LGV大西洋線

提供: miniwiki
移動先:案内検索

LGV大西洋線 (: LGV Atlantiqueligne nouvelle 2LN2) は、パリからフランス西部に向かう高速鉄道路線である。LGV南東線に続くフランスの新たな高速鉄道路線として、1989年9月にル・マンまで、1990年9月にトゥールまでそれぞれ開業した。TGV Atlantiqueを使用して世界で初めて300km/h運転を開始したことでも知られている。1990年5月18日にはTGV Atlantique325編成を使用した試験走行で当時の鉄輪式で世界最高速度の515.3km/hを記録している。

パリから120km程の地点であるクールタランで路線は2つに分岐しており、一方はル・マン (ブルターニュ・ペイ=ドゥ=ラ=ロワール方面)、もう一方は南西方向のトゥール (アキテーヌ方面) へ向かっている。LGV大西洋線は、パリからクールタランの分岐点まで124kmと西方向ル・マン方面への分岐線53km、南西方向トゥール方面への分岐線102kmの合計279kmから構成されている。

このLGV大西洋線からは、商用2×25kV・50HzのATき電方式とし、変電所間隔を2倍にすることが出来た、これにより変電所数が7から4になり、電力関係のコストを大幅に低減出来た。

路線経路

パリ側のターミナル駅モンパルナス駅である。モンパルナスからパリ南郊でトンネル区間を通り進路を行く。パリ近郊のトンネル区間はLGVの周辺環境への影響を考慮し敷設された。トンネル上は散策路や公園などになっている。市街地での騒音防止のためにトンネル区間が設けられたのは、LGV大西洋線がフランスでは初めてである。路線は以前のパリ・シャルトル間の鉄道線に沿って進む。14km地点に最初の新駅マッシィTGV駅が設置されている。マッシィまでは、1903年にモンパルナス・マッシィ間で計画され、建設が中止された線路用地を流用している。マッシィではLGV東連絡線から伸びてくる路線や、RERなど既存の路線と接続し連絡が図られている。

マッシィTGV駅を出るとヴィルジュストトンネルを通り、オートルート10号線(A10)に沿って進む。サン・アルヌー付近でLGV大西洋線は南方向へ向かいA10号線から離れていく。その後大西洋線は、パリ・ヴァンドーム間の在来線と並行しクールタランまで向かう。それぞれ、分岐点で路線は二つに分かれル・マンやトゥール方面へ向かう。LGV区間が終わってもル・マン方面はレンヌナント、トゥールから先は手前のサンピエールデコール経由でボルドートゥールーズまでの在来線の直流電化区間をそのままTGVは乗り入れている。 路線の最急勾配は15‰(例外で25‰もあり。)で、トンネルは計4つ設置されている。トンネル内での不快な気圧変化のため、運行開始当初は最高速度220km/hで走行していたがその後は180km/hに減速された。

区間最高運転速度

  • ヴァンヴ・マッシィ間 : 200km/h
  • マッシィ・ヴィルジュスト : 220km/h
  • ヴィルジュスト・クールタラン : 300km/h
  • クールタラン分岐点付近 : 220km/h
  • クールタラン・コンネーレ(ル・マン方面) : 300km/h
  • クールタラン・ヴヴレイ : 300km/h
  • ヴヴレイ・モン(トゥール方面) : 270km/h

沿革

1975年頃からパリとフランス南西部を高速鉄道で結び、利便性を高める計画が進められて来た。1983年9月15日には、フランス大統領が路線の建設を発表し、1984年9月末にはパリ郊外で3つのトンネルの建設工事が着手された。

参考文献

  • トーマスクックヨーロッパ鉄道時刻表 2007年初夏号 ダイヤモンド・ビッグ社 ISBN 978-4-478-05428-4
  • 鉄道ファン2007年8月号 世界の高速鉄道 フランスTGV -その1- 佐藤芳彦 交友社 142頁