007 ムーンレイカー

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007 ムーンレイカー』(ダブルオーセブン ムーンレイカー、Moonraker)は、イアン・フレミングの長編小説『007』第3作。また1979年公開、ルイス・ギルバート監督のスパイアクション映画『007』シリーズ第11作。

タイトル

「ムーンレイカー」とは、本来は「水面に写った月(ムーン)を熊手で掻き寄せよう(レイカー)という馬鹿な真似をしたイギリスのウィルトシャー州の人」、または馬鹿者・阿呆者を表すイギリス英語の古典的隠語である(詳細は「ムーンレイカー伝承」を参照)。

イアン・フレミングの原作(1955年)では、イギリスの大陸間弾道ミサイル開発プロジェクトの名称が「ムーンレイカー計画」で、そのロケットエンジンに使う合金精製に不可欠な鉱石を独占的に供給しているのが本作の黒幕ドラックスという設定である。実はドラックスは元ナチス党員ドラッヘで、イギリスに恨みを抱いており、このミサイルにソ連から供給された核弾頭を付けて、北海に向けての試験発射を装いロンドンを核攻撃して焼け野原にすることを目論んでいた。

また映画ではこの「ミサイル攻撃計画」が「スペースシャトルによる毒ガス散布計画」に、「ロンドン殲滅」が「全人類抹殺」に、「現場から潜水艦で脱出」が「周回軌道上で高みの見物」に変更された。しかも肝心のスペースシャトル「ムーンレイカー」がアメリカ製に変更されてしまったため、余計にわかりづらい題名となってしまった(シャーリー・バッシーが歌うテーマソングには「ムーンレイカーのように黄金の夢を、私の愛を探す」という一節がある)。

実は当のフレミング自身がこの『ムーンレイカー』という題名に疑問を持っていたようで、脱稿当初彼が出版社に提示したタイトルは『The Infernal Machine(悪魔の機械、以下邦題はすべて便宜上の直訳)』『The Inhuman Element(非人間的要素)』『Wide of the Mark(的はずれ)』などといった硬いものだった。逆に『The Moonraker Sense(ムーンレイカーの常識)』『The Moonraker Plan(ムーンレイカー計画)』『Bond & The Moonraker(ボンドとムーンレイカー)』『The Moonraker(ザ・ムーンレイカー)』など、ムーンレイカーという語にこだわった対案をいくつも出して再考を促したのは編集者の方で、最終的にフレミングが説き伏せられるかたちで『ムーンレイカー (Moonraker)』に落ちついた[1]

なお、このタイトルがどうかと思ったのはフレミングだけではなかったようで、アメリカで本書の初版が発行された際のタイトルは『Too Hot to Handle(熱すぎて手に負えない)』というものだった。

小説

イアン・フレミングによる「007」シリーズ第3作の長編。1955年ジョナサン・ケープより出版された。英国の億万長者ドラックス卿が国家に寄贈するために作った原爆ロケット「ムーンレイカー」基地の保安主任が変死したことから、後任として派遣されたジェームズ・ボンドの活躍を描くストーリー。全編イギリス国内で物語が進むという、007作品としては異色の展開。

ストーリー

英国の億万長者ヒューゴ・ドラックスが私費を投じて開発した原爆搭載ロケット「ムーンレイカー」を国家に寄贈することになった。ドラックスは偉大な国家的英雄と賞賛される紳士だったが、そんな彼がカードクラブでイカサマを働いているとの情報を得たMは、ボンドと共にクラブへ向かう。やはりドラックスはコントラクト・ブリッジでのイカサマで荒稼ぎをしていた。ボンドはさらなるイカサマ勝負を仕掛けてドラックスから大金を巻き上げるが、ドラックスの態度は相手を侮辱するうえ、まるで誇大妄想狂の変質者そのものという、国家的英雄らしからぬ無礼な男だった。

