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miniwiki - 利用者の投稿記録 [ja]
2024-05-05T02:31:47Z
利用者の投稿記録
MediaWiki 1.31.0
カール・ヴィルヘルム・フェルディナント (ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル公)
2017-10-18T15:01:22Z
<p>219.126.101.239: /* 参考文献 */</p>
<hr />
<div>{{脚注の不足|date=2017-03-18}}<br />
[[ファイル:Carl Wilhelm Ferdinand von Braunschweig.jpg|thumb|ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル公カール・ヴィルヘルム・フェルディナント]]<br />
[[ファイル:BraunschweigLKWF.jpg|thumb|カール・ヴィルヘルム・フェルディナント、ヨハン・ゲオルク・ツィーゼニスによる画の複写。]]<br />
[[ファイル:Braunschweig Karl Wilhelm Ferdinand.jpg|thumb|[[ブラウンシュヴァイク]]市内のカール・ヴィルヘルム・フェルディナント像]]<br />
'''カール（2世）・ヴィルヘルム・フェルディナント'''（'''Karl (II) Wilhelm Ferdinand von Braunschweig-Wolfenbüttel''', [[1735年]][[10月9日]]、[[ヴォルフェンビュッテル]] - [[1806年]][[11月10日]]、オッテンゼン、[[ハンブルク]]郊外）は、ドイツの[[ブラウンシュヴァイク＝リューネブルク]][[ブラウンシュヴァイク君主一覧|公]]の1人で、[[ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル侯領|ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル]][[ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル君主一覧|侯]]（在位：[[1780年]] - 1806年）。[[ブランデンブルク＝プロイセン]]に[[元帥 (ドイツ)|元帥]]として仕えた。また数学者[[カール・フリードリヒ・ガウス]]の後援者でもあった。<br />
<br />
== 生涯 ==<br />
フェルディナントはブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル公[[カール1世 (ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル公)|カール1世]]とその妻でプロイセン王[[フリードリヒ・ヴィルヘルム1世 (プロイセン王)|フリードリヒ・ヴィルヘルム1世]]の娘である[[フィリッピーネ・シャルロッテ・フォン・プロイセン|フィリッピーネ・シャルロッテ]]の間の第1子、長男として生まれた。公爵家の世継ぎとして[[ヨハン・フリードリヒ・ヴィルヘルム・イェルーザレム]]らの家庭教師から幅広く高度な教育を受け、若い頃に[[ネーデルラント]]、[[フランス]]、ドイツ諸国を旅行している。<br />
<br />
プロイセン王家との親戚関係や同盟関係から、ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル侯領の軍隊はプロイセン軍に従属する立場にあり、フェルディナントも若くして[[七年戦争]]に参加し、同盟軍の一角として[[ハーステンベックの戦い]]、[[ミンデンの戦い]]や[[ヴァールブルクの戦い]]を戦った。この時、フェルディナントは軍務から離れるようにとの父の命令を拒み、大喧嘩をしている。2人の叔父で高名な将軍だった[[ルートヴィヒ・エルンスト・フォン・ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル|ルートヴィヒ・エルンスト]]と[[フェルディナント・フォン・ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル|フェルディナント]]は、公爵とは逆に甥を応援した。父と叔父達の対立の板挟みになったフェルディナントは、結局は北ドイツ諸邦の盟主である[[フリードリヒ2世 (プロイセン王)|フリードリヒ2世]]を味方に引き入れた父に敗れ、軍務から退いている。<br />
<br />
