ジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンド (英: James Bond) は、イギリスの作家イアン・フレミング(1908年 - 1964年)のスパイ小説、およびこれを原作とする映画の主人公である、イギリス秘密情報部 (MI6) の工作員である。早川書房より出版されている井上一夫訳のものでは「ジェイムズ・ボンド」と表記されている。
アメリカン・フィルム・インスティチュート (AFI) が企画した「AFIアメリカ映画100年シリーズ」では、『アメリカ映画のヒーローベスト50』で3位[1]に選ばれている。
自己紹介のセリフ「The name is Bond. James Bond」(「ボンド。ジェームズ・ボンドです」)と「A martini. Shaken, not stirred」(「マティーニを。ステアせずシェイクして」)は『アメリカ映画の名セリフベスト100』でそれぞれ22位と90位にランク入りしている[2]。自己紹介のセリフを初めて放ったのは初代ボンド、ショーン・コネリーで、『ドクター・ノオ』でのこと。以来、『007は二度死ぬ』『慰めの報酬』を除くシリーズ全作で使用されている。
Contents
人物
父・アンドリューはヴィカーズ・ディフェンス・システムズ社に勤めるスコットランド人[3]、母・モニク・ドラウはスイス人。 なお父は企業スパイで、幼少期は父の転勤に伴い西欧各地で在住。両親はジェームズが11歳の時にフレンチ・アルプスを登山中に事故死してしまい、その後は叔母のチャーミアンに引き取られ育てられたという設定である。
オックスフォード大学卒業後、海軍中尉となり第二次世界大戦で出征。終戦後に秘密情報部(MI6)の工作官となる。
幼少期の経験からフランス語とドイツ語が非常に堪能。パブリックスクールでは自ら新クラブを創設するほど日本の柔道に打ち込んでいたこともあり、柔道を始めあらゆる格闘技に長けている。しかし、健康面では、尿酸値過多、肝疾患、リウマチ、高血圧、頭痛などを患っており、医者から「長生きできない」と忠告されている。
紅茶嫌いで「あんな泥水を飲んでいるから大英帝国が衰退した」と言い切るほどである。コーヒー派の彼は、豆はブルーマウンテン、コーヒーメーカーはケメックス(ハリオ式)を使用している。映画版でも踏襲されており、ボンドが紅茶を飲むシーンはない。
酒はカクテルのウォッカ・マティーニ(本来はジンベースのカクテルであるマティーニをウォッカベースにしたもの)をステアせずにシェイクし「舌がしびれるほど冷やして」飲むのが好きで、彼の決め台詞になっている。また、ウォッカとジンの両方とも用意して(ゴードン・ジン 3、ウォッカ 1、キナ・リレ 1/2)、よくシェイクしてシャンパン・グラスに注ぎ、レモンの皮を入れるというオーダーをしたものは、ヴェスパーという名で現実世界でも親しまれている。
「ウィンザーノットにしている奴は信用できない」と考えており、ウィンザーノットでタイを結ぶことはない。紐靴には拘りはなく、スリッポンを履くことも多い。
これらの服装や食の好みはフレミングの好みが色濃く反映されている。フレミングは「ウィンザーノットなんて手間のかかる結びをしている奴は顕示欲が強くて、付き合いたくない」とまで述べている。
誕生日は映画によってそれぞれ異なり、ダニエル・クレイグがボンド役を演じた『カジノ・ロワイヤル』以降の作品では設定が一新され、1968年4月13日、ベルリン生まれ、両親が登山事故で亡くなった後にスコットランド郊外にあるスカイフォールを実家としてキンケイドに育てられた後に、オーベルハウザーという人物に引き取られ義兄のフランツと共に育ったという出生に変更されている。また、義兄のフランツと義父のオーベルハウザーは、皮肉にも登山中の雪崩事故に巻き込まれて死亡し、またも天涯孤独となってしまう。ドイツ系の義父に育てられた経緯からかドイツ語、『慰めの報酬』にてボリビアのホテルの受付との会話シーンが、『スペクター』にてメキシコでテロリスト同士の会話シーンを盗聴するシーン描写があることから、スペイン語にも長けている。『スカイフォール』ではアルコール中毒で引退を勧められ、復帰テストにもお情けで合格させてもらう、といった原作の人物像を多少反映したボンドということになっている。
「007」の呼び名
ジェームズ・ボンドには、任務遂行中は自分の一存で容疑者を殺めても不問にされる殺人許可証(いわゆる「殺しのライセンス」)が与えられており、「007」(00セクションに所属する7番の番号を振られたエージェント)のコードネームを持つ。
英語圏では、普通これを「ダブル・オー・セブン (Double O Seven)」と読む[4]。なお、映画『007は二度死ぬ』の劇中では、「007」を "zero zero..."と発音しているシーンもある。
英語圏以外では読み方は様々で、ドイツでは "null null sieben"、フランスでは "zéro zéro sept "、日本では「ゼロ・ゼロ・セブン」などと読まれることも多い[5]。コカ・コーラ ゼロが『慰めの報酬』公開時にタイアップした時には、「zero zero 7」のデザインで日本を含む世界35カ国以上の国々で発売された[6]。
イアン・フレミングの小説
フレミングは銀行員、ジャーナリストなどを経て、第二次世界大戦中は海軍情報部とMI6で特別工作に携わっており、この経験を活かして007を書いたと言われる。
「ジェームズ・ボンド」という、英語圏ではやや凡庸な印象の強い名前は、戦前の活劇映画的な、華やかな印象の名を、フレミングが意識的に避けたものである。フレミングが愛読する鳥類研究書の著者の名から取られた。
フレミングの小説「007シリーズ」は1953年の第1作『カジノ・ロワイヤル』に始まって、フレミングが没する1964年まで書き継がれる。
当初はそれなりの評価を得ながらも、あまり売れなかった。そのため、フレミングは何度もシリーズを終了しようと考えるが、そのたびに映像化の話が出てきて、シリーズは継続されることになった。本格的に売れ始めるのは1950年代後半で、そのきっかけは、フレミングと縁があったケネディ米大統領が『ロシアから愛をこめて』を愛読書のリストの中に入れたことだった[7]。
その作風は、従来のイギリスにおける主流であった重厚なリアリズム派スパイ小説とは対極にあり、華やかで享楽的な設定の中で、アメリカのハードボイルド小説の影響を受けたシビアな暴力やアクションを描くものであった(『カジノ・ロワイヤル』はその好例である)。