その翌日、ドーバーの断崖にあるムーンレイカー基地の保安主任が、色恋の刃傷沙汰で死亡する事件が発生。折しも来週の金曜日にはムーンレイカーを、核弾頭なしの状態で試射実験を行うことになっていたため、警視庁特別部とMはムーンレイカー開発を妨害しようとする何者かの工作があると判断し、ボンドを後任者として派遣する。ボンドは先んじて潜入していた特別部の婦人警察官ガーラと共に活動するが、やはり何者かに命を狙われることになる。

ところが、一連の事件の首謀者はドラックスその人だった。彼の正体は元ナチス親衛隊の生き残りドラッヘで、ナチス党率いるドイツを滅ぼした英国への復讐を遂げるため、長年の潜伏期間を経て英国の億万長者として名を挙げ、英国内に原爆基地を開設。ソ連と手を結び、試射実験と見せかけて本物の核弾頭をムーンレイカーに装備し、ロンドンに打ち込む計画を企んでいたのだ。ムーンレイカーの発射まであと僅かと迫る中、ボンドとガーラは英国最大の危機を阻止しようとする。

概要

  • フレミングはボンド小説の中で、3人目(ル・シッフル、ミスタービッグに続く)の敵役には当初からドラックスという名を使うことを考えていたという。小説のヒューゴ・ドラックス卿は、ナチの一団を率いる隊長で、当初は潜入目的でイギリス軍の服装をして従軍していたところを味方に誤爆され重傷を負い、連合軍に救助されたことで英国紳士として名を挙げたという背景が描かれている。なお爆撃を受けて重傷を負ったことで、顔にはフランケンシュタインの怪物を彷彿とさせるような多くの手術痕や抜糸痕がある。
  • ボンドの愛車33年型ベントレー・コンヴァーティブルが大破してしまったのも本作。ドラックスの車とカーチェイスの末、ドラックスの部下が仕掛けた巨大な工業用巻紙ロールの直撃を受けて崖下へ。その後、53年型マークIVのオープンカータイプを購入している。

出版

  • 『007/ムーンレイカー』井上一夫訳、東京創元社、1964年3月、ISBN 978-4-488-13802-8
  • Moonraker Penguin Classics, 2004/06, ISBN 978-0-14-118756-3

映画

007 ムーンレイカー
007 Moonraker
監督 ルイス・ギルバート
脚本 クリストファー・ウッド
原作 イアン・フレミング
製作 アルバート・R・ブロッコリ
製作総指揮 マイケル・G・ウィルソン
出演者 ロジャー・ムーア
ロイス・チャイルズ
マイケル・ロンズデール
リチャード・キール
音楽 ジョン・バリー
主題歌 シャーリー・バッシー
撮影 ジャン・トゥルニエ
編集 ジョン・グレン
配給 ユナイテッド・アーティスツ
公開 イギリスの旗 1979年6月26日
アメリカ合衆国の旗 1979年6月29日
日本の旗 1979年12月8日
上映時間 126分
製作国 イギリスの旗 イギリス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $31,000,000[2]
興行収入 世界の旗 $210,300,000[2]
アメリカ合衆国の旗 $70,300,000[2]
配給収入 日本の旗 23億円
(1980年度洋画配給収入2位)[3]
前作 007 私を愛したスパイ
次作 007 ユア・アイズ・オンリー
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概要

映画『スター・ウォーズ』の成功がもたらした世界的なSF映画ブームの中で製作され、「遂にボンドが宇宙へ進出した作品」として注目された。そのため、ボンドの数多い冒険の中でも最も荒唐無稽なものとなった。また、物語の舞台もカリフォルニア、ベニス、リオ、アマゾン、宇宙とめまぐるしく変わり、全編通してスピーディーな展開となっている。 前作『私を愛したスパイ』のエンドロールでは、次回作は短編集『007号の冒険』の中の一短編である "For Your Eyes Only" と告知されていた。その時点では、イオン・プロがまだ映画化していないイアン・フレミングの長編のうち、『カジノ・ロワイヤル』はコロンビア映画が、そして本作は俳優のジョン・ペインが映画化権を所有していた[4]ため、短編を使うしかなかったからである。しかし、その後ペインから権利を買い取ることができたため、折からの爆発的なスター・ウォーズ(1977年公開)ブームや、スペースシャトルの初飛行(1981年4月12日)が迫る中、ついにボンドが宇宙へ飛び出す内容に脚色された本作が、先に映画化されるに到った。

