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https:///mymemo.xyz/wiki/api.php?action=feedcontributions&feedformat=atom&user=2001%3ADF0%3A232%3A1200%3A0%3A0%3A0%3A15 miniwiki - 利用者の投稿記録 [ja] 2025-01-15T11:51:11Z 利用者の投稿記録 MediaWiki 1.31.0 金太郎 2018-12-17T01:33:17Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: /* 文化 */</p> <hr /> <div>{{Otheruseslist|日本の[[民話]]およびその主人公|競走馬|キンタロー|お笑い芸人|キンタロー。}}<br /> {{出典の明記|date=2016年5月}}<br /> [[画像:Sakata Kaidomaru struggling with a huge carp under a waterfall.jpg|thumb|[[歌川国芳]]画:『坂田怪童丸』 天保7年([[1836年]])頃]]<br /> [[画像:KunimaruKintaroTengu.jpg|right|thumb|[[歌川国丸]]画:『金太郎と烏天狗』 文化年間後期(1811-17年)]]<br /> [[画像:Utamaro Yama-uba and Kintaro.jpg|thumb|right|[[喜多川歌麿]]画:『山姥と金太郎 頰ずり』 寛政8年([[1796年]]) 同じ画題を描いた歌麿作品は50点ほど確認されている。]]<br /> [[File:Yoshitoshi The Giant Carp.jpg|thumb|right|[[月岡芳年]]画:『金太郎捕鯉魚図』明治18年([[1885年]])]]<br /> [[File:Yoshitoshi - 100 Aspects of the Moon - 87.jpg|thumb|right|月岡芳年画:『金時山の月』(『月百姿』より)]]<br /> &#039;&#039;&#039;金太郎&#039;&#039;&#039;(きんたろう)は、&#039;&#039;&#039;坂田金時&#039;&#039;&#039;(さかたのきんとき、&#039;&#039;&#039;公時&#039;&#039;&#039;とも)の幼名。または、金太郎を主人公とする[[説話|昔話]]、[[童話]]の題名である。<br /> <br /> == 歴史・伝説 ==<br /> <br /> === 典型的な伝説 ===<br /> <br /> 金太郎にはいくつも伝説が存在する。幼児向けの絵本などで流布しているものに近い、[[静岡県]][[駿東郡]][[小山町]]の[[金時神社]]の伝説は以下のとおりである。<br /> <br /> 金太郎は[[天暦]]10年([[956年]])5月に誕生した。彫物師[[十兵衛]]の娘、[[八重桐]](やえぎり)が京にのぼった時、宮中に仕えていた[[坂田蔵人]](くらんど)と結ばれ懐妊した子供であった。八重桐は故郷に帰り金太郎を産んだが、坂田が亡くなってしまったため、京へ帰らず故郷で育てることにした。<br /> 成長した金太郎は[[足柄山]]で熊と相撲をとり、母に孝行する元気で優しい子供に育った。<br /> <br /> [[天延]]4年[[3月21日 (旧暦)|3月21日]]([[976年]][[4月28日]])、[[足柄峠]]にさしかかった[[源頼光]]と出会い、その力量を認められて家来となった。名前も坂田金時(きんとき)と改名し、京にのぼって[[頼光四天王]]の一人となった(四天王には他に[[渡辺綱]]、[[卜部季武]]、[[碓井貞光]]がいる)。<br /> <br /> 当時は[[丹波国|丹波]]の国の[[大江山]](現在も[[京都府]][[福知山市]])に住む[[酒呑童子]]が都に訪れては悪いことをしていた。<br /> [[永祚 (日本)|永祚]]2年[[3月26日 (旧暦)|3月26日]]([[990年]]4月28日)源頼光と四天王たちは[[山伏]]に身をかえて大江山に行き、<br /> [[神変奇特酒]](眠り薬入り酒)を使って酒呑童子を退治した。<br /> <br /> 坂田金時は[[寛弘]]8年[[12月15日 (旧暦)|12月15日]]([[1012年]][[1月11日]])、九州の賊を征伐するため筑紫(つくし・現在[[福岡県]])へ向かう途中、[[作州路]][[美作国|美作]](みまさか)勝田壮(現在の[[岡山県]][[勝央町]])で重い熱病にかかり享年55で死去した。<br /> <br /> 勝田の人々は金時を慕い、[[倶利加羅]](くりがら、剛勇の意)神社を建てて葬った。その神社は現在、[[栗柄神社]]と称する。<br /> <br /> === 異説 ===<br /> <br /> 出生の伝説は、母親が[[山姥]]で、[[雷神]]の子供を孕んで産まれてきたとするものや、[[金時山]]の頂上で赤い龍が八重桐に授けた子というものもある。<br /> <br /> また、「[[金時豆|金時豆(きんときまめ)]]」の名前の由来でもあり、更に息子の[[坂田金平]]は「[[金平|きんぴらゴボウ]]」の名の由来で知られる。<br /> <br /> 小山町の隣にある[[神奈川県]][[南足柄市]]にも金太郎の伝説は多く、その内容は小山町との相違点が多く見られる。<br /> <br /> 他にも[[兵庫県]][[川西市]]の[[満願寺 (川西市)|満願寺]]の墓、[[滋賀県]][[長浜市]]など、各地に伝説がある。<br /> <br /> [[静岡県]][[駿東郡]][[小山町]]の金時神社には金太郎の伝説のある[[ちょろり七滝]]や[[第六天社]]がある。<br /> <br /> ちょろり七滝の水は金太郎が産まれたとき、[[産湯]]として使ったといわれており、住まいである[[金時屋敷]](現在の金時神社)の裏にある。金太郎が丈夫に育ち立派な[[武将]]となったことから、周辺の人々は子供が産まれると、この滝の水を産湯にしたといわれている。しかし、[[南足柄市]]には[[夕日の滝]]という場所があり、金太郎は四万長者の屋敷で産まれ、この滝の水を産湯にしたという伝説もある。<br /> <br /> [[第六天社]]は金太郎親子が深く信仰しており、母の八重桐が赤いごはんや魚を捧げたりするのを真似て、金太郎は[[メダカ]]を捕らえてきては生きたまま器に入れ、社前に捧げたといわれている。<br /> <br /> 滋賀県長浜市と[[米原市]]は、昔は[[坂田郡]]であり、坂田金時は坂田郡の人であると伝えている。今も長浜市には足柄神社や[[芦柄神社]]が何カ所もあり、子ども相撲が今も連綿と行われている。なお、この地域は古代豪族[[息長氏]]の本拠地であり、金時はその一族であるという。王の文字は[[マサカリ]]の象形文字で、腹掛け姿は鍛冶を象徴することから、いち早く鉄文化を手に入れた豪族というものである。<br /> <br /> === 伝説の歴史的検証 ===<br /> 金太郎(坂田金時)という人物の実在は疑わしいともされている。<br /> <br /> 「金太郎」は坂田金時の幼名とされているが、「○太郎」という名前はむしろ成人の通称によく使われる(&#039;&#039;&#039;八幡太郎&#039;&#039;&#039;([[源義家]])など)。<br /> <br /> [[藤原道長]]の日記『[[御堂関白記]]』など当時の史料によると、[[下毛野公時]]という優秀な[[随身]](近衛兵)が道長に仕えていた。<br /> 坂田金時はこの公時が脚色されていったものらしく、頼光・道長の時代から100年ほど後に成立した『[[今昔物語集]]』では公時という名の郎党が頼光の家来として登場している。<br /> <br /> 現在の金太郎伝説が完成したのは[[江戸時代|江戸期]]であり、[[浄瑠璃]]や[[歌舞伎]]を通して頼光四天王の怪力童子のイメージが定着していった。例:[[長唄]]「四季の山姥」<br /> <br /> === 文化 ===<br /> [[wikt:まさかり|まさかり]](大[[斧]])を担いで[[クマ|熊]]の背に乗り、[[菱形]]の[[腹掛け]]を着けた元気な少年像として、[[五月人形]]のモデルとなった。この姿から、かつて[[日本]]各地で[[乳幼児]]に着用させた菱形の腹掛けもまた「金太郎」と呼ぶ。<br /> <br /> === 出生地とされる場所 ===<br /> *静岡県小山町 金時神社  <br /> *静岡県小山町竹之下の坂田明神と中島の生地<br /> *新潟県青海町上路(あげろ)の山姥の里<br /> *長野県南木曽町読書の酒屋と蘭の足跡石<br /> *長野県八坂村の上篭(あげろ)金時山付近<br /> <br /> == 画題 ==<br /> 江戸時代には[[浮世絵]]で金太郎図が数多く描かれ、新年には[[干支]]に添えた形で出版された。[[美人画]]・[[役者絵]]を得意とする[[鳥居清長]]([[1752年]](宝暦2年) - [[1815年]](文化12年))は天明・文化年間に数多くの金太郎図を描き、美人画で知られる[[喜多川歌麿]](? - [[1806年]](文化3年))も[[山姥]]と組み合わせた金太郎図を描いている。また、[[歌川国芳]]([[1797年]](寛政9年) - [[1861年]](文久元年))も多くの金太郎図を描いている。<br /> <br /> == 童謡 ==<br /> 「マサカリカツイデ~」で始まる[[童謡]]「金太郎」は、[[1900年]](明治33年)に発表された「[[幼年唱歌]]」に掲載された。作詞・[[石原和三郎]]、作曲・[[田村虎蔵]]。<br /> <br /> == 派生用語 ==<br /> === キャラクター ===<br /> * 『[[うる星やつら]]』‐ 地球で迷子になった宇宙の幼稚園児の一人として、日本の昔話と同じ名前・姿で登場する。<br /> * 『[[ミラクル少女リミットちゃん]]』 - 主人公・西山理美(リミットちゃん)が通っている小学校の体育教師の名前が坂田金時(通称・金時先生)。<br /> *『[[ウルトラマン80]]』 - [[足柄山]]出身で、怪獣[[ジヒビキラン]]に変身する姿・性質が金太郎に似た相撲の神様であるすもう小僧が登場する。<br /> * [[にわのまこと]]の漫画『[[THE MOMOTAROH]]』 - 金太郎の子孫という設定の「サカタ・ザ・ゴージャス・キンタロウ」という[[リングネーム]]のキャラクターが登場する。<br /> *『[[怪童丸]]』 - 2001年に発売されたOVA。少女の主人公として坂田金時が登場する。<br /> *『[[仮面ライダー電王]]』- 「キンタロス」という名前のキャラクターが登場する。『金太郎』から熊をイメージした怪人である。派生作品『イマジンあにめ』では「金太郎」の物語を解説する話がある(第25話)。<br /> *『[[伊東家の食卓]]』 - 旗を使った「きんたろうゲーム」というのがあった。<br /> *『[[ONE PIECE]]』-シャボンディ諸島にて、「戦桃丸」という金太郎をモチーフとしたキャラクターが登場する。<br /> *『[[銀魂]]』 - 主人公「坂田銀時」の名前は、金太郎の本名「坂田金時」がモデルである。他に同作には「[[坂田銀時]]」本人をモチーフにしたからくり代理人(アンドロイド)「坂田金時(さかた きんとき)」が登場する。<br /> * 『[[お伽草子 (アニメ)|お伽草子]]』 - 怪力を持つ少年。野性的な性格。全国の強い熊を倒す為に諸国を放浪している。<br /> *『[[桃太郎伝説シリーズ|桃太郎伝説]]』シリーズ - [[桃太郎]]の仲間として金太郎が登場。派生作品の『[[桃太郎電鉄シリーズ|桃太郎電鉄]]』シリーズではアイテムの一つ「金太郎カード」を使用することで金太郎が登場する。<br /> *『[[ペルソナ4]]』 - 主人公の仲間であるクマの[[ペルソナシリーズ|ペルソナ]]としてキントキドウジが登場する。<br /> *『[[風が如く]]』 - パンダに股がり坂田金時の末裔の「田中金太郎」として登場。<br /> *『[[豪血寺一族]]』 - 金太郎をモチーフにした「孤空院金田朗」というプレイヤーキャラクターが登場する。技もキャラの見た目も金太郎そのもの。<br /> *『[[鬼灯の冷徹]]』 - 死後、衆合地獄で用心棒として働いている。<br /> *『Fate』シリーズ - 『[[Fate/Apocrypha]]』企画時の設定をもとに『[[Fate/Grand Order]]』より登場。詳細は[[Fate/Apocrypha#本編未登場キャラクター]]にて。<br /> *『[[戦国パズル!!あにまる大合戦]]』 - クマに擬獣化された金太郎〜坂田金時が登場。バリエーションとして「番長・坂田金時」も。<br /> *『よいしょの金太郎』 - 南足柄市の[[ゆるキャラ]]<br /> <br /> === 交通 ===<br /> * 『金太郎ふじみライン』 - [[静岡県道365号足柄峠線]]の愛称。<br /> * 『ECO-POWER金太郎』 - [[JR貨物EH500形電気機関車]]の愛称。<br /> * 『金太郎塗り』 - 主に鉄道車両の車体正面に施されるカーブの付いたV字型の塗り分けラインを、金太郎の腹掛けに似ている事から俗にこう称している。<br /> <br /> === 施設 ===<br /> * 『金太郎郵便局』 - [[静岡県]][[駿東郡]][[小山町]]にある郵便局(小山駅前郵便局)。<br /> * 『[[金太郎温泉]]』 - [[富山県]][[魚津市]]にある温泉宿(株式会社金太郎温泉)。<br /> <br /> === 生物 ===<br /> * 『金太郎』 - [[ヒメジ]](海水魚)の地域名([[山口県]][[下関市]][[北部]]、[[萩市]]、[[島根県]][[西部]][[県境]])。<br /> &lt;!--<br /> == 脚注 ==<br /> &lt;references /&gt;<br /> --&gt;<br /> <br /> == 関連項目 ==<br /> * [[金太郎飴]]<br /> * [[浦島太郎]]<br /> * [[桃太郎]]<br /> * [[児童文学]]<br /> * [[絵本]]<br /> * [[紙芝居]]<br /> * [[金時山|足柄山]] - [[神奈川県]]と静岡県にまたがる山。金太郎の生地とされる。<br /> * [[岡山県]][[勝央町]] - 金太郎終焉の地として知られる町である。<br /> * [[南足柄市]] - [[神奈川県]]にある市。金太郎にまつわる祭りがある。<br /> * [[満願寺 (川西市)|満願寺]] - [[兵庫県]][[川西市]]にある寺院。[[宝塚市]]内の[[飛地]]にあり、金太郎の墓がある。<br /> * [[松本金太郎 (歌舞伎)]] - [[歌舞伎役者]]の名跡。<br /> * [[松本金太郎 (能楽師)]] - [[能楽師]]の名跡。<br /> * [[キンタロー。]] - 日本の女性お笑いタレント、ものまねタレント。<br /> * [[大砂嵐金崇郎]] - 大相撲力士。<br /> * [[水野雄仁]] - [[徳島県立池田高等学校]]出身で、元[[読売ジャイアンツ]]の[[投手]]。彼の[[愛称]]は「[[阿波]]([[徳島県]])の金太郎」。<br /> * [[渡辺綱]]<br /> * [[碓井貞光]]<br /> * [[卜部季武]]<br /> * [[キンタロー]]<br /> <br /> == 外部リンク ==<br /> {{Commons|Category:Kintaro}}<br /> * [http://www.aozora.gr.jp/cards/000329/card18337.html 金太郎] - [[青空文庫]]<br /> * [http://ci.nii.ac.jp/naid/110007184865/ 金太郎の誕生 鳥居フミ子 東京女子大学]<br /> <br /> {{Normdaten}}<br /> {{DEFAULTSORT:きんたろう}}<br /> [[Category:日本の伝説の人物]]<br /> [[Category:平安時代の武士]]<br /> [[Category:日本の民話]]<br /> [[Category:相撲を題材とした作品]]<br /> [[Category:楽曲 き|んたろう]]<br /> [[Category:学校唱歌]]<br /> [[Category:1910年の楽曲]]<br /> [[Category:民話・童話を題材とした作品]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 MapReduce 2018-09-06T02:53:53Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: 表記</p> <hr /> <div>&#039;&#039;&#039;MapReduce&#039;&#039;&#039;(マップリデュース)は、[[コンピュータ]]機器の[[コンピュータ・クラスター|クラスター]]上での巨大なデータセットに対する[[分散コンピューティング]]を支援する目的で、[[Google]]によって[[2004年]]に導入された[[プログラミングパラダイム|プログラミングモデル]]である。<br /> <br /> この[[フレームワーク]]は[[関数型言語]]でよく使われるMap関数とReduce関数からヒントを得て作られているが、フレームワークにおけるそれらの用いられ方は元々のものと同じではない。<br /> <br /> MapReduceの[[ライブラリ]]群は、[[C++]]、[[C Sharp|C#]]、[[Erlang]]、[[Java]]、[[OCaml]]、[[Perl]]、[[Python]]、[[PHP (プログラミング言語)|PHP]]、[[Ruby]]、[[F Sharp|F#]]、[[R言語]]、[[MATLAB]]等の[[プログラミング言語]]で実装されている。<br /> <br /> == 概要 ==<br /> MapReduceは巨大なデータセットを持つ高度に並列可能な問題に対して、多数のコンピュータ([[ノード (ネットワーク)|ノード]])の集合であるクラスター(各ノードが同じ[[ハードウェア]]構成を持つ場合)もしくはグリッド(各ノードが違うハードウェア構成を持つ場合)を用いて並列処理させるためのフレームワークである。処理は、[[ファイルシステム]](非構造的)もしくは[[データベース]](構造的)に格納されたデータに対して行うことができる。<br /> <br /> &#039;&#039;&#039;Map ステップ&#039;&#039;&#039; - マスターノードは、入力データを受け取り、それをより細かい単位に分割し、複数のワーカーノードに配置する。受け取ったワーカーノードが、更に細かい単位に分割し、他の複数のワーカーノードに配置するという、より深い階層構造の分割を行うこともある。そして、各ワーカーノードは、その細かい単位のデータを処理し、処理結果を、マスターノードへと返す。<br /> <br /> &#039;&#039;&#039;Reduce ステップ&#039;&#039;&#039; - 続いて、マスターノードが、Mapステップでの処理結果を集約し、目的としていた問題に対する答え(結果)を何らかの方法によって出力する。<br /> <br /> MapReduceの特徴は、MapとReduceの各ステップで並列処理が可能なことである。それぞれのMap処理は、他のMap処理と完全独立であり、理論的に全て並列実行することができる(実際には、データソースや[[CPU]]の数により制限がかかる)。続くReduceステップでは、Mapステップでの処理結果がキーごとにまとめられてReduce処理に送られることになるが、これも同様に並列処理が可能である。<br /> <br /> MapReduce による一連の処理は、逐次実行[[アルゴリズム]]と比較してしばしば非効率にみえるが、MapReduce は一般の汎用[[サーバ]]が取り扱うことが可能なデータ量をはるかに超える大きなデータセットに対しても適用することができる。多数のサーバを持っていれば、MapReduce を使い[[ペタバイト]]級のデータの並べ替えをわずか数時間で行うことも可能である。<br /> <br /> また、処理が並列的であることで、複数あるサーバや[[ストレージ]]の一部に障害が起こり、Map処理やReduce処理が実行できないノードが発生した場合でも、入力データがまだ利用可能である場合は、処理を再スケジュールして実行させることが可能となる。これにより、障害に対して、しばしば処理継続中のリカバリーが可能になる。<br /> <br /> == 参考文献 ==<br /> * 日経BP出版局著 「クラウド大全 サービス詳細から基盤技術まで」2009年 ISBN 9784822283889<br /> <br /> == 関連事項 ==<br /> * [[Google]]<br /> * [[BigTable]]<br /> * [[エラー忘却型コンピューティング]]<br /> * [[Hadoop]]<br /> <br /> {{Google Inc.}}<br /> <br /> [[Category:Googleのソフトウェア]]<br /> [[Category:ソフトウェア工学]]<br /> [[Category:プログラミングパラダイム]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 ナトリウム 2018-08-31T00:52:00Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: ソーダを代表表記に</p> <hr /> <div>{{Elementbox<br /> |name=sodium<br /> |japanese nameたいき<br /> |number=11<br /> |symbol=Na<br /> |molar mass=22.9898 g/mol<br /> |left=[[ネオン]]<br /> |right=[[マグネシウム]]<br /> |above=[[リチウム|Li]]<br /> |below=[[カリウム|K]]<br /> |series=アルカリ金属<br /> |series comment=<br /> |group=1<br /> |period=3<br /> |block=s<br /> |series color=<br /> |phase color=<br /> |appearance=銀白色<br /> |image name=Na (Sodium).jpg<br /> |image size=<br /> |image name comment=<br /> |image name 2=Sodium Spectra.jpg<br /> |image name 2 comment=ナトリウムのスペクトル線<br /> |atomic mass=22.98976928<br /> |atomic mass 2=2<br /> |atomic mass comment=<br /> |electron configuration=&amp;#91;[[ネオン|Ne]]&amp;#93; 3s&lt;sup&gt;1&lt;/sup&gt;<br /> |electrons per shell= 2,8,1<br /> |color=<br /> |phase=固体<br /> |phase comment=<br /> |density gplstp=<br /> |density gpcm3nrt=0.968<br /> |density gpcm3nrt 2=<br /> |density gpcm3mp=0.927<br /> |melting point K=370.87<br /> |melting point C=97.72<br /> |melting point F=207.9<br /> |boiling point K=1156<br /> |boiling point C=883<br /> |boiling point F=1621<br /> |triple point K=<br /> |triple point kPa=<br /> |critical point K=(推定)2573<br /> |critical point MPa=35<br /> |heat fusion=2.60<br /> |heat fusion 2=<br /> |heat vaporization=97.42<br /> |heat capacity=28.230<br /> |vapor pressure 1=554<br /> |vapor pressure 10=617<br /> |vapor pressure 100=697<br /> |vapor pressure 1 k=802<br /> |vapor pressure 10 k=946<br /> |vapor pressure 100 k=1153<br /> |vapor pressure comment=<br /> |crystal structure=[[体心立方構造]]<br /> |oxidation states=&#039;&#039;&#039;+1&#039;&#039;&#039;, 0, -1<br /> |oxidation states comment=強[[塩基]]性酸化物<br /> |electronegativity=0.93<br /> |number of ionization energies=4<br /> |1st ionization energy=495.8<br /> |2nd ionization energy=4562<br /> |3rd ionization energy=6910.3<br /> |atomic radius=[[1 E-10 m|186]]<br /> |atomic radius calculated=<br /> |covalent radius=[[1 E-10 m|166±9]]<br /> |Van der Waals radius=[[1 E-10 m|227]]<br /> |magnetic ordering=[[常磁性]]<br /> |electrical resistivity=<br /> |electrical resistivity at 0=<br /> |electrical resistivity at 20=47.7 n<br /> |thermal conductivity=142<br /> |thermal conductivity 2=<br /> |Max burning temp=1003 K<br /> |thermal diffusivity=<br /> |thermal expansion=<br /> |thermal expansion at 25=71<br /> |speed of sound=<br /> |speed of sound rod at 20=3200<br /> |speed of sound rod at r.t.=<br /> |Young&#039;s modulus=10<br /> |Shear modulus=3.3<br /> |Bulk modulus=6.3<br /> |Poisson ratio=<br /> |Mohs hardness=0.5<br /> |Vickers hardness=<br /> |Brinell hardness=0.69<br /> |CAS number=[http://www.commonchemistry.org/ChemicalDetail.aspx?ref=7440-23-5 7440-23-5]<br /> |UN number=1428<br /> |isotopes=<br /> {{Elementbox_isotopes_decay3_(2_2_1) | mn=22 | sym=Na | na=[[微量放射性同位体|trace]] | hl=[[1 E7 s|2.602]] [[年|y]] | dm1=[[β崩壊|β&lt;sup&gt;+&lt;/sup&gt;]]→[[γ崩壊|γ]] | de1a=0.5454 | pn1a=22 | ps1a=[[ネオン|Ne]][[励起状態|*]] | de1b=1.27453(2)&lt;ref&gt;{{cite journal| | last = Endt | first = P. M. ENDT, ,1 (1990) | title = Energy levels of A = 21-44 nuclei (VII) | journal = Nuclear Physics A | volume = 521 | pages = 1 | date = 12/1990 | doi = 10.1016/0375-9474(90)90598-G}}&lt;/ref&gt; | pn1b=22 | ps1b=[[ネオン|Ne]] | dm2=[[電子捕獲|ε]]→[[γ崩壊|γ]] | de2a=- | pn2a=22 | ps2a=[[ネオン|Ne]][[励起状態|*]] | de2b=1.27453(2) | pn2b=22 | ps2b=[[ネオン|Ne]] | dm3=[[β崩壊|β&lt;sup&gt;+&lt;/sup&gt;]] | de3=1.8200 | pn3=22 | ps3=[[ネオン|Ne]]}}<br /> {{Elementbox_isotopes_stable | mn=23 | sym=Na | na=100 % | n=12}}<br /> |isotopes comment=<br /> }}<br /> &#039;&#039;&#039;ナトリウム&#039;&#039;&#039;({{lang-de-short|Natrium}} {{IPA-de|ˈnaːtriʊm|}}、{{lang-la-short|Natrium}})は[[原子番号]] 11、[[原子量]] 22.99 の[[元素]]、またその単体金属である。[[元素記号]]は &#039;&#039;&#039;Na&#039;&#039;&#039;。[[第1族元素#アルカリ金属|アルカリ金属]]元素の一つで、[[典型元素]]である。[[医学|医]][[薬学]]や[[栄養学]]などの分野では&#039;&#039;&#039;ソジウム&#039;&#039;&#039;(&#039;&#039;&#039;ソディウム&#039;&#039;&#039;、{{lang-en-short|sodium}} {{IPA-en|ˈsoʊdiəm|}})とも言い、日本の工業分野では(特に化合物中において)&#039;&#039;&#039;ソーダ&#039;&#039;&#039;(&#039;&#039;&#039;曹達&#039;&#039;&#039;)と呼ばれる&lt;ref group=&quot;※&quot;&gt;[[炭酸水素ナトリウム]]を重炭酸ソーダ(重曹)と呼んだり、[[水酸化ナトリウム]]を苛性ソーダと呼ぶ。また、ナトリウム化合物を作ることから[[日本曹達]]や東洋曹達(現[[東ソー]])などの名前の由来となっている。&lt;/ref&gt;。毒物及び劇物取締法により劇物に指定されている&lt;ref&gt;[http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe2.cgi?MODE=hourei&amp;DMODE=SEARCH&amp;SMODE=NORMAL&amp;KEYWORD=%93%c5%95%a8&amp;EFSNO=739&amp;FILE=FIRST&amp;POS=0&amp;HITSU=293 毒物及び劇物取締法 昭和二十五年十二月二十八日 法律三百三号 第二条 別表第二]&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> == 歴史 ==<br /> [[1807年]]、[[ハンフリー・デービー]]が[[水酸化ナトリウム]](苛性ソーダ)を[[電気分解]]することにより発見した。ナトリウムという名称は天然炭酸ソーダを意味する[[ギリシャ語]]の {{lang|el|νίτρον}}&lt;ref&gt;近角、木越、田沼「最新元素知識」東京書籍、1976年&lt;/ref&gt;、あるいは[[ラテン語]]の &#039;&#039;natron&#039;&#039;([[ナトロン]])&lt;ref&gt;桜井「元素111の新知識」BLUE BACKS、講談社、1997年。 ISBN 4-06-257192-7&lt;/ref&gt;に由来するといわれる。<br /> <br /> [[ドイツ語]]では Natrium、[[英語]]では sodium と呼ばれ、いずれも近代にラテン語として造語された単語である(現代ラテン語では natrium が使われる)。[[日本]]にはドイツ語から輸入され、ナトリウムという名称が定着した。[[元素記号]]はドイツ語から &#039;&#039;&#039;Na&#039;&#039;&#039; になった一方、IUPAC名は英語から sodium とされている。<br /> <br /> == 単体 ==<br /> {{節スタブ}}<br /> <br /> === 性質 ===<br /> 常温、常圧での結晶構造は、BCC 構造(体心立方構造)。[[融点]]は98 ℃で、[[沸点]]は883℃(他に883 ℃、881 ℃という実験値あり)。比重は0.97で、わずかに[[水]]より軽い。<br /> <br /> 非常に反応性の高い[[金属]]で、[[酸]]、[[塩基]]に侵され、水と激しく反応する。下記に示される化学反応過程を経て水酸化ナトリウムとなるため、素手で触ると手の表面にある水分と化合し水酸化ナトリウムとなって皮膚を侵す。さらに[[空気]]中で容易に[[酸化]]されるため、保存する時は[[灯油]]に浸ける。後述化学反応に示すようにアルコール等の[[プロトン溶媒]]とも反応するが[[エーテル (化学)|エーテル]]や灯油とは反応しないため、灯油等を保存液体として使用する。[[イオン化]]する時は一価の[[陽イオン]]になりやすい。[[炎色反応]]で[[黄色]]を呈する。<br /> <br /> [[消防法]]第2条第7項及び別表第一第3類1号により第3類[[危険物]]に指定されている。<br /> <br /> 200 [[ギガ|G]][[パスカル (単位)|Pa]](約200万[[気圧]])の[[高圧]]下では、[[結晶構造]]が変化し、[[金属光沢]]を失い[[透明]]になる&lt;ref&gt;Yanming Ma et al., &quot;Transparent dense sodium&quot;, &#039;&#039;Nature&#039;&#039; &#039;&#039;&#039;458&#039;&#039;&#039;, 182-185 (2009). {{doi|10.1038/nature07786}}&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> === 生産 ===<br /> 水酸化物や塩化物を[[融解塩電解]]することによって単体を得られる。[[カストナー法]](原料 NaOH)、[[ダウンズ法]](原料 NaCl)が知られる。2006年まで、新潟県に立地する[[日本曹達]]二本木工場が、国内で唯一工業的規模の金属ナトリウム製造を行っていたが、現在は操業を停止している。海外ではフランスのMAAS社とアメリカのDuPont社がダウンズ法で生産している&lt;ref&gt;{{cite web | title = Sodium Metal from France | publisher = U.S. International Trade Commission | url = http://www.usitc.gov/publications/701_731/pub4045.pdf | accessdate = 2012-08-04}}&lt;/ref&gt;。日本の輸入量は2007年で3055トンであった&lt;ref name=&quot;kagaku&quot;&gt;{{Cite book|和書|author=|authorlink=|year=2009|month=2|title=15509の化学商品|publisher=化学工業日報社|isbn=978-4-87326-544-5}}&lt;/ref&gt;。またカストナー法は工業生産としては使用されていない。<br /> <br /> === 用途 ===<br /> [[熱伝導率]]がよく、高温でも液体で存在するため、単体としては[[高速増殖炉]]の[[冷却材]]として用いられる。高性能自動車エンジンの排気バルブのステム内部に封入し熱伝導を向上させる用途にも使われる。そのほかに、負極にナトリウム、正極に硫黄を使った、[[ナトリウム・硫黄電池|NaS電池]]がある。これは大型の非常用電源や、風力発電の[[エネルギー貯蔵]]に利用される。[[トンネル]]の中などに使われている発光(ナトリウムのD線、D1: 589.6 nmとD2: 589.0 nm)は[[ナトリウムランプ]]である。<br /> <br /> 生体にとっては重要な[[電解質]]の一つであり、ヒトではその大部分が[[細胞外液]]に分布している。神経細胞や心筋細胞などの電気的興奮性細胞の興奮には、細胞内外のナトリウムイオン濃度差が不可欠である。細胞外濃度は 135–145 m[[モル濃度|mol/l]]程度に保たれており、細胞外液の陽イオンの大半を占める。そのため、ナトリウムイオンの過剰摂取は濃度維持のための水分貯留により、[[高血圧]]の大きな原因となる。<br /> <br /> === 主な化学反応 ===<br /> &lt;!--空気中では、最終的に炭酸塩になります。コメントアウトしておきます。* [[空気]]中に放置すると[[酸化]]されて[[酸化ナトリウム]] (Na&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;O) になる。--&gt;<br /> * [[水]]と反応して[[水素]]を発生させながら[[水酸化ナトリウム]] (NaOH) になる。<br /> : &lt;ce&gt;{2Na} + 2H2O -&gt; {2NaOH} + H2&lt;/ce&gt;<br /> * 発熱反応・低融点のため水に固体ナトリウムを投げ込むとナトリウムが反応熱で溶融し細粒化して反応面積が激増して爆発する<br /> <br /> * [[アルコール]]、[[カルボン酸]]、[[フェノール類]]などの[[ヒドロキシ基]]と反応して水素を発生させながら[[アルコキシド]]などを与える。<br /> : &lt;ce&gt;{2Na} + 2ROH -&gt; {2RONa} + H2&lt;/ce&gt;(アルコール:R = アルキル基、フェノール類:R = 芳香族置換基)<br /> : &lt;ce&gt;{2Na} + 2RCOOH -&gt; {2RCOONa} + H2&lt;/ce&gt;<br /> * [[第17族元素|ハロゲン]]の単体と結合(反応)して、[[塩 (化学)|塩]]になる。<br /> : &lt;ce&gt;{2Na} + Cl2 -&gt; 2NaCl&lt;/ce&gt;<br /> <br /> == 化合物 ==<br /> 記事カテゴリ [[:Category:ナトリウムの化合物]] も参照。