雪華図説

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『雪華図説』。土井利位著、1832(天保3)年刊。国立科学博物館の展示。

雪華図説』(せっかずせつ)は、下総国古河藩の第4代藩主、土井利位が著した結晶の観察書である。1832年刊行。

概要

関東平野のほぼ中心に位置する古河では、雪国でもないのに、市内至る所に雪華(ゆきはな)紋様が見られる。江戸時代は現在よりも雪が降る日が多く、特に天保年間は雪の結晶が古河でも観察できるほど冷涼な気候であった。第4代古河藩主で老中にもなった土井利位は当時、オランダから輸入された顕微鏡を使って雪の結晶を観察し、観察図と研究を「雪華図説」「続雪華図説」にまとめて出版した。日本初の、雪についての自然科学書として高い評価を得ている。

「雪華図説」本文に記される観察法を大まかに紹介すると、

  1. 雪が降りそうな夜、黒地の布を屋外に置いて冷却する。
  2. 降雪をその布で受ける。
  3. 形を崩さないように注意して、ピンセットで取り、黒漆器に入れる。
  4. 吐いた息が試料にかからないよう注意しつつ、「蘭鏡」(オランダから渡来した顕微鏡の意味)で観察する。

整った形の結晶が観察されるには、大きな結晶が形成され、なおかつ牡丹雪のように癒合しない-10℃から-15℃の気温が必要となる。当時の寒夜に顕微鏡観察を行うには、かなりの苦労があったという。

この本は私家版であり出版数は少なかったが、当時のテキスタイルパターンに影響を与え、雪華模様の流行をもたらした。

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