ストーリー

アメリカからイギリスへ空輸中のスペースシャトル「ムーンレイカー」がハイジャックされた。さっそくボンドはシャトルを製造したヒューゴ・ドラックスを訪ねるべくカリフォルニアへ向かう。

彼の書斎で見つけた設計図にはベニスのガラス工房で製造している製品の設計図が。ベニスへ向かったボンドはガラス工房の建物の中に謎の研究所を発見、そこでは即効性の殺人ガスを研究していた。Qはそのガスの成分はアマゾンにしか存在しない植物のものであると突き止める。

ボンドはアマゾンへ向かい、宇宙研究員になりすましていたCIA捜査官ホリー・グッドヘッドとともにドラックスの計画を知ることになる。それは、全人類をガスで抹殺して、あらかじめドラックスが極秘に建造した宇宙ステーションに退避した選ばれた男女だけで新たな世界を築こうというものだった。ドラックスは計画実行直前に宇宙ステーションへの移動用シャトルが故障したため、代わりにムーンレイカーを奪ったのだった。

ボンドの活躍で宇宙ステーションの電波妨害装置が破壊され、米空軍のシャトルが駆けつける。敵味方が宇宙服とレーザーガンで武装して宇宙戦闘を展開する中、ボンドはドラックスとの決着に挑む。

スタッフ

キャスト

興行成績

本作は1979年の映画の世界興行成績において、2億1030万ドル[2]とシリーズ最高額を更新し[5]、『ダイヤモンドは永遠に』以来4作、8年ぶりに第1位[6][7]に返り咲いた。日本では1980年度の外国映画の配給収入で、『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』に次ぐ第2位[8]

プロダクション

  • オープニングクレジット前のボンドがパラシュート無しで飛行機から突き落とされ、敵のパラシュートを奪い、ジョーズから逃げるシーンはCGはおろかVFXすら使用しておらず、全て実写で撮影。パラシュート降下にかけては世界一とされる名人を収集した製作チームは、どうやってパラシュートを隠すか、35ミリカメラをヘルメットの上に取り付けてパラシュートが開いたときにカメラマンが怪我をしないためにどうするかという二つの問題を解決した。ウィルソンとジョン・グレンはカリフォルニアに飛び、超軽量チタニウムカメラの本体と実験段階のプラスチック製パナビジョン・レンズで撮影。完成したシーンはシリーズ屈指の完成度を誇る名シーンの一つとして高く評価された。
  • イオンプロダクションでは、過去にも『007は二度死ぬ』でロケットの打ち上げシーンを描いているが、本作のムーンレイカー打ち上げのシーンには、NASAの技術者をアドバイサーに招き、実際の打ち上げマニュアルやシミュレーション データなども使用して、本物のシャトルの打ち上げの模様に限りなく近いものに仕上げた[4]。その出来栄えは、二年後実際にスペースシャトル・コロンビアの初打ち上げを見届けたあるNASAのスタッフをして、「まるでムーンレイカーの打ち上げみたいだ」と軽口を叩かせるほどのものだった。ただし、シャトルの噴射はかなり規模が小さい。
  • 特撮を担当したのは、『サンダーバード』や『謎の円盤UFO』などを手がけた、特殊効果監督デレク・メディングス。ロケット噴射の描写などに、サンダーバードを彷彿とさせるリアルで重厚な視覚効果演出を見ることができる。
  • 一方、『007は二度死ぬ』で特殊効果を担当したジョン・ステアズは、『スター・ウォーズ』に参加。同映画の特殊効果は、ILMの開発した最新技術が投入され、アカデミー視覚効果賞を受賞した[9]。ところがメディングスは、フィルムを巻き戻し重ね撮りを繰り返すという昔ながらの手法で、宇宙空間での迫力ある戦闘シーンを作り上げた[10]。その結果、本作も同賞にノミネートされたが、受賞は逃した[11]。『スター・ウォーズ』と『ムーンレイカー』には、007シリーズ新旧スタッフの競い合いもあった。
  • 『ムーンレイカー』は、1969年にも映画化が計画されたことがあり、当時プロデューサーの一人だったハリー・サルツマンは、『サンダーバード』の製作者ジェリー・アンダーソンにもプロデューサーになるようオファーした。アンダーソンは脚本家のトニー・バーウィックと、新しい物語を加えた『ムーンレイカー』の脚本を用意した。サルツマンはこれを高評価したものの、もう一人のプロデューサーであったアルバート・R・ブロッコリと決裂状態になり、アンダーソンにそのアイディアを売却するように求めるが、拒否されて話は流れた。しかし、後にサルツマンと決別したブロッコリが単独で製作した『私を愛したスパイ』の脚本中に、このときの『ムーンレイカー』の脚本との類似点を見つけられ、アンダーソンに訴訟を起こされるが、金銭的解決で取り下げに到った[12][13]
  • 本作はいつものロンドンのパインウッドスタジオではなく、フランスのスタジオで撮影された。このため撮影に関する打ち合わせなどでイギリスとフランス両国間で莫大な国際電話代がかかったそうで、プロデューサーや監督の話ではこの電話代だけで並の映画1本分が撮影できたであろうとのこと。このフランスでのスタジオで撮影中に次回作「ユア・アイズ・オンリー」のヒロイン、メリナ役のキャロル・ブーケが見学に訪れ、彼女の美貌に魅了されたプロデューサーが次回作出演をオファーした。