[[1764年]][[1月16日]]、カール・ヴィルヘルム・フェルディナントは[[ロンドン]]の[[セント・ジェームズ宮殿]]において、[[イギリス]]王[[ジョージ3世 (イギリス王)|ジョージ3世]]の姉[[オーガスタ・オブ・ウェールズ|オーガスタ]]と結婚した。2人の夫婦関係は王族にありがちな因習的で型にはまった形式的なものだった。間に生まれた2人の娘、[[アウグステ・カロリーネ・フォン・ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル|アウグステ・カロリーネ]]と[[キャロライン・オブ・ブランズウィック|カロリーネ・アマーリエ]]の結婚は、どちらも悲惨な失敗に終わった。息子4人のうち、末息子で4男の[[フリードリヒ・ヴィルヘルム (ブラウンシュヴァイク公)|フリードリヒ・ヴィルヘルム]]だけが身体的にも知的にもずば抜けて恵まれていて、1806年には父の後継者となった。[[1766年]]にイタリア旅行に出かけたフェルディナントは、同国でドイツ系女性マリア・アントーニア・フォン・ブランコーニと出会い、以後10年ほど愛人関係にあった。2人の間にはカール・アントン・フェルディナント（1767年 - 1794年）という息子も生まれ、フォルステンブルク伯爵（Graf von Forstenburg）の姓を与えられた。<br />
<br />
[[1773年]]、カール・ヴィルヘルム・フェルディナントは父の後を継いで、ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル侯（同時にブランシュヴァイク＝リューネブルク公の称号も受け継ぐ）となった。侯領の統治は始めのうちは上手くいった。政府による改革が成功したことで、小規模なヴォルフェンビュッテル侯領は繁栄した。イェルーザレムや教育学者[[ヨアヒム・ハインリヒ・カンペ]]の薫陶のおかげで、フェルディナントは典型的な[[啓蒙専制君主]]に育っていた。<br />
<br />
[[1777年]]、愛妾マリア・アントーニア・フォン・ブランコーニと別れたカール・ヴィルヘルム・フェルディナントは、ルイーゼ・フォン・ヘルテフェルトを新しい愛人にした。フェルディナントは妻オーガスタとは別居したまま、残りの30年をルイーゼと幸福に暮らした。フェルディナントの娘カロリーネ・アマーリエによれば、ルイーゼは「宮殿の中に住む者の中では、最も美しく最も賢い被造物」だった。<br />
<br />
しかし、カール・ヴィルヘルム・フェルディナントが真に情熱を注いでいたのは軍事だった。[[アメリカ独立戦争]]が起こった時、彼はイギリスを支援するため[[アメリカ独立戦争におけるドイツ|ブラウンシュヴァイク軍を派遣]]している。[[1787年]]、フェルディナントはプロイセンの元帥に就任、同年の夏に軍を引き連れて[[ヴェーゼル]]に進軍し、9月にはネーデルラントを占領した。総督の[[オランダ総督|オラニエ公]][[ウィレム5世 (オラニエ公)|ウィレム5世]]と夫人の[[ヴィルヘルミーネ・フォン・プロイセン (1751-1820)|ヴィルヘルミーネ]]は、同国で内戦が起きて以来苦境にあり、これを助けるためだった。総督夫妻の敵である「愛国派」は、占拠していた[[アムステルダム]]を逃れ、同市は[[10月10日]]にブラウンシュヴァイク公の軍隊に降伏した。[[ブランデンブルク門]]は、この時プロイセン王[[フリードリヒ・ヴィルヘルム2世 (プロイセン王)|フリードリヒ・ヴィルヘルム2世]]が自分の妹ヴィルヘルミーネと、彼女を救ったフェルディナント及び2万6000人の兵隊を歓迎するために築かせたものとされている。<br />
<br />
カール・ヴィルヘルム・フェルディナントは[[フランス革命戦争]]（第1次対仏大同盟戦争）においてプロイセン＝オーストリア連合軍の最高司令官に就任し、フランス革命軍を壊滅させるべく戦った。フェルディナントが[[1792年]][[7月25日]]に発表した粗末な文章の「[[ブラウンシュヴァイクの宣言]]」は、フランス王族に危害が加えられればパリ市民が報復を受ける、という威嚇であった。宣言文はテュイルリー宮殿襲撃事件（[[8月10日事件]]）を誘発し、結果として[[フランス第一共和政|フランス王制の破滅]]を招いた。[[ヴァルミーの戦い]]で敗北すると、フェルディナントは最高司令官から降格された。<br />
<br />
[[第四次対仏大同盟]]戦争中、プロイセン軍最高司令官となったカール・ヴィルヘルム・フェルディナントの愚かしい作戦計画や決断のせいで、プロイセン軍は後退を続けた。フェルディナントが伯父のフリードリヒ2世から受けた「プロイセン軍最高の元帥」という称賛は、既に前世紀の過去の遺物となり、老司令官の優柔不断さは非難の的になった。<br />
<br />
1806年[[10月14日]]、[[イエナ・アウエルシュタットの戦い]]を指揮していた時、フェルディナントはヘッセンハウゼン（現在の[[バート・ケーゼン]]）近郊で[[フランス元帥]][[ルイ＝ニコラ・ダヴー]]と交戦、銃弾を浴びて重傷を負った。勝利した[[ナポレオン・ボナパルト|ナポレオン]]率いるフランス軍から逃れるためフェルディナントは瀕死の状態で中立国家[[デンマーク]]の領域に逃れ、11月10日に[[オッテンゼン]]において、71歳で亡くなった。ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテルは中立を宣言したが、フランスに占領され、翌[[1807年]]にはフランスの衛星国[[ヴェストファーレン王国]]に取り込まれた。<br />
