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miniwiki - 利用者の投稿記録 [ja]
2024-05-24T05:15:33Z
利用者の投稿記録
MediaWiki 1.31.0
医師
2018-08-01T12:15:24Z
<p>42.150.148.221: /* 外部リンク */</p>
<hr />
<div>{{出典の明記|date=2017年12月}}<br />
{{Infobox Occupation<br />
|name=医師<br />
|image=[[File:The Doctor Luke Fildes crop.jpg|300px]]<br />
|caption=[[:en:Luke Fildes|Luke Fildes]] (1843–1927)が描いた医師 <ref>In 1949, Fildes' painting ''The Doctor'' was used by the [[American Medical Association]] in a campaign against a proposal for nationalized medical care put forth by President [[Harry S. Truman]]. The image was used in posters and brochures along with the slogan, "Keep Politics Out of this Picture" implying that involvement of the government in medical care would negatively affect the quality of care. 65,000 Posters<!--The first letter of the first word of a sentence or title is capitalized.--> of ''The Doctor'' were displayed, which helped to raise public skepticism for the nationalized healthcare campaign. [http://correspondents.theatlantic.com/abraham_verghese/2009/06/the_ama_conflicted_in_its_interests.ph]{{dead link|date=October 2012}}</ref><br />
| official_names= Physician, medical practitioner, medical doctor or simply ''doctor''<br />
|type=Professional<br />
|activity_sector=[[医療]],[[保健]]<br />
|competencies=医療倫理、医療技術、分析的思考<br />
|formation=[[Bachelor of Medicine, Bachelor of Surgery]](MBBS), [[Doctor of Medicine]](MD), [[Doctor of Osteopathic Medicine]](DO)<br />
| employment_field = [[診療所]],[[病院]]<br />
| related_occupation =[[総合診療医]](家庭医), 外科医、歯科医、その他専門医<br />
|average_salary=}}<br />
[[File:Typhoid inoculation2.jpg|thumb|right|260px|医師が腸チフスの[[予防接種]]を行っているところ。(1944年)]]<br />
[[File:Afghanistan - cardiopulmonary resuscitation.jpg|thumb|right|180px|アフガニスタンで[[救急医療]]を行っている医師(2010年)]]<br />
'''医師'''(いし、{{lang-en-short|doctor}})とは、[[医療]]および[[保健|保健指導]]を司る[[医療従事者]]。[[医学]]に基づく[[傷病]]の[[予防]]、[[診療]]および[[公衆衛生]]の普及を責務とする。<br />
<!--<br />
勝手に日本の記事にすると方向を決めるのは、ルール違反。ゆっくりとした改良でもよいので、基本的に、世界の医師について記述するようにすべし。<br />
<br />
以下「海外の医師制度」節以外では、特記しない場合日本の医師についての記述とする。--><br />
<br />
[[アメリカ合衆国|米国]]では、伝統的に医師は[[アメリカ英語|英語]]で「''{{en|physician}}''」と称される。また、専門分野ごとに「[[内科医]] (''physician'')」と呼ばれたり「[[外科医]] (''surgeon'')」と呼ばれたりもする。欧米で医師の一般名称「''physician''」に対して外科医だけが「''surgeon''」と呼ばれている理由は、[[中世]]より「[[内科学]]」=「[[医学]]」とされており、「内科医」=「医師」であったことによる。「外科医」の仕事は初期の頃は[[理容師]]によって行われ、医療補助職として扱われており、現在での[[義肢装具士]]や[[理学療法士]]等のような存在であったことから、別の名称があてられることになった。すなわち医師である内科医が[[診察]][[診断]]を行いその[[処方箋|処方]]に基づいて理髪師(外科医)が外科的治療を[[薬剤師]]が内科的治療([[投薬]])をそれぞれ行うという建前であった。しかし時代が進むにつれ外科医も薬剤師も独自に治療を行うようになり彼らも医者とみなされるようになっていった。その他に、[[フランス語]]では ''médecin''(メドゥサン)、[[ドイツ語]]では ''Arzt''(アルツト)である。<br />
<br />
また、[[博士]]の学位を持っていない医師までも ''doctor'' と呼ぶことは、日本、[[イギリス|英国]]、[[オーストラリア]]、[[ニュージーランド]]、等で行われている。ただし、[[イギリス連邦|英連邦]]諸国では、外科医は、学位にかかわらず、今日なお「ミスター」で、「ドクター」とは呼ばない。本来なら「''master'' = [[修士]]」のさらに上にある学位の名称である「''doctor'' = 博士」が、転じて医師の名称としても用いられるようになったのは、「医師制度」の発展してきた歴史的背景および免許取得過程上要求された[[学位]]が関係している、とされている。<br />
<br />
今日の[[日本]]では、一般に「お医者さん」「医者」「ドクター」「先生」と呼ばれるが「医師」という名称が確立されて一般に広く使われるようになるのは、[[明治]]以後のことである。<br />
<br />
一般に、適切な診療能力を持たず、治療にならないことをしたり誤診をしたり[[医療過誤]]を引き起こしたりする医師は[[藪医者]](''quack'')と呼ばれている。<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
{{Seealso|医学と医療の年表}}<br />
[[File:Medicine aryballos Louvre CA1989-2183.jpg|thumb|right|260px|医師と患者が描かれた[[古代ギリシア]]の壺(紀元前480~470年頃のもの)]]<br />
古代には[[病気]]というものに対して[[悪魔]]や[[神]]によるもの等と信じられていたため「医師」という職業は世界各地で現在でも[[宗教]]と密接に関わっているものが多い。<br />
<br />
西洋において「医」の象徴とされているのは[[ギリシア神話]]に登場する[[アスクレーピオス|アスクレピオス]]である。アスクレピオスの杖は[[世界保健機関|WHO]]を含めて世界各国で「医」の象徴として用いられている。<br />
<br />
現在の西洋では、医師の社会的地位は比較的高いが、古代においてはそうではなかった。<br />
[[古代ギリシア]]においては、医師は自由市民であるとは限らず、奴隷である医師もいた。自由市民は自由市民の医師が診察し、[[奴隷]]は奴隷である医師が診察した。また[[古代ローマ]]においても、[[市民権]]は与えられたといわれるものの、医師の地位は高くなかった。これはローマにおいて往々に医師が被征服民のギリシア人が多く、更には奴隷階級とされた者も多かったためと考えられている。医師の社会的地位が高くなったのは[[中世]]のヨーロッパにおいてである。人の命に関わる重要な職業なので、[[専門職]]として特別な地位を与え、それに応じた責任が求められるようになった。<br />
<br />
西洋においては、内科が知識主義に基づいて伸長したのに対し、外科は[[経験主義]]を基礎に伸長した。初期には[[床屋]]などから外科医となるものが多かった。<br />
<br />
[[image:71 ban shokunin utaawase 34th right kusushi.png|thumb|right|260px|『[[七十一番職人歌合]]』三十四番に描かれた[[室町時代]]の薬師(くすし)]]<br />
東洋において「医」の象徴とされているのは一般に[[薬師如来]]が知られているように、[[日本]]においては「薬師(くすし)」と呼ばれた[[和漢薬]]の専門家が医師の起源となる。当時の薬学である[[本草学]]に基づき生薬を用いて診療を行った。日本の[[漢方医学]]は[[中国]]の漢方医学とは[[16世紀]]頃分かれて独自の道を歩いている。[[律令制]]においては、[[典薬寮]]の下に官職としての[[医師 (律令制)|「医師」]]が置かれた他、[[大宰府]]や[[令制国]]にも医師が派遣されていた。<br />
<br />
[[江戸時代]]においては[[士農工商]]の工に当たるとされたが、[[御典医]]などは士分に準ずる扱いを受けることもあった。明治時代、[[西洋医学]]を日本に導入するため西洋から医者を招いた。また「医師」という呼称が用いられるようになったのは[[明治時代]]に入ってからである。それ以前は「医者」と呼んでいた。<br />
<br />
日本では[[明治維新]]後の[[1874年]]、医師を免許制とする制度が導入され、[[1876年]]には新たに免許を受けようとするものは洋方六科試験合格が必要となることが[[内務省 (日本)|内務省]]から通達され、[[漢方医]]を志す医師であっても西洋医学を学ぶことが必須とされるようになったが<ref>{{Cite journal|和書|author=長与健夫|year=1997|title=医学教育制度の変革・漢方から洋学へ:浅井国幹と長与専斎の相剋を中心にして|journal=日本医史学雑誌|volume=43|issue=4|pages=p.p.92-95}}</ref>、[[中華人民共和国|中国]]や[[大韓民国|韓国]]ではそれぞれ[[中医師]]、[[韓医師]]という医師とは別の資格が並立している。<br />
<br />
== 世界各国の医師制度 ==<br />
=== 米国 ===<br />
{{Main2|医師免許取得過程|アメリカの医学教育}}<br />
{{Seealso|[[:en:Physicians in the United States]]}}<br />
<br />
[[アメリカ合衆国の医療|米国]]では、他の分野と同様に全ての医療関連免許はそれぞれの[[州]]が交付する日本のように医師免許があれば事実上すべての[[診療科]]を行うことができるというものではなく、各診療科ごとの[[専門医]]資格を必要としている。また手術手技や診療に関しても段階が存在し、高度な医療を行うにあたってもまた別にその専門医資格を必要としている。 現在各州において医師免許に定年制度は設けられていない、専門医資格は3~4年に1回、指定された講義単位数や実績を前提に更新が行われている。<br />
<br />
=== 英国 ===<br />
{{Seealso|イギリスの医療#医学教育}}<br />
[[英国]]では、日本のように「医師」であれば事実上すべての[[診療科]]を行うことができるということはなく、各診療科ごとに専門医資格が必要とされている。また「[[総合診療医]]([[家庭医療]]/一般医療: ''general practice'')」と「病院医(専門医療)」とが厳格に区別され、それぞれ専門領域として独立している<ref name=nhscarrier />。<br />
<br />
英国の大学[[医学部]]はすべて公立([[バッキンガム大学]]のみ私立と位置付け)で、伝統的に[[大学]]の権威が高く認められているため、医師資格の[[国家試験]]は存在せず、各大学の「卒業試験」に合格し卒業することで「医師免許」が与えられる。留年は認められていないため、中退者も少なくない。<br />
<br />
日本と同様に、高校卒業後に大学医学部に入学となるが、英国の大学入学には「[[一般教育修了上級レベル|A-Level]]」という統一試験があり、その成績と面接・書類審査等で厳重に行われ各大学の医学部入学となる。医学部は約5年制で、各大学ごとに様々なカリキュラムが組まれている。卒業後は2年間の[[臨床研修]]が義務付けられ、その後に専門とする診療科を選択する<ref name="nhscarrier">{{Cite web|publisher=国民保健サービス |title=Training to become a doctor |url=http://www.nhscareers.nhs.uk/explore-by-career/doctors/training-to-become-a-doctor/ |accessdate=2015-08-01 }}</ref>。ここで大きく「[[総合診療医]](''general practice'')」と「病院医(専門医療)」とに進路は選択され、それぞれ研修が行われる<ref name=nhscarrier />。そして研修終了の後にそれぞれ[[総合診療医|総合診療認定医]]、専門認定医の試験があり、合格して初めて「医師」としての独立した診療行為が許されている。<br />
<br />
一般的に医師免許はその国の中でしか通用しないが、英国の医師免許は[[ニュージーランド]]などの[[イギリス連邦]]加盟国や[[植民地]]でも通用する。<br />
<br />
英国の植民地の住民が医師を目指す場合には英国の医大に入学する場合が多い。特に医大のような高等教育機関を持たない植民地の場合はイギリス本国か[[イギリス連邦]]加盟国の医大へ行くしかない。このように、英国の医師免許は国際免許のような性格を持っているため、シンガポールやブルネイなどの経済的に豊かな小国で医師を目指す人間が英国の医大に入学して医師になる場合が非常に多い。<br />
<br />
このため、[[イギリス連邦]]なら絶海の孤島であっても医師の質が比較的高い場合が多い。 [[香港]]などでは返還前はイギリスの医師免許を持った医師しか医業を行えなかったが、返還後の現在ではイギリスと中国の両方の医師免許が通用する。<br />
<br />
=== ドイツ ===<br />
[[ドイツの医療|ドイツ]]でも、日本のように「医師」であれば事実上すべての[[診療科]]を行うことができるということはなく、各診療科ごとに専門医資格が必要とされている。<br />
<br />
ドイツの医師国家試験は4段階の試験が存在する。まず日本と同様に中等教育修了後に[[大学]][[医学部]]に進学でき、そこで約6年間の医学教育を受けるが、医学部での勉強と医師国家試験は平行して行われ、医師免許取得後にも医学部で医学教育を受ける必要がある。<br />
<br />
まず医学部在学2年目で「Physikum(教養試験)」(教養科目)と呼ばれる[[自然科学]]系国家資格の統一試験がある。それに合格するとまた1年後に「Das erste Staatsexamen(第一次国家試験)」(基礎医学)と呼ばれる試験があった。これに合格し約2年後に「Das zweite Staatsexamen(第二次国家試験)」(臨床医学)と呼ばれる試験があった。これに合格すると最終学年時に、1年間の[[病院]]での[[臨床研修]]が義務付けられている。最後に「Das dritte Staatsexamen(第三次国家試験)」と呼ばれる試験があり、これに合格して初めて「研修医 (AIP:Arzt im Praktikum)」という免許が与えられた(現在は研修医という制度がなくなり、医師免許が発行される)。このほかにFamulaturという合計4か月の実習がPhysikum合格後、最終学年前までに義務付けられている。これは医学部の正規の教育課程で行われることではないため、大学の休み期間に学生自らで行う。現在ではPhysikumの後、3年勉学後、1年間の病院実習を行い国家試験に合格後、医師免許を習得できるように制度が改変された。またこの間大学医学部での医学の勉強は同時並行となり、[[ドイツ]]の医学生はまた別に大学での[[単位]]の取得が必要とされているが大学によってはと[[卒業論文]]の製作を求めているところもある。そしてこの「医師免許」と「卒論」の二つが揃って初めて大学では[[卒業]]が認められ、[[学位]]が授与される。卒業論文の代わりに博士論文を書く学生もいる。この場合、博士論文が認定されると、「博士」の学位を授与される。<br />