<br /> <br /> === オキソ酸の塩 ===<br /> * [[炭酸水素ナトリウム]](重曹)(NaHCO&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;)<br /> * [[炭酸ナトリウム]](炭酸ソーダ)(Na&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;CO&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;)<br /> * [[過炭酸ナトリウム]] (2Na&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;CO&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;・3H&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;O&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;)<br /> * [[亜二チオン酸ナトリウム]](亜ジチオン酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト)(Na&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;S&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;O&lt;sub&gt;4&lt;/sub&gt;)<br /> * [[亜硫酸ナトリウム]] (Na&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;SO&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;)<br /> * [[亜硫酸水素ナトリウム]] (NaHSO&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;)<br /> * [[硫酸ナトリウム]](芒硝)(Na&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;SO&lt;sub&gt;4&lt;/sub&gt;)<br /> * [[チオ硫酸ナトリウム]](ハイポ)(Na&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;S&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;O&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;)<br /> * [[亜硝酸ナトリウム]] (NaNO&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;)<br /> * [[硝酸ナトリウム]] (NaNO&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;)<br /> <br /> === ハロゲン化物 ===<br /> * [[フッ化ナトリウム]] (NaF)<br /> * [[塩化ナトリウム]]([[食塩]])(NaCl)<br /> * [[臭化ナトリウム]] (NaBr)<br /> * [[ヨウ化ナトリウム]] (NaI)<br /> <br /> === 酸化物・水酸化物 ===<br /> * [[酸化ナトリウム]] (Na&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;O)<br /> * [[過酸化ナトリウム]] (Na&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;O&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;)<br /> * [[水酸化ナトリウム]](苛性ソーダ)(NaOH)<br /> <br /> === その他の無機塩 ===<br /> * [[水素化ナトリウム]] (NaH)<br /> * [[硫化ナトリウム]] (Na&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;S)<br /> * [[硫化水素ナトリウム]](水硫化ナトリウム)(NaHS)<br /> * [[珪酸ナトリウム]] (Na&lt;sub&gt;2&lt;/sub&gt;SiO&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;)<br /> * [[リン酸三ナトリウム]] (Na&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;PO&lt;sub&gt;4&lt;/sub&gt;)<br /> * [[ホウ酸ナトリウム]] (Na&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;BO&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;)<br /> * [[水素化ホウ素ナトリウム]] (NaBH&lt;sub&gt;4&lt;/sub&gt;)<br /> * [[シアン化ナトリウム]](青酸ナトリウム)(NaCN)<br /> * [[シアン酸ナトリウム]] (NaOCN)<br /> * [[テトラクロロ金酸ナトリウム]] (Na[AuCl&lt;sub&gt;4&lt;/sub&gt;])<br /> <br /> === 有機酸塩 ===<br /> * [[酢酸ナトリウム]] (CH&lt;sub&gt;3&lt;/sub&gt;COONa)<br /> * [[クエン酸ナトリウム]]<br /> <br /> == 同位体 ==<br /> {{main|ナトリウムの同位体}}<br /> ナトリウムの同位体は20種類が知られているが、その中で安定同位体は&lt;sup&gt;23&lt;/sup&gt;Naのみである。&lt;sup&gt;23&lt;/sup&gt;Naは、[[恒星]]中での[[炭素燃焼過程]]において、2つの[[炭素]]原子の[[核融合]]によって生成される。この反応には、600 M[[ケルビン|K]]以上の温度と、少なくとも太陽の3倍以上の質量を持つ恒星が必要となる&lt;ref&gt;{{cite journal|bibcode=1987SvAL...13..214D|title= Sodium Synthesis in Hydrogen Burning Stars|last1=Denisenkov |first=P. A.|last2=Ivanov|first2=V. V.|volume=13| date=1987|page= 214|journal=Soviet Astronomy Letters}}&lt;/ref&gt;。その他のナトリウムの同位体は[[放射性同位体]]であるが、その中でも比較的[[半減期]]の長い&lt;sup&gt;22&lt;/sup&gt;Na(半減期2.6年)および[[ナトリウム24|&lt;sup&gt;24&lt;/sup&gt;Na]](半減期15時間)の2つは[[宇宙線による核破砕]]によって生成され(宇宙線誘導核種)、自然中においては雨水などに[[痕跡量]]が存在している&lt;ref&gt;{{Cite journal|title=「超低レベル放射能測定の現状と展望」まとめ|author=小村和久|year=2006|journal=RADIOISOTOPES|volume=55|issue=11|pages=691-697|doi=10.3769/radioisotopes.55.691}}&lt;/ref&gt;。他の放射性同位体の半減期は全て1分未満である&lt;ref&gt;{{cite journal| last=Audi|first=Georges|title=The NUBASE Evaluation of Nuclear and Decay Properties| journal=Nuclear Physics A|volume=729|pages=3–128|date=2003| doi=10.1016/j.nuclphysa.2003.11.001| bibcode=2003NuPhA.729....3A| last2=Bersillon| first2=O.| last3=Blachot| first3=J.| last4=Wapstra| first4=A. H.}}&lt;/ref&gt;。その他2つの[[核異性体]]が発見されており、長寿命のものでは半減期が20.2ミリ秒の&lt;sup&gt;24m&lt;/sup&gt;Naがある。[[臨界事故]]などによる急性の中性子被曝では、人体の血液中に含まれる安定な&lt;sup&gt;23&lt;/sup&gt;Naの一部が放射性同位体である&lt;sup&gt;24&lt;/sup&gt;Naに変化する。そのため、被曝者の受けた中性子線量は血中における&lt;sup&gt;23&lt;/sup&gt;Naに対する&lt;sup&gt;24&lt;/sup&gt;Naの濃度比を測定することによって計算することができる&lt;ref&gt;{{cite journal|title=Neutron Activation of Sodium in Anthropomorphous Phantoms|journal=HealthPhysics| volume=8|issue=4| pages=371–379| date=1962| last1=Sanders| first1=F. W.|last2=Auxier|first2=J. A.| doi= 10.1097/00004032-196208000-00005|pmid=14496815}}&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> == 脚注 ==<br /> {{脚注ヘルプ}}<br /> === 注釈 ===<br /> {{Reflist|group=&quot;※&quot;}}<br /> <br /> === 出典 ===<br /> {{reflist}}<br /> <br /> ==関連項目==<br /> {{commonscat|Sodium}}<br /> {{wiktionary|ナトリウム}}<br /> <br /> == 外部リンク ==<br /> * [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-01-02-08 ナトリウムの特性(原子力百科事典 ATOMICA)]<br /> * [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-01-02-09 ナトリウム冷却システム(原子力百科事典 ATOMICA)]<br /> * [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-01-02-10 ナトリウム取扱い技術(原子力百科事典 ATOMICA)]<br /> * [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-01-03-04 ナトリウムの安全性(1次系ナトリウム)(原子力百科事典 ATOMICA)]<br /> * [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=03-01-03-05 ナトリウムの安全性(蒸気発生器および2次系ナトリウム) (原子力百科事典 ATOMICA)]<br /> *{{PaulingInstitute|mic/minerals/sodium Sodium (Chloride)}}<br /> * {{Hfnet|586|ナトリウム}}<br /> * [http://jp.youtube.com/watch?v=Ft4E1eCUItI ナトリウムと水の反応動画]<br /> * [http://www2.dupont.com/Reactive_Metals/en_US/index.html DuPount社Reactive Metals部門HP]<br /> <br /> {{元素周期表}}<br /> {{ナトリウムの化合物}}<br /> {{ナトリウムのオキソ酸塩}}<br /> {{Normdaten}}<br /> {{DEFAULTSORT:なとりうむ}}<br /> [[Category:ナトリウム|*]]<br /> [[Category:第3類危険物]]<br /> [[Category:劇物]]<br /> [[Category:必須ミネラル]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 タイムレコーダー 2018-08-10T02:57:45Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: 表記</p> <hr /> <div>[[File:Bundesarchiv B 145 Bild-F038809-0007, Wolfsburg, VW Autowerk, Werksausgang.jpg|thumb|350px|right]]<br /> &#039;&#039;&#039;タイムレコーダー&#039;&#039;&#039;とは時刻、[[時間]]を計測する器械。日本では出勤記録時計、勤番記録時計などと訳されるように、主に雇用者の勤怠管理などに用いられることが主流である。<br /> <br /> == タイムレコーダーの用途 ==<br /> タイムレコーダーは主に企業で使用され、労働者が出勤した日付、出勤時刻、退勤時刻を記録する用途に用いられる。中には労働時間や[[時間給]]計算を人間に代わって計算する利便性の高いものも存在する。<br /> <br /> 記録をするための媒体として&#039;&#039;&#039;タイムカード&#039;&#039;&#039;という紙製のカードを用いる。タイムカードをタイムレコーダーに挿入することで、挿入した時の時刻がその場で印字され、出勤・退勤などの時刻を記録する。この際、時刻の他に労働時間数などを併せて印字するものもある。タイムカード1枚で労働者1人の1ヶ月分の勤怠情報(出勤・退勤時刻など)を記録することができる。<br /> <br /> タイムカードに時刻の印字を行うことを打刻という。<br /> <br /> == タイムレコーダーの種類 ==<br /> 従来型の紙(タイムカード)に印字するものの他、タイムカードの代わりにICカードや指紋・指静脈などの生体認証方式のもの、[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]で勤怠管理が可能なものもあり、一部のオフィスなどでは従来のタイムカード式に取って代わられている。だが、主流は今でも紙(タイムカード)を用いるもので、誰にも扱いやすいことから、[[パートタイマー]]や[[アルバイト]]労働者が多い商店などでは人気がある。従来型のタイムカードを用いる理由としては、ICカードなどの方式より本体価格が安価であること、紙に印字する方式を用いることでパソコンなどを使用せずとも誰でも印字を確認できることなどが挙げられる。<br /> <br /> == タイムレコーダーの仕組み ==<br /> タイムレコーダーは大きく分けて下記の要素で構成される。<br /> <br /> ; 時計<br /> : 通常、前面の目立つ位置に時計が設置されている。アナログ・デジタルのどちらかを搭載することが多いが、まれに両方を表示するモデルもある。この時計は後述のプリンタと連動しており、時計が指している時刻をプリンタが印字する仕組みになっている。時刻は勤怠管理上重要な要素であるため、精巧なものや[[電波時計]]など、時刻の誤差が極めて少ないものが搭載される。<br /> ; ボタン<br /> : タイムレコーダーの上部または前面に出勤・退勤などの押しボタンが設けられている。出勤時は「出勤ボタン」を押した後、タイムカードを挿入し、退勤時は「退勤ボタン」を押した後、タイムカードを挿入する。この他に私用外出を表す「外出」やそこからの「戻り」の時刻を印字するボタンを搭載するモデルもある。<br /> ; タイムカード挿入口<br /> : 本体上部にある、スリット(穴)。異物がタイムレコーダー内部に入るのを防ぐため、タイムカードの幅・厚さに合わせて作られている。中には異物の侵入を防ぐための蓋が設置してあるモデルもある。ここにカードが挿入されたことを検知するセンサーが搭載されている。<br /> ; タイムカード搬送部<br /> : 挿入されたタイムカードを本体内部に引き入れる為のレールと、モーター、ローラーから構成される。タイムカードが挿入され、それをセンサーが検知すると、タイムカード搬送部のローラーがモーターにより稼動し、挿入されたタイムカードをタイムレコーダー内部のプリンター印字位置まで搬送する。<br /> ; プリンター<br /> : タイムカードに印字をするためのプリンター。現行品ではドットインパクトプリンターが用いられることがほとんどだが、かつては活字を用いるものが主流だった。前述の搬送部では、レール上をタイムカードが移動するため、縦方向の印字位置は合わせることができるが、横方向の印字位置については合わせることができない。このため、プリンターはレール上を左右に移動し、調整した後で印字をすることになる。<br /> <br /> 挿入口から挿入されたタイムカードは搬送部を通り、プリンターによる印字(打刻)が行われた後、搬送部を逆戻りして挿入口から排出される仕組みになっている。<br /> <br /> == タイムレコーダーの歴史 ==<br /> 世界で初めてタイムレコーダーが生まれたのは[[19世紀]]の[[アメリカ合衆国|アメリカ]]で、雇用者の賃金計算を円滑にする目的で、ジョン・C・ウィルソン([[:en:John C. Wilson|John C. Wilson]])によって発明された。当時のタイムレコーダーは紙テープに時間を刻む方式であり、後にタイムカードを用いて、印字する方式が発明された。<br /> <br /> 日本国内では[[1931年]]に、[[アマノ]]を興した[[天野修一]]の発明による電気式タイムレコーダーが最初で、機械での字送り、時間印字も[[電気]]によって行われるという画期的なものであった。この国産タイムレコーダーは時の[[内閣総理大臣|総理大臣]]、[[濱口雄幸]]の奨励を受けている。その後、企業社会が発展し、給与体系が複雑化してくると賃金計算に便利なタイムレコーダーの需要は益々高まっていった。そうしたニーズに応えたのが、時給設定や集計などを自動で行ってくれる集計タイムレコーダーであり、今日ではビジネスで特に重要なツールの一つになっている。また、[[時計]]をデジタル化した電子タイムレコーダー、PCに接続して、集計結果を表計算式で参照してくれるタイムレコーダーソフト、[[インターネット]]を介したASP方式の[[インターネットタイムレコーダー]]など、時代のニーズに合ったタイムレコーダーが発明されるようになった。<br /> <br /> 更に今度は[[指紋]]や[[声帯]]などで個人を照合し(厳重な秘密保持を必要とする施設や部屋において用いられる電子錠と同様の方式)、時間を管理するタイムレコーダーが研究段階となっており、タイムカードを用いる手作業の手間を省略することがキーとなっている。<br /> <br /> 果ては企業の社員証([[身分証明書]])や、[[大学]]の[[学生証]]と一体化したものもある。学生証一体型は出欠確認に用いられる(授業5分前から5分後までにチェックしなければ出席とはならないという。[[立命館大学]]・[[長野大学]]などで導入)。<br /> <br /> == 他の用途のタイムレコーダー ==<br /> 運輸などで荷物の集配時刻を管理するものや、[[パーキングエリア]]などで使用時間・駐車料金を計算するシステム、[[警備員]]が施設内巡回をする場合にチェックポイントを通過した証明に記録をする「パトロールレコーダー」などがあり、これらもタイムレコーダーの一種である。<br /> <br /> == 関連項目 ==<br /> *[[パーキングメーター]]<br /> *[[タコグラフ]]<br /> *[[アマノ|アマノ株式会社]]<br /> *[[マックス (機械メーカー)|マックス株式会社]]<br /> <br /> {{Product-stub}}<br /> <br /> {{DEFAULTSORT:たいむれこおたあ}}<br /> [[Category:労働時間]]<br /> [[Category:時計]]<br /> [[Category:記録]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 助産師 2018-08-09T04:19:31Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: /* 男性に対する資格制限 */ 表記</p> <hr /> <div>{{国際化|領域=日本の資格|date=2013年2月13日 (水) 21:27 (UTC)}}<br /> {{Infobox Occupation<br /> | name = Midwife<br /> | image = [[File:Midwife check-up.jpg|250px]]<br /> | caption = 超音波検査を受ける妊婦<br /> | official_names = Midwife&lt;ref name=&quot;Definition&quot;&gt;{{cite web|title= International Definition of the Midwife |url=http://www.internationalmidwives.org/who-we-are/policy-and-practice/icm-international-definition-of-the-midwife/ |publisher=International Confederation of Midwives| accessdate=2018-4-30}}&lt;/ref&gt;<br /> | type = 専門職<br /> | activity_sector = 助産、産科、新生児ケア、女性の健康<br /> | competencies = <br /> | formation = <br /> * Bachelor of Midwifery<br /> * Master of Midwifery<br /> | employment_field = 病院、診療所、保健所、出産センター、在宅出産など<br /> | related_occupation = [[産婦人科学|産婦人科]]([[産科学|産科]]・[[婦人科学|婦人科]])、[[小児科学|小児科]]<br /> }}<br /> [[File:Worldwide Midwives.png|thumb|250px|制度が存在する国(112カ国)。国際助産師連盟(2017)による&lt;ref&gt;{{cite web|title= Midwives Associations Worldwide |url=http://www.internationalmidwives.org/our-members/ |publisher=International Confederation of Midwives| accessdate=2018-4-30}}&lt;/ref&gt;。]]<br /> &#039;&#039;&#039;助産師&#039;&#039;&#039;(じょさんし、{{lang-en|midwife}})とは、助産行為の専門職であり、妊娠、出産、産後ケア、女性の性保健(婦人科検査、[[家族計画]]、[[更年期]]ケア)、[[新生児]]ケアなどを分野とする&lt;ref name=&quot;Essential Competencies&quot;&gt;{{cite web|url=http://internationalmidwives.org/what-we-do/education-coredocuments/essential-competencies-basic-midwifery-practice/|title=Essential Competencies for Basic Midwifery Practice|accessdate=2018-4-30|publisher=International Confederation of Midwives (ICM)}}&lt;/ref&gt; 。かつて腰抱き、産婆、助産婦などと呼称された職業の発展形&lt;ref&gt;[https://www.nurse.or.jp/nursing/josan/oyakudachi/kanren/sasshi/room/index03.html 助産師の歴史]公益社団法人日本看護協会&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> [[アメリカ合衆国]]、[[イギリス]]、[[オーストラリア]]などでは男性の助産師も存在している。日本では[[助産師国家試験]]の受験資格が女性のみとなるため、助産師は女性しかいない。<br /> ただし、男性の産婦人科医は居る。<br /> <br /> == 可能な行為 ==<br /> 助産師は女性の[[妊娠]]・[[出産]]・[[産褥]]の各時期において必要な[[監督]]・[[ケア]]・[[助言]]を行い、自分自身の責任において[[分娩]]介助をし、[[新生児]]及び[[乳児]]のケアを行うことができる。このケアには予防的措置、母子の異常な状態の発見、医学的援助を得ること、医学的援助が欠如している場合の緊急措置の実施が含まれる。<br /> <br /> 助産師は女性のためだけでなく、家族及び地域社会の中にあっても健康カウンセリングと教育に重要な役割を担っている。その活動には[[産前教育]]と[[親]]になるための準備が含まれ、さらに婦人科の一部の領域、家族計画及び[[育児]]にまで及ぶ。特にアメリカ合衆国では助産師に多くの権限が与えられており、[[エコー検査]]による[[胎児]]のチェックや[[子宮頸がん]]検診も助産師一人で行うことが出来る。<br /> <br /> == 英語呼称の語源 ==<br /> 英語の呼称「midwife」の語源は1250~1300年ころ[[中英語]]の「midwif」にあり、この「mid」とは「with ~とともに」や「付き添う」といった意味で、「wif」は(古英語や中英語では)「女性」を意味している&lt;ref&gt;{{Cite web|url=http://dictionary.reference.com/browse/midwife|title=the definition of midwife|accessdate=2018-04-30|website=Dictionary.com}}&lt;/ref&gt;。つまり「女性に付き添う者」といったような意味の表現である。<br /> <br /> == 歴史 ==<br /> [[古代エジプト]]の、[[エーベルス・パピルス]](紀元前1900年~紀元前1500年ころのものと考えられているもの)には助産師に関する記述がある。このパピルスの中の5段落が、出産に関する知識にあてられていて、特に分娩を早める方法と新生児の出生予後に関して記述している。[[ウェストカー・パピルス]](紀元前1700年ころのものと目されるもの)は、出産予定日の計算方法と、出産用の椅子の様々なタイプについて記述している。[[ルクソール神殿]]や他の神殿に王族のための分娩室があることも、この古代エジプトの文化で助産が重視されていたことを示している&lt;ref&gt;Jean Towler and Joan Bramall, &#039;&#039;Midwives in History and Society&#039;&#039; (London: Croom Helm, 1986), p. 9&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> [[古代ギリシア]]や[[古代ローマ]]には様々なタイプの助産婦がいて、[[ローマ帝国]]内の各村で民衆医療の伝統を引き継いでいる老婆や、様々なところから知識を得つつ豊富な経験を積んだ助産婦や、特に高度な訓練を受けていて女性外科医と見なされた人物などがいた&lt;ref&gt;Rebecca Flemming, Medicine and the Making of Roman Women (Oxford: Oxford University Press, 2000), p. 359&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> &lt;gallery widths=&quot;200px&quot; heights=&quot;250px&quot;&gt;<br /> Image:Eucharius Rößlin Rosgarten Childbirth.jpg|助産婦が助産をしている様子を描いた挿絵([[:en:Eucharius Rösslin|Eucharius Rößlin]]、第二版、1515年、より。この書は助産婦向けの書物としては最初期のものと見なされており、40版を重ね、1730年ころまで用いられた。)<br /> File:NAMA_Accouchement_1.jpg|助産の様子を描いている像。([[キプロス]]、[[紀元前5世紀]])<br /> &lt;/gallery&gt;<br /> <br /> == 日本 ==<br /> {{資格<br /> |名称 = 助産師<br /> |英名 = <br /> |英項名 = <br /> |略称 = <br /> |実施国 = 日本<br /> |分野 = [[医療]]<br /> |資格種類 = 国家資格<br /> |試験形式 = <br /> |認定団体 = [[厚生労働大臣]]<br /> |後援 = <br /> |認定開始年月日 = <br /> |認定終了年月日 = <br /> |等級・称号 = <br /> |根拠法令 = [[保健師助産師看護師法]]&lt;br /&gt;(保助看法)<br /> |公式サイト = [http://www.midwife.or.jp/ 社団法人日本助産師会]<br /> |特記事項 = 助産師籍に登録される<br /> }}<br /> 日本においては[[保健師助産師看護師法]]を根拠とする国家資格である。同法30条により、助産行為を行うことができるのは[[医師]]および助産師のみである(業務独占)。<br /> <br /> 助産師単独で可能な行為の範囲については、法的には以下に定義されている。<br /> <br /> * 助産、妊婦、じょく婦&lt;!--褥婦--&gt;若しくは新生児の保健指導を行うこと(3条)。<br /> * [[臍帯]]の切断、浣腸、その他助産師の業務に当然に付随する行為を行うこと(37条)。<br /> * 医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為は、医師の指示がない限り行ってはならない(37条)。<br /> <br /> 助産師が単独で行えるのは、正常な経過の妊娠分娩に関しての助産行為である。正常経過ではない、或いは正常分娩ではない・困難な場合は、医師がかかわる事になっている。従って、個人で助産所を設け助産師としての活動を行っている際に異常を確認した場合、提携の産婦人科医に連絡するなりの措置を行う。<br /> <br /> 助産師は[[病院]]、[[診療所]]、[[保健所]]、家庭、その他のサービスの場で業務を行うことができ、助産師は[[助産所]](助産院)を自ら開業することが可能である。<br /> <br /> === 歴史 ===<br /> 古くは「取上婆」「子安婆」などと呼ばれていた時代があったが、戦前は「産婆」と(しばしば「産婆さん」と、さんづけで)呼ばれていた。<br /> &lt;!--江戸時代は農民や町民が大名行列を横切ることは御法度で、無礼討ちされても文句が言えませんでした。しかし、「取上婆」や「子安婆」は、大名行列を横切ることが特別に許されていた。--&gt;<br /> <br /> 昭和23年には法的な名称が「助産婦」(じょさんふ、じょさんぷ)となり、[[2002年]]3月1日に「保健婦助産婦看護婦法」から「[[保健師助産師看護師法]]」に変更された際に、[[保健師]]や[[日本の看護師|看護師]]と共に名称が「助産師」に改められた。<br /> <br /> * [[1899年]]([[明治]]32年) - 産婆規則と産婆名簿登録規則が発布<br /> * [[1948年]]([[昭和]]23年) - 「助産婦」に改称<br /> * [[2002年]]([[平成]]14年) - 「助産師」に改称<br /> <br /> === 法的資格 ===<br /> 保健師助産師看護師法(保助看法)3条に規定され、「助産師とは厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦&lt;!--褥婦--&gt;若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子」と明記されている。また、従来は[[業務独占資格|業務独占]]のみの資格であったが、平成18年に保助看法に42条の3が追加され、助産師・看護師・[[日本の看護師#准看護師|准看護師]]にも[[名称独占]]規定が設けられた。<br /> <br /> 助産師には医師と同様に開業権(名称:助産院)が認められている。<br /> <br /> なお、守秘義務については保助看法42条の2に規定されている保健師や看護師、准看護師と異なり、[[医師]]や[[薬剤師]]、[[弁護士]]などと共に[[刑法]]134条に規定されている。<br /> <br /> === 教育 ===<br /> 保助看法20条に規定されている。<br /> <br /> 看護師免許取得者が、助産師学校などの養成機関で1年以上の専門教育と実習(直接介助10件、間接介助5件が目安)を受け、それぞれの国家試験に合格すると、&#039;&#039;&#039;助産師&#039;&#039;&#039;の資格が与えられる。ただし助産師指定養成校として認可を受けた[[看護大学]]では、助産師に関する講義や実習を加えて行うことで4年間の大学教育を経て看護師と同時に受験資格をえられるところがある。<br /> <br /> 現在は、4年制[[大学]]に選択制の「助産」のコースを設置する大学が増加し、[[短期大学]]の助産専攻科や助産師学校は減少傾向にあるが、その大学においても少子化によるお産の減少や看護師養成教育の充実などを背景に、時間的な制約が大きく十分な助産技術が習得できないなどの理由から、近年は看護大学卒業後に助産師教育を担う[[大学院]]や[[専攻科]]などが設置され始めている。<br /> <br /> === 統計 ===<br /> 日本国内において[[2012年]](平成24年)末現在で就業している助産師の総数は31,835人であり、その就業先は病院が約65%、診療所が約21%、助産所が約6%、養成・研究機関が約5%となっており&lt;ref&gt;[http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/12/dl/h24_gaikyo.pdf 平成24年度「衛生行政報告例(就業医療関係者)」]&lt;/ref&gt;、全体としてこの10年に限れば、助産師数は増えてきており、施設内分娩の普及や住宅事情により、助産所よりも病院等の医療施設に勤務する助産師が増えている。<br /> <br /> === 男性に対する資格制限 ===<br /> [[日本]]では、看護師や保健師と異なり、資格は女性のみである。<br /> <br /> 現在の日本において、性別によって[[国家資格]]の取得が制限されることはまれであるが、日本では現実問題として男性の助産師を積極的に求める妊産婦がいないため、男性が助産師の資格を得られないのはやむを得ないとする見方が一般的である。<br /> <br /> [[2001年]]に保助看法が改正され、[[2002年]]3月より助産婦という名称から、看護師、保健師と同様、性別による名称の違いを伴わない助産師へと名称が変更された過程の中で、男性への助産師資格の開放に関して具体的な動きが存在した。しかし、分娩等に関わる助産業務の特殊性を背景に、男性が関わることへの「生理的な嫌悪感」や「妊産婦が助産師の性別を選択できる権利が保証されていない」などの意見が主張され、名称は変更されたものの男性助産師を認めることについては時期尚早として見送られることとなった。<br /> <br /> == 助産師が主人公の文芸作品==<br /> *映画『[[:fr:Sage Femme (film)|ルージュの手紙]]』フランス、2017<br /> *本・映画『[[千年の愉楽]]』[[中上健次]]原作, 1982, 2013<br /> *本・ドラマ『[[つるかめ助産院]]』[[小川糸]]原作、2010, 2012<br /> 本・ドラマ『むかえびと』[藤岡陽子]<br /> <br /> == 脚注 ==<br /> {{reflist}}<br /> <br /> == 関連項目 ==<br /> * [[日本助産師会]]<br /> * [[船舶に乗り組む衛生管理者]]<br /> * [[産婦人科学]]<br /> ** [[産科学]]<br /> ** [[婦人科学]]<br /> * [[山口新生児ビタミンK欠乏性出血症死亡事故]] - [[ホメオパシー]]を信奉する助産師によって新生児に[[ビタミンK欠乏性出血症]]が引き起こされた事故<br /> * [[伊東里き]] - アメリカで助産師の認可を得た初めての日本人<br /> * [[高忍日売神社]] - 産婆・乳母の祖神として古来信仰を集めている。[[愛媛県]]伊予郡松前町に鎮座。<br /> *[[ドゥーラ]]([[:en:Doula]])<br /> *[[楠本イネ]]<br /> <br /> == 外部リンク ==<br /> {{Commonscat|Midwifery}}<br /> * [http://internationalmidwives.org/ . International Confederation of Midwives (ICM)] - 国際助産師連盟<br /> * [http://www.midwife.or.jp/ 社団法人日本助産師会]<br /> * [{{NDLDC|812835/27}} 明治期の助産婦]『新撰女子就業案内』菅原臥竜、1906年<br /> <br /> {{看護}}<br /> {{専門職大学院認証評価機関}}<br /> {{DEFAULTSORT:しよさんし}}<br /> [[Category:助産師|*]]<br /> [[Category:日本の国家資格]]<br /> [[Category:医療資格]]<br /> [[Category:業務独占資格]]<br /> [[Category:名称独占資格]]<br /> [[Category:医療関連の職業]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 核融合炉 2018-07-26T01:17:38Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: </p> <hr /> <div>{{出典の明記|date=2015年3月}}<br /> [[ファイル:QUEST Experiment Building.jpg|thumb|QUEST([[九州大学]])]]<br /> [[ファイル:Power Supply Ridge in Chikushi Kyushu Univ.jpg|thumb|QUESTへの電源供給施設]]<br /> &#039;&#039;&#039;核融合炉&#039;&#039;&#039;(かくゆうごうろ)は、現在開発中の[[原子炉]]の一種で、[[原子核融合]]反応を利用したもの。