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miniwiki - 利用者の投稿記録 [ja]
2024-05-29T00:17:53Z
利用者の投稿記録
MediaWiki 1.31.0
クレーム
2018-07-02T11:12:52Z
<p>2400:4051:1160:1500:4039:801D:4C25:8DB9: </p>
<hr />
<div>{{Otheruses|一般的意味におけるクレーム|特許法における「請求項」を意味するクレーム（claim）|特許請求の範囲}}<br />
{{Redirect|クレーマー}}<br />
'''クレーム''' (クレイム、{{lang-en|claim}}) はサービスに対する苦情や改善要求、契約あるいは法上の権利請求を指す[[外来語]]。[[損害賠償]]請求やごり押し等による不当な[[強迫]]要求や請求の意味で用いられる場合もある。<br />
<br />
原語では「（正当な）主張」または「請求」の意味であり、日本語のクレームには苦情や不平については「コンプレイント」（{{lang-en|complaint}}）が対応する。説教型や謝罪要求型、暴言型、暴行型のものが増加していて、クレームではなく、ハラスメントや脅迫と呼ぶべきとの声がある<ref>[https://news.yahoo.co.jp/byline/nakamuratomohiko/20180223-00081912/]悪質クレームが売り場を壊す ～ お客様は神様なんかじゃない</ref><ref>[https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180329-00010000-doshin-hok]あいさつの仕方が悪いと謝罪要求も 増えるクレーマーに苦慮 旭川市役所、全部局で調査開始</ref>。<br />
<br />
== 概要 ==<br />
本来のクレームでは、自身の被った損害を説明して、その損害に対して責任のある相手に、損害の補償を要求することが挙げられる。例としては機能上で不備のある商品を購入してしまった際に、その製品を製造・販売しているメーカーに[[不良品]]を正常な製品と交換してもらうために交渉する行為などが挙げられる。企業間では、契約に違反した際の損害賠償請求を含む。<br />
<br />
クレームは消費者や顧客が自身の被った不利益や損害に対する対応をしてもらうためになされることが多い。企業内では気づくことのできない自社の製品やサービスの潜在的な欠陥によって顧客に不都合を生じている場合、クレームがなければ企業側には原因が分からないままに顧客離れ（他社の製品やサービスへの切り替え）が進むおそれもあることから、近年では企業内に消費者からのクレーム部門と担当部署との意思疎通を積極的に図ることによって早期に製品やサービスの改善に対処するシステムを積極的に導入する企業も増えている。<br />
<br />
このようにクレームによって製品やサービスの向上が図られることもあるが、その反面、度が過ぎたクレームをつける人が注目されていることもあり、本来であれば顧客側からの要望といった程度のクレームであっても、企業側あるいは企業の従業員の側からは悪意を含んだ要求と受け取られる可能性もある。<br />
<br />
== クレームとトラブル ==<br />
クレームはしばしば、製品やサービスに[[不良品]]のような不具合ないし不足、または企業の活動に伴う「騒音」等の[[公害]]といった社会（およびこれを構成する[[個人]]）の側と企業側との間のトラブルによって発生しうる。企業が顧客に対して行なった強引な[[営業職|営業]]手法に起因する混乱や不信感もクレームの原因となり得る。強引な営業手法としては、[[悪徳商法]]で問題視される[[脅迫]]や[[詐欺]]等の明確に違法なものがある。このようなケースでは、クレームをつけられた側に非があると判断されることが多い。<br />
<br />
明確な非が、クレームをつけた側、つけられた側双方に見つけにくいタイプのクレームも存在する。<br />
この種のクレームは、<br />
*誇大広告<br />
*複雑な契約内容・料金体系<br />
*不安になるような事柄に関する説明不足<br />
*契約上の重要事項に関する説明不足<br />
*都合の悪いことの報告のタイミング<br />
*契約時には予想できなかったことが起こる（暗黙の期待）<br />
*紛らわしい用語<br />
*安請け合い等の特異な企業、取引体質<br />
*顧客に対する姿勢<br />
等のように、契約の曖昧さ、心象の問題の双方が絡む問題である<ref name="cao">{{Cite web |url=http://wp.cao.go.jp/zenbun/kokuseishin/spc16/houkoku_b/spc16-houkoku_b-4_2.html |title=第16次国民生活審議会 消費者政策部会中間報告 |accessdate=2010-04-24 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20070813094341/http://wp.cao.go.jp:80/zenbun/kokuseishin/spc16/houkoku_b/spc16-houkoku_b-4_2.html |archivedate=2007-08-13}}</ref>。<br />