<br />
また医師免許があったとしても医師としての活動が許されているわけではなく、歴史ある医学大国として各「[[医師会]]」の権威が大きく、また何年かの[[臨床研修]]を受け各医師会、の専門医試験に合格しないと診療科を標榜することが許されない。開業する場合、専門医試験に合格していない場合、公的健康保険に対して診療報酬は請求できない。また専門医資格の中に「一般医学(家庭医)」という専門資格も存在し、一般開業医はこの専門医資格が必要とされている。<br />
<br />
またドイツ国内においては[[1999年]]から医師の[[定年制]]が施行され、68歳になると保険医療を行うことはできなくなった。またそれによって定年後の医師の生活を支える目的で「医師老齢年金制度」という[[社会保障制度]]が存在する。<br />
<br />
=== 中国 ===<br />
[[中華人民共和国|中国]]では、西洋医学を中心として学ぶ医学部と、[[中医学]]を専門に勉強する中医学部に分かれる。西洋医学部を卒業し1年のインターンを経ることで医師免許受験資格を与えられ、中医学部を卒業し1年のインターンを経ることで中医師免許受験資格を与えられる。日本との違いは、医師免許自体が、中医学系と西洋医学系の二本立てであることである。<br />
<br />
数年前から、外国人も医師国家試験の受験が可能になっている。嘗て中医師免許相当とされた「国際中医師免許」は、受験しても外国はもちろん本国である中国でさえ医療行為を行うことのできない学力認証試験であり、医師の世界では意味をなさない。<br />
<br />
=== 日本 ===<br />
{{資格<br />
|名称 = 医師<br />
|英名 = Physician<br />
|英項名 = Physician<br />
|略称 =ドクター、M.D、Dr.<br />
|実施国 = {{JPN}}<br />
|分野 = 医療<br />
|資格種類 = [[資格#国家資格|国家資格]]<br />
|試験形式 = 一般試験、実技試験<br />
|認定団体 = [[厚生労働省]]<br />
|後援 =<br />
|認定開始年月日 =<br />
|認定終了年月日 =<br />
|等級・称号 = 医師<br />
|根拠法令 = [[医師法]]<br />
|公式サイト =<br />
|特記事項 =<br />
}}<br />
{{Main2|医師免許取得過程|医学教育#日本}}<br />
<br />
日本では「医師」は[[国家資格]]であり、「[[医師国家試験]]」に合格して医籍登録を完了したものに[[厚生労働大臣]]より[[免許]]が与えられる<ref>医師法第6条</ref>。[[1999年]]に改正された[[医師法]]第16条の2に「診療に従事しようとする医師は、2年以上、医学を履修する課程を置く大学に附属する病院又は厚生労働大臣の指定する病院において、臨床研修を受けなければならない。」と明記され、[[2004年]]度からは、臨床医として勤務するためには2年間以上の[[臨床研修]]を行うことが努力義務とされた。臨床研修を終えていない医師は、医業を続けることはできるが、病院・診療所の長となることができない。この間の「医師」を一般に[[研修医]]とも呼ぶこともある(資格名ではなく通称名)。ただし、[[基礎研究]]医や[[産業医]]、[[社会医学]]者、[[法医学]]者などはこの義務はない。しかし、これらの分野でも認定医取得条件や求人に2年間の臨床研修を義務づけている場合もある。<br />
<br />
一般的には、[[病院]]や[[診療所]]といった[[医療機関]]で医業(医療行為)を行う医師(臨床医)が多いが、医療機関以外では[[法務省]]に所属し、[[刑務所]]や[[拘置所]]の収容者を対象に医療行為を行う医師である[[矯正医官]]、[[自衛隊]]に所属する医師である[[医官]]や、[[保健所]](地域保健法施行令第4条第1項では、保健所の所長とは保健所の医師と規定されている)、基礎研究医、[[産業医]]、社会医学者、[[法医学]]など直接医療行為を行わない医師もいる。<br />
<br />
[[2012年]]4月現在、医師免許に更新制度はなく、通常は生涯にわたって有効である。医師は2年おきに住所・氏名などを都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出る必要がある<ref>医師法第6条</ref>。[[医療過誤]]、犯罪等による資格停止・剥奪は厚生労働省[[医道審議会]]により決定される<ref>医師法第7条</ref>。<br />
<br />
近年、[[医療事故]]・医療過誤として報告される事例が増加の一途をたどっているため、医師免許の更新制度導入が主張されている。[[2005年]]3月、政府の[[規制改革・民間開放推進会議]]は、医師免許更新制の導入について2005年度中に検討し結論を出すとの答申を予定した。政府判断により実際の答申からは外されることになったが、規制改革会議側は引き続き議論する考えを示した。<br />
<br />
日本の医師免許は[[診療科]]ごとに交付されるものではなく、医師は''法律上は''すべての診療科における診療行為を行うことができる、とされている。<br />
<br />
近年では医療の進歩と共に技術的に高い次元での専門化・細分化傾向が強まり、日本においても各診療分野の[[学会]]が「[[学会認定医]]」、「学会専門医」などの[[学会認定専門医]]制度を導入しており、一般診療者への技術度の目安として広まりつつある。しかし、これらは法的には「肩書き」に過ぎず、所持していなくても診療科を標榜することは可能である(たとえば、[[眼科]]の医師が[[皮膚科]]の診療を行うことも可能)。ただし、[[麻酔科学|麻酔科]]を標榜するには[[厚生労働省]]の許可を得なければならない([[医療法]]第70条2項、及び[[医療法施行規則]]第42条の4に基づく)。<br />
<br />
また、「医師」には「一人医療法人」という制度があり、「医師」一人でも[[医療法人]]が設立できる。'''[[死体検案書]]'''作成は、医師の独占業務である。<br />
<br />
== 日本の医師 ==<br />
{{See also|日本の医療}}<br />
<br />
日本で医師の資格を規定する根拠となっている法は「[[医師法]]」であり、医師法第17条に「何人も、医師でなければ、医業をなしてはならない。」と規定されている。<br />
<br />
離島や過疎地では軽症患者に対しては医師一人だけで多くの診療科に対する医療行為を完結させる必要があり、「医師」の資格により、全ての医療行為が完結できなければならない。よって「医師」が「検査ができない」「レントゲンが撮れない」「看護ができない」「透析ができない」「リハビリテーションができない」などということは建前上はありえない。[[薬]]に関しては欧米では歴史上薬剤師の業務として発展(完全[[医薬分業]]制)してきたものであり欧米では医師が調剤することはあり得ない事であるが、日本では[[薬剤師法]]の規定により自身が診察した患者に限り調剤をする事ができる(不完全分業)。ただし、他の医師の処方箋による調剤は[[薬剤師]]が持つ業務範囲であり、原則的に[[薬剤師免許]]がなければたとえ医師でも[[無資格調剤]]となる。<br />
<br />
=== 年齢・性別 ===<br />
{| class="wikitable floatright" style="font-size:80%; text-align:right"<br />
|+ 医師の年齢分布(医療機関従事, 2012年)<ref name="stat2012" /><br />
! rowspan=2| <br />
! rowspan=2| 医師数(人)<br />
! rowspan=2| 割合%<br />
! colspan=2| 内訳<br />
|-<br />
! [[病院]]従事<br>(割合%)<br />
! [[診療所]]従事<br>(割合%)<br />
<br />
|- style="background:#ddd; font-weight:bold"<br />
| 総数 || 288,850 || 100.0 || 100.0 || 100.0<br />
|-<br />
|29歳以下 || 26,226 || 9.1 || 13.8 || 0.3<br />
|-<br />
|30~39歳 || 65,003 || 22.5 || 31.7 || 5.3<br />
|-<br />
|40~49歳 || 67,969 || 23.5 || 25.1 || 20.6<br />
|-<br />
|50~59歳 || 65,380 || 22.6 || 17.8 || 31.7<br />
|-<br />
|60~69歳 || 37,880 || 13.1 || 7.8 || 23.0<br />
|-<br />
| 70歳以上 || 26,392 || 9.1 || 3.8 || 19.2<br />
|- style="background:#ddd; font-weight:bold"<br />
| 平均年齢<br />
| colspan=2| 48.9歳 || 47.8歳 || 58.0歳<br />
|}<br />
平均年齢は48.9歳<ref name="stat2012" />。近年では医学部に進学する女子が飛躍的に増え、29歳以下の若い医師は三人に一人が女性である<ref>[http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/04/tou3.html 2004年医師・歯科医師・薬剤師調査の概況](厚生労働省)</ref><ref>[http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webhonpen/html/i1312400.html (コラム)女性医師の仕事と育児の両立支援](内閣府 平成18年版 少子化社会白書 第3章 第1節 2 産科・小児科医療体制の確保)</ref>。医学部の一学年の女性の割合が半数近い大学も存在する。<br />
<br />
一方で、[[出産]]・[[育児]]のバックアップ体制が整っていない面が多分にあり、仕事を続けながら出産・育児が困難であり結婚・出産とともに退職する[[女医|女性医師]]もいまだ多い。出産・育児により職場を離れた女性医師に対し働きやすい環境を整え、医療の場に戻す方策が始まっているとはされるが、2006年頃より地方の医師不足が顕著になり始めている。<br />
{{-}}<br />
<br />
=== 就業場所 ===<br />
医師のおおよそ6割は[[病院]]で、3割は[[診療所]]にて就業している<ref name="stat2012" />。<br />
<br />
{| class="wikitable" style="font-size:85%; text-align:right; margin-left:2em"<br />
|+ 施設・業務の種別にみた医師数(平成24年)<ref name="stat2012">{{Cite report|publisher=厚生労働省 |title=平成24年医師・歯科医師・薬剤師調査 |date=2013-12 |url=http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001030962 |id=GL08020102}}</ref><br />
! colspan=2|<br />
! 人数(千人)!! 割合(%) !! 総人口10万対<br />
|- style="background:#ddd; font-weight:bold"<br />
|{{rh}} rowspan=3| 総数 <br />
| 男女計 || 303.3 || 100.0 || 237.8<br />
|- style="background:#ddd; font-weight:bold"<br />
| 男 || 243.6 || 80.3 || 191.1<br />
|- style="background:#ddd; font-weight:bold"<br />
| 女 || 59.6 || 19.7 || 46.8<br />
<br />
|- style="background:#eee font-weight:bold"<br />
|{{rh}} rowspan=11 | 医療施設の<br>従事者 <br />
|{{rh}}| 小計 || 288.9 || 95.2 || 226.5<br />
|-<br />
|{{rh}}| [[病院]]の従事者 || 188.3 || 62.1 || 147.7<br />
|-<br />
| 病院(医育機関附属の病院を除く)の<br>開設者又は法人の代表者 || 5.4 || 1.8 || 4.2<br />
|-<br />
| 病院(医育機関附属の病院を除く)の勤務者 || 132.5 || 43.7 || 103.9<br />
|-<br />
| 医育機関附属の病院の勤務者 || 50.4 || 16.6 || 39.5<br />
|-<br />
| うち、臨床系の教官又は教員 || 27.0 || 8.9 || 21.2<br />
|-<br />
| うち、臨床系の大学院生 || 5.4 || 1.8 || 4.2<br />
|-<br />
| うち、臨床系の勤務医 || 18.0 || 5.9 || 14.1<br />
|-<br />
|{{rh}}| [[診療所]]の従事者 || 100.5 || 33.2 || 78.8<br />
|-<br />
| 診療所の開設者又は法人の代表者 || 72.2 || 23.8 || 56.6<br />
|-<br />
| 診療所の勤務者 || 28.4 || 9.4 || 22.3<br />
<br />
|- style="background:#eee font-weight:bold"<br />
|{{rh}} rowspan=3 | [[介護老人保健施設|老健施設]]の<br>従事者 <br />
|{{rh}}| 小計 || 3.2 || 1.1 || 2.5<br />
|-<br />
| 老健施設の開設者又は法人の代表者 || .4 || 0.1 || 0.3<br />
|-<br />
| 老健施設の勤務者 || 2.8 || 0.9 || 2.2<br />
<br />
|- style="background:#eee font-weight:bold"<br />
|{{rh}} rowspan=8 |医療施設・老健施設<br>以外の従事者 <br />
|{{rh}}| 小計 || 8.6 || 2.8 || 6.8<br />
|-<br />
| 医育機関の臨床系以外の[[大学院生]] || 0.5 || 0.2 || 0.4<br />
|-<br />
| 医育機関の臨床系以外の勤務者 || 3.0 || 1.0 || 2.4<br />
|-<br />
| 医育機関以外の教育機関又は研究機関の勤務者 || 1.5 || 0.5 || 1.2<br />
|-<br />
| 行政機関・産業医・保健衛生業務の従事者 || 3.5 || 1.2 || 2.8<br />
|-<br />
| うち、行政機関の従事者 || 1.7 || 0.6 || 1.3<br />
|-<br />
| うち、[[産業医]] || 1.0 || 0.3 || 0.7<br />
|-<br />
| うち、保健衛生業務の従事者 || 0.9 || 0.3 || 0.7<br />
|- style="background:#eee"<br />
|{{rh}} rowspan=3| その他の者 <br />
|{{rh}}| 小計 || 2.6 || 0.9 || 2.0<br />
<br />
|- style="background:#eee font-weight:bold"<br />
| その他の業務の従事者 || 0.6 || 0.2 || 0.5<br />
|-<br />