21世紀後半における実用化が期待される未来技術の1つである。<br /> <br /> 重い原子たる[[ウラン]]や[[プルトニウム]]の[[核分裂反応|原子核分裂反応]]を利用する[[核分裂炉]]に対して、軽い原子である[[水素]]や[[ヘリウム]]による[[核融合]]反応を利用してエネルギーを発生させる装置が核融合炉である。現在、日本を含む各国が協力して国際熱核融合実験炉[[ITER]]の[[フランス]]での建設に向けて関連技術の開発が進められている。ITERのように、核融合技術研究の主流の[[トカマク型]]の反応炉が高温を利用したものであるので、特に熱核融合炉とも呼ばれることがある。[[太陽]]をはじめとする[[恒星]]が輝きを放っているのは、すべて核融合反応により発生する熱エネルギーによるものである。これは核融合炉が「地上の太陽」と呼ばれるゆえんである。恒星の場合は自身の巨大な重力によって反応が維持されるが、地球上で核融合反応を発生させるためには、人工的に極めて高温か、あるいは極めて高圧の環境を作り出す必要がある。<br /> <br /> 核融合反応の過程で[[高速中性子]]をはじめ、さまざまな高エネルギー粒子の放射が発生するため、その影響を最小限に留める必要がある。そういった安全に反応を継続する技術、[[プラズマ]]の安定的なコントロールの技術、[[超伝導電磁石]]の技術、遠隔操作保守技術、[[リチウム]]や[[重水素]]、[[三重水素]]を扱う技術、プラズマ加熱技術、これらを支えるコンピュータ・シミュレーション技術などが必要とされ開発が進められている。<br /> <br /> == 核融合反応 ==<br /> {{See also|原子核融合}}<br /> [[原子番号]]28ぐらいまでの軽い[[元素]]では、[[核子]]一個あたりの結合エネルギーが比較的小さいので、原子核融合によって余分なエネルギーが放出される可能性がある。しかし、原子核の電荷が互いに反発して反応を阻害するため、実際にエネルギーを取り出して利用できるような形で反応を起こすことが可能なのは、電荷がごく小さい[[水素]]や[[リチウム]]などに限られると見られている。実際に核融合反応で発電するためには、原子核が毎秒1000km以上の速度でぶつかりあう必要がある。プラズマの温度を高くするために外部から加えたエネルギーと核融合反応により発生したエネルギーが等しくなる条件を「臨界プラズマ条件」と呼び、D-T反応([[重水素]]と[[三重水素]]の反応)では「発電炉内でプラズマ温度1億℃以上、密度100兆個/cm&lt;sup&gt;3&lt;/sup&gt;とし、さらに1秒間以上閉じ込めることが条件」と、いうことになる。2007年10月現在、この条件自体は[[トカマク型#JT-60|JT-60]]及びJETで到達したとされているが、発電炉として使用出来るまでの持続時間等には壁は高く、炉として実用可能な自己点火条件と言われる条件を目指し挑戦がつづいている。<br /> <br /> == 利点 ==<br /> * 核分裂による[[原子力発電]]と同様、[[二酸化炭素]]の放出がない。<br /> * [[核分裂反応]]のような連鎖反応がなく、暴走が原理的に生じない。<br /> * [[水素]]など、普遍的に存在する資源を利用できる。<br /> * 原子力発電で問題となる[[放射性廃棄物#高レベル放射性廃棄物|高レベル放射性廃棄物]]が継続的にはあまり生じない(もっとも古くなって交換されるダイバータやブランケットといった[[プラズマ対向機器]]は高い放射能を持つことになる。ただし開発が進められている低放射化材料を炉壁に利用することにより、放射性廃棄物の浅地処分やリサイクリングが可能となる)。<br /> * 従来型原子炉での運転休止中の残留熱除去系のエネルギー損失や、その機能喪失時の[[炉心溶融]]リスクがない。<br /> などが挙げられる。<br /> <br /> == 欠点 ==<br /> * 超高温で超高真空という物理的な条件により、実験段階から実用段階に至るすべてが巨大施設を必要とするため、莫大な予算がかかる。<br /> * 炉壁などの[[放射化]]への問題解決が求められる(後述)。<br /> <br /> == 安全性・危険性 ==<br /> ; 反応の停止<br /> : 核融合反応は核分裂反応と違って反応を維持するのが技術的に大変困難であり、あらゆる装置の不具合や少しの調整ミスが自動的に核融合反応の停止に結びつき、簡単には反応を再開出来ない。これはむしろ安全にとっては良い特性であり、現在の核分裂を使った商業用原子炉の根本的な危険性とは無縁である。<br /> ; [[放射性廃棄物]]<br /> : 核融合反応で発生する中性子は、核融合炉壁及び建造物を放射化する。放射化された核融合炉周辺の機械装置や建物が安全に本来の機能を発揮出来るような設計が求められる。たとえばITERにおいては2万トンの低レベル放射性廃棄物を発生させると推測されている([[東海発電所]]の廃止措置に伴う物と同程度の量)。今後建設されるそれらの建物はすぐに廃棄できず既存の原子炉と同様30年程度の冷却期間が必要だと予想される。地層処分などの問題は現在の原子炉と同じ様に、費用の問題や環境汚染対策が必要である。<br /> : 古くなったダイバータやブランケットは定期的に放射性廃棄物として発生するのでこれらの処理も必要となる。これらの発生頻度を最小化する部材技術の開発が求められる。また、三重水素の燃料化プロセスでも放射性廃棄物への配慮が必要となる。<br /> ; 三重水素の放射性<br /> : 三重水素は放射性物質であり正しく管理される必要がある。特に環境への漏洩阻止は重要である。三重水素は容易に通常の水素と置き換わるので、漏洩した場合には三重水素を含む水や有機物が自然界で生じ、これらは生物の体内に容易に取り込まれる。[[トリチウム水|三重水素水]]が生物に取り込まれた場合、通常の水と化学的な相違点は僅かであるため特定の臓器などに蓄積されたり体内で濃縮されたりする事はほとんどなく、通常の水と同じように排出される。生物が三重水素水を取り込んだ場合に半分が排出されるまでの時間([[被曝#生物学的半減期|生物学的半減期]])は、人の場合10日から14日程度とされる。また、三重水素を含む有機物を取り込んだ場合には、その有機物に見合った蓄積性と濃縮性を示す。ただし、三重水素は拡散しやすいため一点に留まらず、また水素が地球上に遍在するために三重水素が環境に放出されても希釈が早く生物濃縮なども受けにくい。このため、特定の食品などに濃縮されることなどは考えにくい。<br /> ;三重水素の核兵器への転用<br /> :三重水素は初期の[[水素爆弾|核融合爆弾]]にも用いられたが、後に、入手性/取り扱いともにより容易な重水素化リチウムを原料として使用する[[テラー・ウラム型]]水素爆弾が使用されるようになったため、わざわざ三重水素が水爆に利用されることは考えにくい。また、現在の技術では核融合爆弾の起爆には[[原子爆弾]]を用いる外に手段が無いため、既存の核保有国以外が製造することは容易ではない。ただし、重水素とトリチウムのD-T反応を利用して原子爆弾の威力を増す[[ブースト型核分裂兵器]]やD-T反応で放出される中性子をもちいる[[中性子爆弾]]の原料として利用される。また、通常の放射性物質同様、三重水素を原料にした[[汚い爆弾]]は容易に作ることができるがエネルギーが低いため皮膚すら貫通できず、他の材料を使った汚い爆弾に比べると実害は少ないとされる。<br /> ; 運転中の放射線<br /> : 核融合炉の運転中はプラズマから強烈な中性子線が放射されるため、さまざまな防護措置をとってもある程度漏れることが予想されている。現状、[[ITER]]で予定される運転中の放射線は、敷地境界で1年間に約0.1ミリシーベルト以下と自然放射線の10分の1に当たる量である。<br /> ; 超伝導電磁石<br /> : 超伝導電磁石とそれを支える構造支持体は運転中に連続して大きな力を受け続け、起動や停止時にはその変化に応じた力学的ストレスを受ける。また異常に応じて磁力を突然切る場合は、瞬間的に大きな変化に耐えねばならず、中性子を浴び続ける構造支持体が脆化しても支えきれるだけの安全度を確保することが求められる。<br /> <br /> == 核反応 ==<br /> 核融合炉において,使用が検討されている反応は主に以下の3つである。なお、以下 Dは重水素、Tは[[三重水素]](トリチウム)、pは水素原子核、nは中性子、Heは[[ヘリウム]]である。<br /> <br /> === D-D反応 ===<br /> * D + D &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; T + p<br /> * D + D &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;3&lt;/sup&gt;He + n<br /> <br /> 自然界でも原始星で起きている反応の一つである。地球上の水素全体の中での存在割合は、軽水素が99.985%、重水素は比率としては0.015%と僅かではあるが自然界に普通に存在し、主な水素の存在形態である水自体が自然界に無尽蔵に近いほど存在するため、重水素もほぼ無尽蔵に得られる。核融合炉として使用する場合、資源の入手性が非常に良いが、D-T反応の10倍厳しい反応条件を達成する必要がある。D-D反応で生ずる[[三重水素|トリチウム]]、[[ヘリウム|ヘリウム3]] をその場で燃焼させる[[ミューオン触媒核融合|触媒式]]D-D反応が検討されている。D-D反応を用いた核融合炉が実用化されれば、「[[プラズマ]]→[[電気]]」という直接的なエネルギー変換が可能な[[MHD発電]]も期待できる。なお、JT-60を含む多くの核融合開発を目的とした実験装置において、重水素を使う実験が行われている結果、この反応が起きている。もちろん、投入エネルギーを回収出来る程ではない。<br /> <br /> === D-T反応 ===<br /> [[ファイル:D-t-fusion.png|thumb|D-T反応]]<br /> <br /> * D + T &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He + n (14MeV)<br /> <br /> 反応条件が緩やかで、最も早く実用化が見込まれている反応である。この反応によって放出されるエネルギーは同じ質量のウランによる核分裂反応のおよそ4.5倍、石油を燃やして得られるエネルギーの8000万倍に達する。核融合炉として使用する場合トリチウムの入手性に課題がある。トリチウムは、自然界においては、大気の上層でわずかに生成されるのみであり、半減期の短い放射性物質であるため事実上採取は不可能である。また、[[高速中性子]]が生成するため、炉の材質も検討が必要となる。現在検討されているトリチウム入手法は、核融合炉の周囲を[[リチウム]][[ブランケット]]で囲み炉から放出される高速中性子を減速させつつ核反応を起こし、<br /> <br /> * &lt;sup&gt;6&lt;/sup&gt;Li + n &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; T + &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He + 4.8MeV<br /> * &lt;sup&gt;7&lt;/sup&gt;Li + n &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; T + &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He + n - 2.5MeV<br /> <br /> トリチウムを得ることである。このときブランケットは高速中性子を減速して遮蔽し、燃料を生産し、反応熱を取り出すと言う3つの役割をすることになる。[[欧州トーラス共同研究施設]]および[[TFTR]]においてはこの反応を主反応とするような実験が行われた。出力100MW(10万kW)の場合、消費する燃料(重水素と三重水素)は1年間で約25kgあれば充分である。<br /> <br /> === D-&lt;math&gt; {}^3&lt;/math&gt;He反応 ===<br /> * D + &lt;sup&gt;3&lt;/sup&gt;He &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He + p<br /> イオン温度が10億度の条件において、反応断面積がD-D反応の5 - 6倍程度の条件とD-T反応程ではないが比較的起こりやすく、発生するエネルギーも荷電粒子である陽子が担い放射性物質も出ないので炉が扱いやすいこと(ただし副反応のD-D反応で中性子が発生する)と、直接電力にエネルギーを変換することが可能なことで注目されている反応である。しかしながら、地球上にはヘリウム3がほとんど存在しないことが大きな問題である。[[アポロ計画]]の探査の結果[[太陽風]]により[[月]]には大量の[[ヘリウム3]]が存在することが明らかになったが、実用化は非常に遠いと見られる。[[中華人民共和国]]の[[月探査計画]]はヘリウム3採取を最終目的にしている。<br /> <br /> === 核融合反応の候補 ===<br /> 下記の核融合反応が核融合炉で利用可能と考えられている。<br /> * D + T &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He (3.52) + n (14.06)<br /> * D + &lt;sup&gt;3&lt;/sup&gt;He &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He (3.67) + p (14.67)<br /> * D + D &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;3&lt;/sup&gt;He (0.82) + n (2.45)<br /> * D + D &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; T (1.01) + p (3.03)<br /> * p + &lt;sup&gt;6&lt;/sup&gt;Li &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He (1.7) + &lt;sup&gt;3&lt;/sup&gt;He (2.3)<br /> * p + &lt;sup&gt;6&lt;/sup&gt;Li &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He + D + p - 1.5MeV<br /> * n + &lt;sup&gt;6&lt;/sup&gt;Li &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He + D + n - 1.5MeV<br /> * D + &lt;sup&gt;6&lt;/sup&gt;Li &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;7&lt;/sup&gt;Li (0.6) + D + p (4.4)<br /> * D + &lt;sup&gt;6&lt;/sup&gt;Li &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He + T + p + 2.3MeV<br /> * D + &lt;sup&gt;6&lt;/sup&gt;Li &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; 2 &lt;sup&gt;2&lt;/sup&gt;He (1.12)<br /> * D + &lt;sup&gt;6&lt;/sup&gt;Li &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;7&lt;/sup&gt;Be (0.43) + n (2.97)<br /> * D + &lt;sup&gt;6&lt;/sup&gt;Li &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He + &lt;sup&gt;3&lt;/sup&gt;He + n + 1.8MeV<br /> * D + &lt;sup&gt;6&lt;/sup&gt;Li &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He + 2D + n - 1.5MeV<br /> * &lt;sup&gt;3&lt;/sup&gt;He + &lt;sup&gt;6&lt;/sup&gt;Li &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; 2&lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He + p + 16.9MeV<br /> * p + T &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; &lt;sup&gt;3&lt;/sup&gt;He + n - 0.8MeV<br /> * p + &lt;sup&gt;11&lt;/sup&gt;B &lt;math&gt;\to&lt;/math&gt; 3&lt;sup&gt;4&lt;/sup&gt;He + 8.68MeV<br /> (カッコ内は反応生成物のエネルギー MeV)<br /> &lt;ref&gt;核融合炉工学概論 関昌弘編 日刊工業新聞社 ISBN 4-526-04799-6&lt;/ref&gt;<br /> <br /> == 現状と問題点 ==<br /> 現在最も研究が進んでいるのは、磁気閉じ込め方式の一種である[[トカマク型]]であり、現在計画中のITER(国際熱核融合実験炉)もこの方式を用いている。核融合の際に発生する中性子が炉壁などを傷つけるためにその構成材質の耐久力が問題となるとの指摘がある。とりわけITERでは前述の「D-D反応」よりも[[反応断面積]]が約100倍大きい「D-T反応」を用いる計画であるが、D-T反応では[[高速中性子]]が発生する。<br /> <br /> この高速中性子により炉の構成材内部では使用温度等にも依存するが、「照射脆化」が進行する場合がある。つまり原子が弾き飛ばされ材料内部に「原子空孔」(vacancy)や「格子間原子」が生じ(「フレンケル対」)、弾き出しが連鎖衝突した結果発生するつながった「[[格子欠陥]]」(「カスケード損傷」)により、これらの点欠陥集合体や析出物の形成等が生じることによって材料の降伏強度が高まるに伴い脆くなる。また構成材の原子が核変換を起こし発生したヘリウムガスが原子空孔と結びつくことによって材料の内部に空洞を形成し膨張する問題([[スウェリング (核物理学)|スウェリング]])も発生する場合がある。こういった劣化が一定以上進めば、もはや十分な耐久性を維持出来ないために交換を必要とする。また、脆化以外にも材料が放射化することから、低レベル放射性廃棄物が生成する問題も挙げられているが、低放射化フェライト鋼を用いることでITERのテストブランケットの構造材料は目処がたっている。&lt;ref&gt;{{PDFlink|[http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2016_06/jspf2016_06-444.pdf プロジェクトレビュー ITER 計画の機器開発・製作の進展 10.ITER テストブランケット計画]}} 河村繕範ら, J. Plasma Fusion Res. 92, 444 (2016) &lt;/ref&gt;また、構成材内部とは別に炉壁表面でも問題が生じる。プラズマイオンが炉壁に衝突すると「物理スパッタリング」と呼ばれる炉壁材料原子のはじき出しが起こる。炉壁面に炭素素材を使用すると、水素同位体の入射でメタンやエチレンなどの炭化水素が発生して、炉壁が損耗する化学スパッタリングという現象も起こる。<br /> <br /> その他、各種の閉じ込め方式があり、それぞれ各国で研究が進められている。日本では、核融合研究の中心は[[日本原子力研究所]]の「[[JT-60]]」([[トカマク型]])、[[核融合科学研究所]]などで進めている[[LHD]]([[ヘリカル型]])と、[[大阪大学]]で研究が進んでいる[[レーザー核融合]]である。<br /> <br /> 圧力の低いプラズマを保持することは比較的容易であるが、エネルギーとして利用可能な程度の圧力のプラズマを保持するのは難しく、前述のJT-60で、高圧力プラズマの保持時間は30秒程度である(この30秒という時間は加熱装置である中性粒子ビーム入射装置の稼働時間の上限で決まっている。現在ITERのために1000秒以上稼働できる装置を開発中である。)。また、保持のために投入するエネルギーに比較して反応により得られるエネルギーはまだ小さく([[エネルギー増倍率]](Q値) - 1.25)、世界の各種装置で核融合利得1を若干超える程度である。これらの課題については、ITERで研究が進められる予定である(ITERの目標値はQ値 - 10)。&lt;ref&gt;[http://www.fusion.qst.go.jp/ITER/iter/page1_6.php ITERの設計とは?]&lt;/ref&gt;<br /> <br /> == 実用化に向けて ==<br /> 小型核融合炉について、米国の[[ロッキード・マーチン]]社は2014年10月16日、10年以内にトラックに積み込める大きさの100メガワット級商用小型核融合炉を開発すると発表した&lt;ref&gt;{{Cite web|date=|url=http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20141016-00000054-biz_reut-nb|title=米ロッキード、10年以内に小型核融合炉実用化へ (ロイター)|work=|author=|publisher=Yahoo!ニュース BUSINESS|accessdate=2014-10-19}}&lt;/ref&gt;。2013年2月7日に発表された[[高ベータ核融合炉]]の続報である。<br /> <br /> 2015年、[[九州大学]]と[[核融合科学研究所]]は、それまで理論的には予想されていながら実験で確認されていなかったプラズマの流れが磁場の乱れによって脆弱化する現象の観測に成功した&lt;ref&gt;「九州大学と核融合科学研究所、磁場の乱れ影響を観測」『日本経済新聞』(2015/1/19)&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> 2016年3月18日、[[文部科学省]]は現在の実証炉ITER(イーター)以降の次世代炉を[[三菱重工]]・[[東芝]]と共同で研究し2035年頃の建設を目指す予定と[[日本経済新聞]]が報じた&lt;ref&gt;{{Cite web|date=|url=http://www.nikkei.com/article/DGXLASGG14H3J_Y6A310C1EAF000/|title=核融合炉、国内で研究 文科省が三菱重・東芝などと|work=|author=|publisher=日経新聞|accessdate=2016-03-18}}&lt;/ref&gt;<br /> <br /> 2017年8月9日、[[岐阜県]][[土岐市]]にある核融合科学研究所は大型ヘリカル装置(LHD / 超伝導核融合プラズマ実験装置)を使った実験で、世界で初めてプラズマ中のイオン温度を核融合発電に必要とされる1億2000万℃まで達成させることに成功したと発表した。再現実験も行い、恒常的にプラズマ温度を1億2000万℃まで引き上げられることも確認したという。今後は高密度化などによりさらに高性能なプラズマの生成を目指し、今世紀半ばには核融合発電を実現したいとしている&lt;ref&gt;{{Cite news | title = 核融合発電の実用化を目指し1億2000万℃を達成 | newspaper = [[メ〜テレ]](名古屋テレビ) | date = 2017-08-09 | url = https://www.nagoyatv.com/news/?id=170759&amp;p=3}}&lt;/ref&gt;&lt;ref&gt;{{Cite news | title = プラズマ1億2000万度 核融研、目標温度に到達 | newspaper = [[岐阜新聞]] | date = 2017-08-10 | url = http://www.gifu-np.co.jp/news/kennai/20170810/201708100904_30238.shtml}}&lt;/ref&gt;&lt;ref&gt;{{Cite news | title = 核融合研、核融合炉の実用化に不可欠なイオン温度1億2000万度を達成 | newspaper = [[財経新聞]] | date = 2017-08-11 | url = http://www.zaikei.co.jp/article/20170811/391599.html}}&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> 2018年3月9日、米国[[マサチューセッツ工科大学]](MIT)が企業と協力して、発電可能な核融合炉を15年以内に建設する計画を発表した&lt;ref&gt;[http://news.mit.edu/2018/mit-newly-formed-company-launch-novel-approach-fusion-power-0309 MIT and newly formed company launch novel approach to fusion power. Goal is for research to produce a working pilot plant within 15 years.]MIT News(March 9, 2018)2018年3月28日閲覧&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> == 核融合炉の種類 ==<br /> * [[磁場閉じ込め方式]]<br /> ** [[トカマク型]]<br /> ** [[球状トカマク]]<br /> ** [[ヘリカル型]]<br /> ** [[磁気ミラー型]]<br /> ** [[逆磁場ピンチ型]]<br /> ** [[逆転磁場配位型]]<br /> ** [[スフェロマック型]]<br /> ** [[高ベータ核融合炉]]<br /> * [[慣性閉じ込め方式]]<br /> ** 磁気絶縁方式慣性核融合(Magnetically Isolated Inertial Confinement Fusion=MICF):慣性閉じ込め方式と[[磁場閉じ込め方式]]との混合型。迷走ホットエレクトロン(プラズマを構成する電子のうち、プラズマ中の他の粒子に衝突してエネルギーを失うよりもはやくエネルギーをもって流出する電子)は磁場を作り出すが、この磁場は熱伝導に対する絶縁効果をそなえている。そこでMICFは非常に高効率のレーザーを用いて2つのアイデア、つまり熱絶縁と慣性閉じ込めを同時に実現しようというもの。 [[AT&amp;T]][[ベル研究所]]研究員だった[[長谷川晃 (物理学者)|長谷川晃]]([[2010年]]現在は[[大阪大学]][[名誉教授]])が理論を提唱した。<br /> ** [[レーザー核融合]]<br /> ** [[重イオン慣性核融合]]<br /> ** [[バブル核融合]]<br /> ** [[フューザー]]<br /> ** [[慣性静電閉じ込め核融合]]<br /> ** [[Zマシン|Zピンチ核融合]]:米国[[サンディア国立研究所]]が保有する[[Zマシン]]は、この方法で2003年3月に重水素燃料のみを用いた実験において核融合を達成した&lt;ref name=&quot;SandiaNewsRelease2003-04-07&quot;&gt;[https://share.sandia.gov/news/resources/releases/2003/nuclear-power/Zneutrons.html Huge pulsed power machine enters fusion arena Z produces fusion neutrons, Sandia scientists confirm]&lt;/ref&gt;。<br /> * その他<br /> ** [[焦電核融合]]<br /> ** [[ミューオン触媒核融合]]<br /> <br /> == 脚注 ==<br /> {{脚注ヘルプ}}<br /> {{Reflist}}<br /> <br /> == 参考資料 ==<br /> *『最新核エネルギー論 エネルギー技術としての「核分裂」と「核融合」』(発行:学習研究社・1990年4月1日発行)<br /> *『プラズマエネルギーのすべて』(日本実業出版社・2007年3月1日発行)<br /> <br /> == 関連項目 ==<br /> * [[国際核融合材料照射施設]]<br /> * [[核融合エネルギー]]<br /> * [[毛利衛]] - 元宇宙飛行士。専門は核融合炉壁材料。<br /> <br /> == 外部リンク ==<br /> * [http://www.triam.kyushu-u.ac.jp/ 九州大学応用力学研究所高温プラズマ力学研究センター]<br /> * [http://www.rist.or.jp/atomica/ 原子力百科事典 ATOMICA トップページ]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-04-01 核融合反応の分類]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-01-01 核融合反応と熱エネルギー]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-01-02 核融合炉の概念]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-01-03 核融合研究開発の経過]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-01-04 核融合炉開発の展望]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-01-05 核融合反応装置の形式と作動原理]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-01-06 トカマク型核融合装置の研究開発]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-01-07 三大トカマク装置の特徴と研究成果]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-01-08 ヘリカル型核融合装置の研究開発]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-01-09 ミラー型核融合装置の研究開発]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-01-10 慣性核融合装置の研究開発]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-01-11 国際核融合材料照射施設(IFMIF)]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-03-01 国際熱核融合実験炉(ITER)の設計活動と日本の計画]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-03-02 国際熱核融合実験炉(ITER)の概要]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-03-03 ITER工学設計活動における詳細設計]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-03-04 核融合炉の安全性]<br /> ** [http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=07-05-03-08 核融合実験炉開発の展望]<br /> * [http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/MRE/study/content/rad-damage/cascade.htm 京都大学 義家研究室 「カスケード損傷」]<br /> * [http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=424 原子力資料情報室 深まる原子炉圧力容器鋼のナゾ-現状では劣化の予測ができない 『原子力資料情報室通信』388号(2006.10.1)]<br /> * [http://wwwsoc.nii.ac.jp/aesj/publication/kiji/kakuyugoro/0504-28-33.pdf 日本原子力研究所 よくわかる核融合炉のしくみ 第5回 プラズマに面する耐熱機器―核燃焼プラズマの熱負荷に耐える壁(PDF)]<br /> <br /> {{原子炉}}<br /> {{核技術}}<br /> {{核融合実験装置}}<br /> {{発電の種類}}<br /> <br /> {{DEFAULTSORT:かくゆうこうろ}}<br /> [[Category:核融合炉|*]]<br /> [[Category:原子炉の形式]]<br /> [[Category:エネルギー]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 テフ (穀物) 2018-07-25T07:13:38Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: 表記</p> <hr /> <div>{{生物分類表<br /> |名称 = テフ<br /> |色 = lightgreen<br /> |画像 = [[Image:Teff pluim Eragrostis tef.jpg|250px]]<br /> | <br /> |界 = [[植物界]] [[:w:Plantae|Plantae]]<br /> |門階級なし = [[被子植物門]] [[:w:Magnoliophyta|Magnoliophyta]]<br /> |綱階級なし = [[単子葉類]] [[:w:Monocots|Monocots]]<br /> |下綱階級なし = [[ツユクサ類]] [[:w:commelinids|commelinids]]<br /> |目 = [[イネ目]] [[:w:Poales|Poales]]<br /> |科 = [[イネ科]] [[:w:Poaceae|Poaceae]]<br /> |属 = [[スズメガヤ属]] [[:en:Eragrostis|Eragrostis]]<br /> |種 = &#039;&#039;&#039;テフ&#039;&#039;&#039; &#039;&#039;E. tef&#039;&#039;<br /> |学名 = &#039;&#039;Eragrostis tef&#039;&#039;&lt;br /&gt;&lt;span style=&quot;font-size: small; &quot;&gt;({{AU|Zuccagni}}) {{AU|Trotter}} (1918)&lt;/span&gt;<br /> |和名 = テフ<br /> |英名 = [[w:Teff|Teff]]<br /> }}<br /> [[File:Injera.jpg|thumb|250px|テフからつくられるインジェラ。エチオピアの主食である]]<br /> &#039;&#039;&#039;テフ&#039;&#039;&#039; (teff, &#039;&#039;Eragrostis tef&#039;&#039;) は[[イネ科]]スズメガヤ属の植物である。主に[[エチオピア]]で栽培され、主食に供される。<br /> <br /> == 概要 ==<br /> 草丈は50 cmから150 cmほどで、種子の皮の色から赤色種と白色種の2種に分類される。種子は非常に小さく、床に落とせば見失ってしまうほど。「テフ」の名は、[[アムハラ語]]の「見失う」に由来するという。<br /> <br /> == 栽培 ==<br /> エチオピアの低地や高原地帯で広く栽培されている。雨季が始まる8月ごろ、[[ウシ|牛]]に曳かせた[[犂]]で畑を耕し、手で直に蒔き付ける。9月下旬から10月にかけて穂が出始め、乾季が始まる11月ごろに成熟する。刈り取ったテフは[[むしろ]]の上に広げ、人や家畜が足で踏んで脱穀する。<br /> 一つの耕地では4年連続でテフを栽培し、その後は4年から10年ほど休耕する。<br /> <br /> ===生産量===<br /> 2004年のエチオピアの生産量は、1,687千トン。収量は、haあたり0.8トン&lt;ref&gt;水利科学№317.2011(水利科学研究所)&lt;/ref&gt;。テフはもともとは[[エチオピア高原]]に住む[[アムハラ人]]の間で栽培されていた穀物であったが、アムハラ人が[[エチオピア帝国]]を建国し周辺諸民族を支配下に収めると、アムハラ文化が[[オロモ人]]など支配下の民族にも伝播していったため、テフの栽培もエチオピア国内の各民族に広がっていった。テフはエチオピア国内でしか栽培されない上、特にアムハラ人が強く嗜好するため、換金性は高く高価で取引されている&lt;ref&gt;『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典2 主要食物:栽培作物と飼養動物』 三輪睿太郎監訳 朝倉書店  2004年9月10日 第2版第1刷 p61&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> 下記のように国際的に注目を集めているものの、現状では国内需要を満たすのが精いっぱいであり、テフは現在輸出禁止となっている&lt;ref&gt;[http://www.afpbb.com/articles/-/3010153 次世代の「スーパーフード」なるか、エチオピアの穀物テフ]、[[フランス通信社]]、[[2014年]][[3月11日]]、[[2015年]][[9月28日]]閲覧&lt;/ref&gt;。そのため、エチオピア国外では入手困難となっている。<br /> <br /> == 利用 ==<br /> [[石臼]]で挽いて[[製粉]]し、[[水]]を加えてゆるい[[生地 (食品)|生地]]にする。これを3日ほど室温で[[乳酸菌]][[発酵]]させ、蓋付きの土鍋で[[パンケーキ]]状に焼いた薄焼きのパンにする。これが[[インジェラ]]で、エチオピアにおける[[主食]]である。食べる際は皿に広げたインジェラに[[カレー]]状の[[煮込み料理]]・「[[ワット (エチオピア料理)|ワット]]」([[肉]]や[[野菜]]を[[スパイス]]や[[ヨーグルト]]で煮込んだもの)を乗せ、ふろしきのように包んで口に運ぶ。