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miniwiki - 利用者の投稿記録 [ja]
2025-01-13T07:45:27Z
利用者の投稿記録
MediaWiki 1.31.0
格付け機関
2017-10-02T18:09:48Z
<p>2400:7800:4975:9200:315B:1075:A75D:AE9C: /* 信用格付の信憑性 */</p>
<hr />
<div>'''格付会社'''(かくづけがいしゃ、{{lang-en|rating firm}})とは、[[金融商品]]または[[企業]]・[[政府]]などについて、その信用状態に関する評価の結果を記号や数字を用いて表示した等級([[信用格付け]])を付与する企業。'''格付機関'''(かくづけきかん、{{lang-en-short|rating agency}})または'''信用格付機関'''(しんようかくづけきかん、{{lang-en-short|credit rating agency}})とも言う。<br />
<br />
==概要==<br />
格付会社は、発行体からの依頼により、または依頼を受けずに、経営陣とのミーティング、財務分析、業界分析などを行い、金融商品または企業・政府などの信用力をある一定の基準に基づいて、「Aa3」「AA-」などの記号や数字を用いて表示した等級で評価する。この「Aa3」「AA-」などと付けられた評価を'''[[信用格付け]]'''という。この信用格付は公表され、投資家が債券などの金融商品への投資を行なう際の参考データとなるほか、[[株価]]などに大きな影響力を持っている。<br />
<br />
しかし、[[2008年]]の[[世界金融危機 (2007年-)|世界金融危機]]の際には、それまで最上級のトリプルA(AaaまたはAAA)の信用格付けが付与されていた[[サブプライムローン]]が、数日後にはジャンク格にまで格下げされるなど、[[リーマン・ショック]]を引き起こした一端として、格付会社のあり方が[[G7]]で問題になった。<br />
<br />
近年では、個々の債券のみならず、債券の発行体(企業)自体も評価している。大学や株式、[[プロジェクト・ファイナンス]]、[[ストラクチャード・ファイナンス]]等による金融商品も、格付会社による信用格付の対象となっている。<br />
<br />
'''[[信用格付け]]'''は将来についての評価であるため、必然的に主観的な評価となる。格付会社はできるだけ公平・中立な評価を行なうため、複数のアナリストの意見をもとに信用格付を行うが、主観的な評価となることは避けられない。格付会社のポリシー、見解の相違、方法論、[[利益相反行為]]は微妙に異なるため、同じ発行体への評価でも、格付会社によって信用格付が異なることがある。<br />
<br />
信用格付けはあくまで「'''格付会社の私的な意見'''」であり、投資情報の一つとして位置づけられるものである。また、低い信用格付をつけられた発行体から反論が行なわれることがある。発行体の宣伝活動やディスクローズ誌で、高格付を対外的にアピールする企業は多いが、個々の債券に対する信用格付けは、あくまで「債務の履行能力」を評価しており、当該企業に対する総合的な評価や成長性を示したものではないことにも注意する必要がある。<br />
<br />
==信用格付の信憑性==<br />
[[2007年]]から表面化した「[[サブプライム住宅ローン危機]]」に端を発する[[世界金融危機 (2007年-)|世界金融危機]]では、[[サブプライムローン]]証券化商品に対して付与された「信用格付の不透明な内容」が、問題視された。<br />
<br />
サブプライムローンの様な、信用力の低い貸付であっても、[[証券化]]商品として組成される過程で他のローンと組み合わされると、[[大数の法則]]により、一度に破綻することはなくリスクが低下したと見なされて、[[不動産証券化]]商品としては、一番高い信用格付け(例えばAAAなど)が付され得たが、その正確性に重大な疑問が呈され、世界金融危機で格付会社の信頼は完全に失墜し、世界各国において格付会社に対する法規制が導入される契機となった。<br />
<br />
[[経済学者]]の[[高橋洋一 (経済学者)|高橋洋一]]は「破綻寸前だった[[エンロン]]や[[ワールドコム]]に、投資適格の格付けがされていたり、サブプライムローンなどに高い格付けがなされていた。格付けの信頼性はその程度である」と指摘している<ref>[http://biz-journal.jp/2015/02/post_8908.html 格付け会社のデタラメな実態 不正疑惑で調査、破綻寸前企業に高格付け、市場で影響力小]ビジネスジャーナル 2015年2月12日</ref>。<br />