しかし、やがて西部劇やスペースオペラさながらの「悪役から美女を救い出す」凡庸なパターンにはまってしまった結果、1950年代末期以降の作品はマンネリ化し、誇大妄想的な設定が多くなった(1959年の『ゴールドフィンガー』など)。
影響
映画・コミックへの影響も非常に多大である。敵の手に落ちて拷問を受ける場面もこの種のヒーローとしては非常に多く、作家の小泉喜美子は『メインディッシュはミステリー』で「優雅なサディズム」と評している。
超人的なプレイボーイのスパイをヒーローとし、グラマラスな美女を配した「洗練されたマッチョイズム」の物語は大衆の嗜好に合致し、また冷戦状況下では、東側諸国を絶対悪に擬す安易な設定が濫用しやすかったことから、1950年代後半以降、膨大な量の007亜流の小説が世界各国に氾濫した。星新一は「悲しくなるほど安易な物まねで、関係者の頭脳ゼロを見せつけられる思いである」とエッセイに記し[8]、唐沢俊一は以下のように表現した。五島勉 『危機の数は13』について触れた部分である。なお太字は原文のママである[9]。
おりしもそのころ、007シリーズの大ヒットによって世はスパイ・ブームまっさかり。日本でも模倣作がツクダニにするほど出回っており、とても国際的スパイがつとまるとは思えないスカスカ頭の色男を主人公に、銃と車と秘密兵器と裸のねーちゃんが出てきさえすれば読者は喜ぶ、と心得て(実際喜んだのだが)いいかげんに書きとばしたような三文小説が続出していた。
フレミング以外の作者
フレミングの死後、イギリスの作家キングスレー・エイミスが未亡人の許可を得てロバート・マーカムの名で『007/孫大佐(英語版)』を書いた。シリーズ化される予定だったが、評判は芳しくなく、シリーズ化には至らなかった。
1977年には、映画『私を愛したスパイ』のノベライゼーションが出版された(タイトルはJames Bond, The Spy Who Loved Me)。執筆したのは、脚本を担当した小説家クリストファー・ウッド(英語版)。ウッドは、1979年に公開された『ムーンレイカー』の脚本も担当。同様にノベライゼーションを手がけた(タイトルはJames Bond and Moonraker)。映画シリーズで、脚本家がノベライゼーションを担当したのはこの2作だけである。
1981年に発表された『メルトダウン作戦(Licence Renewed)』から、ジョン・ガードナー(英語版)がフレミングを引き継ぐ形で「007シリーズ」を再開させた。ガードナーによる新「007シリーズ」は、作品が発表されるたびに評価が低下していった。独自に展開しているうちに、映画シリーズとは全くかけ離れたものになってしまったのが原因と思われる。その後、1996年からレイモンド・ベンソンがシリーズ3代目の作家として作品を発表したが、6作目(『007/赤い刺青の男(The Man with the Red Tattoo)』で007作家を降りることになった。2008年にはフレミング生誕100年を記念してセバスチャン・フォークス(英語版)により『猿の手を持つ悪魔(Devil May Care)』が発表されたが、あくまでこれは記念作であるためシリーズ化される予定はない。
なお、2002年にベンソンが『007/赤い刺青の男』を発表したとき、日本を舞台とした内容であったことから、日本の一部マスコミが映画の次回作は日本が舞台かと騒いだが、この両者のオリジナル作品が映画化されたことはなく、逆に映画の脚本を基にしたノベライゼーション版をオリジナルに併行して発表しているにすぎない。しかし、作品の舞台となった地方(北海道登別市と香川県直島町)では現在も本作の映画化の実現とロケ誘致を目指した活動を続けている(詳細は該当項目を参照)。
007シリーズ小説一覧
(括弧内は発表年)
イアン・フレミング作品
日本では全て井上一夫によって翻訳された。
長編
- カジノ・ロワイヤル Casino Royale (1953年)- 東京創元社 (創元推理文庫)1963
- 死ぬのは奴らだ Live and Let Die (1954年) - 早川書房 (世界探偵小説全集)1957 のちハヤカワ・ミステリ文庫
- ムーンレイカー Moonraker (1955年) - 東京創元社 (創元推理文庫)1964
- ダイヤモンドは永遠に Diamonds Are Forever (1956年) - 東京創元社(創元推理文庫)1960
- ロシアから愛をこめて From Russia, With Love (1957年) 映画版の邦題は「ロシアより」であるが、小説は「ロシアから」である。 - 東京創元社(創元推理文庫)1964
- ドクター・ノオ Doctor No (1958年)- 早川書房(世界ミステリシリーズ)1959 のちハヤカワ・ミステリ文庫
- ゴールドフィンガー Goldfinger (1959年) - 早川書房(世界ミステリシリーズ)1960 のちハヤカワ・ミステリ文庫
- サンダーボール作戦 Thunderball (1961年) - 早川書房(世界ミステリシリーズ)1962、早川書房(世界ミステリ全集〈13〉)1972 のちハヤカワ・ミステリ文庫
- わたしを愛したスパイ The Spy Who Loved Me (1962年) 映画版の邦題は「私」であるが、小説は「わたし」である。 - 早川書房(世界ミステリシリーズ)1963 のちハヤカワ・ミステリ文庫
- 女王陛下の007 On Her Majesty's Secret Service (1963年)- 早川書房 (世界ミステリシリーズ)1963 のちハヤカワ・ミステリ文庫
- 007は二度死ぬ You Only Live Twice (1964年) - 『007号は二度死ぬ』早川書房(世界ミステリシリーズ)1964 のち『007は二度死ぬ』ハヤカワ・ミステリ文庫
- 黄金の銃を持つ男 The Man With the Golden Gun (1965年) 映画版の邦題は「黄金銃」であるが、小説は「黄金の銃」である。 - 早川書房 (世界ミステリシリーズ)1965 のちハヤカワ・ミステリ文庫
短編集
- バラと拳銃 For Your Eyes Only (1960年) 旧邦題『007号の冒険』(創元推理文庫)1964 のち『バラと拳銃』 (創元推理文庫)1964、のち『薔薇と拳銃』 (創元推理文庫)2007
- バラと拳銃 From a View To A Kill
- 読後焼却すべし For Your Eyes Only
- 危険 Risico
- 珍魚ヒルデブラント The Hildebrand Rarity