[[重曹]]で膨らませたパンケーキや[[ホットケーキ]]、[[酵母|イースト]]発酵させた[[パン]]とは違い、乳酸菌による発酵のため、独特の[[酸味]]がある。テフは、[[オーストラリア]]や[[オランダ]]、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の一部地域などでも栽培されているが、これら[[欧米]]諸国ではキロあたり[[円 (通貨)|日本円]]で600円以上とかなり高価([[2007年]]現在)。[[コムギ|小麦]]と違い[[グルテン]]分がなく&lt;ref&gt;*Koning F, Gilissen L, Wijmenga C, &quot;Gluten: a two-edged sword. The molecular basis of Celiac Disease&quot;. &#039;&#039;Springer seminars in immunopathology&#039;&#039; 2005 Aug 10 2005 27:217-232 [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?cmd=Retrieve&amp;db=pubmed&amp;dopt=AbstractPlus&amp;list_uids=16091925&amp;query_hl=4], [http://www.rirdc.gov.au/reports/NPP/05-011.pdf] - グルテンの摂取によって発症する自己免疫疾患[[セリアック病]]に関するこの論文は、テフがグルテンを含まないことについて言及している。&lt;/ref&gt;、[[鉄分]]が豊かに含まれるため、[[食物アレルギー|小麦アレルギー]]の人が食する場合もある。<br /> <br /> スズメガヤ属には多くの種があり、日本にも10種ばかり知られ、[[カゼクサ]]や[[ニワホコリ]]など身近な雑草もあるが、これほど利用されるものはない。<br /> <br /> ==出典==<br /> {{reflist}}<br /> *『世界の食文化 アフリカ』 農文協 平成16年<br /> {{穀物}}<br /> {{DEFAULTSORT:てふ}}<br /> [[Category:スズメガヤ属]]<br /> [[Category:穀物]]<br /> [[Category:アフリカの食文化]]<br /> [[Category:主食]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 オオムギ 2018-07-25T07:01:19Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: 表記</p> <hr /> <div>{{生物分類表<br /> | 色 = lightgreen<br /> | 名称 = オオムギ<br /> | 画像 = [[File:Korea-Barley-01.jpg|250px|オオムギ]]<br /> | 界 = [[植物界]] {{sname||Plantae}}<br /> |門階級なし = [[被子植物]] {{Sname||Angiosperms}}<br /> |綱階級なし = [[単子葉類]] {{Sname||Monocots}}<br /> |亜綱階級なし = [[ツユクサ類]] {{Sname||Commelinids}}<br /> | 目 = [[イネ目]] {{sname||Poales}}<br /> | 科 = [[イネ科]] {{sname||Poaceae}}<br /> | 属 = [[オオムギ属]] {{snamei||Hordeum}}<br /> | 種 = &#039;&#039;&#039;オオムギ&#039;&#039;&#039; {{snamei|H. vulgare}}<br /> | 学名 = &#039;&#039;Hordeum vulgare&#039;&#039; {{AU|L.}}<br /> | 和名 = オオムギ(大麦)<br /> | 英名 = {{interlang|en|Barley}}&lt;br/&gt;[[w:Pearl barley|Pearl barley]]<br /> }}<br /> {{栄養価 | name=おおむぎ 押麦&lt;ref name=mext7&gt;[[文部科学省]] 「[http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm 日本食品標準成分表2015年版(七訂)]」&lt;/ref&gt;| kJ =1423| water=14.0 g| protein=6.2 g| fat=1.3 g| carbs=77.8 g| starch=71.2 g| opt1n=[[食物繊維|水溶性食物繊維]]| opt1v=6.0 g| opt2n=[[食物繊維|不溶性食物繊維]]| opt2v=3.6 g| fiber=9.6 g| sodium_mg=2| potassium_mg=170| calcium_mg=17| magnesium_mg=25| phosphorus_mg=110| iron_mg=1.0| zinc_mg=1.2| copper_mg=0.40| selenium_ug =1| vitE_mg =0.1| thiamin_mg=0.06| riboflavin_mg=0.04| niacin_mg=1.6| vitB6_mg=0.14| folate_ug=9| pantothenic_mg=0.46| opt3n=[[ビオチン|ビオチン(B&lt;sub&gt;7&lt;/sub&gt;)]] | opt3v=2.6 µg| note =ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した&lt;ref&gt;[[厚生労働省]] 「[http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000114399.pdf 日本人の食事摂取基準(2015年版)]」&lt;/ref&gt;。歩留り: 玄皮麦45 - 55 %、玄裸麦55 - 65 %| right=1 }}<br /> [[File:Barley-AAS.JPG|330px|thumb|&#039;&#039;&#039;オオムギ&#039;&#039;&#039;の[[アミノ酸スコア]]&lt;ref&gt;http://www.nal.usda.gov/fnic/foodcomp/search/&lt;/ref&gt;&lt;ref&gt;[『タンパク質・アミノ酸の必要量 WHO/FAO/UNU合同専門協議会報告』日本アミノ酸学会監訳、医歯薬出版、2009年05月。ISBN 978-4263705681 邦訳元 &#039;&#039;[http://whqlibdoc.who.int/trs/WHO_TRS_935_eng.pdf Protein and amino acid requirements in human nutrition]&#039;&#039;, Report of a Joint WHO/FAO/UNU Expert Consultation, 2007]&lt;/ref&gt;]]<br /> <br /> &#039;&#039;&#039;オオムギ&#039;&#039;&#039;(大麦、学名 {{snamei|Hordeum vulgare}})は[[イネ科]]の[[穀物]]。[[中央アジア]]原産で、世界でもっとも古くから栽培されていた作物の一つである。[[コムギ|小麦]]よりも低温や乾燥に強いため、[[ライムギ|ライ麦]]と共に小麦の生産が困難な地方において多く栽培される。<br /> <br /> {{栄養価<br /> | name=オオムギ(pearled, cooked)<br /> | kJ =532<br /> | protein = 2.70 g<br /> | carbs = 27.33 g<br /> | sugars = trace g<br /> | fat = 0.6 g<br /> | Saturates = 0.11 g<br /> | fiber = 1.98 g<br /> | Sodium = trace g<br /> | right=1<br /> | source_usda=1<br /> }}<br /> <br /> [[File:BarleyEars.JPG|thumb|250px|二条オオムギと六条オオムギ]]<br /> [[File:Various grains.jpg|thumb|240px|オオムギとカラスムギ、およびそれらを原材料とする食品]]<br /> == 名称 ==<br /> 「オオムギ」は[[漢名]]の「大麦(だいばく)」を[[訓読み]]したものである。「大」は、[[コムギ|小麦]](コムギ)に対する穀粒や草姿の大小ではなく、大=本物・品質の良いもの・用途の範囲の広いもの、小=代用品・品格の劣るものという意味の[[接辞]]によるものである。[[ダイズ|大豆]](ダイズ)、[[アズキ|小豆]](アズキ、ショウズ)、[[アサ|大麻]](タイマ)の大・小も同様である。伝来当時の漢字圏では、比較的容易に殻・[[フスマ]]層([[種皮]]、[[胚芽]]など)を除去し粒のまま[[飯]]・[[粥]]として食べることができたオオムギを上質と考えたことを反映している。<br /> <br /> また、オオムギをはじめ、[[コムギ]]、[[エンバク]]、[[ライムギ]]、[[ハトムギ]]など、姿の類似した一連の穀物を、[[東アジア]]では総称して[[ムギ]]と呼ぶ。こうした総称は[[ヨーロッパ]]には存在せず、barley(大麦)、wheat(小麦)のようにそれぞれの固有名で呼ぶのみである。<br /> <br /> == 品種 ==<br /> 穂の形状の違いから、主に二条オオムギ(二条大麦、&#039;&#039;H. vulgare&#039;&#039; [[品種|f.]] &#039;&#039;distichon&#039;&#039;、{{lang-en-short|[[:en:Barley#Two-row and six-row barley|two-rowed barley]]}}))、四条オオムギ(四条大麦、&#039;&#039;H. vulgare&#039;&#039; [[亜種|subsp.]] &#039;&#039;vulgare&#039;&#039;、{{lang-en-short|barley}})、六条オオムギ(六条大麦、&#039;&#039;H. vulgare&#039;&#039; f. &#039;&#039;hexastichon&#039;&#039;、{{lang-en-short|[[:en:Barley#Two-row and six-row barley|six-rowed barley]]}})、[[ハダカムギ]](裸オオムギ、裸麦、&#039;&#039;Hordeum vulgare&#039;&#039; [[変種|var.]] &#039;&#039;nudum&#039;&#039; [[ジョセフ・ダルトン・フッカー|Hook. f.]]、{{lang-en-short|[[:en:Barley#Hulless barley|Hulless barley]], naked barley}})、野生オオムギ(&#039;&#039;H. vulgare&#039;&#039; subsp. &#039;&#039;spontaneum&#039;&#039;、{{lang-en-short|wild barley}}) に分かれる(但し、四条オオムギ、野生オオムギについては品種ではなく亜種)。この「条」というのは穂が何列(条)あるかということではない。オオムギの穂は基本的にすべて6列である。二条と六条の差は、実る穂が何列あるかの違いであり、読んで字のごとく2列実るのが二条オオムギ、6列すべてが実るのが六条オオムギである&lt;ref&gt;http://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1003/spe1_01.html 農林水産省 特集 麦(1) 2015年1月10日閲覧&lt;/ref&gt;。実るのが2列だけであるぶん、二条オオムギの種子は大きく、大粒オオムギとも呼ばれる。これに対し六条オオムギはすべての列に種子が実るため種子が小さく、小粒オオムギとも呼ばれる。ただしすべての列に種子が実るため、全体の収量としては六条オオムギのほうが多い。<br /> <br /> 二条オオムギは主にビール生産用に栽培され、ヨーロッパで栽培されるオオムギの多くは二条種である。これは、二条種は種子の一粒一粒が大きく、しかも大きさがよくそろっているので、醸造の管理がしやすいからである。それに対し六条オオムギは収量が多く、オオムギを穀物として食べる地域においては六条種を主に栽培する。二条種と六条種の進化については、長い議論の歴史がある。かつては六条種は二条種から分化してできたと考えられてきたが、チベット高原において野生の六条種が発見されたため、一時は二条種と六条種は別々に栽培化されたとの説が有力となった。その後、遺伝子情報の解析によって、現在では二条栽培種の変異によって六条種が成立したと考えられている&lt;ref&gt;森川利信 「第8章 オオムギの進化と多様性」『麦の自然史 : 人と自然が育んだムギ農耕』 佐藤洋一郎、加藤鎌司編著、北海道大学出版会、2010年、p161 ISBN 978-4-8329-8190-4&lt;/ref&gt;。二条種はチベットより東には到達せず、このため中国や日本など東アジアの在来のオオムギはすべて六条種である。これら諸国における二条種のオオムギは、近代になってヨーロッパなどから導入されたものである。<br /> <br /> 二条種と六条種は皮が実と糊状のもので固着しており、はがすのが難しい。この固着はオオムギだけの特質であり、コムギなどのほかのムギでも、コメなどほかの穀物においてもこういったことはない。皮をはがすのが難しいため、これらは皮麦(カワムギ)とも呼ばれる。それに対し、六条種の突然変異で糊状のものが存在しないものが生まれ、揉むだけで皮が簡単にはがれる品種が生まれた。これがハダカムギである。ハダカムギは食用にするのがより簡単であるため、チベットや日本といったオオムギを重要視する国々において多く栽培されるようになった。その後、六条ハダカムギと二条種の交雑により二条ハダカムギも生まれたが、二条ハダカムギは品種が非常に少なく、一般的にハダカムギといえば生産のほとんどを占める六条ハダカムギを指す。<br /> <br /> また、上記の品種はすべてうるち性であるが、日本を含む東アジアにはもち性のオオムギも存在する&lt;ref&gt;森川利信 「第8章 オオムギの進化と多様性」『麦の自然史 : 人と自然が育んだムギ農耕』 佐藤洋一郎、加藤鎌司編著、北海道大学出版会、2010年、p166-167 ISBN 978-4-8329-8190-4&lt;/ref&gt;。もち麦は日本では[[もち米]]の代替として西日本中心には栽培され、団子などがこれで作られた&lt;ref&gt;『FOOD&#039;S FOOD 新版 食材図典 生鮮食材編』p314 2003年3月20日初版第1刷 小学館&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> 特に日本で生産されるのは二条オオムギ、六条オオムギ、ハダカムギが多い。二条オオムギは明治時代以後に[[ヨーロッパ]]より導入され、[[ビール]]などの醸造用の需要が多くビールムギとも呼ばれる。これに対し、六条オオムギとハダカムギは古来より日本で栽培されてきた品種である。六条オオムギは押し麦や引き割り麦などにして米に混ぜるなど雑穀としての使用が多く、また[[麦茶]]の原料ともなる。ハダカムギも同様に使用することはできるが、[[味噌]]の製造に使用されることが多い。栽培は、寒さに強い六条オオムギが東日本で主に栽培され、寒さに弱い二条オオムギやハダカムギは西日本で主に栽培される。日本の農産物分類においては、麦類に[[ハトムギ]]や[[エンバク]]、ライムギといったものは含まず、日本での生産量の多いコムギ、二条オオムギ、六条オオムギ、ハダカムギをあわせて4麦という&lt;ref&gt;「新訂 食用作物」p192 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> == 栽培 ==<br /> 大麦は、本来は、後述のように[[冬]]季に比較的降水量が多い地域を原産とする作物であり、[[秋]]に発芽して冬を越し、[[春]]に大きく生長し、[[初夏]]に結実して枯れる、いわゆる冬草の一種にあたる。そのため、種を秋に蒔き、苗の状態で冬越しさせ、春に出穂(開花)・結実させて初夏に収穫する(秋蒔き)。しかし、春に[[積算温度]]の足りない寒冷地向けの品種として、発芽に低温を必要とせず、種を春にまいて、盛夏に収穫可能な春蒔き品種が開発され、日本では、[[北海道]]で主に栽培されている&lt;ref&gt;「新訂 食用作物」p201 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版&lt;/ref&gt;。世界的には、ロシアやカナダといった北方の寒冷な地域では春蒔きが中心となっている。この2国はオオムギの大生産国であるため、世界的なオオムギ生産量としては春蒔き品種のほうが多くなっている&lt;ref&gt;「新訂 食用作物」p200 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版&lt;/ref&gt;。これに対して、[[本州]]以南の、特に[[関東]]から[[九州]]にかけての地方では、この性質を利用して、夏草の性質を持つ[[稲]]の[[裏作]]として栽培が拡大した。この場合、稲の収穫が終わった秋に播種し、[[田植え]]前の初夏に収穫することになる。麦の穂が実る初夏の麦畑は、淡い茶色に染まって秋の稲田に似た光景となるため、麦の結実期のことを、[[麦秋]]と呼ぶ。[[東日本]]・[[西日本]]では、[[梅雨]]入り直前の、5月下旬から6月上旬([[グレゴリオ暦]])にあたる。なお、収穫後に乾燥状態を維持していないと、梅雨時などは土壌になくても穂先から簡単に芽吹き出すので注意が必要である。また初夏に芽吹いたとしても日本の夏の気候下ではうまく育たない。秋蒔きは、世界的にはドイツやアメリカなどを中心に行われる。<br /> <br /> == 歴史 ==<br /> === 世界 ===<br /> 現在栽培されている品種は、現在[[イラク]]周辺に生えている二条オオムギに似た野生種[[ホルデウム・スポンタネウム]]({{snamei||Hordeum spontaneum}}) が改良されたものともいわれる&lt;ref&gt;『ケンブリッジ世界の食物史大百科事典2 主要食物:栽培作物と飼養動物』 三輪睿太郎監訳 朝倉書店 2004年9月10日 第2版第1刷 p.17&lt;/ref&gt;。[[新石器時代]]である1万年前にはすでに、[[シリア]]から[[ユーフラテス川]]にかけての[[肥沃な三日月地帯]]で栽培が開始されていた。当初の調理法は、炒って麦粉にしたものを水に溶かしたり、または粗挽きにした[[粥]]だったと考えられており、やがてそこからオオムギパンの製法が開発された。<br /> <br /> [[古代エジプト]]でも主食の[[パン]]を焼くのに使われており、[[ヒエログリフ]]にも描かれている。このころにはすでにビールの製造も開始されており、パンとビールはエジプトの食生活の中心であった。このビール製造はオオムギパン製造の過程で、オオムギを粉にしやすくするため発芽させたときに偶然製法が発見され製造され始めたと考えられており、実際にこのころのビールは現在よりもかなりどろっとしたものだった。オオムギの粥もそのまま残っており、古代ギリシアでも重要な食料だった。古代ローマの時代には市民の主食はコムギとなっており、オオムギは主に家畜の飼料用だった。なおオオムギを食べると脂肪を増やして出血を防ぐと考えられていたため、[[剣闘士]]の主食となっていた。このため剣闘士は侮蔑的に「大麦食い」(ホルデアリウス)と呼ばれていた。[[ワイン]]が主流であったローマではビールは飲まれておらず、北方にいた[[ゲルマン人]]たちが盛んに醸造して飲んでいた。その後も長くヨーロッパでは重要な穀物であったが、グルテンがないためにコムギに比べて使用法が限定されるため、次第に主食の座から転落し、醸造や飼料用が中心となっていった&lt;ref&gt;「コムギの食文化を知る事典」p25 岡田哲 東京堂出版 平成13年7月15日初版発行&lt;/ref&gt;。ヨーロッパにおいては、コムギの普及とともに二義的な地位へと落ち、中世末期にはよりパンに適したライムギよりも重要性が低くなった&lt;ref&gt;「中世ヨーロッパ 食の生活史」p58 ブリュノ・ロリウー著 吉田春美訳 原書房 2003年10月4日第1刷&lt;/ref&gt;。一方で、[[ゲルマン民族の大移動]]によってヨーロッパ北部を押さえたゲルマン人たちは引き続きビールを愛飲しており、ゲルマン系のフランク王国がヨーロッパのかなりの部分を押さえたことでビール製造はヨーロッパ各地に根を下ろした。このビール醸造用が次第にヨーロッパのオオムギ栽培で大きな部分を占めるようになった。<br /> <br /> ヨーロッパ以外でも、オオムギは各地に広く伝わり、伝来初期は主食としていた地域も多かったが、ヨーロッパと同様の理由で徐々に主食の座から転落していった。中国でもオオムギは「牟」と呼ばれ、広く栽培されたがコムギやコメを越えるものではなかった。例外は[[チベット高原]]であり、ここではほかの穀物が気候的に栽培不可能であるためにオオムギは主穀となった。また、[[エチオピア高原]]においてもオオムギは重要食料となったが、こちらでは[[テフ (穀物)|テフ]]の普及とともにやはり地位が下がっていった。この2地域はオオムギの品種が非常に多く、またここで生まれた品種が周辺に拡散していったものも多く、オオムギ栽培化の二次中心とされる。しかし、オオムギはすべての主要穀物の中で最も成長が早く、収穫までにかかる日数も短いうえ、乾燥や寒冷に強く、また湿潤にもある程度適応できるなど適応性が高い。このため、温帯中心にユーラシア大陸のかなり広い地域で二義的に栽培された。<br /> <br /> 19世紀に入ると、在来品種の選抜を手始めとしてヨーロッパ各地で品種改良がおこなわれ、収量や質のいい新品種が続々と開発されるようになった。20世紀に入るとさらに品種改良は加速し、病害に強いエチオピア高原の在来種や、湿害に強い日本在来種、同じく茎の長さが短く、倒伏の危険性を抑えることのできる日本在来種など世界中の在来種が掛け合わされるようになり、オオムギの反収は大幅に向上した。<br /> <br /> === 日本 ===<br /> [[日本]]には[[弥生時代]]の[[3世紀]]ごろ[[中国大陸]]を経て伝来し、[[奈良時代]]にはすでに広く栽培されていた。『[[類聚三代格]]』には、[[弘仁]]11年([[820年]])の[[太政官符]]として「麦は(米の)絶えたるを継ぎ、乏しきを救うこと穀の尤も良きものなり」との記述がある&lt;ref&gt; 「飲食事典」本山荻舟 平凡社 p78 昭和33年12月25日発行&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> [[鎌倉時代]]以降[[二毛作]]が普及すると、寒冷と乾燥を好むオオムギは米の裏作として適していたため、栽培はさらに拡大した。[[製粉]]する必要のあるコムギに比べ、オオムギは粒のままで食べるために手間がかからず、コムギよりも熟すのが早いため米の裏作として適していたうえ、不足しがちな米の増量用としても適していたため、このころはコムギより重視され、栽培面積も広かった。明治時代には、コムギの45 - 47万[[町歩]]に対し、オオムギの作付面積は130万町歩と、3倍近くにまで達していた。このころまでの日本でのオオムギの主要な用途は主食用であり、[[麦飯]]として米と混炊して特に農村部では重要な主食とされた。しかし農村部では白米の飯が祭礼に際しての特別なご馳走であったこと、農民にとって米は重要な[[換金作物]]で自家消費が抑えられ転売先の都市部で白米の飯が普及したことなどから、麦飯は白米の飯に対して農村的な格の低い洗練されない食品とされた。そのため臭くてまずいと考え、蔑んで貧民や囚人の食事とみなす者も少なくなかった(俗に言う「刑務所の臭い飯」のいわれである)。その一方で、白米の飯への憧れによって[[脚気]]は近代の日本で国民病と呼ばれるまでに蔓延した。海軍ではこれへの対策としていち早く麦飯を導入し脚気患者を激減させたが、「死地に赴く兵士に白米を食べさせてやりたい」という情から白米にこだわった陸軍では日露戦争で著しい戦病死者を出した。(当時はまだビタミンが発見される前であり、麦飯の根拠は薄く伝染病説が主流だった)また、麦が配給されていた海軍でも一部の兵士がこっそり麦を捨てていたために完全な克服には至らず、脚気禍が何度も再燃している。また、こうしたことからオオムギの価格や社会的評価は低く、[[1950年]]の国会答弁において大蔵大臣の[[池田勇人]]が「私は所得に応じて、所得の少い人は麦を多く食う、所得の多い人は米を食うというような、経済の原則に副つたほうへ持つて行きたいというのが、私の念願であります」と発言し、これが「貧乏人は麦を食え」と報道されて世論の強力な反発を受けた&lt;ref&gt;http://showa.mainichi.jp/news/1950/12/post-e58e.html 「昭和毎日:池田蔵相「貧乏人は麦を食え」と発言 1950年12月07日」 毎日新聞社 2015年1月12日閲覧&lt;/ref&gt;ことなどは、この状況をよくあらわしたエピソードである。<br /> <br /> その後、米の収量が増えるに連れてより用途の広いコムギ栽培に取って代わられ、オオムギの作付けは減っていき、[[1940年]]には作付面積はコムギが84万町歩、オオムギが74万町歩と逆転していた&lt;ref&gt; 「飲食事典」本山荻舟 平凡社 p78 昭和33年12月25日発行&lt;/ref&gt;。また、オオムギのなかでも明治初期には六条オオムギの作付面積が広かったものが、大正時代に入るとハダカムギの栽培面積のほうが広くなった&lt;ref&gt;「新訂 食用作物」p192 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版&lt;/ref&gt;。[[高度経済成長]]期になると二毛作が経済的に引き合わなくなったためにほとんど行われなくなり、裏作作物の中心的存在であったオオムギ、とくに食用を主とする六条オオムギおよびハダカムギの栽培は激減した。それに対し、明治以降にビール生産用として導入された二条オオムギの生産は大口の需要があったため、六条オオムギやハダカムギの生産が激減した後もしばらくは盛んに生産されていたが、[[1970年代]]以降ビール原料のムギも輸入が増え、それにつれて二条オオムギの生産も減少した&lt;ref&gt;「新訂 食用作物」p194 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> オオムギは日本の主食用主要穀物の一つであったため、政府による統制のもとにおかれてきた。[[1942年]]の[[食糧管理法]]に端を発する[[食糧管理制度]]のもとで、ハダカムギ・オオムギ(主食用の六条オオムギを指す)はコムギやコメと同じく政府の管理下に置かれ、生産者は自家保有量以外を公定価格で供出し、政府は[[米穀配給通帳]]に基づき消費者へと配給することとなった。[[第二次世界大戦]]後、食糧難が緩和されてくるとともに配給制は廃止されるとともに麦の統制も緩和され、[[1952年]]には最低価格・最高価格の範囲内に価格を安定させる形の間接統制となった。[[1994年]]、[[主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律]](食糧法)が公布されたが、ハダカムギ・オオムギは引き続き[[価格統制]]のもとにおかれた&lt;ref&gt;http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/kokuji/k0000059.html 「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の施行に関する件 平成七年三月二十七日 (農林水産省告示第四百五十七号 )」 農林水産省 2015年1月10日閲覧&lt;/ref&gt;。すべて国内生産のみで賄われる主食用オオムギだけではなく、全量が輸入である飼料用のオオムギについても政府がアメリカやカナダといった大生産国から輸入し、業者へと売り渡す、いわゆる「政府操作飼料」という形をとっている&lt;ref&gt;http://www.zenbakuren.or.jp/fodder/index.html 「飼料としての大麦」全麦連 2015年1月12日閲覧&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> == 用途 ==<br /> === 食品 ===<br /> [[File:Mugitoro gohan 2.jpg|thumb|right|200px|麦とろご飯]]<br /> ;[[主食]]として<br /> : [[メソポタミア]]では小麦より塩害に強いため、南部の[[バビロニア]]で多く栽培された。[[ヨーロッパ]]では粗く挽いた大麦を煮た粥状のものが食べられていた。[[古代ローマ]]では粗挽きの大麦の粥は[[プルス]]と呼ばれ、主食として重要なものであった。その後パンが普及し、15〜16世紀にかけて寒冷な地でも生産性が高く、茹でただけでも比較的美味な[[ジャガイモ]]が[[アメリカ大陸]]からもたらされたため、現在では主として飼料用および醸造用の穀物とされるようになった。<br /> : [[チベット]]で主食の中心となっている[[ツァンパ]]は、ハダカオオムギを[[乾煎り]]して粉砕した粉で、[[バター茶]]で練るなどして食べられている。<br /> : 日本は[[チベット文化圏]]と並んで大麦を主食穀物として多く利用する地域であった。しかし[[明治|明治時代]]までは今日のように、炊飯しやすい[[押麦]] (rolled barley)にして[[白米]]と混炊することは行われていなかった。&lt;ref&gt; 「飲食事典」本山荻舟 平凡社 p78 昭和33年12月25日発行&lt;/ref&gt;。[[米]]や[[雑穀]]と比べて煮えにくいため、挽き割り粥にするか、炊飯に先立ち、あらかじめ煮て冷まして一晩置く[[えまし麦]]としてから、単独、あるいは米や雑穀と混炊して調理した。明治時代までは、えまし麦の茹で汁は、[[砂糖]]を混ぜて[[母乳]]の代用品として使われることもあった。しかし上記のとおり、コメの社会的な地位の高さも相まって、[[麦飯]]の評価は低いものであった。現在では精白技術の向上による食味の向上や、押し麦の普及による炊飯の容易化により、健康食として再び人気を博している。<br /> : 現代における日本の主食用オオムギとしては、上記の精白した麦をローラーで押しつぶす押し麦のほか、麦の中心線に沿って二つに切断しただけの米粒麦や、二つに割った後押しつぶす白麦がある。また、そもそも押しつぶさず、精白しただけの丸麦もスープに入れるなどして食べられる。<br /> : また、[[とろろ]]には麦飯を使うものとされており、[[麦とろご飯]]は[[東海道]]の[[鞠子宿]]などで古くから名物となっていた。<br /> ;飲み物<br /> :[[カクテル]]の[[マイタイ]]に用いられる[[オルジェーシロップ]]や[[スペイン語]]圏で人気のある飲料[[オルチャータ]]は、どちらも[[ラテン語]]で「ホルデアタ」(hordeata、「オオムギから作られた」)と呼ばれるオオムギを原料とした飲料を祖先としている。オオムギを[[エスプレッソ]]風にしたイタリアの[[カッフェ・ドルゾ]]もまたよく飲まれる。また、麦芽に甘味料などをくわえて飲みやすくした麦芽飲料は世界各国でよく飲まれ、大企業も[[ネスレ・ミロ]]、[[ホーリック]]、[[オバルチン]]などといった麦芽飲料を製造し販売している。<br /> :日本や朝鮮半島では種子を煎ったものを煎じて、[[麦茶]]として飲まれる。日本では冷やして主に夏に飲まれるが、朝鮮半島では温かくして年中飲まれる。日本でも[[江戸時代]]には麦湯と呼ばれ、温かくして飲むものであったが、新麦を使うものが美味であるため、季節はやはりオオムギの収穫期である夏のものであった。<br /> ;加工食品の材料<br /> :日本では[[麹]]を生やして[[醤油]]・[[味噌]]などの[[発酵]]食品の原料として使われる。ハダカムギから作られる[[麦味噌]]が、[[九州]]を中心に作られている。[[焼酎]]のような酒類の原料としても用いる。また、炒った大麦を挽いた粉を[[はったい粉]]、または[[はったい粉|麦焦がし]]と呼び、[[砂糖]]や湯などと合わせて練り、菓子の一種として食べていた。[[麦粉 (菓子)|麦粉]]は現在においても菓子の原料として広く使われている。また、はったい粉を型に入れて固めた麦[[落雁]]も、[[和菓子]]として各地の[[銘菓]]となっている。[[沖縄県]]においては、[[緑豆]]とオオムギを使って[[あまがし]]という[[ぜんざい]]の一種が作られ、夏の風物詩となっている&lt;ref&gt;「保存版 沖縄ぬちぐすい事典」監修 尚弘子 pp20-21 2002年11月24日初版第1刷 プロジェクト・シュリ&lt;/ref&gt;。オオムギを[[ポン菓子]]にして[[チョコレート]]をコーティングした[[麦チョコ]]も、[[駄菓子屋]]などで売られている。<br /> :麺やパンの材料としても用いることができるが、[[コムギ]]と違い、[[グルテン]]をほとんど含まないので弾力性が必要な[[麺]]の原料とするには、小麦などと混合するかグルテンの添加が必要である。製粉して[[パン]]にした場合もグルテンに乏しいためあまり膨らまず、小麦のパンとは食感が異なるどっしりとした重い感じのパンができる。また大麦は小麦より粉に挽きにくいという問題があるが、発芽させることによって挽きやすくなる。下述の麦芽としての利用は、そこから偶然生み出されたものである。<br /> ;麦芽<br /> :大麦の主な用途として[[麦芽]]の製造があげられる。麦芽は文字通りムギ類を発芽させたものであり、本来はオオムギだけを指すものではないが、一般的に、麦芽といえばオオムギからのものをさす。これはオオムギから作る麦芽が最も酵素が多く含まれるため、麦芽の質がよく、結果として麦芽を利用する場合はほとんどがオオムギ麦芽を使用することになるからである。麦芽には[[アミラーゼ]]酵素が含まれ、[[デンプン]]を[[糖]]に分解する作用があるため、[[麦芽糖]]が大量に生成される。麦芽糖はその名の通り糖であり、甘味料として[[水飴]]や[[シロップ]]の原料ともなるが、麦芽のもっとも重要な利用法は糖からアルコールを作ることである。<br /> ;酒<br /> [[File:Masskruege.jpg|thumb|right|200px|ビール製造はオオムギの最も重要な用途である]]<br /> :なかでもオオムギ麦芽のもっとも重要かつ一般的な使用法は、[[ビール]]の醸造である。ビールはコムギやほかの穀物、[[バナナ]]などから作られることもあるが、通常ビールとはオオムギ麦芽から製造されたものを指す。[[1516年]]に[[バイエルン大公|バイエルン公]][[ヴィルヘルム4世 (バイエルン公)|ヴィルヘルム4世]]によって制定された[[ビール純粋令]]は、「ビールは、麦芽・[[ホップ]]・水・[[酵母]]のみを原料とする」ことを定めている。この法律はバイエルン史を通じて存続し、[[1870年]]に[[バイエルン]]が[[ドイツ帝国]]に吸収されたのちも帝国によって引き継がれ、ドイツでは改正をくわえられつつも現役の法律となっている。この麦芽はオオムギを指すものではなく、コムギ麦芽を使用する[[白ビール]]なども製造されているが、白ビールでも原料の一部にはオオムギを使うことが多く、またドイツでの生産の多数を占めるピルスナータイプのビールはすべてオオムギ麦芽のみを使用する。<br /> :ビールなどの[[醸造酒]]のほか、[[蒸留酒]]もオオムギから作られる。その中でも最も生産額が多く重要なものは、[[ウィスキー]]の生産である。ウィスキーにはオオムギ麦芽(モルト)のみを原料とするモルト・ウイスキーと、トウモロコシやライムギなどほかの穀物から作られるグレーン・ウイスキーがあるが、グレーン・ウイスキーの多くはモルト・ウイスキーと混合するブレンデッド・ウイスキーとなるため、いずれにせよオオムギが大きな役割を持つ。また、ウイスキーのほか、[[ウォッカ]]や[[ジン (蒸留酒)|ジン]]はオオムギを原料としたものも多数存在する。また、麦[[焼酎]]もオオムギを原料としている。麦焼酎は六条オオムギを原料にしたものと二条オオムギを原料としたものの両方があるが、麦芽ではなく[[麹]]を使うのが大きな特徴である。このように、オオムギを原料とした蒸留酒は数多い。<br /> ;その他<br /> :若葉を粉砕して粉末にしたものは[[青汁]]の一種として、[[健康食品]]として売られている。<br /> :オオムギ穀皮抽出物は[[乳化剤]]などの用途で、かつて日本の[[既存食品添加物]]名簿に掲載されていたが、販売実績がないため、[[2005年]]に削除された。<br /> {| class=&quot;wikitable&quot; style=&quot;float:right&quot;<br /> |+ 100g中の食物繊維&lt;ref name=mext&gt;[http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/toushin/05031802/002.htm 五訂増補日本食品標準成分表]&lt;/ref&gt;<br /> |-<br /> ! 項目 !! 分量<br /> |-<br /> |[[炭水化物]]|| 77.8 g<br /> |-<br /> |[[食物繊維]]総量|| 9.6 g<br /> |-<br /> |水溶性食物繊維|| 6.0 g<br /> |-<br /> |不溶性食物繊維|| 3.6 g<br /> |}<br /> ;豊富な水溶性食物繊維と効果<br /> :大麦には豊富な水溶性食物繊維が含まれており、その大部分は[[βグルカン]]である。大麦の摂取による血中[[コレステロール]]値上昇抑制作用、[[血糖値]]上昇抑制作用、[[BMI]]値低減効果が報告されている&lt;ref&gt;[http://dx.doi.org/10.5264/eiyogakuzashi.67.235 大麦の生理作用と健康強調表示の現況]、荒木茂樹ほか、栄養学雑誌Vol.67 (2009) No.5&lt;/ref&gt;。{{main|麦飯}}<br /> ;抗癌作用を主張する研究について<br /> :*かつて、[[デザイナーフーズ計画]]のピラミッドで3群に属しており、3群の中でも、ローズマリー、セージ、ベリー、ジャガイモと共に3群の最下位に属するが、癌予防効果のある食材であると位置づけられていた&lt;ref&gt;[http://dx.doi.org/10.2740/jisdh.20.11 がん予防と食品]、大澤 俊彦、日本食生活学会誌、Vol.20 (2009) No.1 &lt;/ref&gt;。<br /> <br /> === その他 ===<br /> その他の用途としては、[[家畜]]の[[飼料]]、[[漢方薬]]などがある。オオムギの利用史において、飼料用は世界のほとんどの地域において常に大きな部分を占めている。[[ウシ]]や[[ヒツジ]]などの[[反芻]]する家畜はオオムギを好み、特に皮の部分を好むからである&lt;ref&gt;「品種改良の世界史 作物編」p77 鵜飼保雄、大澤良編著 悠書館 2010年12月28日第1刷&lt;/ref&gt;。