<br />
他方で、[[国債]]に対する格下げについては、主として政府関係者から、内容の正確性について批判がなされることがある。また[[2011年]]現在では、[[証券取引委員会]](SEC)に登録を受けた格付会社(NRSRO)10社のうち、[[S&P グローバル・レーティング|S&P]]・[[ムーディーズ]]・[[フィッチ・レーティングス|フィッチ]]の3者で、格付け市場の9割以上が占められており、寡占による弊害を懸念する声もある<ref>[http://web.archive.org/web/20110918085115/http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20110824/ecn1108240942000-n1.htm 経済・マネー 【金融スクープ】格付け会社の深層…一見危うい中立性] ZAKZAK 2011年8月24日(2011年9月18日時点の[[インターネットアーカイブ]])</ref>。<br />
<br />
なお信用格付けは、信用力に対する意見に過ぎないものの、これが資金調達コストに反映される結果、信用格付が信用力や株価に影響を与えるという点も指摘されている。<br />
<br />
==格付記号の例==<br />
長期格付の例。格付会社によって表現が異なる。<br />
<br />
;ムーディーズの場合<br />
:*Aaa - 最高位<br />
:*Aa<br />
:*A - 投資適格程度<br />
:*Baa - 中程度のリスク<br />
:*Ba - 投機的要素あり<br />
:*B - 投機的であり、信用リスクが高い<br />
:※Aa以下では上記に「1」「2」「3」が加わる。<br />
:<br />
;他社の場合<br />
:*AAA - 最高位<br />
:*AA<br />
:*A - 投資適格程度<br />
:*BBB - 中程度のリスク<br />
:*BB - 投機的要素あり<br />
:*B - 信用力に問題あり<br />
:※AA以下では上記に「+」「-」が加わる(例:「A+」「BB-」など)。<br />
<br />
==日本の格付会社==<br />
日本では[[金融庁]]に登録を受けた格付会社は'''信用格付業者'''と呼ばれ、2013年1月31日現在、以下の7社である。<br />
{| class="wikitable"<br />
|-<br />
! 登録番号 !! 業者名<br />
|-<br />
| 金融庁長官(格付)第1号 || 株式会社[[日本格付研究所]](JCR)<br />
|-<br />
| 金融庁長官(格付)第2号 || ムーディーズ・ジャパン株式会社([[ムーディーズ|Moody's]])<br />
|-<br />
| 金融庁長官(格付)第3号 || ムーディーズSFジャパン株式会社(Moody's)<br />
|-<br />
| 金融庁長官(格付)第5号 || [[スタンダード&プアーズ]]・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)<br />
|-<br />
| 金融庁長官(格付)第6号 || 株式会社[[格付投資情報センター]](R&I)<br />
|-<br />
| 金融庁長官(格付)第7号 || [[フィッチ・レーティングス]]・ジャパン株式会社(Fitch)<br />
|-<br />
| 金融庁長官(格付)第8号 || 日本スタンダード&プアーズ株式会社(S&P)<br />
|}<br />
<br />
==脚注==<br />
<references /><br />
<br />
{{Economy-stub}}<br />
{{デフォルトソート:かくつけきかん}}<br />
[[Category:金融]]<br />
[[Category:格付け機関|*]]<br />
[[Category:グローバリゼーション]]</div>
2400:7800:4975:9200:315B:1075:A75D:AE9C
密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律
2017-10-02T17:40:33Z