<br />
カール・ヴィルヘルム・フェルディナントの遺骸は[[ブラウンシュヴァイク聖堂]]に葬られた。長男カールは父の死の直前に亡くなり、次男のゲオルクと3男のアウグストは知的障害のために継承権を放棄していた。このため、ヴォルフェンビュッテルはフェルディナントの弟[[フリードリヒ・アウグスト (ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル＝エールス公)|フリードリヒ・アウグスト]]から[[オレシニツァ公国|エールス公領]]を相続していた末息子のフリードリヒ・ヴィルヘルムが継いだ。フリードリヒ・ヴィルヘルムはヴォルフェンビュッテル侯領を奪回すべく、ゲリラを率いてフランスと戦うことになる。<br />
<br />
== 人物 ==<br />
*フリーメイソンであり、「国民グランドロッジ」のグランドマスターを務めた{{sfn|湯浅慎一|1990|p=51/192}}。<br />
<br />
== 子女 ==<br />
妻オーガスタとの間に7人の子女があった。<br />
*[[アウグステ・カロリーネ・フォン・ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル|アウグステ・カロリーネ]]（1764年 - 1788年） - 1780年、[[ヴュルテンベルク]]公フリードリヒ（後の[[ヴュルテンベルク王国|ヴュルテンベルク]]王[[フリードリヒ1世 (ヴュルテンベルク王)|フリードリヒ1世]]）と結婚<br />
*[[カール・ゲオルク・アウグスト・フォン・ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル|カール・ゲオルク・アウグスト]]（1766年 - 1806年） - 公世子、1790年にオラニエ公[[ウィレム5世 (オラニエ公)|ウィレム5世]]の娘ルイーゼと結婚。父に先立って死去。<br />
*[[キャロライン・オブ・ブランズウィック|カロリーネ・アマーリエ]]（1768年 - 1821年） - 1795年、従弟に当たるイギリス王[[ジョージ4世 (イギリス王)|ジョージ4世]]と結婚<br />
*ゲオルク・ヴィルヘルム・クリスティアン（1769年 - 1811年）<br />
*アウグスト（1770年 - 1822年）<br />
*[[フリードリヒ・ヴィルヘルム (ブラウンシュヴァイク公)|フリードリヒ・ヴィルヘルム]]（1771年 - 1815年） - [[オレシニツァ公国|エールス公]]、ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル公（後に[[ブラウンシュヴァイク公国|ブラウンシュヴァイク公]]）<br />
*アメーリエ・カロリーネ・ドロテア・ルイーゼ（1772年 - 1773年）<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
{{reflist|1}}<br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
* {{Cite book|和書|author=[[湯浅慎一]]|date=1990|title=フリーメイソンリー その思想、人物、歴史|series = [[中公新書]]955|publisher=[[中央公論社]]|ISBN=978-4121009555|ref=harv}}<br />
* {{NDB|11|224|225|Karl Wilhelm Ferdinand|Joseph König}}<br />
* Selma Stern: ''Karl Wilhelm Ferdinand Herzog zu Braunschweig und Lüneburg'' (Veröffentlichungen der Historischen Kommission für Hannover, Oldenburg, Braunschweig, Schaumburg-Lippe und Bremen, Bd. 6), Hildesheim/Leipzig 1921<br />
* Paul Zimmermann: ''Abt Jerusalems Berichte über die Erziehung der Kinder Herzog Karls I., insbesondere des Erbprinzen Karl Wilhelm Ferdinand'', in: Jahrbuch des Geschichtsvereins für das Herzogtum Braunschweig 5 (1906) 129-164 <br />
* {{ADB|15|272|280|Karl Wilhelm Ferdinand, Herzog zu Braunschweig und Lüneburg|Paul Zimmermann|ADB:Karl Wilhelm Ferdinand}}<br />
<br />
