鞆鉄道
鞆鉄道株式会社(ともてつどう、通称トモテツバス、英称 TOMOTETSUDOU CO., LTD.)は、広島県東部の沼隈半島を中心としたエリアとするバス会社で、トモテツグループの中核企業である。かつては鉄道路線を有していたが、1954年で廃止されたため、路線バス・観光バスのみの営業となった。本社は広島県福山市佐波町197番地1。
営業基盤が脆弱なことから経営難が長年続き、労使関係もあまり良好ではない。賃下げの労働協約を巡り、組合員から裁判に訴えられ敗訴している。本件は労働判例として「鞆鉄道事件」と呼ばれている。
なお、鉄道路線についての詳細は鞆鉄道線の記事を参照。
Contents
歴史
- 1910年11月18日 - 鞆軽便鉄道を設立。
- 1913年11月17日 - 鉄道線が開業。軌間762mm(非電化)。ラッキョ汽車と呼ばれた。
- 1926年12月19日 - 鞆鉄道に社名変更。
- 1927年2月 - 鞆町内でバス事業を開始[1]。
- 1928年7月 - 福山町-省線福山間連絡バス運行開始[1]。
- 1935年10月 - ライオンバス、ユニオンバスの自動車部門買収[1]。
- 1943年5月 - 笠井、門田両自動車商会を買収[1]。
- 1950年5月 - 貸切バス事業免許取得[1]。
- 1950年9月 - トラック運送事業免許取得[1]。
- 1951年1月 - 尾道、三原両市営バスとの相互乗入れ開始[1]。
- 1954年3月1日 - 鉄道線の福山 - 鞆間を全線廃止。バス専業となる。線路跡は広島県へ無償で寄付、道路拡幅用地として活用される。
- 1994年3月21日 - 福山 - 広島間に「ローズライナー」を中国バス・井笠鉄道・広島交通と共同運行で運行開始(後に中国JRバスが参入)。
- 1996年3月18日 - 尾道 - 広島間に「おのみちうずしおロマン号」を芸陽バスと共同運行で運行開始(現在廃止)。
- 1999年5月2日 - 福山 - 今治間に「しまなみライナー」を中国バス・瀬戸内運輸・瀬戸内しまなみリーディングとの共同運行で運行開始。
- 2004年4月15日 - 従業員から56歳以上のバス運転手に対する賃金30%減額を内容とする労働協約が無効だと訴えられていた裁判に対し、広島高等裁判所が無効との判決を下す(鞆鉄道事件)。
- 2006年3月21日 - 中国バスより福地線を譲受(三原市交通局と共運)。
- 2007年4月1日 - 三原市交通局より深線を譲受(中国バス・芸陽バスと共同運行)。福地線は鞆鉄道単独運行となる。
- 2008年1月26日 - 福山市内循環線へPASPYを導入。
- 2008年10月25日 - 鞆線・新川線・明王台線にPASPYを導入[2]。
- 2008年12月20日 - PASPYを尾道線・福大線へ導入。
- 2009年2月21日 - PASPYを新設された市内ループ線(まわローズ)へ導入。
- 2009年8月8日 - PASPYを沼南線、箱崎線、三原線に導入。
- 2009年9月12日 - PASPYを小原線、三成線、東村線、如水館に導入。
- 2009年10月21日 - PASPYを広島空港リムジン線に導入。
各営業所(車庫)の所在地
- 福山営業所
- 福山営業所鞆の浦車庫
- 広島県福山市鞆町鞆416番地
- 松永営業所
- 広島県福山市今津町3丁目8番2号
- 2012年11月19日をもって廃止。
- 窓口業務及びバスの折り返し駐待機は隣接地(福山市今津町3丁目4番14号)で継続。
- 広島県福山市今津町3丁目8番2号
- 新川営業所
- 広島県福山市沼隈町大字草深2785番地10
- 三原営業所
- 広島県三原市本郷町船木1543-2
路線
高速バス
詳細な運行案内は#外部リンクの鞆鉄道サイトを参照。<>内は共同運行会社。
- しまなみライナー(福山 - 今治)<中国バス、瀬戸内しまなみリーディング、瀬戸内運輸>
- ローズライナー(福山 - 広島)<中国バス、広島交通>
- エアポートリムジン(福山駅前 - 広島空港)<中国バス>
高速バス廃止路線
- 尾道・松永・福山 - 東京(浜松町・品川)線 <京浜急行電鉄(当時)>
- 阪神・淡路大震災により寝台特急列車も運休を余儀なくされ、代替の交通手段が必要となったため、急遽、臨時高速バスが設定。鉄道が復旧するまで運行された。
