音声学
音声学(おんせいがく、羅: phonetica、英: phonetics,国際音声記号: [õ̞ɰ̃se̞ːŋäkɯ̟̹])とは、音声に関する研究を指す。言語学の一分野であるとともに、音楽に関する一分野でもある。ともに、発声器官に関する医学的研究を含む。
言語学としての音声学
言語学では、言語の音声化に関する事項を中心に研究する。
音韻論が個別言語ごとに言語音の機能的構造(体系)や音韻規則などを研究するのに対し、音声学は物理的実在である言語音声そのものを研究対象とする。
音韻論で抽出した有限の音素 (phoneme) はスラッシュ / / の間に入れて音韻表記するが、音声学における物理的な異音 (allophone) は国際音声記号 (IPA) を始めとした音声記号を角括弧 [ ] で囲んで単音表記する。
IPAは、言語音の区別の研究が進んだり、新たな言語音が発見されたり、またより精度の高い表記を目指すに伴って、たびたび更新されている。
- 例:「ホワイト」
- 英語表記:white
- 音韻表記:/hwayt/ または /hwīt/
- 単音表記:[ʍaɪt]
音声記号はIPAの他にも、コンピュータ上での記述に適したX-SAMPAやキルシェンバウム、各言語固有の音声記号等(日本語ならば、フの子音[ɸ]を/f/と記述したり、促音を/Q/、長音を/R/と記述したりする等)が存在し、米語[1]、ウラル語学[2]や印欧語学固有の記号等、目的に合わせて様々な音声記号が考案されている。
音声学は 1) 発音、2) 空気振動による伝播、3) 聴き取り、という観点から、調音音声学、音響音声学、聴覚音声学の三分野に分けられ研究されている。調音音声学は19世紀末から発達し[3]、音韻の研究や文字の発展にも大きな影響を及ぼしている。
音楽に関連する音声学
音楽の立場では、発声法の元となる医学的・音響学的な事項を、音声学として取り上げる。声の出し方という視点で発声器官・呼吸法について考察するほか、声の病変とその対処についても取り扱う。
脚注
参考文献・URL
- 小泉保『音声学入門』大学書林,1996年
- J.C.キャットフォード『実践音声学入門』竹林滋・設楽優子・内田洋子 訳,大修館書店,2006年
- 萩野仁志・後野仁彦『「医師」と「声楽家」が解き明かす発声のメカニズム』音楽之友社,2004年
- 英語の発音ビデオガイド
関連項目
共通
言語学関連
音楽学関連