{{s-start}}<br />
{{s-bef | before=[[カール1世 (ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル公)|カール1世]]}}<br />
{{s-ttl | title=[[ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル侯領|ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル]][[ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル君主一覧|公]]|years=1773年 - 1806年}}<br />
{{s-aft | after=[[フリードリヒ・ヴィルヘルム (ブラウンシュヴァイク公)|フリードリヒ・ヴィルヘルム]]}}<br />
{{end}}<br />
<br />
{{normdaten}}<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:かある ういるへるむ ふえるていなんと ふらうんしゆうあいく}}<br />
[[Category:ブラウンシュヴァイク＝リューネブルク公]]<br />
[[Category:ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル侯]]<br />
[[Category:ブラウンシュヴァイク＝ベーヴェルン家]]<br />
[[Category:プロイセンの元帥]]<br />
[[Category:フリーメイソン]]<br />
[[Category:七年戦争の人物]]<br />
[[Category:フランス革命戦争の人物]]<br />
[[Category:ナポレオン戦争の人物]]<br />
[[Category:戦死した人物]]<!--戦傷死者を含むカテゴリ--><br />
[[Category:1735年生]]<br />
[[Category:1806年没]]</div>
219.126.101.239
ピウス7世 (ローマ教皇)
2017-10-18T14:18:18Z
<p>219.126.101.239: </p>
<hr />
<div>{{Infobox 教皇<br />
| 敬称1 =<br />
| 日本語名 = ピウス7世<br />
| 敬称2 = <br />
| タイトル = 第251代ローマ教皇<br />
| 画像 = [[Image:Jacques-Louis_David_018.jpg|250px]]<br />
| 画像説明 = [[ジャック＝ルイ・ダヴィッド|ダヴィッド]]によるピウス7世の肖像画。（[[1805年]]）<br />
| 就任 = [[1800年]][[3月14日]]<br />
| 離任 = [[1823年]][[8月20日]]<br />
| 先代 = [[ピウス6世_(ローマ教皇)|ピウス6世]]<br />
| 次代 = [[レオ12世_(ローマ教皇)|レオ12世]]<br />
| 司祭 = <br />
| 司教 = <br />
| その他 =<br />
| 本名 = ジョルジョ・バルナバ・ルイジ・キアラモンティ<br/>(Giorgio Barnaba Luigi Chiaramonti)<br />
| 生年月日 = [[1742年]][[8月14日]]<br />
| 生地 = {{ITA}}、[[教皇領]]、[[チェゼーナ]]<br />
| 没年月日 = {{死亡年月日と没年齢|1742|8|14|1823|8|20}}<br />
| 没地 = {{ITA}}、[[ローマ]]<br />
| 埋葬地 = <br />
| 原国籍 = <br />
| 宗派 = <br />
| 居住地 = <br />
| 親 = <br />
| 妻 = <br />
| 子 = <br />
| 母校 = <br />
| 署名 = <br />
| 曖昧 = ピウス<br />
}}<br />
<br />
'''ピウス7世'''（'''Pius VII'''、[[1742年]][[8月14日]] - [[1823年]][[8月20日]]）は第251代[[ローマ教皇]]（在位：[[1800年]][[3月14日]]-[[1823年]][[8月20日]]）、[[カトリック教会]]の[[司祭]]。本名、'''ジョルジョ・バルナバ・ルイジ・キアラモンティ'''（Giorgio Barnaba Luigi Chiaramonti）。ナポレオンと激しく対立して幽閉されるも、結果的に欧州外交界において[[教皇領|教皇庁]]の地位を高めることになった。<br />
<br />
== 生涯 ==<br />
ルイジ・キアラモンティは[[1742年]]に[[イタリア]]の[[チェゼーナ]]で貴族の家に生まれた。[[ラヴェンナ]]で学び、[[1756年]]に[[ベネディクト会]]に入会した。彼は同郷の友人であったジョヴァンニ・ブラスキが教皇職につくための援助を惜しまず、その功によって教皇[[ピウス6世 (ローマ教皇)|ピウス6世]]となったブラスキからローマのサン・カリスト修道院院長、[[司教]]、そして[[枢機卿]]に任命された。<br />