- ナッソーの夜 Quantum of Solace
- オクトパシー Octopussy and the Living Daylights (1966年) 旧邦題『007/ベルリン脱出』 早川書房(世界ミステリシリーズ) 1966、のち『オクトパシー』(ハヤカワ・ミステリ文庫)1983
- オクトパシー Octopussy
- ベルリン脱出 The Living Daylights
- 所有者はある女性 The Property of a Lady
その他の作者による007小説
ロバート・マーカム(キングスレー・エイミス)作品
- 007号/ジェイムズ・ボンド白書 The Book of Bond or, Every Man His Own 007(1965年) - キングスレー・エイミス名義。ノンフィクション
- The James Bond Dossier (1965年) - ロバート・マーカム名義
- 007/孫大佐 Colonel Sun(1968年) - ロバート・マーカム名義
ジョン・ガードナー作品
- 「ジョン・ガードナー」も参照
- メルトダウン作戦 License Renewed (1981年)
- スペクターの逆襲 For Special Services (1982年)
- アイスブレーカー Icebreaker (1983年)
- 独立戦争ゲーム Role of Honour (1984年)
- 不死身な奴はいない Nobody Lives Forever (1986年)
- 覚悟はいいかね、ボンド君 No Deals, Mr. Bond (1987年)
- スコーピアスの謎 Scorpius (1987年)
- ミソサザイ作戦 準備完了 Win, Lose or Die (1989年)
- 紳士らしく死ね Brokenclaw (1990年)
- The Man From Barbarossa (1991年)
- Death is Forever (1992年)
- Never Send Flowers (1993年)
- SeaFire (1994年)
- COLD (1996年) アメリカ版は“Cold Fall”
レイモンド・ベンソン 作品
- 007/ゼロ・マイナス・テン Zero Minus Ten (1997年)
- 007/ファクト・オブ・デス The Facts of Death (1998年)
- 007/ハイタイム・トゥ・キル High Time to Kill (1999年)
- Doubleshot (2000年)
- Never Dream of Dying (2001年)
- 007/赤い刺青の男 The Man with the Red Tattoo (2002年)
- 短編(未収録)
- Blast from the Past (1996年)
- Midsummer Night's Doom (1999年)
- 007/ライヴ・アット・ファイヴ Live at Five (1999年)
セバスティアン・フォークス作品
- 「セバスチャン・フォークス(英語版)」も参照
- 007/猿の手を持つ悪魔 Devil May Care (2008年)
ジェフリー・ディーヴァー 作品
- 007/白紙委任状 Carte Blanche (2011年)
アンソニー・ホロヴィツ 作品
ジョン・ピアースン 作品
- ジェイムズ・ボンド伝 James Bond: The Authorized Biography of 007 (1973年)
- ボンド本人へのインタビューという形で、その生い立ちから『黄金の銃を持つ男』の後に至るまで、公私にわたるボンドの半生を描いた大作。ボンドの活躍は全て実話で、イギリス情報部の委嘱を受けたフレミングが「ボンドをフィクションの人物と見せかけてソ連側の魔手から遠ざけるため」実話を小説化したという設定を取っている。本書内の設定によれば、小説シリーズ3作目『ムーンレイカー』だけが「ボンドを架空の人物らしく印象づけるためのフィクション」であるという。なお、本書のインタビューで、ボンドは自分を演じたショーン・コネリーについて「何だあの男は」などと批判的な発言をしている。
ノベライゼーション作品
- 新・私を愛したスパイ James Bond, the Spy Who Loved Me (1977年) クリストファー・ウッド(英語版)著
- 007とムーンレイカー James Bond and Moonraker (1979年) クリストファー・ウッド著
- 消されたライセンス Licence to Kill (1989年) ジョン・ガードナー著
- ゴールデンアイ Goldeneye (1995年) ジョン・ガードナー著
- トゥモロー・ネバー・ダイ Tomorrow Never Dies (1997年) レイモンド・ベンソン著
- ワールド・イズ・ノット・イナフ The World is Not Enough (1999年) レイモンド・ベンソン著
- 007/ダイ・アナザー・デイ Die Another Day (2002年) レイモンド・ベンソン著
派生作品
James Bond Jr.シリーズ
- A View to a Thrill (1992年) John Vincent 著 (Puffin Books) - James Bond Jr. や次世代の二代目Qを主人公にしたシリーズ第1作。原題は「美しき獲物たち」A View to a Kill のもじり。
- The Eiffel Target (1992年) - アニメ作品「James Bond Jr.」 "The Eiffel Missile"のノヴェライズ。
- 踊るのは我らだ Live and Let’s Dance (1992年) - 原題は「死ぬのは奴らだ」Live and Let Die のもじり。邦題はHMMのもの。
- Sword of Death (1992年) - 映画ラストでの原子炉爆発から生還したDr.Noが、 James Bond Jr.と対決する。Dr. Noは本作以降も、TVアニメと小説版で、シリーズを通じての悪の親玉を務める。
- High Stakes (1992年)
- Tunnel of Doom (1993年) Caryn Jenner 著 (Buzz Books) - 以降の作品ではBaron Skarinや殺し屋Jawsが悪役で、Dr. Noは黒幕の扱いで表面に出てこない。
- Barbella’s Revenge (1993年)
