Google Chrome
Google Chrome(グーグル・クローム)は、HTMLレンダリングエンジンにBlinkを採用し、Googleが開発しているウェブブラウザである。
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概要
Google Chromeは、Chromiumと呼ばれるオープンソースプロジェクトで開発されたウェブブラウザをもとに開発されており、Chromiumにプロプライエタリなコンポーネント(ロゴなどGoogleの商標や動画再生機能、自動更新機能など)を追加したものである[1]。Google自身が開発したソースコードには BSDライセンスが適用されており、それ以外のコードについては、それぞれ異なるライセンスが適用されている。
北アメリカでは 2008年9月2日、日本では 9月3日に Windows XP / Vista 向けのベータ版が公開され、12月12日に正式版が公開された[2]。最初のリリースの翌日、ブラウザ市場で実質 1% 以上のシェアを獲得し[3]、アメリカ合衆国では 1 週間のうちに 200 万人がダウンロードしたとされる[4]。2010年5月25日(日本時間5月26日)、Mac OS XとLinux向けの正式版が公開された[5]。
StatCounterの調査では2012年5月から世界シェア首位に立っている[6]。Net Applicationsの調査でも2016年4月に世界シェアを41.66%に伸ばし、マイクロソフトのInternet ExplorerとMicrosoft Edgeを合わせたシェアを上回り首位に立った[7]。
Google Chromeは、2018年4月現在でWindows7以降、Mac OS X、LinuxおよびAndroid 4.1以降(ARMアーテキクチャ、Intel/AMDアーテキクチャともに対応)、iOS(iPhoneシリーズ,iPadシリーズ,iPod Touch)をサポートしている。Windows XP/Vista、MacOSX 10.8以前などはChrome 50.xで、Android 4.0以前はChrome 42.xでサポートを終了している。
特徴
ユーザインタフェースはタブブラウザの形式を取っているが、タブそれぞれが独立したマルチプロセス・アーキテクチャを採用しており、タブページごと(実際はドメインごとに内部でグルーピングされる)に 1 つのプロセスが割り振られるようになっている。このため、ウィンドウプロセスとの通信は増えるが、個別タブのクラッシュや、メモリリークの影響が他のタブへ広がることはない。
JavaScriptエンジンには Google V8 JavaScript Engine (V8) を使用し、処理の高速化を図っている。
セキュリティ対策機能としては、個々のプロセスに対して保護を行い、問題が発生しても他に影響が出ないようにするサンドボックス機能、Google と関係ないページの閲覧履歴や Cookie データを残さない「シークレットウィンドウ」機能、Google の提供する危険サイト(フィッシング詐欺やマルウェアなど)のブラックリストをダウンロードして有害サイトアクセス時に警告を出す機能 (セーフ ブラウジング[8]) などが備えられている。
その他に、新規に開いたタブに最も閲覧数の多い 8 つのページをサムネイルで一覧表示させる機能や、何らかの原因で強制終了した際にシークレットウィンドウ以外の開いていたページを再度表示させる「復元」機能、フォームへの自動入力機能なども搭載されている。
また、macOSやLinuxなどのマルチプラットフォームへの対応やテーマ機能、ユーザスクリプト機能(Mozilla FirefoxのGreasemonkeyスクリプトに当たる)、拡張機能などの追加実装が行われている。
開発の面ではMozilla Firefoxの開発に貢献した者が多く携わっている点も特徴である。Firefox開発に携わったベン・ゴダーやダリン・フィッシャーなどがGoogle Chrome開発チームの主要メンバーとして活動している[9]。
2013年にはIEを完全に引き離して大きくシェアを伸ばし、11月の時点でも普及率が40%前後と依然として人気が高い。
更新
自動アップグレードの仕組みがあり、古いバージョンを使っていると、特にメッセージも出さずに新しいバージョンへと更新される。たとえ、メジャーアップデートでも自動更新される。そのため、最新のバージョンがほぼ100%のシェアをもつ[10]。アップデートは古いバージョンを実行時にバックグラウンドで行われ、Chrome起動時に新しいバージョンへと差し替えられる。
Adobe Flash Playerプラグインと統合されており、Flash PlayerのアップデートもGoogle Chromeの自動アップデート機能を通じて自動的に行える[11]。
なお、PDFに関しても、Chrome PDF Reader として統合されており、Chrome とともにアップデートされる。
1 か月(4 週)周期でベータ版のリリース、3 か月(13 週)周期で安定版のリリースを目標に開発が進められていた[12]が、Ver. 6 以降は 6 週間ごとに安定版をリリース予定[13]。
Blink