特に大生産国であるヨーロッパやアメリカにおいては、飼料用とビール・ウィスキー醸造用がオオムギの用途のほとんどを占め、そのまま食用とすることは少ない。日本においても飼料用オオムギは重要であり、オオムギ消費の大きな部分を占める。飼料としては、ウシの肥育に使用される場合が多い。オオムギを飼料として販売する場合、日本においては変形加工することが義務付けられている&lt;ref&gt;http://www.zenbakuren.or.jp/fodder/index.html 「飼料としての大麦」全麦連 2015年1月12日閲覧&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> また、オオムギ発酵エキスに白髪を黒くさせる作用のある成分が含まれ、[[脱毛症#育毛剤|育毛剤]]、[[シャンプー]]などに応用が考えられている。<br /> <br /> == 生産量 ==<br /> オオムギは[[イネ]]、[[コムギ]]、[[トウモロコシ]]に次いで世界で4番目に多く栽培されている穀物である。生産量はかつて増加傾向にあり、[[1961年]]には7200万トンだった生産量は[[2008年]]には1億5500万トン&lt;ref name=&quot;prodstat&quot;&gt;{{cite web | url=http://faostat.fao.org/site/567/DesktopDefault.aspx | title=ProdSTAT | work=FAOSTAT | accessdate=2006-12-26}}&lt;/ref&gt;と、倍以上に増加している。しかし[[1970年代]]からは増加は停滞傾向にある&lt;ref&gt;「新訂 食用作物」p193 国分牧衛 養賢堂 2010年8月10日第1版&lt;/ref&gt;。[[2004年]]の世界の総生産量は1億5362万4393[[トン]]であった。世界で最もオオムギの生産量が多い国は[[ロシア]]であり、以下[[カナダ]]、[[ドイツ]]、[[ウクライナ]]、[[フランス]]と続く。[[FAO]]の [http://faostat.fao.org/faostat/servlet/XteServlet3?Areas=%3E862&amp;Items=44&amp;Elements=51&amp;Years=2004&amp;Format=Table&amp;Xaxis=Years&amp;Yaxis=Countries&amp;Aggregate=&amp;Calculate=&amp;Domain=SUA&amp;ItemTypes=Production.Crops.Primary&amp;language=EN 統計]によれば、主要生産国の国別生産量は以下の通りであった。<br /> <br /> 2004年度<br /> {|class=&quot;wikitable&quot;<br /> ! !! 国 !! トン<br /> |-<br /> | {{0}}1 || {{RUS}} || -align=&quot;right&quot; | 1717万9740<br /> |-<br /> | {{0}}2 || {{CAN}} || -align=&quot;right&quot; | 1318万6400<br /> |-<br /> | {{0}}3 || {{DEU}} || -align=&quot;right&quot; | 1299万3000<br /> |-<br /> | {{0}}4 || {{UKR}} || -align=&quot;right&quot; | 1106万8800<br /> |-<br /> | {{0}}5 || {{FRA}} || -align=&quot;right&quot; | 1104万0214<br /> |-<br /> | {{0}}6 || {{ESP}} || -align=&quot;right&quot; | 1060万8700<br /> |-<br /> | {{0}}7 || {{TUR}} || -align=&quot;right&quot; | {{0}}900万0000<br /> |-<br /> | {{0}}8 || {{AUS}} || -align=&quot;right&quot; | {{0}}645万4000<br /> |-<br /> | {{0}}9 || {{USA}} || -align=&quot;right&quot; | {{0}}608万0020<br /> |-<br /> | 10 || {{GBR}} || -align=&quot;right&quot; | {{0}}586万0000<br /> |}<br /> 参考:{{JPN}} 19万5400トン(2007年度)<br /> <br /> 2009年〜2011年<br /> {| class=&quot;sortable wikitable&quot;<br /> |+ オオムギ生産上位10か国(単位・100万トン)&lt;ref&gt;[http://faostat.fao.org/site/567/DesktopDefault.aspx?PageID=567#ancor FAOSTAT]&lt;/ref&gt;<br /> ! 順位<br /> ! 国<br /> ! 2009<br /> ! 2010<br /> ! 2011<br /> |-<br /> | 01 || {{RUS}} || 17.8 || 8.3 || 16.9<br /> |-class=&quot;sortbottom&quot;<br /> | 02 || {{UKR}} || 11.8 || 8.4 || 9.1<br /> |-class=&quot;sortbottom&quot;<br /> | 03 || {{FRA}} || 12.8 || 10.1 || 8.8<br /> |-class=&quot;sortbottom&quot;<br /> | 04 || {{DEU}} || 12.2 || 10.4 || 8.7<br /> |-class=&quot;sortbottom&quot;<br /> | 05 || {{AUS}} || 7.9 || 7.2 || 7.9<br /> |-class=&quot;sortbottom&quot;<br /> | 06 || {{CAN}} || 9.5 || 7.6 || 7.7<br /> |-class=&quot;sortbottom&quot;<br /> | 07 || {{TUR}} || 7.3 || 7.2 || 7.6<br /> |-class=&quot;sortbottom&quot;<br /> | 08 || {{GBR}} || 6.6 || 5.2 || 5.4<br /> |-class=&quot;sortbottom&quot;<br /> | 09 || {{ARG}} || 1.3 || 2.9 || 4.0<br /> |-class=&quot;sortbottom&quot;<br /> | 10 || {{USA}}|| 4.9 || 3.9 || 3.3<br /> |-class=&quot;sortbottom&quot;<br /> | — || &#039;&#039;&#039;世界総計&#039;&#039;&#039; || &#039;&#039;&#039;151.8&#039;&#039;&#039; || &#039;&#039;&#039;123.7&#039;&#039;&#039; || &#039;&#039;&#039;134.3&#039;&#039;&#039;<br /> |-class=&quot;sortbottom&quot;<br /> |}<br /> <br /> また、日本国内においては、平成19年度で二条大麦が12万8,200トン、六条大麦が5万2,100トン、裸麦が1万4,300トンとなっている。二条大麦の生産量が最も多いのは[[佐賀県]]で、4万1,600トン、全国生産量の32.4%にのぼる。六条大麦の生産量が最も多いのは[[福井県]]で、1万7,100トン、全国生産量の32.8%にのぼる。裸麦の生産量が最も多いのは[[愛媛県]]で5,880トン、全国生産量の41.1%を占める。&lt;ref&gt;[http://www.toukei.maff.go.jp/dijest/mugisoba/mugisoba03-04/mugisoba03-04.html グラフと絵で見る食料・農業 統計ダイジェスト 3 麦 農林水産省]&lt;/ref&gt;自給率は8%前後である&lt;ref&gt;「地域食材大百科第1巻 穀類・いも・豆類・種実」p127 社団法人 農山漁村文化協会 2010年3月10日第1刷&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> 日本はオオムギの大輸入国ではあるが、主食用のオオムギに関しては100%自給を達成している&lt;ref&gt;http://www.zenbakuren.or.jp/trivia/production.html 「大麦の生産量と輸入量:大麦豆知識」 全麦連 2015年1月12日閲覧&lt;/ref&gt;。一方、飼料用のオオムギに関してはほぼ100%を輸入に頼っている&lt;ref&gt;http://www.zenbakuren.or.jp/fodder/index.html 「飼料としての大麦」全麦連 2015年1月12日閲覧&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> == 脚注 ==<br /> {{脚注ヘルプ}}<br /> {{Reflist|2}}<br /> <br /> == 関連項目 ==<br /> {{Commonscat|Hordeum vulgare}}<br /> {{wikispecies|Hordeum vulgare}}<br /> * [[麦芽]]<br /> * [[麦茶]]<br /> * [[麦角菌]]<br /> {{-}}<br /> <br /> == 外部リンク ==<br /> * [http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv_agreement.html?111 オオムギ - 「健康食品」の安全性・有効性情報] ([[国立健康・栄養研究所]])<br /> <br /> <br /> {{穀物}}<br /> {{DEFAULTSORT:おおむき}}<br /> [[Category:オオムギ|*]]<br /> [[Category:麦]]<br /> [[Category:穀物]]<br /> [[Category:イネ科]]<br /> [[Category:主食]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 もち米 2018-07-17T00:19:54Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: /* ギャラリー */</p> <hr /> <div>[[File:Rice-cake making,Katori-city,Japan.JPG|thumb|right|200px|蒸したもち米で餅をつく]]<br /> &#039;&#039;&#039;もち米&#039;&#039;&#039;(&#039;&#039;&#039;もちごめ&#039;&#039;&#039;、もちこめ、もちよね、もちまい、&#039;&#039;&#039;糯米&#039;&#039;&#039;、{{lang-en-short|[[w:Glutinous rice|sticky rice]]}})とは、[[糯|糯性]]をもつ[[米|コメ]]の品種群。糯性とは[[アミロース]]を全くあるいはほとんど含まない作物の種類を指す&lt;ref name=&quot;saishinnougyougijutsujiten_p1525&quot;&gt;農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1525 2006年&lt;/ref&gt;&lt;ref name=&quot;monotoningennobunkashi_p2&quot;&gt;渡部忠世・深沢小百合著『ものと人間の文化史 もち(糯・餅)』法政大学出版局 p.2 1998年&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> 「糯」の一字でもち米を意味することもある&lt;ref name=&quot;kangoshinjiten_p917&quot;&gt;『大修館漢語新辞典』大修館書店 p.917 2001年&lt;/ref&gt;。同音の字として「餅」があるが、本来、「餅」はモチ性の穀粒などを蒸した上で搗くなどして作られた食物をいうのに対し&lt;ref name=&quot;monotoningennobunkashi_p3&quot;&gt;渡部忠世・深沢小百合著『ものと人間の文化史 もち(糯・餅)』法政大学出版局 p.3 1998年&lt;/ref&gt;、「糯」はアミロースを全くあるいはほとんど含まない性質を持つ作物を指す&lt;ref name=&quot;saishinnougyougijutsujiten_p1525&quot;/&gt;&lt;ref name=&quot;monotoningennobunkashi_p3&quot;&gt;渡部忠世・深沢小百合著『ものと人間の文化史 もち(糯・餅)』法政大学出版局 p.3 1998年&lt;/ref&gt;。ただし、近年では&#039;&#039;&#039;餅米&#039;&#039;&#039;と表記されていることもある。<br /> <br /> 糯米に対してアミロースを含む粘り気が少ないコメは[[粳米]](うるちまい、うるごめ)、粳(うるち、うる)という。<br /> <br /> == 概要 ==<br /> {{栄養価 <br /> | name=もち米、長粒種、生<br /> | kJ =1549<br /> | protein =7.00 g<br /> | carbs =82.0 g<br /> | sugars =5.8 g<br /> | fat =0.5 g<br /> | Saturates = 0.1 g<br /> | fiber =2.8 g<br /> | Sodium = trace g<br /> | right=1 <br /> | source_usda=1 <br /> }}<br /> <br /> 主に[[日本]]、[[朝鮮半島]]、[[中国]]、[[フィリピン]]、[[タイ王国]]、[[ラオス]]、[[インドネシア]]、[[インド]]、[[ベトナム]]、[[ミャンマー]]などで栽培されている。タイの[[イーサーン]]地方やラオスでは主食とされ、ラオスではコメの生産量割合の85%を占める。[[照葉樹林文化論|照葉樹林文化]]に属する地域では、しばしば[[ハレとケ|ハレ]]の食材としての役割を持つ。<br /> <br /> 日本においてのコメの生産量割合では全体の3% - 5%程度となっている。また、その中でも主食として用いられる[[うるち米]]と比べて[[陸稲]]が占める割合が大きい。<br /> <br /> うるち米は主要部位の[[胚乳]]が淡い半透明であるが、もち米の胚乳は白く不透明である。[[東南アジア]]では[[インディカ種]](長粒種)のもち米が多く栽培され、果皮の黒い[[黒米]]のもち米もある。<br /> <br /> モチ性の品種の[[デンプン]]は調理時に強い[[粘性]]を生じるという特性を持つ&lt;ref name=&quot;saishinnougyougijutsujiten_p1126&quot;&gt;農業・生物系特定産業技術研究機構編『最新農業技術事典』農山漁村文化協会 p.1126 2006年&lt;/ref&gt;。デンプンの成分の点で、もち米はほとんどが[[アミロペクチン]]のみとなっており、このアミロペクチンがもちの粘り成分であるため、もち米は蒸してつくと強く粘るのである。ただし、栄養学的には「うるち米」との差はほとんどない。<br /> <br /> なお、うるち米でも、炊いた米をお湯に漬けてアミロースを抜き、再び蒸してつくと「[[たがねもち]]」という[[餅]]にすることが出来る。<br /> <br /> もち米は[[赤飯]]、[[おこわ]]、[[飯蒸し]]、中華風の[[ちまき]]に用いたり、搗き餅や練り餅にするだけでなく、粉砕して[[白玉粉]]や[[道明寺粉]]などに加工した上で、[[あられ (菓子)|あられ]]や[[団子]]などの菓子原料に使用する。<br /> <br /> また、[[酒]]や[[酢]]の[[醸造]]原料としても用いられる。<br /> <br /> なお、糯(もち)の品種のある植物としては、イネのほかに、[[トウモロコシ]]、オオムギ、[[アワ]]、[[キビ]]、[[モロコシ]]、[[アマランサス]]などがある&lt;ref name=&quot;saishinnougyougijutsujiten_p1525&quot;/&gt;。<br /> <br /> == 主な品種 ==<br /> {| class=&quot;wikitable&quot;<br /> |+ もち米の主な品種(年代順)<br /> !種別!!登録番号・名称!!地方番号(旧系統名)!!交配品種!!育成機関!!登録年!!備考<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot; rowspan=&quot;16&quot; |水稲<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|[[羽二重糯]]<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|[[大正糯]]<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|[[藤蔵糯]] <br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|[[旭糯]]<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|[[こがねもち]]<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|中新糯40号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|信濃糯3号/農林17号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|新潟県農業試験場<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1956年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|[[みやこがねもち]]<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|水稲農林糯144号(マンゲツモチ)<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|関東糯64号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|F3 249/農林糯45号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|埼玉県農事試験場 <br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1963年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|水稲農林糯145号([[カグラモチ]])<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|関東糯66号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|F3 249/平六糯<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|埼玉県農事試験場 <br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1963年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|[[喜寿糯]] <br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|42-6<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|35-8/幸風<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|愛知県農業総合試験場作物研究所<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1970年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|水稲農林糯216号([[ヒヨクモチ]])<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|西海糯118号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|ホウヨク/祝糯<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|福岡県九州農業試験場<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1971年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|水稲農林糯221号([[ヒメノモチ]])<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|奥羽糯277号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|大系227/こがねもち<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|東北農業試験場<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1972年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|水稲農林糯233号([[クレナイモチ]])<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|西海糯129号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|ホウヨク/祝糯/[[コシヒカリ]]<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|福岡県九州農業試験場<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1974年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|水稲農林糯254号([[ヒデコモチ]])<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|奥羽糯296号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|大系糯1076/ふ系72号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|秋田県東北農業試験場<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1979年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|[[もちひかり]]<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|信交糯135号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|みすずもち/トドロキワセ<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|長野県農事試験場<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1985年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|[[はくちょうもち]]<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|北育糯80号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|上育糯381号/おんねもち<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|北海道北見農業試験場<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1989年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|水稲農林糯317号([[峰の雪もち]])<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|北陸糯141号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|奥羽302号/ヒメノモチ<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|新潟県北陸農業試験場<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1992年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot; rowspan=&quot;2&quot; |陸稲<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|陸稲農林糯55号([[トヨハタモチ]])<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|陸稲関東糯137号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|石系201号/ワラベハタモチ<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|茨城県農業試験場<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1985年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |-<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|陸稲農林糯60号([[ゆめのはたもち]])<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|陸稲関東糯168号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|陸稲農林糯4号/陸稲農林糯4号/陸稲農林糯4号<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|茨城県農業総合センター<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|1996年<br /> |style=&quot;text-align: left;&quot;|<br /> |}<br /> <br /> == ギャラリー ==<br /> &lt;gallery&gt;<br /> ファイル:Sekihan.jpg|赤飯<br /> File:Klebreis.jpg|バナナの葉に包んで蒸したもち米、イーサーン<br /> File:Xôi cúc.jpg|ベトナムのちまき、ショイ・クック<br /> File:Mango_with_glutinous_rice.jpg|タイのカオニャオ・マムアン(蒸したもち米に[[ココナッツミルク]]と[[マンゴー]]を添えたデザート)<br /> &lt;/gallery&gt;<br /> <br /> == 脚注 ==<br /> {{Reflist}}<br /> <br /> == 関連項目==<br /> {{Commonscat|Glutinous rice}}<br /> *[[低アミロース米]]<br /> *[[米粉]]<br /> {{米料理}}<br /> {{DEFAULTSORT:もちこめ}}<br /> [[Category:米]]<br /> [[Category:餅|*こめ]]<br /> [[Category:アジアの食文化]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 性淘汰 2018-07-06T01:41:11Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: /* ヒトにおける例 */ 表記</p> <hr /> <div>[[Image:Descent of Man fig48.jpg|300px|thumb|チャールズ・ダーウィン『人間の進化と性淘汰』(1871年)のイラスト]]<br /> &#039;&#039;&#039;性淘汰&#039;&#039;&#039;(せいとうた)または&#039;&#039;&#039;性選択&#039;&#039;&#039;(せいせんたく、{{Lang-en-short|sexual selection}})とは、[[異性]]をめぐる競争を通じて起きる[[進化]]のこと。<br /> <br /> == 概説 ==<br /> ;初期の提唱者と現在の位置づけ<br /> [[クジャク]]や[[シカ]]のように[[雌]]・[[雄]]で著しく[[色彩]]や形態・生態が異なる動物について、その[[進化]]を説明するために[[チャールズ・ダーウィン]]が提唱した。<br /> →[[#学説史]]<br /> <br /> 現在では[[進化生物学]]における重要な理論のひとつと位置付けられる。<br /> 性淘汰は通常は[[自然淘汰]]とは別のメカニズムとして論じられる。主にオスとメスの社会関係に由来する現象であること、オスとメスに異なった淘汰圧を加えることなどがその理由である。しかし広義には性淘汰は自然淘汰に含められる。ある個体にとっては他の個体の形質や好みは環境の重要な要因のひとつである。また長い尾羽のような装飾的な形質も、長さの上限が生存上の不利さによって制限されているなど、自然淘汰と全く独立して論ずることはできないからである&lt;ref&gt;『シリーズ進化学6 行動・生態の進化』 P125&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> ;説の分類<br /> 大きく分けるだけでも、<br /> 異性をめぐる闘いにおいて、より優れた身体的武器(たとえば角や牙など)をもつ方が戦いに勝って、異性と交尾し子孫を残すことによってその武器が進化するような「同性間淘汰」と、配偶者が より顕著な形質をもつ交尾相手を選択すること(主に雌が雄を選ぶこと)により進化する「異性間淘汰」とが考えられている&lt;ref name=&quot;chiezou&quot;&gt;『知恵蔵 2015』「性淘汰」垂水雄二 執筆担当&lt;/ref&gt;。<br />  →[[#性淘汰の分類]]<br /> <br /> ;理論モデル<br /> 配偶者の選択の理由に関する説明としては、(代表的なものとして)「ランナウェイ説」や「ハンディキャップ説」などの理論モデルがある&lt;ref name=&quot;chiezou&quot; /&gt;。 →[[#配偶者選択の理論モデル]]<br /> <br /> 「一つの[[種]]において、ある性(ほとんどの場合は雌)の個体数や交尾の機会はもう一方の性よりも少ない{{要出典|date=2017年1月}}。それゆえ、交尾をめぐる個体間の争いが起き、進化を促す。{{要出典|date=2017年1月}}」とも<br /> <br /> 本項では便宜上、主としてメスがオスを選ぶ場合を想定して記述する。<br /> <br /> == 性淘汰の分類 ==<br /> 性淘汰には大きく分けると同性間で行われるものと異性間で行われるもののふたつがある。この二つはダーウィン自身が提唱したもので、性的二型を発達させる原因である。ただし厳密に区別できない行動も多い。たとえばトンボの配偶者防衛や[[クロウタドリ]]の縄張り防衛は異性間競争とも、他のオスを排除するという点では同性間競争とも考えられるし、オスとメスの利害の対立と見なすこともできる。また配偶者を捜すための感覚器の発達などはどちらに含めることもできない。[[ゾウアザラシ]]のように雄間闘争で[[ハーレム]]を構成する動物でも、メスがハーレムの周囲にいるオスとつがい外交尾を行うことがある。そのため第三の要素として雌雄間の利害対立が設定される場合もある。<br /> &lt;!-- しかし多くの場合、性淘汰と言うときには後者の「雌による選択」を指す。--&gt;<br /> 配偶者選択は様々な理論モデルが提唱されている。[[ロナルド・フィッシャー]]は、「雌の嗜好は遺伝的に決まっており、それ以前の代で好まれた形質がより顕在化した個体を後の代の雌はさらに好む」と考えた。<br /> <br /> それぞれの種でどのような性淘汰が行われるかは雌雄間の[[性比]]、[[配偶システム]]や個体密度、食性、生理的・形態的特徴、そのほかの様々な生息環境に依存する。<br /> <br /> === 同性間競争 ===<br /> 同性間淘汰ともいう。異性を巡って同性の個体が争うこと。主にオス同士で行われ、その場合は雄間闘争、雄-雄闘争などと呼ばれる。角や牙などを使って直接争う場合もあれば、威嚇によって済まされる場合もある。[[チンパンジー]]や[[キイロショウジョウバエ]]の精子競争もこれに含まれる。[[ヒキガエル]]の鳴き声のように、メスへのアピールのようでありながら、他のオスの排除効果もあった例もある&lt;ref&gt;『クジャクの雄はなぜ美しい?』 P44&lt;/ref&gt;。つまり同性間の闘争が常に一対一で対面して行われるわけではない。<br /> <br /> 直接闘争を行う種の多くも、通常は儀礼的なディスプレイ行為から始める。儀礼的ディスプレイ行為で勝敗が付かない場合はより進んだ威嚇的ディスプレイ、そして軽い小突きあいを経て本格的な闘争に移行するが、途中で勝敗が決することも珍しくない。これは誰とでもむやみに戦う戦略が[[進化的に安定な戦略]]ではないからである。闘争がどこまでエスカレートするかは種にもよるが、その行為によって得られる利益の大きさに左右される。[[ライオン]]であれば、年老いたオスの方が若いオスよりもエスカレートしやすい。これは年老いたオスには残された時間が短く、(たとえば死ぬことによって)支払うことになるコストに比べ、利益が大きいからと考えられる。[[アラビアヤブチメドリ]]のような普段はさえずりによって求愛と儀礼的ディスプレイを行う種でも、時には死に至るほどの闘争が行われる。<br /> <br /> 過去には儀礼的闘争は種を維持するために無用な争いを避けるためだとして[[群選択]]的な説明が好まれたが、同性間競争による死は当時想定されていたより遥かに多いことがわかっている。現在では個体淘汰の視点から、儀礼的闘争は信号(後述するハンディキャップ信号や指標信号など)の交換で済ませることによって個体自体の闘争コストを抑えようとしていると解釈されている。<br /> <br /> かつては同性間競争に負けた個体は子孫を残せないと考えられていたが、現在では負けたオスが他の方策で子孫を残そうとする[[代替戦略]](代替繁殖戦略)があることがわかっている。<br /> <br /> [[レンカク]]、[[ダチョウ]]はメスが同性間闘争を行う珍しい例。<br /> <br /> ==== 精子競争 ====<br /> 精子間競争とも言う。メスの生殖管の中で行われる、別のオスに由来する精子同士の受精を巡る競争のこと。精子競争には大きく三つのタイプがある。チンパンジーのような精子の量による競争、[[カワトンボ]]のような他のオスの精子を掻き出す器官の使用、ショウジョウバエの一種に見られる化学物質による他のオスの精子の抹殺である。<br /> <br /> === 配偶者選択 ===<br /> [[Image:Pfau imponierend.jpg|250px|thumb|配偶者選択の例。オスクジャクの装飾的な羽はダーウィンを最も悩ませた]]<br /> <br /> 異性間淘汰、異性による選り好みともいう。「一方の性が取る行動で、もう一方の性の繁殖機会に差があらわれるもの」と定義されている。実際に個体が別の個体をつがい相手として選ぶことは&#039;&#039;&#039;選好&#039;&#039;&#039;(性選好)と呼び、進化のメカニズムである「選択」とは区別する。通常はメスがオスを選好する。選好が行われるとき、オスは様々な信号を発してメスを誘引し、メスは慎重に吟味する。[[コクホウジャク]]や[[ツバメ]]は尾羽が長いオスが選ばれやすい。[[アジサシ]]や[[ガガンボモドキ]]ではオスが貢ぐエサの量や質が重要である。[[クロライチョウ]]のように踊り、鳴き声、しっぽの美しさを組み合わせてアピールする種もいる。[[ニューギニア]]の[[フキナガシフウチョウ]]は頭部に装飾的な羽を発達させて求愛するが、同所に生息する[[パプワニワシドリ]]は抜け落ちたフキナガシフウチョウの羽を巣の飾りに用いる。セミの鳴き声、ホタルの発光、ガや酵母菌が出す[[フェロモン]]も配偶者選択に関わる信号である。メスの年齢や地域によって好みが変わることもある。[[アオアズマヤドリ]]では巣のきらびやかさが重要な要素だが、経験を積んだメスは巣の作りだけではなく、オスの求愛ダンスも重視する。クジャクでは地域によって羽の目模様の数が重要であるか、重要でないかに違いがある&lt;ref&gt;長谷川真理子『クジャクの雄はなぜ美しい?』P83&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> オスが配偶者選択を行う動物には[[モルモンコオロギ]]がいる。<br /> <br /> === 雌雄間の利害対立 ===<br /> {{seealso|性的対立}}<br /> つがいになった配偶者以外の異性と交尾することを&#039;&#039;&#039;つがい外交尾&#039;&#039;&#039; (&#039;&#039;&#039;EPC&#039;&#039;&#039;: extra-pair copulation) という。ゾウアザラシのメスは群れのオスの目を盗んで他の雄と交尾をすることがある。ツバメや[[ペンギン]]のような一夫一妻制の動物でも見られる。ツバメの場合は尾羽が長い方がつがい外交尾の相手として選ばれやすい。つがい外交尾はメスにとっては適応的だが、そのメスの配偶者のオスにとってはそうではない。そこでメスが他のオスと交尾しないように見張ることを&#039;&#039;&#039;配偶者防衛&#039;&#039;&#039;という。トンボ、ヤドカリなどで見られている。配偶者防衛は交尾後に行われる同性間競争とも解釈できる。