| 無職の者 || 2.0 || 0.7 || 1.6<br />
|}<br />
<br />
=== 医師とIT ===<br />
[[情報技術|IT]]関連技術の進歩に伴い[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]が急速に普及し、各[[医療機関]]では'''レセコン'''([[レセプトコンピュータ]])だけでなく'''[[電子カルテ]]'''も次第に普及しつつある。<br />
<br />
本来、診療を行う為に掛かるコストを支払う診療報酬にIT関連機器(レセコンや電子カルテ等)導入の為の費用は全く考慮されず、その全てを医療機関側が負担してきた。2005年、国は医療制度改革大綱にレセプトの[[オンライン]]化の義務化を盛り込んだが、2006年度の診療報酬改定でも初診料の電子化加算(3点、30円に相当)を新設したのみで、約650億円と試算される財源については全く触れていない。<br />
<br />
従来、医師会等を通じてのみ情報を得ていた全国各地の医師同士も、各種掲示板、'''[[メーリングリスト]](ML)'''を通じて横断的に双方向性に情報・意見交換できるようになった。学会等ではなかなか得られない臨床現場で役立つ医学・医療の経験・知識が、全国的に共有される意義は大きい。<br />
<br />
[[1999年]]冬の[[インフルエンザ]]流行時、medpract-ML(実地医療研究ML)という医療系MLを通じて[[アマンタジン]]の有効性が初めて全国的に注目され、その後、迅速診断法や抗インフルエンザ薬などの情報も、医学会や医師会に先んじて様々な医療系MLに流れ、全国各地の医師同士の実体験が共有された。これを学問的に将来性のあるものに取りまとめたものとして、日本臨床内科医会のインフルエンザ全国調査研究:FLU・STUDY/JPAが注目された。<br />
<br />
=== 日本の医師定年制 ===<br />
日本には、医師の[[定年制]]や免許の更新制度は無い。しかし、医師に定年制を導入するべきだという声もある。それには医師の資格そのものに年齢制限をつける医師免許定年制と、保険医資格に年齢制限をつける保険医定年制がそれぞれ提唱されている。<br />
<br />
一方、日本では病院長は医師でなければならないなど、各種役職に医師の資格を要求する法規制があり、実際に診療を行っていない役職の者でも医師の資格を要する場合がある。一律に医師免許そのものに定年制を設けた場合、優秀な病院経営者を排除してしまう結果になりかねない。また、保険医定年制の場合、老練な医師の診察を希望する患者に過大な負担をかける可能性もある。<br />
<br />
因みに精力的に全国行脚を続けている[[日野原重明]]は1911年生まれであり、その講演の中で「アメリカの大学教授選考では、最近は年齢は不問です。つまり、業績、仕事をやる人は、年齢に関係なく教授を続けられるようになった。それに引き替え日本では、大学に定年制が引かれ、アメリカとは逆ですよ。」と発言したと言うエピソードもある(但しこれは日野原個人がアメリカの医師の年齢制度について触れた件であることに注意が必要である。ドイツにおいては別の価値観において規定を定めているので、日野原個人の発言を以って判断すべきではないといえる)。<br />
<br />
とくに近年の医療技術の発展により、医療知識は日々更新されており、最新の知識を持たない高齢の医師では不十分という意見もある。高齢の医師が必ずしも臨床業務に携わっていないことや、非臨床業務である管理職にも医師の資格が義務づけられている点は今後の課題である。<br />
<br />
若い医師も熟練した医師も同じ医療行為に対して同じ報酬しか得られない[[医療保険]]制度の元、診療報酬が削減された結果、熟練医師に正当な報酬を支払うポストは減少している。一方、[[診療報酬]]が低くなったため、医院開業の先行投資回収に必要な年数は長くなり、開業年齢が低年齢化せざるを得なくなった。そのため、45~55歳の最も熟練した医師が勤務医を辞め小医院を開業するので、病院施設で高度な技術を要する手術や手技を行う医師が不足する結果となっている。これを勤務医の一種の定年制であるとみるむきもある。<br />
<br />
=== 医療保険制度と医師 ===<br />
医師免許を取得して初めて医師と呼ばれ、[[自由診療]](保険外診療)を行うことができる。更に保険医の認定を得れば[[健康保険#保険給付|保険診療]]を行うことができるが、一連の医療行為の中で両者を行うことは[[混合診療]]と呼ばれ、現在は認められていない。<br />
<br />
日本の公的[[医療保険]]制度は[[ユニバーサルヘルスケア|国民皆保険]]である為、必然的に医師の大半は保険医となり、保険者が決めたルール(保険適用)の中で診断・治療を行っている。<br />
<br />
国民にとって最も重要な事は、病気にならないことである。しかし、目覚しい進歩をとげ、多くの病気において早期診断・早期治療を可能としつつある現在の医学と言えども、何を持って予防しえたかとするか、治療に比べれば遥かにその医学的評価は難しい。病気の早期発見を謳ういわゆる[[人間ドック]]や病気にならぬ為の[[予防医学]]などに、現時点では保険が利かない由縁である。(一日人間ドックなどは、人によっては自治体や健保組合などからの補助が出る場合もある)<br />
<br />
=== 日本の医師の労働環境 ===<br />
現在の日本における医師の労働環境は非常に厳しいものである。[[勤務医]]の労働時間は[[日本医労連]]の2007年4月発表の資料によると、平均労働時間は1日あたり10.6時間、週あたり58.9時間、月あたりの時間外勤務は62.9時間となっている<ref>[http://www.irouren.or.jp/jp/html/menu6/pdf/070424ishi_jittai_tyosa_shiryo.pdf 「医師の労働実態調査」日本医療労働組合連合会]</ref>。厚生労働省の「医師の需給に関する検討会」の調査(同年)では、医師の労働時間は平均で週に63.3時間になっている。平均的な医師でも月90時間以上は[[時間外労働]]をしており、同省の過労死認定基準が目安とする「月80時間の時間外労働」を超えている。徹夜の当直開けに休みを取る“ディーンスト・フライ”は現在実行されず、50歳以下の医師の多くはその言葉の意味さえ知らない。徹夜明けの医師が外来診療や手術をすることが常態化し、週に32時間以上の連続勤務も珍しくない。中には週に2~3回の当直もあり、睡眠不足や過労による医療事故が懸念されている他、医師の[[過労死]]が問題となっている。<br />
<br />
また、[[産業別労働組合]]として[[日本医療労働組合連合会]]がある。<br />
<br />
=== 日本の医師の収入・所得 ===<br />
[[勤務医]]、[[開業医]]、[[研修医]]にわけて解説する。<br />
<br />
==== 勤務医 ====<br />
厚生労働省が2008年度に実施した賃金構造基本統計調査によると、勤務医(非正規雇用者を含む)の平均年収は1159万円である<ref name="mhlw">http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001011429</ref>。同調査によると、民間企業の労働者の平均年収は486万円であり、そのうち学歴が同程度の大学・大学院卒に限定しても624万円であるが、医師は国家資格職であり一般的なサラリーマンなどと比較するのは正しいとは言えず、[[弁護士]]などの国家資格職が比較対象とすべきである。<br />
<br />
また、勤務医に限らず労働者の時間外勤務に関しては、[[労働基準法]]を大きく逸脱するケースが多いため正確な申告が出されていないと思われ、[[サービス残業]]や無給の拘束時間に関しては信頼できるデータはない。<br />
<br />
なお、医師は認定医、専門医などの資格を維持するために学会費を支払い、定期的に[[学会]]に出席することを必要とされるが、これらの経費は勤務医の場合通常全額自己負担であり、旅費も学会費も通常経費として認められない。<br />
<br />
==== 開業医 ====<br />
2007年11月18日付けの朝日新聞朝刊社説によると開業医の平均年収は2500万円であると報告された。[[中央社会保険医療協議会]]が医療従事者・医療施設の経営実態を調べる「医療経済実態調査」(05年6月時点)では、個人開業医の収支差額は2744万円だとした。しかし、この計算には社会保険料や税金、設備投資借入金の返済などの出費が含まれておらず、日本医師会によると、個人立診療所の開設者の平均年間所得は2,043万円であるが、平均可処分所得は1,469万円であり<ref>[http://www.med.or.jp/teireikaiken/20071026_1.pdf 診療所開設者の年収に関する調査(2006年分)]</ref>65歳以上を除く各年代で勤務医の可処分所得を上回っており、自営業者の平均年間所得は389万円<ref>http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/shinkokuhyohon2007/gaiyo.pdf</ref><!--自営業者の平均年間所得を389万円としているが、その論拠となっている出典には自営業者の70.1%の所得が500万円を越えると書いてある-->であるから、平均で比較した場合は他の[[自営業]]者と比べて所得水準が極めて高いが、これもまた医師は国家資格職であり一般的な自営業と比較するのは正しいとは言えず、弁護士などの国家資格職が比較対象とすべきである。<br />
<!--ここを極めてと記載する根拠が不明。一個人の感想では?<br />
また、下方の記載を無視して高いと記載した理由が不明--><br />
<br />
また、厚生労働省発表の「介護保険事業に係る収入のない医療機関の集計(A集計)」(2005年)<ref>[http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/11/dl/s1109-7b.pdf 「介護保険事業に係る収入のない医療機関の集計(A集計)」厚生労働省]</ref>でみると、一般診療所の「収支差の分布」は、平均値を中央とする正規分布ではなく、平均値以下にピークのある偏った分布をしており、平均収支差の200万円以下の診療所が約65%を占めている。また、収支差の段階で赤字の診療所が13%を占めている。<br />
<br />
かつては「勤務医は貧乏、開業医は金持ち」という図式が広く受け入れられていたが、現在では勤務医と開業医に所得格差は少ない例もあり、所得増加を目的とした開業より、むしろ「過重労働を避ける」「夜間睡眠時間がとれる」などの労働条件改善・過労死回避の目的で開業する医師が増えている。<br />
<br />
==== 研修医 ====<br />
研修医は立場から労働者として認められてこなかったが、1998年に関西医大で研修医が急性心筋梗塞で過労(2か月半の間に時間外労働208時間、深夜勤務54時間、日曜・休日出勤126時間)死した事件で、最高裁は「研修医は指導医の命令に従って診察や治療をしており、労働者にあたる」との判決を言い渡した。なおこの研修医は、月6万円の奨学金しか支給されていなかった(詳細は[[関西医科大学研修医過労死事件]]を参照)。<br />
<br />
かつて薄給で「奴隷のようだ」と形容され、[[労働基準法]]における[[最低賃金]]を下回る状態でもあった研修医の待遇は、近年「生活費稼ぎの徹夜のアルバイトの連続など医療事故の温床である」との観点から、2004年度からは月収30万円程度(特別手当無し)を支給するように国からの勧告がおりたが、大学病院などでは当直手当てを加算して手取り月20万円程度しか支払われない場合も多く、必ずしも守られていない。研修医はその研修コース次第で週60時間から100時間病院に拘束されるため、月収30万円でも時給750円から1250円になる。また、研修の立場から、超過勤務に対する賃金は全く支払われないことが一般にまかり通っており、支払われる病院の方が少ない。また立場上上級医が帰宅するまで帰りにくい立場であり、上級医以上に過労状態にある場合も多い。また週1~2回宿当直を行なっているが、実際は寝る間もほとんどなく救急患者を診療している場合も多く、宿当直として安い賃金しか支払われず、本来は夜勤であり明らかな賃金未払いが慣習化している。さらに夜勤後は休みにならないことがほとんどで、過労状態になっている。[[日本学術会議]]の報告では、研修医の勤務・研修時間は、週平均で77.8時間であった<ref name="scj">{{Cite report|title=病院勤務医師の長時間過重労働の改善に向けて |publisher=[[日本学術会議]] |date=2011-09 |url=http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-t133-6.pdf }}</ref>。<br />
<br />
現在は研修医は労働者として扱われ、勉強会などで病院に指示されて拘束された時間などは、超過勤務として賃金を支払うべきとの判断もされている。しかし、現状では研修医は労働者という意識は上級医はおろか、研修医にもあまり浸透しておらず、ほとんど守られていない。また、2008年、広島の県立病院で研修医79人に対して計1億円以上の賃金不払いがあり、時間外や休日の診療を労働と扱っておらず、[[労働基準監督署]]から「労働時間管理が不適正」と是正を勧告されていた事実もある。<br />
<br />
=== 医師の転職 ===<br />
これまでは多くの医師は、「[[医局]]」という組織に管理されていた<ref name=satomi />。これは大学の「教室(職員室)」とほぼ同義であり、各診療科目の教室が運営する非公式な医師の同業者組織である<ref name=satomi />。医局は教授を頂点とし、定期的に任命される医局長によって日常的な事務運営がなされる<ref name=satomi />。学費として「医局費」が徴収されることもある<ref name=satomi />。<br />
<br />
従来の方式では、医師は卒業と同時にいずれかの医局に「入局」していた。医局は医師の研修先・勤務先を指定し、医師はそれに従って転勤する。医局は医師を必要としている病院の情報を集中管理し、必要とされている医師の技能や経験年数に合わせて医師を派遣する。医師が派遣先で経験を重ね、技能を身につけると、派遣先の病院は医師に対して昇給をするか、賃金の安い医師と交代させるかしなければならない。そのため、数年おきに医局は医師を転属させ、新たに若い医師を派遣する。この繰り返しによって病院側は人件費を一定に維持し、経営の安定化を図ることができる。医師は自分の技能レベルに合った就職先で研鑽を積むことが出来る。また、高度な技術を取得することが可能な病院に派遣してもらった場合、「お礼奉公」と称して、しばらく低賃金で過疎地の診療所に派遣される慣習もあり、これによって地方の医師不足を埋め合わせていた側面があった。多くの場合、医師の派遣を受ける病院は大学教授に研究費などを提供し、教授の研究業績に寄与していた。こういう病院は医局の「関連病院」と呼ばれる。研究費が集まる有名教授の下にはさらに入局者が集まり、教授の権威を高める好循環を生む仕組みであった。<br />
<br />
派遣を受けた医師は、[[国立病院]]に転属すれば「国家公務員」、[[公立病院]]に転属すれば「地方公務員」、[[私立病院]]に転属すれば「サラリーマン」、大学に戻り“研究生”“大学院生”などの名目で無給の労働力として使役される期間は「学生」と、転属先により身分が変遷する。また日雇い契約で雇われる場合は「フリーター」「非正規雇用」、僻地の診療所で一人医長に任命された期間は「管理職」と雇用階級も変遷し、数年おきに転属する。こういう身分の変遷は不安定で退職金も福利厚生もほとんどない。最近では、医療費削減に伴い、病院の経営状態が悪化し、多くの医師が「非正規雇用」か「管理職」のいずれかの身分で働くようになり、[[時間外手当]]もボーナスもなく、不当に長い労働時間を強いられている。<br />
<br />
従来は医局の指示により、転職するのが一般的であった。しかし2004年からの初期臨床研修義務化(スーパーローテート)に伴い、医局に入局する医師が減少し、新たに医師の派遣を行ったり、医師の人材紹介や転職を斡旋する会社が出てきている<ref name="satomi">{{Cite |和書|author=[[里見清一 (医師)|里見清一]] |title=医者とはどういう職業か |series=幻冬舎新書 |publisher=幻冬舎 |date=2016-09-30 |isbn=978-4344984295 }}</ref>。これらの医療従事者専門の転職支援サービスは、医局から医師の派遣を断られた病院の医師確保などにも一定の役割を果たしている。このビジネス分野は未開拓で、さまざまな会社がしのぎを削っている。<br />