- Freeze Frame (1993年) - アニメ作品「James Bond Jr.」 "Weather or Not"のノヴェライズ。
パロディ
- 007は三度死ぬ Sreshchu 007 (アンドレイ・グリャシキ著)
- 共産圏のブルガリアの作家グリャシキによって、冷戦中の1958年に「東側版ジェームズ・ボンド」としてスタートした諜報員アヴァクーム・ザーホフのシリーズは、ブルガリアで非常な人気を得た。そのザーホフを何と本家007と世界を股にかけて対決させた本作は、ザーホフ・シリーズ唯一の日本語訳された作品である。ボンドの名が使えないため、作中では全て「007」表記で、原書ではトラブルをおもんばかって「07」と表記を変えていた。東側作品であるため、当然ながらソ連が主人公の味方、007は敵役で冷酷非情なプロの工作員として描写される。対してザーホフは寡黙で有能、身辺清潔な学者肌スパイとして描かれるが、KGBをはじめとする実際の東側上級工作員にも学者・研究者としての経歴を持つ者が多かった史実と符合する。
- 定吉七番 (東郷隆)
- 東郷隆による日本版007パロディー。大阪商工会議所に所属する『殺人許可証を持つ丁稚』を主人公に描かれる奇想天外なスパイアクションコメディー小説。脇役、敵役キャラクターや細かい場面など、かなり密着したパロディーとなっている。
- 『女王陛下の所有物On Her Majesty's Secret Property』 『From the Nothing, with Love』(伊藤計劃)
- 伊藤計劃のパロディ漫画および短編小説。映画版007のボンド役者の交代を「前任者の殉職と共にその記憶をオーバーテクノロジーで上書きされた別人」という独自解釈で描いている。絶筆に終わった『屍者の帝国』を除けば、事実上の遺作である。
- 『怪盗ジバコ』(北杜夫)
- 連作短編の中の「007号出現す」で、怪盗ジバコと対決する。
映画シリーズ
概要
1954年に『カジノ・ロワイヤル』が短編テレビドラマ化された(主演:バリー・ネルソン)が、1950年代を通じてそれ以外の映像化の例は確認されていない。このドラマで敵役ル・シッフルを演じたのは、『M』、『暗殺者の家(英語版)』、『マルタの鷹』などの映画で知られる名優ピーター・ローレだった。
その後、2人のプロデューサーが007に関心を抱いたことで本格的な映画化が始まった。
なお、各作品作成時の国際情勢・各国国内情勢が各作品に多かれ少なかれ影響されてはいるが、各作品は娯楽作品に徹し、敵役は実在の国家政府・犯罪組織・企業などとはかけ離れた存在の設定が多い。
また、冷戦時代の作品でも、ソ連政府それ自体を主敵とした作品は少ない。例として、1983年の作品ではソ連政府の急進派政治家を敵の一つとする、あるいは1960年代の『ロシアより愛をこめて』ではソ連も敵だが二次的な敵であり、いずれも「主敵」ではない。ただし、1995年の作品では、冒頭での任務はソ連の神経ガス工場の破壊任務であったが、これはむしろ冷戦終結後の時代との対比のための設定と見るべきである。逆に1970年代の作品ではKGB幹部と共闘したり、ソ連スパイと協力して敵を倒した作品も存在する。冷戦時代、各作品でのソ連などの共産圏の扱いは、「雪解けのバロメーター」とさえされた。
イオン・プロダクション
1960年頃、フレミングの原作を読んだプロデューサーのアルバート・R・ブロッコリは、「これは映画化に向いている」と感じ、フレミングに交渉を求めた。しかし、フレミングは映像権を一足先にハリー・サルツマンに売り渡していた。ブロッコリは直ちにハリー・サルツマンと接触、二人は手を組んでイオン・プロダクションを設立し、協力して007映画の製作に当たることになった。
検討の結果『ドクター・ノオ』が映像化に最も向いていると判断され、ユナイテッド・アーティスツを配給会社に、職人肌の監督テレンス・ヤングを当てて映画化した(1962年公開。邦題は『007は殺しの番号』)。この映画は低予算ながらも、予想以上の大ヒットとなった。主役のショーン・コネリーはこの1作で成功、ボンドは彼の当たり役となった。モンティ・ノーマン作曲、ジョン・バリー編曲、演奏の「ジェームズ・ボンドのテーマ」も大好評で、以後の作品のオープニングで、ボンドを狙う銃口が逆に撃たれて血を流すシーンと共に必ず流されるようになった。
この作品のヒットに影響され、1960年代中期には「007もどき」のB級スパイ映画が世界各国で濫造されたが、一つとして007を超える成功を収めたものはなかった。
『007 ドクター・ノオ』以後、イオン・プロダクションによってプロデュースされる007映画は、主演俳優を幾度か変えつつも、現在に至るまで人気シリーズとして存続している。
1970年代初期以降の作品は、フレミングの小説から題名のみを借りたシナリオライターによるオリジナルストーリーで、原作とほとんど無関係となっている。その内容は、派手な設定とグラマラスな美女、大物俳優のゲスト出演をセットとした、エンターテインメントの王道とも言うべきもので、設定は全般にマンネリズムの傾向が強い。
ブロッコリとサルツマンの反目
アルバート・ブロッコリとハリー・サルツマンは、1970年代初期まで共同プロデューサーを務めていたが、ブロッコリの娯楽路線に、原作派で文芸趣味のあるサルツマンは次第に反発するようになる。レン・デイトンが007へのアンチテーゼとして執筆した難解なスパイ小説『イプクレス・ファイル』をマイケル・ケイン主演で『国際諜報局』(1965年、シドニー・J・フューリー監督)として映画化させたのは、他ならぬサルツマンだった。
サルツマンの意見を元に製作され、リアリティやロマンチシズムへの傾倒があった『女王陛下の007』の興行成績が芳しくなかった一方、続いてブロッコリの意見を元に製作された荒唐無稽で派手なストーリーの『ダイヤモンドは永遠に』の興行成績が良かったことから、ブロッコリが主導権を握るようになった。
結局、サルツマンはイオン・プロダクションから離脱し、それ以降、イオン・プロダクションはアルバート・ブロッコリとその一族が支配することになる。
『カジノ・ロワイヤル』
小説のシリーズ第1作『カジノ・ロワイヤル』だけは、権利関係の錯綜からイオン・プロは権利を押さえることができなかった。
この作品はコロンビア映画が制作権を得て、ジョン・ヒューストンら5人の監督によって共同で映画化された(1967年公開『007/カジノロワイヤル』)。実際にはさらに多数の監督が関わっているとも言われ、製作過程は混乱の上の混乱を極めた。デヴィッド・ニーヴン、ピーター・セラーズら実力派の名優を総動員しながら、結果としては原作から別次元に乖離した奇想天外なドタバタパロディ作品として作られており、最初から最後までギャグとジョークと人を食った展開が連発されるナンセンスものの怪作である。
