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miniwiki - 利用者の投稿記録 [ja]
2024-05-23T05:28:15Z
利用者の投稿記録
MediaWiki 1.31.0
劉裕
2018-07-18T18:01:34Z
<p>34.229.83.15: /* 宗室 */</p>
<hr />
<div>{{基礎情報 中国君主<br />
|名 =武帝 劉裕<br />
|代数 =初代<br />
|呼称 =皇帝<br />
|画像 =[[File:Liu Yu,Song Wudi.png]]<br />
|説明 =<br />
|王朝 =宋<br />
|在位期間 =[[420年]][[7月10日]] - [[422年]][[6月26日]]<br />
|都城 =<br />
|諱 =劉裕<br />
|字 =徳輿<br />
|諡号 =武皇帝<br />
|廟号 =高祖<br />
|生年 =[[363年]][[4月16日]]<br />（[[興寧]]元年[[3月17日 (旧暦)|3月17日]]）<br />
|没年 =[[422年]][[6月26日]]<br />（[[永初 (南朝宋)|永初]]3年[[5月21日 (旧暦)|5月21日]]）<br />
|父 =[[劉ギョウ|劉翹]]<br />
|母 =[[趙安宗]]<br />
|皇后 =ない<br />
|陵墓 =初寧陵<br />
|年号 =[[永初 (南朝宋)|永初]]：[[420年]] - [[422年]]<br />
|注釈 =幼名は'''寄奴'''<br />
}}<br />
'''劉 裕'''（りゅう ゆう）は、[[南北朝時代 (中国)|南朝]]の[[宋 (南朝)|宋]]の初代皇帝。[[廟号]]は'''高祖'''、[[諡|諡号]]は'''武帝'''。[[字]]は'''徳輿'''。幼名は'''寄奴'''。[[徐州]][[彭城郡]]彭城県綏輿里（現在の[[江蘇省]][[徐州市]][[銅山区]]）が本籍であるが、実質は[[南徐州]][[晋陵郡]]丹徒県京口里（現在の江蘇省[[鎮江市]][[丹徒区]]）。ほかの宋王朝と区別するために、劉裕の建てた宋は後世の史家により'''劉宋'''と称されている。<br />
<br />
== 生涯 ==<br />
=== 出自と幼少・青年期 ===<br />
劉裕は[[漢]]の高祖[[劉邦]]の弟である[[彭城郡|楚国]]の元王[[劉交]]の子孫を自称していたが、元来は[[東晋]]の下級官吏の出身であり、実際の出自は不明である。ただし北朝人の[[魏収]]が編纂した『[[魏書]]』島夷劉裕伝によると、[[楚 (春秋)|楚]]の[[項籍|項羽]]の一族は、項羽が自害して劉邦に帰順した項羽の従父（叔父）の[[項伯]]と、最初から劉邦に従軍した項它、項襄などが劉邦の計らいによって劉姓を賜り、列侯になり、劉裕はその項姓劉氏の後裔と述べている。また、本籍地が2つあるのはこの時代珍しくなく、曾祖父の劉混の時代に華北の戦乱を避けて綏輿里から京口に移ったためとも伝わる。<br />
<br />
生母は産後の肥立ちが悪化し、劉裕が産まれてから[[産褥熱|産熱]]で亡くなった。劉裕が生まれた夜、不思議な光が部屋を照らし、父親の劉翹はこのことを不思議に思い、劉裕に奇奴という幼名を名付けたという。困窮した幼少時代であったとされ、父は幼い劉裕のために乳母を雇う金にも事欠き、劉裕は口減らしに父に絞め殺されかけたこともあったという。また、別の説では見かねた義理の姉が代わりに劉裕へ乳を与えていたというエピソードも残っており、そこから幼名を寄奴に改めたとされている。<br />
<br />
父も劉裕が10歳の時に死去、わずかに有していた田での耕作や草履を商い生計を立てていた。[[劉道憐]]・[[劉道規]]は異母弟、隣接する彭城県安上里に住した東晋の左将軍で東興県侯の[[劉懐粛]]、[[劉懐慎]]兄弟は母方の[[いとこ|従兄弟]]に当たる<ref group="注釈">『[[宋書]]』武帝紀</ref>。<br />
<br />
成長した劉裕は気性が大変激しく、しかしその一方で器量も大きく、身分不相応な大望を持っていたという<ref name="新十八史略143">駒田『新十八史略4』、P143</ref>。学問には全く興味を示さず知っている文字は4つか5つほどしかなく、好きなものは[[博打]]（[[樗蒲]]）という無頼の徒も同然だった<ref name="新十八史略143"/>。<br />