キャスト・キャラクター

  • シリーズには変わった名前の悪役や何らかの意図がありそうな名前のボンドガール[14]が数多く登場するが、個々の作品のタイトルの中に一体何を意味しているかどうかが読み取れないものが多い。
  • 殺し屋には前作『私を愛したスパイ』に引き続きリチャード・キール演じるジョーズが登場する。同じ殺し屋がシリーズ二作に連続して登場するのは後にも先にもこのキールだけである[15]
  • ジョーズは、前作では人間離れした肉体をもつ冷酷な殺人鬼の役柄だったが、その憎めないキャラクターは撮影当時からスタッフのあいだで話題になっており、これが殺されない悪役という、ボンド映画では極めて珍しい存在につながった。案の定、映画が公開されるやキールは引っ張りだこの人気者となる[16]。そのせいもあってか、本作のジョーズは前作とは打って変わってむしろ三枚目な役どころとなっており、ロープウェイでボンドと格闘した直後に出会ったドリーに恋をしたり、改心して最終的にボンドの味方となるなど、一風変わった悪役となっている。ボンドを逃がした後、宇宙都市内に彼女と2人取り残されたのち、ラストは登場しないが、揃って生還したことがセリフで語られている。
  • ラスト近くでドリーに向かって発した「さあ、これはぼくらに(Well, here's to us.)」という言葉が、前作・本作を通じてジョーズ唯一のセリフである。
  • ロイス・チャイルズは、『私を愛したスパイ』のアニヤ役の候補にのぼっていた。本作に出演が決まったきっかけは、飛行機の中で監督のルイス・ギルバートと偶然隣り合わせになったことだった。
  • チャイルズ演ずるCIAのホーリー・グッドヘッドは、映画オリジナルのキャラクター。原作では、警視庁特別部の婦人警官、ガーラ・ブランドが登場する。ガーラはボンドと親密になるものの、他に恋人がいたために、珍しくエンディングの時点で別れてしまう。
  • ユア・アイズ・オンリー』の撮影前にM役のバーナード・リーが死去したため、この作品が彼の最後のボンド映画となった。
  • サン・マルコ広場をボンドの乗ったゴンドラが暴走した際、我が目を疑い思わず手にしたワイングラスを見る男は、助監督のビクター・トジャンスキー。彼は、前作の『私を愛したスパイ』と、次作の『ユア・アイズ・オンリー』にも同様の趣向で登場している。

