Warning : Undefined variable $type in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/extensions/HeadScript/HeadScript.php on line 3 Warning : "continue" targeting switch is equivalent to "break". Did you mean to use "continue 2"? in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/json/FormatJson.php on line 297 Warning : Trying to access array offset on value of type bool in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/Setup.php on line 660 Warning : session_name(): Session name cannot be changed after headers have already been sent in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/Setup.php on line 834 Warning : ini_set(): Session ini settings cannot be changed after headers have already been sent in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/session/PHPSessionHandler.php on line 126 Warning : ini_set(): Session ini settings cannot be changed after headers have already been sent in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/session/PHPSessionHandler.php on line 127 Warning : session_cache_limiter(): Session cache limiter cannot be changed after headers have already been sent in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/session/PHPSessionHandler.php on line 133 Warning : session_set_save_handler(): Session save handler cannot be changed after headers have already been sent in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/session/PHPSessionHandler.php on line 140 Warning : "continue" targeting switch is equivalent to "break". Did you mean to use "continue 2"? in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/languages/LanguageConverter.php on line 773 Warning : Cannot modify header information - headers already sent by (output started at /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/extensions/HeadScript/HeadScript.php:3) in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/Feed.php on line 294 Warning : Cannot modify header information - headers already sent by (output started at /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/extensions/HeadScript/HeadScript.php:3) in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/Feed.php on line 300 Warning : Cannot modify header information - headers already sent by (output started at /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/extensions/HeadScript/HeadScript.php:3) in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/WebResponse.php on line 46 Warning : Cannot modify header information - headers already sent by (output started at /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/extensions/HeadScript/HeadScript.php:3) in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/WebResponse.php on line 46 Warning : Cannot modify header information - headers already sent by (output started at /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/extensions/HeadScript/HeadScript.php:3) in /home/users/1/sub.jp-asate/web/wiki/includes/WebResponse.php on line 46
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miniwiki - 利用者の投稿記録 [ja]
2024-06-21T16:37:37Z
利用者の投稿記録
MediaWiki 1.31.0
ミノア文明
2018-04-14T11:28:36Z
<p>2402:6B00:5609:EF00:F197:8B0F:3478:649A: table style</p>
<hr />
<div>[[ファイル:Map Minoan Crete-en.svg|thumb|376px|クレタ島ミノア文明地図]]<br />
'''ミノア文明'''（ミノアぶんめい）は、[[エーゲ文明]]のうち、[[クレタ島]]で栄えた[[青銅器文明]]のことである。伝説上の[[ミーノース|ミノス]]王にちなみ、'''ミノス文明'''とも呼ばれるが、'''クレタ文明'''と呼ばれることもある。<br />
<br />
== 序 ==<br />
[[File:Knossos Minos's Palace.jpg|thumb|200px|クノッソス宮殿]]<br />
[[紀元前20世紀|紀元前2000年]]頃の中期ミノア期に、地中海交易によって発展し、[[クノッソス]]、{{仮リンク|マリア (クレタ島)|en|Malia, Crete|label=マリア}}、[[ファイストス]]など、島内各地に地域ごとの物資の貯蔵・再分配を行う宮殿が建てられた。宮殿以外にもコモスやパレカストロのような港湾都市が繁栄。また、貿易を通じて[[エジプト]]や[[フェニキア]]の芸術も流入し、高度な工芸品を生み出した。紀元前18世紀ごろには、[[線文字A]]を使用している。<br />
<br />
[[紀元前16世紀|紀元前1600年]]頃の後期ミノア期には、各都市国家の中央集権化、階層化が進み、クノッソス、ファイストスが島中央部を、マリアが島東部をそれぞれ支配するに至ったが[[木材]]の大量伐採による自然環境の破壊が文明そのものの衰退を招き<ref>[[石弘之]]著『歴史を変えた火山噴火ー自然災害の環境史ー』刀水書房 2012年 66ページ</ref>、[[紀元前14世紀|紀元前1400年]]ごろに[[ミュケナイ]]の[[アカイア人]]がクレタ島に侵入、略奪されミノア文明は崩壊した。<br />
<br />
クレタの[[宮殿]]建築は非対称性・有機的・機能的な構成で、[[中庭]]は外部から直接に進入することができ、かつ建物の各部分への動線の起点となっている。建物は常に外部に対して開放されており、当時のクレタが非常に平和であったことが推察される。<br />
<br />
初期の[[宮殿]]建築では、宮殿に接して市民の公共空間が設けられていたが、後期ミノア時代に社会体制が[[中央集権]]化・階層化するとともに次第に公共空間は廃れ、他の建築物が建てられた。祭政を一体として行っていたために、独立した祭儀場を持たない。<br />
<br />
ミノア文明は、紀元前15世紀半ばに突然崩壊した。その原因を、イギリスの考古学者[[アーサー・エバンス]]らは、[[サントリーニ島]]の巨大爆発（ミノア噴火）に巻き込まれたとする説を唱えた<ref>石弘之著『歴史を変えた火山噴火ー自然災害の環境史ー』刀水書房 2012年 65ページ</ref>。しかし、[[アクロティリおよびデケリア|アクロティリ]]遺跡の調査によってミノア文明が滅んだのは、ミノア噴火より50年後ほど経た後であり、サントリーニ島の噴火が直接の原因ではないことがほぼ確定している<ref>出典 : 小山真人『ヨーロッパ火山紀行』ちくま新書、1997年、33頁</ref>。<br />
<br />
== ミノア文明以前 ==<br />
{| class="wikitable" style="float:right;"<br />
|+ style="caption-side:bottom" | ミノア文化における編年<br />
|-<br />
! 年代 !! 土器による編年 !! 文化推移による区分<br />
|-<br />
| 前3650年-3000年<br />
| EMI<br />
| rowspan=4 style="vertical-align:top" | '''前宮殿時代'''<br />
|-<br />
| 前2900年-2300年<br />
| EMII<br />
|-<br />