<p>2400:7800:4975:9200:315B:1075:A75D:AE9C: </p>
<hr />
<div>{{law}}<br />
{{日本の法令|<br />
題名=密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律|<br />
通称=密集市街地整備法|<br />
番号=平成9年5月9日法律第49号|<br />
効力=現行法|<br />
種類=[[法律]]|<br />
内容=密集市街地における防災街区の整備の促進について|<br />
関連=[[都市計画法]]、[[建築基準法]]、[[建物の区分所有等に関する法律|区分所有権法]]など|<br />
リンク= [http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO049.html 総務省法令データ提供システム]<br />
|}}<br />
'''密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律'''(みしゅうしがいちにおけるぼうさいがいくのせいびのそくしんにかんするほうりつ)は、密集[[市街地]]について計画的な[[再開発]]又は開発整備による防災街区の整備を促進するために必要な措置を講ずることにより、密集市街地の[[防災]]に関する機能の確保と土地の合理的かつ健全な利用を図り、もって[[公共の福祉]]に寄与することを目的として制定された[[法律]]である。<br />
<br />
==構成==<br />
*第一章 総則(第1条・第2条)<br />
*第二章 防災街区整備方針(第3条)<br />
*第三章 防災再開発促進地区の区域における建築物の建替え等の促進<br />
**第一節 建築物の建替えの促進(第4条―第12条)<br />
**第二節 延焼等危険建築物に対する措置(第13条―第29条)<br />
**第三節 独立行政法人都市再生機構の行う受託業務(第30条)<br />
*第四章 特定防災街区整備地区(第31条)<br />
*第五章 防災街区整備地区計画等<br />
**第一節 防災街区整備地区計画(第32条―第33条)<br />
**第二節 防災街区整備権利移転等促進計画(第34条―第39条)<br />
**第三節 防災街区計画整備組合<br />
***第一款 総則(第40条―第44条)<br />
***第二款 事業(第45条―第47条)<br />
***第三款 組合員(第48条―第61条)<br />
***第四款 管理(第62条―第87条)<br />
***第五款 設立(第88条―第96条)<br />
***第六款 解散及び清算(第97条―第104条)<br />
***第七款 監督(第105条―第109条)<br />
***第八款 雑則(第110条―第115条)<br />
**第四節 建築物の敷地と道路との関係の特例(第116条)<br />
*第六章 防災街区整備事業<br />
**第一節 総則(第117条―第119条)<br />
**第二節 防災街区整備事業に関する都市計画(第120条・第121条)<br />
**第三節 施行者<br />
***第一款 個人施行者(第122条―第132条)<br />
***第二款 防災街区整備事業組合<br />
****第一目 通則(第133条―第135条)<br />
****第二目 設立(第136条―第143条)<br />
****第三目 管理(第144条―第162条)<br />
****第四目 解散(第163条・第164条)<br />
****第五目 税法上の特例(第164条の2)<br />
***第三款 事業会社(第165条―第178条)<br />
***第四款 地方公共団体(第179条―第187条)<br />
***第五款 独立行政法人都市再生機構等(第188条―第190条)<br />
**第四節 防災街区整備事業の施行<br />
***第一款 測量、調査等(第191条―第200条)<br />
***第二款 権利変換手続<br />
****第一目 手続の開始(第201条―第203条)<br />
****第二目 権利変換計画(第204条―第218条)<br />
****第三目 権利の変換(第219条―第227条)<br />
****第四目 土地の明渡し等(第228条―第234条)<br />
****第五目 防災施設建築物の建築等の特例(第235条―第243条)<br />
****第六目 工事完了等に伴う措置(第244条―第253条)<br />
****第七目 権利変換手続の特則(第254条―第257条)<br />
***第三款 個人施行者等の事業の代行(第258条―第262条)<br />
***第四款 費用の負担等(第263条―第266条)<br />
***第五款 雑則(第267条―第280条)<br />
*第七章 防災都市施設の整備のための特別の措置(第281条―第288条)<br />
