鳳輦
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鳳輦(ほうれん)は、「屋根に鳳凰の飾りのある天子の車」を意味する言葉で[1]、日本においては、古くから、天皇の正式な乗り物を意味するほか、現代では神社の祭りなどに使われる、鳳凰の飾りがある神輿を意味する。
形態
神輿は、日本の神社の社殿を小型化したかたちであるのに対し、鳳輦は台の上に4本の柱と屋根があるかたちになっており、「人が乗って移動する車」という、もともとの用途に適した形態をとっている[2]。
語意
「輦」は、二人の人夫が並んで引く車を表し、意味は「人の引く車」「荷車」「天子の乗る車」など[1]。つまり、輦の字だけなら、人が引く車全般、あるいは、天子が乗る車全般を指すことになる。「鳳輦」という熟語は、車の中でも特に「鳳凰の飾りのある天子の車」を意味するほか、「仙人の乗る車」を意味するときもある[1]。
歴史
天皇の行幸など公的な外出では鳳輦が用いられ、私的な外出では屋根に葱花を載せた葱花輦(そうかれん)用いられたとされているが、元々は天皇の即位儀礼の際に限って鳳輦が用いられていたとみられている[3]。
1868年7月、明治新政府は江戸という地名を東京に変えて東京府を開設し、その翌年、1869年3月の東京行幸において、天皇は鳳輦に乗って東京に移動していった[4]。
1891年に大日本帝国陸軍の近衛兵が改称されて成立した「近衛師団」は、「鳳輦供奉」(ほうれんぐぶ)と称して、天皇や皇居の警備の役割などを果たした。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 鎌田正、米山寅太郎 『新版 漢語林』 大修館書店(原著1994-4-1)、七版。ISBN 9784469031072。
- ↑ 深見東州 『全国の開運神社案内 並装版』 たちばな出版(原著1999-6-30)、初版。ISBN 9784813311393。
- ↑ 永田英明「天皇の行幸」館野和己・出田和久 編『日本古代の交通・流通・情報 2 旅と交易』(吉川弘文館、2016年) ISBN 978-4-642-01729-9 P97-98
- ↑ 全国歴史教育研究協議会 『日本史B用語集―A併記』 山川出版社(原著2009-3-30)、改訂版。ISBN 9784634013025。
参考文献
- 鎌田正、米山寅太郎 『新版 漢語林』 大修館書店(原著1994-4-1)、七版。ISBN 9784469031072。
- 深見東州 『全国の開運神社案内 並装版』 たちばな出版(原著1999-6-30)、初版。ISBN 9784813311393。
- 全国歴史教育研究協議会 『日本史B用語集―A併記』 山川出版社(原著2009-3-30)、改訂版。ISBN 9784634013025。