<br />
=== 東晋時代 ===<br />
[[399年]]、[[五斗米道]]の信者を中心に起こった[[孫恩 (東晋)|孫恩]]及び[[盧循]]の乱において、劉裕は北府軍の下級将校として数10人の兵卒を率いて数千の敵兵を相手にして戦い、兵卒が全員討ち死にしてしまうと単独で敵軍を蹴散らして勝利を収めるという剛勇を見せた<ref name="新十八史略142">駒田『新十八史略4』、P142</ref>。また劉裕は[[劉牢之]]の北府軍団に従い戦功を立て、軍規の乱れが目に付く北府軍団の中で劉裕の部隊は最も軍規が厳正であったとして信望を集めた上、上官の劉牢之からも上級の将軍として取り立てられ、孫恩軍が建康から撤退した際にはこれを徹底的に追撃して海辺に駆逐して再起不能にならしめた<ref name="新十八史略142"/>。<br />
<br />
ところが[[402年]]、西府軍団を率いる[[桓玄]]が首都の救援の名目で建業を制圧した。この際、劉牢之は桓玄に味方したが劉裕はそれを懸命に諌めるも聞き入れられず<ref name="新十八史略145">駒田『新十八史略4』、P145</ref>、桓玄が[[司馬道子]]らを殺害して実権を握ったため、これを後悔した劉牢之は江北に逃れてともに再起を図ろうと劉裕を誘ったが、劉牢之の度重なる裏切りに愛想を尽かした劉裕は「貴公は強卒10万を率いる将軍であった時には投降し、今朝野の人望を失って刃向かうとはわけのわからぬ事です」と述べて拒絶した<ref name="新十八史略146">駒田『新十八史略4』、P146</ref>。劉牢之は孤立して最期には自殺し<ref name="新十八史略146"/>、劉牢之を失った北府軍団は解体され、劉裕も桓玄の支配に属することになる。<br />
<br />
[[403年]]10月、桓玄が[[安帝 (東晋)|安帝]]を廃して[[禅譲]]を受け、国名を楚として自ら皇帝を称した<ref name="新十八史略146"/>（[[桓楚]]）。この際、桓玄は劉裕を高く評価し、そのための酒宴を何度も開いて慇懃丁寧に応対し、贈与品も手厚くした<ref name="新十八史略147">駒田『新十八史略4』、P147</ref>。しかし桓玄の妻だけは劉裕を恐れて殺害する事を夫に薦めていた<ref name="新十八史略147"/>。<br />
<br />
[[404年]]2月、劉裕は[[劉毅 (東晋)|劉毅]]・[[諸葛長民]]らを同志として、桓玄打倒の反乱を起こした。[[広陵区|広陵]]の桓玄の軍勢を数10名の壮士を率いて夜明けに急襲し、敵は朝食を食らっていた時だったためにそのまま斬り捨てることができた<ref name="新十八史略148">駒田『新十八史略4』、P148</ref>。劉裕はここで兵を募って軍を編成するとすぐ長江を渡って建康に向かい、各地に檄を飛ばした<ref name="新十八史略148"/>。この時の劉裕軍はそれでもわずかに1700名という寡兵であったが、桓玄はなすところも無く敗れて舟で長江から[[荊州区|江陵]]に逃走し、幽閉していた安帝を連れて再度東下したが、攻め上ってくる劉裕軍に蹴散らされて江陵も失い、5月に蜀に逃げる桓玄を討ち取った<ref name="新十八史略148"/>。そして劉裕は桓玄に追放されていた安帝を復位させることに成功した<ref name="新十八史略149">駒田『新十八史略4』、P149</ref>。<br />
<br />
こうして東晋を復興させた功臣として発言力を獲得した劉裕は腹心の[[劉穆之]]の献策に従い、[[中国の宰相|宰相]]となって独裁的な権力を掌握、さらに自らの立場をより強固なものとするため、劉毅・諸葛長民及び[[司馬休之]]・[[司馬文思|文思]]父子ら反対派に対して容赦ない粛清を行った。国内の反対派を粛清する一方、[[410年]]より[[北伐]]を開始する。同年に[[南燕]]を、[[413年]]に[[後蜀 (五胡十六国)|後蜀]]を、[[417年]]には[[後秦]]も滅亡させ、一時的ではあるが[[洛陽]]・[[長安]]を奪還した。後秦と同盟国の[[北魏]]の3万の軍勢をわずか2700名で撃破した記録がある<ref group="注釈">『[[資治通鑑]]』</ref>。これらの功績により劉裕は[[相国]]に任じられ、宋王に封じられた。これらの遠征に関しては漢人の民族意識を満足させ、自らの人望をさらに高める事が目的だったとされている<ref name="新十八史略149"/>。<br />