2013年4月3日、Google はGoogle Chrome のレンダリングエンジンをバージョン 28以降、WebKitからフォークした新たな独自レンダリングエンジンBlinkに変更すると発表した[14][15][16]。ChromeはSafariなどWebKitを採用している他のブラウザと異なるマルチプロセス・アーキテクチャを根底においた仕組みのため、開発効率やイノベーションが低下傾向になり、それらの問題を解消するためとしている[14][15][16]。
モバイル版
2012年6月27日にAndroid版を正式リリースした。
Androidでは、Chromeとは別の標準ウェブブラウザを搭載していたが、2012年2月7日にAndroid版のβ版、2012年6月28日には正式版がリリースされ[17]、Android4.4以降はChromeが標準搭載されている。
プリロードによってページの読み込みを高速化する機能や、予めGoogleのサーバー側でデータを圧縮することによってデータ使用量を節約する機能などがある。[18]
モバイル向けAdobe Flash Playerの開発が2012年初頭に終了したため、Android版ChromeはFlashが利用不可となった。Flashの代替としてHTML5へとシフトしている。[19]
Open Search プラグインを利用した検索エンジンの追加には非対応である。
2012年6月28日にiOS版のChromeが発表され、App Store でリリースされた。[20]しかしアップルが設けているiOSアプリケーションの制限により、標準ブラウザのSafariと比較して実行速度が遅く、使い勝手も劣る部分がある[21]。
2016年1月28日にリリースされたiOS版バージョン48.0から、WKWebViewに移行し、JavaScriptも含め動作が大幅に高速化している[22][23]。
Google Chrome Frame
Google ChromeのブラウザエンジンをInternet Explorerに埋め込んで利用可能するプラグイン。2009年9月に初期バージョンがリリースされた[24]。Windows XP以降、IE6以降で動作する。高速なJavaScript処理機能や各種の新しい規格をIEで手軽に利用させることを目的としている。
ただしIEのブラウザ機能を完全に置き換えるものではなく、Webページ側にChrome Frameの使用を指示する情報がない限り自動的に動作することはない。
マイクロソフトはGoogle Chrome FrameをインストールすることでIEにセキュリティ上の懸念が発生するとして非難した[25]。
2014年1月をもって開発およびサポートを終了した[26]。
ログイン
googleアカウントでChromeへログイン時に「アプリ」、「拡張機能」、「設定」、「自動入力」、「履歴」、「テーマ」、「ブックマーク」、「パスワード」、「開いているタブ」、「googleペイメントのクレジットカードと住所」のほかに、同期データの暗号化オプションとアクティビティ管理が、ユーザの設定に応じて自動同期される。
チャンネル
Chromeには3種類のチャンネルとカナリアビルドがある[27]。下にいくほどより高頻度で更新している。すべてのチャンネルを同じPCに共存してインストールして使用できる[28]。
- 安定チャンネル - 一般ユーザー向け
- ベータ(Beta)チャンネル - 毎月更新
- 開発(Dev)チャンネル - 毎週更新
- カナリア(Canary)ビルド - 開発者向け。
- (Chromium - 開発者向け。Chromeの基盤であるので厳密にはChromeではないが、更新頻度としてはこの場所に位置する。)
更新履歴
Google Chrome
Chrome Frame
基本的に、Google Chrome と同一バージョンで同一日にリリースされていた。
メジャーバージョン | リリース日 | 補足 |
---|---|---|
4.0.211.7 | 2009-09-22 | 最初の Beta リリース |
4.0.249.89 | 2010-01-26 | |
4.1.249.1064 | 2010-04-27 | |
5.0.375.127 | 2010-06-10 | |
6.0.472.63 | 2010-09-22 | |
7.0.517.44 | 2010-11-04 | |
8.0.552.224 | 2010-12-09 | |
9.0.597.19 | 2010-12-13 | |
10 |
||
11.0.696.77 |
||
12.0.742.122 | 2011-07-12 | |
13.0.782.220 | 2011-09-03 | |
14.0.835.202 | 2011-10-04 | |
15.0.874.106 | 2011-10-26 | |
16.0.912.63 | 2011-12-13 | |
17.0.963.46 | 2012-02-08 | |
18.0.1025.142 | 2012-03-28 | |
19.0.1084.36 | 2012-05-15 | |
20.0.1132.43 | 2012-06-27 | |
21.0.1180.60 | 2012-08-01 | |
23.0.1243.2 | 2012-08-24 | |
24.0.1312.52 | 2013-01-10 | |
25.0.1364.172 | 2013-03-12 | |
26.0.1410.43 | 2013-03-26 | |