現在では、1960年代中期のポップ・カルチャーの影響を色濃く残すユニークな映画としてカルト的評価を受けており、のちのヒット映画『オースティン・パワーズ』シリーズにも強い影響を与えている。本来の映画007シリーズとは異なった層の評価の高い作品である。
番外編『ネバーセイ・ネバーアゲイン』
1982年に、007映画から離れていたショーン・コネリー主演で『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(アーヴィン・カーシュナー監督)が制作された。タイトルは、コネリーの妻が再び007になる夫に言った言葉からつけられた。
これは1961年にフレミングが書いた『サンダーボール作戦』(1965年にイオン・プロダクションのシリーズ第4作としてテレンス・ヤング監督、コネリー主演で映画化)の、イオン・プロダクションから離れた形での再映画化である。この作品も権利関係の混乱による産物であり、以後、イオン・プロダクション以外で007映画は制作されていない(上記のような理由から、007映画にはおなじみのオープニングテーマと、オープニングでボンドを狙う銃口から逆に撃たれて血を流すシーン(ガンバレル・シークエンス)は使用されていない)。
2000年頃に『ネバーセイ・ネバーアゲイン』のプロデューサーとソニー・ピクチャーズが組んで、イオン・プロダクションとは無関係の新007シリーズを製作すると発表した。イオン・プロダクションとMGM(ユナイテッド・アーティスツを買収)はこれに反発し、事態は法廷闘争に持ちこまれ、最終的にソニー・ピクチャーズは新007の製作を断念した。ところが2005年、経営難に陥ったMGMをソニーを始めとする投資家グループ(コンソーシアム)が買収した。これによりソニー・ピクチャーズは本家「007」映画に携わる権利を得ることとなった。
メイン・タイトル
映画シリーズは最初からタイトル・デザインの面白さでも知られる。タイポグラフィ(字体)が変幻自在なソール・バスやカイル・クーパーとは異なる独自のスタイルが今日まで一貫している。
第1作『ドクター・ノオ』ではスタンリー・ドーネン作品で知られていたモーリス・ビンダーを招聘した幾何学パターンを用いたアニメーション作品。第2 - 3作ではロバート・ブラウンジョン(英語版)が女性の身体に文字や作品のワンシーンが投射されるという奇抜な映像を提供し、女性をモチーフにしたスタイルが確立された(ブラウンジョンはタイトル・デザイナーとしては寡作で、007シリーズ2作の他には『スパイがいっぱい(英語版)』(1965年)と『将軍たちの夜』(1967年)があるだけである)。
第4作『サンダーボール作戦』からはビンダーが再び担当し、女性のシルエットを多用したスタイルが続くが、1991年にビンダーが亡くなり、『ゴールデンアイ』以降はビンダーの助手で1980年代からマドンナやヴァン・ヘイレンのミュージック・ビデオを多数手がけているダニエル・クラインマン(英語版)が、デジタル合成を駆使しつつビンダー/ブラウンジョンのスタイルを受け継いだ。
音楽
イオン・プロの007シリーズは、モンティ・ノーマン(英語版)作曲による「ジェームズ・ボンドのテーマ(英語版)」と、初期〜中期の音楽監督ジョン・バリーのオーケストレーションが、007サウンドの基本スタイルを作り上げた。(わずかな例外を除けば)メインタイトルバックには、ボーカル入りのテーマ曲がかかるのが通例になっており、時代ごとの一流ミュージシャン・歌手が参加。映画と共にテーマ曲もヒットした。『トゥモロー・ネバー・ダイ』から『慰めの報酬』まで音楽を手がけていたデヴィッド・アーノルドは、元々007映画の大ファンで、歴代テーマ曲のカヴァー・アルバム『Shaken And Stirred 』を発表したことが起用のきっかけになった。
メインテーマ
メインテーマ曲を最も多く歌っているのは、シャーリー・バッシー。『ゴールドフィンガー』、『ダイヤモンドは永遠に』、『ムーンレイカー』の3回。
第1作『ドクター・ノオ』のオープニング曲は「ジェームズ・ボンドのテーマ」で、ボーカルのメインテーマはない。第6作『女王陛下の007』もメイン・テーマはインストゥルメンタル曲だが、ルイ・アームストロングが歌った挿入歌「愛はすべてを超えて」("We Have All the Time in the World") が劇中に流れる。なお、『女王陛下の007』のセルVHSでは特典として "We Have All the Time in the World" がエンドクレジット後に流れるバージョンのものが一時期販売されていたが、現在流通されているDVD版には収録されていない。
イオン・プロ以外の007映画の音楽
1967年のパロディ版『007/カジノロワイヤル』は全編の作曲・編曲がバート・バカラック、演奏がハーブ・アルパートとティファナ・ブラスという組み合わせであった。ダスティ・スプリングフィールドが歌った挿入歌「恋の面影」("The Look of Love") は、本家イオン・プロのナンバー以上にスタンダードとして愛されている。
『ネバーセイ・ネバーアゲイン』の映画音楽は、映画音楽界の大御所ミシェル・ルグランが担当、主題歌はラニ・ホール(英語版)が歌う Never Say Never Again で、本家に勝るとも劣らない豪華なものである。ただし、この映画公開当時は、サウンドトラックのアルバムが存在せず、映画音楽紹介番組では映画からの同録がそのまま放送されていた。
不採用になった007映画の音楽
- 『007/サンダーボール作戦』には、制作されたが実際に使われなかった「Mr Kiss Kiss Bang Bang」 Shirley Basseyが存在する[12]。
- 1981年、Blondieが『007 ユア・アイズ・オンリー』の主題歌候補として「For Your Eyes Only」(詞も曲も異なる)を歌うが、最終選考でシーナ・イーストンに敗れた[13]。ただし、曲はBlondieのアルバムにも収録され、発売されている。
シリーズ一覧
番外
『007/カジノロワイヤル』(Casino Royale, 1967年)
- 共同監督:ジョン・ヒューストン、ケン・ヒューズ、ヴァル・ゲスト、ロバート・パリッシュ、ジョセフ・マクグラス