<br />
[[1799年]]にピウス6世が没したため、[[コンクラーヴェ]]が行われた。三ヶ月にわたって紛糾した選挙の末に選ばれたのはキアラモンティであり、彼は友人であった前任者の名前を引き継いでピウス7世を名乗った。<br />
<br />
ピウス7世が教皇としてまず取り組まなければならなかったのはカトリック教会と世俗国家の関係修復であった。当時は[[ガリカニスム]]、[[フェブロニウス主義]]などが盛んで反教会的な雰囲気が最高潮に達していた。彼は手始めにフランスの第一執政であった[[ナポレオン・ボナパルト]]と折衝を開始し、[[1801年]]に[[コンコルダート]]を成立させることで、[[フランス革命]]以来断絶していたフランス政府とカトリック教会の関係が公式に修復された。彼の外交面での成功には右腕となった枢機卿[[エルコール・コンサルヴィ]]の働きが大きかった。<br />
<div class="thumb tleft" ><br />
<gallery widths="200px" heights="200px" mode="packed" caption="[[ジャック＝ルイ・ダヴィッド|ダヴィッド]]「[[ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠|ナポレオンの戴冠]]」"><br />
画像:Jacques-Louis David 006-crop.jpg|中央の帝冠を手にしているのが[[ナポレオン・ボナパルト|ナポレオン1世]]。その右に座って白の[[カロッタ]]とカズラをまとっているのが教皇ピウス7世。<br />
File:Jacques-Louis David 015.jpg|拡大<br />
</gallery><br />
</div><br />
しかし[[1804年]]にナポレオンの[[戴冠式]]に招かれてフランスを訪れたピウス7世は、政府が教会を支配するシステムが確立していることに愕然とし、ナポレオンが教皇の権威を政治的に利用している現実に直面した。このときのピウス7世の心情は、[[ジャック＝ルイ・ダヴィッド]]の傑作「[[ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠|ナポレオンの戴冠]]」でナポレオンの後ろに座っているピウス7世の渋い表情によくあらわされている。<br />
<br />
以後、教会を利用しつくそうとするナポレオンと教皇の関係は急速に悪化し、ナポレオンが[[教皇領]]を接収するにおよんでピウス7世はナポレオンを[[破門]]。[[1809年]]、ナポレオンはこれに応えてピウス7世を北イタリアの[[サヴォーナ]]に監禁した。ナポレオン退位後、[[1814年]]にようやく[[ローマ]]へ戻った教皇を市民は歓呼をもって迎えた。<br />
<br />
ピウス7世と教皇庁の地位はヨーロッパ諸国においても認知されるものとなり、[[ウィーン会議]]では教皇領の復活が認められた。ピウス7世は23年の在位期間において1814年の[[イエズス会]]の復興、ロシアとプロシアとのコンコルダートの締結など多くの成果を残した。<br />
<br />
ピウス7世は任期の前半においてナポレオンと激しく対立したが、ナポレオン没落後は一族をローマにかくまったり、臨終のナポレオンのために[[セント・ヘレナ島]]に司祭を派遣したりする粋な一面も見せている。<br />
<br />
{{Commons|Pius VII}}<br />
<br />
{{ローマ教皇|第251代: 1800年-1823年}}<br />
{{デフォルトソート:ひうす07}}<br />
[[Category:教皇|ひうす07]]<br />
[[Category:ナポレオン戦争の人物|ひうす7]]<br />
[[Category:チェゼーナ出身の人物]]<br />
[[Category:1742年生|ひうす7]]<br />
[[Category:1823年没|ひうす7]]</div>
219.126.101.239
ミハイル・クトゥーゾフ
2017-10-18T13:38:59Z
<p>219.126.101.239: /* 参考文献 */</p>
<hr />
<div>{{Otheruses|帝政ロシアの軍人|この人物に因んだ軍艦|ミハイル・クトゥーゾフ (軽巡洋艦)}}<br />
[[ファイル:Kutuzov1.jpg|thumb|200px|ミハイル・クトゥーゾフ]]<br />
'''ミハイル・イラリオーノヴィチ・ゴレニーシチェフ＝クトゥーゾフ公爵'''（{{翻字併記|ru|Михаил Илларионович Голенищев-Кутузов|Mikhail Illarionovich Golenishchev-Kutuzov|区=、}}、[[1745年]][[9月16日]]〈[[ユリウス暦]]9月5日〉 - [[1813年]][[4月28日]]〈ユリウス暦4月16日〉）は、[[ロシア帝国|帝政ロシア]]時代の[[軍人]]。[[エカチェリーナ2世]]、[[パーヴェル1世]]、[[アレクサンドル1世]]の3代にわたって仕え、[[外交官]]としても活躍した。<br />