*第八章 防災街区整備推進機構(第289条―第292条)<br />
*第九章 雑則(第293条―第300条)<br />
*第十章 罰則(第301条―第323条)<br />
*附則<br />
<br />
==関連項目==<br />
*[[防災]]<br />
*[[都市計画]]<br />
<br />
{{law-stub}}<br />
{{Disaster-stub}}<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:みつしゆうしかいちにおけるほうさいかいくのせいひのそくしんにかんするほうりつ}}<br />
[[category:日本の法律]]<br />
[[Category:日本の災害関連法規]]<br />
[[category:日本の防災]]<br />
[[category:日本の都市計画関連法規]]<br />
[[Category:1997年の法]]</div>
2400:7800:4975:9200:315B:1075:A75D:AE9C
匿名
2017-10-02T14:41:05Z
<p>2400:7800:4975:9200:315B:1075:A75D:AE9C: /* 民主主義の基礎としての匿名 */</p>
<hr />
<div>{{出典の明記|date=2009年6月}}<br />
'''匿名'''(とくめい)とは、何らかの行動をとった人物が誰であるのかがわからない状態を指す。自分の実名・正体を明かさないことを目的とする。<br />
<br />
==概説==<br />
各人の匿名性を保証することにより、各人の[[プライバシー]]が保護できるという利点がある一方で、匿名である事に隠れ蓑にして悪事を行われかねないという欠点がある。<br />
<br />
各人のプライバシーが保護されるという匿名性の利点を最大限に生かせる行為として、[[告発]]がある。<br />
匿名性が保証された方法で権力者や企業の不正を暴露することで、告発者が不当な弾圧や差別を受けることなく不正を公にすることができる。<br />
<br />
また、[[寄付]]を初めとした社会的善行も、匿名でおこなわれることがある。<br />
自分が誰であるのかを隠して寄付をおこなうことで、売名のために寄付したのではないことを示すことができ、かつ周囲から余計な詮索を受けずに寄付をおこなうことができる。<br />
<br />
一方で、匿名性は悪事を助長しかねない一面がある。自分が誰であるのかを特定されなければ、後で自分の言動に対する社会的[[責任]]を追及される危険がないので、匿名の陰に隠れて他人を[[誹謗中傷]]する、といった悪事をおこなう者が現れかねない。<br />
<br />
== 匿名性のレベル ==<br />
一口に「匿名」といっても、強い匿名性から弱い匿名性までさまざまなレベルがある。<br />
<br />
=== Unlinkability ===<br />
任意のA,Bに対し、Aをおこなった人物とBをおこなった人物が同一人物であるかどうかを判定することはできないことを'''Unlinkability'''(直訳すれば「非連結性」)という。<br />
<br />
各人にPseudonym([[偽名]]、例えば[[ペンネーム]]や[[ハンドルネーム]])を割り振れば一応の匿名性を確保できるが、この場合にはUnlinkabilityは満たされない。Aをおこなった人物のPseudonymとBをおこなった人物のPseudonymが同じかどうかを調べることで、Aをおこなった人物とBをおこなった人物が同一人物であるか判定できるからである。<br />
<br />
強い匿名性が要求される場合は、Unlinkableであることが望ましい。<br />
<br />
「匿名」という言葉には細かくいえば2つの意味があり、Unlinkablityを満たさないと「匿名」といわない場合と、Unlinkablityを満たさなくても「匿名」という場合がある。<br />
<br />
Unlinkablityを満たす場合の「匿名性」と区別するため、Unlinkablityを満たさない場合の「匿名性」を'''Pseudonymity'''(直訳すれば「偽名性」)ということがある。<br />
