ABCセンター
ABCセンター(エービーシー - )は、1966年6月から2008年まで大阪府大阪市北区大淀南二丁目に存在していた朝日放送(ABC、現・朝日放送グループホールディングス)の旧社屋や隣接する関連施設を含めた街区の総称。
Contents
概要
ABCセンター (朝日放送本社) | |
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情報 | |
用途 | 放送局、演奏所、オフィス |
設計者 | 大成建設 |
施工 | 大成建設 |
建築主 | 朝日放送 |
構造形式 | SRC造 |
敷地面積 | 14,265 m² |
建築面積 | 6,105 m² (建蔽率43%) |
延床面積 | 30,310 m² (容積率212%) |
階数 | 地下2階、地上9階、塔屋3階 |
竣工 | 1966年5月 |
開館開所 | 1966年6月1日 |
所在地 |
〒531-8501 大阪府大阪市北区大淀南二丁目2番48号 |
備考 | 面積は、大阪タワーも含む。 |
中核施設である朝日放送本社社屋には、4つのテレビスタジオ・4つのラジオスタジオ、公開放送用ホール「ABCホール」などがあり、その南側には広場を挟んでホテルプラザ、西側には大阪タワーが設置されていた。この他、センター周辺には、朝日放送の別館ビルや関連会社が入居するビル、ザ・シンフォニーホールなどが点在していた。
1989年から1998年および2001年まで使われたABCテレビの放送開始・終了映像でもCGにより作成されたABCセンターの全景映像を見ることができた。
1966年6月に関西大倉学園が茨木市に移転した跡地に、中之島に分散してあったテレビ(旧大阪テレビ放送の社屋を使用)とラジオ(新朝日ビルディング)のスタジオやホールを統合する形で本社社屋を竣工。その後、大阪タワーやホテルプラザなどの周辺施設を建設し規模を拡張していった。しかし経年劣化による建物の老朽化が顕著となり、2008年5月18日に大阪市福島区福島1丁目(ほたるまち)の新社屋に本社機能を移転、また移転後も残っていたテレビ・ラジオの送出マスター(主調整室 アナログ・デジタル統合テレビマスター、AMラジオ放送マスターともNEC製を使用)も、同年6月23日をもって新社屋の送出マスターに切り替えられ、朝日放送の本社機能は新社屋へと移った。新社屋移転後も同センターで一部の録音番組等(ラジオ)の収録をおこなったが、同年8月5日のABCホールの閉鎖をもって42年の歴史に幕を閉じた。
新社屋(ほたるまち)への完全移転後はザ・シンフォニーホール以外の建物は全て解体され、解体後の跡地は商業施設もしくは住宅施設に再開発されることが決定しており、旧社屋およびABCホール→大阪タワー→ホテルプラザの順に解体を終了済。当該施設の跡地は全て駐車場等に転用されているが、2017年1月に積水ハウス、三菱地所レジデンス、東急不動産など5社が共同で跡地を取得し、高さ最大178mのタワーマンションを建てる計画があると報じられた。計画では2022年完成予定としている[1][2]。
なお、2008年4月22日放送のごきげん!ブランニュ(ABCテレビ)において「さよなら大淀社屋特集」とのタイトルで同所が詳しく紹介された。
ABCセンター時代のベリカードは、旧社屋のペーパークラフトだった時期がある。
スタジオ
テレビスタジオ
- Aスタジオ(HD、190坪)
- 以前使用していた番組『ごきげん!ブランニュ』〔隔週金曜日収録〕、『朝だ!生です旅サラダ』、『パネルクイズ アタック25』
- Bスタジオ(HD、100坪)
- 以前使用していた番組『おはよう朝日です』、『ムーブ!』、『ABC NEWSゆう』
- Cスタジオ(SD、100坪)
- 以前使用していた番組『おはようコールABC』、『虎バン』(HD放送を行うため機材はAスタジオのものを使用)
- Nスタジオ(HD対応、30坪)
- 『ABC NEWS』
- 最後の番組は、『ANN NEWS&SPORTS』の関西ローカル。担当は三代澤康司アナウンサー