<br />
== 生涯 ==<br />
<br />
[[ファイル:Kutuzov fili.jpg|right|thumb|250px|モスクワ明け渡しを決断するクトゥーゾフ（Alexey Danilovich Kivshenko画）]]<br />
1745年、ロシア帝国の首都[[サンクトペテルブルク]]の軍人の家に生まれる<ref name=sotokawa>[[#外川|外川（2004）]]</ref>。父親も[[ピョートル1世|ピョートル大帝]]に仕えた軍人であり、家系は帝政ロシアで重きを成した[[ジョチ・ウルス]]系モンゴル貴族の系譜のひとつであり、姓のクトゥーゾフは[[テュルク]]系の姓である<ref group="注釈">クトゥーゾフは[[マムルーク朝]]第3代スルタンの[[ムザッファル・クトゥズ]]の"クトゥズ"と同一起源である。</ref>。<br />
<br />
[[1757年]]、貴族砲兵学校に入学。14歳で軍隊入りした。砲兵学校卒業後は母校の[[数学]]の教官を務めている<ref name=sotokawa/>。[[バール連盟|対ポーランド戦争]]や[[露土戦争|対トルコ戦争]]に従軍し、勇名を挙げた。[[1774年]]、[[オスマン帝国]]との戦争（[[露土戦争 (1768年-1774年)|第一次露土戦争]]、[[1768年]]-[[1774年]]）で右目を失っている<ref name=sotokawa/>。[[隻眼]]の軍人としては同時代に[[イギリス]]の[[ホレーショ・ネルソン (初代ネルソン子爵)|ホレーショ・ネルソン]]提督がいる。<br />
<br />
エカチェリーナ2世時代の[[露土戦争 (1787年-1791年)|第二次露土戦争]]（[[1787年]]-[[1791年]]）では、名将[[アレクサンドル・スヴォーロフ]]将軍の配下としてオスマン帝国側の重要戦略拠点である[[イズマイール|イズマイル要塞]]（現[[ウクライナ]][[オデッサ州]]）攻撃に加わった。クトゥーゾフは5度におよぶ要塞の稜堡に対する果敢な攻撃で、[[1790年]]12月、イズマイル要塞を陥落させ、スヴォーロフより賞された<ref name=sotokawa/>。その後、[[1802年]]には[[予備役]]となったが、[[1805年]]の[[第三次対仏大同盟]]で現役に復帰した。<br />
<br />
1805年の対[[フランス]]戦争ではロシア・[[オーストリア]]連合軍の総司令官として、[[ナポレオン・ボナパルト|ナポレオン1世]]が率いるフランス軍と戦うが、[[アウステルリッツの戦い]]で敗北。この後、地方の知事職に左遷されたが、[[1806年]]にはじまる対トルコ戦（[[1806年]]-[[1812年]]）では[[モルダビア]]軍の総司令官として再び軍功を挙げ、ロシアに有利な[[ブカレスト条約]]の締結に貢献した。<br />
<br />
ナポレオンの[[1812年ロシア戦役|ロシア遠征]]（[[1812年]]）が始まると、総司令官[[ミハイル・バルクライ・ド・トーリ]]の[[焦土作戦]]・退却作戦に批判が高まり、[[8月20日]]、[[世論]]に推されるかたちで、67歳となったクトゥーゾフが後任の総司令官に就任した<ref name=kuramochi125>[[#倉持|倉持（1994）pp.125-128]]</ref><ref name=wada>[[#和田|和田（2001）pp.89-92]]</ref>。バルクライは決して無能ではなかったが、軍内部であまり人望がなく、一般国民のあいだでは無名に等しかった<ref name=kuramochi125/>。かつての英雄クトゥーゾフの総司令官就任は全軍の志気を一気に高めたといわれている<ref name=kuramochi125/>。また、ロシア軍が国民の愛国心に訴えた結果、ロシアじゅうから[[義勇兵]]が集まり、戦争に参加した<ref name=dohi53>[[#土肥|土肥（2009）pp.53-54]]</ref>。クトゥーゾフの着任後、露仏両軍はロシア中部、[[モスクワ]]の西112キロメートルの[[ボロジノ]]（[[モスクワ州]]）で激突した（[[ボロジノの戦い]]）。[[8月26日]]の大戦闘では両軍ともに甚大な被害を出した<ref name=dohi53/>。損失は、ナポレオン軍2万5,000人、ロシア軍7万人であった<ref name=wada/>。この戦いで、ロシア軍が退却を余儀なくされるいっぽう、フランス軍も決定的な勝利を得るには至らなかった<ref name=wada/>。『[[戦争論]]』で有名な[[カール・フォン・クラウゼヴィッツ]]はこの戦いについて、「クトゥーゾフはボロジノで勝てるとは考えていなかったが、宮廷勢力、軍隊、ロシア国民の声が彼に会戦を強要した」と書き記している<ref name=kuramochi125/>。クトゥーゾフは（ナポレオンもまた）、公式文書においては自軍の勝利であると発表した<ref group="注釈">ナポレオンはボロジノの戦いについて、流刑地の[[セントヘレナ島]]で、「自分の生涯で最も凄惨な戦いだった」と回想している。[[#倉持|倉持（1994）p.126]]</ref>。<br />
