家--民主君主制としてのサルコジ政権」]</ref>。<br />
<br />
==== 他の欧州各国 ====<br />
[[ベルント・アロイス・ツィンマーマン]]は1969年に創作の集大成となった「若い詩人のためのレクイエム」において、毛沢東語録からの抜粋を淡々と読み上げるなど[[毛沢東語録]]を音楽創作に用い、なおかつ傑作に仕上げた。ほか作曲家の[[コーネリアス・カーデュー]]はマオイストであり、晩年は政治活動に専念している。最後のピアノ作品「我々は未来のために歌う」では毛沢東思想への忠誠が、スコア序文に掲げられている。<br />
<br />
==== アメリカ合衆国 ====<br />
[[ブラック・パンサー党]]の指導者[[ヒューイ・P・ニュートン]]は[[マルコムX]]をはじめ、[[カール・マルクス|マルクス]]、[[ウラジーミル・レーニン|レーニン]]、[[チェ・ゲバラ]]、[[フランツ・ファノン]]らの思想に共鳴していたが、とりわけ毛沢東から大きな影響を受け、のちにヒューイら指導者は中国を訪問している。若いころニュートンはロバート・ウィリアムズの公民権運動団体「革命的行動運動 (Revolutionary Action Movement,RAM)」に加入していたが、ウィリアムズは[[中華人民共和国]]から「クルセイダー」という機関紙を出していた。またブラック・パンサー党は[[アメリカ合衆国]]における[[黒人]]社会を[[第三世界]]、[[植民地]]と見做し、合衆国と敵対関係にあった[[ベトナム]]や[[朝鮮民主主義人民共和国]]（北朝鮮）、[[キューバ]]といった国々に対して連帯の意思を表明していた。<br />
<br />
1970年代は、ファッション的に毛沢東を肯定する人がヒッピーやアウトローに多かった。[[アンディ・ウォーホル]]は1972年に[[ニクソン大統領の中国訪問]]にあわせて「マオ」という作品を発表している。ボクサーの[[マイク・タイソン]]は[[毛主席記念堂]]を訪問<ref>{{Cite news|url=http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/4871610.stm|title=Big Mike shakes off the pounds – and his lethargy|publisher=[[BBC]]|page=|language=|date=2006-04-03|accessdate=2016-11-08}}</ref>し、毛の入れ墨も彫っている<ref>{{Cite news|url=http://www.afpbb.com/articles/-/2900568|title=元ボクシング王者マイク・タイソン氏、今後は「歌って踊りたい」|publisher=[[AFP]]|page=|language=|date=2012-09-23|accessdate=2016-11-08}}</ref>。<br />
<br />
[[コミューン#社会運動における「コミューン」|コミューン]]運動も[[人民公社]]の英訳がピープルズコミューンであるようにインスピレーションを与え、ヒッピーの[[:en:People's Park|人民パーク]]や[[:en:Science for the People|人民コンピュータ会社]]、[[:en:Science for the People|人民科学]]など人民とコミューンはヒッピーや新左翼のタームとなった。各種の[[:en:Guru|グルイズム]]的な[[カルト]]宗教と結合してその信者コントロールの手段としてより広範囲に利用された。また[[ニューエイジ]]や精神世界ですらそれを模範する文化が広がった。[[人民寺院]]事件では、毛沢東主義との関係がアメリカの新聞等で指摘されている。人民寺院教祖の[[ジム・ジョーンズ]]は毛沢東に傾倒していることを認め<ref>New York Times, "How Rev. Jim Jones Gained His Power Over Followers", Robert Lindsay, November 26, 1978</ref>、中国の[[洗脳]]を研究していた<ref>Reiterman 1982. p. 163-4.</ref>。<br />
<br />
=== 日本 ===<br />
毛沢東思想自体は、[[文化大革命]]の実態が長く隠蔽されていた日本では[[進歩的文化人]]の手により、現代社会における政治体制を考える上で多くの示唆を与えてくれる思想として喧伝されたため、これを信奉する若者が以後にわたり続出した。ただし、中国の毛沢東がゲリラ、軍事至上主義、核武装を最優先させたのに対して、日本の毛派は反核を唱えるなど矛盾が多い。日本共産党やリベラル派の左翼組織は、スターリン主義の派生だとして憎悪する者もいる。<br />
<br />