| 前2300年-2160年<br />
| EMIII<br />
|-<br />
| 前2160年-1900年<br />
| MMIA<br />
|-<br />
| 前1900年-1800年<br />
| MMIB<br />
| rowspan=2 style="vertical-align:top" | '''古宮殿時代'''<br />(第1宮殿時代)<br />
|-<br />
| 前1800年-1700年<br />
| MMII<br />
|-<br />
| 前1700年-1640年<br />
| MMIIIA<br />
| rowspan=4 style="vertical-align:top" | '''新宮殿時代'''<br />(第2宮殿時代)<br />
|-<br />
| 前1640年-1600年<br />
| MMIIIB<br />
|-<br />
| 前1600年-1480年<br />
| LMIA<br />
|-<br />
| 前1480年-1425年<br />
| LMIB<br />
|-<br />
| 前1425年-1390年<br />
| LMII<br />
| rowspan=5 style="vertical-align:top" | '''諸宮殿崩壊後の時代'''<br /> (最終宮殿時代)<br />
|-<br />
| 前1390年-1370年<br />
| LMIIIA1<br />
|-<br />
| 前1370年-1340年<br />
| LMIIIA2<br />
|-<br />
| 前1340年-1190年<br />
| LMIIIB<br />
|-<br />
| 前1190年-1170年<br />
| LMIIIC<br />
|-<br />
| 前1100年 || 亜ミノア文化<br />
|}<br />
<br />
クレタ島では[[ギリシャ]]本土や[[キクラデス諸島]]と並行しながら独自の進化を遂げていた。そのため、本土や島嶼部で発掘されるソースボートはクレタ島では稀にしか発見されず、その逆にクレタ島で発掘される[[ヴァシリキ様式]]([[:de:Vassiliki-Stil|de]])ティーポットは本土や島嶼部で発見されることは稀である<ref name="SGKG78-9">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、pp.78-79]]</ref>。<br />
<br />
そのため、初期[[青銅器]]時代にキクラデス諸島での文化断絶が発生したにもかかわらず、クレタ島ではその傾向は見られず、中期青銅器時代に至ると宮殿が築かれるようになった。この青銅器時代の文化推移についてクレタ島ではエーゲ海で見られる初期、中期、後期と並行した形で前宮殿時代、古宮殿（第1宮殿）時代、新宮殿（第2宮殿）時代、諸宮殿崩壊後（最終宮殿、もしくはクレタのミケーネ）時代という区分が用いられることが多い<ref name="SGKG79">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.79]]</ref>。なお、各時代は土器の様式の変化に伴い、右の表のように細分化されている。<br />
<br />
ミノア文化の盛衰については研究者のあいだでも議論が続いており、高編年を取る者、低編年を取る者の間で100年ほどの差が出ている。ミノア文化について明らかにするには[[線文字A]]の解読、宮殿から得られる情報の整理、宮殿周囲の都市やヴィラ、聖域なども考慮して研究することが必要であるとされており、研究が続いている<ref name="SGKG84">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.84]].</ref>。<br />
<br />
=== 前宮殿時代 ===<br />
==== 土器様式 ====<br />
[[File:Museu arqueologic de Creta13.jpg|thumb|150px|ヴァシリキ様式の土器]]<br />
この細分化された編年で前宮殿時代に属するEMI、EMII、EMIII（初期青銅器時代）、MMIA（中期青銅器時代初期）のにおいて、EMIはピュルゴス土器と呼ばれる部分的に磨かれた装飾が見られる灰黒色の[[土器]]、または水差しが発見されることの多い白色に赤線が描かれたアイオス・オヌフリオス土器が代表となる<ref name="SGKG79"/>。<br />
<br />
EMIIはさらにAとBに細分化されており、Aの方ではクウマサ土器と呼ばれるアイオス・オヌフリオス土器が発展した彩文土器や刻文が彫られた灰色土器が見られる。それに対してBではヴァシリキ土器が多く見られる。このヴァシリキ土器はクレタ東部に多く分布しており、器の外面が磨かれ黒や赤の光沢がある斑が見られるのが特徴である<ref name="SGKG79"/>。<br />
<br />
EMIIIでは黒地に白で文様が描かれているが、この特徴はMMIAにも受け継がれており、MMIAでは赤色がこれに加わっている<ref name="SGKG80">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.80]]</ref>。<br />
<br />
==== 特徴 ====<br />
{{ギリシャの歴史}}<br />