<br />
=== 即位後 ===<br />
[[418年]]、劉裕は安帝を殺害、東晋最後の皇帝となる[[恭帝 (東晋)|恭帝]]を擁立する。禅譲を計画した劉裕は、[[420年]]に恭帝から禅譲を受けて皇帝に即位し宋を建国、後顧の憂いを断つため恭帝を殺害した<ref name="新十八史略151">駒田『新十八史略4』、P151</ref>。また、東晋の皇室一族を殺戮した。禅譲後に旧皇帝を殺すようになったのは、劉裕からである。なお、極度の障害児だった安帝をわざわざ殺して聡明といわれた恭帝を擁立したのは、劉裕が「昌明（[[孝武帝 (東晋)|孝武帝]]）の後、なお二帝あり」という予言を気にしたためという<ref name="新十八史略149"/>。<br />
<br />
土地政策においては、東晋で地方勢力が跋扈した教訓により、地方豪族の抑制政策を実施した。具体的には、東晋時代の[[404年]]に京口の大地主の[[チョウ逵|刁逵]]（[[チョウ協|刁協]]の孫）を石頭という所で殺害し、刁氏の広大な土地と財産を貧民に分配した。その後、余姚虞氏の[[虞亮]]も殺害している。劉裕は大地主を解体すると同時に戸籍の整備を行った。また、東晋時代に分裂の元となった北府と西府をそれぞれ皇族が治めるよう定めた。<br />
<br />
このように宋の基盤を確固たるものとした武帝であるが、即位後わずか3年で60歳で死去し、長子である[[少帝 (南朝宋)|劉義符]]が即位した。[[徐羨之]]・[[傅亮]]・[[檀道済]]・[[謝晦]]らが後事を託された。<br />
<br />
『[[後漢書]]』の作者[[范曄]]、『[[三国志]]』の注釈を行った[[裴松之]]、[[五胡十六国時代]]や[[南北朝時代 (中国)|南北朝時代]]を代表する[[漢詩|詩人]]の[[陶淵明]]も劉裕に仕えていた。また、『[[世説新語]]』の撰者の臨川康王[[劉義慶]]は劉裕の甥にあたる。<br />
<br />
== 評価 ==<br />
桓玄は「風骨、常ならず、けだし人傑なり」「やがて朕が中原を平らげる時、役立つのはあいつ（劉裕）だよ」と評した<ref name="新十八史略147"/>。桓玄の妻は「劉裕の歩き振りは龍か虎のよう、目つきも尋常では無く、他人の下に甘んじているような人物ではとてもとても思えませぬ。今のうちに始末なさらなければ」と警戒していた<ref name="新十八史略147"/>。<br />
<br />
== 宗室 ==<br />
=== 后妃 ===<br />
劉裕は皇后を封じていない。即位前の[[408年]]に豫章公夫人として死去した[[臧愛親]]を、即位後に敬皇后として追封している。<br />
* 臧愛親<br />
* [[張夫人 (宋武帝)|張夫人]]<br />
* 孫氏<br />
* [[胡道安]]<br />
* 王氏<br />
* 袁氏<br />
* 呂氏<br />
* 孫氏<br />
<br />
=== 子 ===<br />
* [[少帝 (南朝宋)|劉義符]]（少帝）<br />
* [[劉義真]]（廬陵王）<br />
* [[文帝 (南朝宋)|劉義隆]]（文帝）<br />
* [[劉義康]]（彭城王）<br />
* [[劉義恭]]（江夏王）<br />
* [[劉義宣]]（南郡王）<br />
* [[劉義季]]（衡陽王）<br />
<br />
=== 女 ===<br />
* 劉興弟（長女、会稽長公主、[[徐逵之]]の妻）<br />
* 劉栄男（呉興長公主、[[王偃]]の妻）<br />
* 広徳公主<br />
* 宣城公主（周矯の妻）<br />
* 新安公主（王景深の妻）<br />
* 呉郡公主（始安公主の死後、[[チョ湛之|褚湛之]]の後妻となった）<br />
* 富陽公主（徐喬之の妻）<br />
* 始安公主（褚湛之の妻）<br />
* 劉恵媛（義興長公主）<br />
* 劉欣男（豫章長公主、[[徐喬]]にとつぎ、後に[[何ウ|何瑀]]にとついだ）<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
