飛騨川
飛騨川(ひだがわ)は、木曽川水系の支流で一級河川。岐阜県北部から南部にかけて流れる。
地理
飛騨山脈の乗鞍岳(標高3,026m)南麓に発し西流、岐阜県高山市久々野町で南流に転じる。御嶽山などから流れ出る多くの流れを集め、渓谷を成しながら美濃加茂市東部に至り、JR東海美濃川合駅付近で木曽川に注ぐ。流量が多いため、ダムや発電所が多い。
元々「飛騨川」は馬瀬川との合流点である下呂市金山地域の金山橋以南(主に美濃国)の称で、合流点以北は「益田川(ましたがわ)」と呼ばれていたが、河川法の改正により、旧益田川を飛騨川に編入した。ただし、地元では今でも「益田川」で通じる。毎年鮎釣りの大会が開催されている。
下呂市から美濃加茂市までの間は、大部分が飛騨木曽川国定公園に指定されている。また、七宗町の上麻生駅の上流の飛水峡の岩場にある甌穴群は、国の天然記念物に指定されており、高山本線の特急「ひだ」では必ずと言っていいほど肉声で案内の車内放送が流れる。
また、上麻生駅の1kmほど下流の川岸の岩場の礫から、日本最古の石がみつかっている。この岩体は上麻生礫岩と呼ばれている。現在、近くの日本最古の石博物館で常設展示されている。
飛騨川に沿って国道41号が美濃加茂市から高山市久々野町まで通過している。飛水峡、中山七里等を通過する観光道路であり下呂温泉へ向かう唯一の幹線道路である。交通量も多く山間部でありながらトラックやバスなど大型車両が頻繁に通過する。異常気象時には通行止めになる区間が多い。1968年(昭和43年)8月、乗鞍岳登山に向かう観光バス15台中2台が折からの昭和43年台風第7号による豪雨(昭和43年8.17水害)で発生したがけ崩れの直撃を受け、上麻生ダム直下流地点の飛騨川に転落した。この飛騨川バス転落事故は日本のバス事故史上最悪の惨事となり、乗員・乗客107人中104人が死亡した。現在事故地点には「天心白菊の塔」という慰霊碑が建立され、上麻生ダム管理所の職員によって清掃・献花が行われている(事故の詳細は飛騨川バス転落事故を参照)。
流域の自治体
支川を含む流域面積は2159km2、圏域の年平均降水量は2000㎜-2500㎜、人口は約11万人(2000年)である[1]。
主な支流
流域の観光地
主な河川施設
ダム
名称 | ダム形式 | 事業者 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
飛騨川本川 | 高根第一ダム | アーチ式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | 高山市 |
高根第二ダム | 中空重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | ||
朝日ダム | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | ||
久々野ダム | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | ||
小坂ダム | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | ||
東上田ダム | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | 下呂市 | |
瀬戸ダム | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | ||
下原ダム | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | ||
大船渡ダム[2] | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | ||
七宗ダム[2] | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | ||
名倉ダム[2] | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | 加茂郡白川町 | |
上麻生ダム[2] | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | ||
川辺ダム | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | 加茂郡川辺町 | |
秋神川 | 秋神ダム | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | 高山市 |
大ヶ洞川 | 大ヶ洞ダム | 重力式コンクリートダム | 岐阜県営 | 下呂市 |
馬瀬川 | 西村ダム | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 | |
岩屋ダム | ロックフィルダム | 独立行政法人水資源機構 中部電力株式会社 | ||
馬瀬川第二ダム | 重力式コンクリートダム | 中部電力株式会社 |
主な橋
鉄道撮影地
美濃太田駅から久々野駅までの高山本線は、飛騨川に沿って走っており、多くの撮影スポットが書籍などで紹介されている。
- 上麻生駅 - 飛水峡信号場 飛水峡
- 白川口駅 - 鷲原信号場 第一飛騨川橋梁(白川口駅前の国道41号線を高山市方面へ2キロほど行った地点にある鉄橋)
- 福来信号場 - 焼石駅 下原ダム湖畔
- 焼石駅 - 少ヶ野信号場 中山七里、益田川第五橋梁(下呂市中心部にある国道41号線と国道257号線が分かれる帯雲橋交差点を国道41号沿いに約2キロほど美濃加茂市方面へ行った地点にある鉄橋。周辺には桜の木が多く、春、桜満開の時期には多くのファンが撮影に訪れる。かつてはNHKの天気予報のバックとして採用されていた。)
- 下呂駅 - 禅昌寺駅 温泉街をバックに撮影できる。
- 上呂駅 - 飛騨宮田駅 益田川第十橋梁(オレンジカード等では撮影されているものの書籍ではなかなか紹介されない撮影スポットである。橋梁をバックにして、あらゆる角度から飛騨地域らしい写真が撮影できる。)
- 飛騨小坂駅 - 久々野駅 飛騨小坂駅の俯瞰、多くの鉄橋が撮影できる。
災害
人家や事業所が集まる旧萩原町や旧下呂町の川沿いの地域は飛騨川の氾濫原にあたり、たびたび洪水被害に見舞われてきた[1]。1958年7月、総雨量700㎜に達する豪雨により、下呂大橋下流左岸が破堤、益田橋・朝霧橋・円通橋が流失、死者1人・家屋流失28件などの被害があった[1]。1983年9月、昭和58年台風第10号にともなう豪雨で溢水や破堤が発生、旧下呂町で床上浸水36戸・床下浸水173戸などの被害が出た[1]。