- 出演:ピーター・セラーズ、ウルスラ・アンドレス、デヴィッド・ニーヴン、オーソン・ウェルズ、ウディ・アレン、ジョアナ・ペテット
『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(Never Say Never Again, 1983年)
『幸福と栄光を』(Happy and Glorious, 2012年)
主演俳優一覧
俳優名 | 生年月日 | 初主演作 | 最終主演作 | 主演 本数 | ||||
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タイトル | 公開年 | 年齢 | タイトル | 公開年 | 年齢 | |||
ショーン・コネリー | 1930年8月25日 | 007 ドクター・ノオ | 1962年 | 32歳 | ネバーセイ・ネバーアゲイン | 1983年 | 53歳 | 7作品[17] |
ジョージ・レーゼンビー | 1939年9月5日 | 女王陛下の007 | 1969年 | 30歳 | 女王陛下の007 | 1969年 | 30歳 | 1作品 |
ロジャー・ムーア | 1927年10月14日 | 007 死ぬのは奴らだ | 1973年 | 46歳 | 007 美しき獲物たち | 1985年 | 58歳 | 7作品 |
ティモシー・ダルトン | 1946年3月21日 | 007 リビング・デイライツ | 1987年 | 41歳 | 007 消されたライセンス | 1989年 | 43歳 | 2作品 |
ピアース・ブロスナン | 1953年5月16日 | 007 ゴールデンアイ | 1995年 | 42歳 | 007 ダイ・アナザー・デイ | 2002年 | 49歳 | 4作品 |
ダニエル・クレイグ | 1968年3月2日 | 007 カジノ・ロワイヤル | 2006年 | 38歳 | 007 スペクター | 2015年 | 46歳 | 4作品 |
- ダニエル・クレイグに関しては、「007 スペクター」は2015年現在の『最新』出演作で、『最終』出演作ではない。
- Sean Connery 1980 Crop.jpg
初代ボンド
ショーン・コネリー
1980年 - GeorgeLazenby11.14.08ByLuigiNovi.jpg
2代目ボンド
ジョージ・レーゼンビー
2008年 - Sir Roger Moore Allan Warren.jpg
3代目ボンド
ロジャー・ムーア
1973年 - Timothy Dalton 1987.jpg
4代目ボンド
ティモシー・ダルトン
1987年 - PierceBrosnan(CannesPhotoCall).jpg
5代目ボンド
ピアース・ブロスナン
2002年 - Craig premiere new york.jpg
6代目ボンド
ダニエル・クレイグ
2008年
吹き替え声優
ボンド | 俳優 | 声優 | バージョン | 担当作品 |
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初代 | ショーン・コネリー | 若山弦蔵 | ソフト版 | 全作品 |
TBS版 | 『ゴールドフィンガー』と 『ネバーセイ・ネバーアゲイン』を除く全作 | |||
日本テレビ版 | 『ゴールドフィンガー』 | |||
フジテレビ版 | 『ネバーセイ・ネバーアゲイン』 | |||
機内版 | ||||
日高晤郎 | NETテレビ版 | 『ゴールドフィンガー』 | ||
TBS版 | 『ロシアより愛をこめて』 | |||
内海賢二 | 『ダイヤモンドは永遠に』 | |||
2代目 | ジョージ・レーゼンビー | 小杉十郎太 | ソフト版 | 全作品 |
広川太一郎 | TBS版 | |||
3代目 | ロジャー・ムーア | ソフト版 | ||
TBS版 | ||||
羽佐間道夫 | 機内版 | 『オクトパシー』 | ||
4代目 | ティモシー・ダルトン | 大塚芳忠 | DVD/BD版 | 全作品 |
田中秀幸 | VHS版 | 『消されたライセンス』 | ||
小川真司 | TBS版 | 全作品 | ||
鈴置洋孝 | テレビ朝日版 | 『リビング・デイライツ』 | ||
山寺宏一 | 『消されたライセンス』 | |||
津嘉山正種 | 機内版 | 『リビング・デイライツ』 | ||
谷口節 | 『消されたライセンス』 | |||
5代目 | ピアース・ブロスナン | 神谷明 | ソフト版 | 『ゴールデンアイ』 『トゥモロー・ネバー・ダイ』 |
横島亘 | 『ワールド・イズ・ノット・イナフ』 『ダイ・アナザー・デイ』 | |||
田中秀幸 | テレビ朝日版 | 全作品 | ||
江原正士 | フジテレビ版 | 『トゥモロー・ネバー・ダイ』 | ||
6代目 | ダニエル・クレイグ | 小杉十郎太 | ソフト版 | 『カジノ・ロワイヤル』 『慰めの報酬』 |
藤真秀 | 『スカイフォール』 『スペクター』 | |||
テレビ朝日版 | 『カジノ・ロワイヤル』 | |||
キングレコード版 | 『慰めの報酬』 | |||
BSジャパン版 |
50周年 10月5日はジェームズ・ボンドの日
2012年10月5日は、第1作『ドクター・ノオ』が1962年10月5日にイギリスで初上映してからちょうど50周年にあたり「ジェームズ・ボンドの日」(GLOBAL JAMES BOND DAY)として007関連イベントを実施した。
- シリーズ誕生50周年記念作品である第23作『007 スカイフォール』のアデルが歌う主題歌「スカイフォール」は、「007」にちなんで2012年10月5日のイギリス時間「0時7分(0:07)」に世界一斉解禁された。