前宮殿時代の代表的遺跡としてミルトスのフルヌウ・コリフィ遺跡が上げられるが、この遺跡はEMIIに所属する。この遺跡はEMII末期に焼壊した後、定住者が現れなかったために当時の様相を残している<ref name="SGKG81">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.81]]</ref>。<br />
<br />
この遺跡は計画的に建てられた物ではなく、家々も小さな部屋で構成されているが、その後の時代に形成された宮殿のような大型の貯蔵庫と思しきものが発見されている。また、遺跡周辺には膨大な数の石皿が発見されており、当時、この遺跡で穀物が粉にされていたことが想像されている<ref name="SGKG81"/>。<br />
<br />
埋葬については共同墓地に何世代もの人々が葬られており、クレタ中部のメサラ平野で見られるトロス墓、クレタ島部のモクロス島で見られる長方形の施設が存在する。ただし、このトロス墓はミケーネ時代のように地下ではなく地上に作られている。また、アルハネスのトロスCではキクラデス文化の石偶が発見されており、クレタ島と[[エーゲ海]]島嶼部が交流していたことが窺える<ref name="SGKG82">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.82]]</ref>。<br />
<br />
その後、前2000年頃になるとクレタ島におけるミノア文化を特徴づける宮殿が成立することになる。これらの宮殿は計画的に建設されており、また、規格化もなされている。そのため、フルヌウ・コリフィの集落のように自然発生したものではなく、クノッソス、マリア、[[ファイストス|フェストス]]、[[ザクロス]]で発見されたそれぞれの宮殿は基本的に同一な構造である。これらの宮殿の規格、構造が同一であることは何らかの人物が主導したと想像されており、この宮殿の成立によってミノア文化の人々が支配する側と支配される側と二分化が始まっていたと思われる。<br />
<br />
また、宮殿は中央に長方形の広場が形成され、その周囲に各種機能を担うブロックが配置されているが、この西側にはさらに広場が構築されている。この西側の広場から宮殿を見たときに宮殿が最も威容を持つようにされており、ここにも二分化の傾向が暗示されている。<br />
<br />
== 古宮殿時代 ==<br />
=== 土器様式 ===<br />
[[File:AMI - Kamaresvase 2.jpg|thumb|150px|カマレス土器]]<br />
この時代、[[カマレス土器]]と呼ばれる白、クリーム色、赤、オレンジ色で大胆に抽象的文様が描かれた土器が生まれる。また、MMIB期に入るとろくろが導入されたと想像されており、その技術はかなり向上している。これらの高い技術は宮殿の成立に伴って製陶が専門化されたことにより生まれたと考えられている<ref name="SGKG84-5">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、pp.84-85]]</ref>。<br />
<br />
=== 特徴 ===<br />
クノッソスの宮殿の最古部はMMIBに属しているが、この時期に宮殿が完成されたわけではなく、北西部と西側の貯蔵庫が最初に構築され、その後、東側の建物が構築されたと考えられている。西側の広場ではクールーレスと呼ばれる円形のピットが３つ掘られており、これらは穀物を地下に貯蔵していたとされている。また、最西部では[[オリーブ・オイル|オリーブ油]]や[[ワイン]]などが貯蔵されており、宮殿が構築当初から農産物の貯蔵に使用されていたことが窺える。また、中央広場東部では土器の補完や紡績の作業場として使用されていたことが推測されており、これらの発展はメサラ平野のフェストス宮殿でも見ることができ、フェストスでは古宮殿時代はフェイズ1、フェイズ2、フェイズ3の三段階に分けられているが、それぞれのフェイズで貯蔵庫、加工の場としての性格が進行している。<br />
<br />
クノッソスの宮殿における祭祀、行政の中核は宮殿西翼の東部で行われており、この中でも重要な箇所である「玉座の間」は過去にミケーネ時代（LMII）に至ってから構築されていたと思われていたが、その後の研究の結果、この時代に構築されたことが明らかになっている{{#tag:ref|ただし、現在見ることのできる玉座やベンチがあったわけではなく、「水祓の間」と呼ばれるミノア文化独自の祭祀施設を中心に構成していたと考えられている<ref name="SGKG87">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.87]]</ref>。 |group=#}}。このようにクノッソスでは祭祀施設が宮殿内部に構築されていたが、マリアの宮殿では宮殿外のMu地区（Quartier Mu）と呼ばれる複合施設に構築されている{{#tag:ref|印章や粘土板が発掘されており、行政の中心地であった可能性も存在する<ref name="SGKG87"/>。|group=#}}。<br />
<br />
これら古宮殿時代の宮殿は高編年では前1780年に地震で全て[[崩壊]]したと考えられている。しかし、その後、崩壊した宮殿の上に同様の計画をもってより規模を拡大したうえで再建されている<ref name="SGKG87"/>。<br />
<br />
== 新宮殿時代 ==<br />
=== 土器 ===<br />
[[File:AMI - Oktopusvase.jpg|thumb|left|150px|海洋文様が描かれた土器]]<br />