秘密兵器・小道具

  • 手首の筋肉の動きでダーツを発射できるブレスレットをQから支給される。青いダーツは鋼鉄板をも打ち抜き、赤いダーツは猛毒が塗られていて、人間を30秒で致死させる。ボンドは試射の際、騎乗したウィリアム3世の絵の馬の尻に、ダーツを突き刺した。
  • ボンドカーは登場しないが、その代わりボンドカー並みの特殊装備を備えたボート(通称:Qボート)とゴンドラ(通称:ボンドラ)が登場する。
    • ゴンドラはエンジンとスクリューを備えており、高速航行が可能で、ヴェネツィアの運河を疾走。さらにホバークラフトに変形して、サン・マルコ広場に上陸して暴走する。ゴンドラがサンマルコ広場上陸する場面の撮影は、2回にわたって船がバランスを崩して横倒しになり、乗っていたロジャー・ムーアはずぶ濡れとなった。衣装を2回着替え、もう替えの衣装がないという3回目のテイクで無事に上陸することができたという。
    • ボートは、『死ぬのは奴らだ』でもボートを提供した、テキサスのグラストロン(グラストロン・カールソン)社が製造。操縦席外側の船体にロゴまで入っている。
    • ボートの装備として、浮遊型水雷と誘導魚雷を後方に発射でき、敵ボートを爆沈した。また、屋根には折りたたみ式のハンググライダーが格納してあり、ボートが滝に落ちる前に展張し脱出した。
  • セイコーの腕時計「セイコーデジタル メモリーバンク」を着用。裏蓋を開けるとワイヤーつきの爆薬が入っており、本体の操作で爆破が可能[17][18][19]。なお、本作と前後して同社から発売された、電卓機能付腕時計「チェックメイト」の宣伝の際、TVCFに本作のカットを織り込んだり、同製品を着用したロジャー・ムーアの姿が描かれたCMポップが作成されたりしている。
  • 南米某所にしつらえられたMの事務所(実際は、ヴェネツィアの対岸にあるリド島のサン・ニコロ修道院で撮影された)の中庭では、Qの秘密兵器が実験されていた。
    • 巻き付くと爆発するボーラ
    • ポンチョを着て座っている男(実は張りぼて)が左右に割れて火器が連射。
    • レーザー・ガン。ただし、後の場面で米軍も同じ兵器を使用しているので、Qの開発かどうかは不明。
  • 本作から、シャンパンのボランジェと正式のタイアップがスタート(ボランジェの初登場は『死ぬのは奴らだ』。それ以外の本作以前の作品では、ボンドはドン・ペリニヨンを愛飲していた)。グッドヘッドが同社のシャンパンを注文。ジョーズも終盤でボトルを鋼鉄の歯で開ける。
  • クリスチャン・ディオールとのタイアップで、グッドヘッドのコスメは同社製。フレグランスは、小型火炎放射器の秘密兵器となっている。
  • その他のグッドヘッド (CIA) の秘密兵器としては、通信機つきハンドバッグ、ダーツを発射できるダイアリー、毒注射を仕込んだペンなど。ボンドはヴェネツィアでこのペンを拝借したままアマゾンまで行き、ボア・コンストリクターと格闘した際これを使用して逃れた。
  • 7 Upとのタイアップで、リオデジャネイロ、ポン・デ・アスカールの丘のロープウェイの駅に、看板が掲げられている。
  • エールフランスとのタイアップで、ボンドはリオデジャネイロまで同社のコンコルドに搭乗。
  • ブリティッシュ・エアウェイズともタイアップしており、こちらは救急車での格闘後、道端に看板が登場。
  • その救急車が通った道端には、他にもタイアップ相手の7 Up、セイコー、マールボロの看板が立っている。
  • キヤノンとのタイアップで、リオデジャネイロの連絡員マニュエラが、同社製のカメラを持っている。

主題歌

3度目の起用となったシャーリー・バッシが同タイトル曲を歌った。主題歌、テーマ曲、サウンドトラック・アルバムでも、常に、イギリス、アメリカでのヒット・チャートを賑わしてきた007シリーズだが、両国共にチャート入りを果たせなかった。(「女王陛下の007」からは、後の1994年、挿入歌だった「愛はすべてを越えて」がイギリスでシングル・ヒットしてる)