日本においては、<!--労働者農民党、-->[[共産主義者同盟マルクス・レーニン主義派|共産同ML派]]、[[日本共産党（左派）]]、[[日本共産党（革命左派）神奈川県委員会]]、[[日本労働党]]といった政治団体がかつて毛沢東思想を指導思想として掲げており、[[全学共闘会議|全共闘]]や毛派以外の[[日本の新左翼|新左翼]]も毛沢東主義から一定の影響を受けていた。毛沢東主義は、議会主義と大衆運動を掲げていた[[日本共産党]]や[[日本社会党]]の主流派の方針とは相容れないものであり、毛沢東思想支持者は[[既成左翼]]と呼ばれた社会党・共産党の両政党と激しく対立した。<br />
<!--<br />
他、のちに[[連合赤軍]]となる[[日本共産党（革命左派）神奈川県委員会]]（のち[[永田洋子]]が最高指導者）や[[赤軍派]]の[[森恒夫]]なども毛沢東思想に魅了されていた。連合赤軍は[[山岳ベース事件]]、[[あさま山荘事件]]などの事件を起こしたが、連合赤軍中央委員会委員長であった森恒夫は、拠点になる秘密基地を作るための関東の山岳地帯への移動を、毛沢東にならって[[長征]]と称している。（特筆性不明、詳細は複雑）--><br />
<br />
一般社会においても、[[ダイエー]]創業者の[[中内功]]<ref>{{cite web | url=http://toyokeizai.net/articles/-/76642?page=2 | title=ダイエー､不振の20年が示す｢革命｣の代償 | publisher=[[東洋経済新報社]] | date=2015-07-14|accessdate=2016-10-28}}</ref>や[[養老孟司]]<ref>養老孟司『毛沢東主義者の中国観』</ref>などが毛沢東思想の強い影響を自認しているほか、欧米崇拝の強かった時期に毛沢東思想の変異体である[[コミューン#社会運動における「コミューン」|コミューン]]運動が無批判に紹介された事や、毛沢東思想の[[農本主義]]的側面が、かつての農村共同体への素朴な憧憬を残していた時期の日本社会で肯定的に伝えられた事もあって、先述の米国の人民寺院のように各種の[[カルト]]集団によるコミューン型共同体が日本各地で形成された。例えば、日本の代表的なカルト集団[[オウム真理教]]教祖の[[麻原彰晃]]にも毛沢東は絶大な影響を与えている<ref>{{cite web | url=http://hikarinowa.net/kyokun/joyu/cat215/post-1.html | title=【2】オウムの犯罪と武装化：1988年〜1995年 1．上祐総括：オウム入信から現在まで 上祐史浩個人の総括 オウムの教訓 －オウム時代の反省・総括の概要－ | publisher=[[ひかりの輪]] | accessdate=2016-09-27}}</ref>。<br />
<br />
現在は[[日本共産党（左派）|日共左派]]が、修正的な毛沢東主義の影響を受けている。日共左派は反米愛国を掲げ、反米右翼と共闘するなど日本の左翼運動の中では異端的である。また、[[緑の党 (三橋派)|三橋派緑の党]]<!--（[[日本ボランティア会]]、[[三橋辰雄]]・[[対馬テツ子]]一派）-->も毛沢東主義を独自に解釈した独特のイデオロギーを有している。[[日本労働党]]は現在は毛沢東思想を掲げていない。<br />
<br />
=== カンボジア ===<br />
{{main|クメール・ルージュ}}<br />
毛沢東思想を奉じるグループが、実際に武力闘争によって政権を獲得した例として最も有名なのは、[[カンボジア]]内戦後に政権を握った[[ポル・ポト派]]である。<br />
[[ポル・ポト派]]は、[[文化大革命]]期の[[中華人民共和国]]によって支援されていたために、その影響を強く受けており、政権を握ると[[文化大革命]]期に中国で行われた政策を、極端な形で[[模倣]]した。ただし[[ポル・ポト]]は、後に[[中国共産党]]すら批判するようになり、毛思想も修正されてゆく。<br />
<br />
[[ポル・ポト派]]は[[貨幣経済]]を否定するため、[[通貨]]の流通を停止させ、[[自力更生]]的に食料生産を担う農村共同体を「国民生活の基本単位」とするために、生産力を持たない“[[寄生虫]]”とみなされた都市と、その住民を強制的に農村へ[[上山下郷運動|下放]]した。<br />
<br />
大規模な下放の過程で、[[ポル・ポト派]]が農村に適応できないと判断した都市住民や、知識人・技術者といった人々は『[[敵]]』の烙印を押され、“白い肌”の都市住民に反感を持つ“黒い肌”の農民の手で組織的に殺戮させる事で、共通の敵を作り出し「国民の結束を高めよう」と図った<ref>肌の色の違いは、中国系やベトナム系の多かった都市住民と、[[クメール人]]しかいない農村との人種的な構成差の反映でもあった。</ref>。<br />
<br />
=== エリトリア ===<br />