新宮殿時代に至ると土器フェイズではMMIIIからLMIBに分類されるが、この時代にミノア文化は最盛期を迎える。MMIII期に入ると[[カマレス土器]]はあまり見られなくなり、その代わりに亀甲波状文が施されたものが現れはじめる。さらに土器の形状も様々なものが生まれ始め、後期青銅器時代に見られる土器で導入された技術が生まれ始めているのがMMIIIの特徴でもある<ref name="SGKG87-8">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、pp.87-88]]</ref>。<br />
<br />
LMIA期に入ると明色地に暗色（赤、茶）で水平方向に渦巻や草花を描くことが普及しはじめる。草花文はカマレス土器にも描かれることがあったが、LMIA期はそれとちがい柔軟で自然主義的な文様が多く、これはフレスコ画にも共通している{{#tag:ref|纏まった資料が出土する場所としてLMIA期の土器は[[サントリーニ島|サントリーニ（テラ）島]]の[[アクロティリ]]遺跡が上げられる<ref name="SGKG88">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.88]]</ref>。|group=#}}<ref name="SGKG88">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.88]]</ref>。<br />
<br />
LMIBに入ると新たに「宮殿伝統」として高度な芸術性を持った精製土器群が現れる。この土器には海洋文様式、草花文様式、抽象文様式、交互様式の4様式が見られる<ref name="SGKG88"/>。<br />
<br />
=== 特徴 ===<br />
[[File:Cnossos-planol.png|thumb|150px|クノッソス宮殿の平面図]]<br />
古宮殿時代に一度は崩壊したクノッソスの宮殿もその上に新たに宮殿が再建された。この再建は同時に行われたものではなく、徐々に造営されたと考えられている。この再建時に「玉座の間」も玉座が作られ、それを取り巻くベンチも作られたと考えられるが、この玉座が作られた経緯、その機能については現在も議論が続いている<ref name="SGKG89">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.89]]</ref>。<br />
<br />
[[File:Knossos - 05.jpg|thumb|left|150px|玉座の間、壁にはグリフォンが描かれている]]<br />
ただし、玉座背後の壁には一対の[[グリフォン]]が描かれているが、この一対のグリフォンが印章などに描かれていた場合、女性を守る図で描かれることが多いことからこの玉座に座って宗教的、もしくは世俗的な行為を行ったのが女性であった可能性が高い。また、「玉座の間」の南側には宮殿における信仰の中心地であったと考えられている神聖な円柱を含む祭祀施設が構築されており、さらにその奥側には神聖な供物を保管する地下格納庫が構築されていた<ref name="SGKG89"/>。<br />
<br />
この地下格納庫では陶製の蛇を持つ女神像や線文字Aが刻まれた粘土板が出土しているが、これらのものが同じ場所で出土したことは祭祀と行政が堅く結ばれていたことを示していたと思われる<ref name="SGKG87"/>。<br />
<br />
[[File:Knossos - 06.jpg|thumb|150px|牛飛びの儀式]]<br />
新宮殿でも中央広場が構築されており、この広場では牛飛びの儀式が行われた場所とされているが、これには異論も存在しており、西側広場で行われていたものを描いたと思われる[[フレスコ|フレスコ画]]と中央広場で行われていたものを描いたフレスコ画では描かれた若者の服装や髪型に違いが見られるが、これはこの広場が運動場であったわけではなく、集会場、いわゆる古代ギリシャにおいて行われた[[アゴラ]]を暗示するものと考えられている<ref name="SGKG90">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.90]]</ref>。<br />
<br />
=== 宮殿 ===<br />
ミノア文化の宮殿は各地から集まる物資の貯蔵、加工を行い、それを[[再分配]]するシステムの中心地であった。マリアやザクロスでは宮殿を中心に町が形成されている。ただし、ザクロスの場合は海に面した地域で港湾都市が形成され、その後、宮殿が形成されたと推測されている。グルニア、コモス、パレカストロでは宮殿とは別の箇所で町が形成されている。特にパレカストロでは町の規模が宮殿を上回っており、街道を中心に形成されている。また、発掘が進められているコモスも港湾都市であり、宮殿と同規模の町が発見されている<ref name="SGKG91-2">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、pp.91-92]]</ref>。<br />
<br />
新宮殿時代に至ると都市とは別にヴィラと呼ばれる孤立家屋が普及し始める。ヴィラは複数の部屋で構成される一軒屋、もしくは複数の家屋群で構築されていることがあるが、これらは宮殿と同じように物資の貯蔵施設があり、アルハネス南のヴァシペトロのヴィラではワイン、オリーブ油を製造する遺構が発見されており、さらにこのヴィラは円柱をめぐらした吹き抜けの2階部分にバルコニーがついたものが発掘されており、これは当時の姿をよく伝えている<ref name="SGKG92-3">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、pp.92-93]]</ref>。<br />