<br /> <br /> == 配偶者選択の理論モデル ==<br /> 配偶者選択にどのようなメカニズムが働いているかを示す理論モデルは大きく二種類に分けられる。一つはランナウェイ説のように、メスの選好の基準が生存上の有利さとは無関係な場合、そしてもう一つはハンディキャップ説や指標説のように生存上の有利さに繋がる形質を選好の基準にしている場合である。後者のような生存上の有利さに繋がる選好をしている場合を総称して&#039;&#039;&#039;優良遺伝子説&#039;&#039;&#039;と呼ぶこともある。<br /> <br /> ある形質や信号がランナウェイによって発達したのか、優良遺伝子によるものか、ハンディキャップによるものなのかは判断が難しい場合が多く、個々の事例に関しては実証的な研究をまつ必要がある&lt;ref&gt;『シリーズ進化学6 行動・生態の進化』P167&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> === ランナウェイ説 ===<br /> {{main|ランナウェイ説}}<br /> メスがオスのある形質を好むようになれば、その形質と、その形質を好むという嗜好がセットになって受け継がれていき、たとえ非適応的な形質であっても発達すると考える。その形質が生存に不利になりすぎ、繁殖上の利益と生存上の損失が釣り合ったところで発達は止まると考えられる。<br /> <br /> [[ロナルド・フィッシャー]]によって1930年に提唱され、長らく性淘汰を説明する唯一の理論であったが、理論的に成立する可能性が認められたのは1980年代に入ってからだった。フィッシャー自身はメスが選ぶ形質は、最初は何らかの適応的な意義を持っているのだろうと考えていた。ランナウェイが始まるきっかけを説明する別の仮説に&#039;&#039;&#039;感覚便乗説&#039;&#039;&#039;がある。メスが本来持っている他の用途に用いられる好みと、オスが持っている形質がたまたま一致した時にランナウェイが始まるという説である。<br /> <br /> === 指標説 ===<br /> オスが持つある形質がそのオスの質を表す指標になっており、メスがその形質を選ぶのはそれが子孫にとって結果的に適応的だからであるという説。選好のきっかけが何でも構わない。メスの好みが千差万別であっても、たまたま指標となる形質に反応したメスが適応的だからである。この一つに[[ウィリアム・ドナルド・ハミルトン|ウィリアム・ハミルトン]]とマーレン・ズックによって唱えられた&#039;&#039;&#039;パラサイト説&#039;&#039;&#039;がある。たとえば雄鶏の立派なとさかは寄生虫などの感染によって変形したり退色することがわかっている。立派なとさかを持つ雄鶏は寄生虫への耐性を持っていると期待できる。ただしどの形質が寄生虫耐性の指標となっているかは種ごとに調べなければわからない。<br /> <br /> === ハンディキャップ説 ===<br /> {{main|ハンディキャップ理論}}<br /> あるオスが発する信号的形質や行動の強さがそのオスの質を正直に表しているという説。たとえば[[フラミンゴ]]の体色を鮮やかにする[[カロチノイド]]は食物から摂取されるが、それ自体は体に害をもたらすこともある。つまりより健康で強靱な体を持つ個体のみが多くのカロチノイドを摂取し、体を赤くすることができる&lt;ref&gt;ザハヴィ『生物進化とハンディキャップ原理』p. 159&lt;/ref&gt;。(カロチノイドがどのようにしてハンディキャップコストとなるかは、免疫への直接ダメージ説、免疫力を高めるが発色に使用することによって免疫力が低下するトレードオフ説、わざわざカロチノイドを含んだエサをとること自体がコストになる説などがある)<br /> <br /> この説はオス同士の儀礼的な闘争についても説明している。どんなに闘争的な動物でも儀礼的なディスプレイから次第にエスカレートしていくのは、各段階で強さを誇示する信号を放つことによってお互いの強さを確認し合い、できる限り支払うコスト(負傷のリスクや闘争にかかる時間)を抑えつつ、勝負を行うことができるためである。<br /> <br /> 指標説との違いは、指標説が信号的な形質(たとえば雄鶏のとさか)が生理的・形態的限界を直接表しており、どう努力してもそれ以上のアピールができないと考えるのに対し、ハンディキャップ説は限界以上にアピールを行えば自らの適応度を下げることになり、進化的にそのアピールは罰されるだろうと考える点にある。またハンディキャップ説はオスの質に相関した特別な形質(とさかなど)が無くても、オスが行う行動のコストが高ければそれだけでオスの質を表す指標になるため成り立ちやすい。そのためハンディキャップによって発達した行動や形質は広く見られるのではないかと考えられている。<br /> <br /> == 性淘汰の原因 ==<br /> 1948年にA・J・ベイトマンはオスとメスの生涯繁殖成功度に差があることに気づいた。雌は子孫を残すにあたってより多くの初期投資をしなくてはならない。そのため、雌は生涯で繁殖できる回数に生理的・機能的な限界がある。対して雄は精子を作るのみで妊娠せず、繁殖速度にはほとんど制限がない。これを[[ベイトマンの原理]]という。しかしのちにベイトマンの原理に反する例が多く発見された。[[ロバート・トリヴァース]]は配偶子の生産だけでなく、妊娠、出産なども含めた繁殖に関わるあらゆるコストを「[[親の投資]]」と定義し、繁殖により多くの投資を行う性の方がもう一方の性にとって貴重資源になると考えた。そして親の投資量が性淘汰を引き起こす原因であると提唱した。<br /> <br /> ある繁殖期間において、一方の性の繁殖機会ともう一方の繁殖機会の比率を[[性比#実効性比|実効性比]]と呼ぶ。メスが妊娠、子育てをする生物では実効性比はオスに傾く(オス余りの状態になる)。また子育てではオスにとっては自分の配偶者が産んだ子でも、自分が子の本当の父親かどうかが不確定である。それゆえ自分の(かどうかも分からない)子を守る事にはあまり興味を示さず、生殖行動への志向を雌に比して強く示す。これらが多くの動物で雌が選ぶ側となる理由である。いわば繁殖相手選びは雌にとっての「買い手市場」であり、性淘汰、特に配偶者選択の主体は多くの場合雄よりも雌となる。<br /> <br /> 雄が子を守る例としては[[タツノオトシゴ]]や[[アメリカヒレアシシギ]]、雌雄両方で子を守る種としては[[コウテイペンギン]]などが知られている。また、多くの魚類のように雌雄両方が子を守らない種もある。タツノオトシゴやヒレアシシギでは実効性比はメスに偏り、雌間競争やオスによる性選好が起きている。<br /> <br /> === 性的二形性 ===<br /> {{main|性的二形}}<br /> [[Image:Descent of Man - Figure 16.jpg|right|frame|性的二形性をよく表す例である[[アトラスオオカブト]]。ダーウィン『人間の進化と性淘汰』より。上が雄、下が雌。]] <br /> 生殖に直接関わる器官で求愛行動に直接関わらないものを主[[性徴]]と言う。これに対し、性淘汰によって影響を受け、求愛行動を有利にする形質を副性徴という(発生学で言う[[性別#二次性徴]]とは異なる)。<br /> <br /> [[有性生殖]]を行う種のほとんどでは、雌雄で形態が異なる器官を持っている。子孫を残すにあたって、それぞれ違う方面に努力を割くためであり、この違いは古くから知られていた。<br /> <br /> 二次的性徴の性差を&#039;&#039;&#039;[[性的二形]]性&#039;&#039;&#039;とも言う。これは単なる大きさの違い (sexual size dimorphism, SSD) から、角や模様のような極端なものもある。性的二形は自然界にあふれている。雄にのみ見られるシカの角や、多くの鳥の雄が鮮やかな色彩の羽を持つ(そして雌は地味な色彩の羽を持つ)事などである。最も顕著な例はクジャクの尾羽である。[[脊椎動物]]で最大のSSDはアフリカ・タンガニカ湖産シクリッドの一種&#039;&#039;Neolamprologus callipterus&#039;&#039;で、雄は雌の30倍の大きさにもなる。無脊椎動物では雌の方が雄よりも大きい種が多い。特に[[コガネグモ]]類はその傾向が顕著である(ちなみに徘徊性のクモでは雄は雌よりもやや華奢な程度であまり差はない)。<br /> <br /> == 学説史 ==<br /> 性淘汰はダーウィンの[[1871年]]の著書 &#039;&#039;[[:en:The Descent of Man, and Selection in Relation to Sex|The Descent of Man, and Selection in Relation to Sex]]&#039;&#039;(『人間の由来と性淘汰』)において、自然淘汰とは別個のメカニズムとして提唱された。これは自然淘汰では説明するのが難しい、非適応的な形質を説明するためであった。しかし性淘汰は当初は評価されなかった。自然淘汰説が機械論であったのに対し、性淘汰は[[用不用説|ラマルク説]]のように生物の[[主体性]]や[[意思]]を認めるように感じられたこと、動物観察が未熟な時代にあって、メスの[[好み]]のような移ろいやすいものに方向性のある進化を引き起こす力はないと思われたことなどが理由である。<br /> <br /> [[アルフレッド・ウォレス]]は性淘汰を認めなかった一人で、彼は性差や性的二形も自然淘汰で説明できると考えた。たとえばクジャクの羽のような華美な装飾は、[[擬態]]か[[警告色]]、またはオスが自分の健康さをアピールする信号になっているという説を提唱したが、これは後年の[[優良遺伝子説]]を先取りした議論であった。<br /> <br /> その後、1930年にフィッシャーが性淘汰は自然淘汰の一部に含められると主張し、ランナウェイ説と親の出費理論を提唱した。1948年に{{仮リンク|A.J.ベイトマン|en|Angus John Bateman}}がオスとメスの潜在的な繁殖速度に差があることを発見し、[[ベイトマンの原理]]を提唱した。1964年、1967年にはハミルトンが[[血縁選択説]]を提唱し、昆虫の偏った性比を論じた。これは群れや種の利益を前提としていた当時の[[全体論]]的な進化観を転換させ、個体の利益から動物の行動を理解する道を拓いた。1970年代にはクラットン=ブロック、エムレン、オーリングらがベイトマン原理と親の出費からオスとメスの実質的な性比(実効性比)が性淘汰に与える影響を提唱した。1972年に[[ロバート・トリヴァース]]が「親の出費」の概念を拡張し『性淘汰と親の投資』で[[親の投資|親による子への投資]]の理論を提唱した。1975年に[[アモツ・ザハヴィ]]がハンディキャップ理論を提唱した。これら一連の論文は性淘汰の原因を論理的に説明し、性淘汰が再評価されるきっかけとなったが、広く受け入れられるには時間がかかった。1982年に[[スウェーデン]]の動物行動学者{{仮リンク|マルテ・アンデルソン|sv|Malte Andersson}}がコクホウジャクの尾羽を操作する実験を行い、初めて野外で配偶者選択が実在することが確認された。<br /> <br /> 1980年代以降、性淘汰の研究に大きな影響を与えたのは[[コンピューター]](コンピュータ・[[シミュレーション]])の発達と[[遺伝子解析]]技術の発展であった。1980年代後半から1990年にかけて[[数理生物学]]者[[アラン・グラフェン]]がランナウェイ説とハンディキャップ説がともに[[ESS]]として成り立つことを示した。また遺伝子解析によって親子関係を調べることが可能になり、特定の個体の繁殖成功度を実際に計測することが可能になった。これ以降、[[フィールドワーク]]を通した実証的な研究と理論的な研究がともに進み、性淘汰は重要な理論として認められつつある。<br /> <br /> == 批判 ==<br /> 先のカブトムシの角などのように、非常に派手な武器や装飾に性的な抗争以外の実用的価値を見いだすのはむずかしい。たとえば雌のクワガタの大顎は産卵時に朽木を噛み砕くのに使えるだろうが、カブトムシの角に、そのような意味での実用性は見いだし難い。化石動物で、もっと派手な角や牙を持ったものが見いだされたときに、そのような発達しすぎた器官が邪魔になって絶滅した、というような説明をされることも多い(しかし、実際に使われているところを観察した人間はいない)。では、そのような器官がどうやって進化したかを考えるために、たとえば[[定向進化説]]のような反ダーウィン的な論も出る。それを自然選択で説明するには、やはり性淘汰が考えられなければならない。そして、ここからわかるのは、性淘汰は、場合によってはそれ以外の自然選択と競合する、あるいは逆らうものであり得る、ということである。<br /> <br /> また、ある形質が性淘汰で発達した可能性を議論することはできても、それを実証するのは簡単ではない。メスがどの形質を基準にオスを選んでいるのかは人がいくら観察してもわからない場合もあり、実証的な研究が十分積み重ねられないうちに結論を出せば後付けの理論に陥りかねない。特にコントロール実験が行えない化石種や、ヒトや大型の動物に関しては慎重になる必要がある。<br /> <br /> == ヒトにおける例 ==<br /> ダーウィンはヒトの男性の[[髭]]や、他の[[哺乳類]]に比べヒトの体毛が少ない点なども性淘汰によって進化したと考えた。女性は男性よりも体毛がさらに少ないことから、有史はるか前には男性の側に選択権があったと考え、また「体毛が少ないこと」が男性による性選択の対象になったと考えたのである。これは雄の側による性選択の数少ない例ともなる。彼は、自然選択によってはヒトの無毛性が説明できないと考えた。ただし現在では、性的二形や実効性比、Y染色体とミトコンドリアDNAの世界的な分布の差などから、他の動物と同じように男性がより強く選択されたと考えられている(ただしヒトにおいて女性が男性を選択する権利が制限されていたのは各地域で見られた、むしろ自由恋愛が肯定的に行われるようになったのは近代以降のごく最近のことである)<br /> <br /> ジェフリー・ミラーは、今まで注目されなかったダーウィンのアイデアから、生存に直接関わらないヒトの行動のうち多く([[ユーモア]]、[[音楽]]、[[視覚芸術]]、言語創作能力、そしてある種の[[利他的行動]])が性淘汰によって獲得された求愛行動であると言う仮説を立てた。同様の主張は[[ジャレド・ダイアモンド]]、ヘレン・フィッシャーらも行っている。ヒトの性淘汰については進化人類学や[[進化心理学]]などで活発に研究されている。<br /> &lt;!-- カナダの人類学者であるピーター・フロストはセントアンドリューズ大学の援助のもと、&#039;&#039;[[Evolution and Human Behavior]]&#039;&#039;&lt;ref&gt;[http://www.ehbonline.org/article/PIIS1090513805000590/abstract Abstract: &quot;European hair and eye color: A case of frequency-dependent sexual selection?&quot;] from &#039;&#039;Evolution and Human Behavior&#039;&#039;, Volume 27, Issue 2, Pages 85-103 (March 2006)&lt;/ref&gt;に論文を発表した。そこでは、金髪・碧眼が形質として定着したのは氷河期の終わりにおけるヨーロッパであり、それは性淘汰の結果であるとしている。この研究によると、当時の女性たちは氷河期の世界の中で数少なかった男性を競い合い、他の女性よりも目立つためにこれらの形質を進化させたと言うのである。この説では、金髪は10000〜11000年前のヨーロッパの飢餓の時代に発生したとしている。当時の北ヨーロッパでは、食糧はマンモス・オオツノジカ・バイソンやウマなどの群れを追った大規模な移動によってしか得られなかった。その群れを見つけるだけでも長く厳しい旅が必要であり、狩猟を担当していた男性は死亡率が高かったが、女性はそうした任に就いていないため数が多かった。金髪の女性は他に比べて好まれる傾向があり、金髪の遺伝子を増やす淘汰圧がかかったと論文では唱えられている。<br /> ノートでの議論に基づきコメントアウトします<br /> --&gt;<br /> <br /> == 脚注 ==<br /> {{脚注ヘルプ}}<br /> {{Reflist}}<br /> <br /> == 参考文献 == &lt;!-- {{Cite book}} --&gt; &lt;!-- {{Cite journal}} --&gt;<br /> * チャールズ・ダーウィン『種の起源(上・下)』八杉 龍一訳 岩波文庫 (上)ISBN 4-0033-9124-1 (下)ISBN 4-0033-9125-X<br /> * チャールズ・ダーウィン『人間の進化と性淘汰』長谷川真理子訳 文一総合出版(ダーウィン著作集 I) ISBN 4-8299-0121-7<br /> * ジェフリー・ミラー『恋人選びの心—性淘汰と人間性の進化』長谷川真理子訳 岩波書店 (1) ISBN 4-0002-2823-4 (2) ISBN 4-0002-2824-2<br /> <br /> == 関連項目 ==<br /> {{Commonscat|Sexual selection}}<br /> * [[自然選択説]]<br /> * [[配偶システム]]<br /> * [[幼形進化]]<br /> <br /> == 外部リンク == &lt;!-- {{Cite web}} --&gt;<br /> {{節スタブ}}<br /> <br /> :*[[:en:Sexual selection]] 18:23, 20 April 2006 UTCより翻訳。著者:TimShell, AxelBoldt, ThirdParty, Karada, Duncharrisほか<br /> <br /> {{Popgen}}<br /> {{Biosci-stub}}<br /> <br /> {{DEFAULTSORT:せいとうた}}<br /> [[Category:性淘汰|*]]<br /> [[Category:進化]]<br /> [[Category:進化心理学]]<br /> [[Category:選択]]<br /> [[Category:有性生殖]]<br /> [[Category:性的魅力]]<br /> <br /> [[sv:Naturligt urval#Sexuellt urval]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 葛西囃子 2018-06-19T04:47:45Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: </p> <hr /> <div>&#039;&#039;&#039;葛西囃子&#039;&#039;&#039;(かさいばやし)は、祭の際に演奏される音楽で、[[祭囃子]](まつりばやし おはやし)の一つ。神田囃子などをはじめとした現在の東京都およびその周辺の祭囃子の祖。<br /> 葛西囃子と言う名称は戦後有志によって保存会が結成されてから付けられたものであり、それまでは特定の呼称を有さず単に「お囃子」と呼ばれていた。ここでは便宜上、金町を中心とした葛飾方面の農村に伝承され江戸の祭礼囃子の源流となった[[郷土芸能]]を「葛西囃子」と称する。<br /> 葛西囃子には「本所(ほんじょ)囃子」「神田囃子」「住吉囃子」等の支派が多数存在するがこれらはいずれも葛西囃子より派生したものである。なお、現在では「きりばやし」と言う流儀が葛西囃子の代表となっている。<br /> 葛西囃子は江戸祭り囃子の代表的存在とされ、神田祭や山王祭と言った江戸の天下祭において付祭(つけまつり)の[[山車]](だし)囃子として奉仕する事を常としている。<br /> <br /> 昭和二十八年には東京都の[[無形民俗文化財]]に指定されている。<br /> <br /> == 概要 == <br /> [[江戸時代]]、東[[葛西]]領の[[総鎮守]]であった[[金町]]村の香取神社(葛飾区、[[葛西神社]])の神官が創作した祭り囃子。現在の東京都およびその周辺の祭り囃子の祖とされる。<br /> <br /> === 発祥と歴史 ===<br /> 葛西囃子の起源は、一説によれば[[享保]](1716~36)の初めに、江戸葛西領金町村30鎮守であった香取明神(現葛飾区東金町町の葛西神社)の神主・能勢環が敬神の和歌に合わせて音律を工夫創作しこれを和歌ばやしと名づけて村内の 若者に教え神霊を慰めたのものとされている。以来天下泰平国家安全の奉納囃子として改良されながら葛西領一円、更に江戸市中に広まり各地の祭礼に用いられたもの。又、享保四年関東の代官伊奈半左衛門はこれを若者善導の社会施策の一つとして奨励し、毎年各町村 より推薦会を行い、その代表者を神田明神の将軍 上覧祭りに参加させたので一層普及し農業の余暇に能勢環より囃子を習う者が続出した。明治時代にかなり流行したようですが現在では切り囃子という流儀が葛西囃子の代表になっている。<br /> <br /> 幕末の[[嘉永]]年間、[[黒船]]事件以来一時衰退、[[安政]]四年六月の神田祭に月番寺社奉行松平氏のきも入りで復活したが間もなく[[明治維新]]以来に至る社会情勢のため自然に中止となった。<br /> その後、世相の安定と共に復活し維新以来の大祭として知られる明治十七年の神田祭には葛西方面から表青戸の源次郎、小松川村の角次郎、鹿骨村の七五郎、そっぱの伝次郎、新宿町助次郎の名人が参加してその妙技を示し好評を博しています。しかし、この頃には神田の人たちも葛西方面から囃子方を呼ばなくてもいいように葛西囃子を会得し神田囃子を創始した。こうして品川・目黒・大井・等々力・馬込・渋谷・阿佐ヶ谷 三つ目囃子など、それぞれの土地名を付けた囃子が生まれた。 さらに多摩川すじを経て青梅方面まで発展していき、これらの[[囃子]]が最も盛んな頃は明治中期であった。<br /> <br /> === 葛西囃子の流儀 === <br /> 江戸時代、名人と呼ばれる演奏者の傑出は祭りに於ける山車の流行とも相まって隆昌の一途を辿る。こうしたお囃子の流行は関東周辺にも広まり後に秩父、川越、石岡、また東北地方、東海地方の囃子の流儀を生む所となった。<br /> 各地方に伝播した葛西囃子は地域によって変遷を遂げている。現在では金町・江戸川方面に伝承されている流儀の「きりばやし」がその代表的存在となっているが江戸時代には亀有の「美濃がえくづし(別名:三の輪囃子)」と言う流儀が大流行している。江戸の深川方面では旗本の次男・三男が半ば娯楽として習い覚えたのが「深川囃子」となり、本所割下水に住む御家人連中に伝えたのが「本所囃子」となった。一方浅草猿若町の三芝居の連中が葛西から習った拍子を変化させたのが「住吉囃子(別名:裏囃子)」、その他「松江囃子」、「三浦囃子」などの流派が編み出された。やがて「神田囃子」、「目黒囃子」などが次々に編成編されて、その技量の程を競ったと言う。<br /> ちなみに当初、神田囃子は即ち葛西囃子でもあったのだが神田の氏子が葛西囃子の技術を取得してから神田囃子として発展して行ったと言われる。<br /> <br /> === 演奏形態・楽器 ===<br /> 編成は5人で、大太鼓(大胴)1名、しめ太鼓(しらべ)2名、笛(とんび)1名、鉦(よすけ)1人名。<br /> ケテンテケテンテンテンステックという「上げ」(打ち込み)の囃子にはじまり、屋台囃子という曲から一定の順序で数曲続け、ふたたび屋台囃子で終わるというのが一般的。<br /> <br /> === 葛西囃子の編成 ===<br /> 葛西囃子は「五人ばやし」とも称せられる様に五人で編成される。その配列は向かって左より、大太鼓・締太鼓(タテ)・締太鼓(ワキまたはナガレ)が前列、そして後列が笛・鉦(かね)となっている。<br /> <br /> === 曲目 ===<br /> 1.打ち込み&lt;br /&gt;<br /> (締太鼓を打ち込む。言うなれば前奏曲部分)&lt;br /&gt;<br /> 2.屋台&lt;br /&gt;<br /> (笛、締太鼓、鉦、大太鼓、と次第に音調を整える)&lt;br /&gt;<br /> 3.昇殿&lt;br /&gt;<br /> (全体としてゆったりとした演奏)&lt;br /&gt;<br /> 4.鎌倉&lt;br /&gt;<br /> (鳶職の「[[木遣り]]」と似ている。比較的静か)&lt;br /&gt;<br /> 5.四丁目(師調目・使丁舞・四丁舞)&lt;br /&gt;<br /> (一番賑やかに奏する箇所で演奏者の技量が問われる)&lt;br /&gt;<br /> 6.屋台&lt;br /&gt;<br /> 以上の順序で演奏する六段構成が基本となっている。<br /> 追記すると、四丁目には締太鼓のタテが「四丁目の玉」を打つとワキが「玉の地」を打つ玉入りが入る。(「玉」とは笛の調子に合わせて即興で打つ太鼓の事を言う)<br /> なお、上記の他に御輿巡行を迎える「投げやり」、おかめ・ひょっとこ等の馬鹿面を被った道化踊りの「忍馬(にんば)」、獅子舞の「勇み」「清め」「じゃれ」等の曲目が存在する。<br /> <br /> === 囃子道具 ===<br /> 大太鼓        別名:大胴(おおど)1基&lt;br /&gt;<br /> 締太鼓(しめだいこ) 別名:しらべ2基&lt;br /&gt;<br /> 笛          別名:とんび1管&lt;br /&gt;<br /> 鉦(かね)      別名:よすけ1個&lt;br /&gt;<br /> 等<br /> <br /> === 踊り ===<br /> 馬鹿面踊り&lt;br /&gt;<br /> 寿獅子舞&lt;br /&gt;<br /> ひょっとこ&lt;br /&gt;<br /> おかめ&lt;br /&gt;<br /> 等<br /> <br /> === 葛西囃子の修練と成果 ===<br /> かつて葛西囃子の練習は11月、収穫が済んだ時期の余暇を練習に充てる形で開始された。その多くは葛飾区の青戸・亀有・金町・新宿・奥戸等の農家の人員で構成されるが技術の取得には修練を要し、一定の技量となるには1〜2年は掛かるとされる。その中に於いて笛はとりわけ上達が困難とされ、数年(人によっては10年とも言われる)の稽古を経てやっと人前で演奏出来る一人前の笛吹きとなれると言う。<br /> 当然その練習は厳しいものであり特に江戸時代には稽古場に於ける以下の規則を遵守する事が必須だった。<br /> <br /> &#039;&#039;&#039;定&#039;&#039;&#039;&lt;br /&gt;<br /> 一、稽古場にて酒飲むべからず、朔日、十五日、二十八日、稽古仕舞ひ候て後は格別の事&lt;br /&gt;<br /> 一、喧嘩口論堅く禁制たるべし&lt;br /&gt;<br /> 一、稽古場にて安座(あぐら)かき申間敷事&lt;br /&gt;<br /> 一、世話役の外、其処は打った抔(など)と多言致間敷事&lt;br /&gt;<br /> 一、仲間の中は折合能く可致事&lt;br /&gt;<br /> <br /> 追記すると、上記は代官伊奈半左衛門が葛飾地方の人心の利導を目的とした上で拵えて置いた[[条文]]とされる。<br /> こうした背景において輩出された名人が江戸の[[天下祭]]へと参加し、葛西囃子は江戸で大流行する事となったのである。<br /> <br /> === 葛西囃子保存会 ===<br /> 葛西囃子の保存伝承のために昭和24年に東都葛西囃子睦会が結成され都内神社等の祭礼や伝統行事、地域[[イベント]]等での上演を行っている。<br /> また、有志によって昭和26年に葛西囃子保存会(葛西神社事務局)が結成され現在も葛西神社の例大祭・酉の市の祭事に奉納演奏を、また毎月中旬の日曜日にも同神社の境内に於いて稽古が行われている。葛西囃子保存会は近年その活動領域を広げ、葛西囃子の素晴らしさを伝える為に[[オーストラリア]]やウィーン等、海外への遠征公演も果たした。<br /> なお、上記の他にも葛飾区・江戸川区を中心とした地域に各保存会が存在する。<br /> <br /> == 参考文献 ==<br /> *「武江年表」<br /> *「日本民謡大鑑」関東編<br /> *「東京のまつり」 朝日新聞社刊<br /> *「ふるさと東京 民俗芸能」 朝文社<br /> *「東京都の郷土芸能」 宮尾しげを・本田安次 昭和29年 一古堂書店<br /> *「日本の民謡と民俗芸能」 本田安次 音楽の友社 昭和42年 <br /> *「江戸の祭り囃子」 東京都教育委員会編 東京都教育庁生涯学習部文化課 平成9年<br /> *「増補 葛飾区史」 東京都葛飾区編<br /> *「演劇百科事典」 平凡社<br /> <br /> == 外部リンク ==<br /> [http://music.geocities.jp/jisya01/ 葛西囃子保存会]&lt;br /&gt;<br /> [http://homepage3.nifty.com/kasaijinja/ 葛西神社]<br /> <br /> <br /> {{日本の伝統芸能}}<br /> <br /> <br /> {{event-stub}}<br /> <br /> {{DEFAULTSORT:まつりはやし}}<br /> [[Category:日本の伝統音楽]]<br /> [[Category:日本の祭り]]<br /> [[Category:音楽のジャンル]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 ノストラティック大語族 2018-04-13T07:02:40Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: 表記</p> <hr /> <div>[[Image:Nostratic tree.svg|thumb|330px|Bomhard (2008)によるノストラティック大語族の系統仮説]]<br /> &#039;&#039;&#039;ノストラティック大語族&#039;&#039;&#039;(Nostratic languages)とは、[[ユーラシア]]の多くの[[語族]]を含む、仮説段階の[[大語族]]である。[[ホルガー・ペデルセン]]によって、20世紀初頭に最初に提唱された。最小限のくくりでは、[[インド・ヨーロッパ語族]]、[[ウラル語族]]、[[アルタイ諸語]]、[[南コーカサス語族]]が含まれる。加えて、[[アフロ・アジア語族]]、[[ドラヴィダ語族]]、[[ニブフ語]]、[[エラム語]]、[[シュメール語]]、[[ユカギール語]]、[[エスキモー・アレウト語族]]、[[チュクチ・カムチャツカ語族]]などが含まれることもある。<br /> <br /> だが、この語族の妥当性はほとんどの言語学者に認められていない。&lt;ref&gt;Greenberg 2005:337&lt;/ref&gt;&lt;ref&gt;Cf. Sweet 1900:115–120&lt;/ref&gt;<br /> <br /> ==大語族としての位置づけ==<br /> *[[ボレア語族]]<br /> **&#039;&#039;&#039;ノストラティック大語族&#039;&#039;&#039;<br /> ***[[ユーラシア大語族]]<br /> ***[[アフロ・アジア語族]]、[[ドラヴィダ語族]]<br /> **[[デネ・コーカサス大語族]]<br /> **[[オーストリック大語族]]<br /> <br /> == 日本語とアイヌ語の共通祖語との関連性 ==<br /> [[1994年]]ボムハード(A. R. Bomfard)とカーンズ(J. C. Kerns)は[[比較言語学]]研究の著書「ノストラス起語族 - 距離の遠い言語関係についての研究」の中でノストラース語族を「ノストラース起語族」(Nostratic Macrofamily)と再[[定義]]したが、この研究は、[[2006年]]に[[日本語]]と[[アイヌ語]]が共通の[[祖語]]を持つことを研究した鳴海日出志による「日本語とアイヌ語の起源」によって、[[和語]]とアイヌ語が[[ユーラシア大陸]]及び[[北アフリカ]]にかつてあったと考えられる祖語との関連性が考えられるとする研究成果につながった。&lt;ref&gt;「日本語とアイヌ語の起源」&quot;The Origin of Japanese and Ainu - Comparative Linguistics&quot; 鳴海日出志 (Hideshi Narumi) 2007年3月30日 [[中日出版株式会社]] &lt;/ref&gt;<br /> <br /> <br /> ==脚注==<br /> {{reflist}}<br /> <br /> <br /> {{世界の語族}}<br /> {{Language-stub}}<br /> {{DEFAULTSORT:のすとらていつくたいこそく}}<br /> [[Category:語族]]<br /> [[Category:仮説段階の語族]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 技術者 2018-03-20T02:55:18Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: 表記</p> <hr /> <div>{{独自研究|date=2010年2月}}<br /> {{出典の明記|date=2010年2月}}<br /> &#039;&#039;&#039;技術者&#039;&#039;&#039;(ぎじゅつしゃ、{{lang-en|engineer}}、&#039;&#039;&#039;エンジニア&#039;&#039;&#039;)とは、[[工学]](エンジニアリング)に関する[[専門家|専門]]的な[[才能]]や[[技術]]を持った実践者のことである。(直訳するとエン=拡大する・実践するの接頭語、ジーニア=才能ある人・閃く人。エンジニアリングを工学と翻訳した場合、エンジニアには「[[工学者]]」が当てられるべきだが狭義すぎること、また技術=technicとして技術者=technician([[:en:Technician]])とする英語側とのねじれが生じることから、国内では実際の内容としては広義の専門的な技術者=エンジニアと定義することが多い。ただし英語圏ではエンジニアと単なる技能習得者は明確に区別されるので注意が必要となる。なお、逐語的には技術=technologyとすることが多い)<br /> <br /> [[類義語]]の「[[技師]]」や「[[技士]]」は、日本では[[役職]]名や[[資格]]名に用いられることが多く、資格の例として[[臨床工学技士]]、[[臨床検査技師]]、[[診療放射線技師]]、[[施工管理技士]]がある。<br /> <br /> 日本における「技術者」は呼称であり、資格名ではないので、その名称の定義やその名称を名乗るための法的規制はない。一方、「[[技術士]]」および「[[技能士]]」は[[国家資格]]であることから、試験に合格した者以外が称することを禁じられている。外国に於いては、「Engineer」(エンジニア)の称号は、理学士ではなく[[工学士]]の[[学位]]が必要とされる等、明確な制限がある場合が多い。<br /> <br /> == 概説 ==<br /> 技術者は製造業一般、サービス産業など製品やシステムなど、また農林水産分野など、モノやことを生み出される、生産が伴うすべての産業に存在している。 <br /> <br /> 通常、[[工学]]([[機械工学]]、[[電子工学]]、[[情報工学]]、[[化学工学]]など)や[[理学]]([[数学]]、[[物理学]]など)の分野の[[知識]]を持ち、有用な物・工程・システムなどを[[設計]]・[[開発]]・[[製造]]する。<br /> <br /> 20世紀後半以降、物のなかには具体的な形をもつ[[ハードウェア]]だけでなく、それを使うための[[ソフトウェア]]が含まれるようになっている。また、技術者が製作したものを正しく動作させるための[[運用]]・[[保守]]に関わる[[職種]]も技術者に含む。<br /> <br /> == 各種の技術者 == <br /> === 技術者の分類 === <br /> 技術者は製造業一般、サービス産業など製品やシステムなど、また農林水産分野など、モノやことを生み出される、生産が伴うすべての産業に存在している。 <br /> <br /> 電気工学分野に電気技術者、機械工学分野に機械技術者などと工学分野の数だけ分野ごとの技術者が存在し、[[:Category:自動車技術者]]、[[:Category:銃器設計者]]、[[:Category:情報技術者]]、[[:Category:鉄道技術者]]、[[:Category:土木技術者]]などとテクノロジー産業ごとに技術者が存在する。またそれぞれの分野ごとに、調査計画から分析、設計から製作や施工という一連の工程においてそれぞれ技術者が存在するほか、製品の品質管理、維持管理、製造のための設備保守、メンテナンス、ものの修理修繕および修復、施設の運営のためといった業務などに従事する技術者も数多い。 <br /> <br /> 技術者の一例としてパンや菓子を製造する製パン・製菓技術者、被服分野の縫製技術者、[[ボウリング]]の[[ドリラー]]、[[照明技術者]]、環境分析技術者、環境保全技術者、[[搭乗運用技術者]]、農業技術者、森林・林業技術者、食品製造に従事する食品技術者、洋服など仕立ての技術者、和装式服のしみ抜き技術者、細菌検査技術者、レントゲン技術者、検品技術者、ビル管理技術者([[建築物環境衛生管理技術者]]、ビル管理士、ビル管理者試験)などといった具合で様々である。 <br /> <br /> -近年では、稲村紀久雄『接客技術者の基礎知識―紳士服の仕事に興味ある人たちの必読書』(文芸社 2001 ISBN-10: 4835519000 ISBN-13: 978-4835519005)のように「接客技術者」なる言葉もある。 <br /> <br /> さらには[[メカニック]]、そして[[汎用機オペレータ]]、[[CADオペレータ]]などの「オペレーター」や[[コンピュータ技術者]]としてシステム監査技術者、[[ソフトウェア開発者]]も[[ソフトウェア技術者]]という技術者であるほか、コンピューター分野の[[プログラマー]]、[[デザイナー]]も、他に、[[ピアノ調律師]]、[[:Category:楽器製作者]]、[[PAミキサー]]、[[MAミキサー]]など、さらに医療分野の[[義肢装具士]]、[[歯科技工士]]なども技術者と認識される。 <br /> <br /> その他[[公務員]]として奉職する各種の技術者、例えば[[技術曹|技術陸曹・海曹・空曹]]など特殊な任務を負う技術者も存在するほか、[[宇宙飛行関係者]]や[[宇宙飛行士]]、[[消防士]]、[[警察官]](例えば交通管理分野の技術者)などでも、技術者の場合がある。<br /> <br /> == 技術者の定義と実情 ==<br /> === 技術者と技能者 ===<br /> 技術者に類似した概念に技能者がある。技能者とは、機械の組み立てや精密加工などの、[[ものづくり]]の実作業を担当する者を指す。[[専門知識]]を応用して成果を出すことは求められない反面、極めて高度な[[技能]]が要求されることから、伝統的な[[職人]]の概念に近い。技能者の[[国家資格]]に技能士がある。ただし技術者は[[試作]]といった作業の必要性から、実質的に技能者であることを求められることもあり、優れた技術者は同時に優れた技能者であることが多い。<br /> <br /> === 技術者と職階 ===<br /> 企業の一部には、日本国内外を問わず、下記の技術者の職階を有することが多い(組織によって名称や階級は一部変わる。)。