[[エリトリア]]の大統領[[イサイアス・アフェウェルキ]]は、文化大革命期の1967年に中国に留学し毛沢東思想や軍事知識を学ぶ<ref>{{cite book|author=Dan Connell|title=Against All Odds: A Chronicle of the Eritrean Revolution : with a New Foreword on the Postwar Transition|url=https://books.google.com/books?id=LoqJUPbPBEMC|year=1993|accessdate=2017-06-07|publisher=The Red Sea Press|isbn=978-1-56902-046-3}}</ref>。[[1969年]][[エリトリア解放戦線|ELF]]総司令官となったが、[[1973年]]分派の[[エリトリア人民解放戦線]]（EPLF、現在の[[民主正義人民戦線|PFDJ]]）の創設に参加。独立をめぐるエチオピアとの争いを経て[[1987年]][[3月]]にEPLF書記長。1991年のエチオピア社会主義政権崩壊後のエリトリアの独立に伴い、1993年6月から同国大統領に就任。<br />
<br />
イサイアスは大統領に就任するとエチオピアのティグレ州に侵攻し、[[エチオピア・エリトリア国境紛争]]が始まった。国内で紛争の是非や政治姿勢に批判が高まり始めると強権的な統治を始め、[[メディア (媒体)|メディア]]統制や野党勢力弾圧を行った。1997年に恒久憲法が制定されたものの未だに施行されておらず、大統領・議会選挙は事実上無期延期の形となり、PFDJによる[[一党制]]統治のもとイサイアスによる事実上の[[独裁政治]]が敷かれている。[[2008年]]に行われた[[アルジャジーラ]]の記者によるインタビューによると、イサイアスは「西欧的な意味での選挙を行なうつもりはない」と断言している<ref>{{cite news|title=人間を傷つけるな！「第10回 エリトリア人弁護士から見た“世界最悪”の独裁政権国家」|newspaper=WEBマガジン「風」|date=2010-1-31|author=[[土井香苗]]|url=http://kaze.shinshomap.info/series/rights/10.html|accessdate=2014-11-18}}</ref>。<br />
<br />
イサイアスはエリトリアを軍事国家とし、完全な[[国民皆兵]]制度を敷いており、国民は男女を問わず全員無期限の[[徴兵制度|兵役]]または政府事業での労役が義務付けられている。これは事実上の[[強制労働]]であり、圧政から逃れるため、毎月2000人近くのエリトリア人が国外に脱出しており、[[ヨーロッパ]]を目指し[[地中海]]を渡ろうとして遭難死する事故が後を絶たない<ref>{{cite news|title=エリトリア難民、命がけの逃亡 失う物は何もない|newspaper=[[スイス放送協会]]|date=2014-9-16|url=http://www.swissinfo.ch/jpn/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2%E9%9B%A3%E6%B0%91-%E5%91%BD%E3%81%8C%E3%81%91%E3%81%AE%E9%80%83%E4%BA%A1-%E5%A4%B1%E3%81%86%E7%89%A9%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%82%82%E3%81%AA%E3%81%84/40694210|accessdate=2014-9-24}}</ref><ref>{{cite news|title=地中海難民という「臭い物」にフタをしたいEUの人道主義また排外主義について|newspaper=Yahoo!ニュース|date=2015-5-8|url=http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakasonemasanori/20150508-00045526/|accessdate=2015-5-9}}</ref>。。<br />
<br />
== 現状 ==<br />
[[ファイル:LonggangZhen-NanyangShidi-0026.jpg|thumb|right|毛沢東は中国人民の救星（救世主）と書かれたスローガン]]<br />
<br />
現在でも、世界中の様々な反政府組織が毛沢東思想に範をとって活動している。そのため一部の[[国家]]では「マオイスト」という言葉はテロリスト・過激主義者という先入観を持たれる可能性がある。また、毛派はしばしば[[中国共産党]]の手先とみなされることがあるが、中国に対する一方的な親近感以上の関係は確認されなかったり、逆に現在の中国共産党と敵対している場合もある。<br />
<br />