<br />
医師といえど一人の人間である事実にかわりはなく、[[QOML]] (Quality of My Life) を大切にするべきという考えも広がりつつあり、医師が過酷な勤務を要求する勤務先から独自の判断で転職するケースが増えている。<br />
<br />
=== 少子化の影響 ===<br />
{{See also|出産難民}}<br />
いわゆる[[少子化]]の影響で、[[妊娠]]・[[出産]]を扱う[[産婦人科学|産婦人科]]や、これに続く乳幼児期の[[子供]]を扱う[[小児科学|小児科]]の志望者が少なくなっている問題がある。また、特に[[産科学|産科]]領域では、一般的に子供は正常に生まれて当たり前との認識があると思われ、何か異常が起こると医療訴訟となる可能性も高いといわれている。そういったことから、産婦人科や小児科を扱う医療機関が減少し、残った医療機関への負担が増加し、妊娠・出産への対応や子供の急病などへの対応が困難になっている。これらの問題については、少子化に関する諸問題の一つとして、[[マスメディア]]などで頻繁に取り上げられているが、厚生労働省は有効な対策を打てていない。<br />
<br />
== 組織 ==<br />
医師に関する組織には、[[学会]]、[[職能団体]]([[労働組合]])、規制団体などがある。<br />
<br />
* [[世界医師会]]<br />
* [[イギリスの医療|イギリス]] <br />
** {{仮リンク|英国医学協議会|en|General Medical Council}} (GMC) - 医師資格の規制団体。<br />
** {{仮リンク|英国医師会|en|British Medical Association}} (BMA) - 職能団体。またBMJの発行元である。<br />
* [[日本の医療|日本]]<br />
** [[医道審議会]] - 厚生労働省の審議会等であり、医師資格を規制している。<br />
** 公益社団法人[[日本医師会]] - 職能団体。<br />
<br />
== 著名な医師 ==<br />
{{See also|医学者の一覧}}<br />
=== 西洋 ===<br />
[[File:Hippocrates rubens.jpg|thumb|right|120px|[[ヒポクラテス]]]]<br />
[[File:Paracelsus.jpg|thumb|right|120px|[[パラケルスス]]]]<br />
* [[アーサー・コナン・ドイル]](推理作家、シャーロック・ホームズの生みの親)<br />
* [[アルベルト・シュヴァイツァー]](神学者、哲学者、「密林の聖者」として知られる)<br />
* [[カール・ヤスパース]](哲学者)<br />
* [[カール・グスタフ・ユング]](精神分析家)<br />
* [[フェリックス・ガタリ]](精神科医、精神分析家、[[ジル・ドゥルーズ]]との共著で有名)<br />
* [[チェ・ゲバラ]](革命家、政治家)<br />
* [[ノストラダムス]](占星術師、詩人)<br />
* [[ジークムント・フロイト]](精神分析家)<br />
* [[ヨーゼフ・メンゲレ]](ナチス親衛隊将校)<br />
* [[セレフェディン・サボンジュール]] (外科医)<br />
<br />
=== 東洋(除 日本) ===<br />
* [[陈中伟]](断肢再植の父,国際顕微再建外科学会会長1984-1988)<br />
* [[扁鵲]]<br />
* [[華陀]] (中国・三国時代に生きた医者。初めて麻酔薬を開発したといわれる名医)<br />
* [[孫文]]<br />
* [[金鳳漢]](朝鮮民主主義人民共和国経絡研究院院長)<br />
* [[マハティール・ビン・モハマド]] (マレーシア首相)<br />
<br />
=== 日本 ===<br />
==== 古代~近世 ====<br />
{{Columns-list|3|<br />
* [[大月景秀]]<br />
* [[小瀬甫庵]]<br />
* [[杉田玄白]]<br />
* [[前野良沢]]<br />
* [[田代三喜斎]]<br />
* [[丹波康頼]]<br />
* [[永田徳本]]<br />
* [[華岡青洲]]<br />
* [[曲直瀬道三]]<br />
* [[曲直瀬玄朔]]<br />
* [[竹田定加]]<br />
* [[半井通仙]]<br />
* [[施薬院全宗]]<br />
* [[玉木吉保]]<br />
* [[吉田政重]]<br />
* [[緒方洪庵]]<br />
* [[箕作阮甫]]<br />
* [[大槻俊斎]]<br />
* [[伊東玄朴]]<br />
* [[手塚良仙]]<br />
* [[平住専安]]<br />
* [[高野長英]]<br />
}}<br />
<br />
==== 医師の保護などをした人物 ====<br />
{{Columns-list|3|<br />
* [[安国寺恵瓊]]<br />
* [[板倉勝重]]<br />
* [[一宮随波斎]]<br />
* [[宇野藤右衛門]]<br />
* [[小西隆佐]]<br />
* [[角倉了以]]<br />
* [[徳川家康]]<br />
}}<br />
==== 日本・近現代 ====<br />
ここでは明治以降の医師を述べる。<br />
{{Columns-list|2|<br />
<small><br />
* [[大野曜吉]](監察医、法医学の権威、トリカブト事件の解決に至った)<br />
* [[高原喜八郎]]([[癌]][[治療]]専門医、[[東京大学]][[医学部]]卒業、[[米国法人]][[野口英世記念財団]]理事、米国[[臨床化学会]]正会員、元[[神奈川県立衛生短期大学]]教授、米国[[臨床化学会]]正会員、[[国際アカデミー賞]]受賞、[[国際文化栄誉勲章]]受章)<br />
* [[高木兼寛]]([[東京慈恵会医科大学]]創設者)<br />
* [[北里柴三郎]](細菌学者、日本医師会初代会長)<br />
* [[野口英世]](細菌学者、旭日章)<br />
* [[小野寺直助]](医学者、内科医)<br />
* [[後藤新平]](政治家、官僚)<br />
* [[三浦謹之助]](医学者)<br />
* [[養老孟司]]([[解剖学]]者、[[脳科学]]者、東京大学医学部[[名誉教授]])<br />
* [[武見太郎]](元[[日本医師会]]会長、元世界医師会会長)<br />
* [[岡田国太郎]](医学博士、軍医、細菌学者)<br />
* [[高木健太郎]](医学者、元[[参議院議員]])<br />
* [[中谷義雄]](医学博士)<br />
* [[安保徹]](医学博士)<br />
* [[福田稔]](医学博士)<br />
* [[浅見鉄男]](内科医、医学博士)<br />
* [[原志免太郎]](医学博士)<br />
* [[斎藤茂吉]](歌人、精神科医、北杜夫・斎藤茂太の父)<br />
* [[斎藤茂太]](エッセイスト、精神科医)<br />
* [[北杜夫]](作家、精神科医)<br />
* [[芹澤勝助]](鍼灸師、医学博士)<br />
* [[田坂定孝]](内科医、臨床血液学、[[内視鏡]]医学)<br />
* [[向井千秋]](心臓外科医、宇宙飛行士)<br />
* [[海堂尊]](作家、病理医)<br />
* [[香山リカ (精神科医)|香山リカ]] (精神科医、評論家、エッセイスト、大学教授)<br />
* [[小池晃]](内科医、[[参議院議員]]、[[日本共産党]]政策委員長、[[全日本民主医療機関連合会]]理事)<br />
* [[木々高太郎]](推理作家、[[直木賞]]受賞作家)<br />
* [[日野原重明]]([[聖路加国際病院]]理事長)<br />
* [[加藤周一]](評論家)<br />
* [[斉藤環]](精神科医、評論家)<br />
* [[なだいなだ]](作家、精神科医)<br />
* [[坂口力]](元[[厚生労働大臣]]、[[公明党]]副代表)<br />
* [[徳田虎雄]](特定医療法人[[徳洲会]][[理事]]、元[[衆議院議員]][[自由連合 (政党)|自由連合]]最高顧問(前代表))<br />
* [[渡辺淳一]](直木賞作家)<br />
* [[稲澤譲治]]([[癌]]および[[遺伝]]などの研究者、[[東京医科歯科大学]]難治疾患研究所教授)<br />
* [[城野親德]](シロノクリニック院長・[[東証1部]]上場企業である[[ドクターシーラボ]]開発室長)<br />
* [[西川史子]](タレント、形成外科医)<br />
* [[根来秀行]](ハーバード大学医学部内科准教授、内科医、内科学者)<br />
* [[池田優子]](池田ゆう子クリニック院長・形成外科医)<br />
* [[海原純子]](海原メンタルクリニック所長、医学博士、エッセイスト、[[シャンソン]]シンガー)<br />
* [[吉田たかよし]](元[[日本放送協会|NHK]][[アナウンサー]]、医学博士、[[ラジオパーソナリティ]]、[[コラムニスト]]、タレント)<br />
* [[荻野久作]]([[産婦人科学|産婦人科]]医、[[性科学者]])<br />
* [[奈良林祥]](性医学者、[[カウンセラー]])<br />
* [[小黒八七郎]]([[内科学|内科]][[学者]]、[[消化器学]]者)<br />
* [[加藤鐐五郎]]([[政治家]]、第48代[[衆議院議長]]、医師)<br />
* [[島薗順次郎]](内科学者)<br />
* [[池田健 (精神科医)|池田健]](精神科医、心療内科医)<br />
* [[藤田啓介]]([[生化学]]者、[[藤田学園]]創設者)<br />
* [[木下博勝]](外科医)<br />
* [[福島孝徳]]([[脳神経外科学|脳神経外科]]医)<br />
* [[上山博康]](脳神経外科医)<br />
* [[平山晃康]](脳神経外科医)<br />
* [[須磨久善]]([[心臓血管外科学|心臓血管外科]]医)<br />
* [[佐野俊二]](心臓血管外科医)<br />
* [[南淵明宏]](心臓血管外科医)<br />
* [[天野篤]](心臓血管外科医、[[明仁|今上天皇]]の執刀医)<br />
* [[斎藤学 (精神科医)|斎藤学]](精神科医)<br />
* [[龍野一雄]](医史学者)<br />
* [[間中喜雄]](医学博士)<br />
* [[三河義行]](医学博士、[[三河家住宅]]初代当主)<br />
* [[長濱善夫]](医学博士、鍼響による経絡の研究)<br />
* [[藤田六朗]](医学博士、経絡の研究)<br />
* [[石川日出鶴丸]](医学博士)<br />
* [[石川太刀雄]](医学博士、皮電計の開発)<br />
* [[等々力英美]](医学博士)<br />
* [[吉沼美惠]](医学博士)<br />
* [[高橋茂樹]](医学博士)<br />
* [[山口トキコ]]([[マリーゴールドクリニック]]院長、日本初の女性痔医{{要出典|date=2010年3月}})<br />
* [[石村和敬]]([[徳島大学]]医学部医学科教授)<br />
* [[弓削孟文]](医学博士、麻酔科医、悪性高熱症)<br />
* [[上野直人]](米国腫瘍内科医、米国一般内科医、チーム医療、患者学)<br />
* [[岡田孝男]](医学博士、順天堂大学名誉教授)<br />
* [[高須克弥]]([[高須クリニック]]院長)<br />
</small><br />
}}<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
{{reflist}}<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
{{commonscat|Physicians}}<br />
{{Wiktionary|医師}}<br />
* [[開業医]]・[[研修医]]・[[勤務医]]<br />
* [[臨床医]]・[[当直医]]・[[医局]]<br />
* [[産業医]]・[[学校医]]<br />
* [[船舶に乗り組む衛生管理者]]<br />
* [[医師賠償責任保険]]<br />
* [[医師法]]<br />
* [[医制]](明治時代の[[太政官]]通達)<br />
* [[赤十字]]・[[日本赤十字社]]<br />
* [[国境なき医師団]]<br />
* [[介輔]]<br />
* [[クオリティ・オブ・ライフ]]・[[QOML]]<br />
* [[医師不足]]<br />
* [[医療崩壊]]<br />
* [[無資格調剤]]<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
* [http://www.med.or.jp/ 日本医師会]<br />
* [http://www.nichiiren.jp/ 日本医師連盟]<br />
* [http://licenseif.mhlw.go.jp/search/ 厚生労働省 医師等資格確認検索] - [[厚生労働省]]のデータベース。[[氏名]]と[[性別]]・医師と[[歯科医師]]の選択で医師免許資格確認が検索可能である。<br />
* [http://jobzukan.com/isha.html 医者になるには?]<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:いし}}<br />
[[Category:医師|*いし]]<br />
[[Category:医学]]<br />
[[Category:業務独占資格]]<br />
[[Category:国家資格]]<br />
[[Category:医療関連の職業]]</div>
42.150.148.221
囲碁
2018-07-30T07:16:21Z
<p>42.150.148.221: /* 外部リンク */</p>
<hr />
<div>{{Otheruses||雑誌|囲碁 (雑誌)}}<br />
{{参照方法|date=2013年5月}}<br />
{{囲碁}}<br />
'''囲碁'''(いご)とは、2人で行う[[ボードゲーム]]の一種。交互に盤上に石を置いていき、自分の石で囲んだ領域の広さを争う。単に'''碁'''(ご)とも呼ばれる。<br />
<br />
== 概要 ==<br />
2人のプレイヤーが、[[碁石]]と呼ばれる白黒の石を、通常19×19の格子が描かれた[[碁盤]]と呼ばれる板へ交互に配置する。一度置かれた石は、相手の石に全周を取り囲まれない限り、取り除いたり移動することはできない。ゲームの目的は、自分の色の石によって盤面の'''より広い領域(地)を確保する(囲う)こと'''である。<br />
<br />
[[アブストラクトゲーム]]、[[ボードゲーム]]の一種で、[[ゲーム理論]]の言葉で言えば[[二人零和有限確定完全情報ゲーム]]である<ref>日本の公式戦で使用される[[囲碁のルール]]である「[http://www.nihonkiin.or.jp/match/kiyaku/ 日本囲碁規約]」の規定上は対局者が合意しないと、無限に続く可能性もあるため、有限なゲームとは分類されないが、事実上有限なゲームで、広くプレイされているゲームであるため、適切な停止条件を考慮した上で、[[二人零和有限確定完全情報ゲーム]]として研究されている。</ref>。勝敗は、より大きな[[地 (囲碁)|地]]を確保することで決定される([[#勝敗に関するルール]])。ゲームの終了は、将棋やチェスと同じように、一方が負けを認めること([[投了]]という)もしくは双方の「もう打つべきところがない」という合意によって行われる。他のボードゲームと比較した場合の特異な特徴は、ルール上の制約が極めて少ないこと、[[パス]]が認められていることが挙げられる。<br />
<br />
発祥は中国と考えられ、少なくとも2000年以上前から東アジアを中心に親しまれてきた。そうした文化・歴史の中で'''爛柯'''(らんか)をはじめとしたさまざまな別称を持つ([[#囲碁の別称とその意味]])。日本でも平安時代から広く親しまれ、[[枕草子]]や[[源氏物語]]といった古典作品にも数多く登場する。戦国期には武将のたしなみでもあり、庶民にも広く普及した。[[江戸時代]]には[[家元]]四家を中心としたプロ組織もでき、興隆の時期を迎えた。明治以降も引き続き広く親しまれ、近年では[[インターネット]]を経由して対戦する[[ネット碁]]も盛んである。<br />
<br />