- イギリスのオークションハウスであるクリスティーズでは、「ジェームズ・ボンドの50年 - ザ・オークション」(50 YEARS OF JAMES BOND – THE AUCTION)というチャリティー・オークションが開催された。シリーズ誕生50周年記念作品である第23作『スカイフォール』まで全23作のゆかりのアイテム計50点を出品。うち40点はオンライン・オークションにかけられ、少なくとも3点は日本人が落札して日本に空輸された。50点のうち残りの10点は10月5日ジェームズ・ボンドの日にクリスティーズにて招待者限定のオークションを実施。オンライン・オークションでは、日本が舞台の第5作『007は二度死ぬ』(1967年)で初代ボンドのショーン・コネリーが劇中で敵の基地に登るために使用した装備や、第9作『黄金銃を持つ男』(1974年)で登場した黄金のバックルの中に銃弾が仕込まれたベルトなど、劇中に登場した小道具や衣装、宣伝で使用されたポスターや劇場パネルなどが出品。招待者限定オークションでは、第21作『カジノ・ロワイヤル』(2006年)で6代目のダニエル・クレイグが海から登場する際に着用していた水泳用パンツや、シリーズ誕生50周年記念作品である第23作『スカイフォール』で着用したトム・フォードのスーツとタキシード、オメガの時計、最新作のプレミアに参加できる権利などが出品された。また、第22作『慰めの報酬』(2009年)で使用した車アストンマーティンDBSも出品され、予想落札価格が12万から17万ポンド(約1500万から2130万円)という今回のオークションの中でも最高値が予想された[18]。ボンドの大ファンというサッカー選手デビッド・ベッカムやクリスティアーノ・ロナウドがアストンマーティンを狙っているという話も報じられた。
007の悪役(メイン・ヴィラン)
小説・映画共通
- ル・シッフル
- ミスター・ビッグ
- サー・ヒューゴ・ドラックス
- ローザ・クレッブ
- ドクター・ノオ(Dr.Julius No)[19]
- オーリック・ゴールドフィンガー
- アリスト・クリスタトス・・・「危険」Risico[20]
- ミルトン・クレスト・・・「珍魚ヒルデブランド」The Hildebrand Rarity[21]
- エミリオ・ラルゴ[22]
- エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド(Ernst Stavro Blofeld)[23]
- カール・ストロンバーグ・・・『新・私を愛したスパイ』 James Bond, the Spy Who Loved Me
- カマル・カーン・・・「所有者はある女性」The Property of a Lady[24]
- フランシスコ・スカラマンガ(Francisco Scaramanga)
小説のみ
- セラフィモ・スパング・・・『ダイヤモンドは永遠に』Diamonds are Forever
映画のみ
- マックス・ゾーリン
- フランツ・サンチェス
- ブラッド・ウィテッカー
- アレック・トラベルヤン
- エリオット・カーヴァー
- エレクトラ・キング
- ムーン大佐
- ドミニク・グリーン
- ラウール・シルヴァ
漫画
欧米
- 英国では、Gilberton Company, Inc.からClassics Illustrated のレーベルで「Dr. No」 が漫画化され出版。アメリカでは、DC ComicsからShowcaseのレーベルで発売された。
ストーリーは映画とほぼ同じだが、原子炉で格闘中に、ボンドを殴るドクター・ノオの金属製義手が勢い余って、計器に触れて感電死するラストになっている[25]。
日本
日本では貸本劇画において人気を不動のものとしたさいとう・たかをが、青年向けの総合誌『ボーイズライフ』に執筆した。貸本から雑誌に活躍の場を移す転機となった。
1960年代に入ってから小説と映画で人気の出始めたイアン・フレミングの007シリーズを翻案した企画物。基本の設定や物語のアウトライン以外は大幅にアレンジされている。原作のタイトルは正確には「ダブルオーセブン」だが、この作品発表当時は公開された映画も含め「ゼロゼロセブン」と呼んでいた。石ノ森章太郎(当時のペンネームは石森章太郎)の『サイボーグ009』、『00指令(ゼロゼロしれい)』、複数の漫画家による連作漫画『00X(ゼロゼロエックス)』もこの呼称がタイトルの元になっている。
さいとうはガンアクション、カーアクションをふんだんに盛り込んだスリリングでスピーディーな展開を写実的な画風で描いて、新しいタイプのアクション漫画に仕上げている。従来の漫画と異なった表現方法としての劇画の定着を図ったさいとうの思惑が如実に現れ、当時まだ漫画を読む層として認識されていなかった青年層の一般読者に貸本劇画の魅力を知らしめ、後の劇画ブームの火付け役となった。
初の漫画の新書判単行本として小学館が発行したゴールデンコミックスの第1弾がこの作品と白土三平の『カムイ外伝』だったことはその後の劇画ブームの質と性格をよく表している。
シリーズは『死ぬのは奴らだ』、『サンダーボール作戦』、『女王陛下の007』、『黄金銃を持つ男』の全4作。小説や映画と異なり、第3作までのボスはブロフェルドではなく、『死ぬのは奴らだ』に引き続き、ミスター・ビッグになっている。(『サンダーボール作戦』でもエミリオ・ラルゴを手下に従えている。)
ゲーム作品
テーブルトークRPG
1983年にアメリカのビクトリー・ゲームズよりテーブルトークRPG『James Bond 007: Role-Playing In Her Majesty's Secret Service 』が発売された。御都合主義をルール化したヒーローポイントを初めて採用したゲームとして知られる。
基本システムに続き、以下のような映画をモチーフとした追加システム、追加シナリオなどが発売されている。
- Goldfinger
- Octopussy
- Dr. No
- You Only Live Twice
- Live and Let Die
- Goldfinger II - The Man With The Midas Touch
- The Man with the Golden Gun
- A View to a Kill
- You Only Live Twice II: Back of Beyond
- For Your Eyes Only
- On Her Majesty's Secret Service
日本においては、1986年にホビージャパンより基本システムの日本語訳が『ジェームズ・ボンド 007 RPG』として箱入りで発売された。また、追加シナリオとして『ゴールドフィンガー』のみ、日本語訳が発売されている。
同社が発行していた雑誌『タクテクス』では、リプレイの連載も掲載されていた。
プレイヤーは各能力値に値を任意に割り振ってキャラクターを作成する。本作において「容貌」の能力値は値が大きいほうが人々の記憶に残らない、目立たない容貌となっている。このため、筋力や敏捷性といった行動に必要な能力値を高く設定すると容貌の値は低くなり、美男美女の00要員が出来上がることになる。また、映画での007の行動を再現するために異性を「誘惑」するための専用ルールが設けられていた[26]。
ビデオゲーム