2008年4月頃から新社屋Aスタジオが稼動したことに従い、順次旧社屋Aスタで制作していた番組『ごきげん!ブランニュ』、『朝だ!生です旅サラダ』、『パネルクイズ アタック25』は新社屋Aスタでの制作へと切り替えられた。また従来のBスタジオで放送していた番組『おはよう朝日です』、『ムーブ!』、『ABC NEWSゆう』は、Bスタジオ機器の新社屋移設工事に伴いAスタジオへ移動したのち、新社屋での制作へと切り替えられた。なお、同年4月29日の環境特別番組『ガラスの地球を救え』で、初めて新社屋Aスタジオから生放送を行っている。また、5月6日に新社屋完成記念特別番組第1弾『朝日放送新社屋完成記念 番組対抗No.1スペシャル 〜オールスター大集合!おめでたバトル〜』が新社屋Aスタジオにて制作されており、5月17日の第2弾『朝日放送新社屋完成記念 くるくる朝日です』は新社屋スカイテラスから生放送されている。
ラジオスタジオ
- 第1スタジオ(録音用、約140m2)
- 公開放送で使用することが多かった
- 全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)で、試合途中や試合終了後流れる校歌は、大会前、このスタジオで録音されていた。
- 最後の録音は、『童謡の続き』でYOUが担当した。
- 第2スタジオ(生対応)
- 『ABCパワフルアフタヌーン』、『ABCミュージックパラダイス』など
- 第3スタジオ(生対応)
- 『おはようパートナー』、『おはパソ』、『全力投球!!』、『元気イチバン!』、『ABCフレッシュアップベースボール』、『ABCミュージック21』、『もうすぐ夜明けABC』ほか
- 第5スタジオ(録音用)
- 『キングコングのほにゃらじお』など
- ダイヤルスタジオ(電話・FAX受付ルーム)
また、かつては主調整室のアナウンスブース(2室)で生放送を行っており、当時は「キースタジオ」と呼ばれていたが、生放送の雑然とした雰囲気を伝えるために、ブースの外の主調整室側で放送するようになった。この部屋は窓に面していて、出演者が喋るテーブルを窓側に設け、外の天気などがわかるようになっていた。
施設
ここではABCセンター内の施設だけではなく、センター外の施設についても併せて説明する。
ABCセンター内
- ABCホール(SD、75坪)
- ABCの旧社屋内にあり、観客席が600席あった。数々の番組の収録もここで行われた。
- 探偵!ナイトスクープ(隔週金曜日収録)、上沼恵美子のおしゃべりクッキング(隔週水曜日収録)、角パァ!、ABCお笑い新人グランプリ、映画の試写会などを開催。最近は新婚さんいらっしゃい!の収録(HD収録の為、HD中継車ドライブで収録)も行われたこともある。これはリサイタルホールが行事等で確保出来ない事があるため。
- 大淀旧社屋のABCホールは2代目で、初代は大阪市北区中之島にある、現在のリサイタルホールであった。最終公演者としてLAZY。福島新社屋に3代目ABCホールが完成し、稼働を開始した後も暫く稼働していたが、2008年8月5日をもって閉鎖。
- 新社屋移転後は、「ナイトスクープ」はAスタジオ、「おしゃべりクッキング」はBスタジオに移行し、「角パァ!」は番組自体が終了した。
- ABC祭り 歌謡パレードと呼ばれるイベントを行った(番組で放送された)こともあった。
- 朝日放送の電波塔。ラジオ(高石)、テレビ(生駒山)送信所への中継電波を送信をするほか、タクシー、新聞社等の電波中継地点となっていた。
- 地上102メートルのところに2層の展望台があった。
- 1997年に移動用エレベーターを含めた施設の老朽化に伴い展望台・スタジオを閉鎖、2009年9月より12月にかけて解体・撤去された。
- スカイスタジオ(大阪タワー内)