=== 注釈 ===<br />
<references group="注釈"/><br />
=== 引用元 ===<br />
<references/><br />
<br />
== 参考文献 ==<br />
*[[吉川忠夫]]『劉裕―江南の英雄宋の武帝』[[中公文庫]]、1989年。ISBN 4122016711<br />
*[[川勝義雄]]『魏晋南北朝』[[講談社学術文庫]]、2003年。ISBN 4061595954<br />
*[[川本芳昭]]『中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝』〈中国の歴史05〉[[講談社]]、2005年。ISBN 4062740559<br />
* [[駒田信二]]ほか『新十八史略4』（[[河出書房]]新社、[[1997年]][[7月]]）<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
*[[孫恩の乱]]<br />
*[[盧循の乱]]<br />
*[[鶴林寺 (江蘇省)]]<br />
*[[九錫]]<br />
<br />
{{先代次代|[[宋 (南朝)|宋（劉宋）]]の[[中国帝王一覧|皇帝]]|初代：420年 - 422年|―|[[少帝 (南朝宋)|少帝]]|}}<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:りゆう ゆう}}<br />
[[Category:南朝宋の皇帝|ゆう]]<br />
[[Category:鎮江出身の人物]]<br />
[[Category:363年生]]<br />
[[Category:422年没]]</div>
34.229.83.15
武帝 (漢)
2018-07-18T16:41:16Z
<p>34.229.83.15: </p>
<hr />
<div>{{出典の明記|date=2014年2月20日 (木) 19:38 (UTC)}}<br />
{{基礎情報 中国君主<br />
|名 =武帝<br />
|代数 =第7代<br />
|呼称 =皇帝 <br />
|画像 =[[ファイル:漢武帝.jpg|200px]]<br />
|説明 =<br />
|王朝 =前漢<br />
|在位期間 =[[紀元前141年|前141年]][[3月9日]] - [[紀元前87年|前87年]][[3月29日]]<br />
|都城 =<br />
|諱 =劉徹<br />
|字 =<br />
|諡号 =孝武皇帝<br />
|廟号 =世宗<br />
|生年 =[[紀元前156年|前156年]]<br />
|没年 =[[後元]]2年[[2月15日 (旧暦)|2月15日]]（[[紀元前87年|前87年]][[3月29日]]）<br />
|父 =[[景帝 (漢)|景帝]]<br />
|母 =[[王皇后 (漢景帝)|王皇后]]<br />
|皇后 =[[陳皇后 (漢武帝)|陳皇后]]<br>[[衛子夫|衛皇后]]<br />
|陵墓 =茂陵<br />
|年号 =[[建元 (漢)|建元]] : [[紀元前140年|前140年]] - [[紀元前135年|前135年]]<br />[[元光 (漢)|元光]] : [[紀元前134年|前134年]] - [[紀元前129年|前129年]]<br />[[元朔]] : [[紀元前128年|前128年]] - [[紀元前123年|前123年]]<br />[[元狩]] : [[紀元前122年|前122年]] - [[紀元前117年|前117年]]<br />[[元鼎]] : [[紀元前117年|前117年]] - [[紀元前111年|前111年]]<br />[[元封 (漢)|元封]] : [[紀元前110年|前110年]] - [[紀元前105年|前105年]]<br />[[太初 (漢)|太初]] : [[紀元前104年|前104年]] - [[紀元前101年|前101年]]<br />[[天漢 (漢)|天漢]] : [[紀元前100年|前100年]] - [[紀元前97年|前97年]]<br />[[太始 (漢)|太始]] : [[紀元前96年|前96年]] - [[紀元前93年|前93年]]<br />[[征和]] : [[紀元前92年|前92年]] - [[紀元前89年|前89年]]<br />[[後元]] : [[紀元前88年|前88年]] - [[紀元前87年|前87年]]<br />