<br />
また、事例も多岐にわたるが、「非の所在」、「非の有無」を含め、議論が平行線になる傾向がある。<br />
<br />
さらに、個別事案における結論についての予見可能性が低く、必ずしも安定した法の適用ができないという問題もある<ref name="cao" />。<br />
<br />
そのため、契約一切に関して、「何がどのように問題になり、誰が責任を負うべきか」に関するリストの集約が求められる<ref name="cao" />。<br />
<br />
このような「クレームの原因」ではあるものの、必ずしも違法とは言い難いものに関しては、企業側にもクレームを避ける上で「有利誤認、優良誤認あるいはそれに準じる事態を避ける努力」が要求されると同時に、消費者側にも「宣伝で悪い部分を強調することは、ない」ことを考慮して、必要となる仕様、要求を購入前に明確にした上で、購入をすることが求められる。もっとも、有利誤認、優良誤認は、度が過ぎれば公正取引委員会より排除命令を受ける<ref>{{Cite web |url=http://www.jftc.go.jp/pressrelease/keihyojiken.html |title=報道発表資料・景品表示法（違反事件関係） |publisher=[[公正取引委員会]] |accessdate=2009-04-04 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20090224054800/http://www.jftc.go.jp:80/pressrelease/keihyojiken.html |archivedate=2009-02-24}}</ref>。<br />
<br />
マーケットクレームの一例として、最近では、意図的に有利誤認、優良誤認をさせた上で、顧客側が誤認によって損をした後になって個別に「それが客側の誤認であることを強調する」手口がよく報告される<ref>{{Cite web |url=http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2004/07/60e75100.htm |accessdate=2009-04-04 |title=広告と消費者トラブルに関する調査結果について |publisher=[[東京都]] |archiveurl=https://web.archive.org/web/20090926202508/http://www.metro.tokyo.jp:80/INET/CHOUSA/2004/07/60e75100.htm | archivedate=2009-09-26}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/f_tori/pdf/koukoku_g.pdf |accessdate=2010-04-24 |title=広告と消費者トラブルに関する調査研究報告書 |publisher=[[東京都]] |format=PDF |archiveurl=https://web.archive.org/web/20110218032309/http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/f_tori/pdf/koukoku_g.pdf |archivedate=2011-02-18}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/kurashi/0506/wadai.html |accessdate=2009-10-18 |title=広告を見る目をやしなおう！ |publisher=[[東京都]] |archiveurl=https://web.archive.org/web/20121208113525/http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/kurashi/0506/wadai.html |archivedate=2012-12-08}}</ref>。<br />
<br />
誇大広告、有利誤認の例としては、携帯電話、不動産の契約<ref name="fudo">{{Cite web |url=https://news.mynavi.jp/news/2008/06/18/047/index.html |accessdate=2010-04-24 |title=「CHINTAI NET」などに"おとり"物件情報掲載、エイブルに排除命令 - 公取委 |publisher=[[マイコミジャーナル]] |date=2008-06-18 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20100515031654/http://journal.mycom.co.jp/news/2008/06/18/047/index.html |archivedate=2010-05-15}}</ref>、宣伝形態が最近よく話題になる。