西洋的な価値観からは[[チェス]]などと同様[[マインドスポーツ]](つまり競技)でもあり、[[国際囲碁連盟]]は[[国際オリンピック委員会]]が承認する[[GAISF|国際スポーツ団体総連合]]に加盟し、五輪競技としての採用を目指している。[[中華人民共和国|中国]]・[[広州]]で開催される[[2010年アジア競技大会]]では競技種目として採用された。<br />
<br />
日本では古くから親しまれ、[[ダメ (囲碁)|駄目]]、[[布石]]、[[捨て石]]、[[定石]]など、数多くの囲碁用語は、そのまま日本語の慣用句としても定着している([[#囲碁に由来する慣用表現]])。<br />
<br />
== 歴史 ==<br />
{{Main|囲碁の歴史}}<br />
「碁」という字は本来は「棋・棊」の異体字で、意味も発音も同じだった。現在も中国では「围棋(圍棋)」と書く。日本漢字音での「ゴ」と「キ」の音の違いは[[呉音]]と[[漢音]]の違いに由来する。<br />
<br />
囲碁の実際の起源ははっきりとはわかっていない。少なくとも[[春秋時代]]には成立していたようで、『[[論語]]』・『[[孟子]]』の中には碁の話題が出てくる。中国碁は[[前漢]]時代17路盤であったと考えられている。<br />
<br />
伝統的な中国碁は、盤上に多くの石を載せたほうが勝ちというルールであった。<br />
<br />
初期の碁石は、[[唐]][[宋 (王朝)|宋]]期のものが残っている。<br />
<br />
その後[[5世紀]]には朝鮮へ、7世紀頃に日本に伝わったとされる。そのころから日本の貴族を中心に広く遊ばれ、[[正倉院]]には碁盤と碁石が収められている。[[清少納言]]や[[紫式部]]も碁をよく打ったとされ、[[枕草子]]や[[源氏物語]]中にも囲碁と思われるものが登場する。<br />
<br />
[[室町時代]]末期からは碁打ちが公家や武将に招かれるなどの専業化も進むとともに、それまでの事前置石制から自由布石への移行も起こった。[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]には戦国武将たちに大いに好まれ、[[織田信長]]に[[本因坊算砂|日海]](本因坊算砂)が[[名人 (囲碁)|名人]]の称号を許されたと言われる<ref>実際に「信長から名人の称号を受けた」かには異論もある。詳細は[[本因坊算砂]]を参照。</ref>。[[江戸時代]]には[[江戸幕府|幕府]]から家禄を受ける家元制度が成立し、囲碁の技術が飛躍的に向上するとともに、将軍御目見えによる[[御城碁]]が行われたり、[[碁会所]]が生まれるなど庶民の娯楽としても定着した。<br />
<br />
[[1999年]]ごろには[[漫画]]『[[ヒカルの碁]]』の影響で若年層にも囲碁ブームが生まれた。<br />
<br />
囲碁は[[日本]]のみならず[[中華人民共和国]]、[[中華民国]]([[台湾]])、[[大韓民国|韓国]]、[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]などでも盛んに行われ、その他にも[[北アメリカ]]・[[南アメリカ]]、[[ヨーロッパ]]などでも行われている。今日、囲碁は世界80ヶ国以上で打たれており、[[世界選手権]]も行われている。<br />
<br />
レジャー白書によると、日本の囲碁人口は2015年で推計250万人である。2013年の年齢別構成は男+女合計で10歳代11.8%、60歳以上8.1%であった。<br />
<br />
== 用具・用具に関係する囲碁用語 ==<br />
[[ファイル:Blank Go board.png|thumb|碁盤]]<br />
[[ファイル:Go stones in bowls.jpg|thumb|碁石]]<br />
;[[碁盤]]<br />
:板の上に、直交する縦横それぞれ同じ本数の線分を引いたもの。碁石を置くのは縦線と横線の交点である。一般に、縦横19本ずつの'''19路盤'''が使われる。初心者向け、お好み対局向けに'''13路盤'''や'''9路盤'''、'''7路盤'''や'''6路盤'''もある。古来使用されたものには17路盤も存在した。<br />
:線は最も外側にあるものから順に第1線、第2線、第3線……のように呼ぶ。また第4線の交点や辺の中間、碁盤の中心にある黒点を'''[[星 (囲碁)|星]]'''と呼び、19路盤の場合、9つある(右図参照)。碁盤の中央にある星を特に'''[[天元 (着点)|天元]]'''という。<br />
:碁盤の交点[[座標]]は、先手の黒から見て、横の座標を左から右に1~19の[[算用数字]]で、縦の座標を上から下に一~十九の[[漢数字]]で表すことが多く、これは[[数学]]の[[直交座標系]]における第四象限と考えるとわかりやすい。この場合、右上隅の星は「16の四」、天元は「10の十」と表現する。<br />
:座標については、上述の表記が最も伝統的なものであり新聞や雑誌でももっぱらこの表記法が用いられるが、海外の囲碁ファンの増加などもあり算用数字と[[アルファベット]]で座標を表現することもある。ただし、その表現方法は統一されていない。横の座標はアルファベット、縦の座標は算用数字を用いるが、「数字の1とアルファベットのIの混合を避けるために、Iを用いないかどうか」、「数字の0とアルファベットのOの混合も避けるために、Oも用いないかどうか」、「縦の座標を上から下にとる(直交座標系における第四象限)か、下から上にとるか(同じく第一象限)」は場合によってまちまちである。<br />
;[[碁石]]<br />
:単に'''石'''ともいう。黒・白の二色あり、合わせて碁盤を埋め尽くせる数(黒181、白180)だけ用意される(グリーン碁石と呼ばれる、濃い緑と薄い緑の二色のものもある)。碁石を入れる器を'''[[碁笥]]'''(ごけ)と言う。盤上の碁石を数える時の単位は「'''子'''(もく)」であり、一つを一子(いちもく)、二つを二子(にもく)などと表す<ref>ふりがな付きの使用例:日本棋院発行の月刊碁ワールド2012年10月号38ページ、週刊碁2012年11月19日号18面1段最終行。</ref>。しかしながら、囲碁特有の読み方であるため、「子」が「し」と読まれることもある。「子(もく)」ではなく「目(もく)」の字を当てることもある。<br />
<br />
== ルール ==<br />
{{Main|囲碁のルール}}<br />
囲碁のルールには、いわゆる日本ルールと中国ルール、中国ルールを元に台湾で考案された[[計点制ルール]]などがある。いずれもゲームの進め方や勝敗の判定に大きな違いはないが、細かい違いはある。以下は日本ルール(日本棋院と関西棋院による日本囲碁規約)を元に説明する。<br />
<br />
主なルールは5つ。<br />
# [[碁盤]]の線の交差部分に黒と白が交互に打つ。<br />
# [[地]](自分の領域)の多いほうが勝利。<br />
# 相手の石は上下左右を囲うと取れる。<br />
# 着手禁止点(自殺手)<br />
# [[コウ]]<br />
<br />
=== 着手に関するルール ===<br />
*黒、白の対局者が交互に自分の石を盤上の交互に着手する。着手した石は、取られない限りそこから動かしてはならない。<br />
*相手の石を縦横に隙間なく取り囲むと、[[ハマ]]として取ることができる。取ることができるようになった石は、着手の後に盤面から取り除かなければならない。下図の場合、黒がそれぞれ1と打った場合、△の白が取り上げられる。取られる1手前の状態を「[[アタリ (囲碁)|アタリ]]」と言い、下図の白石はそれぞれアタリの状態である。<br />
{{碁盤 9x9<br />
| | | | | | | | |<br />
| b| | | | | | | |<br />
|wT| b| | | | b| b| |<br />
|b1| | | | b|wT|wT| b|<br />
| | | | |b1|wT| b| |<br />
| | | | | | b| | |<br />
| | | | | | | | |<br />
|b1| | | | | | | |<br />
|wT| b| | | | | | |<br />
|24|u=u|d=d|l=l|r=r}}<br />
*'''自殺手は禁止'''(自ら取り囲まれた状態にする手の禁止)。たとえば下図で白が左上aや右上bに打つのは反則となる(黒からは打ってよい)。ただし、その石を打った時点で相手の石を取ることができる場合は例外である。左下cや右下dに打てば▲の黒が取れるため、ここに白が打つのは反則にならない。<br />
{{碁盤 9x9<br />
| A| w| b| | | | | |<br />
| b| b| | | | | b| |<br />
| | | | | | b| B| b|<br />
| | | | | | | b| |<br />
| w| w| w| | | | | |<br />
|bT|bT| w| | | | | |<br />
| C| w| b| | | | | w| w<br />
| b| b| b| | | | w|bT|bT<br />
| | | | | | | w|bT| D<br />
|24|u=u|d=d|l=l|r=r}}<br />
石を取るルールと自殺手の禁止のルールによって、囲碁では下図のような石の配置には決してなり得ない。<br />
{{碁盤 9x9<br />
| w| b| | | | | | |<br />
| b| | | | | w| b| |<br />
| | | | | w| b| w| b|<br />
| | | | | | w| b| |<br />
| | b| w| w| | | | |<br />
| b| w| b| b| w| | | |<br />
| b| w| w| b| w| | | |<br />
| | b| b| w| b| | | |<br />
| | | | b| | | | |<br />
|24|u=u|d=d|l=l|r=r}}<br />
* '''自分が打つことによって、相手が打った直前の局面に戻してはならない。'''下図の形で、黒がaに打てば△の白石を取り上げることができる。<br />
{{碁盤 9x9<br />
| | | | | | | | |<br />
| | | | | | | | |<br />
| | | | | | | | |<br />
| | | | | b| w| | |<br />
| | | | b|wT| A| w| |<br />
| | | | | b| w| | |<br />
| | | | | | | | |<br />
| | | | | | | | |<br />
| | | | | | | | |<br />
|24|u=u|d=d|l=l|r=r}}<br />
しかしその直後、今度は下図のように黒1子が[[アタリ (囲碁)|アタリ]]となっている。白がbに打って黒石を取り返すと、上図の形に戻ってしまう。この形を[[コウ]](劫)と呼ぶ。<br />
これを繰り返すと永遠に対局が終わらないため、'''同一局面の反復は禁止'''とされている<ref>「直前」のみならず、対局中のすべての同一局面の再現の禁止は[[スーパーコウルール]]と呼ばれる。日本ルールでは採用されていない。</ref>。つまり上図で黒がaと取った直後に、白がbと取り返すのは反則となる。詳しくは[[コウ]]の項目を参照。<br />
{{碁盤 9x9<br />
| | | | | | | | |<br />
| | | | | | | | |<br />
| | | | | | | | |<br />
| | | | | b| w| | |<br />
| | | | b| B| b| w| |<br />
| | | | | b| w| | |<br />
| | | | | | | | |<br />
| | | | | | | | |<br />
| | | | | | | | |<br />
|24|u=u|d=d|l=l|r=r}}<br />
<br />
===置碁===<br />
囲碁における[[ハンディキャップ]]戦として[[置碁]]がある。これは実力が下位のものが黒を持ち、あらかじめ盤上に黒石を置いた状態でスタートするものである。あらかじめ置かれた石を「置石」という。実力差によって、置石は普通2子から9子の範囲で調節される。なお、置碁においては白が先に着手するため、1子の置石は置碁ではなく定先にあたる。詳しくは[[置碁]]の項目を参照。<br />
<br />
=== 死活に関するルール ===<br />
{{seealso|死活}}<br />
先に述べた着手禁止点のルールから、二ヶ所の離れた空間(眼と称する)を持った石は、決して取り上げることができないことになる。たとえば下図左上の黒は周辺をびっしりと白に囲まれているが、白からはaにもbにも打てないのでこの黒の一団を取り上げることができない。この場合、「黒は生きている」という言い方をする。すなわち、眼を2つ(二眼)作ることができればその石は生きになる。<br />
<br />
なお、下図右下の黒は独立した2ヶ所の眼を持っているわけではないため、白からcとdに打って取ることができる。これは二眼ではなく、黒は「死に」ということになる。<br />
{{碁盤 9x9<br />
| A| b| w| | | | | |<br />
| b| b| w| | | | | |<br />
| B| b| w| | | | | |<br />
| b| b| w| | | | | |<br />
| w| w| w| | | | | |<br />
| | | | | | | | |<br />
| | | | | | w| w| w| w<br />
| | | | | | w| b| b| b<br />
| | | | | | w| b| C| D<br />
|24|u=u|d=d|l=l|r=r}}<br />
*自分がどう打っても相手が正しく対応すれば二眼を作ることができない石の一団は「死に」である。終局後に、死んでいる石はハマに加えられる。<br />
*特殊なケースとして、両方ともに二眼がないが、互いに手出しできない形がある。これは「[[セキ (囲碁)|セキ]]」と呼ばれ、双方とも生きとして扱われる。詳細は[[セキ (囲碁)|セキ]]の項目を参照。<br />
<br />
=== 勝敗に関するルール ===<br />
*相手の石が中に入り込んで生きることのできない、自分の石の一団に囲まれた領域のことを'''地'''と呼ぶ。<br />
*地の面積とハマの数の和の大小によって勝敗を争う。形勢判断などでは、この和の数値のことを地というため、たとえば、黒地○○目、白地○○目などというときは、この和のことを言う。下図は9路盤での終局図の一例。▲の黒石は生きられないため、「ハマ」として取り上げられ、黒地に埋められる。左上から左下に広がった黒地はこれを埋めて29目、右上から右下を占拠した白地は23目で、この場合「黒の盤面6目勝ち」となる。<br />
{{碁盤 9x9<br />
| | | | | | | b| w|<br />
| | | | | | b| b| w|<br />
| | | | | | b| w| w|<br />
| | | b| | | b| w| |<br />
| | | | b| b| b| w| |<br />
| | | b| w| w| w|bT|bT|<br />
| | | b| w| | | w| w|<br />
| | | b| w| | | | |<br />
| | | b| w| | | | |<br />
|24|u=u|d=d|l=l|r=r}}<br />
*ただし囲碁では先番の黒が有利であり、その分のハンディとして「[[コミ]]」が設定されている。多くの場合コミは6目半とされており、この分を白地に足して計算する。つまり上図では白が29目半になるので、コミを入れて計算した場合「白の半目勝ち」ということになる。<br />
*以前のルールでは、これ以上は打っても得をする場所がないと双方が認めて合意すると「終局」となり、その後でダメ(打っても得をしない箇所)を埋めて互いの地を数えることとされていた。しかしトラブルがあったために2006年にルールが改変され、ダメしか残っていなくても、全てダメを埋めてからでないと終局することができないとされた(インターネット対局では、双方がパスをすることによって終局とするケースが多い)。<br />
*対局中に'''三コウ'''以上の多元コウ、'''[[長生]]'''、'''循環コウ'''が発生し、双方譲らず同型反復となった場合、対局は無勝負扱いとなる。詳しくは「[[コウ]]」の項目を参照。<br />
<br />
== 対局の進行 ==<br />
=== 序盤 ===<br />
通常、対局が始まるとしばらくは[[布石]]が行われる。大体の場合は碁盤の四隅に打つことから始まる。なお、初手を四隅に打つ場合は、白番([[上手と下手|上手]])が右手で打ちやすい隅を残すため、慣例的に右上隅に打つ。<br />
