頭弁

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頭弁(とうのべん)とは日本の官制において、弁官を兼帯した蔵人頭に対する呼称の事である。頭中将近衛中将の兼帯であったのに対して、頭弁は(左右)中弁の兼帯であったと解されることが多いが、特に平安時代末期以前には大弁と蔵人頭との兼帯例も見られ、以後も稀ながらそうした事例が存在する。

概要

藤原俊憲の『貫頭秘抄』には、頭中将は「禁中万事」を申し行い、頭弁は「天下巨細」を執奏するとされ、頭中将は宮中における側近奉仕を担当し、頭弁は天皇太政官の間で政務に関する連絡を担当したと記されている。

頭中将は上流貴族出身者が務めたのに対し、頭弁は実務処理能力が重視された。このため、朝廷摂関家政所において実務官僚を務めた勧修寺流日野流などの藤原北家高棟流平氏などの中級貴族の家系から輩出され、後にこれが通例となった。室町時代になると、もっぱら頭弁が「殿上管領頭」として清涼殿南廂の殿上間における雑事の責任者を務めた。

参考文献

  • 橋本義彦「頭弁」(『国史大辞典 10』(吉川弘文館1989年) ISBN 978-4-642-00510-4)
  • 篠田孝一「頭弁」(『日本古代史大辞典』(大和書房2006年) ISBN 978-4-479-84065-7)