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[[ファイル:Kazanskiy.jpg|left|thumb|300px|サンクトペテルブルクの[[カザン聖堂]]（[[19世紀]]末-[[20世紀]]初頭の古写真）]]<br />
[[ファイル:Koetoezov_kazan.jpg|thumb|250px|right|[[サンクトペテルブルク]]の[[カザン大聖堂]]にあるクトゥーゾフの銅像。]]<br />
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その後クトゥーゾフは、バルクライと同様に退却を強行、聖都モスクワの明け渡し策に出た<ref name=wada/>。クトゥーゾフはこのとき「モスクワを失ってもロシアを失うわけではない。しかし軍隊が全滅すれば、モスクワとロシアが滅びる」と述べ、周囲を説得している<ref name=kuramochi125/><ref name=dohi53/>。この作戦は、モスクワを放棄し、ひたすらフランス軍の自滅を待つというもので、これにより27万5,000人のモスクワ市民の[[疎開]]が始まった<ref name=dohi53/>。11万のナポレオン軍は、[[人口]]わずか1万人ほどとなったモスクワに無血入城を果たしたが、市内各所には火がかけられ、全モスクワの3分の2が廃墟と化した<ref group="注釈">市内への放火はモスクワ総督[[ロストプチン]]の命によっておこなわれた。[[#和田|和田（2001）p.90]]</ref>。クトゥーゾフは南方からモスクワを包囲して、ナポレオン軍の糧道を断った<ref name=kuramochi125/>。35日間のモスクワ滞在では、冬の到来により周囲より孤立し、また、深刻な食糧難に陥り、さらに、モスクワ市外からのロシア軍の絶え間ない攻撃に苦しんだ<ref name=dohi53/>。ロシア皇帝[[アレクサンドル1世]]は、3度にわたって和平交渉を求めるナポレオンに対し、「わたしは祖国の恥に調印するよりは、ヒゲをのばして、わが農民たちと一緒にジャガイモを食べることに同意する方がましだ」と述べて、これを拒否している<ref name=dohi53/>。<br />
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根負けしたナポレオンが、ついに退却を始めると、クトゥーゾフは執拗な追撃戦を敢行し、フランス軍の撃退に成功した。ロシア軍のみならず農民[[パルチザン]]が追い打ちをかけ、ナポレオンがロシア領内を出たときには敗残兵3万をのこすのみとなっていた。この功績により、「[[スモレンスク]]公」の称号を授けられる。翌年もフランスへ侵攻するロシア軍の指揮を執ったが、[[ブンツラウ]]{{enlink|Bolesławiec}}（現[[ポーランド]]）にて病没した。67歳であった。クトゥーゾフは、ナポレオンを完全に失脚させることについては終始懐疑的で、「戦いの成果は、ロシアあるいは大陸の他のいかなる国のものともならず、すでに海洋を支配している国のものとなるだろう。その国の覇権は容認できない」と述べていたといわれ、「ヨーロッパの解放者」としてナポレオン後のヨーロッパの国際秩序確立に主導権を発揮したい皇帝アレクサンドル1世とは考えが食い違っていた<ref name=kuramochi129>[[#倉持|倉持（1995）pp.129-130]]</ref>。<br />
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彼の死後、帝都[[サンクトペテルブルク]]の[[ネフスキー大通り]]中央にある[[カザン聖堂]]には、壊滅した[[フランス軍]]の[[軍旗]]が奉納され、クトゥーゾフの遺体が安置された<ref group="注釈">カザン聖堂は[[1801年]]に竣工し、[[1811年]]に完成した[[ロシア正教会]]の[[大聖堂]]である。</ref>。カザン聖堂は、帝政ロシアにとっては[[祖国戦争]]勝利を記念する建造物となったのである<br />
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== 評価 ==<br />
軍事の天才といわれるナポレオンに黒星をつけた数少ない人物の一人であるが、彼に対する評価はまちまちである。<br />
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[[ソビエト連邦]]時代の[[ヨシフ・スターリン]]は、[[独ソ戦]]（[[大祖国戦争]]）のさなかクトゥーゾフを「国民的英雄」と位置づけ、「クトゥーゾフ勲章」という彼の名を冠した[[勲章]]を設けた<ref>[[#戦争用語事典|戦争用語事典（1998）p.399]]</ref>。その一方で、クトゥーゾフは消極的で臆病な老軍人にすぎない、あるいは、みすみすナポレオンを逃がした無能者であると非難されることがある。<br />