<br />
;[[三々]](さんさん)<br />
:碁盤の隅から3・3の位置のこと。地に対して最も堅い手であるが中央への働きが弱い。<br />
{{碁盤 5x5<br />
| | | | |<br />
| | | | |<br />
| | |b | |<br />
| |x| | |<br />
| | | | |<br />
|24|u=u|r=r}}<br />
;[[小目]](こもく)<br />
:碁盤の隅から3・4あるいは4・3の位置のこと。古来から布石の基本とされる。<br />
{{碁盤 5x5<br />
| | | | |<br />
| | | | |<br />
| |w| | |<br />
| |x|b| |<br />
| | | | |<br />
|24|u=u|r=r}}<br />
;[[星 (囲碁)|星]](ほし)<br />
:碁盤の隅から4・4の位置のこと。現在の布石の花形。また[[置碁]]ではこの位置に石を置いて打ち始める。<br />
{{碁盤 5x5<br />
| | | | |<br />
| | | | |<br />
| | | | |<br />
| |b| | |<br />
| | | | |<br />
|24|u=u|r=r}}<br />
;[[目外し]](もくはずし)<br />
:碁盤の隅から3・5あるいは5・3の位置のこと。相手の作戦をくじくための物として打たれることが多い。<br />
{{碁盤 5x5<br />
| | | | |<br />
| | | | |<br />
|w | | | |<br />
| |x| | |<br />
| | |b | |<br />
|24|u=u|r=r}}<br />
;[[高目]](たかもく)<br />
:碁盤の隅から4・5あるいは5・4の位置のこと。[[目外し]]と同じように使われるが、目外しより多少地に甘く(意識が低い)、中央重視の場合に打たれる。<br />
{{碁盤 5x5<br />
| | | | |<br />
| | | | | <br />
| | | | |<br />
|w |x| | |<br />
| | b| | |<br />
|24|u=u|r=r}}<br />
;[[五ノ五]](ごのご)<br />
:碁盤の隅から5・5のこと。打たれる頻度はかなり低い。<br />
{{碁盤 5x5<br />
| | | | |<br />
| | | | | <br />
| | | | |<br />
| |x| | |<br />
|b | | | |<br />
|24|u=u|r=r}}<br />
;[[大高目]](おおたかもく)<br />
:碁盤の隅から4・6、あるいは6・4、あるいは6・6、あるいは15・15の位置のこと。<br />
;[[天元 (着点)|天元]](てんげん)<br />
:碁盤の中心。中心に打つため四方全ての向きからのシチョウに有利とされるが、五の五・大高目とともに未だあまり研究がなされていない。五の五同様、打たれる頻度はかなり低い。<br />
<br />
近年では隅の着点は小目と星が全体の8割以上を占め、高目や目外しなどの位の高い着点はやや特殊な打ち方とされる。これはその他の隅の占め方(打ち方)が、地に甘いとされているからであり、現代は実利が重視されているということを表しているともいえる。しかし、実利が重視されているといっても、最も地に辛い(重視する)三々は目外しよりも打たれる頻度は低い。これは碁が、単に地を奪い合えば良いというだけのゲームではないことの表れであろう。<br />
<br />
以下は19路の布石の例である。<br />
;二連星(にれんせい)<br />
:隣接する二つの隅の[[星 (囲碁)|星]]を占める布石のことを指す。黒白問わずよく打たれ、特に白番での使用例が増えている。<br />
;[[三連星]](さんれんせい)<br />
:二連星の間の辺の星をさらに占めた布石。基本的に実利にとらわれず、中央を目指す碁になる。[[武宮正樹]]九段が愛用する布石。<br />
;[[中国流]](ちゅうごくりゅう)<br />
:隅の[[星 (囲碁)|星]]と内側向きの[[小目]]に、さらにその間にある星脇(右上を[[星 (囲碁)|星]]、右下を[[小目]]とすると、辺の星の一つずつ右・下に位置するところ)(小目から見て五間ジマリ)に並べられた布石。打ち出したのは日本人だが、大会で中国の若手が一様に使用しこの名前がついた。お互いの応手により実利・厚みのどちらにも転換することが可能。ただし、戦いになると一本調子になるところがある。[[加藤正夫]]などが愛用した。<br />
;高中国流<br />
:話し言葉の上では「たかいちゅうごくりゅう」と呼ばれ、書き言葉では普通「高中国流」。中国流との違いは辺の石が第三線ではなく、第四線にあることである。そのため実利より戦いを求める布石になる。地に甘いため2000年以降は打たれることが少なくなっている。<br />
;[[ミニ中国流]](みにちゅうごくりゅう)<br />
:原型は[[本因坊道策]]の時代から打たれている。自分の[[小目]]の先にある相手の隅の[[星 (囲碁)|星]]に小ゲイマガカリして受けさせた後、星脇にヒラく。この星脇の石と小目の位置関係からこの名前が付いた。1990年代から日本・中国・韓国で主に研究され、流行している布石である。<br />
<br />
=== 中盤 ===<br />
中盤は死活の絡んだ'''戦い'''になる。互いに[[死活]]がはっきりしていない弱い石を意識しながら打ち進める。[[攻め]]、[[サバキ]]、[[シノギ]]の技量が問われる。<br />
<br />
中盤は、もっとも作戦が富んだところである。基本的な構想をいくつか挙げると、<br />
*自分の模様を広げる。模様に手を入れて地模様にする。<br />
*相手の模様を制限する(模様を「値切る」という)。<br />
*相手の模様に打ち込んで生きる。<br />
*自分の弱い石を守る。<br />
*相手の弱い石を攻撃することで利益を得る(相手の石を取る、相手の石をイジメながら別の石を取ったり、厚みを築いたり、確定地を作ったりする)。<br />
*自分の石を捨てて(相手に取らせて)別のところで利益を得る([[捨て石]]あるいは[[フリカワリ]])。<br />
などがある。高等戦術の例として、自分の模様に隙を残しておいてあえて打ち込ませ、イジメながら各所で得を図ったり、序盤は地で先攻し(必然的に相手は厚みで対抗する)、相手の模様が完成する直前に打ち込みで荒らす手法などがある。<br />
<br />
=== 終盤 ===<br />
[[ヨセ]]は双方共に死活の心配がなくなり、互いの地の境界線を確定させる段階を指す。ただしヨセは必ずしも終盤に起こるものではなく、局面によっては序盤・中盤のように手数が少ない場合でも大ヨセが打たれることがある。互いの地に、およそ20目以下10目以上の差がつくヨセを'''大ヨセ'''、およそ10目以下を'''小ヨセ'''と呼ぶ。<br />
<br />
序盤・中盤・終盤には明確な区別はなく、ほとんど序盤のないまま戦いに突入したり、ヨセに入ってからの駆け引きで中盤に逆戻りすることもある。<br />
<br />
== 基本戦略 ==<br />
大まかに囲っている地域(これを'''[[模様 (囲碁)|模様]]'''という)と最終的な地との間には大きな違いがあり、ゲームの進行と共に、景色が大きく入れ替わる。相手が囲おうとしているところに石を突入させて(打ち込み)生きてしまえば、そこは自分の地となる。相手が地だと思って囲っている壁の一部を、国境を侵害するように切り取ってしまえば、地はそれだけ減ってしまう。逆に、相手が生きると思っている石を殺してしまえば、そこは自分の地となる。戦いの中で相手の地や石と自分の地や石を奪い合う、[[フリカワリ]]という戦略もある。最終的に相手の石が生きることができず、かつ境界が破られないような領域が地となる。つまるところ、囲碁は石の効率を競い合うゲームといえる。<br />
<br />
一般に、両者が最善を尽くしている状況では、相手の石の生きにくさ(地になりやすさ)と模様の広さ(大きな地になる可能性の大きさ)との間には[[トレードオフ]]の関係がある。相手の生きがほぼ見込めない領域のことを確定地と呼び、これを優先する考え方を'''実利'''重視という。これに対して、将来の利得を重視する考え方が、[[厚み (囲碁)|厚み]]である。経営における短期と長期のバランスに似て、この実利と厚みの絶妙なバランスが囲碁の戦略できわめて困難なポイントである。とりわけ、厚みの形式的表現が極めて困難なことが、コンピュータ囲碁ソフトの最大の壁であるとも言われる。<br />
<br />
=== 布石 ===<br />
基本的に序盤は隅から打ち進めるのが効率がよいといわれる。これはある一定の地を得るために必要な石数が、中央より辺、辺より隅の方が少なくて済むためであり、その分効率がよいとされるためである。近年のプロの対局では、第一手のほぼ全てが隅から始まっている。第一手を中央に打った対局も存在するが、多くの場合趣向と評される。<br />
<br />
=== 石の形 ===<br />
囲碁のルールは非常に単純であるが、そこから派生する効率の良いほぼ必然的な着手の仕方、つまり[[形 (囲碁)|石の形]]を理解することである程度の棋力を得ることができる。効率のよい形を「好形」、悪い形を「愚形」「凝り形」などと呼ぶ。「空き三角は愚形」「二目の頭見ずハネよ」など、格言になっている石の形は多く存在する。<br />
<br />
=== 厚み ===<br />
碁を打つ上で重要な要素として[[厚み (囲碁)|厚み]]がある。言い換えれば勢力のようなものである。例として三間[[ヒラキ (囲碁)|ヒラキ]]の真ん中に打ち込もうとする場合、ただの三間ヒラキに打ち込むより、ヒラキを成す一方の石が2石の連続した形(中央方向に立っている)である場合のほうが、より打ち込みは無謀と感じるだろう。これは打ち込まれた石を勢力に追い詰めることで、取ることができないにしても相当いじめられることが予想されるからである。これ以外にも有効に石を連続させておくことで大模様を形成できたり、盤上で不意に発生したシチョウに対しシチョウあたりの効果を発揮するなど、あらゆる可能性をもっている。<br />
<br />
=== 石の働き ===<br />
囲碁はお互いに着手する回数はほぼ同じなため、その中でいかに効率よく局面を進め、最終的により多くの地を獲得するかが重要になる。この石の効率のことを「石の働き」とも言い、効率が良い状態を「石の働きが良い」、効率が悪い状態を「石の働きが悪い」と言う。石の効率は石の形とも密接な関係にあり、愚形や凝り形と呼ばれる形は総じて石の働きが悪い形でもある。<br />
<br />
また、石の働きの評価方法に「手割り計算」がある。局所において白黒双方の形が定まった時点で互いの働きのない石(不要な石)を除外していき、どちらの方が除外した数が多いか、または白黒同じ数だけ取り除き、その時に残った石の働きにより形勢を判断する方法である。手割り計算の概念を最初に編み出したのは[[本因坊道策]]とされており、これによって局所戦に終始する旧来の碁の時代が終わり、石の効率を追求するという近代碁の概念が確立された。<br />
<br />
== 競技としての囲碁 ==<br />
=== 段級位制度 ===<br />
{{main|囲碁の段級位制}}<br />
囲碁の力量を数値で表すための段級位制度が存在している。アマチュアとプロで認定の仕組みが異なっており、アマチュアでは[[日本棋院]]・[[関西棋院]]が認定をしている。<br />
<br />
アマチュアは、初心者は30~50級から始まり、最高位は八段である.。段級位の認定を受ければ、免状を発行してもらうことができる。<br />
<br />
プロは初段から始まり、最高位は九段である。プロ棋士同士の対局の成績によって昇段が行われる。<br />
{{節スタブ}}<br />
<br />
=== 囲碁の大会 ===<br />
{{main|棋戦 (囲碁)}}<br />
日本では室町時代末期から棋士による大会が行われていた。20世紀に入り日本棋院が設立されると、新聞社の協賛により多くの大会が開催されるようになった。また、戦後からは韓国・中国を中心として世界規模の大会も開催されるようになった。<br />
<br />
=== プロ組織 ===<br />
{{seealso|棋士 (囲碁)|日本棋院}}<br />
[[室町時代]]末期に囲碁を専業とする者が現れたが組織化までは至らなかった。[[江戸時代]]に家元が幕府より俸禄を受けるようになり公認の職業として職業棋士が成立し、家元を中心とする組織化が行われた。[[明治]]になると俸禄が停止され家元制度が弱体、愛好者や新聞社と契約を結ぶものも現れ、職業棋士組織も乱立したが、これらが連合し日本棋院が生まれた。<br />
<br />
==== 現在の日本のトップ棋士 ====<br />
{{七大タイトル保持者}}<br />
<br />
== 競技人口の概要 ==<br />
[[人工知能]][[AlphaGo]]の対局では世界で約6000万人が観戦した<ref>{{cite web|url=http://www.wired.com/2016/03/sadness-beauty-watching-googles-ai-play-go/?mbid=social_fb|title=The Sadness and Beauty of Watching Google’s AI Play Go|accessdate=12 March 2016|date=11 March 2016|work=WIRED}}</ref>。世界競技人口は約4000万人にのぼる<ref>[http://www.nihonkiin.or.jp/juniorclub/worldgo/ 世界の囲碁人口分布図]</ref>。<br />
<br />
『[[レジャー白書]]』(財団法人[[社会経済生産性本部]])によると、1年に1回以上囲碁の対局をおこなう、いわゆる「囲碁人口」は、1982年の1130万人から、2004年450万人、2006年360万人、2015年250万人と漸減傾向が続いている<ref>[http://www.crs.or.jp/backno/No634/6341.htm 「レジャー白書に見るわが国の余暇の現状」]</ref>。<br />
<br />
== 囲碁と数学 ==<br />
{{Seealso|コンピュータ囲碁}}<br />
囲碁は、そのルールの単純性と複雑なゲーム性から、コンピュータの研究者たちの格好の研究材料となってきた。<br />
<br />
他のゲームと比較した囲碁の特徴としては、盤面が広く、また着手可能な手が非常に多いため、盤面状態の種類および[[ゲーム木]]がきわめて複雑になることが挙げられる。盤面状態の種類は、[[チェス]]で10<sup>50</sup>、[[シャンチー]](象棋)で10<sup>48</sup>、[[将棋]]で10<sup>71</sup>と見積もられるのに対し、囲碁では10<sup>160</sup>と見積もられる<ref name=CCC>[http://www.csie.ndhu.edu.tw/~sjyen/Papers/2004CCC.pdf Yen, Chen, Yang, Hsu (2004) "Computer Chinese Chess"] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20150709211006/http://www.csie.ndhu.edu.tw/~sjyen/Papers/2004CCC.pdf |date=2015年7月9日 }}</ref>。また、ゲーム木の複雑性は、チェスで10<sup>123</sup>、シャンチーで10<sup>150</sup>、将棋で10<sup>226</sup>と見積もられるのに対し、囲碁では10<sup>400</sup>と見積もられており、チェス、シャンチー、将棋と比較して囲碁の方がゲームとして複雑であるとされてきた<ref name=CCC/>。<br />
<br />
チェスの世界では、1996年の[[ガルリ・カスパロフ]]との対局で、初めて単一のゲームで世界チャンピオンにコンピュータが勝利した。また、1997年にはオセロの世界チャンピオンであった[[村上健]]がコンピュータとの6番勝負で6戦全敗し、2006年にはシャンチーのプログラムが[[シャンチー#称号|大師]]との対局に勝利、2012年には将棋棋士(引退)の[[米長邦雄]]がコンピュータに敗れた。<br />
<br />