その他

  • オープニングで登場するボーイング747N905NA)はスペースシャトルを輸送するが、実機ではなく模型を使用したものである。撮影当時はまだアメリカン航空のハイブリッド塗装だった。
  • ヴェネツィアのドラックスの秘密研究所に入る扉を開くのに、暗証番号を押すとき鳴る音は、映画『未知との遭遇』で登場したもの。ただし、音程は若干低い。当時は、この映画も大ヒットした。
  • ボンドはチャーをピアノに落下させて倒した際、『カサブランカ』でハンフリー・ボガート演ずるリックが、ドリー・ウィルソン演ずるピアノの弾き語りのサムに向かって言うあるセリフを口にする。
  • ボンドは南米の寺院にしつらえたMのオフィスにポンチョ姿で馬に乗って向かうが、このとき流れるのは『荒野の七人』のテーマ曲。
  • プレタイトルで繰り広げられる大迫力のパラシュート無しスカイダイビングは、ダイビングを92回行い、5週間かけて撮影された。1回の撮影時間はたったの1分だった。
  • この作品ではボンドは一度も愛銃ワルサーPPKを撃たない(銃器を使うのは前述のダーツガン、ドラックス邸の森で刺客を射殺するライフル、宇宙ステーションで使用するレーザー銃)。
  • 宇宙ステーションのパネルがレーザー銃戦で吹き飛ぶ場面の撮影にはスタッフがステーションのミニチュアに向けてショットガンを撃ち、それをハイスピード撮影するという手荒な方法がとられた。
  • アマゾン川でボンドがQ特製ボートで探索する場面は、もともとは後の13作目「オクトパシー」冒頭に登場する一人乗り小型ジェット機アクロスターを使用する予定だった。
  • ゴーゴル将軍は登場しないはずだった。
  • ボンドとチャンがガラス工房で戦うくだりは前作『私を愛したスパイ』で使用するはずだったエジプト博物館で戦う没案をスライドさせたものである。

ロケ地

日本語吹替

役名 俳優 TBS DVD/BD
ボンド ロジャー・ムーア 広川太一郎
グッドヘッド ロイス・チャイルズ 小原乃梨子 藤本喜久子
ドラックス マイケル・ロンズデール 内海賢二 石塚運昇
コリン コリンヌ・クレリー 宗形智子 田村聖子
ジョーズ リチャード・キール 銀河万丈 小谷津央典
M バーナード・リー 今西正男 藤本譲
マニーペニー ロイス・マクスウェル 花形恵子 泉裕子
Q デスモンド・リュウェリン 田中康郎 白熊寛嗣
グレイ ジェフリー・キーン 藤本譲 佐々木省三
ゴーゴル ウォルター・ゴテル 北村弘一 島香裕
マヌエラ エミリー・ボルトン 高島雅羅
スコット マイク・マーシャル 納谷六朗
カヴェンディッシュ アーサー・ハワード 丸山詠二
プライベートジェットホステス レイラ・シェンナ 横尾まり
プライベートジェットパイロット ジャン=ピエール・カスタルディ 平林尚三
受付嬢 アン・ロンバーグ 滝沢久美子
宇宙管制センター所長 ダグラス・ランバート 小島敏彦
ボーイング747機長 ジョージ・バート 村松康雄
英国空軍士官 キム・フォーチュン 林一夫
ドラックスの技術者 ジョルジュ・ベレー 秋元羊介
ドラックスの技術者2 ジャン=ルイス・アイロラ 広瀬正志
  • TBS版 - 初回放送1984年4月9日(月)21:02-23:24 『月曜ロードショー』(正味約119分)※キングレコードから発売の特別版DVDに収録。
プロデューサー - 熊谷国雄(TBS)、演出 - 佐藤敏夫、翻訳 - 木原たけし、解説 - 荻昌弘、製作 - 東北新社/TBS
※合計9作の007作品を初回放映してきた『月曜ロードショー』で初回放映された最後の007作品。
救急車の場面でジョン・バリー作曲の「007のテーマ」がBGMとして流れるが、これは吹替版のみであり、オリジナル音声にはない。またこの直後にガンマン姿のボンドのBGMとしてメドレー式に「荒野の七人」のテーマ曲が流れるが、この曲を7ビートでアレンジした曲が「007のテーマ」であるため、この2曲がメドレーで聴ける貴重な編集であり、選曲者のセンスが光るシーンである。
  • DVD/BD版 - 初出2006年11月22日発売 DVD アルティメット・コレクション収録
地上波初回放送2007年1月28日21:00-22:54 テレビ朝日日曜洋画劇場
演出 - 福永莞爾、翻訳 - 桜井裕子、調整 - 金谷和美、製作 - 東北新社