|注釈 =<br />
}}<br />
'''武帝'''（ぶてい）は、[[前漢]]の第7代[[皇帝]]。{{仮リンク|平陽公主 (漢景帝の娘)|label=平陽公主|zh|平陽公主 (漢景帝之女)}}ら3人の同母姉がいる。彼の治世下で、前漢は最盛期を迎える。<br />
<br />
== 生涯 ==<br />
=== 即位 ===<br />
[[景帝 (漢)|景帝]]の十男（九男とも）として生まれ、魔除けのためにあえて悪字を用いた「{{lang|zh|彘}}」（てい、[[ブタ]]の意）の幼名を与えられる。4歳の時、[[膠東]]王（山東省にあった王国）<ref>「皇帝たちの中国」岡田英弘 著 ISBN 4-562-03148-4</ref>に封ぜられた。先に[[皇太子]]に立っていた{{仮リンク|栗姫|zh|栗姬|label=栗夫人}}が生んだ長兄の[[劉栄]]（栗太子・臨江閔王）を押しのけて16歳で即位した。即位に当たって[[太皇太后]]の{{仮リンク|孝文竇皇后|zh|孝文竇皇后|label=竇氏}}の意向が強く働いていたために、即位当初は竇氏が実権を握っていた。皇后は伯母の{{仮リンク|劉嫖|zh|刘嫖|label=館陶公主}}劉嫖（景帝の同母姉）が産んだ[[陳皇后 (漢武帝)|陳皇后]]（元勲・[[陳嬰]]の孫の堂邑侯[[陳午]]の娘）である（この[[いとこ婚|いとこ同士の夫婦]]の仲は険悪で、祖母の竇太皇太后が亡くなると、近侍の[[張湯]]の助言で離縁した）。<br />
<br />
[[呉楚七国の乱]]により有力な封王が倒れたことで、武帝は中央集権への移行を目指した。[[諸侯王]]が自分の領地を子弟に分け与えて列侯に封建するのを許し、これは推恩の令と呼ばれる。これにより諸侯王の領土は細分化された。<br />
<br />
また、[[郷挙里選]]の法と呼ばれる官吏任用法を採用した。これは各地方郷里の有力者とその地方の太守が話し合って当地の才能のある人物を推挙するもので、武帝は特に儒教の教養を身につけた人物を登用した<br />
<br />
また[[董仲舒]]の献策により[[五経博士]]を設置し、儒教を官学とした<REF>これにより儒教が[[国教]]化されたとするのが伝統的理解であったが、現在ではこれはほぼ否定され、儒教の国教化は少なくとも[[新]]の時代にまで下ると考えられている</REF>。<br />
<br />
=== 外征 ===<br />
これらの体制と[[文景の治]]による多大な蓄積を背景に、宿敵[[匈奴]]への外征を開始した。高祖[[劉邦]]が[[冒頓単于]]に敗れて以来、漢はその孫の[[軍臣単于]]が君臨する匈奴に対して低姿勢で臨んでいたが、武帝は反攻作戦を画策する。<br />
<br />
かつて匈奴に敗れて西へ落ちていった[[月氏|大月氏]]へ[[張騫]]を派遣し、大月氏との同盟で匈奴の挟撃を狙った。同盟は失敗に終わったものの、張騫の旅行によりそれまで漠然としていた北西部の情勢がはっきりとわかるようになった事が後の対匈奴戦に大きく影響した。<br />
<br />
武帝は[[衛青]]とその甥の[[霍去病]]の両将軍を登用して、匈奴に当たらせ、幾度と無く匈奴を打ち破り、[[西域]]を漢の影響下に入れた。更に[[李広利]]に命じて、[[大宛]]（現/中央アジアのフェルガナ地方）を征服し、[[汗血馬]]を獲得した。また[[南越国]]に遠征し、郡県に組み入れ、[[衛氏朝鮮]]を滅ぼして[[楽浪郡]]を初めとする[[漢四郡]]を朝鮮に置いた。<br />
<br />
これらの成果により前漢の最大版図を築き、武帝の治世は前漢の全盛期と賞される。高祖にすら成し遂げられなかった匈奴打倒を達成した武帝は[[泰山]]に[[封禅]]の儀式を行って、自らの功績を上天に報告した。<br />
<br />
=== 治世後半 ===<br />
しかし、全盛は退廃への第一歩でもある。華々しい外征の成果と強大な権力は、彼に過大な自信と、絶対的な権威が脅かされる不安の両方をもたらしたと思われる。次第に武帝に直言して諌めるものは遠ざけられ、華美な言葉で帝を礼賛する臣が武帝をとりまくようになる。外征中に『[[史記]]』の著者である司馬遷が、知人であった[[李陵]]を弁護したことで死刑を命じられ、減刑の結果[[宮刑]]を受けた事件や、李陵の妻子を皆殺しにした事件は、後日李陵の無実も判明していることから、武帝の短気で独断的な性格を物語る逸話として有名である（[[司馬遷]]の項参照）。<br />