<br />
=== Undeniability ===<br />
Aを行ったのが自分でないという事を第三者に証明できるとき、'''deniable'''(直訳すれば「否認可能」)であるといい、そうでないとき'''undeniable'''(直訳すれば「否認不能」)であるという。<br />
<br />
今Aをおこなった可能性がある人物が100人いるとする。このうち、99人が自分はAをおこなっていないことを証明したならば、最後の一人がAをおこなったのだと結論づけることができてしまう。<br />
<br />
強い匿名性が要求される場合には、undeniableであることが望ましい。<br />
<br />
=== Escrow Agent ===<br />
しかし、完全に匿名性を保証してしまうと、匿名性を悪用する者が現れかねない。そこで、Escrow Agent(追跡者、開示者)と呼ばれる一部の権限者にのみ、誰が誰であるのかを特定する権限を与える場合がある。<br />
<br />
== 暗号理論と匿名性 ==<br />
匿名性を保証し、しかも同時に匿名性を悪用されない方法をみつけることは、[[暗号]]研究における大きなテーマの一つである。<br />
<br />
匿名性に関わる代表的な暗号プロトコルとして以下のものがある。<br />
<br />
=== 電子投票方式 ===<br />
[[電子投票]]方式では、投票者の[[プライバシー]]を保証するため、匿名性が要求される。<br />
<br />
次の2つの要件が数学的に保証されるとき、電子投票方式は安全であるという。<br />
*どの投票者が誰に投票したのかは誰にもわからない。<br />
*投票結果は正しく集計される。<br />
<br />
=== 電子入札方式 ===<br />
[[電子入札]]方式においても、入札者のプライバシーを保証するため、匿名性が要求される。<br />
<br />
次の2つの要件が数学的に保証されるとき、[[電子入札]]方式は安全であるという。<br />
*落札者と入札者の入札金額だけが公知となる。その他の入札者がどの金額で入札したのかは誰にもわからない。 <br />
*入札結果を偽ることはできない。<br />
<br />
=== [[暗号]] ===<br />
普通の[[公開鍵暗号]]の場合、送信者の匿名性は保証されるが受信者の匿名性は保証されない。<br />
<br />
しかし、受信者の匿名性に考慮した暗号方式の研究もなされている。<br />
<br />
=== グループ署名方式 ===<br />
各ユーザは'''発行者'''という権限者と通信することでグループに加わることができる。グループのメンバーは署名文を作成できる。<br />
<br />
この署名文は署名者がグループに属することを保証するが、署名文から署名者がどのメンバーであるのかを特定することはできない。ただし、'''追跡者'''という権限者のみは例外的に署名者を特定する権限が与えられている。<br />
<br />
グループ署名方式ではUnlinkabilityとUndeniabilityが保証されている。<br />
<br />
グループ署名方式では、追跡者に署名者を特定できる権限を与えることで、グループメンバーが匿名性を悪用することを抑止できているという利点がある。しかしグループ署名方式では、追跡者に対しては一切の匿名性が保てないので、追跡者は信頼できる人物でなければならない。グループ署名方式には、追跡者に対しては一切の匿名性が保てないという欠点がある。より匿名性を高めるため、署名者が指定回数以上の署名をおこなった場合にのみ、追跡者が署名者を特定できるグループ署名方式も存在する。<br />
<br />
== 報道における匿名 ==<br />
[[報道]]においては、たとえば「情報発信源を明らかにしない」という約束で、記者が実力者・役職者らから談話をもらうことがある(詳細は[[オフレコ]]を参照)。<br />
<br />
[[事件]]・[[事故]][[報道]]では、[[被害者]]となった人物の氏名が明かされることにより、暴力的・攻撃的な取材([[メディアスクラム|メディア・スクラム]])がおこなわれ、また、名が世間に広まることによって、従来の静謐な生存環境が破壊されるという現象が、広範に発生している。これらを、'''二次被害'''という。とくに、子供など何らの反論手段を持たない社会的弱者にとって、二次被害によって受ける心理的な傷は甚大なものである。二次被害を防止するため、捜査当局が報道側に対して被害者の個人情報を漏洩することを禁止すべきだ、という論議が近年、急速に高まっている。<br />