27.0.1453.93 | 2013-05-21 | |
28.0.1500.71 | 2013-07-09 | |
29.0.1547.57 | 2013-08-20 | |
30.0.1599.66 | 2013-10-01 | |
31.0.1650.48 | 2013-11-12 | |
32.0.1700.76 | 2014-01-14 | 最終リリース |
市場シェア
ウェブブラウザ全体でトップのシェアを獲得している。
脚注
- ↑ Google Chromeが検索プロバイダに送信するデータ、Chromiumがある真の理由 (1) Google Chrome = Chromium + GoogleUpdate + RLZ | マイナビニュース
- ↑ Google Chrome Releases(Google Japan Blog: ChromeにGoogle Chrome Releasesの翻訳が提供されている)
- ↑ Google Chrome、1日で1%のシェア獲得 - ITmedia News
- ↑ 「Google Chrome」、米国では200万人がダウンロード--ニールセン、公開1週間の数値を発表:マーケティング - CNET Japan
- ↑ 進化を続ける Chrome。より速くなった新バージョンを提供します Google Japan Blog 2010年5月26日
- ↑ “Top 5 Desktop, Tablet & Console Browsers from Jan 2012 to Apr 2016|StatCounter Global Stats”. . 2016閲覧.
- ↑ http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASGN03H0M_T00C16A5000000/
- ↑ [1]
- ↑ Google Chromeに携わったキラ星のような開発者たち:コミックから読み解く - builder by ZDNet Japan
- ↑ ブラウザバージョン移行状況、Chromeは理想的な状況
- ↑ Flashを統合した「Google Chrome」最新安定版、脆弱性の修正も
- ↑ Chromium Development Calendar and Release Info (The Chromium Projects)
- ↑ Google、6週間毎にChromeの新バージョンを提供へ
- ↑ 14.0 14.1 Google Developers Relations Blog>2013年4月4日>Chromium プロジェクトの新しいレンダリングエンジン Blink のご紹介
- ↑ 15.0 15.1 The Chromium Blog>Wednesday, April 03, 2013 >Blink: A rendering engine for the Chromium project
- ↑ 16.0 16.1 The Chromium Projects>Blink
- ↑ “「Chrome for Android」正式版が公開”. ケータイ Watch. (2012年6月28日) . 2012閲覧.
- ↑ 帯域幅の管理
- ↑ モバイル向けFlash終了でHTML5大勝利!と安心していられない理由
- ↑ “Google、iOSアプリの「Chrome」と「Google Drive」をリリース”. (2012年6月29日) . 2012閲覧.
- ↑ “Googleが「Chrome for iOS」公開、注目の速度はSafariより遅い”. INTERNET Watch. (2012年6月29日) . 2012閲覧.
- ↑ 「WKWebView」採用で:iOS版Chromeブラウザ、バージョン48で大幅高速化・安定化
- ↑ iOS版「Chrome」がついにWKWebViewに対応、飛躍的に安定・高速化
- ↑ “Google、IEを“Chrome並みに”改良するプラグイン「Chrome Frame」リリース”. ITmedia News. (2009年9月23日) . 2012閲覧.
- ↑ “http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0909/25/news072.html”. ITmedia News. (2009年9月25日) . 2012閲覧.
- ↑ Chromium Blog: Retiring Chrome Frame
- ↑ Early Access Release Channels - The Chromium Projects
- ↑ 2017年8月から共存できるようになった。Run multiple versions of Chrome side-by-side chromium blog
関連項目
外部リンク
- 公式ウェブサイト
- Google Chrome Blog (英語)
- Google Chrome Releases (英語)
- Chrome ウェブストア
- Chrome for Android - Google Play Store(Google)
- Chrome for iOS - App Store
- [2] - Google+(英語)
- Google Chrome Developers - Google+(英語)