<br />
クトゥーゾフが退却するフランス軍に大規模な攻撃を仕掛けなかったのはなぜか。そもそもロシア軍の焦土作戦自体が計画的なものであったのか、偶発的なものにすぎなかったのかなど、ナポレオンのロシア遠征時におけるロシア側の作戦構想については、現在でもさまざまな意見が交わされている。ただ、クトゥーゾフやバルクライが実施した作戦は、前世紀にはピョートル大帝が[[大北方戦争]]で、次世紀にはソビエト赤軍が大祖国戦争で同様の作戦で成功を収めていることもあり、広大な領土を利用したロシア式戦法の一例として一定の評価が与えられている。<br />
<br />
クトゥーゾフは、皇帝3代にわたって仕えた宿将であるが、アレクサンドル1世とは折り合いが悪かった。アウステルリッツでは名ばかりの司令官に格下げされ、作戦上の進言も軽視された。また1812年、彼の総司令官への抜擢にあたっては、アレクサンドル本人はかなり渋っていたといわれる。<br />
<br />
かなりの[[肥満]]体質で、女癖も悪かったといわれている。同時代人からも揶揄されるのは、こうした風評や外見にも起因していると思われる。その一方、世論の後押しで総司令官に抜擢されたように、兵士や一般国民からの人気は高かった<ref name=kuramochi125/>。<br />
<br />
[[レフ・トルストイ]]の小説『[[戦争と平和]]』では、主要人物として登場し、高い評価が下されている。[[オードリー・ヘプバーン]]、[[ヘンリー・フォンダ]]主演の[[1956年]]のアメリカ映画『[[戦争と平和 (1956年の映画)|戦争と平和]]』では[[オーストリア]]出身の[[オスカー・ホモルカ]]がクトゥーゾフを演じている。<br />
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== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
=== 注釈 ===<br />
{{Reflist|group=注釈}}<br />
=== 出典 ===<br />
{{Reflist|2}}<br />
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== 参考文献 ==<br />
* {{Cite book|和書|author=[[倉持俊一]]|chapter=アレクサンドル1世の時代|editor=[[田中陽兒]]・倉持俊一・和田春樹（編）|year=1994|month=10|title=世界歴史大系 ロシア史2|publisher=[[山川出版社]]|series=|isbn=4-634-46070-x|ref=倉持}}<br />
* {{Cite book|和書|author=|chapter=戦争用語事典「クトゥーゾフ」|editor=[[新人物往来社]]（編）|year=1998|month=6|title=別冊歴史読本71 世界「戦史」総覧|publisher=新人物往来社|series=事典シリーズ36|isbn=|ref=戦争用語事典}}<br />
* {{Cite book|和書|author=[[和田春樹]]|chapter=|editor=|year=2001|month=4|title=ヒストリカルガイド ロシア|publisher=山川出版社|series=|isbn=4-634-64640-4|ref=和田}}<br />
* {{Cite book|和書|author=[[外川継男]]|chapter=クトゥーゾフ|editor=[[小学館]]（編）|year=2004|month=2|title=日本大百科全書|publisher=小学館|series=スーパーニッポニカProfessional Win版|isbn=4099067459|ref=外川}}<br />
* {{Cite book|和書|author=[[土肥恒之]]|chapter=|editor=|year=2009|month=2|title=図説 帝政ロシア|publisher=河出書房新社|series=ふくろうの本|isbn=978-4-309-76124-4|ref=土肥}}<br />
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{{Normdaten}}<br />
{{デフォルトソート:くとううそふ みはいる}}<br />
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[[Category:サンクトペテルブルク出身の人物]]<br />
[[Category:1745年生]]<br />
[[Category:1813年没]]</div>
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