また旧[[内務省 (日本)|内務省]]では、技師・主任技師(現行の[[技官]]に相当)という職階が存在していた。<br /> <br /> 一例として、所長(または工場長) 技師長(所長級技術者) 副所長(または副工場長) 主幹技師(部長級技術者) 主任技師(課長級技術者) 技師(係長級技術者)技師補 など。<br /> <br /> 組織に所属する技術者は、職場においては横断的に仕事をこなすため、明確な職名が存在しないことが多い。<br /> <br /> ===技術者と科学者 ===<br /> ヨーロッパでは[[研究者]]の方が工学技術者より格上であるという風潮がある。これは、もともと[[貴族]]が[[趣味]]として[[自然科学]]を探求し、先導してきた歴史背景があるためと言われ、実際、応用技術より基礎研究に対する関心が強い。<br /> 逆にこのような歴史的背景が存在しないアメリカでは、社会での実践を担う技術者(エンジニア)は大きな影響力を持つため地位が非常に高く、管理職([[マネージャー]])よりも重視される。指導者的な役割を果たすことが期待され、最高経営責任者([[CEO]])の多くが技術者出身となっている。国内では、学会と社会が断絶構造となっているため、社会的に科学者は名誉しか存在しない。また技術者は手先の器用な低級労働者として認知されている。<br /> <br /> 近年では学者・研究者であると同時に技術的・実働的な作業も兼ねる現場派 の学者・研究者も増加してきている。技術者は理論的・実験的アプローチにより事前に設定された目標を達成する製品の設計・製作などを目指し、[[科学者]]は実験などから得た事象を系統的に整理し、理論体系の構築を目指す。<br /> <br /> 技術者は、産業界(主に企業)において実用的な技術を担う職務を担う一方で、研究者と言った場合、実用性以前に実現性の有無すら未知の領域を探求する職務であり、技術者とは棲み分けがなされている。技術者は主に産業界に属しているが、研究者といった場合は必ずしも属する組織が限定されない。これは産業界で必要とされる研究と学術界で価値のある研究にも差異があるためである。さらに企業における新製品の研究開発と言う場合は、研究者というより高度な技術者が必要とされる傾向が強い。<br /> <br /> 学者と言った場合、企業ではなく大学などの学術・教育機関に属している研究者を指すことが多い。これは、教育サービスを提供するがどうかも学者・研究者を区別する一つの基準であることを意味する。<br /> <br /> 公的な学術機関の場合は、学者ではなく研究者と呼称される。私企業の場合、基礎研究に近い事業に関わっている場合のみ、研究者と呼称される(例:[[日亜化学工業]] 勤務時の[[中村修二]])。<br /> <br /> == エンジニア ==<br /> 音楽業界においては、[[録音スタジオ|レコーディング・スタジオ]]などで[[レコード]]/[[コンパクトディスク|CD]]/[[DVD]]などの音楽制作物における音響操作系技術者である「[[レコーディング・エンジニア]]」や「[[マスタリング・エンジニア]]」の事を単に「エンジニア」と呼称及び表記する事がある。他にも補佐役の[[アシスタント・エンジニア]]、ライヴ及びコンサート会場や各種ステージなどでの音響操作担当者は「[[PAエンジニア]]」、音響機器製作は「オーディオ・エンジニア」、映像制作関連で画像編集などの作業担当者は「VE([[ビデオエンジニア]])」などがあり、その場合もエンジニアとだけ呼称及び表記されている場合がある。<br /> <br /> 音響技術者の一形態でCD-DA(CD)の制作工程においてプリ・マスタリングとよばれる作業に従事する技術者は[[マスタリング・エンジニア]]と呼ばれる。<br /> <br /> [[航空従事者]]のうち、[[航空機]]の運航に携わる[[航空機関士]]は、[[航空エンジニア]]、フライトエンジニア(Flight Engineer,FE)とも呼ばれる。ISSフライトエンジニアなど。<br /> <br /> 製品等の開発責任技術者をチーフエンジニア、企業に属していない独立したエンジニアをフリーエンジニア、フリーランスエンジニア、その逆を[[インハウスエンジニア]]、その他フィールドエンジニア、ファクトリーエンジニア、セールスエンジニア、[[ゲストエンジニア]]とそれぞれ呼称される。[[技術コンサルタント]]として従事しているのが、コンサルティングエンジニアであり、これをコンサルティング技術者とは、あまり呼称されない。<br /> <br /> また[[バイオテクノロジー]]の分野に従事する技術者をバイオ・エンジニア、医療分野に従事するメディカルエンジニア、モータースポーツの世界のエンジニアはレースエンジニア、また[[ラリー]]などでのトラック・エンジニアがエンジニアと呼称される。建築分野では、構造部門の[[構造エンジニア]]、[[金融業]]では[[フィナンシャルエンジニア]]と呼ばれるエンジニアが存在する。<br /> <br /> [[コンピュータ]]の分野では、総称してコンピュータエンジニア、[[コンピュータ技術者]]、[[ITエンジニア]]などと呼ばれる。職種により[[インフラエンジニア]]、[[システムエンジニア]]、組込みエンジニア([[組み込みシステム]]エンジニア)、[[ネットワークエンジニア]]、[[ウェブ]]・エンジニア、[[データベース]]エンジニア、[[カスタマーエンジニア]]などもある。その他[[ナレッジエンジニア]]については[[エキスパートシステム]]を参照。<br /> <br /> [[生態系エンジニア]]は、特定の職業人物を表しているのではなく、生物分野のたとえで、エンジニアのような生物、の意味である。ある生物をエンジニアに見立てて呼称している。<br /> <br /> [[シビルエンジニア]]は建設分野のエンジニアのことであるが、日本では土木分野の技術者の意味で呼称されている。[[エンジニア・アーキテクト]]は日本では建築分野の[[構造家]]にあたる。<br /> <br /> [[3次元エンジニア]]は 、日本では3次元をもちいた技術者の呼称のひとつ。[[モデル・エンジニアリング]]の分野にも、優れたモデル・エンジニアと称された人物らがいる。<br /> <br /> [[PCエンジン]]の熱狂的な[[ユーザー]]のことをかつて「PCエンジニア」と呼んでいた。<br /> <br /> === インハウスエンジニア ===<br /> 従来は、事業者側にも技術担当が必要な場合は当該技術者がいて、施設管理等の場合自ら一定のメンテナンスをする。これをインハウスエンジニアという。その上で、法定検査等手に余るものについては外部に委託するという体制であった。<br /> つまり、発注者側の技術者として、技術の渉外担当となる。<br /> <br /> 近年日本で起きた原発事故でみるとおり電力などエネルギー業界等の管理施設では、施設を所有する管理者側のエンジニアと、必要に応じ委託を受けて業務に当たるエンジニアと多重構図をなしている。<br /> 昨今では事業者内の技術者はコスト削減の大号令の中でどんどん削減され極端な場合は廃止し、すべてを外部の業者に任せるといった形態になりつつある。<br /> <br /> 建設業界では、建設サービスの高度化時代、詳細設計は[[建設業設計部|施工業者]]に設計担当のインハウスエンジニアを抱え、設計を行う場合も多々ある。<br /> <br /> ;技術公務員<br /> [[官庁]]にいる技術公務員、インハウスエンジニアは官庁技術者と呼ばれる。日本の場合こうした技術者が、本庁出先あわせ中央官庁内の他[[地方自治体]]と[[地方公共団体]]、[[公団]]や[[公社]]、[[特殊法人]]、官庁外郭団体である[[公益法人]]等々でおり、また組織外からの出向者も多々おり、多重構造をなしている。<br /> <br /> 日本の公共調達法は明治期の官直営方式時代からの枠組みを戦後もなんとか変化する時代の要請に合わすべく運用面で対処し、会計法規を裁量解釈、拡大解釈で進めてきた経緯がある。戦後は各種[[技術コンサルタント]]を誕生させ、官庁での技術業務の[[アウトソーシング]]を進ませ、その後も世界中でも官の技術の民間への移行も加速化して進み、官庁技術者集団のスリム化を進行させた。日本においては官内技術者集団でなければ基本的に実施しえないあるいは法規上なければいけない技術業務以外は、今日民間の技術・能力が、実績が積まれ向上していったという経緯がある。<br /> <br /> 『建設産業事典』(2008年、建設産業史研究会、[[鹿島出版会]])の巻末に掲載されている「用語解説」Technical terminology、インハウスエンジニア(官庁技術者)の項で、旧[[建設省]]出身の松浦茂樹[[東洋大学]]国際地域学部教授が、社会基盤整備工事にともなう土木事業などは、直轄での河川、砂防、海岸、多目的ダム、国道系道路、国営都市公園、港湾、空港など国土整備と、交通施設整備を担当する[[国土交通省]]を中心に上水を担当する[[厚生労働省]]、発電工業用水を担当する[[経済産業省]]などに工学技術職の技官がおり(その他は[[文部科学省]]の文部技官として教育施設の営繕など担当や、[[農林水産省]]などの農業土木系・林業土木系・水産土木系の施設を扱うさらには[[防衛施設庁]]、[[警察庁]]や機構等と、他に各省庁研究所などの[[研究職]]での技官がいる)、国土交通省でみると、本省では河川局、道路局、港湾局、都市整備局を中心に配置され、各局長、都市整備局では下水道部長らは、土木技官であり、全国の出先機関として8つの地方整備局や北海道開発局に配属される大多数の技官から技術系の部の部長や局長も技官であること、本省において局長以上の技官ポストは旧建設省の[[技監]]と旧[[運輸省]]の[[技術総括審議官]]があること、建設省発足以来[[事務次官]]は事務と交互に就任していること、この省に入省後、基本的に河川、道路、ダム、港等、[[背番号]]がつけられ、それぞれ[[専門家]]としての道を歩んでいくことを明記している。<br /> <br /> ;参考<br /> * 国土交通省ホームページ 「国土交通省直轄事業の建設生産システムにおける発注者責任に関する懇談会:中間とりまとめ」2006 年9 月 <br /> * 土木学会編 「日本土木史 昭和16 年~昭和40 年」<br /> * 国土交通省 関東地方整備局 「オンラインマガジン50年のあゆみ シリーズ2」  <br /> * 国土技術政策研究所 研究総務官兼総合技術政策研修センター長 西川和廣「公共工事の品質確保の取組の方向について」平成18年度<br /> * 西川和廣「報文:インハウスエンジニアのモデルチェンジ」 <br /> * 財団法人国土技術研究センター「建設生産システムにおける品質確保のための方策検討 報告書」 平成19 年度<br /> * 財団法人国土技術研究センター「平成18 年度 監督検査体制に関する米国調査」<br /> * 「カリフォルニア州企業・職業法」<br /> * 韓国建設管理研究室 先任研究員 朴煥杓 「公共事業における責任監理と建設事業管理(CM)の役割の確立による今後の中長期発展のあり方」 2007 年 <br /> <br /> == 世界のエンジニア資格 ==<br /> 英語圏の国で名称では、チャータード・エンジニア(Chartered Engineer、CE)とプロフェッショナルエンジニア(Professional Engineer、PE) の二つの勢力がある。CEの方は[[イギリス]]での資格のため、イギリス本土の他[[アイルランド]]、また、[[インド]]、[[スリランカ]]、[[オーストラリア]]、[[ニュージーランド]]、[[南アフリカ]]、[[アラブ諸国]]といった旧植民地で、CEが使用される。ただし旧[[英連邦]]のうちオーストラリア、ニュージーランドでの名称は「Chartered Professional Engineer」とチャータードとプロフェッショナルの言葉を重ねている。他英連邦では[[カナダ]]は隣国アメリカ合衆国同様に、PEとしている。<br /> <br /> アメリカのPEでは多くの技術部門があるが、独占業務は日本で言う[[土木分野]]で、[[建築分野]]は構造エンジニアリングだけをPEにしている。プロフェッショナルエンジニアはアメリカの各州が州ごとに設けているエンジニアの公的資格となっており、第1グループ:①[[化学工学]]、②[[土木工学]]、③[[電気工学]]、④[[機械工学]]、⑤[[環境工学]]と第2グループ:①[[農業工学]]、②[[制御システム]]工学、③[[防火]]工学、④[[産業]]工学、⑤[[製造]]工学、⑥[[冶金]]工学、⑦[[鉱業]]/[[鉱物]]工学、⑧[[原子力工学]]、⑨[[石油]]工学 とがある。これを日本ではNPO法人日本プロフェッショナルエンジニア協会日本PE・FE試験協議会がこの資格試験を主催している。プロフェッショナルエンジニアに関連する資格は他に、FE試験と国際認定生産技術者を設けている。<br /> <br /> ほとんどの国は技術者資格の英訳自体は「Professional Engineer」を当てている。自国語の技術者資格、例えば韓国は「技術士」、中国は「高級工程師」で英語は「Professional Engineer」としている。日本の技術士も、発足時に英名は「consulting engineer」としていたが、現在は「Professional Engineer」と表現している。<br /> <br /> 中国語では技術の職を「工程師」と呼ぶが、[[中華人民共和国]]で工程師を4段階にしており、エンジニアに相当しているのは高級工程師で、また一種の名誉称号である技術職名制度でエンジニア相当の高級工程師と、建築分野の高級建築師などが、国家工程技術職務条例で定められている。<br /> 1985年より名誉称号から仕事の独占資格に適時移行しているが、名称は従来と同様にしている。ただし、独占業務としているのはやはりアメリカや日本同様、建築、土木分野だけである。<br /> <br /> 中国では、日本の技術士総合管理部門と同等くらいの建設設計技術者は教授級階高級エンジニア、日本の技術士やRCCMなどと同等くらいの高級エンジニア、そしてエンジニア、副エンジニアという具合であり、専門知識人員として国家1級登記構造エンジニア、日本の建築設備士にあたる国家登記公用装置エンジニア、日本の電気設備士にあたる国家登記電気系エンジニア、国家登記の土木(岩土)エンジニア、中国政府認定の予算管理士となる国家登記造価エンジニアといった各専門エンジニアを定めている。なお、[[建築士]]に当たるものは国家1級登記建築士と国家2級登記建築士がある。<br /> <br /> プロフェッショナルエンジニア(PE)の制度は、分野として機械の専門技術者であるメカニカルエンジニア部門、電気の専門技術者であるエレクトリカルエンジニア部門などが含まれている。<br /> <br /> アメリカ合衆国では建設分野では早くから[[建築家]]・アーキテクトの制度を存在させているが、それと平行して、土木や建築構造全般に渡る建設エンジニアである[[シビルエンジニア]]部門は、シビルエンジニアリング専門分野として[[構造エンジニア]]を表すストラクチュラルと[[地質]]のそれを表すソイルの各分野がある。<br /> このストラクチュラルエンジニア(structural engineer)の資格を取る場合は、シビルエンジニア部門の資格を取った上で、さらに2年間の実務経験を積み、各自専門に関する2日間にわたる試験を受け、試験に合格する必要がある。<br /> <br /> なお、アメリカのアーキテクト資格は日本の建築士と同様に、建築に関するすべての設計に携わることが認められるが、プロフェッショナルライアビリテイの関係上、実際には小規模建物の場合以外はすべて上記それぞれの[[専門家]]に専門分野の部分を任せるのが通常となっている。<br /> このため、州によって異なるが、前述のシビルエンジニア資格者が建築構造の設計をする場合には制限が課せられ、一定高さ以上の建物などは、ストラクチュラル・エンジニアの関与が求められている。事実建築家には、建物の構造が確かかどうかについての責任はなく、建築構造設計技術者であるストラクチュラル・エンジニアの役割となる。<br /> このため建築家は、構造エンジニアを呼んで、かつ建物には電気と機械系の技術者も必要となる。建築業務の場合建築家はチーム内の専門家の内のひとりであっても、建築家だけがクライアントとのやり取り把握をなす。<br /> <br /> 一方英国では、構造技術分野では、構造技術者の集まりである構造技術者協会は1908年に設立され、1934年に英国王室から正式な認知を受けた王立協会となり、会員数約22000人を有する世界的構造エンジニアの組織となっている。また、英国では建築の見た目の意匠から一歩踏み込み、ファサードデザインと統合させようとする「ファサード・エンジニア」というエンジニアもおり、多岐にわたるエンジニアリングを結集させ構造・構法や材料、設備の選択に際して耐久性や地球環境に配慮し、かつ居住環境や都市環境に良い影響を与えることを目的としている。<br /> <br /> == 世界における技術者の称号 ==<br /> [[大陸]][[ヨーロッパ]]や[[ラテンアメリカ]]の幾つかの[[国]]や[[トルコ]]などでは、工学技術者の[[称号]]は[[工学部]]の[[学位]]を持っている者に限り許されている。例え職歴が十分であっても、それ以外の者が使用する事は[[違法]]である。<br /> <br /> [[イタリア]]では、工学部の学位を持っている者以外では、[[プロフェッショナル]]としての能力試験(Esame di Stato)を課し、これを通過した者がその称号を許される。<br /> <br /> [[ポルトガル]]では、プロフェッショナルな技術者の称号と、認定されるその工学学位は「Ordem dos Engenheiros」によって認定されている。<br /> <br /> [[チェコ共和国]]においては、技術者の称号(lng.)は、[[化学]]、[[工学]]、さらには歴史的事情により[[経済学]]で[[学士]]か[[修士]]を修めたものに与えられる。<br /> <br /> [[アメリカ合衆国|アメリカ]]の全ての[[アメリカ合衆国の州|州]]、[[カナダ]]、そして[[南アフリカ]]では、幾つかの技術者の称号の使用を、[[法]]によって[[規制]]している。特に&quot;Professional Engineer&quot;、さらに工学分野から派生した工学、例えば[[土木工学]]や[[機械工学]]専門技術者に対する称号等を規制している。アメリカの州でほぼ全てにおいて、無許可の者が「技術者」を称する事等を禁じている。<br /> <br /> [[IEEE]]の公式な見解は、工学学位を持ち、十分な技術者としての経験を持った者等が技術者である、としている。<br /> <br /> == 日本においての資格の名称 ==<br /> [[日本の建設に関する資格一覧]]、[[日本の免状一覧]]、[[日本の情報に関する資格一覧]]、[[日本の工業に関する資格一覧]]、[[日本の環境に関する資格一覧]]、[[日本の通信に関する資格一覧]] などをみてもわかるとおり、技術者資格の名称として、名前の末尾に技術者と付けるものも多く存在する。[[情報処理技術者試験|情報処理技術者]]([[システム監査技術者試験|システム監査技術者]]、[[応用情報技術者試験|応用情報技術者]]、[[基本情報技術者試験|基本情報技術者]])、[[バイオ技術者認定試験|バイオ技術者]]、[[シスコ技術者認定|シスコ技術者]]など。<br /> <br /> [[音響技術者]]の[[音響技術者能力検定]]、下水道管理技師の[[下水道管理技術認定試験]]、その他[[給水装置工事主任技術者]]、[[ガス主任技術者]]、[[電気主任技術者]](電気工作物全般を扱う技術者)、[[電気通信主任技術者]](電気通信ネットワーク全般を扱う技術者)、[[ダム管理主任技術者]]、[[ダム水路主任技術者]]、[[ネオン工事技術者]]、[[ボイラー・タービン主任技術者]]などの他、業務遂行するべく定められる[[主任技術者]]、管理技術者、[[監理技術者]]、[[電気管理技術者]]、[[給水装置工事主任技術者]]、薬事の[[責任技術者]]、[[搭乗科学技術者]]、[[有線テレビジョン放送技術者]]、[[原子炉主任技術者]]、[[自家用発電設備専門技術者]]、[[浄化槽清掃技術者]]、[[防火安全技術者]]などがある。<br /> <br /> また[[統括管理者]]、[[無線従事者]]、[[清掃作業監督者]]、[[貯水槽清掃作業監督者]]、[[工事担任者]]、[[核燃料取扱主任者]]、[[放射線取扱主任者]]、[[空調給排水管理監督者]]、[[防火管理者]]、[[公害防止管理者]]、[[エネルギー管理士]]、[[冷凍機械責任者]]など、こうした責任者、主任者、監督者としているものも、技術者が資格取得し従事することが多い。<br /> <br /> さらに、[[自動車整備士]]、[[航空整備士]]、[[航空機関士]]、[[陸上無線技術士]]、[[測量士]]、[[電気工事士]]、[[施工管理技士]]([[土木施工管理技士]]、[[造園施工管理技士]]、[[建設機械施工技士]]、[[建築施工管理技士]]、[[電気工事施工管理技士]]、[[管工事施工管理技士]])[[ダム管理技士]]、[[ボイラー技士]]、[[環境計量士]]、[[検査分析士]]、[[認定眼鏡士]]、[[消防設備士]]、[[建築設備士]]など士のつくものに関しても、これらなどは技術者の資格であり技術者が取得している。[[建築士]]、[[ビオトープ]]管理士も、技術者の資格として認識されている。[[防火管理技能者]]は資格条件として、[[消防法]]施行令条則第11条の4で[[防火安全技術者]]などが講習を受け、効果測定に合格した者と規定されている。<br /> <br /> 資格取得に際しては、[[技術士]]など実務経験を要するものがある。<br /> <br /> === 技術資格者 ===<br /> 技術資格者という名称もあり、例として交通工学技術者の資格として、日本では交通工学研究会認定交通技術資格者TOP(Traffic Operations Practitioner certified by JSTE)、交通工学研究会認定交通技術上級資格者TOE(Traffic Operations Engineer certified by JSTE)がある。<br /> <br /> 米国ではPEとは別にPTOE(Professional Traffic Operations Engineer)があり、全国レベルの資格制度として1999年1月に第1回の資格試験が行われている。資格の認証は,米国交通工学会(ITE)の関連組織であるTPCB(Transportation Professional Certification Board, Inc.)という独立の非営利団体(NPO:nonprofit organization)が行っている。<br /> <br /> === エンジニアの名称の場合 ===<br /> <br /> ほかに末尾に「エンジニア」を付けた名称の資格試験も技術者資格である。<br /> <br /> [[資格#国家資格|国家資格]]<br /> <br /> 過去の[[情報処理技術者試験]]にあった。( )内は現行の相当試験。<br /> *[[プロダクションエンジニア試験]]<br /> *システム運用管理エンジニア試験([[ITサービスマネージャ試験]])<br /> *アプリケーションエンジニア試験([[システムアーキテクト試験]])<br /> *マイコン応用システムエンジニア試験([[エンベデッドシステムスペシャリスト試験]])<br /> *テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)試験(同上)<br /> *テクニカルエンジニア(システム管理)試験([[ITサービスマネージャ試験]])<br /> *テクニカルエンジニア(データベース)試験([[データベーススペシャリスト試験]])<br /> *テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験([[ネットワークスペシャリスト試験]])<br /> *テクニカルエンジニア (情報セキュリティ)試験([[情報セキュリティスペシャリスト試験]])<br /> [[情報処理技術者試験の変遷]]も参照。<br /> <br /> [[資格#民間資格|民間資格]]<br /> *[[電気通信設備工事担任者#情報通信エンジニア|情報通信エンジニア]] : [[日本データ通信協会]]認定 国家資格である[[工事担任者]]の一部有資格者を対象とする。<br /> * [[画像情報教育振興協会#CG-ARTS検定|CGエンジニア検定]] : [[画像情報教育振興協会|CG-ARTS協会]]が実施。[[文部科学省]]後援。<br /> * [[家電製品エンジニア]] : [[家電製品協会]]認定 AV情報家電エンジニアおよび生活家電エンジニアの2種があり、両方を取得すると家電製品総合エンジニアの称号を得ることができる。<br /> * CQE(品質エンジニア)資格認定制度<br /> * 計測制御エンジニア : エンジニアとしての能力を[[計測自動制御学会]]が認定する。<br /> * 医療の世界ではメディカルエンジニア{{enlink|Medical Engineer}}なるエンジニアがおり、国家資格の[[臨床工学技士]]の英語標記もMedical Engineerであるが、[[日本生体医工学会]]がME(メディカル・エンジニアリング)を検定するME技術実力検定を実施している。これは第1種と第2種に分かれ、検定に合格すると、臨床ME専門認定士という名称の資格が与えられる。この検定は、人工透析機器や人工心肺装置、人工呼吸器といった生命維持管理装置やその他の医療機器の管理・操作・保守に関し、特に保守・安全管理に対する専門知識・技術をもっているかどうかを認定するものである。専門知識をもっているかどうかを認定するものであり、生命維持管理装置に関し実際の現場管理者としての専門家資格は、[[臨床工学技士]]であり、装置の取扱い自体は看護師でもでき、ME技術実力検定は看護師、診療放射線技師、臨床検査技師なども受験している。<br /> <br /> == 関連項目 ==<br /> *[[工学者]]<br /> *[[日本技術者教育認定機構]]<br /> *[[生産技術]]<br /> *[[技術者不足]]<br /> *[[セールスエンジニアリング]]<br /> <br /> {{DEFAULTSORT:きしゆつしや}}<br /> [[Category:技術者|*]]<br /> [[Category:科学関連の職業]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 ソニック・ヘッジホッグ 2018-02-09T00:27:16Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: 表記</p> <hr /> <div>{{otheruses|遺伝子|ゲームキャラクター|ソニック・ザ・ヘッジホッグ}}<br /> {{Infobox gene}}<br /> &lt;!--[[画像:Shh structure.png|thumb|260px|ソニック・ヘッジホッグのシグナルドメイン(N末側)の立体構造]]--&gt;<br /> &#039;&#039;&#039;ソニック・ヘッジホッグ&#039;&#039;&#039; (Sonic hedgehog, &#039;&#039;&#039;SHH&#039;&#039;&#039;) は、ヘッジホッグ (HH) ファミリーに属する5種類の[[タンパク質]]の内の1つ。これをコーディングする[[遺伝子]]=ソニック・ヘッジホッグ遺伝子は、&#039;&#039;&#039;shh&#039;&#039;&#039;と小文字で表記する。このファミリーの他のタンパク質には、哺乳類ではデザート・ヘッジホッグ (Desert Hedgehog, DHH)、インディアン・ヘッジホッグ (Indian Hedgehog, IHH)があり、魚類ではエキドナ・ヘッジホッグ (Echidna Hedgehog, EHH) とティギーウィンクル・ヘッジホッグ (Tiggywinkle Hedgehog, TwHH) がある。<br /> <br /> ヘッジホッグ遺伝子 (hh) は最初に[[エリック・ヴィーシャウス]]と[[クリスティアーネ・ニュスライン=フォルハルト]]の古典的なハイデルベルク・スクリーンにより同定されて、[[1978年]]に発表された。<br /> 2人が[[1995年]]の[[ノーベル生理学・医学賞]]を得たこれらのスクリーニングで、[[ショウジョウバエ]] (Drosophila melanogaster) の[[胚]]の分節パターンをコントロールするこの遺伝子が同定された。hh遺伝子の機能を失った[[変異体]]の[[表現型]]の胚は小さな歯の様な突起物(歯状突起)が密集しており、ヘッジホッグ([[ハリネズミ]])という名前が付いた。<br /> <br /> == 名称 ==<br /> [[哺乳類]]には3種類の[[相同遺伝子]]があり、先に見つかった2種類、[[サバクハリネズミ|デザート]]及び[[インドハリネズミ|インディアン・ヘッジホッグ]]は実在するハリネズミの[[種 (分類学)|種類]]から命名された一方、ソニック・ヘッジホッグは発見者がファンだった家庭用ゲーム機[[セガゲームス|セガ]]・[[メガドライブ|ジェネシス]]([[日本]]での[[メガドライブ]])の[[キャラクター]]「[[ソニック・ザ・ヘッジホッグ]]」から名づけられた。後に[[ゼブラフィッシュ]]から見つかった2種類についての命名は、エキドナ・ヘッジホッグが[[ハリモグラ]]&lt;ref&gt;なお、上述のゲーム作品「[[ソニックシリーズ]]」には、[[ナックルズ・ザ・エキドゥナ]]というハリモグラのキャラクターも登場する。&lt;/ref&gt;から、ティギーウィンクル・ヘッジホッグが[[ビアトリクス・ポター]]作の[[絵本]]のキャラクター名、ティギーおばさん (Mrs. Tiggy-Winkle) から来ている。<br /> <br /> == 機能 ==<br /> これらの遺伝子から合成されるHHタンパク質相同体の中で、SHHは発生において最も重要な[[モルフォゲン]]として、[[四肢]]や、[[脳]][[脊髄]][[正中線]]構造などの、多くの[[器官#動物の器官|器官系]]のデザインを形成する役割がある。<br /> <br /> ヒト・ソニック・ヘッジホッグ遺伝子の変異では、腹側正中線の欠失が生じて[[全前脳胞症]] (HPE) を引き起こすほか、シス調節エレメントの変化が原因で[[多指症]]になることなどが知られている。<br /> <br /> == 参照 ==<br /> *[[Zbtb7|ポケモン遺伝子]] - [[コンピューターゲーム|ゲーム]]に名前がちなむ他の遺伝子、&#039;&#039;Zbtb7&#039;&#039;の旧称。<br /> *[[ピカチュリン]] - 視覚情報伝達に必須の[[タンパク質]]で、[[動体視力]]の優劣を司る。[[ポケットモンスター|ポケモン]]に登場するキャラクターの[[ピカチュウ]]にちなんで付けられた。<br /> <br /> == 注釈 ==<br /> &lt;references /&gt;<br /> <br /> == 外部リンク ==<br /> *[http://www.bio.davidson.edu/Courses/Molbio/MolStudents/spring2003/Watson/Sonichedgehog.htm An introductory article on shh]<br /> *{{脳科学辞典|ソニック・ヘッジホッグ}}<br /> {{DEFAULTSORT:そにつくへつしほつく}}<br /> [[Category:分子生物学]]<br /> [[Category:遺伝子]]<br /> {{biosci-stub}}</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 2017-12-25T08:14:51Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: 表記</p> <hr /> <div>{{出典の明記|date=2010年7月29日 (木) 13:27 (UTC)}}<br /> {{Otheruses|動物の性別|その他|オス}}<br /> &#039;&#039;&#039;雄&#039;&#039;&#039;(&#039;&#039;&#039;オス&#039;&#039;&#039;、&#039;&#039;&#039;牡&#039;&#039;&#039; {{lang-en-short|Male}})は、[[雌]]と対比される[[動物]]の[[性別]]。主に[[人間]]以外の動物で使われ、人間の&#039;&#039;&#039;[[男性]]&#039;&#039;&#039;に相当する。動物の中で、[[精子]]を作り出す[[個体]]を言う。記号として、槍と盾をかたどった「[[♂]]」が使われる(男性器を表すというのは誤りである)。<br /> <br /> 雄の作る[[精子]]は、雌の作る[[卵]]に比べ、遙かに小さいので、それを作るエネルギーは格段に少ない。そのため、雌が卵を作る数に比べ、雄が精子を作る数は&#039;&#039;&#039;格段に多い&#039;&#039;&#039;のが通例である。つまり、雄の作る精子は、その大部分が無駄になる定めである。反面、変異がおきやすい。<br /> <br /> == 区別 ==<br /> 性の本質は[[配偶子]]の接合型であるため、個体の性(雌雄)の区別は生殖巣によって判断する。しかし、それ以外の部分で区別がつく場合も多い。生殖巣以外の、[[生殖器]]の構造で区別がつく場合もあり、特に体内[[受精]]を行うものの場合、雌に精子を受け渡すための構造([[陰茎]]など)が発達していれば、区別はたやすい。<br /> <br /> 生殖巣自体の違いは[[一次性徴]]と呼ばれ、それ以外の性差を示す形質を[[二次性徴]]と呼ぶ。生殖巣・生殖器以外の体の各部にはっきりとした性差が見られる場合もある。たとえば保育のための構造や、[[配偶行動]]に際して使われる構造などである。そのような性差も[[二次性徴]]と呼ばれる。また、それがはっきり見られるために、雌雄の区別がつきやすいものを、特に性的二型と呼ぶ。配偶のための構造(例えば飾り羽根や美しい色彩など)を、配偶行動を行うときにだけ表す場合、これを[[婚姻色]]などと言うことがある。性差のはっきりしないもの、特に繁殖期以外ではほとんど雌雄の区別のつかないものも多い。ただし、二次性徴の語を生殖腺に付属する器官や外部生殖器を指すのに用い、これら以外については三次性徴と呼ぶこともある。上記の特徴は(特に[[脊椎動物]]全般において)[[アンドロゲン]]、[[テストステロン]]のような性ホルモンの分泌によって支配される。<br /> <br /> 雌雄の形質の差は、&#039;&#039;&#039;(1)配偶子の大きさ、(2)妊娠期間、(3)抱卵・授乳など総合的な&quot;子育て&quot;に参加する期間の長さ&#039;&#039;&#039;などに起因する。<br /> <br /> (1)一般に、卵子は精子よりも大きく、つくり出すのに時間がかかる。そのため雌は一回の繁殖を終えてから次の繁殖に取りかかるようになれるまでの期間が長い。(2)また、雌は妊娠中は次の繁殖に取りかかることができない。これに比べて雄は妊娠しないため、常に次の繁殖に取りかかることができる。よって、「現在生殖相手を探している雌」の数は、「現在生殖相手を探している雄」の数より常に少なくなることになり、実効性比は雄に偏り、雄の間に雌をめぐっての戦いが生じる。(3)また、雌が主に抱卵・授乳など&quot;子育て&quot;を担う種では、その期間の雌はやはり「現在生殖相手を探している雌」ではなくなるため、実効性比は雄に偏り、同様に雄が雌をめぐって戦うという状況が生じる。特に、[[胎生]]を採用しているために雌側の繁殖スピードが極めて遅くなる[[哺乳類]]にいたってはその傾向が顕著である。そして雄による雌獲得争いの結果、多くの生物で、雄はその種がその環境で生きていくのに最低限必要な体格よりも大きめの体格になることが多い。また先述のような二次性徴として雌の気をひきつけるための角や鰭、羽毛や体毛、派手な色彩や模様などをもつことが多く、それらが先述の婚姻色のように繁殖期になってから発現するもの、さらには個体の成熟具合や経験値によって発現の仕方が異なるものもある(例えば、[[オオルリ]]の青い羽が生え揃うまでに生後から3年前後の年月を要し、[[ライオン]]の[[たてがみ]]の黒さや[[オランウータン]]の頬だこの大きさなどは過去の勝敗経験が関係する)。同様の理由で、特殊な鳴き声や羽音のような音声を発したり、儀式的な求愛行動をとったりするものも非常に多くなっている。(逆に稀な例ではあるが、[[タマシギ]]という鳥は雄のみが抱卵するので、「現在生殖相手を探している雄」の方が常に雌よりも少なくなるため、雌の方が攻撃性が強く、派手な外観を持っており、求愛行動に関して積極的である。[[タツノオトシゴ]]や[[ヨウジウオ]]のように、雄が育児嚢で卵を育てて産卵する種でも、同様に雌の方が派手な外観をしている。)<br /> <br /> また雌雄の形質の差は、配偶の形式によって異なると考える人もいる。例えば、[[一夫多妻制]]で、一頭の雄が多くの雌をふくむ[[ハレム|ハーレム]]を独占するような動物では、雄が雌より大きく、また派手な形質を持つことが多い。そのような動物では、雌にあぶれた雄が多く出現し、雌の群れを奪おうとねらうことになり、雄同士の戦いを生じる。戦いのための武器を装備するものもあるが、戦う前のデモンストレーションのための構造を発達させるものも多い。その武器的な身体的特徴の主な例として、哺乳類だとゾウやセイウチ、ヒヒなど多くの種で見られる鋭く大きな[[犬歯]]、[[ウシ目|シカやウシの仲間]]などに見られる角、[[鳥類]]だとニワトリのような[[キジ目]]に見られる蹴爪、[[昆虫]]ではヘリカメムシ類の脚の棘、カブトムシをはじめとする[[コガネムシ上科|コガネムシの仲間]]の角や顎などがある。ただし、一見ハーレムを形成している種でも、第一位の雄の目の届かないところで二位以下の雄が生殖を行うことは多く、現実的には多夫多妻の状態になっている。↵いずれにせよ、ハーレム起因説は、ハーレムを形成しない種においても雄の方が体格が大きいことが多いことを証明できない。配偶子の大きさ、妊娠期間、抱卵・授乳などの&quot;子育て&quot;期間等の生物学的要因の結果、雄同士に争いが生じ、その結果雄の体格が大きくなり、またその結果としてハーレムという社会的形質をもつ種が出現すると考えられる。<br /> <br /> 一方で[[一夫一婦制|一夫一妻制]]の動物の場合は、雄が育児に参加することも多く、またあぶれる雄も比較的少ないため雄同士の激しい異性獲得競争も少なく、目立った性的二型が見られない傾向がある。しかし、[[ルリオーストラリアムシクイ]]のように一夫一妻制の配偶システムを持ちながらも激しい性的二型が存在する種も多数おり、その場合は婚外交尾(いわゆる[[浮気]])が盛んに行われ、その結果優秀な形質を持った(=雌に気に入られた)雄の子孫が優先的に残されるためである。事実上の一夫多妻制ないしは[[乱婚|乱婚制]]をとっているということにもなる。