<br />
加害者に目を移すと、[[被疑者]]・加害者少年の匿名報道が[[少年保護手続#記事等の掲載の禁止|少年法61条]]で義務付けられている[[少年犯罪]]など一部を除けば、日本では[[実名報道]]がほとんどである。[[マスメディア]]の多くは、被疑者が[[警察]]などの公権力から[[人権]]侵害を受けるのを防ぐために、実名報道は必要だと主張している。<br />
<br />
これらの主張に対しては、実名報道は[[プライバシー]]を侵害することがあり、被害者やその家族を苦しめるだけでなく、仮にそれが[[冤罪]]であることが分かった場合には、被疑者に取り返しのつかないダメージを与える・また刑に服した後の元犯罪者の更生の機会を奪っている、という批判がある。<br />
<br />
逆に警察などの公権力に対しては、被疑者に対し匿名性を高くして報道する傾向がある。「*県警の調べで分かった<ref name="mainichi">{{cite news<br />
|author = 「開かれた新聞」委員会 <br />
|url = http://mainichi.jp/corporate/hirakareta/feature/archive/news/2009/20090105ddm010040007000c.html<br />
|title = 「開かれた新聞」委員会 座談会(その1) 情報出所、明示に努力<br />
|work = 特集 「開かれた新聞」<br />
|publisher = [[毎日新聞]]<br />
|date = 2009-01-05<br />
|accessdate = 2009-06-10<br />
}}</ref>」、「*日までに逮捕した」という言い回しが代表的であるが、これでは「県警」の「誰」からの情報なのか・いつ発生した事なのかは分からず、マスメディアが権力チェック機構となり得ていない、との批判がある。また、公権力からの情報操作に見舞われやすいとの指摘もある。新聞社は、警察から情報を得るために警察官個人が特定される表現を避ける傾向があり、ある新聞社が広報担当者である副署長を「副署長によると」との表記にしたところ、それでさえ「話さない」と言い出し、記述の変化でも警察の現場では拒否反応が強いという<ref name="mainichi"/>。<br />
<br />
スウェーデンでは、事件報道において一般市民は原則匿名で、[[政治家]]・上級[[公務員]]・[[警察]]幹部・{{要出典範囲|大企業経営者・[[労働組合]]幹部|date=2008年3月}}など社会的に大きな影響力のある「[[公人]]」が事件に関与したとされる場合に限って、実名で報道される。スウェーデン以外の国でも、たとえば、「**警察の*警部が話したところによると」と発表した者の実名・階級・役職を詳細に報道することが多い。<br />
<br />
[[上智大学]]教授の[[田島泰彦]]は、基本的に、記事の正確性、信頼性、透明性の観点から、情報の出所の明示が最も大事な原則であり、とりわけ、公権力を行使する政治家や官僚が情報源である場合、明示は当然であり、取材源秘匿は、取材源の生命にかかわる・重大な不利益になるといった場合の例外とすべきであると主張している<ref name="mainichi"/>。<br />
<br />
== 民主主義の基礎としての匿名 ==<br />
[[公務員]]の[[選挙]]において、[[投票]]することは、もっとも基礎的なレベルで、政治的意思の情報発信であるが、匿名で行うことになっている([[秘密投票]])。これは、投票者の投票結果を他者が確認できないようにすることで、候補者やその関係者による、脅迫・買収などをおこないにくくすることが目的である。選挙において、匿名が保証されない場合は、[[投票行動]]に対して軍事力・警察力を背景にして圧力をかけることが可能となることから、[[民主主義]]を標榜する[[独裁政治]]に陥ることがある。<br />
<br />
日本においては、[[日本国憲法第15条]]4項で、選挙において[[投票]]は匿名であることが義務付けられている。さらに、投票者の無答責も明示している(同項後段)。<br />
<br />
== ネットワークにおける匿名 ==<br />