007シリーズのゲーム化権利はエレクトロニック・アーツが2010年まで保有することになっていたが、2006年の『カジノ・ロワイヤル』でボンド役がダニエル・クレイグに移ったため、肖像権の問題により契約を破棄した。以降は、アクティビジョンがゲーム化権利を保有することとなった。
- 作品一覧
- 007 ジェームズ・ボンド 007 James Bond (1984年、ツクダオリジナル)
- 007 死闘 James Bond The Duel (1993年、テンゲン)
- ゴールデンアイ 007 GoldenEye 007 (1997年、任天堂)(2011年、アクティビジョン)
- 007 ブラッドストーンGB James Bond 007 (1998年、任天堂)
- 007 トゥモロー・ネバー・ダイ Tomorrow Never Dies (1999年、エレクトロニック・アーツ)
- The World Is Not Enough (2000年、エレクトロニック・アーツ)
- 007 Racing (2000年、エレクトロニック・アーツ)
- Agent Under Fire (2001年、エレクトロニック・アーツ)
- 007 ナイトファイア Nightfire (2002年、エレクトロニック・アーツ)
- 007 エブリシング オア ナッシング Everything or Nothing (2004年、エレクトロニック・アーツ)
- ゴールデンアイ ダーク・エージェント GoldenEye: Rogue Agent (2004年、エレクトロニック・アーツ)
- 007 ロシアより愛をこめて From Russia with Love(2005年、エレクトロニック・アーツ)
- 007 慰めの報酬 Quantum of Solace (2008年、アクティビジョン)
- 007 ブラッドストーン James Bond 007: Blood Stone (2010年、アクティビジョン)
ジェームズ・ボンドのモデル
ジェームズ・ボンドの作品は前述のように、イアン・フレミングのMI6時代の経験が基になっている。しかし、ボンドのモデルになった実在の人物が複数存在する。彼がボンドの直接的なモデルとして選んだのは、ドゥシャン・ポポヴというMI6工作官だった。MI6にいた頃のフレミングの任務は、ポポヴの監視だった。
ポポヴはユーゴスラビア出身で、第二次世界大戦時のノルマンディー上陸作戦が行われる直前、ドイツに欺瞞情報を流し、作戦の成功につなげた実績がある。また、女優たちと交際を持ったり、カジノで大金を使ったりなど、豪勢な振る舞いをしていたとされている。
007モデル商品
- 時計
- ライター
- S.T.デュポン007プラチナ・ライン
- 髭剃り
- シック・ジャパンウルトラ
- 携帯電話
- ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズCyber-shot K800/K790 シルバー
- パソコン/デジタルカメラ
- ソニーSony VAIO TX 007 Bond Bundle (デジタルカメラのサイバーショットT50とアルミケースのセット)
- スーツ
- 自動車
- アストンマーチン Q by Aston Martin(究極のオーダーシステム)
関連項目
- ボンドカー
- ボンドスーツ
- ボンドガール
- 001/7親指トム
- 定吉七番
- アストンマーティン
- トヨタ
- ロータス
- BMW
- 007シリーズ(漫画)
- オースティン・パワーズ(007シリーズのパロディ)
- ワルサーPPK
- ワルサーP99
- ワルサーP5
- MI6
- ジェームズ・ボンド (小惑星) - 小惑星番号に"007"が含まれることから命名
- ジェームズ・ボンド (鳥類学者) - 名前の由来となった鳥類学者
- ジェームズ・ボンド・ストックデール - アメリカ海軍の軍人
脚注
- ↑ “AFI's 100 GREATEST HEROES & VILLAINS” (英語). AFI.com. . 2014閲覧.
- ↑ “AFI'S 100 GREATEST MOVIE QUOTES OF ALL TIME” (英語). AFI.com. . 2014閲覧.
- ↑ この設定は初代ボンド俳優ショーン・コネリーの出自に基づく原作最後期に付けられたいわゆる、後付けのもの
- ↑ 英語圏では、慣用的に、電話番号などの「0(零)」をアルファベットの「O(オー)」で読み替えることがある。また、同じ数字やアルファベットが連続する場合には、「ダブル…」や「トリプル…」といった形容詞をつけて読み替えることがある。
- ↑ ただし、日本では近年「ダブル・オー・セブン」が多く使われる傾向にある
- ↑ 「Coca-Cola Zero Zero 7」
- ↑ 実際には007を愛読していたのはケネディ夫人のジャクリーンだったとも言われている
- ↑ 星新一 『きまぐれ博物誌』 角川文庫 [ほ-3-4] ISBN 978-4041006009、169p
- ↑ と学会 編 『トンデモ本の逆襲』 宝島社文庫 ISBN 479661690X、170p。当該箇所の執筆は唐沢。
- ↑ ジョン・ガードナーとアンソニー・ホロヴィツは、「モリアーティ教授もの」と「007シリーズ」の双方で続編を書いた作家となった。
- ↑ 「007 逆襲のトリガー」 (角川書店)帯カバー、解説など
- ↑ Wikipedia「Thunderball」の項目など
- ↑ ブロンディ (バンド) - Wikipedia
- ↑ 日本初公開時の邦題は『007は殺しの番号』。
- ↑ 日本初公開時の邦題は『007 危機一発』。
- ↑ ダニー・ボイル、『007』シリーズ最新作の監督に決定(Cinema Café net、2018年3月16日)
- ↑ 『ネバーセイ・ネバーアゲイン』を含む。
- ↑ アストンマーティンDBSの実際の落札価格は389,377ドル(約3058万円)となった。
- ↑ James Bond Jr.にもシリーズを通してのレギュラー悪役として登場する。
- ↑ 映画は『ユア・アイズ・オンリー』
- ↑ 映画は『消されたライセンス』
- ↑ 『ネバーセイ・ネバーアゲイン』ではマクシミリアン・ラルゴ(スペクターNO.1)
- ↑ 『ネバーセイ・ネバーアゲイン』ではブロフェルド(スペクターNO.2=首領)
- ↑ 映画は『オクトパシー』
- ↑ Wikipedia(English)「James Bond (comics)」の項目
- ↑ 『タクテクス』No.52 1988年3月号(ホビージャパン)
外部リンク