<br /> <br /> == 関連項目 ==<br /> {{Commonscat|Males}}<br /> {{Wiktionary|雄}}<br /> *[[雌]]<br /> *[[性]]<br /> *[[♂]]<br /> *[[男性]]<br /> *[[ベイトマンの原理]]<br /> <br /> {{性}}<br /> {{biosci-stub}}<br /> {{Vet-stub}}<br /> {{DEFAULTSORT:おす}}<br /> [[Category:動物学]]<br /> [[Category:性別]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 サッカーボール 2017-12-22T08:04:17Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: /* サッカーボールの歴史 */ 表記</p> <hr /> <div>[[画像:Generic football.png|right|thumb|200px|一般的にイメージされる切頂二十面体のサッカーボール。黒い五角形のパネル12枚と白い六角形のパネル20枚で構成される。この白と黒の切頂二十面体のデザインは1960年代以来サッカーボールの代表的なデザインになった。]]<br /> &#039;&#039;&#039;サッカーボール&#039;&#039;&#039;は、[[サッカー]]で使用される[[ボール]]である。<br /> <br /> ==ボールに関するルール==<br /> サッカーのボールに関するルールの取り決めは&#039;&#039;Law of the Game&#039;&#039;([[日本サッカー協会]]では「[[サッカー競技規則]]」)の第2条「&#039;&#039;&#039;ボール&#039;&#039;&#039;」(&#039;&#039;The Ball&#039;&#039;)に定められている。<br /> <br /> 条項の内容は以下の通りである。<br /> ===ボールに求められる規格===<br /> *球形である。<br /> *革皮または適切な材質である。<br /> *外周は68-70cmとする<br /> *重さは試合開始時に、410-450gとする<br /> *空気圧は0.6-1.1気圧とする。(プロ選手での試合では0.9気圧が採用されている)&lt;ref&gt;[http://www.mitre.jp/html/howto/index.html マイター - 空気の入れ方]&lt;/ref&gt;<br /> <br /> ===試合の途中でボールが破裂する、または欠陥が生じた場合の取り扱い===<br /> *試合は停止される。<br /> *試合は、もとのボールに欠陥が生じた場所で、交換したボールをドロップして再開される。<br /> *ペナルティーキックまたはペナルティーマークからのキックの途中で、ボールが前方に動き、他の競技者またはクロスバーまたはゴールポストに触れる前に破裂する、または欠陥が生じた場合は、ペナルティーキックは、再び行われる。<br /> *ボールがインプレー中ではなく、キックオフ、ゴールキック、コーナーキック、フリーキック、ペナルティーキック、またはスローインのときに、ボールが破裂するまたは欠陥が生じた場合は、試合はそのときの再開方法で再開される。<br /> *試合中、ボールは主審の承認を得ずに交換できない。<br /> <br /> ===その他FIFAによる決定事項===<br /> *試合球は上に挙げた、ボールに求められる規格を全てクリアしていなければならない。<br /> *試合球には公式のFIFAの検定印が刻印されていなければならない。<br /> <br /> ===例外事項===<br /> ただし、16歳未満の競技者・女子・35歳以上のカテゴリーにおいては以下を大会の競技規則で修正できる。<br /> <br /> *大きさ<br /> *重さ<br /> *材質<br /> <br /> また、試合や大会によっては複数個の予備球をあらかじめ用意しておき、試合球の回収に時間が掛かる場合などに審判の明示的許可を経ずボールを交換できるようになっている(いわゆる[[マルチボールシステム]])。ただし、予備球はいずれも上記のボールの条件を満たすものでなければならず、また全てのボールは審判の管理下にあるものとみなされる。<br /> <br /> ==サッカーボールの歴史==<br /> ===サッカーボールの区分===<br /> *1号球: -<br /> *2号球: -<br /> *3号球:小学校低学年以下用<br /> *4号球:小学生用<br /> *5号球:中学・高校・大学・一般用<br /> <br /> ===生産===<br /> 現在世界で生産される手縫いのサッカーボールの70%から80%程度が、[[パキスタン]]で製造されている。パキスタンでの製造が多い理由として、[[1947年]]までイギリスの植民地であったこと、外部パネルの原料となる皮革と内部を膨らませる[[膀胱]]を供給する[[ウシ|牛]]がたくさんいたこと、特に[[ヒンドゥー教]]国である隣の[[インド]]と比較して[[イスラーム]]がマジョリティであるパキスタンでは牛の屠殺に対して抵抗がなかったことが挙げられる。サッカーの黎明期となる19世紀末まではこれらの原料をイギリスに輸送したうえで生産が行われていたが、完成品をパキスタンで作る方がコストを省けることが分かったため20世紀に入るとパキスタン、特に[[スィアールコート]](シアルコット)地域において製造が増大した。<br /> ====児童労働の排除====<br /> こうした手縫いのサッカーボールの製造は長らく[[家内制手工業]]によって支えられてきた。スィアールコートで生産されるサッカーボールは有力スポーツメーカーに納められ、世界シェアの75%を占めるほどの生産高となった。しかし、1996年のILOの調査により、スィーアールコートの約7,000人の子供が、ほとんど学校に行かないまま[[児童労働]]に従事していることが判明。事態を憂慮したFIFAは、[[国際連合児童基金|国連児童基金(UNICEF)]]と同意の上[[1998 FIFAワールドカップ|1998年のワールドカップフランス大会]]から児童の労働によって生産された手縫いのサッカーボールを使用しないことを決定。サッカーボールの生産の場から児童労働の排除が行われるきっかけとなった&lt;ref&gt;{{Cite news<br /> |url=http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/asia/548357/<br /> |title=【アジアンスタイル】パキスタン・誇りのサッカーボール五輪へ<br /> |work=SANKEI Express<br /> |publisher=[[産経新聞社]]<br /> |date=2012-03-06<br /> |accessdate=2012-04-29<br /> }}&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> ===皮革===<br /> 昔のサッカーボールは牛の天然革皮で作られていた。そのため、雨などで水分を吸収すると重くなった。[[1986 FIFAワールドカップ|1986年のメキシコ大会]]から[[人工皮革]]製のサッカーボールが使用されるようになり、天候による影響を受けにくくなった。<br /> <br /> ===外部パネルの構造===<br /> [[File:Gaelic football ball.jpg|thumb|ゲーリックフットボールのボール]]<br /> 創成期から1960年代までは、12枚ないしは18枚の細長い[[皮革|革]]で構成されているボール([[ゲーリックフットボール]]のボールと同一)が一般的であった。<br /> <br /> 1960年代になると、黒塗りの[[五角形]]の革12枚と、白塗りの[[六角形]]の革20枚で構成された[[切頂二十面体]]のボールが登場した。当時、モノクロのTV放送が普及したこともあり、従来の白や茶色ではなく、見やすい白黒に色分けされたという&lt;ref&gt;[http://www.jfa.or.jp/info/inquiry/2011/11/post-3.html 白黒の亀甲型のボールが一般的になったのはいつから?] - 日本サッカー協会&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> ワールドカップでは[[1970 FIFAワールドカップ|1970年のメキシコ大会]]から、この白と黒のボール「[[テルスター (サッカー)|テルスター]]」が採用されている。これは[[アディダス]]社が大会のスポンサーとなり、[[モルテン]]社制作の[[OEM]]契約によるボールの提供を始めたのと一致する。この形状はアディダス以外のメーカーでも一般的に採用されるようになり、サッカーボールといえばこの形状を指すようになった。以来長期にわたり、表面のデザインは変更されつつも、五角形と六角形の組み合わせが採用され続けた。<br /> <br /> [[2006 FIFAワールドカップ|2006年のドイツ大会]]でアディダス社が提供する「[[チームガイスト]]」はこれまでのボールの形状と全く構造を異にしている。このボールの外部パネルはプロペラ状のパネル6枚とローター状のパネル8枚の計14枚で構成されており、より真球に近い形状にするためのデザインが施されているほか、パネルの組み立ては手縫いではなく[[溶着]]技術(技術は[[モルテン]]が開発)が導入されている。<br /> <br /> パネルの数が減るにつれ、ボールの飛び方が安定するという考察がある。パネル同士のつなぎ目の溝の長さが短くなってボールが球体に近くなること、さらに重さの偏りも減らせるということが、その理由として挙げられている。ただ、[[ジャブラニ]]は2種類の形が異なるパネルの組合せであり、これが飛球時に「ブレ球」が多いとされる原因ではないかという指摘もある。[[ブラズーカ]]は同じ形のパネルのみで構成されている&lt;ref&gt;読売新聞2014年2月1日夕刊8面「ふしぎ科学館」&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> ===ICチップ内蔵サッカーボール===<br /> ゴールやラインを超えたかどうかの審判のミスを防ぐために、[[集積回路|ICチップ]]内蔵サッカーボールの使用が検討されている。2005年に[[ペルー]]で開催された[[FIFA U-17世界選手権]]大会では、アディダスが開発したICチップ内蔵サッカーボールが試験的に使用されたが、誤作動が多く、[[2006 FIFAワールドカップ]]ドイツ大会での採用は見送られた。<br /> <br /> ==公式試合球==<br /> ===[[FIFAワールドカップ]]===<br /> [[画像:Teamgeist Ball World Cup 2006 Brazil vs. Croatia.jpg|250px|right|thumb|+Teamgeist]]<br /> *[[1970 FIFAワールドカップ|1970年]]: [[テルスター (サッカー)|テルスター]]<br /> *[[1974 FIFAワールドカップ|1974年]]: テルスター<br /> *[[1978 FIFAワールドカップ|1978年]]: [[タンゴ (サッカー)|タンゴ]]<br /> *[[1982 FIFAワールドカップ|1982年]]: [[タンゴ・エスパーニャ]]<br /> *[[1986 FIFAワールドカップ|1986年]]: [[アステカ (サッカー)|アステカ]]<br /> *[[1990 FIFAワールドカップ|1990年]]: [[エトルスコ・ユニコ]]<br /> *[[1994 FIFAワールドカップ|1994年]]: [[クエストラ]]<br /> *[[1998 FIFAワールドカップ|1998年]]: [[トリコロール (サッカー)|トリコロール]]<br /> *[[2002 FIFAワールドカップ|2002年]]: [[フィーバーノヴァ]]<br /> *[[2006 FIFAワールドカップ|2006年]]: [[チームガイスト]]<br /> *[[2010 FIFAワールドカップ|2010年]]: [[ジャブラニ]]<br /> *[[2014 FIFAワールドカップ|2014年]]: [[ブラズーカ]]<br /> *[[2018 FIFAワールドカップ|2018年]]: [[テルスター18]]<br /> <br /> == 脚注 ==<br /> {{脚注ヘルプ}}<br /> {{Reflist}}<br /> <br /> ==関連項目==<br /> *[[切頂二十面体]] - サッカーボール形をした立体の正式な名前。<br /> *[[バックミンスターフラーレン]] - [[炭素]]原子60個からなる、サッカーボール形状の分子。<br /> *[[テルスター (サッカー)|Telstar]] - [[アディダス]]製のサッカーボールのブランド名。<br /> <br /> ==外部リンク==<br /> {{Commonscat|Soccer balls}}<br /> *[http://www.soccerballworld.com/History.htm SOCCER BALL WORLD-サッカーボールの歴史]<br /> *[http://www.soccerballworld.com/HistoryWCBalls.htm SOCCER BALL WORLD-1970年以降のワールドカップ歴代公式球]<br /> *[http://www.ocn.ne.jp/sports/espa/wcup/gear/index.html OCNスポーツ ESPA:ワールドカップ:試合球の秘密]<br /> <br /> {{DEFAULTSORT:さつかあほおる}}<br /> [[Category:サッカーのルール]]<br /> [[Category:サッカーボール|*さつかあほおる]]<br /> <br /> [[fa:توپ (فوتبال)]]<br /> [[sv:Bollen (fotboll)]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 アティヤ=シンガーの指数定理 2017-12-21T07:56:20Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: /* 楕円型微分作用素 */ 脱字</p> <hr /> <div>&#039;&#039;&#039;アティヤ=シンガーの指数定理&#039;&#039;&#039;(&#039;&#039;&#039;Atiyah–Singer index theorem&#039;&#039;&#039;)とは、[[スピン構造#SpinC構造|スピン&lt;sup&gt;c&lt;/sup&gt;多様体]] の上の[[複素数|複素]][[ベクトル束]]の間の&#039;&#039;&#039;楕円型微分作用素&#039;&#039;&#039;について、&#039;&#039;&#039;[[フレドホルム作用素|解析的指数]]&#039;&#039;&#039;と呼ばれる量と&#039;&#039;&#039;位相的指数&#039;&#039;&#039;と呼ばれる量とが等しいという定理である。解析的指数は与えられた楕円型微分作用素が定める偏微分方程式の解の次元を表す解析的な量であり、一方で位相的指数は微分作用素の主表象をもとにして多様体の[[コホモロジー]]を通じて定義される幾何的な量である。従って指数定理は[[解析学]]と[[幾何学]]という見かけ上異なった体系の間のつながりを与えているという意味で20世紀の[[微分幾何学]]における最も重要な定理ともいわれる。<br /> <br /> 本稿で述べる形の指数定理は[[マイケル・アティヤ]]と[[イサドール・シンガー]]によって1963年に発表&lt;ref&gt;Atiyah, Michael F. and Singer, Isadore M., &#039;&#039;The Index of Elliptic Operators on Compact Manifolds&#039;&#039;, Bull. Amer. Math. Soc. 69, 322-433, 1963.&lt;/ref&gt;され、1968年に証明&lt;ref&gt;Atiyah, Michael F. and Singer, Isadore M., [http://links.jstor.org/sici?sici=0003-486X%28196805%292%3A87%3A3%3C484%3ATIOEOI%3E2.0.CO%3B2-M &#039;&#039;The Index of Elliptic Operators I&#039;&#039;] Ann. Math. 87, 484-530, 1968. K理論を用いた指数定理の証明 &lt;/ref&gt; &lt;ref&gt;M. F. Atiyah; G. B. Segal [http://links.jstor.org/sici?sici=0003-486X%28196805%292%3A87%3A3%3C531%3ATIOEOI%3E2.0.CO%3B2-2 &#039;&#039;The Index of Elliptic Operators: II&#039;&#039;] The Annals of Mathematics 2nd Ser., Vol. 87, No. 3 (May, 1968), pp. 531-545&lt;/ref&gt;が刊行された。指数定理の特別な場合として、以前から知られていた[[ガウス・ボネの定理|ガウス・ボンネの定理]]や[[ヒルツェブルフ・リーマン・ロッホの定理]]([[フリードリッヒ・ヒルツェブルフ|ヒルツェブルフ]]の[[リーマン・ロッホの定理]])などが含まれていると理解できる。さらに、1950年代の終わりに得られていた{{仮リンク|グロタンディーク・ヒルツェブルフ・リーマン・ロッホの定理|en|Grothendieck–Hirzebruch–Riemann–Roch theorem|label=グロタンディーク・リーマン・ロッホの定理}}([[アレクサンドル・グロタンディーク|グロタンディーク]]のリーマン・ロッホの定理)はこの定理の定式化に大きな影響を与えたとされ、グロタンディークが[[代数多様体]]に対して用いた[[K理論]]の構成を微分多様体に対して実行することが指数定理の定式化・証明における重要なステップをなしている。またアティヤ-シンガーによる枠組みの一般化として群が作用している場合や、楕円型微分作用素を持つ多様体が、ある多様体によってパラメーター付けされた族として与えられている場合、[[葉層構造]]によってパラメーター付けが与えられている場合などに指数定理が一般化されている。<br /> <br /> この定理の研究から、アティヤとシンガーは2004年に[[アーベル賞]]を受賞した。<br /> <br /> == 楕円型微分作用素 ==<br /> &#039;&#039;n&#039;&#039; 変数 &#039;&#039;x&#039;&#039;&lt;sub&gt;1&lt;/sub&gt;, ..., &#039;&#039;x&#039;&#039;&lt;sub&gt;&#039;&#039;n&#039;&#039;&lt;/sub&gt;に関する 高々&#039;&#039;p&#039;&#039; 階の偏微分作用素<br /> {{Indent|&lt;math&gt;D = \sum_{|\alpha| \le p} c_{\alpha}(x_1, \ldots, x_n) \frac{\partial^{\alpha_1}}{\partial x_1^{\alpha_1}} \cdots \frac{\partial^{\alpha_n}}{\partial x_n^{\alpha_n}}&lt;/math&gt;}}<br /> が与えられたとき、各 k について &#039;&#039;x&#039;&#039;&lt;sub&gt;&#039;&#039;k&#039;&#039;&lt;/sub&gt;に関する偏微分作用素を新たな変数 &#039;&#039;y&#039;&#039;&lt;sub&gt;&#039;&#039;k&#039;&#039;&lt;/sub&gt;に置き換えることで、2 &#039;&#039;n&#039;&#039; 個の変数&#039;&#039;x&#039;&#039;&lt;sub&gt;1&lt;/sub&gt;, ..., &#039;&#039;x&#039;&#039;&lt;sub&gt;&#039;&#039;n&#039;&#039;&lt;/sub&gt;, &#039;&#039;y&#039;&#039;&lt;sub&gt;1&lt;/sub&gt;, ..., &#039;&#039;y&#039;&#039;&lt;sub&gt;&#039;&#039;n&#039;&#039;&lt;/sub&gt; についての関数<br /> {{Indent|&lt;math&gt;\sum_{|\alpha| \le p} c_{\alpha}(x_1, \ldots, x_n) y_1^{\alpha_1} \cdots y_n^{\alpha_n}&lt;/math&gt;}}<br /> が得られる。これは &#039;&#039;D&#039;&#039; の表象 (symbol) と呼ばれる。また、&#039;&#039;y&#039;&#039;変数に関する最高次の部分<br /> {{Indent|&lt;math&gt;\sigma(D) = \sum_{|\alpha| = p} c_{\alpha}(x_1, \ldots, x_n) y_1^{\alpha_1} \cdots y_n^{\alpha_n}&lt;/math&gt;}}<br /> は &#039;&#039;D&#039;&#039; の&#039;&#039;&#039;主表象&#039;&#039;&#039; (principal symbol) と呼ばれる。&#039;&#039;y&#039;&#039; 座標がすべて 0 でない限り主表象が 0 にならないような作用素 &#039;&#039;D&#039;&#039; は&#039;&#039;&#039;楕円型&#039;&#039;&#039;と呼ばれる。<br /> <br /> 一般に&#039;&#039;x&#039;&#039; に関する座標変換の下での偏微分作用素の変換規則はジェットベクトルの変換則になり、低次の項まで含めた表象に対する変換規則は複雑なものになるが、最高次の部分である主表象に関する変換則は共変ベクトルに関するものと同じになり、主表象は余接束上の関数と考えるのが幾何的に自然な解釈となる。従って &#039;&#039;D&#039;&#039; が一般の多様体の上でベクトル束の切断の間の[[擬微分作用素]]として定義されている場合にも楕円型作用素の定義は意味を持つ。多様体 &#039;&#039;M&#039;&#039; とその上の楕円型微分作用素 &#039;&#039;D&#039;&#039;について &#039;&#039;D&#039;&#039;の主表象 &amp;sigma;(&#039;&#039;D&#039;&#039;) は余接束の全空間 T*&#039;&#039;M&#039;&#039; の K群 K&lt;sup&gt;0&lt;/sup&gt;(T*&#039;&#039;M&#039;&#039;) の元を表していると見なすことができる。<br /> <br /> 楕円型微分作用素の例としてディラック作用素、符号作用素、複素多様体上の正則ベクトル束から定まる[[ドルボー作用素]]などが挙げられる。<br /> <br /> === 解析的指数 ===<br /> &#039;&#039;M&#039;&#039; を[[コンパクト]]な[[多様体]]、&#039;&#039;E&#039;&#039;, &#039;&#039;F&#039;&#039; を &#039;&#039;M&#039;&#039; 上の複素[[ベクトル束]]とし、楕円型微分作用素&#039;&#039;D&#039;&#039;: Γ(&#039;&#039;M&#039;&#039;, &#039;&#039;E&#039;&#039; ) → Γ(&#039;&#039;M&#039;&#039;, &#039;&#039;F&#039;&#039;) が与えられているとする。このとき&#039;&#039;D&#039;&#039; は[[パラメトリックス]]をもつので[[フレドホルム作用素]]と見なすことができ、dim(ker &#039;&#039;D&#039;&#039;) と dim(coker &#039;&#039;D&#039;&#039;) は有限になる。&#039;&#039;D&#039;&#039;の&#039;&#039;&#039;解析的指数&#039;&#039;&#039;は Ind&lt;sub&gt;a&lt;/sub&gt; &#039;&#039;D&#039;&#039; = dim(ker &#039;&#039;D&#039;&#039;) &amp;minus; dim(coker &#039;&#039;D&#039;&#039;) と定められる。<br /> <br /> === 位相的指数 ===<br /> 上の記号の下で、&#039;&#039;D&#039;&#039;の主表象&amp;sigma;(&#039;&#039;D&#039;&#039;) はK&lt;sup&gt;0&lt;/sup&gt;(T*&#039;&#039;M&#039;&#039;) の元を与えているが、これを[[チャーン指標]] ch を通じてコホモロジー群の元 ch(&amp;sigma;(&#039;&#039;D&#039;&#039;)) &amp;isin; H*&lt;sub&gt;c&lt;/sub&gt;(T*&#039;&#039;M&#039;&#039;) として表示できる。さらに、コホモロジーにおける[[トム同型]] &amp;phi;: H*&lt;sub&gt;c&lt;/sub&gt;(T*&#039;&#039;M&#039;&#039;) &amp;rarr; H*(&#039;&#039;M&#039;&#039;) によって &#039;&#039;M&#039;&#039; のコホモロジー類 &amp;phi; ch(&amp;sigma;(&#039;&#039;D&#039;&#039;)) が得られる。&#039;&#039;D&#039;&#039; の位相的指数は、&#039;&#039;M&#039;&#039; のトッド類 Td(&#039;&#039;M&#039;&#039;) と &amp;phi; ch(&amp;sigma;(&#039;&#039;D&#039;&#039;)) とのカップ積を基本類とペアリングさせることによってえられる<br /> {{Indent|&lt;math&gt;\mbox{Ind}_t(D) = (\phi \mbox{ch}(\sigma(D)) \cup Td(M), [M])&lt;/math&gt;}}<br /> として定められる。<br /> <br /> == 発展 ==<br /> {{節stub}}<br /> 解析的指数と位相的指数はともに多様体の K群の間の準同型として定式化することができる。したがって指数定理とは(K向き付けの与えられた)滑らかな写像 &#039;&#039;f&#039;&#039;: &#039;&#039;M&#039;&#039; &amp;rarr; &#039;&#039;N&#039;&#039; が引き起こす二つの指数写像 Ind&lt;sub&gt;a&lt;/sub&gt;(f), Ind&lt;sub&gt;t&lt;/sub&gt;(f): K*(&#039;&#039;M&#039;&#039;) &amp;rarr; K*(&#039;&#039;N&#039;&#039;) の一致として定式化される。解析的指数 Ind&lt;sub&gt;a&lt;/sub&gt; は[[作用素環論]]的に双変 K 理論を用いて定式化することができ、一方で位相的指数 Ind&lt;sub&gt;t&lt;/sub&gt; は M のユークリッド空間 &#039;&#039;&#039;R&#039;&#039;&#039;&lt;sup&gt;&#039;&#039;n&#039;&#039;&lt;/sup&gt;への埋め込みと、ボット周期性K*(&#039;&#039;&#039;R&#039;&#039;&#039;&lt;sup&gt;&#039;&#039;n&#039;&#039;&lt;/sup&gt; &amp;times; &#039;&#039;N&#039;&#039;) = K*&lt;sup&gt;+ &#039;&#039;n&#039;&#039;&lt;/sup&gt;(&#039;&#039;N&#039;&#039;)を通じて定式化される。こうして多様体の族に関する指数定理を述べることができ、&#039;&#039;N&#039;&#039;が一点の場合が上記のAtiyah-Singerの指数定理に相当する。群作用がある場合や、族が葉層構造によって与えられている場合の指数定理はこれらの構成を適切なカテゴリーに拡張することによって述べられる。<br /> <br /> ==応用==<br /> アティヤ=シンガーの指数定理は[[ゲージ理論]]において、反自己共役接続の[[モジュライ空間]]の形式的な次元の計算などさまざまな部分に応用される。<br /> <br /> 一般に、古典的な理論で成立する[[対称性]]が[[量子化]]によって破れることを[[量子異常]]または[[アノマリー]]という。<br /> 代表的なアノマリーとして、[[カイラル・アノマリー]]、[[重力アノマリー]]、[[パリティ・アノマリー]]などがある(詳細は[[アノマリー]]の項を参照)。Atiyah-Singerの定理を使うと、アノマリーに幾何学的な意味を与えることができる。<br /> <br /> ==参考文献==<br /> &lt;references/&gt;<br /> * {{Cite book|last=古田|first=幹雄|year=1999, 2002|title=指数定理1, 2|publisher=岩波書店|location=東京}}<br /> <br /> {{DEFAULTSORT:あていやしんかあのしすうていり}}<br /> [[Category:微分幾何学]]<br /> [[Category:作用素環論]]<br /> [[Category:微分幾何学の定理]]<br /> [[Category:関数解析学の定理]]<br /> [[Category:数学に関する記事]]<br /> [[Category:エポニム]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15 中性スピリッツ 2017-12-08T00:28:41Z <p>2001:DF0:232:1200:0:0:0:15: /* ウォッカ */ 表記</p> <hr /> <div>&#039;&#039;&#039;中性スピリッツ&#039;&#039;&#039;(ちゅうせいスピリッツ)とは、[[醸造酒]]に対して[[蒸留]]を繰り返し行い、[[エタノール]]を95[[パーセント|%]]以上に濃縮した[[蒸留酒]]のことである。&#039;&#039;&#039;ニュートラルスピリッツ&#039;&#039;&#039;とも呼ばれる。<br /> <br /> == 概要 ==<br /> 原料は[[醸造]]エタノールである。醸造エタノールの原料は飲用可能であれば基本的には問われない。(ただし飲用に供するのであるから、例えば[[エチレン]]由来の[[エタノール#合成|合成エタノール]]や廃木材に含まれるセルロース由来の[[バイオマスエタノール#セルロースを原料とした製造工程|バイオマスエタノール]]は、同じような組成でも原料として不適である)この醸造エタノールを[[連続式蒸留器|連続蒸留]]やろ過などの操作によって、エタノールの組成を高めたものが中性スピリッツとなる。<br /> <br /> 精製の過程で原料本来の風味は失われており、原料の種類にかかわらず、できあがる中性スピリッツは味と香りに個性がほとんどない。<br /> <br /> 中性スピリッツはエタノール濃度95%以上の[[水溶液]]であるため、[[可燃性]]がある&lt;ref group=&quot;注釈&quot;&gt;日本では法令の要請により、中性スピリッツであっても燃料であるとの表示がなされている&lt;/ref&gt;。多少水などで希釈しても可燃性は失われないため、引火に注意する必要がある。<br /> <br /> == 用途 ==<br /> 中性スピリッツは、ほぼエタノールと水だけの混合物と言っても良いので、その味も香りも原料の違いによる影響をほとんど受けない。よって、後から香味を加えて作る[[混成酒]]の生産の際、ベースとなる酒の特徴が影響を与えないようにするために多用される&lt;ref group=&quot;注釈&quot;&gt;逆に、ベースとなる酒の特徴も利用するために、敢えて中性スピリッツを使用せずに生産される混成酒も存在する。例えば、[[ドランブイ]]など。&lt;/ref&gt;。<br /> &lt;!--<br /> その際、生産する混成酒のアルコール度数の調整のために、<br /> 予め加水して希釈した中性スピリッツを使用する場合もあるし、<br /> 逆に後から希釈する場合もあるはずです。<br /> ただし、もう少し調べたいので、コメントアウトしておきます。<br /> --&gt;<br /> また、中性スピリッツは、原料の違いによる特徴が無い酒であるという点が特長なので、他の酒と混合しても、混合された側の酒が薄まるだけだという考え方も存在する。そのため、酒の増量を目的とした使用も行われており、[[日本酒]]の増量などを目的として添加されている[[醸造アルコール]]がその例である。このほか、[[酎ハイ]]などのベースとしても使用されている。人件費の安い日本国外で中性スピリッツを製造し、大量に輸入することでコストを抑えることができることから、中性スピリッツをベースとした酎ハイや中性スピリッツをブレンドに用いるごく一部の低価格帯(アルコール度数37%且つ、かつての二級相当品)の[[ジャパニーズ・ウイスキー]]を製造するメーカーが存在する。原材料に「スピリッツ」と記されている酎ハイ、およびごく一部の低価格帯のジャパニーズ・ウイスキー&lt;ref&gt;[[OEM]]を除く2017年現在の銘柄の場合、[[キリンディスティラリー]]([[麒麟麦酒]])の「オーシャンラッキーゴールド」、および[[宝酒造]]の「キングウイスキー凛セレクト」、[[合同酒精]]([[オエノンホールディングス|オエノングループ]])の「香薰」などがこれに該当する。&lt;/ref&gt;はいずれも中性スピリッツをベースとしたものがブレンドに用いられている。<br /> <br /> 他に、加水していない中性スピリッツは、可燃性の液体なので、[[液体燃料]]としても使用することができる。加水した場合でも、ある程度のエタノール濃度が保たれていれば、[[消毒液]]([[エタノール#医薬品|エタノール系消毒液]])としても使用することができる。ただし、[[皮膚]]の消毒に使用する際は、脱脂に注意が必要であるし、いずれの用途にせよ、火気に注意して扱う必要がある。<br /> <br /> == 代表的な蒸留酒と中性スピリッツの関係 ==<br /> <br /> 中性スピリッツが、エタノールを95%以上に濃縮した、飲用可能な蒸留酒であることは既述の通りである。<br /> <br /> === ウォッカ ===<br /> その96 %がエタノールである[[ウォッカ]]の1種の[[スピリタス]]は、中性スピリッツそのものだと言える。なお、ウォッカには無味無臭のものが多数存在する&lt;ref group=&quot;注釈&quot;&gt;無論、無味無臭とは言っても無刺激であるわけではなく、エタノールによる刺激は存在する。また、ここではフレイバード・ウォッカについては除外して考えるものとする。&lt;/ref&gt;。また、[[カクテル]]の[[アルコール度数]]を上げるためなどに使用されることからもわかるように、ウォッカにも原料の違いによる特徴があまりないという性質がある&lt;ref group=&quot;注釈&quot;&gt;ここではフレイバード・ウォッカについては除外して考えるものとする。&lt;/ref&gt;。これらのように、ウォッカは中性スピリッツと似た特徴を持っているがために、中性スピリッツに加水して作った酒がウォッカだと誤解することもあるかもしれない。しかし、大部分のウォッカは、蒸留によって一旦85 〜 96 %までエタノールを濃縮したものに加水して製造しているので、一部のウォッカは中性スピリッツに加水したものだと言えるものの、全てのウォッカが中性スピリッツに加水したものだとは言えない。<br /> <br /> === ラム ===<br /> [[サトウキビ]]を原料にして中性スピリッツを作ることもしばしば行われるが、同じくサトウキビを原料とする[[ラム酒|ラム]]を作る時は、蒸留によってエタノールを濃縮する際、最高でも95%未満までしか濃縮を行わないので、ウォッカとは違い、ラムそのものには中性スピリッツを使って作られていると言えるものは存在しない。<br /> <br /> ただし、ラムとして用いるのではなく、サトウキビを原料としながらも中性スピリッツにまで濃縮を行ったものを用いるリキュールも存在する&lt;ref group=&quot;注釈&quot;&gt;例として、コーヒーリキュールの[[ティア・マリア]]。当初はラムを用いていたが、現在の製品は中性スピリッツを用いている。&lt;/ref&gt;。<br /> <br /> === テキーラ ===<br /> 50 〜 55 %程度までしかエタノールを濃縮しない[[テキーラ]]にも、やはり中性スピリッツを使って作られていると言えるものは存在しない。<br /> <br /> === ジン ===<br /> [[ジン (蒸留酒)|ジン]]の内、[[ジン (蒸留酒)#種類|ドライ・ジン]]は、蒸留によってエタノールを95 %以上まで濃縮した蒸留酒に香り付けなどを行うことで作っているので、ドライ・ジンは中性スピリッツを使って作られているとも言うことができる。<br /> <br /> == 補足 ==<br /> [[無水エタノール]]の製造には[[ベンゼン]]が用いられており、これを希釈して中性スピリッツとする事は不適切である。エタノールを96%以上に生成しようとする場合、水とエタノールが[[共沸]]してしまうために単純な蒸留ではエタノール濃度は上がらない。このため系にベンゼンを加え水-エタノール共沸混合物の生成を妨害し(水-ベンゼン共沸混合物をつくる)、エタノールを精製する。従って極々微量ではあるが、発がん性物質である[[ベンゼン]]が混入し、飲用に適するものではなくなる。<br /> <br /> == 注釈 ==<br /> &lt;references group=&quot;注釈&quot;/&gt;<br /> <br /> == 主な参考文献 ==<br /> * 橋口孝司 『スピリッツ銘酒事典』 新星出版社 2003年5月15日発行 ISBN 4-405-09064-5<br /> <br /> == 関連項目 ==<br /> * [[エタノール]]<br /> * [[醸造アルコール]]<br /> * [[バイオマスエタノール]] (燃料用エタノール)<br /> * [[エタノール#医薬品|消毒用エタノール]]<br /> * [[無水エタノール]]<br /> * [[蒸留]]<br /> <br /> {{アルコール飲料}}<br /> <br /> {{DEFAULTSORT:ちゆうせいすひりつつ}}<br /> <br /> [[Category:蒸留酒]]<br /> [[Category:第4類危険物]]</div> 2001:DF0:232:1200:0:0:0:15
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