例えば、[[携帯電話]]では[[移動体通信]]の[[端末]]の販売と通話回線の契約形態などといった複雑な構造から損得・利害関係が判り難い側面もあり、これが混乱を招いて企業と顧客間の争いに発展する場合もある<ref name="it">{{Cite web |url=http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMIT0z000006112006 |accessdate=2009-01-10 |title=ソフトバンクがシステムトラブルを繰り返す理由【コラム】 |publisher=[[日本経済新聞社]] |date=2006-11-07 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20090214002521/http://it.nikkei.co.jp/business/news/index.aspx?n=MMIT0z000006112006 |archivedate=2009-02-14}}</ref>。<br />
<br />
具体的には携帯電話契約における「全機種￥0 分割払いで『￥0』」のような誇大広告や、不動産賃貸物件で契約撤回が不可能、あるいは極めて難しい状態になった後に「月々の家賃のほかに毎年入館料（[[更新料]]）が必要」であるとか、[[割賦販売]]における「携帯電話は実質0円で違約金もありませんが、2年以内に解約すると7万円の[[月賦]]が残ります」などのように、契約を取り交わした後で顧客に不利な情報を説明し始めるなどの不誠実な対応が問題視される。不安になるような事柄に関する説明不足としては、料金の引き落とし（[[クレジットカード]]等）の仕組みや、そのタイミング等が明確になっていない、あるいは残高不足等で引き落としが出来なかった場合等のイレギュラーだが起こりえないとは限らない事柄へのペナルティや対応方法、支払方法等が明確に説明されていないケース等について、ネット上で相談が書かれることが多数ある。<br />
<br />
暗黙の期待、あるいは顧客側が暗黙の了解事項と思っていたことに関するクレームもある<ref name="JSX">{{Cite web |url=http://www.j-cast.com/2008/08/22025535.html |accessdate=2009-10-18 |title=ソフトバンクに苦情相次ぐ 「無料」がいきなり2割自己負担 |publisher=[[J-CAST]] |date=2008-08-22}}</ref><ref name="am">{{Cite web |url=http://www.j-cast.com/2008/03/12017714.html |accessdate=2009-01-11 |title=アマゾン「自分がほしい物リスト」 全部公開されて大騒動 |publisher=[[J-CAST]] |date=2008-03-12}}</ref>。つまり顧客側が「まさかこの機能/サービスが勝手に追加/削除されることはないだろう」と思っていたことや、「本来あるべきだと顧客側が思っていた機能や表示、サービスがない場合/なくなった場合」<ref name="JSX" />、その他「まさかそんなことにはならないだろう」ということが起こり、顧客が想定できなかった問題によって顧客が準備ができないままいやな思いをする場合にもクレームに発展することがある。顧客側にとって「まさかそんなことにはならないだろう」ということが起こったケースとしては、例えば、ある通信販売業者において、「ほしいものリスト」という「個人の私的な備忘録」を思わせる名前のリストが、実は、契約上は、通常設定では全世界に対して自分の「ほしいもの」を公開してしまう機能であったことから、気付かないうちに個人の趣味・嗜好といったものが公にされてしまう事態に至り、クレームの嵐が起こり、また、有名人の[[プライバシー]]がネット上にさらされる結果となった事例がそれにあたる<ref name="am" />。<br />
<br />
その根底にはそのような誤解をうけさせるようなキャッチコピー、名称などに反した予想外のことが起こり混乱することに加え、顧客側の過度な期待もある。過度の期待の例として、契約上は厳密な意味が存在するが、日常語の範囲では、意味が多様に存在する場合である。例えば、[[航空機]]の予約における「シャトル往復の未使用」がそれにあたる。未使用は日常語では「往路のみの使用の場合は復路分は未使用」という言い方をするが、往路分を使った場合には扱い上は「使用済み」となる。このことを知らなかった利用者が「復路の予約（オープン予約を含まない）時に電話が繋がらず、復路のキャンセルが出来なかった上、往路を使っていた為、未使用でもない。結果、券がただの紙切れになってしまった」というケースが発生する。この場合騙されたに近い印象を受けることになり、利用者の行動は良くて二度と[[航空機]]を利用しなくなるか、最悪の場合クレームへと発展する。<br />
<!--<br />
