鳥居峠 (長野県)
鳥居峠 | |
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標高 | 1,197 m |
所在地 | 長野県塩尻市・木曽郡木祖村 |
位置 | 東経137度47分47秒北緯35.95167度 東経137.79639度 |
鳥居峠(とりいとうげ)は、長野県の塩尻市奈良井と木曽郡木祖村藪原を結ぶ峠。標高は1,197m。峠山の標高は約1,415.7m、旧中山道の難所であった。
概要
古くは吉蘇路(きそじ)の「県坂」(あがたざか)、中世には「ならい坂」「薮原峠」と呼ばれた。国境に位置しているので、中世には戦いが何度も行われた。甲州征伐における織田方木曾義昌と武田勝頼の戦いで命を落とした武田方の兵士500人を埋葬したという「葬沢」なる沢もある。木曾義元が御嶽山に戦勝祈願のため、峠に鳥居を建てて以来、鳥居峠と呼ばれるようになったといわれている。
峠の東側を北に向かって流れる奈良井川(日本海側河川)と、西側を南に向かって流れる木曽川(太平洋側河川)との中央分水嶺。木曾谷地方の信濃国編入以前は、ここと境峠(長野県道26号奈川木祖線)が信濃国と美濃国の国境であった。
交通
鳥居峠を通過する交通路は6本あり、うち1本が歩道、3本が車道、2本が鉄道である。
歩道および車道は以下の通りである。
- 江戸時代以来の旧中山道を信濃路自然歩道(1971年(昭和46年)指定)として整備したもの
- 1890年(明治23年)の長野県による七道開削事業により初めて車道として開通した明治新道
- 1955年(昭和30年)に開通した鳥居隧道(延長1,111m)を通る国道19号旧道
- 1978年(昭和53年)に開通した新鳥居トンネル(延長1,738m)を通る国道19号現道(現在の中山道)
このうち鳥居隧道は封鎖されており通行不能だが、旧中山道と明治新道は現在でも通行できる。
鉄道は、国鉄(現在のJR東海)中央本線が延長1,673mの鳥居トンネル(1910年(明治43年)10月5日開通、1921年(大正10年)延伸補強)を通行していたが、前後の急勾配・急カーブを解消するため、1969年(昭和44年)9月に延長2,157m・複線断面の新鳥居トンネルを通行するよう切り替えられた。
峠の前後
奈良井宿は、妻籠宿と並ぶ木曾路でも栄えた宿場町であった。宿屋が千軒並んでいたとも言われ(奈良井千軒)、重要伝統的建造物群保存地区として現在も風情を楽しむことが出来るようになっている。国道19号沿い、中央本線奈良井駅から800mほどであり、近辺には木曽の大橋、高札場跡、鎮神社、上問屋史料館、旧楢川村歴史民俗資料館などがある。
奈良井から旧街道を登っていくと、武田氏と木曾氏の古戦場があり、水場・トイレ・峠の茶屋の休憩所があり、展望があり(西方向に御嶽山、南方向に駒ヶ岳)、立派な栃の木があり、木曾義仲の硯水があり、さらに上がって峠の頂点には御嶽神社がある。道中ところどころに「熊よけの鐘」が備え付けられている。
藪原側へ下っていくと、中央本線藪原駅から1,200mほどのところに尾張藩の鷹匠役所跡(お鷹城)があり、900mほどのところに藪原神社がある。この近辺から藪原駅までの間に、極楽寺(宝蔵庫)、宮川家史料館 、高札場跡、ギャラリー、木祖村資料館(お六櫛博物館)などがあり、再び国道19号まで降りてくる。
奈良井宿から藪原宿までは8km、徒歩約3時間半の道程である。
関連著作
- 菊池寛『恩讐の彼方に』