発展途上国の毛派はゲリラ路線に走りやすいが、これら毛沢東思想を継承したグループは、麻薬製造や貴金属・宝石採掘などの独自の資金源を有している場合が多く、中国も含めて諸外国の援助を受けずに独力で大勢力に発展している場合がほとんどである。<!--このため、その伸長を許した地域からこれを除去するには、多くの場合軍事行動を以って対するほかない。<br />
<br />
しかし、一般社会(毛沢東は“人民の海”と呼んだ)に潜り込んで巧みに偽装しながら活動する毛派のグループを選別して攻撃する事は不可能に近いため、無実の一般人を巻き添えにする事が避けられず、これが討伐に当る側への憎悪を惹起し、毛沢東派への参加者を更に増やすという悪循環に陥る傾向がある。<br />
--><br />
<br />
ペルーの自称毛派たる[[センデロ・ルミノソ]]が中国の支援を受けていた事実は無く、[[鄧小平]]時代になって中国が文革期の毛沢東思想を放棄してから以降は、在ペルーの中国人や中国政府関係者、さらには[[北朝鮮]]関係者までが[[センデロ・ルミノソ]]の攻撃対象とされている。[[コカイン]]の原料となる[[コカ]]の産地を制圧している[[センデロ・ルミノソ]]の勢力は依然として強力かつ活発である。<!-- り、その掃討に功績のあった[[アルベルト・フジモリ]]大統領（その支持者は[[センデロ・ルミノソ]]の支持基盤と重なっていた）が、権力の濫用で逆に失脚し日本に亡命するといった事態まで発生している。--><br />
<br />
近年では[[2008年]]に[[ネパール共産党毛沢東主義派]]が武装闘争を経て議会進出して合法的に政権獲得し、隣国の[[インド]]・[[ブータン]]でもネパール毛派と協力関係にある[[インド共産党毛沢東主義派]]や[[ブータン共産党マルクス・レーニン・毛沢東主義派]]の活動が活発化した。ただしインド毛派は一部地域での影響力に留まる。<br />
<br />
ウルグアイの[[拡大戦線 (ウルグアイ)|拡大戦線]]は、[[トロツキズム]]や[[社会民主主義]]、毛沢東主義、[[マルクス・レーニン主義|古典的なマルクス・レーニン主義]]など様々な思想者が共生している。<br />
<br />
[[日本共産党（左派）|日共左派]]やロシアの毛派は武装闘争や犯罪は一切行なっていない。先進国では理論による組織拡大に力を入れる傾向にある。<br />
<br />
毛沢東主義は、実態としては確固たるイデオロギーは無く、観念的である。時の指導者により修正や改ざんが多く成される。ネパールの毛派とブータンの毛派も思想的な繋がりは薄い。<br />
<br />
== 毛沢東思想に影響された著名人 ==<br />
以下に[[転向]]者を含む、毛沢東主義者、または毛沢東に思想的影響を受けた中国国外の著名な人物（特に[[政治家]]）を列挙する。<br />
* [[ポル・ポト]] - [[クメール・ルージュ]]の創設者<br />
* [[エンヴェル・ホッジャ]] - [[アルバニア労働党]]の創設者<br />
* [[チュオン・チン]] - [[ベトナム共産党]]の指導者<br />
* [[アビマエル・グスマン]] - [[センデロ・ルミノソ]]の創設者<br />
* ホセ・マリア・シソン - [[フィリピン共産党]]の再建者<br />
* [[ヒューイ・P・ニュートン]] - [[ブラック・パンサー党]]の指導者<br />
* [[プラチャンダ]] - [[ネパール共産党統一毛沢東主義派]]議長<br />
* ピエール・ムレレ - [[コンゴ動乱]]の際の[[コンゴ民主共和国]]の[[シンバ]]の指導者<br />
* [[モブツ・セセ・セコ]] - [[ザイール]]の大統領<br />
* [[ローラン・カビラ]] - コンゴ民主共和国の大統領<br />
* [[ニコラエ・チャウシェスク]] - [[ルーマニア]]の大統領<br />
* [[イサイアス・アフェウェルキ]] - [[エリトリア]]の大統領<br />
* [[ロバート・ムガベ]] - [[ジンバブエ]]の大統領<br />
* [[ウゴ・チャベス]] - [[ベネズエラ]]の大統領<ref>{{cite web |first=Emma Graham |last=Harrison |date=23 Septmber 2008 |title="Maoist" Chavez eyes closer China energy ties |website=[[ロイター]] |url=https://www.reuters.com/article/us-china-venezuela-chavez/maoist-chavez-eyes-closer-china-energy-ties-idUSTRE48M59V20080923|accessdate=2018-08-18}}</ref><br />
* [[ジョナス・サヴィンビ]] - [[アンゴラ内戦]]の際の[[アンゴラ全面独立民族同盟]]の指導者<br />
* [[アフマド・シャー・マスード]] - [[アフガニスタン]]の[[ムジャーヒディーン]]の指導者<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