誤解を招きやすい用語を正式な用語とする背景に[[航空機]]業界と[[新幹線]]との間にある熾烈なシェア競争がある。少しでも良い印象を与えようするあまり、利用者への配慮をないがしろにしている可能性がある。「[[携帯電話]]からは予約センターに電話をかけられないにも拘らず、携帯電話からは繋がらない電話番号しか、見える場所には書かない」ということや、「本来大して良くもない座席を、極端によく見せる行為」[http://www.jftc.go.jp/pressrelease/08.august/08082501.pdf]などがあげられる。<br />
--><br />
<br />
また、「安請け合いは当然」「納期は絶対に守らない」といった信頼以前の企業もあり、商社マンや資材部は、クリティカルパーツの調達の関係上、このような会社からの資材を調達を代行することもある。その際に業者の特性を一つ一つ記録に取り、[[商社]]側から見て客に当たる側には迷惑がかからないよう様々な工夫をしている<ref name="higuchi">{{Cite book |和書 |title=図解仕事ができる人のノート術 |author=樋口健夫 |publisher=東洋経済新報社 |isbn= 9784492092217}}</ref>が、個人では業者の特性を一つ一つ分析して、比較検討をした上で、物の流れに問題が生じないように工夫することは困難である。このように特性の把握が困難な会社との取引もクレームの対象となる。<br />
<br />
上記のケースはいずれも違法とは言えず、「消費者が内容を十分理解しきれないまま契約してしまったこと<ref name="nhk">{{Cite web |url=http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/syohi/joho/nhkfm/080325.html |accessdate=2009-01-10 |title=NHK・FM「お昼前のお知らせ」～携帯電話の契約トラブル |publisher=[[神奈川県]] |archiveurl=https://web.archive.org/web/20090208090226/http://www.pref.kanagawa.jp:80/osirase/syohi/joho/nhkfm/080325.html |archivedate=2009-02-08}}</ref>」とみなされる傾向もあるが、一方で業者によっては説明する側の「従業員の質」や「説明すべき内容が複雑過ぎること」、あるいは「意図的に混乱を誘起し、有利誤認を起こさせるような広告戦略」等、以下にあげるような傾向が指摘されるケースがある<ref name="J">{{Cite web |url=http://news.livedoor.com/article/detail/3156714/ |accessdate=2009-01-10 |title=料金プラン、ホントにわからない! ソフトバンク携帯に苦情 |publisher=[[ライブドア]] |date=2007-05-13}}</ref>。<br />
*「すぐ店員が変わるために内容を覚えられていない・誤認している」<br />
*「担当者によって言うことが違う」<br />
*「ひとつのプランの説明に30分もかかる」<br />
*「プランが何種類あるのかすら答えられない」<br />
<br />
このような状況が慢性的に続いているとされる業者相手では、[[新聞記者]]等の取材のプロが、「分かりやすく説明してもらった」と判断するケースですら、本来簡単であるはずのことで合理的な説明を得るまでに20分以上かかることがあり<ref name="J" />、まして素人が合理的な説明が得られまで粘った場合は企業の従業員を長い時間にわたって拘束することになりかねない。また説明を顧客側が理解ないし憶えきれなかったりすることや、場合によっては従業員側が質問や解答を理解できないまま話をするなどから、「言った言わない」を繰り返し、顧客が完全な納得をするまで問答を繰り返せば、悪質なクレーマー同様あるいはそれ以上に関係者側に精神的な苦痛を与えてしまう可能性すらある。さらに、時間をあけて再度ということになると、今度はサイズすら整っていない散逸した契約書や資料と闘うことになり、余計に混乱の原因になる。<br />
<br />
== クレームの心理 ==<br />
クレーム現象には多くの場合[[怒り]]が伴っている。[[社会心理学]]のカペンスとメックレンは怒りの生起に関わる主要な認知要素として、自尊心への脅威、他者への責任帰属、欲求不満を挙げている<ref>{{Cite journal |url=http://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/02699930600562193 |author1 =Kuppens, P. |author2 =Van Mechelen, I. |title=Interactional appraisal models for the anger appraisals of threatened self-esteem, other-blame, and frustration |publisher=Cognition & Emotion | date = 2007 | doi =10.1080/02699930600562193 |accessdate=2017-07-23 }}</ref>。サービス享受者の怒りは提供者から提供されたものに過失や不備を見いだし、その出来事を重要視し、不快に感じるために生起すると言える{{sfn|吉田|2012|pp=96-102}}。また、苦情の申し立てに対する提供者の対応によっては怒りを増幅させ、更なるクレームの申し立てへと発展する。<br />