ノベライズ

  • クリストファー・ウッド『007とムーンレイカー』井上一夫訳、東京創元社、1979年11月、ISBN 9784488194017
  • Christopher Wood "James Bond and Moonraker" Jonathan Cape, 1979/07, ISBN 978-0-224-01734-3

脚注・参照

  1. ただしフレミングは定冠詞 The を取っている。フレミングは本のタイトルに定冠詞を使うのを好まなかったようで、文法上どうしても The が必要な2つのタイトル (The Spy Who Loved Me と The Man With the Golden Gun) を別として、他には一切これを使用していない。
  2. 2.0 2.1 2.2 2.3 Moonraker” (英語). The Numbers. . 2009-6-18閲覧.
  3. 構文エラー: 認識できない区切り文字「[」です。
  4. 4.0 4.1 (1979-12-8) 007 ムーンレイカー 劇場用パンフレット. 東宝株式会社事業部. 
  5. Box Office History for James Bond Movies” (英語). The Numbers. . 2009-7-5閲覧.
  6. Movie list by worldwide gross” (英語). WorldwideBoxoffice.com. . 2009-6-18閲覧.
  7. List of highest-grossing films(ウィキペディア英語版)
  8. 日本映画産業統計”. 日本映画製作者連盟. . 2009-6-18閲覧.
  9. Awards for John Stears” (英語). Internet Movie Database. . 2009-7-1閲覧.
  10. Young, Cy (1995年9月14日). “OBITUARY: Derek Meddings” (英語). インデペンデント. http://www.independent.co.uk/news/obituaries/obituary-derek-meddings-1600979.html . 2009-6-29閲覧. 
  11. Awards for Drek Meddings” (英語). Internet Movie Database. . 2009-7-1閲覧.
  12. ジェリー・アンダーソン、サイモン・アーチャー、マーカス・ハーン『サンダーバードを作った男 ジェリー・アンダーソン自伝』アーカス・吏津子訳、洋泉社、2003年(ISBN 978-4-89691-724-6)、246- 248頁。
  13. シルヴィア・アンダーソン 『メイキング・オブ・サンダーバード』(奥田祐二訳、白夜書房、1992年、48頁。ISBN 978-4-89367-261-2)にも、1969年にサルツマンがアンダーソンにボンド映画の制作を持ちかけたが、契約上の問題などで立ち消えになったことが書かれている。
  14. 本作のボンドガールの役名は「ホリー・グッドヘッド (Holly Goodhead)」だが、このグッドヘッド (good head) は「頭がいい」という意味ではなくて「尺八がうまい (to give good head)」という隠語のスラング
  15. 敵役としてはブロフェルドが『007は二度死ぬ』『女王陛下の007』『007 ダイヤモンドは永遠に』の三作に連続して登場するが、こちらは一作ごとに異なる俳優が演じている(この他にも三作に顔が映らないブロフェルドが登場する)。
  16. キールは後に007をパロディー化した香港映画皇帝密使』にも、ジョーズ風の殺し屋役で出演している。
  17. ボンドウォッチプロジェクト
  18. Q Branch at Her Majesty's Secret Servant
  19. James Bond Gadget Watch History at the watchismo times
  20. ブラジル北部のアマゾン川で始まったボートチェイスが、数分後に2200kmも離れたブラジル最南端でアルゼンチンとの国境を為すイグアス川で終わるというのも、ボンド映画ならではの “スペクタクル” である。

関連項目

外部リンク


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