- 尼崎 - 福山線(阪神尼崎駅 - 福山・鞆の浦)
- 当初尾道駅が起終点であったが、後に鞆の浦に変更された。
- おのみちうずしおロマン号(内海・沼隈・松永・尾道 - 広島)<芸陽バス>
- 詳細はフラワーライナーを参照。
- エアポートリムジン(福山駅前 - 備後赤坂駅前 - 広島空港)<中国バス>
- 空港開港当初は広尾経由便とともに運行されていた。
一般
一般路線バスのエリアは、福山市の福山駅・松永駅を中心とし、景勝地鞆の浦と結ぶかつての鉄道線を継承する路線のほか、沼隈半島の一帯および、内海大橋を経由して、沼隈半島の南側の島嶼部に路線を持つ。その他、松永北部、北東部にも路線が伸びており一部は尾道市中心部・浦崎地区に達する。なお、現在は三原市で2路線を運行しているが、こちらは独立したエリアとなっている。以下に主要な運行区間を示す(正確な情報は外部リンクの鞆鉄道サイトを参照)。
- かつての鉄道線の後を継ぎ、福山と鞆を結ぶ。観光地路線のため基本的に大型車で運行され、一部にはワンステップ車も投入されている。多客時にはボンネットバス等による臨時便も運行される。
- 福山駅前-水呑-運動公園(福山市民球場)-竹ヶ端
- 福山駅前-明王台センター-瀬戸調整池前(共同運行・中国バス)
- 福山駅前-(洗谷経由)-六本堂-上横倉/沼隈支所-常石
- 福山駅前-(瀬戸経由)-六本堂-花咲堂/沼隈支所-常石/内海農協/千年橋-阿伏兎
- 狭隘路も残る沼隈半島の中心付近を進み、洗谷経由(県道72号)と合流。沼隈半島の南端および内海地区に達する。
- 福山駅前-(早戸経由)/松永バスセンター-松永駅南口/藤江-浦崎農協前-満越
- 尾道市浦崎地区への足。福山からは赤坂付近まで国道2号に沿い、沼隈半島西側を南下する。
- 松永駅南口-藤江-(浦崎農協前-常石/瀬丸/瀬丸-沼南高校)-沼隈支所-内海農協/千年橋
- 松永から南進し、沼隈方面を結ぶ路線。(沼南線)県道47号に沿い南下した後藤江で分かれ、常石経由は県道389号に沿い沼隈半島の西端を進み、尾道市浦崎地区を通り沼隈へ達する。瀬丸経由はそのままほぼ47号に沿い東寄りを沼隈へ抜け、一部便はさらにその先の鞆まで運行する。
- 福山駅前-みろくの里・神勝寺温泉(直行便)
- 福山駅前-福山大学(直行便)
- まわローズ(福山市内中心部循環路線)2009年2月21日運行開始
- (赤ルート)内港バスセンター → すこやかセンター前 → 三吉町南 → 東警察署前 → 入船町 → 伏見町 → 福山駅北口 → ロッツ前 → 市役所北 → 福山駅前 → 市役所東 → 霞町 → ばら公園前 → リーデンローズ → 内港バスセンター
- (青ルート)は運行なし
- 中国バス(井笠バスカンパニーを含む)と共同運行。1乗車につきおとな(中学生以上)150円、こども(小学生)80円
- 松永バスセンター-松永駅北口-山陽道福山本郷バス停前-本郷農協前-本郷温泉口-小原上(尾道市)(-柞磨(福山市))
- 県道48号を北上。本郷地区から尾道市の東端の山間部に至る。柞磨(たるま)へは1日1往復。かつては、松永から本郷温泉口を経て本郷温泉まで運行される区間便も存在した。中国バスと共同で府中駅方面まで延伸したこともあったが、短命に終わっている。
- 松永駅北口-西藤町農協前-柳井-三成(尾道市)
- 県道54号(および旧道)に沿い、松永地区と尾道市西藤町・美ノ郷町を結ぶ路線。終点の三成は、中国バスの同名バス停(同社尾道営業所前)から南に約400m離れている。かつては、三成から福山駅までの直通便であった。尾道工業団地線開設後、平日3便・休日2便にまで減便され、従来一部便が立ち寄っていた長者原工業団地の「アロン化成」を全便経由している。尾道高校が向島に移転するまで尾道高校前まで運行していた。
- 松永バスセンター-松永駅南口-ゆめタウン前-西藤町農協前-三成-尾道工業団地
- 2009年4月1日より開設の松永-尾道工業団地線、おのみちバスとの共同運行。上記の三成線との違いは松永駅南口を経由し、経路上北口には立ち寄らないこと、旧道を経由しないため旧道上のバス停は通過となること、三成で中国バス側の三成バス停を使用することなどがある。
- 松永駅南口-ゆめタウン前-バイパス東口-阿草-柳井-木頃本郷-如水館前