<br />
怒りが動機ではなく、金銭など利益の取得を目的としたクレームもある。この種のクレームは、そのクレームが実現可能かどうかを見積もり、クレームを実行する自己のイメージが既存の自己イメージと一貫しているかを確認し、予想される利益が申し立てに費やすエネルギーを上回るかどうかを査定する、といった判断を経て意思決定される{{sfn|吉田|2012|pp=96-102}}。<br />
<br />
クレームの初期段階では享受者には[[匿名|匿名性]]が確保されており、その心理状況が攻撃的なクレームを助長していると考えられる{{sfn|吉田|2012|pp=96-102}}。一旦表明された苦情は上記の自己の一貫性の確認を経て確信を得るため、享受者の匿名性がクレーム処理の過程で失われてもその苦情が収まる保証は無い。<br />
<br />
== クレーマーの台頭 ==<br />
クレームをつける[[消費者]]を「クレーマー」と呼ぶ。日本では、しつこくクレームをつけたり、言いがかりと思われるようなクレームをつけたりする消費者<ref>[https://kotobank.jp/word/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%BC-57676 クレーマー] - [[コトバンク]]</ref>のことのみをクレーマーと呼ぶこともある。クレーマーは、2000年代後半頃に徐々に注目を浴びるようになった。背景には、以下の要因が指摘されている。<br />
<br />
=== クレーム手段の獲得 ===<br />
[[インターネット]]（[[常時接続]]）、[[携帯電話]]の発達により、[[消費者の権利]]として「モノ言う消費者」の場と手段が広がった<ref name="20080303nikkeibo">{{Cite web |url=http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20080229/148416/ |accessdate=2008-05-01 |title=怒れる消費者たちの逆襲 痛烈なブログや動画による苦情に企業はどう対応する？ |publisher=[[日経ビジネスオンライン]] |date=2008-03-03}}</ref>。<br />
<br />
常時接続が地方に普及する前の時期では、消費者が企業への苦情は企業が設けたサポートセンターなどの[[電話]]のみで、なおかつ[[フリーダイヤル]]は、ほぼ皆無であった。そのため、企業が用意した型に沿ってしか対応をしてもらえず、また苦情を言うためのコスト（時間、通話料金、郵便料金）が高く、他の消費者へ苦情の内容が伝わる事が出来無かった（フリーダイヤルであっても、通話に時間を要することは変わらない）。<br />
<br />
しかし、[[ブロードバンドインターネット接続]]の普及により、消費者苦情の環境が変わる。[[電子メール]]は、電話よりも遙かに効率的に、企業の消費者対応部門や企業幹部へ多数の苦情を送りつけることができ、[[動画共有サイト]]や[[ブログ]]は、多くの消費者へ苦情の内容を豊富に伝えた。特に文字と違い、動画や写真を添付すればインパクトが強く、強力な武器となった。[[日本における携帯電話|携帯電話]]の発達や[[音声通話定額制]]は、場所を選ばずに情報を集め、苦情を言うことが出来る様になった。<br />
<br />
=== 意識の問題 ===<br />
{{独自研究|section=1|date=2017年6月}}<br />
感情の表出と抑制は文化規範によって違いがあるが、目上の相手には自己主張を控えるという方略が取られやすい{{sfn|吉田|2012|pp=111-112}}。日本で1990年代より増加したクレーマー問題には、消費者保護を目的とした法律や制度の改正によって発生したサービス提供者と享受者の上下意識の変化や、「提供者に対して怒りを表明しても良い」という新たな感情規則が形成されたことが背景にあると考えられる{{sfn|吉田|2012|pp=111-112}}。<br />
<br />
なお、クレーマー問題に対しては苦情を述べる側がクローズアップされ、それらのケースでも事件に発展するなど深刻化している場合では報道においてもえてして企業側に同情的な内容に落ち着きがちである。その一方、インターネット上のサービスの発達は、企業側の従業員（[[非正規雇用|パート]]や[[アルバイト]]など末端の接客担当者を含む）が常軌を逸した客を揶揄する形での言説を広めてしまうケースも見られる。これはことクレーム問題だけに限定されない傾向ではあるが、2000年代に入っては[[ブログ]]や[[Twitter]]などで不用意に書き込まれた内容や写真などから[[炎上 (ネット用語)|炎上]]したケースもみられる。<br />
<br />
== クレーマーの種類 ==<br />
[[弁護士]]の横山雅文らによると以下の5種に分類される。<br />