その一方でコンピュータ囲碁の棋力は伸び悩み、2000年代初頭においてもアマチュアの有段者に及ばない程度の棋力であったが、2000年代後半に入ると[[モンテカルロ法]]を採用したコンピュータの登場により棋力が上昇し、2012年ごろにはアマ六・七段程度の棋力に達した。その後、2016年に[[ディープラーニング]]の技術を用いた[[Google DeepMind]]社の開発した[[AlphaGo]]が、ヨーロッパのプロ棋士樊麾二段に2015年10月に勝利していたことが公表され、2016年3月に行われた韓国のトップ棋士である[[李世乭]]との5番勝負も4勝1敗で制した。Google DeepMind社の発表前は、他のコンピュータプログラムの棋力はまだアマ六・七段程度であり、トップ選手が公の舞台で敗れるかなり前からコンピュータの高い実力が広く知られていた他のゲームとは異なる展開を見せた。<br />
<br />
== 文化における囲碁 ==<br />
=== 囲碁の別称とその意味 ===<br />
囲碁にはさまざまな別称・雅称があるが、それらの中には中国の故事に由来するものも多い。<br />
<br />
そのような故事由来の異称の代表である'''[[爛柯]]'''(らんか)は中国の神話・伝説を記した『[[述異記]]』の次のような話に由来する。[[晋 (春秋)|晋]]の時代、木こりの王質が信安郡の石室山に入ったところ童子たちが碁を打っているのを見つけた。碁を眺めていた王質は童子から[[ナツメ]]をもらい、飢えを感じることはなかった。しばらくして童子から言われて斧を見ると、その柄('''柯''')が朽('''爛''')ちていることに気付いた。王質が山を下り村に帰ると知っている人は誰一人いなくなっていた。<br />
<br />
この爛柯の故事は、囲碁に没入したときの時間感覚の喪失を、斧の柄が腐るという非日常な事象で象徴的に表している。また山中の童子などの[[神仙]]に通じる存在から、こうした時間を忘れての没入を神秘的なものとしてとらえていることもうかがえる。この例と同様に、碁を打つことを神秘的にとらえた異称として'''坐隠'''(ざいん)がある。これは碁にのめりこむさまを座る隠者に通じるとしたもので、'''手談'''(しゅだん)と同じく『[[世説新語]]』の「巧芸」に囲碁の別称として記されている。手談は字の通り、互いに碁を打つことを話をすることと結び付けたものである。<br />
<br />
囲碁の用具に着目した異称として'''烏鷺'''(うろ)がある。碁石の黒白を[[カラス]](烏)と[[サギ]](鷺)にたとえている。'''方円'''(ほうえん)は碁石と碁盤の形からつけられたもので、本来は[[天円地方]]で古代中国の世界観を示していた。のちに円形の碁石と正方形の碁盤から囲碁の別称となった。「'''烏鷺の争い'''」とも言う。<br />
<br />
『[[太平広記]]』巻四十「巴邛人」の話も別称の由来となっている。巴邛に住むある男が[[タチバナ|橘]]の庭園を持っていたが、あるとき霜がおりた後で橘の実を収穫した。しかし3、4[[斗]]も入りそうな甕のように大きな実が二つ残り、それらを摘んで割ってみると、中には老人が二人ずつ入っていた。この老人たちは橘の実の中で碁を打っていた。この話から囲碁は'''橘中の楽'''(きっちゅうのらく、―たのしみ)とも呼ばれる。ただし、原文では老人が遊んでいたのは碁ではなく「象戯」([[シャンチー]])である。<br />
<br />
碁盤には、「天元→[[北極星]]」、「星→星」、「19路×19路=361 → 1年365日」、「四隅→春夏秋冬」など、自然界・宇宙を抽象的に意味づけているとの主張もあるが、361日と365日は10年で40日(一ヶ月以上)も差があり、こじつけという見方もある。<br />
<br />
=== 囲碁に由来する慣用表現 ===<br />
;傍目八目・岡目八目(おかめ はちもく)<br />
:そばで見ていると冷静だから対局者の見落としている手も見え、八目ぐらい強く見える<ref>日本棋院「別冊囲碁クラブNo.37囲碁雑学ものしり百科304ページ「岡目」の項 昭和56年12月」</ref><!--観戦している者の方が、実際に対戦している者よりも八手先の手を読むことができる-->意から、当事者よりも第三者の方がかえって物事の真実や得失がよく分かる例え<ref>{{cite web|url=http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/0/0ss/102448300000/|title=おかめはちもく|accessdate=2012-01-14|publisher=yahoo辞書|archiveurl=https://web.archive.org/web/20120310200845/http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/0/0ss/102448300000/|archivedate=2012年3月10日|deadlinkdate=2017年9月}} ただし「八目」が「八手先」を指すと解釈するのは無理がある。</ref>。<br />
;一目置く(いちもく おく)<br />
:棋力に明らかに差のある者どうしが対局する場合、弱い方が先に石を置いてから始めることから、相手を自分より優れていると見なして敬意を表すること。その強調形の『一目も二目も置く』が使われることもある。<br />
:なお、[[ハンデ]]付で対局する「[[置き碁]]」については、2目以上を置く場合をそのように呼ぶことが多く、1目を置く(黒で先手し、[[コミ]]を出さずに対局する)場合については、一般に「先(せん)」という呼び方が用いられる。<br />
;[[ダメ (囲碁)|駄目]](だめ)<br />
:自分の地にも相手の地にもならない目の意から、転じて、役に立たないこと、また、そのさま。<br />
;[[駄目押し]](だめおし)<br />
:終局後、計算しやすいように駄目に石を置いてふさぐこと。転じて、念を入れて確かめること。また、既に勝利を得るだけの点を取っていながら、更に追加点を入れることにもいう。<br />
;[[八百長]](やおちょう)<br />
:[[江戸時代]]末期、[[八百屋]]の長兵衛、通称八百長なる人物が、よく[[相撲]]の親方と碁を打ち、相手に勝てる腕前がありながら、常に一勝一敗になるように細工してご機嫌を取ったところから、相撲その他の競技において、あらかじめ対戦者と示し合わせておき、表面上真剣に勝負しているかのように見せかけることをいう。<br />
;[[布石]](ふせき)<br />
:序盤、戦いが起こるまでの石の配置。転じて、将来のためにあらかじめ用意しておくこと。また、その用意。<br />
;[[定石]](じょうせき)<br />
:布石の段階で双方が最善手を打つことでできる決まった石の配置。転じて、物事に対するお決まりのやり方。<br />
;[[捨て石]]、捨石(すていし)<br />
:対局の中で、不要になった石や助けることの難しい石をあえて相手に取らせること。転じて、一部分をあえて犠牲にすることで全体としての利益を得ること。<br />
;[[死活]](しかつ)、死活問題(しかつもんだい)<br />
:石の生き死にのこと。また、それを[[詰碁]]の問題にしたもの。転じて、商売などで、生きるか死ぬかという問題ごとにも用いられる。<br />
;[[大局観]](たいきょくかん)<br />
:的確な形勢判断を行う能力・感覚のこと。転じて、物事の全体像(俯瞰像)をつかむ能力のこと。<br />
;目算(もくさん)<br />
:自分と相手の地を数えて形勢判断すること。転じて、目論見や見込み、計画(を立てること)を指す。<br />
<br />
=== 囲碁を扱った作品 ===<br />
==== 文芸 ====<br />
*『[[源氏物語]]』「空蝉」「竹河」「手習」「宿木」<br />
*『[[枕草子]]』「心ゆかしきもの」「遊びわざは…」「碁をやむごとなき人の打つとて…」<br />
*[[川端康成]]『[[名人 (小説)|名人]]』<br />
*[[斎藤栄]]『黒水晶物語』『黒白の奇蹟』<br />
*[[竹本健治]]『囲碁殺人事件』他<br />
*[[内田康夫]]『本因坊殺人事件』<br />
*[[水原秀策]]『黒と白の殺意』<br />
*[[遠田潤子]]『月桃夜』<br />
*[[トレヴェニアン]]『シブミ』<br />
*シャン・サ『碁を打つ女』<br />
*ノ・スンイル『[[オールイン]]』<br />
<br />
==== 映画 ====<br />
*『[[未完の対局]]』[[佐藤純彌]]監督([[南里征典]]による同名[[小説化|ノベライゼーション]]もある)<br />
*『[[Π (映画)|π]]』[[ダーレン・アロノフスキー]]監督<br />
*『[[ビューティフル・マインド]]』[[ロン・ハワード]]監督<br />
*『[[呉清源〜極みの棋譜〜]]』[[田壮壮]]監督<br />
<br />
==== 文楽・歌舞伎====<br />
*祇園祭礼信仰記、金閣寺の段 - “国崩し”[[松永久秀|松永大膳]]と[[豊臣秀吉|此下東吉]]との対局から碁笥を利用した決定的な場面につながる。この話は囲碁用語を解さないとストーリーが理解できない。<br />
<br />
==== 漫画 ====<br />
*[[山松ゆうきち]]『[[天元坊]]』<br />
*[[島本和彦]]『[[逆襲棋士瞳]]』<br />
*[[倉多江美]]『[[お父さんは急がない]]』『続・お父さんは急がない』<br />
*[[ほったゆみ]](原作)・[[小畑健]](画)『[[ヒカルの碁]]』<br />
*[[岡野玲子]]『[[陰陽師 (漫画)|陰陽師]]』<br />
*[[諸星大二郎]]『[[碁娘伝]]』<br />
*[[川原泉]]『[[かぼちゃ計画]]』<br />
*[[竹本健治]]『[[入神]]』<br />
*[[赤塚不二夫]]『ニャロメのおかしなおかしな囲碁格言』<br />
*[[モリエサトシ]]『[[星空のカラス]]』<br />
<br />
====落語====<br />
*[[笠碁]]<br />
*[[碁泥]]<br />
<br />
==== その他 ====<br />
*[[アタリ (企業)|アタリ]] - [[アメリカ合衆国]]のゲーム会社。創業者のノーラン・ブッシュネルが囲碁好きで、囲碁用語から社名を取ったというエピソードは有名。詳細は[[アタリ (企業)|アタリ]]を参照。この後に子会社として「[[テンゲン]]」、ノーランが次に作った会社に「センテ」([[ノーラン・ブッシュネル]]参照)があった。<br />
*[[1988年]]より、市名が囲碁を想起させる[[青森県]][[黒石市]](白石黒石囲碁交流を促進する会)と[[宮城県]][[白石市]](白石黒石囲碁親交会)との間で親善囲碁将棋交流大会が毎年開催されている。<br />
*[[1968年]]に[[イギリス]]・[[東海旅客鉄道|トランスアトランティック・レコード]]から発売された[[ジョン・レンボーン]]と[[バート・ヤンシュ]]の[[LP]]『ジョン・アンド・バート』のカバーには、両人が囲碁にうち興じる写真が使われている。<br />
<br />
==参考文献==<br />
*[[中山典之]]『囲碁の世界』岩波新書 1986年<br />
*『囲碁・将棋文化史展-その伝来から近代まで』[[国立国会図書館]] 1988年<br />
*『江戸時代の囲碁の本―文化遺産詳解』日本棋院 1996年<br />
*水口藤雄『囲碁の文化誌―起源伝説からヒカルの碁まで (碁スーパーブックス) 』日本棋院 2001年<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
{{reflist}}<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
{{Commons&cat|Go|Go (game)}}<br />
{{Wikibooks|囲碁|囲碁}}<br />
{{Wikinewscat}}<br />
{{ウィキポータルリンク|ゲーム|[[画像:10_sided_die.svg|none|34px]]}}<br />
*[[囲碁用語一覧]]<br />
*[[囲碁の形勢判断]]<br />
*[[囲碁の手合割]]<br />
*[[囲碁界]]<br />
*[[日本囲碁大系]]<br />
*[[現代囲碁大系]]<br />
*[[詰碁]]<br />
*[[NHK杯テレビ囲碁トーナメント]]<br />
*[[囲碁の時間]]([[NHK囲碁講座]])<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
*[http://www.nihonkiin.or.jp/ 日本棋院 囲碁公式ホームページ] 公式サイト<br />
*[http://www.kansaikiin.jp/ 関西棋院] 公式サイト<br />
*[http://www.pairgo.or.jp/homej.htm 日本ペア碁協会] 公式サイト<br />
*[http://www.worldpairgo.org/ 世界ペア碁協会] 公式サイト<br />
*[http://jobzukan.com/igogishi.html 囲碁棋士になるには?] 天職攻略大図鑑<br />
*[http://www.qipai.org.cn/ {{lang|zh|中国围棋协会}}] <br />
*[http://www.taiwango.org.tw/index.asp 台湾棋院]<br />
*[http://www.baduk.or.kr/ 韓国棋院]<br />
*[http://www.pandanet.co.jp/ 囲碁パンダネット]<br />
<br />
=== 囲碁入門 ===<br />
* [http://www.nihonkiin.or.jp/teach/lesson/index.html 楽しい囲碁入門(日本棋院)]<br />
* [http://www.kansaikiin.jp/nyumon/index.html 囲碁入門(関西棋院)]<br />
<br />
{{囲碁用語}}<br />
{{Normdaten}}<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:いこ}}<br />
[[Category:囲碁|*]]<br />
[[Category:抽象戦略ゲーム]]<br />
[[Category:スポーツ競技]]</div>
42.150.148.221
アニメーター
2018-07-28T14:02:14Z
<p>42.150.148.221: /* 外部リンク */</p>
<hr />
<div>{{出典の明記|date=2016-02}}<br />
{{Infobox Occupation<br />
| image= [[File:Norman McLaren drawing on film - 1944.jpg|300px]]<br />
| caption= アニメーター [[ノーマン・マクラレン]]<br />
| type= [[芸術]]<br />
| activity_sector= 映画、テレビ、インターネット、マスメディア、テレビゲーム<br />
| competencies= <br />
| formation= <br />
| employment_field= アニメーション<br />
| related_occupation= <br />
| average_salary= <br />
}}<br />
'''アニメーター'''({{lang-en|animator}})とは、[[アニメーション]]の[[アニメ#制作工程|制作工程]]において、作画工程の[[原画]]、[[動画 (アニメーション)|動画]]を担当する人全般を指す。<br />
<br />
商業アニメでは、原画・[[作画監督]]・動画・[[動画 (アニメーション)#動画検査|動画検査]]などが該当する。作画力とキャラクターに演技をつける演出者としての能力も必要で、アニメーターの力量は映像に顕著に現れる。新人は、動画マンを経て、原画マンで経験を積み評価されると作画監督に昇格する。<br />
<br />
[[ストップモーション・アニメーション]]では、[[人形]]等の動きの設計を担当する者、[[3次元コンピュータグラフィックス|3DCG]]アニメーションの制作では動きをつける者のことを示す。<br />
{{main2|人物については[[アニメ関係者一覧]]を}}<br />
<br />
== 作業内容 ==<br />
原画マンは、動きのキーポイントの静止画を作画し、その間の絵をつなげる作業は動画マンが担当する。複雑な動きが要求される場合は原画マンがあらかじめ原画の間に参考絵を足すこともある。出来上がった原画は作画監督にチェックをされる。<br />
<br />
=== 原画 ===<br />