- 三成には停車しない、木頃本郷バス停松永方向は中国バスと場所が違うため注意が必要である。そもそもは尾道市営バス(当時)が運行を計画した路線であり、バイパス東口〜柳井の経路にその面影が残っている。
- 福山駅前-赤坂駅前-神村町三区-松永バスセンター-高須口-太田橋-長江口-尾道駅前
- 国道2号(および旧道)に沿う路線。かつては駅間の長い尾道市高須地区や福山市神村町等の足として運行され、尾道駅-高須口といった区間便も存在していたが、高須地区には東尾道駅が開業し、現在は全区間通しの系統は昼間のみ1時間に1本の運転である。また途中、山陽本線北側の旧道に分かれ、中国バス坂部バス停付近を経由し福山駅に折り返す「赤坂循環」を名乗る支線があるが、現在は日曜日のみ一日1本の運行に留まっている。東尾道の卸センター経由便・卸センター〜東尾道駅経由便・松永駅南口〜ゆめタウン経由便も現在は廃止されている。尾道市内のバス停は、おのみちバスと共通であるが、鞆鉄道は西国寺下と山波農協前の2つのバス停には停まらないので注意が必要である。昭和50年頃までは尾道市古浜町の旧尾道市営バス吉和車庫隣接地に尾道営業所が存在していた。
- 国道2号(および旧道)に沿う路線。かつては三原市交通局と中国バスの2社共同運行であったが、2006年3月21日に中国バスが撤退し、代わって参入したもの。2007年4月1日に三原市交通局が撤退した。登山口で尾道駅前方面の路線バス(おのみちバス)に接続し、乗り継ぐ場合は通し運賃が適用される。
観光路線
- のすたるじっく紀行(鞆の浦などの福山市内観光)2003年運行開始。春季 - 秋季のみ運行。予約制
廃止
- しまなみ海道定期観光(福山 - 尾道 - しまなみ海道)1999年 - 2009年までの春季 - 秋季のみ運行。予約制
- 沼隈支所-阿伏兎観音-阿伏兎-平-鞆港-鞆の浦-鞆車庫
- 2008年10月より沼南線を沼隈支所で分断し、試験運行したもの(福山市南部ゾーンバス実証運行)[3]。途中県道から南へ1キロほど下った阿伏兎観音下の旅館付近まで乗り入れる。鞆付近は狭隘な市街地を走行する。沼南線時代の中型バスから、マイクロバスでの運行に切り替わった。分断の結果は芳しくなかったのか、2012年には再び直通運行に戻っている。
車両
三菱ふそうトラックバス製と日産ディーゼル製を主に日野自動車製といすゞ自動車製を保有。
主力車種
トモテツビル
1971年、ダイエー福山店の東館として建設されたビル[4]。地下1階、地上8階、延べ床面積9400平方メートルの規模であった[4]。ダイエーの撤退によりトモテツグループの所有となった[4]。ダイエー撤退後は、書店、コンビニ、居酒屋、カラオケなどのテナントが低層階に入居したのみであった。トモテツセブンが管理運営を行った。1981年からの新耐震基準を満たさないために解体方針となった[4]。解体は2018年7月より開始され、2019年3月までに終える予定[4]。東経133度21分42.1秒北緯34.488639度 東経133.361694度
関連会社
- (株)トモテツセブン - 通信事業(ドコモショップ運営)、福山サービスエリア下り線テナント・学食(福山大学・福山平成大学・盈進学園)、トモテツセブンビルディングの管理運営など
- 福山日産レンタリース(株) - 日産レンタカー「福山新幹線駅前店」の運営
- 鞆鉄商事(株) - 石油卸売り事業、損害保険取り次ぎ業務
- (株)グローバル - 鞆の浦にて「ともてつバスセンター」の運営
- トモテツ不動産(有) - 鉄道跡地を中心とした不動産開発、リース
- (有)キャスパ - 福山駅前のテナントビル「キャスパ」の運営
- 走島汽船(有) - 鞆の浦と走島を結ぶ航路の運航
- 以下3社は2010年4月1日に鞆鉄道に合併、観光事業部となった。
- トモテツ観光(株) - 国内外の旅行代理店業務
- トモテツ観光バス(株) - 貸切バス・観光バス(福山拠点)の運営
- ティーケイジイ交通(株) - 貸切バス・観光バス(三原拠点)の運営
脚注
外部リンク
- トモテツグループ
- 鞆鉄道株式会社(トモテツバス)
- Bus-Vision 福山市(バスロケーションシステム:PC・スマートフォン対応)
- Bus-Vision 福山市(バスロケーションシステム:携帯対応)
- キャスパ…かつてのターミナル跡に建設された商業施設。2012年1月31日で閉店。
- ㈱シギヤ精機製作所 ラッキョ汽車(模型)の保存