;性格的問題クレーマー<br />
:主観的な価値観、思い込みによって自分が有能であると思い込むクレーマー。<br />
:損得勘定ではないため賠償や交換対応などに興味はない。性格上、本人が間違っていても反省することがない。<br />
;精神的問題クレーマー<br />
:精神的に問題があるとみられるクレーマー。自傷、自殺などをほのめかすことがある。<br />
:担当者と親密になり心の隙間を埋めたいため、密着し長時間の電話などをしてくる。<br />
;常習的悪質クレーマー<br />
:攻撃性はないが利益を求め、何度もクレームを出す。<br />
:比較的少額のクレームが多いが存在しない問題も作り出す。<br />
;反社会的悪質クレーマー <br />
:暴力団関係者などのクレーマー。秘密を共有しようとする。<br />
;クレームストーカー<ref>{{Cite web |url=http://biz-journal.jp/2015/02/post_8919.html |accessdate=2015-07-09 |title=急増するクレームストーカー 謝罪要求口実に女性店員につきまとい なぜ対応難しい？ |publisher=ビジネスジャーナル |date=2015-02-13}}</ref><br />
:相手に好意をもち、面会等の手段として多数の言いがかりをつけてくるクレーマー。<br />
<br />
== クレーム問題 ==<br />
{{出典の明記|section=1|date=2017年6月}}<br />
同語が日本国内に於いて、広く一般に知られたのは、[[1999年]]（[[平成]]11年）に発生した『[[東芝クレーマー事件]]』である。同事件では[[報道]]を見た一般の視聴者に「要求者＝クレーマー」ではなく、「理不尽な要求をも辞さない請求者」であると認識させてしまった。なお「クレーマー＝理不尽な請求者」という認識は、[[東芝]]側の通常対応不能な[[総会屋]]などを主に担当する「渉外監理室（警察OBなどからなる）」という部署の担当者による発言の中にみられ、同担当者の認識がそのような形であったとみられている。<br />
<br />
これに関しては報道側の取り上げ方にも問題があったと思われるが、この録音の一部が[[テレビ放送]]され、視聴者が威圧的な態度の東芝担当者側の横柄な態度が感じられる対応に反発、同社への非難や不買運動に走った点も問題視されている。また同事件では、関係者らの応酬で、常識から逸脱した対応が行われたとする報道も見られ、今日でも「ごね得（しつこく要求を繰り返せば、少々の無茶も通る・[[大企業]]をも屈服させられる）」といった認識を、世間に与えてしまった感も否めない。<br />
<br />
同事件報道以降、暫くは消費者による「インターネット上のウェブサイトで企業を告発する」という活動が目立つようになり、この中には多額の金銭を要求するものや、関係者を論う（消費者側の不利な情報は伏せて、企業側の欠点を並べ立てるなど）ケースも発生、逆に[[名誉毀損]]で訴えられたサイト設置者も見られた。<br />
<br />
しかしその一方で、一見不当と思われる請求にも、よくよく話を聞けば、少なくとも請求者自身はもとより、企業側でも妥当だと考える妥協点が存在すると共に、それらの人々が発見し、また一般にはまだ表面化していない製品の問題点に関する情報が含まれると見なされる様になってきている。一概にクレーマー（不当な請求者）であると無下に扱わず、責任の取れる担当者がきちんと対応することで、消費者の視点では辛うじて問題提起できるが、企業側には全く見えていなかった「ビジネスチャンスが発見できる」と考える人もある<ref name="川田">{{Cite book |和書 |title=社長をだせ! |author=川田茂雄 |publisher=[[宝島社]] |isbn=4-7966-3474-6}}</ref>。<br />
<br />
往々にして人は不利益を被ると、感情的になりやすい。このため企業のサポート側では感情的な電話が掛かる率が非常に高いと言える。その一方で、本当に不当で病的にクレーム請求をしてくる人も含まれる。この場合、無条件に相手の提示した案に応じると他の顧客が不当に差別されている状態を作り出してしまう。そのため、クレーマーを有効的に活用するためには関係部署にクレーマーの話に耳を傾けて公正な判断を下し、その判断を他の部署と折衝して適切に推し進められる人を配する必要がある<ref name="川田"/>。<br />
<br />
そのような理由により、建設的な思考の企業の顧客相談窓口の部署では、応対マニュアルの整備や適切な人員の選択に注意を払うとともに、一定の企業内に於ける発言権が確保されている。<br />
<br />
== クレーマー関連の問題事例 ==<br />
クレーマーが常習化することで、関係者が事件を起こしたケースがある。また不当な請求という問題も多方面で発生している。<br />