担当する者は原画マンと呼ばれ、演出家と担当パートの打ち合わせを行い、まず、[[絵コンテ]]を元にレイアウトを描き起こす。レイアウト作業ではカメラワーク、背景用の原図、動きのラフなどの絵を用意する(レイアウトのみ専門的に人を割り当てる作品もある)。<br />
<br />
演出はレイアウト上がりがコンテの内容、演出意図とズレがないかを確認し、必要ならば指示を入れ、[[作画監督]](作監)に渡す。演出、作画監督の修正が入り、チェック済みとなったものがレイアウトバックとして各原画マンに戻される。<br />
<br />
複数で作画作業を行なう場合、キャラクター毎に原画を分担させる制作体制を取ることもある。作画効率が低くなる代わりに、1人のキャラクターを1人の原画マンが一貫して責任を持つため演技の設計が行いやすく、また、原画マン毎によるキャラクターの演技や表情に違いが生じないというメリットがある。<br />
<br />
日本では[[カット]]毎に原画作業を分担することが一般的で外注するには都合がよく効率的ではあるが、短いカットの参加では演技設計が難しく、画面や演技の統一感が得られなくなるデメリットがあるため、作画監督が必要となる。<br />
<br />
作画監督は動きをチェックして修正したり、原画マンごとに異なるキャラクターの解釈を[[キャラクターデザイン]]に基づいて修正して画面の統一を図ったりする。アニメーター出身の演出の中には作画監督の領域までタッチすることもある。作品によっては、作画監督間の絵のバラつきを押さえるために、総作画監督を立てることもある。<br />
<br />
紙と鉛筆などアナログな制作環境で行うことが過去から続いているが、ペンタブレットとイラストソフトを利用して原画作業を行う「デジタル原画(作画)」を取り入れる場合がある(デジタル環境が取り入れられているのはCGおよび彩色や撮影が大部分で原画作業では稀。)。<br />
<br />
=== 動画 ===<br />
担当する者は[[動画マン]]と呼ばれ、原画と原画の間を補間するように絵を描き、これを中割りという。また、ラフに描かれた原画の線を拾いクリーンナップ(清書)作業を行うのも動画の役割である。一般的に、新人アニメーターは動画を担当し、技量を認められると動画検査や原画を任せられるようになる。<br />
<br />
原画工程同様に管理役職がおり、動画検査と呼ばれる動きに関する熟練者が動画の修正やリテイクを指示する。<br />
<br />
== CG ==<br />
{{独自研究範囲|[[1990年代]]後半からアニメ制作に[[コンピュータ]]を使うことが一般化([[デジタルアニメ]])したが、アニメーターの作画作業はコンピュータを使わず従来通り紙に鉛筆で描くのが普通である。現在、動画作業の自動化技術には[[トゥーンレンダリング]]などが開発されているが人間や動物の表現は手描きに追い付いていない。|date=2017年3月}}<!-- それではディズニーやピクサー作品は何なのか? --><br />
<br />
== 海外における労働環境 ==<br />
海外のアニメーターには[[フリーランス]]で作業を手懸ける者が多く、その分野では[[エンターテインメント]]領域で働く人間のための特別な[[社会保障制度]]が存在している。特に[[フランス]]に於いてはその制度で[[健康保険]]や[[年金]]が設けられている他、年に1回「Conges Spectacles」(エンターテインメント産業界の休暇の意)という[[有給休暇]]が1カ月分与えられることが最大のメリットとなっている。<ref>この社会保障制度は、映画や演劇などエンターテインメントの分野領域で、規模などが大きな会社に長期所属するわけではない「Intermittents du Spectacle」(エンターテインメント産業界の不定期労働者の意)という不定期に働く人間が対象とされている。</ref><br />
基本は自己申告制であり「'''ここからこの辺りまで休暇を取りたい'''」と伝えると、そこから1ヶ月分の給料を手渡されるようになっている。但し、その前年にあまり働いてなければこの給与が少なくなってしまう欠点を孕んでいる。<ref name="ruvr">{{Cite web|url=http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1608/30/news086.html|title=日本過酷すぎぃ! フランスのクリエイターが語る高待遇な海外アニメ業界|publisher=ねとらぼ|date=2016-08-30|accessdate=2016-09-11}}</ref><br />
<br />
== 日本における労働環境 ==<br />
国内のアニメーターの多くは、有名クリエーターを夢見て目指す者が多い。'''原画'''として成功したときの見返りは多く、高い実力の持ち主が独立した場合などは、多くの収入を得ることも出来るが、独立まで行ける者はほんの一握りであり、'''ほとんどのアニメーターが一般的なサラリーマンの収入よりもはるかに低い年収レベル'''であり、また基礎から育てられずに動画から原画に促成的に移行させられることに因る力量不足などで挫折し、業界を離れて行くケースも多いと言われている。基本的にアニメーターで生活出来ていないと報道されているのは原画へ出世出来ていない動画マンである<ref>http://www.pa-works.jp/sakuga/yoshihara/tobi-yoshihara13.htm.</ref><ref>http://www.nenshuu.net/shoku/any/anime.php</ref>。<br />
<br />
1980年代には低収入という認識が芸術系学生の間で広まっており、当時アニメーターを目指し[[日本大学芸術学部]]へ進学した[[青山剛昌]]は、入会した漫画研究会の先輩である[[矢野博之]]に[[漫画家]]の方が儲かると言われ進路を変更したという<ref>週刊少年サンデー 2016年5月4日号 Vol.21 pp.426-431「サンデー非科学研究所 その4 作画メシ〜青山剛昌先生編2〜『名探偵コナン』が生み出される部屋に潜入セヨ!!」。2016年4月20日発行・発売。</ref>。<br />
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現在の日本のアニメーターの多くは[[契約社員]]かフリーランス([[個人事業主]])であり、[[正規雇用]]([[正社員]])でないため、[[健康保険]]や[[厚生年金]]などの[[福利厚生]]は無い。[[固定給]]制である[[アニメ制作会社|制作会社]]は[[スタジオジブリ]]、[[京都アニメーション]]など少数である。また、実力を認められたアニメーターが会社側から'''拘束'''をうけ、単価とは別の固定給をもらうという場合も存在する。新人アニメーターの担当する作業は低単価の[[動画 (アニメーション)|動画]]であるが、[[原画]]から育成する方針のスタジオも存在する[http://info.toei-anim-inst.jp/?cid=34243]。<br />
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動画1枚・原画1カットの単価×出来高制の[[業務委託]]・[[請負]]形式であるが、アニメ作品の商業的な成功失敗が、請負金額に反映されることは無い。[[作画監督]]は1話の制作期間(2カ月程度)拘束されるため、作品の掛け持ちや、あるいは制作会社が拘束料を支払い専属の[[契約社員]]となる場合もある。<br />
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新人アニメーターの多くは契約社員であり、動画担当は劣悪な労働環境と収入の問題から1年間で90%が辞めていく状態である。'''平均労働時間は1日約18時間'''、週2回は徹夜で'''月収約2~3万円(新人)'''。中堅クラスのアニメーターでも動画マンだと'''月収は約7万5000円~10万円(この金額自体、普通のサラリーマンの手取り金額の40%もない。さらに、この7.5万円~10万円から[[社会保険料]]や[[所得税]]も引かれるため、アニメーターのひと月の手取り金額は5万円以下になることがほとんど)、良くても約15万円'''といわれ、実家からの仕送りや副業により収入を得ていることも多い。<br />
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収入が少ない理由として、1枚の動画の単価が約150円~200円程度であり、採用されなければ0である。また原画動画の単価は昔から大きく変化もしていないこともあり、アニメーターの約25%は年収100万円以下であるといわれる([[日本芸能実演家団体協議会]]の2008年における調査)。<br />
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また30年ほど前は月に、1000枚ほど生産していた動画アニメーターが存在していたのに対し、現在は制作体制が変化し、パソコンにスキャンして彩色する関係上作画の線を綺麗に描かなければならないこと、視聴者から求められている作画のレベルが上がっていることから、1人で多くの枚数を生産しにくい状況となっており、月に500枚描ければ動画マンは一人前とも言われる。動画マンとしての仕事を覚えて現場でアニメーターとしての実力を認められると原画の仕事に移行する<ref>http://www.pa-works.jp/sakuga/yoshihara/tobi-yoshihara13.htm.</ref>。原画の場合は1枚では無く、1カットの単価が約3000円~5000円となり、責任者である作画監督になると、1話あたりの単価が30~40万円ほどになるといわれている。<br />
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また、広告代理店やTV局が制作費の多くを中抜き([[搾取]]・[[ピンハネ]])しており、制作会社に与えられる制作費が少ないため、これも動画マンのアニメーターに十分な報酬がない理由のひとつともいわれている。 アニメ監督の[[山崎理]]は、「アニメ制作の予算配分はおかしく、[[音響監督]]、[[脚本家]]、撮影は、もらいすぎではないか」と疑問を呈している<ref>{{cite news |url = http://www.j-cast.com/2009/09/10049011.html |title = アニメーター年収100万 業界は全員「極貧」か |work = J-CASTニュース |publisher = [[ジェイ・キャスト]] |date = 2009-09-10 |accessdate = 2009-09-11 }}</ref>。<br />
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劣悪な労働条件を改善するため、[[2007年]]([[平成]]19年)[[10月13日]]に、[[スタジオライブ]]社長の[[芦田豊雄]]の呼びかけで、[[日本アニメーター・演出協会]](JAniCA)が設立された<ref>{{cite news |author = [[森有正 (ジャーナリスト)|森有正]] |url = http://mainichi.jp/enta/mantan/archive/news/2007/10/13/20071013mog00m200018000c.html |title = アニメ制作:現場から悲鳴 労働環境改善求め協会設立へ |publisher = [[毎日新聞]] |date = 2007-10-13 |accessdate = 2008-04-19 }}</ref>。<br />
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{{要出典範囲|[[2008年]]に[[ボンズ (アニメ制作会社)|株式会社ボンズ]]名義でアニメーターの個人情報が流出する事件が起こり、アニメーターの格付けが行われている実態が明らかとなった。その格付けによると「こいつは[[解雇|クビ]]」「戦犯」「会社の癌」などとされていた(ボンズ側は一切関係ないと否定)。|date=2017年3月}}<br />
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その一方で、[[中華人民共和国|中国]]の[[ACG (サブカルチャー)|AGC]]企業が日本で会社を設立し、良い人材を集めるため、日本の制作会社より高い待遇を提示する例も見られるようになっている<ref>[http://news.searchina.net/id/1626280?page=1 中国のアニメ企業が、日本のアニメーターをどんどん引き抜いてる=中国メディア] - [[上海サーチナ|サーチナ]](2016-12-31 11:12版/2017年3月15日閲覧)</ref>{{信頼性要検証|date=2018-02}}。<br />
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[[2016年]][[10月]]頃より[[ピーエーワークス|株式会社ピーエーワークス]]所属のアニメーターが自身の[[Twitter]]において、支払明細書を掲げた上で同社の[[雇用]]条件や[[賃金]]に対して、批判的なツイートを連発。この人物が公開した給与のうち、もっとも高額だったのは2016年10月支払分の6万7569円だった<ref>[http://biz-journal.jp/2017/01/post_17614.html “年収100万円未満…アニメ制作現場、超絶ブラックで崩壊の危機か…離職率9割、人材使い捨て常態化”. Business Journal 2017.01.04]</ref>。それらが注目されて、ネット上の各所に情報が拡散される事態となった。<br />
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== 教育 ==<br />
フランスでは以下の国家資格が存在する。<br />
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* 資格レベルIII - [[DMA (学位)|DMA]] Cinéma d'animation<br />
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== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
{{Reflist}}<br />
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== 外部リンク ==<br />
* [http://www.janica.jp/ 日本アニメーター・演出協会 JAniCA]<br />
** {{PDFlink|[http://www.janica.jp/survey/survey2015Report.pdf アニメーション制作者 実態調査 報告書2015]}}<br />
* {{PDFlink|[http://www.janica.jp/events/mam/nenpyou.pdf JAniCA講義 井上俊之さん小黒祐一郎さんと一緒に『もっとアニメを観よう!』配布資料:井上俊之の作画史観に基づく年表]}}<br />
* [http://jobzukan.com/animator.html アニメーターになるには? 天職攻略大図鑑]<br />
* [http://animemirai.jp/ アニメミライ animemirai]<br />
* [http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0905/28/news016.html 20代アニメーターの平均月収は10万円以下 - アニメ産業が抱える問題点とは?]<br />
* {{PDFlink|[http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.january/090123houkokusyo01.pdf アニメーション産業に関する実態調査報告書]|平成21年1月}} - [[公正取引委員会]]<br />
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{{Animation}}<br />
{{Anime-people-stub|*}}<br />
{{Normdaten}}<br />
{{DEFAULTSORT:あにめえたあ}}<br />
[[Category:アニメ製作の手法と役職]]<br />
[[Category:アニメーター|*]]</div>
42.150.148.221
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