<br />
財政面でも、外征や自身の不老長寿願望等から来る奢侈により財政の悪化を齎（もたら）し、前帝までの蓄積により国庫に溢れていたはずの貨幣や物資は空っぽになっていたという。その解決のため[[塩]][[鉄]]の[[専売]]や、増税、[[貨幣改鋳]]も行なった｡これらの負担により流民化する民衆が増え、各地に反乱を誘発させた。<br />
<br />
そして同じく後半期には各地で反徒や盗賊の横行が凄まじく、これに頭を抱えた武帝は[[酷吏]]という法律至上の[[官僚]]を要職に就ける。父帝の代からの[[寧成]]、[[義縦]]、[[張湯]]、[[王温舒]]、[[杜周]]といった者たちが重用され、各地で取り締まりに当たった。この政策は悪い方面に作用した部分も多い。酷吏の重用による厳罰主義は、とにかく多くの罪人を捕らえて処刑することが官吏の職務であるという風潮を生み、社会不安の根本原因である民衆の困窮への対策が軽視されたため、反乱や犯罪、農民の流民化は一向に収まらなかった。取り締まりの効果が上がらないことに業を煮やした武帝は、反乱や盗賊が発生した地方の長官を厳しく罰することにしたが、これはかえって、罰をおそれた地方長官たちが、盗賊の横行や反乱を朝廷に報告しないまま放置するという事態を招く。<br />
<br />
さらに、王温舒などは自分の職権を乱用し、[[賄賂]]を請求したり、無実の人を処刑したり、罪人を要職に就けたりしていた。また、異母兄の[[趙]]の敬粛王の[[劉彭祖]]（生母は賈氏で、中山王[[劉勝]]の同母兄）も酷吏のような仕事を好んでやっていたと『[[史記]]』五宗世家に記されている。<br />
<br />
極めつきが太子の反乱による混乱である。老いにより感情的に不安定になり、迷信深くなった武帝は、[[仙人|神仙]]思想に傾倒するとともに誰かに呪われているという強迫観念をつのらせ、[[江充]]を信任してその探索を命じる。江充は当時皇太子であった戻太子[[劉拠]]に恨みを買っていたため、武帝死後に戻太子に誅殺される事を恐れ、武帝を呪い殺そうとしているという疑惑を戻太子に被せて殺そうとした。進退窮まった劉拠は江充を殺し囚人を武装させて挙兵するが、武帝は[[丞相]]の澎侯・[[劉屈リ|劉屈氂]]（武帝の甥で、中山王劉勝の子）に鎮圧させた。劉拠は逃亡したが、後に自殺したとも、殺害されたとも言われる（巫蠱の獄）。<br />
<br />
武帝の治世下では誰かを呪い殺そうとしたという罪により処刑された者が多かった。当時の呪いは、[[巫蠱]]の術と呼ばれ、人形に呪いたい相手の名前を書き込み、土に埋めるというものだった。この「人形を使う」というところが要所で、証拠の捏造が容易であったため、政敵を陥れたい者や取り締まりの実績を上げたい官吏がこれを悪用することが多く、巫蠱の罪で処刑された者の多くは冤罪だったのではないかと言われる。前出の戻太子の事件のほか、劉屈{{lang|zh|氂}}はその嗣子の妻が弐師将軍・[[李広利]]の娘だったために、李広利の妹が産んだ昌邑王・[[劉ハク|劉{{lang|zh|髆}}]]を太子にすべく巫蠱を行った。それが仇となり、劉屈{{lang|zh|氂}}と李広利の一族は誅殺され、外征中だった李広利は匈奴に投降したものの政敵に殺害されたという。<br />
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その後、長い間に皇太子の座は空白だったが、晩年に至り末子の劉弗陵（後の[[昭帝 (漢)|昭帝]]）を皇太子とし、[[霍光]]・[[金日テイ|金日磾]]・[[上官桀]]の三人に後を託し、直後に死去した。<br />
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== 歴史的評価 ==<br />
武帝の治世の前期は漢の最盛期であり、中国史上において栄光の時代の一つでもあった。しかし、[[文景の治]]による蓄積によっての繁栄であるという見方もあり、後半の悪政も含めて考えれば武帝の評価は分かれる所である。彼自身、外交や遠征などの派手な事業については特筆すべき事柄が多いが、内政に関して見るべきものがない。むしろ、こうした地道な政治を後手に回していたきらいがあり、盛んな造作もあいまって治世末には農民反乱が頻発した。このため、後世は秦の[[始皇帝]]と並び「（英邁な資質ではあるが）大事業で民衆を疲弊させた君主」の代表例として、しばしば引き合いに出されることとなる。<br />