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{{要出典範囲|date=2017年6月|こういった不当要求は何も今に始まったことではなく、[[暴力団]]が組織的に企業を狙い撃ちして商品に因縁をつけて金品を脅し取るということは昔から存在していた。また、食堂において、意図的に自分の髪の毛をラーメンや蕎麦に入れて、「髪の毛が入っている、タダにしろ」というような、食事代を無料にするような不当要求も以前から存在していた。しかし、クレーマーが一般化し、悪質化している現状は{{いつ範囲|date=2017年7月|ここ最近}}とみによく見られる。中には暴力団の名前を出して不当要求を行ったり、たとえ業者側に落ち度や瑕疵がなくても、お詫びの品やサービス目当てにクレームをつけるいわゆる「プロクレーマー」もいる（なお[[指定暴力団]]の不当要求は[[暴力団対策法|暴対法]]により禁止、処罰の対象になる）。}}<br />
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[[2003年]]に[[東急不動産]]の物件を購入した者が隣地に建造物が建つことは知らなかったとして訴訟を起こし、原告の実質敗訴となった案件に関して、原告が東急不動産ならびに関連企業である[[東急コミュニティー]]、また、当時の販売担当者の転職先であるアソシアコーポレーションに対する誹謗中傷サイトを無数に立ち上げ、各社の営業を執拗に妨害するという事件が発生した<ref>{{Cite web |url=http://www.associa-c.co.jp/info.html |accessdate=2013-02-04 |title=アソシアコーポレーションを誹謗・中傷する心なき Webサイトやブログの存在について |publisher= アソシアコーポレーション}}</ref>。なお当事件は現在{{when|date=2017年9月6日 (水) 12:53 (UTC)}}でも進行中である。<br />
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[[2004年]]9月に因縁を付けてきた客に対し[[ストレス (生体)|ストレス]]を感じていた[[牛丼]]チェーン店の店長が、日常的にクレームを行っていた客を刺殺するという事件が発生した。同事件では、弁当注文の際に「水が出されなかった」ことや「弁当が横になっていた」ことを理由に、[[被害者]]が前日より十数回立て続けに電話で苦情を述べ、他にも別のクレームで8月末頃より同店長をたびたび自宅へ呼び付け謝罪を要求するなど、[[トラブル]]が続いていた<ref name="毎日20041212">「東京・向島の刺殺：牛丼店長「クレームしつこく殺した」－－会社員殺害容疑で逮捕」『毎日新聞』2004年12月12日付朝刊、第31面。</ref><ref name="読売20041212">「東京・墨田区の刺殺事件 容疑の牛丼店長逮捕 『弁当が横、しつこく苦情』」『読売新聞』2004年12月12日付朝刊、第39面。</ref>。このトラブルで頻繁にクレームをつける被害者に腹を立てた[[加害者]]が、[[刃物]]で十数か所を刺して殺害している<ref name="読売20041212" />。後日加害者の店長は[[殺人罪 (日本)|殺人]]容疑で[[逮捕]]・[[起訴]]され[[懲役]]10年が確定している<ref>「クレーム客殺害事件 元牛丼店店長に懲役１０年判決／東京地裁」『読売新聞』2005年6月23日付夕刊、第23面。</ref>。<br />
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2009年頃から[[大阪市]][[住吉区]]役所において、同市の不適切な資金管理が判明したことをきっかけに、当時同区に居住していた男性が、多数の電話を掛けたり、何度も区役所を訪問するなどして、膨大な[[情報公開]]請求や職員への暴言などを行った。これらの行為で職員が心身に不調を来すなどするようになった職員もいたとされる。同市は業務を妨害されたなどとして、当該の男性を相手取り[[大阪地方裁判所]]に訴訟を提起。その後2016年6月15日付で、同地裁は市の訴えを認め、男性に威圧的要求の禁止や損害賠償の支払いを命じた<ref>{{Cite web |url=http://mainichi.jp/articles/20160719/k00/00e/040/162000c |accessdate=2016-07-31 |title=大阪市「クレーマー」に勝訴…業務妨害を認定 大阪地裁 |publisher=毎日新聞 |date=2016-07-19}}</ref>。<br />
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2010年には、[[三重県]]で中学の長男が校内でけがをしたことに言い掛かりをつけ、教諭らから[[現金]]を脅し取ろうとしたとして、男が[[恐喝罪|恐喝未遂の罪]]に問われ、地裁は25日、懲役1年6月、[[執行猶予]]3年（[[求刑]]懲役1年6月）を言い渡した。判決理由で[[裁判官]]は「執拗に教諭らの自宅のインターホンを鳴らすなど、迷惑を全く省みない犯行で悪質」と指摘。