Google Chrome OS
開発者 | |
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OSの系統 | Linux |
開発状況 | 開発中 |
ソースモデル | オープンソース |
対応プラットフォーム | x86、ARM |
カーネル種別 | モノリシックカーネル |
ライセンス | Google Chrome OS Terms of Service[1] |
ウェブサイト |
www.google.com/chromeos Chromium OS |
Google Chrome OS(グーグル・クローム・オーエス)は、Googleが設計したオペレーティングシステム (OS) である。Linuxカーネルをベースにしており、Google Chromeウェブブラウザをメインのユーザインタフェース (UI) として使用している。そのため、Chrome OSは主にウェブアプリケーションをサポートする[2]。
2009年7月、Googleは、クラウド内にアプリケーションとユーザーデータを保管するOSとして、プロジェクトをアナウンスした。そのため、Chrome OSは主にウェブアプリケーションが動作する。同年11月、ソースコードと公開デモが行われた。Chromebookとして知られる最初のChrome OSラップトップは 2011年5月に発表され、最初のChromebookは2011年7月にサムスンとエイサーから発売された。
Chrome OSには、メディアプレーヤーとファイルマネージャが統合されており、ネイティブアプリケーションのように動作するGoogle Chrome Appや、デスクトップへのリモートアクセスが可能である。2014年から一部のAndroidアプリケーション(アプリ)がChrome OS上で動作するようになり、2016年には、対応するChrome OSデバイス上でGoogle Play Store上の全Androidアプリが実行できるようになった。当初は、どんなOSでも動作するブラウザを使用しているため、Chrome OSの普及には懐疑的な意見もあったが、Chrome OSマシンが市場に普及するにつれ、オペレーティングシステムは単純にハードウェアと切り離して評価できるものではなくなってきている。
Chrome OSは、Googleの製造パートナーのハードウェアにプリインストールされた場合しか使用できないが、同等のオープンソース版のChromium OSは、ダウンロードしたソースコードをコンパイルすることで別のハードウェアでも利用できる。当初Googleは、Chrome OSの設計目標を提示するだけで、技術的な詳細を発表しなかった。
概要
Google Chrome OSは、ウェブの閲覧とウェブアプリケーションの動作に適したOSとして、主にx86やARMなどのアーキテクチャを採用したネットブックやデスクトップパソコンへ搭載されるOSとしての展開を想定している。11.6〜14インチのノートパソコンを中心としながらも、5インチのタブレットから60インチのディスプレイまで対応できるように、様々なUIを準備している[3]。
Googleが提供するもう一つのOSであるAndroidは主にスマートフォンなどの小さい携帯端末に向けたものだが、ネットブックに応用する動きもある。一方Google Chrome OSは、ネットブックより性能の高いフルサイズのデスクトップシステムにも最初から対応すると明言している[4]。
Google Chrome OSはオープンソースライセンスに基づいて提供されている[5]。上記のようにLinuxとGoogle Chrome、および同社が開発した独自のウィンドウシステムが用いられるという[6]。
エイサー、ASUS、ヒューレット・パッカード、レノボ[7]、東芝[8]といったパソコンメーカー、アドビシステムズ、フリースケール、クアルコム、テキサス・インスツルメンツ[7]、インテル[9]といった大手IT企業が開発に協力している。
Google Chrome OSは当初Ubuntuをベースに開発されていたが、2010年2月にGentoo Linuxのパッケージ管理システムであるPortageを使用する為にベースとなるOSをUbuntuからGentoo Linuxに変更した[10]。
2011年6月時点では、Google Chrome OSは単体での提供は行なわれていないが、有志によってWindowsとのデュアルブート環境は開発されている[11]。しかし、オープンソース版のChromium OSは、現在も配布が続けられており、http://chromeos.hexxeh.net/ にてVanilla buildsという派生版や http://getchrome.eu/ にてCr OS Linuxというものも作られている。また、Wi-Fiのサポートなどを追加したChromium OS lime、Dockerと統合されたCoreOSなども誕生した。
2017年以降、Windows 7のサポート切れを機に価格の安いChromebookを導入する企業が増えており、Google Chrome OSが日本でも徐々に普及しつつある[12][13][14]。
歴史
- 2009年7月7日 - Googleより最初の発表。
- 2009年11月19日 - Google Chrome OSのオープンソース版(Googleの登録商標未使用版)である「Chromium OS」(クロミウム・オーエス)のソースコードが公開。
- 2010年12月7日 - Googleからノートパソコン「Cr-48」を発表(非売品のプロトタイプ)
- 2011年6月15日 - サムスン電子からノートパソコン(Chromebook シリーズ)の最初の機種「Series 5」 (XE500C21) が発売。
- 2011年7月 - Acer が AC700 (Chromebook) 発売。
- 2012年5月31日 - サムスン電子がノートパソコン (Chromebook) の「Series 5」 (XE550C22) とデスクトップパソコン (Chromebox) 「Series 3」 (XE300M22) が発表。
- 2012年10月22日 - サムスン電子が XE303C12 (Chromebook) を販売開始。
- 2014年11月11日 - デルが日本国内で Dell Chromebook 11 (Chromebook) を販売開始。