- 大阪タワーの展望室2階に設けられていたスタジオ。全面ガラス張りで、セットや出演者の背景になる眺望が圧巻であった。おはよう朝日ですなどの制作スタジオとして使われていたが、大阪タワー老朽化に伴い1997年に閉鎖された。なお1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の発生時刻の午前5時46分は、当時スカイスタジオから放送していた情報番組「おはよう天気です」の生放送開始直後であった。しかしこの時期、大阪タワーはエレベーターの保守・点検工事の期間だったため、同番組も本社のAスタジオから放送していた。このため、地上102メートルの展望台で、生放送の番組が巨大地震に遭遇するという事態は、奇しくも逃れる事ができたというエピソードがある。
- IDC大塚家具梅田ショールーム
- ホテルプラザ閉鎖後、テナントとしてホテルプラザビルの下層階にIDC大塚家具が出店していた。
- ABCポケットパーク
- 朝日放送旧社屋とIDC大塚家具梅田ショールーム(旧ホテルプラザビル)の間にある広場。
- ABCテレビ朝の情報番組「おはよう朝日です」で、最初のお天気のコーナーは、この広場から中継していた。
- 東西に長く、広場東側はタクシー乗り場になっていて、広場西側、大阪タワー袂にはウッドデッキを設けていた。
- 「おはよう朝日です」のお天気の時に必ず映り込むようにウッドデッキ側面には朝日放送制作の番組のPRポスターが貼られていた。
- 日本で初めて建設されたクラシックコンサート専用ホール。1982年開館。
- 音響の素晴らしさで内外から高い評価を得ている。また稼働率も比較的高く、閉鎖・解体の理由が見あたらないこともあり、ABCセンターその他の施設が閉鎖後も存続する。しかし、朝日放送は2012年9月末をもって学校法人滋慶学園グループへ譲渡することを決めた。2013年末までは朝日放送が借りる形で運営を続ける[3]。これによりABCセンターにあった施設は全て解体もしくは朝日放送の手を離れることになった。
- ABC公園
- 朝日放送旧社屋北側に位置し、ここで番組のロケなどがよく行われた。
- 2004年に敷地を売却。
- 跡地に近鉄不動産、オリックス不動産が分譲する高層マンション「ローレルタワーサンクタス梅田」を建設(旧本社社屋写真で、旧社屋の後方に映っている建物)。
- 日産大阪ギャラリー
- 旧社屋1階に存在したが、早い時期に閉鎖され跡地は末期までABCのオフィスとして使用されていた。「日産ミュージック・ギャラリー ポップ対歌謡曲」はここから生放送されていた。
ABCセンター外
- ABCアドベンチャーホール(2005年3月開設、和歌山マリーナシティ内)
- テレビ朝日・朝日放送が制作する特撮やアニメーション作品のキャラクターショーを上演する専用ステージ。
受賞歴
幻の新社屋構想
朝日放送は1991年(平成3年)に社屋用地の再開発試案を発表していた。具体的には、センター用地の北側にあるABC公園部分に、22階建て規模の本社機能のある社屋を建設し公園などの施設を整備する、大阪タワーを取り壊し跡地に15階建前後のビルを建設し多目的ホール・アスレチックジム・美術館などが入居した文化ゾーンにするといった構想であった。
計画では1995年頃に着工し、第一期は1997年、第二期は1998年、そして第三期は2000年に完成させる予定であったが、資金問題(ホテルプラザの閉鎖なども関係した)やデジタル放送の準備などもあり、新社屋の計画は白紙。2004年に改めて、大阪市福島区福島一丁目の大阪大学医学部付属病院(阪大病院)跡地に移転する計画が発表され、4年後の2008年6月23日に完全移転した。
交通アクセス
センター
- 大阪環状線・大阪駅から徒歩15分
- 大阪環状線福島駅、阪神本線福島駅からなにわ筋を北に徒歩7分
- JR東西線 新福島駅からなにわ筋を北へ徒歩9分
- 大阪駅北口から阪急バス18系統 加島駅前・西川行で「大淀南一丁目」下車すぐ。
- 大阪駅への戻りは大阪市営バス41号・41A号系統を利用(阪急バスは大阪駅方向は別経路のため停車しない)。
注釈
- ↑ 積水ハウスなど、大阪の旧ホテルプラザ跡地に高層マンション,日本経済新聞,2017年1月18日
- ↑ 大阪・ホテルプラザ跡地にタワマン 積水ハウスが計,朝日新聞,2017年1月20日
- ↑ 「ザ・シンフォニーホール」譲渡に関する基本合意書の締結について (PDF, 朝日放送 2012年3月29日)