[[判決 (日本法)|判決]]によると、市立中に通う長男が部活動の休憩時間に傷を負ったことに因縁をつけて、校長や部活動の顧問の男性教諭宅に無断で押しかけ、「タクシー代がかかった」、「[[マスコミュニケーション|マスコミ]]や議員に全部ばらす」などと怒鳴った<ref>{{Cite web |url=http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100617/crm1006172245046-n1.htm |accessdate=2011-01-15 |title=息子がけが「慰謝料払え」 教諭への恐喝未遂容疑で父親逮捕 三重 |publisher=[[産経ニュース]] |archiveurl=https://web.archive.org/web/20101111230949/http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100617/crm1006172245046-n1.htm |archivedate=2010-11-11 |date=2010-06-17}}</ref>。<br />
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2015年には、[[パン]]店や[[ケーキ]]店など全国の約1,200店に「髪の毛が入っている」などの内容の虚偽のクレームの電話を約7,000回に渡ってかけ、商品や現金などを騙し取っていたとして、[[兵庫県警察]]が[[伊丹市]]在住の無職の女を詐欺容疑で逮捕している<ref>{{Cite web |url=http://mainichi.jp/select/news/20150927k0000m040052000c.html |accessdate=2015-09-27 |title=偽クレーム電話：「パンに髪」４５歳女を詐欺容疑で逮捕 |publisher=[[毎日新聞]] |date=2015-09-26 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20150928033742/http://mainichi.jp/select/news/20150927k0000m040052000c.html |archivedate=2015-09-28}}</ref>。<br />
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{{要出典範囲|欧米ではクレーマーが非常に多いがその分クレーマー対策のマニュアルもしっかりしており対策が出来ている企業が多いが、元々国民性故かクレームが憚れる国であった日本ではクレームが少なく故にクレーム対策が遅れてしまった現実がある。又地域差も激しく、西日本ではクレームが多く東日本ではクレームが少ない等の地域差もある。また欧米に進出した日本の企業が欧米人から日本ではありえないようなクレームを受けたりする。こうした現状が日本企業を苦しめている。|date=2010年6月}} --><br />
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== モンスターペアレント ==<br />
{{Main|モンスターペアレント}}<br />
[[教育]]の場では、一部の保護者が学校に対し理不尽な要求をするケースも見られる。これらは、通称「[[モンスターペアレント]]」と呼ばれる。<br />
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== 脚注 ==<br />
{{脚注ヘルプ}}<br />
{{Reflist}}<br />
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== 参考文献 ==<br />
*「プロ法律家のクレーマー対応術」- 横山雅文（[[PHP研究所]]）{{ISBN2|978-4-569-69926-4}}<br />
* {{Cite book ja-jp|和書 |author = 吉田琢哉 |title = 対人関係の社会心理学 |year = 2012 |chapter = なぜクレーマーが生まれるのか？ |publisher = ナカニシヤ出版 |editor = 吉田俊和、[[橋本剛]]、小川一美 |isbn = 9784779506932 |ref = harv }}<br />
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== 関連項目 ==<br />
* [[製造物責任法]]<br />
* [[消費者基本法]]<br />
* [[接遇]]<br />
* [[電凸]]<br />
* [[感情労働]]<br />
* [[大韓航空ナッツ・リターン]]<br />
* [[消費者主権]] - [[消費者の権利]]<br />
* [[ネット・プロモーター・スコア]]<br />
<br />
{{嫌がらせ}}<br />
<br />
{{デフォルトソート:くれえむ}}<br />
[[Category:企業]]<br />
[[Category:社会問題]]<br />
[[Category:和製英語]]<br />
[[Category:異議]]<br />
[[Category:対人間葛藤]]</div>
2400:4051:1160:1500:4039:801D:4C25:8DB9
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