- 2014年11月13日 - エイサーが日本国内で Acer C720 Chromebook (Chromebook) を販売開始。
- 2014年12月12日 - ASUSがChrome OSノートChromebook C300MAと、ミニデスクトップASUS Chromeboxを販売開始。
- 2015年4月27日 - レノボからChrome OSを搭載した小型デスクトップPC「ThinkCentre Chromebox」が発表。
- 2015年6月14日 - Acer からAcer Chromebox CXI2-2GKM を販売開始。
- 2017年10月4日 - Google Chrome OSを搭載するフラグシップモデルのChromebookとして「Pixelbook」を発売[15]。
機能
ログインするためのアカウント作成は無く、Googleアカウントを利用してログインする。Google Chrome OSのUIは、基本的にGoogle Chromeだけが前面に出ている形で、デスクトップやファイルブラウザなどは無く、すべてのアプリケーションはウェブアプリケーションという形でGoogle Chromeにインストールされ、実行される。インストールしたアプリはGoogle Chromeにショートカットを作成してアクセスすることが出来る。
使用するアプリはChrome Web Storeにて配布され、無料または有料で利用できる。アプリの登録は有料で、開発者は最初に5ドルの登録料をGoogle側へ支払う必要がある[16]。
2017年に8月22日には企業向けに運用・管理機能を充実させた「Chrome Enterprise」が発表され、プリンター管理、OSアップデートの制御、盗難防止などの機能が追加され、24時間365日のサポートも提供されている。又、Microsoft Active Directoryにも対応しており、既存のActive DirectoryのIDなどを使用して、Windows PCと併せて一元管理可能になっている。[12]
反響
- マイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOは、Googleによる発表があった同月、2009年7月30日に「そもそもChrome OSとは、実のところ、どのようなOSであるのかさえ理解できていない。たった今、(Windowsに対し)競合する注目の存在としてリストに加えたところである」と述べ、Google Chrome OSが将来的にWindowsの脅威になりかねないという懸念を示した[17]。
- 日本企業でも採用されている。百貨店大手の東急ハンズやエレベーター・エスカレーター大手のフジテックが採用したほか、電算システムなどが企業のChromebook導入支援サービスを手掛けるなど、日本国内におけるノートブック市場におけるGoogle Chrome OSのシェアは緩やかに拡大している[13][18]。
搭載機種
脚注
- ↑ Google. “Google Chrome OS Terms of Service”. . September 5, 2012閲覧.
- ↑ “Kernel Design”. The Chromium Projects. . 2018閲覧.
- ↑ Form Factors Exploration (The Chromium Projects)
- ↑ グーグルのブログ記事 "Introducing the Google Chrome OS" 2009-07-11閲覧
- ↑ Shiels, Maggie (2009年7月8日). “Google to launch operating system”. BBC News. . 2009閲覧.
- ↑ Arrington, Michael (2009年7月8日). “Google Chrome: Redefining The Operating System”. TechCrunch. . 2009閲覧.
- ↑ 7.0 7.1 「Google Chrome OS」は無料、共同開発企業名も公表、Impress INTERNET Watch、2009年7月9日
- ↑ Google「Chrome OS」に東芝が参加 国内メーカーは動向注視、ITmedia、2009年7月23日
- ↑ インテル、グーグルの「Chrome OS」開発に参加していたことを明らかに、computerworld.jp、2009年7月10日
- ↑ “Chrome OS、クロスコンパイルにGentooのPortage採用”. ITmedia (2010年2月18日). 2010年2月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2014閲覧.
- ↑ “最新Chrome OS”搭載機をひと足先に触ってきた
- ↑ 12.0 12.1 米グーグルが企業向け「Chrome OS」、Windows PCからの移行促す
- ↑ 13.0 13.1 Chromebookは本当に企業で使えるか?
- ↑ 「Windows 7の9割はChromebookへ移行する」、東急ハンズ
- ↑ 速報:Google Pixelbook 発表、ペン対応の高級Chromebook / タブレット
- ↑ “Google、「Chrome Web Store」に5ドルの登録料――不正ソフト予防策として” (日本語). ITMedia News. . 2010閲覧.
- ↑ Ina Fried (2009年7月30日). “Ballmer: Windows will get more competition” (英語). CNET News. . 2009閲覧.
Ina Fried; 湯木進悟(翻訳校正) (2009年7月31日). “「Windowsへの脅威が高まっている」--MSのバルマーCEO、Chrome OSなどを警戒する発言” (日本語). CNET Japan. . 2009閲覧. - ↑ Chromebookの企業導入を支援するサービス、電算システムが提供を開始
関連項目
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- Chromium OS (英語)
- Introducing the Google Chrome OS (英語)
- Releasing the Chromium OS open source project (英語)