{{Reflist}}<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
*「中国革命と毛沢東思想―中国革命史の再検討（1969年）」（[[中西功]]、青木書店、1969年）<br />
*「毛沢東―実践と思想」（[[近藤邦康]]、岩波書店、2003年）<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
* [[極左|政治的極左]]<br />
* [[チュチェ思想]]<br />
* [[ホー・チ・ミン思想]]<br />
* [[道教|タオイズム]]<br />
* [[:en:Digital Maoism: The Hazards of the New Online Collectivism|デジタル・マオイズム]]<br />
* [[ジャン＝リュック・ゴダール]]、[[中国女 (映画)]]、[[東風 (映画)]]<br />
* [[千のナイフ]]<br />
* [[日本共産党（左派）]]、[[日本共産党（革命左派）神奈川県委員会|日本共産党（革命左派）神奈川県委員会（京浜安保共闘）]]、[[連合赤軍]]、[[川島豪]]、[[永田洋子]]、[[坂口弘]]、[[吉野雅邦]]<br />
* [[共産主義者同盟マルクス・レーニン主義派|日本マルクス・レーニン主義者同盟（ML同盟）]]<br />
* [[日本労働党]]<br />
* [[自力更生]]<br />
* [[ナロードニキ]]<br />
* [[反面教師]] - 広く知られている言葉だがもともとは毛沢東の言葉である<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
*[http://www.marx2mao.com/Mao/Index.html Marx2Mao.org] 毛沢東インターネット・ライブラリ（英語）<br />
*[http://lesmaterialistes.com/files/images/pdf1/Guidingthought.pdf Guiding thought of revolution: the heart of Maoism] international project<br />
*[http://marxists.org/glossary/terms/m/a.htm#maoism The Encyclopedia of Marxism] Mao Zedong Thought.<br />
*[http://www.marxists.org/glossary/people/m/a.htm#mao-tse-tung The Encyclopedia of Marxism] Mao's life.<br />
*[http://www.monthlyreview.org/0105commentary.htm ''Monthly Review'' January 2005] Text of the leaflets distributed by the Zhengzhou Four.<br />
*[http://revmedia.net/ World Revolution Media] Maoist revolutionary film, music, and art archive<br />
* Batchelor, J. [http://cliojournal.wikispaces.com/Maoism+and+Classical+Marxism Maoism and Classical Marxism], Clio History Journal, 2009.<br />
<br />
{{共産主義}}<br />
{{毛沢東思想}}<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:もうたくとうしそう}}<br />
[[Category:社会主義の歴史]]<br />
[[Category:毛沢東思想|*]]<br />
[[Category:毛沢東]]<br />
[[Category:中国社会主義]]<br />
[[Category:新左翼]]<br />
[[Category:日本の新左翼の思想・文化]]</div>2402:6B00:5609:EF00:85D3:174C:1E46:8B1F Warning: Cannot modify header information - headers already sent by (output started at /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/extensions/HeadScript/HeadScript.php:3) in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/WebResponse.php on line 46