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また、[[二十四節気]]の[[中気]]を用いて[[閏月]]を定める[[置閏法]]を採用して[[太初暦]]をつくり、これが今でも中国や日本の[[太陽太陰暦]]では月名を定める基準となっていることも評価できる。<br />
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== 宗室 ==<br />
=== 后妃 ===<br />
*[[陳皇后 (漢武帝)|陳皇后]]（後に廃される） <br />
*[[衛子夫|衛皇后]]（後に廃される） <br />
*夫人王氏<br />
*姫李氏<br />
*夫人李氏（霍光によって孝武皇后を追諡した。[[反魂香]]、「傾国」の出典）<br />
*[[婕妤]]尹氏 <br />
*[[鉤弋夫人]]（趙{{lang|zh|婕}}妤、昭帝により皇太后の位を追贈された）<br />
<br />
=== 子女 ===<br />
#戻太子 [[劉拠]] <br />
#斉懐王 [[劉コウ|劉{{lang|zh|閎}}]]<br />
#燕剌王 [[劉旦]]<br />
#広陵厲王 [[劉胥]]<br />
#昌邑哀王 [[劉ハク|劉{{lang|zh|髆}}]]（海昏侯[[劉賀]]の父）<br />
#昭帝 [[昭帝 (漢)|劉弗陵]]（または劉弗）<br />
<br />
:*富利公主（戻太子の姉）<br />
:*陽石公主（同上）<br />
:*諸邑公主（同上）<br />
:*蓋鄂邑公主（燕剌王・広陵厲王の姉）<br />
<br />
== 登場作品 ==<br />
;評伝<br />
* [[吉川幸次郎]] 『漢の武帝』 岩波書店〈岩波新書〉<br />
* [[永田英正]] 『漢の武帝』 清水書院・人と思想<br />
* 冨田健之 『武帝 始皇帝をこえた皇帝』 山川出版社〈世界史リブレット人12〉<br />
* 田川純三 『紀行 漢の武帝』 新潮社〈新潮選書〉<br />
;小説<br />
* [[伴野朗]] 『太陽王 武帝』 徳間書店<br />
* [[岡本好古]] 『漢の武帝』 講談社<br />
* [[北方謙三]] 『[[史記]] 武帝紀』 角川春樹事務所<br />
;漫画<br />
* [[諸星大二郎]] 『[[無面目・太公望伝|無面目]]』<br />
;テレビドラマ<br />
* 『[[漢武大帝]]』（2004年、中国、演：[[陳宝国|チェン・バオグオ]]）<br />
* 『[[賢后 衛子夫]]』（2014年、中国、演：[[レイモンド・ラム]]）<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
<div class="references-small"><references/></div><br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
{{Commons&cat|漢武帝|Emperor Wu of Han}}<br />
*[http://www.geocities.jp/cato1963/msg-kns-sfj.html#shuufuuji 秋風辞] - 武帝が作った漢詩。<br />
<br />
{{前漢の皇帝|前141年 - 前87年|第7代}}<br />
{{Normdaten}}<br />
{{DEFAULTSORT:ふてい}}<br />
[[Category:前漢の皇帝]]<br />
[[Category:中国の幼君]]<br />
[[Category:漢の景帝の子女]]<br />
[[Category:LGBTの王族]]<br />
[[Category:西安出身の人物]]<br />
[[Category:紀元前156年生]]<br />
[[Category:紀元前87年没]]</div>
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