<br />
ミノア文化は[[多神教]]であったが、宮殿は信仰の中心地でもあった。各地の宮殿は祭祀に関わる施設が作られ、多くの宮殿には聖域が構築されており、そこには『聖別の角』が飾られていた{{#tag:ref|この『聖別の角』と『双斧』（[[ラブリュス]]）はミノア文化における特別な象徴であったと思われる<ref name="SGKG93">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.93]]</ref>。 |group=#}}。<br />
<br />
== 発掘 ==<br />
[[File:Arthur evans.jpg|thumb|200px|アーサー・エヴァンス]]<br />
ミノア文明発掘は[[1884年]]、クレタ島を訪れた[[イタリア]]の研究家ハルブヘルによる、前5世紀に著されたとされるゴルテュン法典の発見が嚆矢となった。<br />
<br />
その後、[[イギリス]]の考古学者である[[アーサー・エヴァンズ]]は、エジプトや[[メソポタミア]]の例を見る限り、[[ハインリヒ・シュリーマン]]が発見した[[イリオス|トロイア]]と[[ミュケナイ]]における高度な文明は文字なしには成立し得ないと考え、[[アテネ]]の店先で見たクレタ島起源の護符のような印章に[[象形文字]]と思われる記号があったことからクレタ島へ向かった<ref name="SGKG75-7">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、pp.75-77]]</ref>。<br />
<br />
エヴァンスはクレタ全域を踏破した後、ギリシャ人ミノス・カロケリノスが[[1878年]]に発見したケファラの丘を発掘地に定めた。エヴァンスにとって幸運なことに[[1900年]]にクレタ島が[[オスマン帝国]]からギリシャ領となっていたことや[[ミロス島]]のフィラコピ遺跡に携わっていたマッケンジーの協力を得たことにより発掘は順調に進んだ<ref name="SGKG77-8">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、pp.77-78]]</ref>。<br />
<br />
1900年、クノッソス宮殿が発掘されギリシャ本土より200年以上前にギリシャを彩った文明の痕跡が発見された。エヴァンスはこれをミノア文明（Minoan）と名付けた<ref name="SGKG78">[[#周藤(ギリシア考古学)|周藤 (1997-a)、p.78]]</ref>。<br />
<br />
== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
=== 注釈 ===<br />
{{reflist|group=#|1}}<br />
=== 参照 ===<br />
{{reflist|2}}<br />
==参考文献==<br />
* {{Cite book|和書|author=周藤芳幸著|year=1997|title=<small>世界の考古学3</small>ギリシアの考古学|publisher=同成社|isbn=4-88921-152-6|ref=周藤(ギリシア考古学)}}→周藤 (1997-a)と表記<br />
* {{Cite book|和書|author=周藤芳幸著|year=2006|title=<small>諸文明の起源 7</small>古代ギリシア 地中海への展開|publisher=京都大学学術出版会|isbn=4-87698-816-1|ref=周藤（古代ギリシア)}}<br />
* {{Cite book|和書|author=Ｊ・チャドウィック著 大城功訳|year=1997|title=線文字Bの解読<small>第2版</small>|publisher=みすず書房|isbn=4-622-05015-3|ref=チャドウィック（線文字Bの解読)}}<br />
<br />
== 関連項目 ==<br />
*[[古代ギリシア]]<br />
*[[古代ギリシアのボクシング]]<br />
*[[アトランティス]]<br />
<br />
== 外部リンク ==<br />
{{Commonscat|Minoan culture}}<br />
*[http://odysseus.culture.gr/h/3/eh30.jsp クノッソス宮殿]<br />
*[http://odysseus.culture.gr/h/1/eh10.jsp イラクリオン考古学博物館]<br />
*[http://www.historical-museum.gr/en/ クレタ歴史博物館公式サイト（英語）]<br />
<br />
{{古代文明}}<br />
{{古代ギリシア}}<br />
{{DEFAULTSORT:くれたふんめい}}<br />
<br />
[[カテゴリ:古代ギリシア]]<br />
[[カテゴリ:クレタ島の歴史]]<br />
[[カテゴリ:文明]]<br />
[[カテゴリ:青銅器時代]]</div>
2402:6B00:5609:EF00:F197:8B0F:3478:649A
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