インターネットが一般に普及する以前に盛んであった[[パソコン通信]]においては、通常、各個人に対して一つの[[ID]]が発行されていた。この環境では、IDをもちいずに書き込みなどの活動をすることは困難であった。また、通常書き込み者のIDも他者にわかるようになっていた。<br />
<br />
そのような流れから、パソコン通信に参加していた者の間ではインターネット上でも[[ハンドルネーム|ハンドル]]のもとで自身の発言・行為に責任を負うのが[[ネチケット]]とされることがあった。しかしながら、一般人の間にもインターネットの利用が普及するにつれ、パソコン通信の経験のない者が増え、日本では例えば巨大[[匿名掲示板]]・「[[2ちゃんねる]]」の台頭もあって、自身固有のハンドル名を使わずに活動する匿名行動が広く見られる。<br />
<br />
基本的にインターネットで発言や行動をした場合、技術面で本格的に追及すれば接続しているユーザのIPアドレスなどはほぼ判明してしまうが、特定の[[サーバ]]に対し多大な負担を掛けてダウンさせるなどといった極端な[[荒らし]]行為や、特定の人物への[[殺人|殺害]]予告などの[[犯罪]]をおこなう可能性を匂わせる発言、また自らの犯罪行為・体験について赤裸々に語るなどといった[[犯罪]]に関わるような発言をしない限りは、他のユーザから追及を受ける・正体をあばかれるという危険性は基本的に少ない。そのため一般的に、インターネットでは自分の正体を明かさぬままに発言や行動ができるものだと思われており{{要出典|date=2010年8月}}、それが[[チャット]]や[[電子掲示板]]で他人への誹謗中傷を繰り返す者の発生を招くなどの犯罪の温床を作り出している、という意見もある。なお、[[犯罪予告]]に関しては[[2011年]]2月に、新宿駅前にて通り魔殺人を起こす、との匿名による殺害予告に対し、警察が翌日には犯人を特定して逮捕した事例<ref>「新宿で通り魔起こす」殺人予告で中3逮捕より</ref>など、匿名によるインターネット上での秘匿性は限られたものになってきている。<br />
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匿名での発言は「自身の行為に責任を負う意志のないこと」を表しているとして、匿名あるいは実質上匿名であるハンドル(「名無しさん」「通行人」「通りすがり」のたぐい、または「あああ」などその場限りの捨てハンドル)の使用を、明確に禁じるコミュニティもある。また、[[ソーシャル・ネットワーキング・サービス]]というかたちで、既存の参加者が信頼できる人物のみ新規の参加を認める{{要出典|date=2010年8月}}かたちで、責任ある発言を維持しようとするコミュニティも出現している。<br />
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また逆に、[[2ちゃんねる]]や[[4chan]]などの掲示板群では「特別の理由が無い限りはユーザは匿名で書き込む事が基本」となっており、発言の内容に一貫性を持たせる必要が出てきた場合は、その発言者が([[トリップ_(電子掲示板)|トリップ]]など、他者から識別できることが担保できる形での)ハンドルを名乗る例がある。<br />
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==脚注==<br />
<references /><br />
== 関連項目 ==<br />
*[[Freenet]]<br />
*[[IIP]]<br />
*[[Tor]]<br />
*[[匿名の臆病者]]<br />
**[[匿名掲示板]]<br />
*[[名無しの権兵衛]]<br />
*[[オフレコ]]<br />
*[[秘密投票]]<br />
*[[大衆]]<br />
*[[諱]]<br />
*[[名無しさん]]<br />
*[[アノニマス_(集団)]]<br />
*[[実名報道]]<br />
*[[犯罪予告]]<br />
*[[wikt:某|某]]<br />
<br />
{{DEFAULTSORT:とくめい}}<br />
[[Category:人名]]<br />
[[Category:報道]]<br />
[[Category:社会問題]]<br />
[[Category:匿名性|*]]<br />
<br />
[[az:Anonim]]<br />
[[ky:Аноним]]<br />
[[ru:Аноним]]<br />
[[uk:Анонім]]</div>
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